「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」
Mendelssohn: Symphony No.3


クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 1960年
Otto Klemperer
Philharmonia Orchestra of London
 

リマスターされて録音状態は良い。昔からの名盤である。
演奏は、どっしり重量系。

 

1楽章
録音状態は極めてクリアで、端切れのよい音が響く。
クレンペラー盤の演奏は、1音1音が丁寧で、はっきりクッキリしている。
ショルティ盤も男性っぽい演奏だが、クレンペラー盤は、老練で堂々としている。
スコットランドのどんよりと暗い重い空気のなかで、黒い石造りの堅牢な教会・城を仰ぎ見ながら聴いている感じがする。
華麗で流麗なカラヤン盤とは正反対のアプローチで、フレーズの流れ重視というより、縦糸がはっきりしており、区切りがよく重々しいガツンとしたテンポで流れていく。
サヴァリッシュ盤は、パサパサした触感のクッキーを食べているみたいだったが、クレンペラー盤は、う〜ん歯ごたえ有り。という状態である。 (録音状態にもよるが・・・)
ヴァイオリンの音色には艶やがあり、ティンパニーの叩き方が、全体のアクセントになって盛り上げてくれる。
風のそよぎというよりは、川のうねりに感じられ、そこに心理的な深みがスパイスされているようだ。
重量感があり、ふかぶか〜とした息の長さと共に、他の盤と比較にならないほど厳かさを感じる。

2楽章〜3楽章
テンポの速い盤が多いなか、クレンペラー盤は、かなりゆったりめ〜 木管が美しい。
明るい音色なので、開放感を感じる。深い緑と黒っぽい建造物のなかで、ちょっとした空間 が広がっており、そこで青い空を見上げているような感じがする。
田舎風ののんびりした楽章だが、なかなか、クレンペラーおじちゃんはニクイ演出をしているようだ。
木管の艶っぽいところと、高音の美しさで、厳格なおじちゃんのなかに、ぽわっと ほんわかしたところができて、ほっとさせられる。なかなかチャーミング。

4楽章
透明感にあふれた演奏で、これは良い。至福の時が描かれており、ヴァイオリンの艶やかさと華麗さ、木管の透き通るようなレース感。教会の天窓から、光りが射し込んでいるかのように感じさせられる。
素直に聴きてて〜神々しいなあ。と思う。
木管のフレーズの最後に、ちょっとアクセントがついているようで・・・これが余韻をうんでいるようだ。
音のどこにアクセントを付けたら、いいのか計算されつくされているようで、テンポが心地よい。
フレーズの伸縮とアクセント・・・ 重すぎず、軽くすぎず〜 う〜やられた!
最終コーダへの道も、他の盤だと、いったん終わりにして区切ってしまうのだが、切れ目なく、すーっと別世界に飛んでいってくれる。
ヴァイオリンのフレーズは、モコモコの固まりにならず、字余りにもならず、金管フレーズの下支えになっており、地鳴りのように鳴っている。金管の息のながさ。ホルンのまろやかさ。
低音も聞き分けられるし、弦と金管と役割を変わるところも、綺麗に受け渡しが行われているし、堅牢さのなかに慈愛が満ちあふれてて〜
上質なシルクに、すっぽり〜 くるまれているかのような嬉しい気持ちになる。
涙しそう。これに感涙しない人いないんじゃ〜ないかな。なんて思う。特に、この最終コーダを聴くと、他の盤が聴けなくなるほど。絶品!すごく説得力のある演奏だと思う。

サヴァリッシュ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1967年
Wolfgang Sawallisch
New Philharmonia Orchestra

録音状態は、う〜ん。カサカサ気味。せつなさを感じさせる乾いた音色であるが、歯切れは良いく、サッパリしている。 もう少し録音状態が良ければなあ。

 

1楽章
アバドは優美。ショルティは無骨。カラヤンは流麗。で、サヴァリッシュは、さっぱり柑橘系の爽快さ。
もっさりした感じは受けなかったが、木綿の生地のような肌触りである。
録音状態は、まずまず。弦が全体的にかさついた感じがしているが、チェロの音色はよく聞こえる。
演奏は、ちょっと素っ気ないぐらいで、乾いた寂寥感が漂ってくる。
余韻もあるにはあるのだが、クレンペラー盤のように重さがない。
そのため、爽快ではあるのだが、スコットランドという土地の陰りが少なく、曇っているような感じだけがする。しかし、これでよいのやら?
風景描写的に受けとめた場合、不気味な風が吹いてリアル感あり。
わりと劇っぽく聞こえて、楽しめる一面も持っている。

2楽章〜3楽章
この楽章だけを、いろんな盤で聞き比べてみるのも楽しい。
もう少し艶やかでもいいかも〜とは思うが、軽快で、歯切れよく爽快である。
アバド盤は、少しくもったところがあるが、サヴァリッシュ盤は明快で、アバド盤が弦で聴かせるなら、サヴァリッシュ盤は、木管の音色で聴かせる。あっという間に終わってしまう 短い第2楽章・・・
3楽章も歯切れ良く進むが、う〜ん。この楽章は、もう少し引きずって欲しいような感じがする。
溜息じみたフレーズが、切ない気持ちにさせるのだが、う〜 さっぱりしてる。
サヴァリッシュ盤は、さっぱりしすぎだなあ。淡い恋心なんていう雰囲気がしない。
思い出は思い出です、すっぱり忘れましょう〜っと言われているようで、ちょっとした寂寥感が、たまらない楽章なのに、モッタイナイ。
アバド盤が女性的なら、サヴァリッシュ盤は中性的。あとくされなく、きっぱり。
でも、男のロマンのようなモノも感じて。ちょっとキザな男の後姿っぽい。
未練は、ないさ〜っと、去っていく。ビリー・ザ・キッドみたい。(← サヴァリッシュさんに似合わない)

