「 頭んなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」
Mendelssohn: Symphony No.5


マゼール  ベルリン放送交響楽団  1961年
Lorin Maazel 
Berlin Radio Symphony Orchestra

録音は古いだけあって、絶品とは言えないが、それよりも、超快速・激情型の宗教改革で、タイトだ。改革の嵐が吹きあれているような気がする。寒気がする 宗教改革である。
カップリング:メンデルスゾーン交響曲5番「宗教改革」、フランク交響曲

1楽章
「宗教改革」冒頭のドレスデン・アーメンの旋律が、私は好きである。
この旋律だけで、かなり幸せな気分になるのだが、この部分は、ドラマチックに演奏してくれたのだが、しかし、はやい〜! 弦のすごい速さで、まず驚かされる。激しい。激しすぎっ。熱っぽく、熱にうなされるような感じがして苦痛だっ。こんな快速版の「宗教改革」は、マズア盤と匹敵しており、昔、LPでトスカニーニの「宗教改革」を聴いたことあるが、う〜ん。激情型で ・・・ 参ってしまった。
まるで、嵐のなかに居るようで、猛烈な突風で吹き荒れてくる。改革というお題なのだから、こうあるべきなのか? えっ 嵐なのぉ?
下から舞い上がってくる冷たい雪まじりの突風に、崖っぷちで突き上げられているかのようで、猛烈に激しい。身を挺して構えても吹き飛ばされるような気がする。 血の嵐が吹きあれているかのような演奏で、これでは、まるで、ドレスデンアーメンは血塗られた羊みたいじゃん。と思ってしまった。
宗教改革という標題にふさわしいのかどうか、血塗られた歴史を表したいのか、どうか。よくワカラナイ。
その嵐に耐えてこその穏やかさなのか。う〜ん それならば読みが深いけれど〜 う〜ん。
この1楽章で、既にマゼール盤には、まいりました〜お手上げの気分にさせられた。

2楽章
うってかわって軽快。ま〜 なんてテンポよく、これほどまでに軽やかに。う〜ん。進む進む・・・
そっそっそふぁ みっみっみっれ どっどっどら〜 どらそ〜 
はぁ〜 これは速すぎるでぇ〜 と、違和感を感じつつ聞き進めるのだが、中盤になると、なるほど、このテンポが心地よくなる。内心、テンポに関しては、いいかげんな耳で慣れるのが速い。
自分の曖昧さに腹が立つのだが。ホント、軽やかな気分にさせてくれた。

3楽章
内省的な雰囲気が漂っている。憂いがあり〜 なんだか悲しくなる。

4楽章
ルターのコラール(讃美歌)「神のやぐら のフレーズが、フルートで吹かれるところは、救われる。
決して豊かな 豊穣的な演奏ではないのだが、他の楽章からの流れがあるので、十分に癒される。
それにしても、マゼールは、突然ギアをチェンジする。猛烈に激しく流れていくのだ。
うっ やっぱり、マゼールやん。人を食ったなあ。なんじゃ、これっ!
すげー 速い。室内楽のような軽やかで、突風のようだ。いや〜 こんなんじゃヤダー!と、猛烈に反抗したいのだが、なにせ速い。
何故、ここを猛烈な勢いで抜けていくんだろう。舌がもつれるぅ。
せかされるまま、聞き進む。
いやはや、よく、このチェンジの変化に、この速いタクトに、よく遅れずについていけるものだと感心。
聞き手にとっては、早回しのDVDを見ているようで、曲に浸る暇がない。
木管など、ぴーひゃらぴーひゃら風になってしまって、笑えてしまう。まだ、最終直前で畳みかけてくる。
最終は、のびてくれるが、う〜 こっちが、直前で息切れしてしまった。
それにしても、「宗教改革」って、こんなに激しかったの? こんなに激しく演奏しないとダメなの?
かなり自虐的な演奏で、こんなマゼール盤が病みつきになってしまうと、他の盤は聞けない。

ムーティ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1975年Riccardo Muti
New Philharmonia Orchestra

