「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」
Mendelssohn: Symphony No.4


メンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調「イタリア」(作品番号90)は、1831年〜33年に作曲されています。
交響曲の番号は楽譜の出版順となっており、実際には、1番→5番宗教改革→4番イタリア→2番賛歌→3番スコットランドという順番で作曲されています。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
第1楽章 イ長調 6/8拍子 ソナタ形式(提示部反復指定あり)
木管の軽快な刻みによる2小節の序奏に乗って、ヴァイオリンの生き生きとした第1主題が提示され、動機が60小節にわたり展開され、経過句が続いてから、第2主題が、ファゴットとクラリネットに落ち着いた表情で提示されます。
第2主題が発展した後、第1主題による小結尾が続き提示部へ。展開部は、提示部の経過句から派生した新しい主題によるフーガで始まり、これに第1主題の動機が対位法的に絡みクライマックスを形成して、いったん静まった後、型どおりの再現部に入ります。コーダは、ヴァイオリンとフルートが新たな旋律を示し、展開部の新しい主題と第1主題の動機が組み合わされており、スタッカートの三連音の朗らかな走句により曲は終わります。

第2楽章 ニ短調 4/4拍子 ロンド形式 (A-B-A-B-A)
呼びかけるような音型につづいて、素朴で愁いを帯びた旋律が木管に示され、弦が特徴的なリズムを刻みます。
中間部はニ長調です。

第3楽章 イ長調 3/4拍子 三部形式
穏やかな曲調でメヌエットに近いもの。主部はドイツの民族舞曲を思わせる主要主題で開始され、中間部は、ホルンの信号で始まり、ヴァイオリンとフルートが上行形の律動的な音型を奏します。

第4楽章 イ短調 4/4拍子 自由なロンド形式。(A-B-A-C-A-C-A-Coda)
サルタレロはローマ付近の民衆に流行した舞曲で、途中でなめらかな音型がタランテラのリズムに乗って現れます。
短い序奏の後に、第1主題が提示され、熱狂的に進んだ後、第2主題が提示され、再び第1主題が現れた後、流れるような高速の三連符で、第3主題が登場します。

文字どおり、イタリアに旅行にいったときに書き始めたもので、躍動的なリズム、叙情と熱狂、長調と短調の交錯による明暗の表出が特徴的です。出だしの弦の弾むようなリズム、最後のイタリア舞曲のサルタレロが、すかっと晴れ渡る青空をイメージさせてくれます。とっても若々しく、健康的で、聴き終わったあとは必ず、爽やか〜になれる楽曲です。

サヴァリッシュ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1967年
Wolfgang Sawallisch
New Philharmonia Orchestra

録音状態は、幾分乾き気味だ。4楽章だけ俄然、元気になって熱くなってくるのだが、もっと最初から頑張って欲しいかも。全般的には中庸で、特段には悪くないんですけど。
カップリング:メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」、4番「イタリア」

 

1楽章
柔らかく上質感のある演奏で、テンポは普通程度。印象としては悪くない。でも、なーんか明るいわけでもなく、渋めでもないし、数ある盤のなかで、この盤は、どうですか。と言われた時の答えが、う〜ん、答えづらい。可もなく不可もなく。中庸です。と答えるのは大変失礼なのだが、でも、その特徴のなさが良いってこともあるし、ちょっと難しいかも。聴いてて心地よさがあるので、何度でも聴ける盤であるのだが、いかんせん録音状態がなあ。昔は定盤とされていたのだが。
でも、上記のように、どうよ? と訊かれたら、答えるのが難しいのだ。 いいよ〜ってことで終わってしまう。ごめんなさい。サヴァリッシュさん、言葉がたらなくて・・・。
で、もう少しイタリアなら、弾んで欲しいって気もするし、録音がさすがに古くさくなってきているし。
弦は良いのだが、奥で響くティンパニーの音が、こもっているのです。
教科書的な演奏って感じもするが、素人ではなんとも。これは演奏者の肥えた耳じゃーないと、なんとも言えないし、当たり障りの無い演奏っても、良い表現ではないし。マズイなあ。やはり、爽やか柑橘系って言葉で許してください。