4楽章
舞曲とも言えない舞曲で・・・ほの暗く、木管の音が独特である。
金管があわさったフレーズは、エキゾチックで、聞き込めば聞き込むほど魅力のでる渋い旋律だ。
サヴァリッシュ盤は、重いけど軽い。渋く乾いた音で、引きずらないテンポで軽快に進む。
テンポはあまり揺らさないなので、木管部分が印象的に聞こえる。
ちょっと丁寧すぎて、楽しくないような気もするんだけどなあ。
弦の旋律が短めで、息が短いのだ。
もっと歌ってよぉ〜と、欲求不満にかられてしまう。
感傷的に浸りたい楽章で浸りきれないため、ロマンチックに演奏して欲しい人には物足りないだろう。
アンサンブルが悪いというわけではないけど、楽器と楽器、座っている位置に隙間が出来ているように感じるので、私的には、う〜 イマイチだ。
コーダ部分は、もう少し盛り上げていただかないと、教会内部にいる感じがしない。
まるで、野外音楽堂に座っている気分である。
全体的に、昔の思い出が走馬燈に蘇ってくる〜という印象だった。

カラヤン ベルリン・フィル 1971年
Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。71年と感じさせないクリアーさ。かなり流麗な演奏で、聴かせ上手だ。

 

1楽章
極めて美しいという感じの演奏である。
スコットランドって、黒くてどんよりしてて、曇り空の多い感じの土地柄なのだが、う〜ん。ほの暗く、どんよりとした空気感は希薄で、透明度の高い流麗な演奏になって いる。
天気が変わりやすい。移ろいやすい。どんよりした空の流れが、カラヤン盤では、あまりにも軽やかで爽やかである。
弦の音が綺麗すぎて、渋みが欲しいかなぁ。でも。やっぱ上手いよなあ。聴かせ上手というか。
歌っているし、流れているし、綺麗だし、
でも、心理的には、ちと物足りない。雲というより小雨の風混じりが、よかったかも。
でも。やっぱ上手だよなあ。他の盤よりノリがいいんだよねえ。

2楽章
カラヤンの演奏は、やっぱうまい。と感心しきりでこの楽章も進む。
金管のまろやかで華麗な演奏は、なかなか聴けない。
う〜 すげっ。これはイチオシだ。他の盤と比較できないほど、流れる流れる〜それも綺麗に爽やかに、芳醇に。ここだけ聞き比べてもダントツの一位で、シアワセな気分にさせてくれること間違いなし。
アンサンブルも、ピカイチだし、気持ちを高揚させてくれるし、うまい!
3楽章では、しんみりとしたメランコリックな感じで、思いに耽ることができる。
上品で軽やかで、髪の毛をさらり〜ふわり〜とさせながら、丘の上に座って、もの思いにふけるその心地よさ。弾力があり、女性的な柔らかさを兼ねている。ショルティなんかは、 もろ無骨な男なんだよねえ。
で、カラヤンの演奏は、聴き手をすっかり、劇の主人公にさせてしまう。
他の盤では、情景が目に浮かぶものの主人公になりえない。カラヤンって、やっぱすごいのは、情感移入できる演奏とも言えるかなあ。移入させる要素があるというか。主観的に演奏してると思うよ 。
この楽章では、主人公になりきらせてくれる〜という演奏で成功しているように思う。
客観的より、ここは思いにふけるという観点でいえば、なりきりが正解かも。
そうさせてくれる演奏には感謝する。そして物思いにふけっているうちに、うとうととしたくなる、その心地よさ。(縁側の猫じゃないけれど)

4楽章
冒頭は、目を覚まさせるかのようなパワーで演奏される。
渋みが欲しいんだけど・・・と思いつつも、この流麗さに乗せられる。
ヴァイオリンの艶やかで、ちょっと挑戦的な煽りを受け、完全に乗らされやられた〜という気分に。だけど、カラヤンの演奏を聴いていると、これは流されてみようという気持ちになる んだなあ。
しかし、じんわりと聴いていると・・・やっぱ渋くて、ちと暗い、暗雲立ちこめる要素が欲しくなるのだ。
ヴァイオリンの音色に、艶やかでありながら渋さと、明度の低さ、にごった感じが欲しい。
なーんて言うのは欲張りだろうか。(両方を兼ね備えた演奏って、なかなか聴けないのが実情)

ホルンが、平板なフレーズである木管と、華やかな金管の間をとりもっている。
ぱっぱぱぱ〜 ぱぱっぱぱ〜 字余りに聞こえがちな弦の小刻みを、オブラートに包んでいる。
モコモコせずに安定した和音を奏でており、大変美しい。この最終のコーダが好きである。
ここだけ何度も繰り返して聴きたい。