録音状態は、カサカサした部分を感じないわけではないが、かなりの重低音が入っており、迫力がある。
演奏は勢いが良く、激しく、険しい感じ。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番、4番、5番、序曲「静かな海と楽しい航海」、「フィンガルの洞窟」、「異国からの帰郷」、「ルイ・ブラス」、「アタリー」 2枚組BOXより

1楽章
重低音の分厚い音で、ドレスデンアーメンの冒頭が始まり、弦の低い響きに、木管のまるみのある音色が加わり、段々に高域に広がっていく。
コントラバスの低音が、素晴らしい。まるでパイプオルガンが鳴っているかのようだ。
最後、金管が加わってくるのだが、トランペットの荘厳な音色。これはいいっ!
このドレスデンアーメンは、めちゃ良い! そして、アーメンの余韻を十分に残して〜 主部に入ると、いきなり峻厳な岩肌が見えてくる。弦の激しい動き、険しさ。ここで、わしづかみにされた気分だ。
げっ これは凄い!
弦は、ウィーン・フィルのような艶やかさはないが、すごい迫力で弾かれており、ティンパニーの怖いような響きとあいまって圧倒されてしまう。この楽章は、ムーティ盤が凄い迫力と厳しさで圧倒しており、他の盤が、ユルユルな演奏に感じられてしまう。マゼール盤と迫力は匹敵しているのだが、マゼール盤が、まずテンポで煽られるように感じられるのだが、ムーティは落ち着き払ってテンポを変えず、強弱の変化で恐ろしい音が出ているように思う。

2楽章
アンサンブルが良いなあ。ユルユルではなく、きっちりと、歯切れ良く演奏されているようだ。
いたずらに軽快でもなく、ふわふわ〜とはしていない。カラヤン盤やアバド盤は、音色がいいので〜
流麗に流れていくのだが、その点は渋い。というかなあ。ヴァイオリンの横の旋律だけで流されることなく、低弦のピッチが心地よく響き、重厚な響きとして感じられる。
決して重くない。重く感じないところが、すごいなぁ〜。

3楽章〜4楽章
短い楽章に続いて、フルートのさりげない出だしから最終楽章が始まるのだが、木管の音色が、きらきらしている。この木管のアンサンブルが巧いっ。
弦とティンパニーの力強い推進力が、エンジンのトルク音のように響いてくる。
他の盤だと、導入部から主部に移る際に、激しくギアチェンジを行うのだが、ムーティ盤は、これみよがしに行っておらず、さりげなく、スムーズにテンポをあげていく。これは、すげーっ!
木管の吹き方も、最後にアクセントをつけて、小股が切れ上がった感じで、ふむふむ。小気味よい。
低弦がすごい迫力で分厚く、ホント、1楽章で感じたように、パイプオルガンの役目をしているようである。
ティンパニーの響きが、ロールって言うのかな微妙に音量を変えているし、心地よく響いている。
和音の響きが、なんとも言えず心地よい。
ヴァイオリンの高音域の艶やかさが本当は欲しいところなのだが、この重低音の迫力には参った。
最終コーダになる前に、低音の響きを残して、少し音を弱めてくるのだが、そこで微妙にテンポをあげて駆け上ってくる。そして十分に息を整えて、十二分に間をとって最後を終わる。
う〜ん。これはやられました。

アバド ロンドン交響楽団 1984年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

録音状態は良い。ほっこりした演奏のように思うが、美音だし、弦の艶やかさに、うっとりさせられる。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第4番、5番

 

1楽章
艶やかな音色のドレスデンアーメンで、すでに天国的で、う〜美しい。
コントラバスの音のふくらみが心地いい。低音は低音なのだが、重みはあるものの凄みは感じない。
弦の中高音域に艶やかさがあり、弦のあたりのキツサが無い。
ムーティ盤は、険しい凄みがあるのだが、アバド盤は、テンポが速めで総じてふわっとしている。
旋律の最後の語尾が、弱く、尻切れトンボのようで、もう少しメリハリが効いていてもいいかも。
1音の膨らませ方は絶品だと思うんだがな〜少し流し気味に聞こえてしまった。
マゼールやムーティ盤と比べると、アバド盤は、峻厳になりきれてないし、う〜ん。楽天的なのかも。

