「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ニールセン 交響曲第5番
Nielsen: Symphony No.5


ニールセンの交響曲第5番(作品50、FS.97)は、1922年に作曲されています。この交響曲には副題がなく、2楽章で構成されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、対象と対立の作品として解釈され、「暗黒の中の静かな力、敏速な力」というモットーが、鉛筆書きのスコア原稿の裏表紙に書いてあるのだそうです。
第1楽章は、2つの部分から、第2楽章は、4つの部分から構成されています。

第1楽章
ヴィオラの柔らかい静かな脈動で始まり、2つのバスーンの下降する平行5度のスケールの後、静かなヴィオラの震える音を追って管楽器が奏でます。弦のパッセージの後、単純な打楽器の連打の中で、クラリネットとフルートが「野蛮で破壊的なほど自己主張の強い」メロディを奏で始めます。
弦は歪み、崩壊し、調性が変わります。
ト長調の温かい非常に楽観主義的なテーマは、冷たい風景と対比され、木管楽器の「悪」のモチーフによってかき乱されます。小太鼓によって脅かされ、クライマックスをつくります。ファンファーレに実際加わる小太鼓によって、この壮大なテーマが最後に勝利を収めます。クラリネットは、孤独に悲しみを表現します。

第2楽章
第2楽章は、提示部、速いフーガ、遅いフーガ、コーダの4つの部分から成立しています。ロ長調で激しく始まり、楽器の間での大きな対立が続きますが、遅いフーガは、穏やかで大胆なテーマが現れる、変ホ長調の勝利のコーダへ進んでいき、始まりとは全く違った調性で終わるもの。
第1楽章の灰塵から立ち上がるもので、再生した世界を思い浮かべるます。
最初は穏やかだが、新しい戦いと人を脅かす危険を生み出す世界とのことで、来るべき第二次世界大戦を予兆しているのだそうです。
音楽学者のデリック・クックは、この5番を「最も偉大な20世紀の交響曲」と呼び、「これは人間の闘争を表している。」と方もおられるそうです。

パーヴォ・ヤルヴィ シンシナティ交響楽団 2004年
Paavo Järvi  Cincinnati Symphony Orchestra

ほぉ〜良いヤン


録音状態は良い。幾分、暖かみのある空気感があり、スネアの鋭さ、ティンパニーの鋭い連打を聴きたい方には、向いていないかも。
カップリング:
1〜14 ストラヴィンスキー 春の祭典
15〜20 ニールセン 交響曲第5番
1楽章
「みふぁ〜 みふぁ〜 そふぁみ れぇ〜 みふぁそぉ ふぁそふぁみ〜」という感じで、ファゴットの二重奏が序奏を奏でる。
ちょっと暗めの序奏で、ちょっと調性が不安定で、ヴィオラのフレーズがウネウネと波動を与える。
フルートが明るいが、もわもわ〜っと、木管が吹かれており、「みそぉ〜みそぉ〜 れふぁ〜」と、執拗なフレーズを奏でる。
どうも重いなあ。と思いつつ、ショスタコの暗さとは、ちょっと違って、生暖かさが感じられる。
「みそぉ〜 みそぉ〜っ」合図があると、スネア(小太鼓) みそ みそ みそ みそ・・・ ん タララッタタッタ・・・とい感じで、ミリタリー調の音が始まる。はあ。戦争交響曲かあ。
タンバリンの音や、クラリネットのピラピラした音などが入り交じっている。

オーボエのフレーズが奏でられ、「そふぁみぃ〜れどしそらぁ〜」と、牧歌的に柔らかい歌謡風フレーズとなる。
ここから、第2部になるらしい。優しく、柔らかいが、心底、安定はしていないようだ。
柔らかい金管のフレーズがあり、「ふぁふぁ〜みみ れぇ〜」と、弦の柔らかい穏やかなフレーズで、ひととき、平和的な光景が見えてくる。
希望の光を浴びているかのような、「どみそぉ〜 ふぁらどぉ〜 みそしぃ〜」と、大らかさが見られる。
しばらくト長調の安定したフレーズが続いていたのに、いきなり、スネアが割り込んできて、「みっみっみぃ〜っ!」と甲高い音で、平和で安定した光景が、打ち消されてしまう。
木管楽器の「悪」のモチーフが、「みぃ〜れぇ〜どぉしぃ〜」と歌う声と、競合してしまう。
う〜ん これが、悪のモチーフなのかあ。
で、クラリネットが、寂しそうなフレーズを奏でて終わる。

2楽章
うねるような波のようなフレーズがあって、複雑な模様を描く。
「どそふぁれぇ〜 みどそみ らふぁしそぉ〜 どそぉ〜」
「しっらら そぉ〜 ふぁふぁふぁふぁ〜 ふぁふぁしぃ〜」
しばらく、弦の波形のフレーズが続いているのだが、弦が爽やかに奏でているかと思ったら、わっさ わっさと、ざわめくし、とても、複雑な楽章だ。複層的というか、フレーズが妙に入り組んでくる。
そのうちに、ん? どこかで聴いたようなオーボエが登場する。
そうそう、1楽章2部で出てきたオーボエのようだ。聞き取りやすいし、シンプルなようで、難しい楽章である。

このタッタ タッタと、3拍子のリズムが始まると、2部に突入らしい。
いきなりティンパニーが叩かれるし、クラリネットが転がっていくし、弦が歌うように踊り出すし、弾む感覚で、タッタ タッタ タッタ タッタ タッタと繰り返しを始める。

深海魚になったような弦や、フルートが吹かれたり、う〜ん、まるでプロコフィエフのような静謐な世界へと入り込んでいく。
なんとも、多彩な場面設定である。この冷気に包まれた深海のような世界が、3部らしい。

4部は、第1部が回帰してくる。弦のうねるような波のようなフレーズが戻ってきて、明るく、大らかさが出てくるが、慌ただしく、低弦の地響きのような揺れが感じられ、ティンパニーが暴れだす。
ティンパニーが連打されて、高揚感が出てきて終わるのだが、う〜ん、なんとも聴き応えあり。

確かに、密度の高い、いろんな要素が複雑に絡み合った交響曲で〜
聴き応え感のある、構築感のある楽曲だと思うが、これも、一筋縄ではいかない。スネアにティンパニーの連打で、打楽器が与えるインパクトのある緊張感が、なんとも言えない心地良さも生んでいる。
執拗に繰り返されるリズムと、もわもわした感覚と、ウツウツさ、静謐さとが、ないまぜになっているところは、複合的だ。

P・ヤルヴィ盤で聴くと、大らかな牧歌的なフレーズが、暖かく感じられる。
鋭いエッジの効いたミリタリー調の部分が、オブラートに包まれているかのようで、暖かい録音の質が、アダとなっているのか、それとも、やわらかく包む質感が、嬉しく感じられるのか、ちょっと好みが分かれるところかもしれない。
ある意味、いろんな要素は詰まっているが、楽天的なのかもしれない。
1楽章は、もっと、エグミがあって、恐怖をかきたてられる方が好みだという方には、少し向いていないかもしれない。


2004年 P・ヤルヴィ シンシナティ交響楽団 Telarc ★★★★
         

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