ムーティ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1975年Riccardo Muti
New Philharmonia Orchestra

録音状態は、まずまず。弦が乾いている。
ちょっと霞がかかっている傾向にあり。演奏は若い迫力あり。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番、4番、5番、序曲「静かな海と楽しい航海」、「フィンガルの洞窟」、「異国からの帰郷」、「ルイ・ブラス」、「アタリー」 2枚組BOXより

1楽章
ちょっと乾いた録音だが、かなりゆったり〜と哀愁ただよってて、ゆったり歌う。
歌い方が、ムーティの若い時代の演奏なのに結構ゆったりである。
高音がさらり〜 きらり〜としているが、少し乾き気味。
ヴァイオリンの高音が主体になって聞こえてくるので、美音に聞こえる。その点、カラヤン盤と似ているかもしれないが、テンポはあまり揺らしていない。
歌うことができるが、甘くて美しくて哀しい。この冒頭はムーティ盤の白眉になっている。
主題に入ってからも、テンポをあげずにゆったり歌いあげていく。こんなに甘くて美しいスコットランドとは。
う〜ん。映画音楽を聴いているかのような気分だ。
ピントがぼやけたセピア色の写真を見せられているような気もするけど。ロマンティックであることに間違いなし。
12分頃で、こんな旋律だっけ? 何か音が違うと感じるのだが、くわしくワカラナイ。
テンポを揺らさないので落ち着いて聴けるし、適度に暗さがある。

2楽章〜3楽章
録音が少し遠いようで、もや〜っとしている。この楽章にはイイのか悪いのか。
演奏は悪くはないが、録音がイマイチで・・・軽快すぎず、丹念に演奏されているように思うのだが、やっぱ、乾いた風呂場のモワモワ感がありイマイチ。
3楽章では、丹念に歌い上げているという印象である。美しい。
テンポを揺らさず、だれる可能性が高いにもかかわらず、かなりゆったり演奏している。
宗教的にも聞こえるが、人によっては、このスピードにはついて行けないかもしれない。
教会のなかで敬虔な祈りを捧げているイメージに近い。
決して思い出に浸るという感じにはない。
敬虔さ、謙虚な気持ちに浸れる楽章になっている。
他の盤だと、草原の風にふかれて、自分の思いでに浸る〜という感覚だったのだが、このムーティは小さな石造りの教会のなかで、ひざまづきながら祈っている感覚になれる。

4楽章
いい演奏なんだが、録音状態がイマイチなのでヴァイオリンの音のパッセージがクリアではない。
美しい旋律がもったいない。もわもわしてくる。
最終コーダでは、マッチョな感じがせず、かなり、おじん臭い。抹香臭いとでも言おうか。
低音から、ぐわ〜っと湧き起こるモノが少ないので、いまいち盛り上がりに欠ける。
なんだか、落ち着きはらった感じがして、こじんまりしている。
これ見よがしな劇的な効果は少ないが、大見得を切るのもどうか。という向きには良いかもしれない。

ドホナーニ ウィーン・フィル 1976年
Christoph von Dohnányi
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

録音状態は優秀。巷ではアバド盤が有名だが、ドホナーニ盤の方が良いように思う。流麗でお薦め。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第1番〜5番、序曲「静かな海と楽しい航海」、序曲「フィンガルの洞窟」

1楽章
まるで、カラヤン盤やアバド盤と間違えそうなほど、流麗で優美である。
ベルリン・フィルもいいが、こっちはウィーン・フィルの演奏である。世評の高いアバド盤より、ドホナーニ盤の録音の方が、だんぜん良いのでお薦め。低音が 充分に入っており、しなやかで音量もタップリ。
ドホナーニといえば明晰さだと思っていたのだが、優美さに惚れ惚れし、私的にはイメージが狂ってしまった。ティンパニーの音も充分に入っており、弾力がある低音で支えているため、高い音域のヴァイオリンの音色などが、ふんわり〜と被さってくるように感じる。バランスのよい深さを感じる。

2楽章〜3楽章
低弦・金管もまろやかさと、テンパニーの小気味よい響き、木管のリズミカルさに、完全ノックアウト。
すべてがクリーミーに響きまろやかで、とろけちゃいそうだ。ゆったりめのテンポも、大変心地よい。
メンデルスゾーンの楽曲に、金管が吠えるのは似合わない。チャイコのような金管咆吼は不要だ。
なんたってメンデルスゾーンは、旋律の良さに加えて、バランスが命。和音の美しさが魅力。
これらのバランスが良い。

4楽章
ヴァイオリンのフレーズが優美である。華麗というよりは、もう少し抑制された美しさ。
カラヤン盤のような推進力は少ないが、自然の推進力という感じがする。煽るとか、強いるという感じはしないので、とても自然。人工的な雰囲気がしない。音色は、渋みよりは華麗に近い。
スコットランドのリズムは、軽快だが決して軽くないし、爽快さ・清涼感が不可欠。
ドホナーニ盤には、管楽器の弾みと弦のアンサンブルの調和が良く、下支えの深い音色があり、深みを加えている。とってつけたような最終のコーダは、もうすこしタメがあったら壮大・荘厳な感じがしたのかもしれないが、わりと、さらり〜と演奏している。
しかし、タメは十分あり、繰り返しのあるコーダで充分に聴き応えがある。
ふと、ドホナーニ盤を聴いていて、先の楽章で演奏されたストーリーは、全て昔の思い出話であり、最後になって現実に戻るような雰囲気がした。
教会で思い出を見ていたのか、古城だったのかは、わからないが、最後のコーダが現実であるような木がする。また、メンデルスゾーンのなかで、この最終コーダが構想当初に出来ており、ここから作曲がスタートしたような、そんな気がした 。