2楽章
とても速い。春を楽しんでいる暇はないと言いたげで・・・う〜ん。綺麗なのは綺麗だし、ウキウキさせてくれるのだが、まろやかさが少し不足気味で、素っ気ない。

3楽章〜4楽章
憂いがあって良いな〜と感じたのは3楽章。4楽章は、ゆるやかにフルートが始まる。
息がわりと長めで、天上的な音色的に響いている。まろやか〜 緩やかさを感じる。
弦の響きが柔らかく、太くしなやか。テンポを揺らさず中盤までやってくるのだが、いったん弱音にしてから、最終コーダに入ってくる手前から、上昇する音階に乗って、テンポアップしてくる。
ティンパニーの音が、くぐもって聞こえるので、推進力がさほど感じられず、終わりを迎える。
総じてアバド盤は、かなり耳障りのよい演奏で、爽やかに、さらさらしている。
ちょっと楽天的かもしれないな〜というのが正直な感想。

C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 1983年
Colin Davis
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra)

録音状態は良い。木目調の渋い、暖かさを感じる。宗教改革には、この木目調の音色が好ましいとワタシは思う。オケの音色が十二分に反映された良さがある。

1楽章
かみしめた1音1音で、そろそろと歩みかけたかのようなドレスデンアーメンで、かなり丁寧である。
分厚い低音より、上昇音階でのトロンボーンのまろやかさ、木管の音色のクリーミーさ、芯の通った律儀さに惚れ惚れ。そこに、天窓から差し込んできているかのような一筋の光が差し込み、のけぞるぐらい美しい。これには、唸ってしまった。
堂々として、それでいて謙虚で、流しては聴けない。この盤全体に言えることだが、かなり渋く、まろやかで、これはバイエルンの音色なのだろう。
冒頭のドレスデン・アーメン、チェロとヴィオラの粘り気のある音色、続いてはフルートの清澄な音色にトランペットの煌めきを添える絶妙のバランスに感動。
ただ、ティンパニーの音が、少し割れているというか濁って聞こえてくる 張り方が甘いのか、音を止めるのが遅いのか、よくわからないが、もう少し固めでもいいかな? と感じた。
冒頭から、母親的愛情のような音に、ふわっと包まれて、ドレスデンアーメンが2回繰り返される。
弦だけで始まるので、厳か 難癖をつけられない。弦も伸びやかで、下手に艶やかになっていない。音の膨らませ方なんかも上々だ。

2楽章
宗教改革の2楽章という感じがせず、とってつけたみたいな楽章だが、素敵だ。
聴き方によれば、ノー天気みたいに聞こえるかもしれないけど、春爛漫のような、小鳥がさえずり、花が咲いて〜という、天国ムードだし、とても単純な旋律で、すぐに口ずさめる。
弦の響きもまろやかで、可愛い。何も悩みなく、浸るのがいいのかも。
ホルンもいいな〜 クラリネットとフルートの ぱぱぱ〜っ 室内楽的楽章である。

3楽章
一転して、少し暗い楽章である。悩み的な旋律で始まる。でもデイヴィス盤は、少し甘め。

4楽章
フルートから始まる讃美歌の旋律が美しい。コラールの和音が絶品である。
アバド盤やカラヤン盤のような、華麗さや流麗さとは縁がないが、陰影の深さが好ましい。
テンポ設定は、コラールが終わった時点で、ギアチェンジしてテンポアップしていく盤が多いのだが、デイヴィス盤は、最後までインテンポで進めていく。 この控えめさが好ましく、謙虚な感じを受ける。

マズア ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1987年Kurt Masur
Gewandhausorchester Leipzig
(Leipzig Gewandhaus Orchestra)

