「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 シューベルト 交響曲第8(7)番「未完成」
Schubert: Symphony No.8 (7) "Die Unvollendete"


交響曲第8番(7)番「未完成」ロ短調D759は、シューベルトが、1822年に作曲した交響曲です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
初演は、1865年で、グラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」を授与され、返礼として交響曲を作曲することにしたのですが、2楽章だけ送ってそのままになって未完となったものです。このページでは8番(7)として表記します。

第1楽章 ロ短調 4/3拍子
 冒頭から、ロ―嬰ハ―ニの有名な動機が現れ、単に序奏というのではなく、楽章の最後まで執拗に支配しています。
オーボエとクラリネットのユニゾン木管の第1主題を弦楽が支えながら、第2主題に入ります。
通常のソナタ形式であれば、短調の第1主題に対して、3度上の平行調であるニ長調で書かれるべき第2主題が、ここでは、逆に3度下で、平行調の下属調であるト長調で書かれています。
第2主題では、伸びやかなチェロがシンコペーションに乗って歌われ、展開部は、序奏を発展させる形のもので、半音階ずつ転調を繰り返します。再現部では、第2主題は提示部とは逆の3度上(平行調)のニ長調で再現されるもの。

第2楽章 ホ長調 8/3拍子
 展開部を欠くソナタ形式で、穏やかな下降音階の第1主題が提示され、コーダでは、シューベルトが好んで用いた三度転調により一時、変イ長調に転調します。

昔は、運命や新世界と同様に、メチャ人気曲だったそうですが〜 反復音型が続き、どことなくブルックナーの交響曲と似て、いつまでも果てることなく続きそうです。未完となった理由が謎めいており、あれこれと憶測してしまいます。
で、さらっとしていれば美しいと感じますが、暗い演奏で聴くと、いつまでも鬱々して・・・ ワタシ的には苦手です。

ケルテス ウィーン・フィル 1963年
Istvan Kertesz  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。リマスタリング盤である。若々しい引き締まった筋肉質の演奏だが、多少キツいな〜と感じるところがある。
カップリング:
1〜2 シューベルト 交響曲第8番 未完成
3〜6 シューベルト 交響曲第9番 ザ・グレート
1楽章
冒頭、コントラバスとチェロの低弦が、「ど〜れ〜み ど〜しそふぁみ〜れそ〜」と鳴ってくるはずが・・・。
みごとな弱音で、CDを回し始めてもなかなか音が出ない。 う〜っ。これもかっ。と思いながらボリュームをあげる。
で、流れてきた音は、みごと。ケルテス盤は、柔らかいというよりは、かなりの硬め。リズムの刻みが若々しく、歯切れが良い。それも怖いぐらいにストレートである。 こちらが、必死になって問いかけ、聞き耳をたてているのに・・・
「そらっっ・・・ しっし〜ぃ しっし〜ぃ ししっ〜ぃ しっしふぁ!」
そんな〜ぁ キツク言わなくてもっ。と仰天するほどの答え方なのだ。キツイっ。

いくらなんでも、こんなにハッキリ言い切らなくても〜という感じの演奏に聞こえる。(笑)
でも、まあ。若い故か。と、当初は高をくくっていたのだが、段々と有無を言わせないほど迫ってくる。
ホルンが間をとりもって、余韻を残してくれるし、弦もその後、メロディラスに奏でる。
「そーど〜しどれ そ〜 ど〜しどれ み〜ふぁそふぁみれ〜み」
「ど〜れ みっふぁ そらっ し〜どれし みふぁ・・・ (ふぁ〜っ)」と、リズム良く回転していく。
弦が、まだ柔らかく弾いているのに、合いの手を入れている金管が、それがキツイんじゃ。 なんだか、若い女性をつきあうのに、怖いオカンが、チャチを入れに来るみたいにも感じる。
で。 冗談はさておき、主となる旋律は、かなり濃度の高いロマンティックで憂いがあるのだが、それを断ち切るかのような、金管・木管の強いアクセントが加えられている。 この効果は、かなりなもの。すぱっ。としてて、怖いぐらいの断ち切り方だ。