ハイティンク ロンドン・フィル 1978年
Bernard Haitink
London Philharmonic Orchestra

録音状態は、まずまず。重量があり、渋い〜っ。ちょっと渋すぎて退屈になってしまった。
カッピリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」「フィンガルの洞窟」 

1楽章
全体的に、低音が少し重く弦の音色は渋め。重々しく始まるが、歌心があり、柔和な雰囲気がある。
ハイティンク盤を聴いているとスムーズに聴け、いや聴きすぎて、ひっかるところが少ない。
何故なんだろう? さらさらと流れすぎてしまう。テンポが速いわけでもなく単調でもないのだが。BGMにしてしまっていることに気づいて何度か聞き直した。アクが少ないので、聞きやすいのだろうと思う が、
なんかモノ足らない。何度か聞き直したが、なんだ〜これ!と、文句をつけるところが無い。
どうも風景描写に徹しているようで、ぐぐ〜っと力が入ったところも特になく、う〜ん。どうしたものだろう。聴き手の私が悪いのだろうか。

2楽章〜3楽章
テンポは速め。アンサンブルがちょいと危なっかしい部分もあり。
この楽章は、とってもウキウキさせてくれる楽章でリズミカル。木管の語尾の伸びと弦の艶やかさもある。
しかし、もう少し密度が高くても良かったかもしれない。
音の広がりがイマイチで響きが少ないような気がする。特に中音域が抜け落ちてしまったような・・・
録音状態で、ちょっと損をしているのかもしれない。
3楽章は、音の膨らみがあってまろやかな音色が楽しめる穏和な楽章である。いつもすっかり弛緩して眠くなる楽章なのだ。
小春日和のぽかぽかした楽章で、流麗に演奏する盤が多いのだが、ハイティンク盤はいたって柔和でテンポも中庸である。

4楽章
エッジのキツイ演奏もあるのだが、ハイティンク盤は角が丸い。でも角が丸いからといって、メリハリが少ないわけではない。重厚さを持ちつつ明快で上品さも あり洒脱も効いているし。
決して、紋切り調のキツイ演奏でもない。
中庸という言葉が持つイメージが悪いかもしれないが、メンデルスゾーンの楽想としては良いと思う。
ただ、もりあがりはイマイチ。
最後のコーダは、流麗なアバド盤に比べると・・・ う〜ん。唸ってしまう。もう少し派手で華麗でも良かったのではないかと思う。やっぱ地味で渋〜い。最後ぐらい大衆受け狙いでもよかったと思うが、実直なハイティングさんらしい。重低音がデッドに響いているし金管が前に出てきていないので、損していると思う。
カップリングされている4番「イタリア」は熱い。スコットランドより、断然イタリアの方が良いように思う。

アバド ロンドン交響楽団 1984年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

録音状態は、幾分、もわ〜っとしているが、音色が豊穣で聞きやすい。

1楽章
ヴァイオリンや木管の音色が艶っぽく、まずチェロの音色に惚れ惚れしてしまう。
アバド盤は、小高い丘から、穏やかな風景の広がりを眺めているようで大変清々しく、静かな心境で、何かを思い出しているように感じる。
時折、風が、そよいでいるのを感じながら、ずーっと風景を見ているのだが・・・
「そういえば〜○○だったなぁ」といった回想のような感じで、第2主題が始まる。
そこには、ほろ苦い郷愁が漂っており、強奏しているところは苦悩や苦みを感じる。
主題の変奏部分では、苦悩が大きくなってきたのか、風景と心のなかの郷愁が、ないまぜになってきているようだ。こりゃ〜 単なる風景描写じゃないなあ。
風がだんだんと強く舞ってくるようなのだが、最後には、やっぱり内省的で、はて。どうだったのだろう。
私の人生は・・・ なーんて考え込んでいる雰囲気になってくる。

2楽章〜3楽章 
「ぱらぱら ぱっぱっぱ〜ら」 クラリネットの旋律が、なんともいえない。
軽やかであるくせに、ヴァイオリンが入ってくると、このまま明るくなるのかと〜思いきや。管がはいってテンポがあがる 。
本のページが巻きあがり、時間が勢いよく戻るのか、思いが錯綜しているように感じる。恐ろしいほど速い時間の走馬燈か? これは青春時代の走馬燈だろうか。それにしても速い。
あっという間に、2楽章を駆け抜ける。
3楽章では、ほのかな灯りのなかで、1人寂しく考えごとでもしているようだ。
なんだか、いっきに背中の曲がった老人にでもなった気分である。
同じ場所で、ずーっと佇んで考えてる時間経過のようで、この主題をきくと、若かった頃に戻るようだ。
ここの楽章では、風景は感じない。歳老いて、思い出を木訥と喋っている感じがする。
昔はね〜 こうだったんだよ〜 
まるで、弦のリズムが、おじいちゃんが子供に聴かせているかのような語りのペースである。
音のリズム感が、木訥と喋っているように聞こえてくる。それにしても愛情が感じられる。
でもね〜  でもね〜 弦の合奏は 仕方なかったんだよね。って行っているみたいで。
「そーは〜し どれみれれ そは〜し どれみれ〜 れれれれ らそふぁみれ〜 ふぁみ」
やっぱ、思い出話を、誰か聞かせているようだ。
アバドの盤の感想だけどね。昔語りですなぁ〜で、夜がふけました。自分も歳をとりましたって終わる。