録音状態は良い。響きも十分だし・・・でも、速すぎ、弦の厚みが薄すぎで共感できず。ダメ。腹が立ってくる。怒っちゃったぞ。

 

1楽章
一言で言ってしまうと、素っ気なく、かなりうすっぺらい。
和音の進行が美しい楽章なのだが。低音は十分に入っている。かなり早いスピードで走ってしまう。
息次ぐ暇がないほどで、なぜこのようなテンポ設定にしているのかよくわからない。
音の響きが無くなってしまう。う〜ん。もう少し、ねばっこく音をひっぱてもいいと思う。
これでは、せっかくの和音の響きが残らず、淡泊すぎて・・・
なぜ、これを演奏しているのかわからない。共感が感じられないなあ。
金管の音も、最後の音を投げているような吹き方で、丁寧とは感じないし、投げやり的で、金管が荒い。音自身は悪いとは思わないのだが、やっぱりテンポかなあ。
3番のスコットランドは、いい味を出していると思ったんだけど。ダメじゃーこりゃ。

2楽章
はやーっ 軽やかな楽章だが、これも最後にアクセントをつけて のばして欲しいんだけど、なにせ速い。
速すぎ。演奏するのが嫌なのかなあと思うほどで、あまりしつこいのもいただけないが、、、これは、淡泊すぎて、、、とほほ。
弦が、このテンポに、よくついていけているなぁ〜と思うほど、早いパッセージになっている。羽が生えて飛んでいきそうな楽章だが、これは軽い。軽すぎ。 速くて軽くて〜 
しかし、ただ軽いだけではなあ〜 素っ気ない感じがする。味気ない。フレーズの中央部の膨らまし方が足らないので、なんとも、ホント、とほほ。
後半はまずまずだが、あまりの素っ気なさに、聴いてて腹が立ってくるほどである。

3楽章
これはゆったりめで始まる。ただ やっぱりあっさりめ。ただ、郷愁的に似た雰囲気は醸し出している。
ただ、深みが足らず、、、う〜ん。悲哀と言いつつ、演技臭い。この人、歌心が無いのかしらん。
粘りがあれば綺麗なんだろうけど。この演奏には、さっぱり共感できず。

4楽章
なんだか、とってつけたようなテンポでコラールが演奏されている。3楽章では、じーっと我慢していたのだろうか。我慢しきれず走り出したようだ。1:55頃から、テンポが一気にあがってしまう。
いい音をなのだがフレーズ間の間がとれていない。
和音は綺麗なのだが、「うまい」と言っている尻から、次々料理を運ばれて、余韻に浸っているひまもなく、口に ほりこまれているかのような、そんな苦痛状態になってくる。間合いの取り方がマズイ。
ゲヴァントの音色は、弦も渋いし木管も渋い。深い木目調の音色で、メンデルスゾーンには合っていると思うのが、なにせテンポが速すぎ。素っ気なく終わってしまった。
メンデルスゾーン縁のゲヴァントが、この演奏じゃーなあ。共感を感じない。がっくり・・・。

ラインハルト・ザイフリート アイルランド国立交響楽団
1994年
Reinhard Seifried
Ireland National Symphony Orchestra

  

録音状態は良い。音の厚みに少し欠け、テンポは超遅めに設定されているが、息の長い、大変ストイックな演奏である。
清楚で、敬虔に丁寧に演奏されており、共感を覚える。
カップリング:メンデルスゾーン交響曲第1番、5番

1楽章
冒頭、ドレスデン・アーメンの旋律が奏でられる。
う〜ん。弦に少し厚みに欠け、優美さやまろやかさも少し欠けた感があるが、まあまあ、良いじゃん。って感じがする。
テンポが、超ゆったりとしており、なんだか、冒頭から別世界。言葉にならない敬虔さが厳かさがある。
弦そのものの艶や響き、音質は、オケの性格上、仕方ないんだと思うが、フレージングが丁寧で息が長いことと、音の強弱があるので、揺れる日だまり感というか暖かさがあって、小さな教会のステンドグラスから、陽が差し込んでいる ような世界観が感じられるのだ。
金管の音色にも、清楚な素朴感があり、それでいて、「ししぃ〜ふぁふぁ〜 ふぁ〜ふぁ〜 ふぁし〜 ふぁふぁ〜」と奏でられるフレーズには、強い意志も感じられる。