自分の迷いを振り切るというより、(こんな強烈に、自分の迷いを断ち切れないだろう)
どちらかというと、刃物を持った相手方が、決断を迫ってくるかのような気配で・・・(経験はないが)
ホント、崖っぷち状態に追い込まれる。
「れ〜 み〜 ふぁ〜」と、鳴り響く3音は、いったい〜オマエは、どうするのだ。これから、どうするのだ。

と問いかけられているような気分になるし、最後、神の怒りに触れたような気分だし、目の前に、閻魔大王が現れ、今までの悪い所業を告げられ、ハイ、地獄へ行ってらっしゃい〜と、告げられたような気分になってしまうのだ。
まあ。大袈裟な表現になるが、天と地の境目に立たされているようなモノだな。
で、最後の「ど〜れ〜み ど〜れ〜み ど〜れ〜み」の音を聞いていると、哀れみをかけられてて〜
結果が、見えてくるという状態だ。で、最後の最後、「どっしっどっ!」と、オチがくる。
冗談でも言わないと、凍り付いてしまうような激しさ、厳しさ。
その癖、ケルテス盤は、最後には、哀れんでくれる優しさがある。

2楽章
1楽章とは、うってかわって慈愛に満ちたフレーズが流れ来る。
あれだけキツイ表情だったのが、まるで別人のようにいたわってくれる。嘘みたいに。
ホルン 「ふぁ〜そ〜ら」
ヴァイオリン 「ど〜れ どらふぁそ〜 ど〜れ どらふぁみ〜れ」
これが繰り返している間、段々と、心が柔らかく、とろける風になってくるのだが、主題が、ごろり〜と変わるのだ。
ティンパニーが鳴って、金管と弦が、下降線をたどっていく。
悲劇が始まるかのように、いきなり、ホント、いきなり幕が切って落とされるのだ。
「れれら〜 れれ〜 そし らふぁ れふぁ〜 (ティンパニー)」 この硬い弦と、ティンパニーの激しさ。
低弦も硬くイカツイ。その硬い下支えを得ながら、慈愛に満ちたフレーズになっている。
全く異なる主題が、交互にやってくる。
慈愛と恐怖感・・・。恐怖というよりは、怖れを忘れない畏怖だろうか。それを無くして、慈愛はないと言いたいのだろうか。

「し〜れ〜 ど〜み〜 れふぁ〜みっそ〜 ふぁらっそふぁっ (ティンパニー)」
慈愛に満ちたフレーズで、静かに終わってくれ、ほっとするが、あまり心理的には良くない。
熱いし、エネルギッシュで、突き進んでくるような怖さがあり、爆演に近いような気もする。
とにかく、ケルテス盤は、強弱の差が格段に大きく、硬めの金管フレーズ、ティンパニーの激しい響きで、心理的に追いつめてくる。
2つの面が、恐ろしいほどに際立っている。 はっきりした二元論が展開していると言えるかもしれない。

C・クライバー ウィーン・フィル 1978年
Carlos Kleiber  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。端正でクールであり、ブキミさも持ち合わせているものの、包容力もある演奏だと思う。
カップリング:
1〜4 シューベルト 交響曲第3番
5〜6 シューベルト 交響曲第8番 未完成
1楽章
かなりテンポの速い演奏で、「そーど〜しどれ そ〜ど〜しどれ」と出てくる。
弱音なので、この前の部分がほとんど聞こえない。
歌うところは歌うし、沈むところは深々と沈んでいる。ただ、このテンポ設定は、聞き慣れた盤からすると、相当に速いっ。速いのだが、聴いているうちに、気持ちの良さを伴ってくる。
また、ウィーン・フィルの音色が、豊かさを補っているようだ。
特にホルンの響きが良く、主題のつなぎに大きく寄与している。
で、この曲、全く性格の違う主題が、交互にやって攻め立ててくるので、あまり心理的によろしくない。