4楽章 
風が吹いて風景が変わった。はじめの主題が出てきて、なんだか活気を取り戻したようだ。
現実もどったのだろうか。華麗な音でテンポが速い。音色が明るく軽やかな感じに変わる。
舞踏のフレーズと、歌謡的なフレーズが混じった感じで、ブツブツと旋律が切れず、フルートが艶っぽく奏でている。この心地よさは、他の盤よりもアバド盤が良い。
まるで、妖精たちが踊っているかのような雰囲気で、フルートが、ぱ〜ぱらぱぁ〜 と奏でている。
全休しした後、低弦を伴ったホルン、そしてユニゾンを迎えるのだが、荘厳・華麗である。
ただ、私の盤では、少しくぐもった録音状態に聞こえるので、ちょっと残念。
特に、コントラバスとティンパニーがイマイチな響きである。

アバド盤では、昔語りのように聞こえるが、貴族的な優美さがある。
また、女性的なフレーズの歌い回しで、優美で華やか だ。なんだ〜かんだ〜と言っても、多分、これがイチバン、メンデルスゾーンらしいのかな?(と、思わされているような感じ)

ショルティ シカゴ交響楽団 1985年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra

 

録音状態は良い。かなりの重低音が入っている、弦も金管も機敏で、快活で、スポーティなメンデルスゾーンである。

 

1楽章
「ふぁ〜しどれ〜 ど〜み〜らし〜 らどみ〜み〜れ ら〜どしららそ〜」
西洋音楽の典型的な「ドレミファソラシド」の7音ではなく、そこから「ソ」と「シ」の音を抜いた「五音音階」的な雰囲気を持っている ので、懐かしい香りがする。かなり和風に聞こえてくる。
ほの暗いイントロから始まって、深い悲しみを切々と歌うが、決して大袈裟でもない。
意外と速めで、さらりとしているが、思いがけないほど弦が透き通っており美しい。
序奏が終わって、軽快なステップが続く。これがショルティ盤? という感じで、さらさらしており、意外と旋律を重視して歌ってくれる。あれれ〜と思うぐらい意外な始まりだった。
そのうち、ショルティ らしくなってきて、段々と音量があがってパワフルに変わるのだが、いや〜これがなかなか愉快なほど、痛快で。このメリハリが効いているところが、大変好ましい。
「らしど〜らしど〜 ふぁ〜みふぁみふぁそど・・・」 溜息のつきかたも巧いっ。
この溜息のつきかたが、大層ではないのだ。
さらり〜っと、ふわっと男性的に呟いている雰囲気が、さっぱりしていて、メランコリックではあるが、テレテレしておらず、そこからの切り返しが潔さに通じて、自分自身で、勇ましさを奮い立たせているようにも聞こえてくる。
ショルティは、スコットランドの血の流れた大地を描いているのかもしれない。
ごつごつした岩が点在している草原のなかを、甲冑をつけて走っているのかもしれない。しかし、そこには 単なる風景の描写にはとどまっていない。あくまでも主人公は人って感じがする。
あまりリアルにガンガン行かず、郷愁を感じさせる雰囲気に仕上がっており、なかなかのもの。
重量感はあるが、機敏に弦や金管が反応しているので、かなり痛快である。

このメンデルスゾーンのショルティ盤は、いつものシカゴ響の重厚感あふれるパワフルなイメージは無い。
この1楽章は、室内楽的な雰囲気がする。
この楽曲は、弦の旋律が生命線ってところがあるし、アンサンブルがきちんと整っているので、チェロの響きも良く聞こえるし、低弦が豊かに響くので嬉しい。楽章最後には、小動物が追いかけられて走り回っているかのような、狩りのイメージ がする。本当は嵐のような戦闘場面かもしれないが。追いかけられて、逃げまどっているかのような切迫感が感じられる。
いずれにしても、単に抒情的ではなく、リアルさが感じられる。

2楽章
「そらしれしらそし れっれ そみれし〜 そらしれしらそし みみっそみ れし〜」
スコットランド民謡のオンパレードなのだが、段々と高揚していくところが、素晴らしい。
ショルティは、ねちっこい振り方をしていない。
歌謡風とはいえ、楽器間で、フレーズが小気味よく、歯切れよく飛び交っており、スポーティだ。
「れっしっみっし らっしれっし・・・みっどっそっみ・・」 と弦が一気にテンポ良く刻んでいくところなんぞ、痛快で、まるでテニスのラリーを見ているように感じられる。
メンデルスゾーンの爽やかで、ちょっと郷愁を感じさせるメロディーラインではあるが、ショルティ盤では、スポーツをしているかのようだ。
また、その後、汗をぬぐったような爽快感を感じる。