2楽章〜3楽章
なんだかテンポ重視というか、低音の弦の響きが第一で、そのうえにテンポを合わせた弦のフレーズが乗っているという感じで、あまり揺らぎがないので、う〜ん 情感たっぷりに歌いあげるタイプでもないし、明解ではあるが。
「み〜ふぁそられ〜 らしどふぁ れ〜どし しみみれそらし〜どし らそふぁ〜ふぁみ〜」と、単調に歌っている。
几帳面すぎるっていうか、なんていうか。もう少し雰囲気というか、色気というか、色が欲しいかも。暗すぎ。
3楽章では、旋律の膨らみ萎みが、音量の調節で行われ、するっと〜流れていく感じがする。
別に深い感情移入をする必要のない楽曲だとは思うが、素っ気ないワケじゃーないけど、とびっきり心に響かないというか・・・。ちょっと〜モノ足らない感じがしてしまった。

4楽章
この楽章は良い。木管が、プチプチ プツプツっと、かなり粒が立って聞こえてくる。
この明るめの木管の音が、海面から浮いて弾けているような感じがする。 えっ 舞曲だっけ。まっ 海面ってイメージがしたんだもん。 で、この楽章、段々と熱くなっていく。
小刻みにタクトを振っているサヴァリッシュさんのイメージが浮かぶ。 オブリガートは熱くなるようで〜 いったん、旋律が低音に降りていくが、そこから浮かんでくるところが、ふふふっ こりゃ〜良いやん。あくまでも上品だし弦の響きも充分だ。
木管が、もう少し膨らみがあれば言うことないのだが、 内声部を充分に意識され、音量も、かなり調節しており、声を潜めながらも、熱さを帯びてくる雰囲気が、充分に伝わってくる。
いろんな音が奏でられていることが、よーくわかった。 前楽章の印象が薄かっただけに、この楽章、メチャ良く聞こえちゃう。
前言撤回って感じでしょうか。
でも、4楽章だけ燃えてくれても、ちょっと遅いぜ〜って感じなのだが、まあ。テンポアップして、ヒートアップしてくるところが、なかなか良いデスね。


シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 1983年
Giuseppe Sinopoli
Philharmonia Orchestra and Chorus



録音状態は良い。高音域が、すか〜っとしているが、ちょっぴり乾燥気味。演奏は、ちょっとノー天気っぽいが、爽やかなすっかとした青空が広がっている。
カップリング:シューベルト交響曲8番「未完成」、メンデルスゾーン交響曲第4番

1楽章
冒頭が大変印象的な「イタリア」だが、シノーポリ盤では、いきなり〜 突き抜けたような青空で、すごく明るい。
テンポが軽快で明瞭このうえない。 乾燥気味の録音状態だが、高音域が爽やかで、弦のポンっと弾んだピチカートと、カサカサ・・・と鳴っている木管群が、すかっとした青空を描く。
風も気持ち良い。なんという爽快さだ・・・。トランペットもいい音で鳴り響いている。
総体的には軽めだが、勢いが良いのと、軽やかさが漂っているので好感が持てる。

2楽章
一転して憂鬱な音色に変わっている。
この盤は、シノーポリのグラモフォン・デビュー当時の演奏2曲を収めたアルバムだそうで、録音もきわめてクリアーである。1音1音が短めの旋律だが、ヴァイオリンが引きずらないで 演奏される。
爽快な楽章である。

3楽章
ゆったり始まる。スケルツォ部分ではなかったっけ? う〜ん、アバド盤は速かったのだが、この楽章は、ゆっくりと落ち着いたテンポをとっている。 シノーポリ盤は、ヴァイオリン、チェロ部分が憂鬱な暗い色になっている。
ブラームスのようなジメジメしてない ところが、メンデルスゾーン的というか。ちょっと楽天的なイメージを受ける。
メランコリックさを感じさせつつ、中高音域の透明感のある透き通った音色である。
ホルンは、少し弱めで吹かれており、中盤の「ぱんぱかぱ〜ん ぽんぽこぽーん」というティンパニーの音も、多少歯切れは悪いが、ゆったりめのテンポを少し引き締めている。 流麗なアバド盤とは、かなり解釈が異なっているが、しかし音楽が停滞している感じではない。 1楽章が早かっただけに、う〜む。
イタリアってイメージからすると、メランコリックすぎるかもしれないなあ〜と思いつつ、イタリアって雰囲気は、中間楽章では少し異なるのだが、と逡巡しながら聴くが・・・。やっぱり遅いよねえ。