で、ドレスデン・アーメンから離れ、充分な間合いをあけて区切りをつけたうえで、「みぃ〜 み〜みっみっ しぃ〜 みどしらそみぃ〜」と始まってくる。
ほほ〜 しっかり間合いをとって、区切りをつけて始まるアプローチなのである。これは、感心しちゃった。

ホント、もう少し弦に艶があれば、もっと良いんだけど、 まあ、古風でシンプルな旋律だけに、音の長さが強調されて感じられ、そこに、弦の力強いハリ感が伴われ、これが意志力を感じるという図式になっている。あまり有名なオケじゃないので(← っていうか、さっぱり知らなかったオケ)、正直、期待してなかったのだが、素朴だけど、アプローチ解釈、間合いの良さが感じられて〜 へえ〜 なかなか良いじゃん。と思った。
マゼール盤なんぞ、メチャメチャ速くて激情型の演奏であるが、このザイフリート、アイルランド国立響の演奏は、全く正反対と言えるような、ホント、小さな教会で日々の暮らしのなかの祈り。という感じがして、素直に親しめ 、共感を感じる。
猛烈な突風が吹き荒れるような場面でも、外面的な荒々しさではなく、もっともっと内省的で、心の葛藤を描いているような、そんな厳しさが表れているような演奏だ。手の込んだテクニックを競うような、複雑で、難解、晦渋な旋律ではないと思うので、結構、指揮者のアプローチで、演奏そのものが変わるような気がする。ストイックで、息のながさ、丁寧さが感じられて好ましい。

2楽章
「そっそ そ〜ふぁ みっみ み〜れ どっど どっら ど〜らそぉ」
「みっみ み〜ふぁ そっそ そ〜ら しっし しどっ れっれ〜」と、軽快に奏でられる楽章だ。
で、めちゃくちゃテンポの速くて、軽い演奏もあるのだが、このザイフリート盤は、丁寧に、ゆったりめに演奏されている。ゆったりめのテンポ設定だが、これが落ち着いて品良く聞こえてくる。
同じフレーズを繰り返すのだが、きちんとメリハリもついてて、強弱もあるので適度に好ましい。
重くもならず、シツコクもならず、丁寧な木管のフレーズが聞こえてくる。
「そっそ そぉ〜 そっそ そぉ〜」というホルンかな、このフレーズは、もう伸びやかで明るくても良いんだが、「タッタ たぁ〜 タッタ たぁ〜」というフレーズの後の方に、適度に重さを持たせているので、品良く聞こえる。
中間部のフレーズ、「みどれ みどし らそふぁ み〜」「みし〜どれ どれみ ふぁみれど〜」弦とフルートの響きも可愛い。巧いと思うなあ。
「そぉ〜ふぁ〜み れ〜しれ そ〜ふぁみ しぃ〜」と甘いフレーズも、適度に甘く、てらいの無さが巧い。フルートの可愛さ、弦のノビ、テンポはゆったりしているのに、弛緩しないという極めて面白い演奏で、こりゃ巧いわっ。清楚で、これぞメンデルスゾーンの 特徴、真骨頂じゃ〜。と思う。
宗教改革は好きな楽曲なのに、あまり良い演奏に巡り会わなかったのだけど、、、ええやん。これっ。
素朴なフレーズだからこそ、丁寧で真摯で、素朴で〜 他の盤は、こねくりまわしすぎるんだなあ。きっと。
ザイフリート盤は、可愛くて、清楚で、息の長い、うるっと来ちゃう。天上の甘さも持ち合わせて、また、優美さも、ちょこっとスパイス的に持ち合わせた演奏だと思う。