3楽章
「み〜み〜み〜 ら〜し」深々と荘厳な音色を奏でてくる。
緩やかさは感じるのだが、あまりにカジュアルかなあ。ここは一気に儀式的、儀礼的要素が欲しいところなのだが、襟を正すところまでには至っていないかも。
中盤以降は、重厚感が増してくるが、もう少し切迫感があれば緊張感が増していたかもしれない。
「ふぁ〜ふぁふぁ ふぁ〜ふぁふぁ〜どしら〜 ど〜どど ど〜どど みれど〜」
ここは、もっと、ここ回数を重ねるごとに、押してきて欲しかったかな。全部同じ重量で来られても、イマイチ切迫感が湧かない。ちょっと重さだけで勝負って感じがする。 

4楽章
「ふぁ〜みっれっ・・・ どっしら  どふぁ どふぁ〜 ふぁふぁふぁみふぁ〜みふぁそ・・・」
一気に飛び出してくる。緊張感たっぷりの冒頭で、サスペンスドラマ的。なにごとが起こったんだ〜っ。
かなり引きつけられる。テンポは快速。
「どーふぁみそ〜 どふぁふぁみそ〜」木管のフレーズが可愛く、金管の美しいこと。
ここは馬力があるし、開放的な金管が美しい。
で、段々とテンポがあがり、すごい快速になっていく。舞曲風なので段々とこちらが煽られていく。
短いパッセージは、抜群に巧く舌を巻いてしまう。重さを持ちながら快速スピードで駆け抜けていくには、アンサンブルが乱れそうなものだが、金管の短いパッセージとか弦のエッジの鋭さとか。
ホント巧い。こりゃ〜すごいわ。このオケの機能美に感心しきり。
神々しさや荘厳さとは、あまりご縁がないようなのだが・・・。こんな、メンデルスゾーンもありかな。と思わず頷かされてしまった。
感動の余韻は少ないが、最終コーダが鳴り響いた後、痛快で思わず拍手してしまった。

いたってスポーティだが、頃合いのマッチョ感が、昔の騎士のようでもあり〜 ちょっとアプローチが違うかなあ。と思いつつ、楽曲にはあっているように思うし、ちょっと気持ちが揺れちゃう。
荘厳さは感じないに等しいが、ヨナ抜き的郷愁感も感じられるし、それが、嫌らしく聞こえない。
さらり〜っと演奏されてしまうところが、更に郷愁を感じるというか、潔さも感じられる。
まっ。作品本来の性格とは違っているとは思うが・・・ 普段聴くには、メンデルスゾーンが、ちょっとマッチョ風おじさんに変身しており、痛快かもしれない。

ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 1991年
Herbert Blomstedt
San Francisco Symphony

録音状態は良い。初めはキビキビしたスマートな演奏だと思っていたが、なかなか熱いっ。

1楽章
録音状態は極めて良い。
「ふぁ〜らしど〜し み〜ら〜し〜 らどみ〜 み〜れらどしら らそ〜」
明るめの音色で、スマートに出てくる。
アンサンブルもみごとだし、息づかいは深くはないが頃合い。コロコロとリズムを転がして、きびきびと歌う。
段々と高揚してきて、テンポが速めとなる。
へえ〜っ これは、スリリングなスコットランドで、熱いっ!
ブロムシュテットさんのことだから、穏和だろうと思っていたら、意外にも、ひえぇ〜っと驚くほど、テンポが速めで、透明感があふれていた。
陰鬱な傾向が強い冒頭なのだが、哀しみや痛みを通り越した後の、爽やかさすら感じられるフレーズになっている。なにか達観したかのような雰囲気が漂う。しかし、熱いっ。
畳みかけてくる迫力に、蹴倒されるような感じ。細かいフレーズで、何度も繰り返して畳みかけてくる。
流麗でも優美でもないのだが、細身なくせに、捻っているので頑丈になっているというか。
無骨で内省的なのだが、何度でも繰り返してくるうちに、言葉にしづらい気迫が生まれてくるようだ。
ブロムシュテットとして聴かなければ、若い指揮者の演奏だと勘違いしそう。
チェロの渋くて深い音色などを聴くと、う〜ん。サンフランシスコだとは思わないだろうし。
う〜ん。こりゃ、ある意味すごい。
嵐のようなフレーズのところの迫力も充分で、オペラなみにリアル感があり。

2楽章
「し〜れ〜そぉ〜」 風が吹いてきたようなに、弦が、カサカサと鳴ったと思ったら、軽やかなクラリネットの音が聞こえる。「そらしれしらそし れっれ そみれし〜 そらしれしらそし みみっそみ れし〜」
う〜ん軽快だ。木管の音が良く聞こえることと、まろやかさがあって。
他のオケと、ひけをとならないどころか・・・これはいいっ。 弦の小刻みなフレーズも木管の刻みも、軽快によく響く。
歌心もあり、広々とした空間をイメージさせてくれるし、爽やかだし、眺めとしての雄大感も感じる。
まるで、鳥になって大地を、楽しく俯瞰しているような・・・。
特に、弦の「れっれっれっれっ みっみっみっみっ・・・」
さりげない2楽章なのだが、これほど楽しげに愉快に聴けるとは。すごいっ。 