4楽章
弦が強めで協奏される。軽快がよみがえった〜っ!でも、ノー天気風には弾かれていない。
それにしてもテンポが速い。コントラバスも力強い。
音色に透明感あり。爽やかで涼しげで、木管のフレーズも、ふわっと透き通って聞こえる。
クラリネットかフルートも少し強めで吹かれており、弦が静まった後には、木管が浮かんでくる仕掛けだ。
あ〜 綺麗。可愛い。(なんという素朴な感想だろう・・・笑)
ヴァイオリンの静かな弦の響きが心地良く、見通しもよい。各木管のパートがクリアーに聞こえる。
いい録音で、バッチリ。ホールトーンも豊かである。ティンパニーは心持ち控えめだが、弦や管のフレーズの後ろで、推進力の源になっている。 リズムを綺麗に決めてくる。
弦が忙しいねえ。で、あっけなく終わってしまった。イタリアって最終楽章が、イマイチ締まらないのだが、このシノーポリ盤では、綺麗だ、は〜よいなあ。 という感想が余韻として残る。というか、それだけで終わってしまう。
ホント、もう少し聴きたいというところで「イタリア」は終わってしまうんだよなあ。これはシノーポリの責任ではなく、メンデルスゾーンさんの迷いがそうさせてしまったのかもしれないのだが、やっぱ中途半端かなあ。

1楽章と4楽章は秀逸。でも中間楽章は、少しだれるかもしれない。どうして、ここだけ遅いのかな。
ショルティ盤のようには、あまり決めてくれない点が、ちょっと惜しい。
全楽章で31:23の曲 1楽章 10:25 2楽章 7:30 3楽章 8:23 4楽章 6:05


C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 1984年
Colin Davis
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra)

なんという渋くて穏やかなイタリアなのだろう。抜けるような青空にならず、少し、雲がたなびいて、くすんだ感じがする。
カップリング:メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」、4番「イタリア」

1楽章 
穏やかなイタリアで、爽快な青空ではなく、少し雲がかかっているかのような感じがする。
シノーポリ盤は、かーっ と照っている 夏のような、雲ひとつない青空なのだが・・・ 
C・ デイヴィス盤は、ちょっと暗い雰囲気がする。 このバイエルン放送響の音は、「イタリア」向きではないような・・・気がするんだけど。
中高音域より中低音域の方にウエイトがあり、ティンパニーの音が靄っているためだろうか。
第1主題の快活なフレーズ。第2主題の叙情さ。 特に、バイエルンは木管が渋い。
ワタシ的には 、このバイエルンの音は大好きである。しかし、メンデルスゾーンさんは、スコットランドとイタリアという、全く気候風土の異なる標題の交響曲を作ったんでねえ。イメージがあるのよね。
で、しかも、3番と4番が、よくカップリングされているんだよねえ。
う〜ん。これとカップリングして録音するとなると、オケも変えないと、と言いたくなってしまうほどなのだ。
まあ。そんなワケで、オケの音色が合う、合わないは生じてしまって、あたりまえかもしれないが、そこは、演奏で、雰囲気をがらっと変えてくれなきゃ−。
で、C・デイヴィス盤は、強奏する部分は、弦のキンキンした感じではなく、まったりしており、特に、チェロの音色が、くすんで渋い〜雰囲気を醸し出している。ここは、 ブラームスの方が合っているって感じがするぐらいで・・・。
こちらが求めている「イタリア」の開放的なイメージからは、輝きや煌めきが少ない。
アバド盤だと、もっと艶っぽく、開放感あふれる音で迫ってくるのだ。あれはウィーン・フィルだったからなあ。いや違う、ロンドン響だっけ・・・。いずれにしても、このバイエルンでは、 爽快で明るく、明度の高さという点では欠けてしまい、ドイツの黒っぽい重い森をイメージさせてしまうんです。

2楽章
メランコリックだけど 低弦のピチカートに木管があわさってフルートの音色が、これもふわっと乗っている。
デイヴィス盤は、大人びており、落ち着いて、まろやかだ。
まるで、ため息のようにきこえる。弦の強弱がはっきりしており、木管が、主旋律を奏で、弦が伴奏役に回っている。
このフルートの音色は、かなり良いので、うっとり〜
全体的に静かな音楽で、精神的に落ち着くものの、だれる要素も含んでいる。
しかし、弦がぴんぴんに緊張しており、なんか中途半端な楽曲を、引き締めている雰囲気がします。