クライバー盤では、ウィーン・フィルのくせに、なんだか、いつもより冷ややかな響きになっている。
金管の諦めたような冷ややかな吹き方、ティンパニーの硬くて響きの少ない音には、驚かされる。
特に、弦の響きは、「ら〜そ〜ふぁ」というような繰り返しが、「ひぃ〜いぃ ひぃ〜いぃ ひぃ〜いぃ」に聞こえてきて、超ブキミだ。
歌うところは、しっかり歌って美しい。でも、クールなのだ。
とろり〜と溶けそうな、ジュリーニ盤(バイエルン放送響)のような演奏とは正反対とも言えるアプローチ。
ケルテス盤のようなせっぱ詰まった、追い込む。追い込まれる感覚と、よく似ているのだが、あっちは若いエネルギッシュな感覚で、熱い。アプローチも劇的だったし。
で、クライバー盤は、快速盤だしエネルギーもあるのだが、もう少し丁寧だし、もう少しクールで、ひやっこい感覚である。

2楽章
ホルンがあまり聞こえてこず、ヴァイオリンのフレーズ 「ど〜れ どらふぁそ〜 ど〜れ どらふぁみ〜れ」
が、聞こえてくる。木管の音色が美しい。
1楽章は、あんなにクールだったのに・・・。2楽章では、ふわっと優しいソフトな感じである。
綺麗にふんわり〜音を膨らませている。
2楽章って、こんなに美しい楽章だっけ。と思うほど、弦のフレーズが美しい。
低弦の響きはまろやかに広がり、そして、高音域のヴァイオリンのフレーズが、ふんわり乗ってくる。
特に、コントラバスやチェロの響きが、柔らかいので、弾力性を感じる。
「し〜れ〜 ど〜み〜 れふぁ〜みっそ〜 ふぁらっそふぁっ (ティンパニー)」
ケルテス盤では、凍り付くような戦慄するフレーズだったが、クライバー盤では、音量は大きめで奏でられているものの、全体的には、まろやかである。
クライバーの演奏は、快速ではあるが、トータル面で、美しさが残る未完成である。
1楽章はクールで、不気味が際立っているものの、2楽章は天上的な音楽になっていて穏やかだ。
意外だな〜って気もするが。(笑) 

ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 1981年
Herbert Blomstedt
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。ルカ教会で録音されている。淡々としているが、そこが郷愁を誘う。
アタマを抱えて、悲痛に叫ぶようなまねはしていない。
シューベルト 交響曲全集からの1枚
1楽章
柔らかいのだが、ところどころ、締まった感のする演奏だ。
ボリューム的には、分厚さを感じさせず、すっきりとした柔らかいフレージングで、重々しさがない。かといって、軽すぎないところが、なんとも絶妙という感じがする。
弦のカシカシカシ・・・というところも柔らかく、腰のある音を出しており、ガチガチの硬質感ではなく、木質的。
分厚くないので、ごごごぉ〜とは鳴らない。

眉をしかめて、アタマを抱えてウツウツ、重くて、どろっとしている演奏もあるが、ワタシ的には苦手だ。
感情を籠もらせて、うぐぐぅ〜っと唸るような演奏ではなく、ブロムシュテット盤は、さりげなく、日常的に鳴ってくる。
特に、すーっと、木管のフレーズが良く聞こえてくる。軽やかな弦と共に、とても見通しの良いものだ。
また、リズムがさりげなく置かれ、総体的には柔らかく細身だが、ところどころ、重々しい低弦のフレーズを入れてくる。
どろっとした濃厚な練乳みたいなフレージングではなく、さらっとした牛乳タイプだが、風味にコクと、爽やかさの両面を感じさせるものとなっている。