3楽章
テンポは総じてはやめ。室内楽的なアンサンブルの響きとなっている。 深々と悩むような気分の出だしなのだが、そこは、ちょっと速め。 歌心はある。初め聴いたときは、もう少しまったり演奏して欲しい気がしたのだが。 あまりクサクサせず、鬱陶しくないというべきか。 ウツウツ〜 木訥〜とした演奏も多いが、ブロムシュテット盤は、さっぱりしている。
ネチネチしてないんだねえ。今風で良いかも。
楽章のはじめはテンポが、キビキビしているのだが、金管があわさってきたところから、少しテンポが落ちる。
「ふぁ〜ふぁふぁ ど〜ど れ〜れ そ〜 ふぁ〜ふぁふぁ〜らそふぁ〜」
べらぼうに厚みはないものの低弦の響きが充分で、重心が下に感じられ、安定感がある。
そこにのっていく、弦や木管の音色が明るめなので、微妙な頃合いのハーモニーになっている。
もちろん音に暖かみがあり、最後には、深々〜っと和音が奏でられている。

4楽章
たら〜ん、鋭いっ。エッジの鋭い弦が響き、刃物が振りかざされたような闘争的な出だし。
そこから、鋭い切れ味の舞曲が始まる。
「ふぁ〜みっれっ・・・ どっしら  どふぁ どふぁ〜 ふぁふぁふぁみふぁ〜みふぁそ・・・」
うわ〜っ。
タンタンタンタン・・・と たら〜ん というリズムの組み合わせで、らしどれ〜っ 階段状にのぼっていく。
これは、いやがうえにも、一気に気持ちが高ぶってくる。 これはすごいっ。勢いがあって、スピーディーに展開していく。あっけにとられるほど速い。 「どーふぁみそ〜 どふぁふぁみそ〜」木管のフレーズが鋭く、透明度が高い。
「パパパっ ふぁ〜そふぁ〜ふぁ〜みれ れられみれ〜」
この「パパパっ」という、弦の刻みが鋭くて重い。そして、この重さと木管のフレーズの軽やかさが絶妙だ。
音色も渋めになっており、特に、低弦の音が良い。録音も、うまく響きがひろえている。 う〜ん。唸ってしまった。テンションも高く、熱血的だ。
最後のコーダ前は、舞曲からの切り替えになるため、かなりテンポを落とし完全に静まったのち、壮大なコーダを奏でる。
音色は明るめなのだが、やっぱ渋いっ。厚みがやや薄いし、もちろんウィーン・フィルのような艶はない。
しかし、重厚な低弦が唸っており、血を吸った大地のうえで、なんとか傷つきながらも勝利したような、そんな凱旋歌に聞こえてくる。
今まで、私には、なぜ、とってつけたようなコーダが存在するのか、よく解らなかったのだ。
だが、ブロムシュテット盤を聴いて、自分の土地を守ったという喜びのようなモノを、このコーダから感じることができた。いったい私は「スコットランド」を、どんな解釈をして聴いてきたんだろう。
ブロムシュテット盤を聴いて、実は、かなり反省させられた。
闘争的なメンデルスゾーン。う〜ん、シンジラレンが・・・。

ショルティ盤も、すごいリズミカルなのだが、あれは重い。ありゃ〜戦車なみの馬力がある。
ブロムシュテット盤は、軽めなのだが、こっちは鋭い。騎馬隊のチャンチャンバラバラ風。 どちらも、血なまぐさいのだが。う〜ん。 スコットランドと言えば、アバド盤のような、貴族風で優美なテレ〜っとした旋律美と和音が、命だと思っていたのだが・・・ これは大きな間違いだった。(と思う) このリズミカルな無骨な舞曲に圧倒された。
ショルティ盤は、少しパワフルで野蛮的で、圧倒的に聞こえるが、ブロムシュテット盤は、スマートで、中音域や木管の響きが、大変見通しが良い。 めったに話題にのぼらない盤だが、私的には、これは良い演奏だと思う。ブロムシュテットさんは、この後、ゲヴァントハウスと録音した盤もあるらしいが、まだ入手していない。

マーク マドリッド交響楽団 1997年
Peter Maag
Orquesta Sinfonica de Madrid
(Madrid Symphony Orchestra)

録音状態は、残響が多すぎで風呂場的。演奏自体はまろやかなのだが、マークという指揮者を知らないと聴いていられない。

 

1楽章〜2楽章
マドリッド響とのマーク盤は、かなり風呂場的で、残響が多すぎて、音場がハッキリしない。
ボコボコの音響でエコーがかかりすぎ。
1楽章の冒頭でも、素朴すぎて〜 ぼわ〜っとしたぬるま湯的で、生暖かい風が吹いているようだ。
新緑の香りや木綿のハンカチーフが似合っている。ただし、疲れている場合、このほんわかした感覚が溜まらないときがある。