3楽章
スケルツォ部分だが、ワルツのように、軽く踊れる感じがする。
明るくダイナミックではないため、少し弱々しく感じ、 「イタリア」とは異なったイメージがする。
幾分湿気が多いので、爽快さやドライさ、豪快さには至っていない。この楽章では、草原に花 が咲き乱れているようなイメージで、ホルンの「ぱんぱらーら」のフレーズが、のどかさを感じさせる。
牧歌的で、このホルンの音色には、うっとりさせられる。えっ もしかして南ドイツのアルプスのイメージなの?
弦部があわさってくると、イメージは少し明るく、元気さを取り戻す。
ホルンの音色には、かなり、うっとりさせられるのだが、ここでは、やっぱ ストレートに開放的に鳴らしてもらいたいかなあ。牧草地のなかの牛や羊に取り囲まれたような、高原地帯の牧歌的雰囲気がたっぷり。
いつもなら、絶賛っ! ・・・なのだが、「イタリア」なモノで、う〜ん。これは困った。思わず唸ってしまった。
やっぱ、イタリアって感じではなく、3番のスコットランドの大地の羊さんたちを思い出してしまった。

4楽章
「パンパンパン・・・」と、歯切れよく第1部が始まる。 サルタレロとは、ローマ付近の民衆に流行した舞曲らしい。ここは弾んでいる。 でも、どこか暗い。底抜けに明るいとは言い難い。弦の音色が、ちょっぴり暗めなのだ。
下降線をたどるフレーズは、リズミカルなのだが、静かにはねているという感じがする。
う〜ん。憂鬱な感じがするぐらいの音色で、木管は、軽やかに跳躍しているものの、弦も忙しく動いているものの、これではドイツの森のなかで、妖精が飛び回っているようなイメージがするし、心情的に軽快感が少ないかも。
舞曲というからには、もう少し体全体で踊って欲しいのだが、デイヴィス盤では、足だけ跳ねてぐるぐる〜と回しているだけみたいで、これは踊れないような気がする。
あまり、熱狂的にはならず、反対に気怠い感じを与えてしまう。 なんとも、タイトルに似合わない色で、ちょっと苦しい。
それに、この楽曲は1楽章はインパクトが強いだけに〜 最後が尻すぼみ的に聞こえてしまいました。
う〜ん 総体的にはオケの色が強かったでしょうか。この楽曲のイメージにオケの色を変えるには、どうすればよいの?


アバド ロンドン交響楽団 1984年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

満足っ満足っ

録音状態は良い。まあ、欲を言えば、もっとクリアーに鳴ってほしいが、明朗で、旋律を歌い、清潔感があって若々しい演奏である。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」、第5番「宗教改革」

 

1楽章
久しぶりにメンデルスゾーンのCDを手にしたが、いつ聴いても、明るく爽快で、清々しい曲だと思う。
アバド盤で聴くと、さらに明るい音色のオケで、颯爽と奏でている。
冒頭の弦を弾く音から、木管がパパパ パパパ たら〜らら らぁ〜ららっと、走り出すところの弦が、とても若々しい。
ヴァイオリンの 「れっしっしっ れっしっしっ ふぁ〜れ どらふぁ」と、尻上がりにアクセントを置いて伸びていく。
木管の弾む、「ふぁっふぁっ れっしっ らっら らっし どふぁ〜」って続くところも、金管が、あわさってくるところも〜 とてもチャーミングだ。とても明るくて開放的で、弦の響きの軽やかさが、とても良い曲だ。

2楽章
「しぃ〜 どぉ しぃ〜しぃ〜 ・・・」
「しぃ〜 みみれ〜 そらしぃ〜み  み〜ふぁそ しらそらし〜れどしぃ」
弦のピチカートのうえを斉唱風に奏でていく。木管が、乗ってくるところが、さらっと〜さりげなく、ノスタルジックだ。
「しぃ〜ど しっし み〜っ しぃ〜ど しっし そぉ〜」と繋いで、木管の歌謡風フレーズで、中間部分は長調に。
また、短調に戻ってくるのだが、小高い丘にのぼって、俯瞰した風景を見ながら、つぶやいているかのようなフレーズを紡いでいき、すーっと終わってしまう。

3楽章
「ふぁみふぁ そふぁみれ みどら ふぁふぁっし どどぉ〜ら れ〜 みどら・・・」
風がそよぐように歌い始める。
その昔、トスカニーニ盤のイタリア地図が描かれたLPを聴いたことがあったが、メチャクチャ速かったように記憶する。
情熱的で〜というコメントがあって、評論家さんはベタボメだったようだったけど・・・。 若い頃、無理して高いLPを買ったのに、なんてテンションの高いカーッと血の気の多い演奏だろうと、とっても、これはついて行けないな〜っと苦い記憶が蘇ってきた。 アバド盤を聴いて、むふふっ、こうでなくっちゃー。ふわっとした夢を抱き憧れの眼で海外へ〜
これが本来だろう。なんて、思っていたものである。
きっと、ワタシたち聴き手の成長の過程で、聴くタイミングがあるんだろうな〜とは、思う.若い頃に聴く時と、年齢を重ねて聞くと、また違った印象が湧いてくる。