3楽章
「み〜れ〜ど〜」「みぃ〜どしら〜 らどみ らぁ〜みみふぁみぃ〜れ」
「れ〜〜れ〜〜しぃ〜 れみふぁ ふぁ〜 みれどし れぇ〜ど」
「みど〜しら ら〜そぉ そ ら〜み〜 みそふぁみ れ〜」
えっ この楽章、なんて遅いんだ。
のけぞるほど、遅めのテンポ設定である。
1音の長さが、他盤の2倍といかないまでも、1.5倍ぐらいあるんじゃーないだろうか。
いやはや遅い。遅いが〜 ただ、、、緊張感があるというのか、下手にむせび泣く、感情移入をしておらず、いやらしさもなく、いやいや、むしろこのテンポに共感できるのである。

深い、深い、嘆きが、底にあるって感じのフレージングで、いやぁ。これは参りました。
悲しみとか、諦めとか、沈痛さとか、過剰に演出してないところが、かえって、共感を覚えて、つくづく〜
こちらにも心に染みいる時間を与えているようで、弦の音に適度に揺れもあって、抑止力のある揺れと、間合いに、これまた、感心してしまった。
これが、宗教的な悲しいという、心情なのかなあ〜。
ひとことで言っちゃうと、ストイックで、かなりの抑制心がなければ、こんな演奏にならんのじゃ〜ないかしらと思う。

この曲を聴いているうちに、まるで、悲しみを共感して欲しいわけじゃーないんだが、と言っている人の隣に座っている感じがしてくるのだ。この演奏って、単に、隣に座っているだけなのに、隣の友人の寂しさとか、悲しさ。堪え忍んでいる様子が、ホント何も言わなくても、手に取るようにわかるって感じなんだよね。モノ言わぬ、なんとかって感じでねえ。
まあり多くの言葉を発しない、モノを言わないだけに、余計に感じようと、こっちが思うんでしょうかねえ。
聴き手が、耳を傾けようとしているんでしょうねえ。
他の盤だと、悲しければ、もっと、泣くんですけど、ぐぐぐ〜っとテンポを落として、嫌らしいほど、泣くもんなんですけど、この抑制力は、尋常じゃーないですねえ。
こりゃ〜 ワタシ、参りました。

4楽章
「ら〜〜ららら みそ らふぁみ〜〜 らそふぁ み〜ふぁれしらぁ〜」
と始まる木管のフレーズからして、げっ。すげっ。と思う。
なにも、特に巧いわけじゃーないし、音色が飛び抜けて良いわけじゃーないんだが、素朴でありながら、透明度が高く、ホント、単に木質感だけではない、素直な、敬虔なハーモニー感があるのだ。
なんて例えたら良いのか、、、清潔感の漂う、白いリネンのパリっとした感覚というか、古風な手触り感があって、清楚感というか、無色透明というか乳白色というか、ちょっともたついた出だしのところもあるが、いやいや、総体的にメチャクチャ、襟を正してしまうような、でも、人肌感もあって〜 なかなかに、文字では表しづらい。
木管もだが、金管のストレートで清楚で余計な響きのないところが、良い。
テンポの遅めの演奏であるのだが、息の長さと、息が詰まるかのような緊張感もあって、そのくせ柔らかさもあって、音はストレート気味なのだが、細めで〜
で、ティンパニーが、ちょっと硬めの音で、響きが少ないのだが、この残響の無いのが、かえって面白い音のアクセントになっている。そうだな〜 お寺の読経のなか、ポコポコ ポコポコと鳴っている木魚のような響きというか。なーんていうか、ホント面白い。ポンポンっ 忘れた頃に、また、ポンポンっ。
読経のなかのアクセントみたいに、スパイス的に響き、弾んでいるのが、メチャ面白い。