2楽章
郷愁を感じさせるような、そう〜 ホント、さりげない日常感があり、秋のススキが風にそよぐような風景が見えてくる。
このブロムシュテット盤で聴くと、弦のまろやさと、クラリネットやオーボエ、フルートなどの木管が美しく、クリーミーに響いてくるので、耳のご馳走という感じがする。
ある意味、玄人好みというか、深刻に神妙になりすぎず、す〜っと、嫌なことは、やり過ごしてきたような達観した胸中というか、諦念みたいなものを感じる。淡々としているが、そのなかにも、ドラマがあった・・・。って感じだ。
ティンパニーは力強く、少し乾いた硬めの音で鳴っており、細身の弦の軽やかさで、まろやかな美しい音が、軽すぎないように、ぐぐっと締めてくるので、ティンパニーは効果的だ。
これがなければ、ん? 軽すぎて〜と、思っちゃうかもしれない。
それにしても、美しい響きを持った演奏で〜 耳のご馳走なのだが、シューベルトの未完成って考えると、もうちょっと、やっぱり深刻さがあった方がいいのかしらん。と思ったり・・・。
いやいや、あっさり淡泊だけど、いい演奏なのだ。その、さりげなさが、妙に郷愁を誘うわけで、 まあ、ワタシがシューベルトのように深刻な顔をして、迷う必要はないのだけど・・・。
他盤のように、ドラマティックに、オーバーアクション気味に悲痛な顔をして、声高に叫ぶようなことはしていない。
まあ、ブロムシュテットさんだから、そんなことはしまい。という予測通りでございます。
ガーディナー リヨン国立歌劇場管弦楽団 1987年
John Eliot Gardiner  Lyon Opera Orchestra

さっぱりワカラン

録音状態は良い。ピリオド演奏で、爽やかな未完成なのだが、曲想にあっているかどうかと言われたら、ハテナ。
カップリング:
1〜4 シューベルト 交響曲第9番 ザ・グレート
5〜6 シューベルト 交響曲第8番 未完成
1楽章
冒頭、コントラバスとチェロの低弦が、「ど〜れ〜み ど〜しそふぁみ〜れそ〜」
次に、さざ波がったってきて・・・ 木管が第1主題 「そーど〜しどれ そ〜 ど〜しどれ み〜ふぁそふぁみれ〜み (らーそ らーそ)」  この冒頭で、ほとんど、演奏の出来不出来が、判別つくってほどの怖い部分だと思う。
う〜ん。ガーディナーさんの振るリヨン国立歌劇場オケは、明るく爽やかである。
特に、木管の響きが、まろやかで涼しげだ。ホルンの音色も柔らかである。でも・・・ この楽曲なのだから、ちょっと楽しいではマズイかもしれない。
しかし、この楽しさが、突然音が止み、金管によって「れ〜 み〜 ふぁ〜」と、3つの和音が、ぶわ〜っと吹かれたところで、ブチっと切られてしまう。 まっ それでも、続く旋律は、また元の楽しげな雰囲気に戻っている。
う〜ん。こんなに明るくて良いのかしらん。 もっと、もっと深淵で、観念的とならないとダメかもしれないのに〜 と言っていたら、再度、2度目の転落が待っており、楽しさから谷底へ突き落とされる。

まっ この谷底へ一気に落とされるところが、この楽曲の持ち味なのだが、ガーディナー盤では、谷底に突き落とされるのだが、いつの間にか楽しげな雰囲気に戻っている。
この戻り方が、ワタシにはイマイチ理解しづらい。これじゃー、あの金管の3つの和音に意味無いじゃん。
う〜ん。また主題が変わって、また、一瞬音が途切れる。
ヴァイオリンの「ふぁ〜そらど〜(ふぁ〜そらど〜) ふぁ〜そらど〜」「れーど みーれ ら〜そふぁ ら〜そふぁ・・・」と、悲痛な声を出し始める。喘ぐような「ら〜そみ ら〜そみ」
金管とティンパニーが、「ふぁ〜そ〜ら ふぁ〜みどれど〜し〜ら」 ダメ押しのように鳴らされている。
この交互にやってくる陽と陰。人生の表裏という感じだが、ガーディナー盤では、崖っぷちを歩いている感じはない。
リピートあり。