4楽章
ショルティ盤が、目の詰まった演奏だとしたら、アバド盤は、すーっと風の通っていく粗めの布である。
もちろん計算された風通しの良さなのだろう、低弦やティンパニーは大きく出てこない。
あくまでも主人公は、ヴァイオリンの旋律で、明るい木管のフレーズが耳に届くように設計されているようで、低弦の音量は調節されており、かなり控えめだ。りゴリゴリした感覚は排除されて、気持ちの良い響きだけが、さーっと通っていく。
最後の盛り上げは、もちろんティンパニーも総動員して、テンポアップしてくるが、心地よい響きを、さらに取り出してブラッシュアップしたような、フレーズが続く。「しっし しっし しっしぃ〜どぉ〜れ っふぁ〜れぇ〜どしっ」
アバド盤で聴くと、メンデルスゾーンさんって、きっとピュアで善良な方だったのね。と思えてくる。
また、きっとアバドさんも同じ要素をお持ちだったのではないだろうか。


ショルティ シカゴ交響楽団 1985年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra

録音状態は良い。弦楽が主となる楽曲だが、みごとなアンサンブルで快速バージョン。途中で弛緩することなく、一気に聴かせてくれて爽快に決めてくれる。幾分筋肉質ではあるが、絶妙のバランスで、計算されているという感じがする。
カップリング:メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」、4番「イタリア」

1楽章
冒頭から、ポンっと飛び出して軽やに進む。テンポは速い。びっくりするぐらい速い。
シカゴ響の重い響きがなく、すいすい〜っと進む。 速いのだが、これがまた爽快で〜 無駄がないというか、無茶はしていないというか、 「れっしっしっ れっしっし ふぁ〜れどふぁ」
室内楽的な響きでもありながら、伸びやかなくせにタイトで筋肉質なのだ。
アバド盤は、筋肉質とは言えず、完全な草食系って感じの演奏だが、ショルティ盤は、しっかり筋肉が見える。
う〜ん。フレーズ全体は短めに、すいすい流れていくが、そのフレージングは、相当にのびやかなである。
う〜ん。うまく言えないっ。なんだか矛盾しているようなのだが、ホントなのだ。
無駄のない伸びって言うか。そのくせ、密度も高いし、小気味よく響いている。アスリートのような走りだ。
他の盤が、明るくて、単にフレージングが長いだけなように思えてしまうほど。

アンサンブルも、もちろんみごとに揃っているし、不快感が残るほどのテンポアップされた演奏にもなってないんだよね。
う〜これは唸ってしまった。 このショルティ盤を聴くと、他の盤が、気怠く感じられてしまうのではないかな。
しかし、この楽章を聴く限り、初めは、このテンポアップに驚くものの、そのうち、快感に感じられると思う。
午睡したくなるほどの、けだるいさも、遊び心的な感覚も大事だと思う。このイタリアは・・・。
まっ ショルティ盤は、小回りの速い展開速度も速めで、筋肉質的だが、さほどガチガチにもならず、肌触りも悪くなく、すいすい〜と流れていく演奏だ。
しかし、これ、本当にシカゴ響? それもショルティが振っているの? と、驚かされること請け合い。
バランスが絶妙である。

2楽章
テンポは、ぐぐ〜っと落ちて、多少、くすんだ音色に変わるが、1楽章同様に、室内楽的で響きがまろやかである。
妙に情感タップリには歌っていない。持って回った言い回しはせず、あっさり気味で演奏される。
しかし、弦と木管のセッションが楽しげで、テンポを落とすところは、充分に落としている。
弛緩してしまわず、トリルはテンポ良く転がっている。