他盤と同じように、ギアチェンジしてテンポをあげていくのだが、このスピード感が、ずーっとテンポ遅めで来ていただけに、聴き手のテンションが、すっと、あがってしまう。
オケ自体の弦の構成は、あまり厚みはないようだが、いやいや、金管のボリュームがあるので、全く不足なく〜 むしろ、フレーズの透明度と、低弦のピチカートが気持ち良く響くし、見通しの素晴らしい良いフレージングとなっている。

弦のフレーズの受け渡し、木管とのフレーズの受け渡しなど、旋律の見通しが、極めてよく、綺麗に受け渡されており、各パーツ、弦の刻みもテンポ良く、カシカシカシカシカシ・・・と続いて気持ちが良い。
それに、低弦の響きが、ここで入ってくるのか〜とか、すごく解りやすい。
観ていて気持ち良い。(← 変な表現だけど、聴いているのに、観ているかのような気分なのだ)
チェロのピチカートなんぞ、ゾクゾクするほど、美しくて〜
チェロのフレーズ、「そ〜ふぁそふぁみれ〜 ど しらそ ふぁ〜そふぁ〜」と続くフレーズのあたりになって、また、ヴァイオリンのフレーズに続いていくのだが、弦の高音域に入ってくると、まるで、音が、液体から気体に変わるかのような感じになる。

強奏するところも、確かに他のウィーン・フィルなんぞの音色に比べてら、確かに遜色はああるし、和音のハーモニーは、ちょっと響きが薄めで〜 モノ足らない感じはするんですけど、
「みぃ〜みし そぉ〜そみ らぁ〜らそ らそふぁっ」
「みぃ〜みし そぉ〜そみ らぁ〜らそ らそふぁっ」
「み〜れ れど ど〜し しら らっら ら〜そら しらそっ」・・・という、強奏の場面が終わると、
「そ〜〜みし そみ し〜らそ どぉ〜〜〜〜・・・」
「そふぁみし そふぁみし み〜ふぁそらしどれ みどそふぁ み〜」
「そふぁみし そふぁみし み〜ふぁそらしどれ みどそふぁ み〜れ」
「み〜 ふぁそらしどれ〜みどそふぁ・・・」と、最終コーダ前になると、メチャクチャすごい現象を起こす。

「ふわ〜っと、ふわ〜っ」と、宙に浮かんでいくような、自然のパワーというか、目に見えない音の浮上が始まるのだ。で、それが、見えるかのように〜浮かんでいくんだよね。
ホールトーン、音の響き具合によるのだと思うのだが、まるで、水蒸気のようにあがっていく。

音が蒸発するって表現は、とっても変だと思うんだけど、ワタシ的には、そう感じるのだ。
この楽章は、ホント、音が水蒸気に変わって推進力を発揮しているかのようで〜 大変面白い。
最後のあたりに、パイプオルガン風に重厚に鳴らす盤もあるし、ワタシ自身、パイプオルガンのように鳴る、綺麗で重厚な和音の響きが〜たまらなく好きなのだが。
このザイフリート盤は、まったく違うアプローチで、あえて音を全力で鳴らさずに、抜けるような雰囲気を演出しているというか、魂が、ふわっと抜けて、臨界って感じで、昇っていくさまを、音で表現しているような、そんな感じがする。

まっ 魂が抜けるというか、もっと、解りやすく言えば、こりゃ〜液体、固体から、気化しちゃってる状態なのだ。メチャメチャ、すごい・・・異次元空間に突入状態で、こんな演奏 ハジメテっ!
音にならなない音というか、空間処理というか、残響処理というか、うわ〜なんじゃろ。
どうなってるんじゃ。まさか、新しい録音、ミキシングのワザかしらん。(いやいや、そんなわけないよねえ)
とにかく、ぶったまげ。のすごい演奏でありました。(かなり興奮気味であります。)
ワタシ的には、C・デイヴィス盤やムーティ盤が愛聴盤になっているのだが、この無名に近いザイフリート盤も、なかなかに良いデス。
確かに、アバド盤のように目立つ要素もないし、艶やかでもないが、なかなかに清楚でストイックで、この曲にマッチしているように思う。ホント、すっごく感動しちゃいました。これは、拍手デスっ。