3楽章〜4楽章
ぼわ〜っとしている。
淡麗辛口とは正反対だが、まったりしているわけでもなく、ひつこいわけでもない。
あまり計算していないようなところが、率直に好まれるかもしれない。
ひとことで言うと、おぼこい〜素朴さ。
つかまえどころのない音が流れていく。この盤のよさは空気感かなあ〜 直裁でないところがいいのだろと思う。小春日和で眠たそうな縁側の猫状態。そんなまったり感 がある。
最終コーダは、う〜ん。ちょっといただけなかった。弦が貧相で、ティンパニーがぼこぼこ鳴っている。
ちょっとしたシアワセ感に和まされ、ふっと思い出して、ちょっとだけニガワライをしつつ。
懐古調に昔を振り返る。そんな青春時代の1ページ的存在に思える。
う〜ん。マークという指揮者を知らなければ、聴いてられん。と思っちゃうかも。あまりお薦めしない。

C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン 1997年
Colin Davis
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

ライブ盤 録音状態は、残響が濁ったり、音が割れたりして聞こえる。特に、ティンパニーと金管の音がイマイチ。最後は編集ミスらしい。 お世辞にも、これでは・・・。

 

1楽章
「ふぁ〜しどれ〜 ど〜み〜らし〜 らどみ〜み〜れ ら〜どしららそ〜」
まったりした出だしで、木管の美しさが際立っている。
息づかいも深く、寂しい雰囲気がありながら暖かさが感じられる。
弦の歌いまわしが絶品で、たらら〜たらら〜っとリズミカルで、心地よさを知っている巧さを感じる。
出だしを少し強めにして、フレーズ後半は、ゆらゆら〜と、たなびかせて弾いている。
冒頭で、この歌い方で、やられてしまった。
デイヴィスは、バイエルン放送交響楽団の盤もあるが、歌い方が巧みだなあ。と思う。
ただし・・・ 「たたた た〜らら ららら・・・」と歌謡風のフレーズが顔を出してくるところは、テンポは総じて遅め。ちょっと速めにしてくれたらいいのに。う〜 流れていかず、弛緩してしまう。
あまりテンポよく刻むのではなく、盛り上がっていくところは、嵐のように聞こえる。あまり戦闘的な演奏ではないので、穏やかに、じわっと熱くなる感じ。
録音状態は、弦は良いんだが、金管の音が、クリーミーに聞こえず擦れて割れて炸裂しているようだ。
ティンパニーの音は緩いのか、響きが団子になっているし、低弦も濁っている。
音のバランスと分離が、よろしくないようだ。特に、ティンパニーの音と金管が、残響で濁ってしまっているので、ヌケが悪く、音が収まりきれていない。綺麗に響いてこないので。う〜ん。なんとも。がっくり。

2楽章
快活に、クラリネットの音が響き、金管の音も綺麗に入っている。
「そらしれしらそし れっれ そみれし〜」 弦の音色は良く、のびやかである。
ソロで弾いている部分には良いのだが、全合奏となると音が、キャパを超えているかのように、飽和状態で、あふれかえって濁ってしまっている。なんだ〜これっ!この録音酷いっ。
思わず、ティンパニーの音 いらなーいっ。と叫んでしまった。
ヴァイオリンの高音になると、いきなり丁寧に聞こえないし、唸ってしまった。
しかし、熱いっ。こんなに2楽章が熱かったっけ。
全合奏するところなんぞ、力が入ってて〜 あっけにとられた。

3楽章
美しい音色で、荘厳さがありつつも爽やかに始まる。
ちょっとフレーズが短めで、流がないような気もするが、穏やかに和音を中心に進んでいく。
テンポは遅め。呟くような響きがあるのだが、音量があがると、和音が綺麗にブレンドされておらず。
う〜っ。がっくし。せっかく訴えてくる迫力は、あったんだが。

4楽章
分厚い弦の響きが一発。そこからの弦の響きは美しい。
「ふぁ〜みっれっ・・・ どっしら・・・」
ティンパニーが雷鳴のように響く。低弦の威力もあって、地響きがたつような迫力もある。
「みみみみ みーれみふぁれ しーれふぁみっれ」 このフレーズに躍動感があるが、品良くまとまっている。上品な舞曲として奏でられており、弦で装飾されている。「ん〜たらっ ん〜たらっ」と、粘っている要素もあって、木質感も感じられて良い。
でも、この楽章だけ、なんだか録音状態が違うような気がする。ティンパニーが、ほどよく響いて聞こえる。
ん〜 これは、あきらかに違うなあ。と思ってしまった。こんなに変わるとはなあ。なんだぁ。この録音。
最終コーダだけ、すごいとってつけたような楽曲なのだが、それでも、地響きが立つような響きで、音がたちあがってくる。ここだけ聴いても値打ちはあるのだが、でも、やっぱり音は割れているし、カットはあるし。デイヴィスさんが気の毒だ〜そう思う。
1960年 クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★★
1967年 サヴァリッシュ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 Ph ★★
1971年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1975年 ムーティ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★
1976年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec ★★★★★
1978年 ハイティンク ロンドン交響楽団 Ph ★★★
1983年 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 Orf  
1984年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★★
1985年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★
1987年 マズア ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団  
1991年 ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 Dec ★★★★★
1997年 マーク マドリッド交響楽団 Arts
1997年 C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン Profil ★★
所有盤を整理中です。

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