3楽章
いわゆる美音ではない。もう少し流れて、とろり〜とした感覚が抱ければ良いのだが、まあ。 ショルティ盤にしては、驚くほどの変化で、へえ〜 これがシカゴ響なのか。う〜ん恐るべしっ。
メンデルスゾーンと、ショルティって組み合わせだけでも、意外って言えば意外だと思う。
あの図体のデカイ重低音、戦車軍団の出番はないし、金管の吠える音もない。素朴な楽曲のだ。
この3楽章でも、かなり牧歌的というか田園的なフレーズが続くし、遠くから、まろやかなホルンが聞こえるだけである。
しかし、ホント、締まった楽章になっており、優美さも醸し出している。ワタシ的には嬉しい。手を抜いてないよね。
たいてい、2楽章と3楽章で、アクビが出そうな楽曲である。ショルティ盤は、きちんと締めて、なかなかのモノだと思う。
ショルティさんって、かなり器用で多彩な方だったのだ。

4楽章
この最後のサルタレロ・・・。これまたテンポの速い快速バージョンである。
これ、メチャ楽しい。1楽章と同様、みごとなアンサンブルで決めてくる。決してまろやかだけの響きではなく、旋律の構成は単純なのだが、音符が一杯詰まった、目の詰まったワクワクさせる楽章なのだ。
それが、よどみなく展開していく。
弦が楽しげに弾み、木管が軽やかに乗ってきている。単にフワフワしているだけでなく、きめの細かい繊細なフレーズになってて、みごとだ。全ての音が聞こえてくるような気がする。バランスも良い。
ショルティ盤を聴いて、こんなに、きめの細かい楽章だったのか〜と、驚かされた。アバド盤が、いかに主旋律だけで、聴かせているのか、バランスをとっているのか、わかったような気がする。
ショルティ盤は。 きちんとした丁寧で、その癖、速めに仕上がっていて、歯切れが良い。シカゴ響のイメージが変わるぐらいに、調整しているように思う。う〜ん、難しいだろうに・・・。
最後、メランコリックに終わるのだが、この最後、コーダとしてはあっさりしてて、フレーズとしては短めの構成になっている。だからか、最後が中途半端に聞こえる盤もある。 でも、ショルティ盤では、はあ。なるほど、ここで変わるんだな〜っと、認識を改めてくれた。 ショルティ盤を聴いて、ようやくイタリアの構成がわかったような気がする。
(まだ、気がするだけだけど〜)

意外なほど、ショルティ盤は良いし、すごくマッチしていると思う。
風味はイタリア風味ではないかもしれないが、この楽曲の特徴が、ど素人の私でも、見えてくるような気がする。
さらり〜 すいすい〜と流れていくが、余計な色を添加しなくても、無理な演出しなくても、みごとに、ショルティ盤は決めてくれている。 何持たさない、何も引かないって感じに聞こえるが、いや、それが演出なのだろう。
雰囲気やムードだけに流されず、この楽曲の構成や、面白さが見えてきた〜という点で、ワタシ的には、かなりショルティ盤は嬉しい存在です。これは。おみごとっ。やられました〜 拍手っ。


レヴァイン ベルリン・フィル 1988年
James Levine
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。残響がほんの少し多いかも。最終楽章は、力が入りすぎて、勇壮すぎて、甲冑を着た中世の騎士のように、メチャ立派な楽曲になっている。あのぉ〜 時代が違うと思うんだけど。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」
1楽章
冒頭から、ポンっと飛び出して軽やに進むのだが、音のピッチが少し高めなのでは?と思うほど、すごく弦の響きが良く聞こえてきて、めちゃめちゃに細かい動きが、すごく〜わかる。ひゃっ! すごく細かいっ。
それも良い音で、まるでハープのようだ。
で、低弦が絡んできて良いな〜と思っていたら重いティンパニーがやってきた。うわ〜っなんと重厚な響きになるんだろう。
まあ、低弦のボンボン・・・という響きに支えられ快速で、主題が流れてくるのは、大変気持ちの良いものだ。
フルートが軽やかに吹かれ、中音域のフレーズが、パパパ パパパ・・・という響きに乗っかって、木管が響く。
いったん静まったときの弱音での弦の響きから、段々と大きくなってくるところも、とっても雰囲気がある。低弦の細かい動きが、奥から、「どしらそふぁ どしらそふぁ・・・」と、すごく聞こえて、まるでボーイングの動きが見えてくるかのようで、とても楽しい。
で、強奏する「れぇ〜っしし れぇ〜っしし ふぁ〜みどら・・・ しどれっ しどれっ」というところも、語尾が重すぎない。
ちょっと、ティンパニーさんのバチが硬めだったら、もひとつ良いんですけど。
とにかく、弦が、多層的に、立体的に聞こえてくるのは、良いですね〜
だって、メンデルスゾーンって言えば、なんたって〜やっぱり弦の細かさでしょうし、ここは聴き応えがありますね。
ヴァイオリンのうえにあがる語尾と、さりげないチェロの甘さがブレンドされ、木管のハーモニーも。
音が広がって美しいし、う〜ん。やっぱり美しいブレンド力。さすがっ。