マーク マドリッド交響楽団 1997年
Peter Maag
Orquesta Sinfonica de Madrid
(Madrid Symphony Orchestra)

録音状態は、お風呂場的 な残響の多さで、唸ってしまう。
演奏も引き締まっているとは言い難いが、でも温かみのある演奏である。ついほろり。

1楽章
冒頭のドレスデンアーメンが美しい。かなり、ゆったり〜ゆったり〜
せっかちな人は、ここで緊張感が続かず、挫折するかもしれない。アンサンブルは、お世辞にも巧いとは言い難いし、他の盤と比べると遜色が大きいが、総体的には、音色が暖か く、大きな演奏を目指しているようだ。
ドレスデンアーメンの旋律が終わると、一転して、弦が厳しさを交えて演奏を始めてくる。
ティンパニーが、その厳しさを増幅するように大きく叩かれている。弦が艶やかに流れるような、華麗なスタイルではなく、打楽器が重要視されているようで、ゴツゴツしているというかゴンゴンしているというか。
しかし、大きな膨らみを持ち、暖かさと厳しさをない交ぜにしたような演奏である。

2楽章
ひとことで言うと、落ち着いた演奏で安心感がある。素朴なのだが、その素朴さが好ましい楽章なので〜
いたずらに速めでも、軽快でもなく、はったりとは皆無の穏やかさである。
何か仕掛けてきてよ〜っと言いたいぐらい素朴。

3楽章
あまり悲壮感や憂いが感じられない。ふわーっと演奏されていて、最後だけティンパニーが悲しく叩かれて終わる。弦の旋律が多いのだが、メリハリが不足気味。少女の溜息のような音になっている。

4楽章
引き続き、フルートからコラールが演奏される。全体の調和が今ひとつ、いや2つぐらいで・・・
全体で1つの和音にならず、やっぱアンサンブルが、マズイな〜っと思う。
木管の音色と吹き方が気になるし、う〜ん。やっぱ、他のオケと比べると貧相だと思う。ただ、あまり完璧に演奏されると、どのパートが、どのような音を奏でているのか、イマイチ素人では聞き取りづらいのだが、この盤で聴くと、失礼ながら勉強になった。
で、このマーク盤では、ティンパニーが、すげーっ!のだ。ティンパニーが、この盤の推進力であり、主人公のようになっていて、この響きが耳について離れなくなる。
うほっ〜 宗教改革でティンパニーがなあ。と、不思議な感じがするのだが、この盤では貴重な存在のようである。あまりの派手さに、ちょっと笑ってしまったところもあるのだが・・・。最終のコーダ部分は、ためが十分にあり、大変好ましく思う。
快速盤が多く、素っ気ない盤もあるが、このマーク盤は、録音のこもったところと、音の太さ、音色の暖かさが、この楽曲には、あっているのか好ましく感じる。
この最終楽章では、讃美歌を奏でた後、テンポを上げるのが一般的なのだが、テンポをあげるギアチェンジのタイミングは、各盤それぞれで・・・それが異様に感じたりするのである。しかしながら、このマーク盤は、わりと速めにギアチェンジをしており、わりと自然だった。
総じて引き締まった演奏とは言い難いし、雑多と言えば雑多に聞こえるのだが、素朴でありながら高揚感は高めてくれるし、かなり暖かい気持ちにさせてくれる貴重な盤だと思う。
1961年 マゼール ベルリン・フィル ★★★
1966年 サヴァリッシュ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 Ph  
1971年 カラヤン ベルリン・フィル  
1976年 ドホナーニ ウィーン・フィル  
1979年 ムーティ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★★★
1984年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★
1984年 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 Orf ★★★★★
1989年 マズア ライプチヒ・ゲヴァントハウツ管弦楽団 ★★
1994年 ザイフリート アイルランド国立交響楽団 NAXOS ★★★★★
1997年 マーク マドリッド交響楽団 Arts ★★
1997年 C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン Profil  
所有盤を整理中です。

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