2楽章
「しぃ〜みみれぇ〜 そらしぃ〜み み〜 ふぁそ しらそら しぃ〜れどしぃ」
「しぃ〜みみれぇ〜 そらしぃ〜どし らそふぁふぁみぃ〜」
弦のすすり泣くようなフレーズから始まり、弦のピチカートに乗って、静かにコラールのように響く旋律が続く。
少し硬めの弦のフレーズと、艶のある音質に、しんみり〜聞かされる。ホントに録音状態が良く、奥のほうから、すわーっと流れてくるフレーズに耳を傾けると、しみじみとした気持ちに、祈りのような心情となって、胸が大きく膨らむ。
ずーっと、他盤を聴いていたときには、歌謡風フレーズだと思っていたが〜 これは大間違いだ。
すっかり楽しい、森のなかでの情景だとイメージしたんだけど。これは宗教的な雰囲気を持つフレーズだったんですねえ。
どひゃんっ。2楽章を見直さないと〜 教会での日曜日のミサに参加した心情なのか、巡礼に訪れる人の歩みを描いたものなのだろうか。う〜ん。ワタシは、てっきり単なる室内楽風の楽章だと思ってました。(汗)

3楽章
「ふぁみふぁ そふぁみれ みどら ら〜ら〜し どどふぁ〜 れ〜 みどし しらら らそふぁ ふぁ〜みれど」
まるで、暖かな風が頬にあたるかのように奏でられる。転調しながら、明るくなったり暗くなってしまったり。
重くならずに、さらーっと、軽やかに豊かな旋律を奏でており、奥の木管がさりげなく間合いを入れており、のびやかだ。
中間のホルンの響きが続くなか、弦と木管が上昇するフレーズを、ふあっと入れてくる。
低弦の響きが、しっかりと区切りをつけるような感じで入って、再度、メヌエットのような主題を奏でていくが、とってもまろやかで、暖かい風のようで聴いてて、とても嬉しい気持ちに。

4楽章
木管が、ぴろぴろぴろ〜っと吹かれ、ジャンジャンジャン・・・と弦がかき鳴らして始まる。
この低弦の力強さ、たらら らんっ たらら らんっ たらら らんっという響きが2度繰り返されたあと、フルートの二重奏だと思うが、軽やかに登場してきて、太く吹かれて、段々とリズミカルに跳躍していくところが、うわ〜 巧いっ。
低弦があわさってきて重厚さを増していくところが、まるでロッシーニのクレッシェンドみたいだ。
すごく硬い低弦の響きがあるのだが、これが、またリズミカルなのだ。
で、この格好の良い、跳躍を支えるには、弦のゴツイ響きが必要なのだろう。
「ふぁっ そぉ〜ふぁ そっど ふぁっ」という、つぶやきもチャーミングだし、弦も、木管のフレーズも豊かに追随していく。
低弦の三連符が、すごく機能的に響いている。
いや〜 この三連符はゴツイ。
他盤だと、風呂場で、熊ん蜂がブンブン言っているような演奏もあったのだが、レヴァイン盤では、中世時代の甲冑の騎士たちが登場するかのようで、なんとも厳めしい。
白馬の騎士が、ドドドドーっと駆けているかのようだ。
あの文豪ゲーテもイタリアに憧れて旅するような時代だし、確か、メンデルスゾーンとも面識があったように思うが、そんな時代なので、気候風土の明るいイタリアって、ドイツ人の憧れの的だったはず。
だから、ドイツの黒い森で、甲冑の騎士たちが白馬に跨がっているのは、ちょっと・・・ また、サルタレロは、あくまでも大衆の踊りなので、う〜ん。時代も、ちょっと場違いな気もするんだけど・・・。
もう少し、力を抜いて遊び心満載で、最終楽章を演奏していただければ、もっと嬉しいんですけど。まあ、いいかぁ。
これだけ立派に演奏されちゃうと〜 さすがに、やっぱり拍手ですよねえ。


クラウス・ペーター・フロール バンベルク交響楽団 1992年
Claus Peter Flor
Bamberger Symphoniker
(Bamberg Symphony Orchestra)

完全に怒っちゃった  ← 録音状態に対して


録音状態は、お世辞にも良いとは言えない。もわ〜っと、湯気の立つお風呂場的録音で、ちょっと、いや、かなり耐えがたい。・・・最後には切れそうになった。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」、第3番「スコットランド」、「アタリー」序曲
1楽章
イタリアは、冒頭、弦をはじく音から始まる。で、軽快に走り出していく。
ボンっ。しれ〜 しれ〜っ ぼぼぼぼぼぼっ・・・・と言う感じで、足元がぬかるんでいるのか、音が弾まない。
で、埋もれていく。
しかし、はぁ〜っ ため息をつきたいほど、フロール盤は弾まない。何じゃこりゃー この楽団が悪いのか、録音したテクが悪いのか、とにかく音の像が二重写しになっているのではないかと思うほど、ぼやけけており、残響が多い。
木管のフルートの響きなどは良いのに、弦には、メリハリがないのか、てれぇ〜っとした感覚はぬぐえないし、低弦の響きも埋没しているので、やっぱり、録音の方が悪いとしか思えない。久しぶりに、メンデルスゾーンを聴いたのにぃ〜っ(泣)

2楽章
「しぃ〜ど しぃ〜 ししし しぃ〜ど しぃ〜 ししし」
「しぃ〜みみれ そらし〜み  みふぁそ しらそらし〜れどし  しぃ〜みみれ そらし〜どし らそふぁふぁ みぃ〜」
2楽章は、素朴だが、格調の高さを感じさせる旋律が、淡々と奏でられる。
低弦のピチカートに支えられた、大変美しい室内楽的な旋律と和音で・・・と思っていたのだが、まあ、何か足りない。
べつに、欠陥、瑕疵があるわけではないのだが、素朴すぎて。
確かに素朴な旋律なんですけど、はぁ。・・・ 何が足らないのだろう。

3楽章
スケルツォ部分だが、イタリアの3楽章は、まるで少女のように、ワルツのように、明るい雰囲気を持っている。
出だしも、さりげなく、すう〜っと始まる。
「ふぁみふぁ そふぁみ れみど ららっし どどど ふぁ〜 れぇ〜」
「みど〜 しみら らそふぁ ふぁ〜ど みれど」
すんなりと、連綿と続くような弦の優しいフレーズが、素直に織り込まれて行くところは、まあ、共感は感じるし、そこそこ高揚感も感じられる。 金管のパワーがもう少し欲しいかもしれない。 ホルンは少し弱めで柔らかい。「ぱんぱかぱ〜ん ぽんぽこぽーん」 木管も、もう少し目立ってよいかも。ティンパニーの音も低弦も、メリハリがあっても、ヴァイオリンに少しチカラが感じられる場面があったが、総体的に歯切れが悪く、伸びやかさが感じられなかった。

4楽章
サルタレロとは、ローマ付近の民衆に流行した舞曲とのことだが、冒頭、ジャジャジャ じゃーん・・・・と弦をかき鳴らす。
「ぴろぴろぴろ〜 ん〜 たらら らんっ」 
もともと、フロール盤は残響が多いので、こんな快活な楽曲を演奏しても、もわもわ〜とさらに湯気が立ち上ってくるだけ。
演奏自体は、熱をおびてくるのが感じられるのだが、なにせ録音状態が・・・イマイチすぎる。こりゃ酷いでしょう。
もはや、繰り返しては聴けないですね。バンベルク響のホール特有の残響なのかもしれませんが、感想を綴ればよいのか、ちょっと途方にくれてしまいます。
CDを買う人にも失礼だと思うし、演奏家にも失礼だと思うんですけどねえ。今どき、この状態でCDを売る?
ちょっと〜あんまりだと思いますけどねえ〜これはアカンやろ。ちょっと怒ってます。ワタシっ。プリプリ〜っ。


1960年 クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 EMI  
1966年 サヴァリッシュ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 Ph ★★★
1967年 セル クリーヴランド管弦楽団 SC  
1971年 カラヤン ベルリン・フィル  
1976年 ムーティ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 EMI  
1978年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec  
1978年 ハイティンク ロンドン交響楽団 Dec  
1978年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI  
1980年 テンシュテット ベルリン・フィル EMI  
1983年 シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 ★★★★
1984年 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 Orf ★★★
1984年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★
1985年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
1987年 マズア ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団  
1988年 レヴァイン ベルリン・フィル ★★★★★
1991年 ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 Dec  
1992年 フロール バンベルク交響楽団
1997年 ガーディナー ウィーン・フィル  
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