2楽章
ホルンの「ふぁ〜そ〜ら」和音に続いて、ヴァイオリン「ど〜れ どらふぁそ〜 ど〜れ どらふぁみ〜れ」
ヴァイオリンが、「どらふぁそ〜 ど〜れどらふぁそ〜」と、柔らかく、この世のモノとは思えないほどの、純真無垢なフレーズを奏でる。
低弦の響きは良いのだが、力強さが、あまり感じられず、あくまでもソフト面に焦点があたっているようだ。
で、ロマンティックな面ばかり焦点があっている。
ティンパニーが鳴って、金管と弦が、下降線をたどっていく。奈落の底に転がるように。
「し〜れ〜 ど〜み〜 れふぁ〜みっそ〜 ふぁらっそふぁっ (ティンパニー)」
でも、また、ロマンティックなフレーズで、う〜ん。シューベルトが、よくワカラン。
転落したフレーズの最後の音が、1音だけ明るいんやねえ。これで、元に戻れるってわけかあ。
は〜ん。なるほどっ。でも、ラストが、なんだか尻切れトンボ風になっており、はぁ?

ガーディナー盤は、あまり厳しくないようで、迫力はあるにはあるのだが、深みというか、エッジの鋭さが感じられなかった。
ピリオドでのモダンオケでの演奏というのは、難しいのだろうか。
また、この楽曲は、二律背反というか、相反するモノが表裏で一体となった世界観なのだろうと思う。未完成といつつ完成しているような、そんな世界観なんだろうか、 ガーディナー盤では、う〜ん。別の相反するモノが、離れて存在しているだけのように聞こえた。いきなり、谷底に突き落とされました。でも、這い上がって楽しくしています。 そんなストーリーでも描かれているように、ワタシ的には感じられ、イマイチ。
テンポが多少速いように思われることと、最後の尻切れトンボ、オケの音質が明るいこと、そしてピリオドのようなボーイングの雰囲気があわさって、軽いなあ〜と思わせる未完成になってしまったのかも。
どうも、違和感のみが残ってしまって、いただけませんでした。

ムーティ ウィーン・フィル 1990年
Riccardo Muti  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手
   
録音状態は良い。ゆったりと和やかで、美音で綴られた音楽だ。劇的過ぎて、しんどくなるような演奏でもないし、深読みしすぎて辛くなるという演奏でもなく、暖かいが、どことなく沈痛な感じがするという、老練な感じさえ漂わす、 自然で懐の深い演奏だ。カップリング:シューベルト 交響曲第8番、1番
1楽章
冒頭は、かなりの弱音で始まり、しばらくはCDが壊れたのかと思うほどだ。
そこから、オーボエやフルートが主題を吹き、「そぉ〜 どぉ〜 しどれ そぉ〜 どぉ〜 しどれ」 
弦が重なってくる。「しし しし しし しし どぉ〜」
ホルン 「み〜〜〜 ふぁ〜そ」 このホルンの長いこと。
チェロ 「そぉ〜 れ〜そ ふぁそら〜そぉ〜 ふぁそら〜れみふぁ そぉ〜れ」と、美しく奏でる。
う〜ん、この弦は、コントラバスが深みのある音色で、またチェロの響きも、艶のある安定感のある響きだ。

弦の音色が、やっぱり綺麗だなと思う。
この出だし部分のフレーズが、ものすごく、さざ波のように、ザワザワした弦の響きで奏でる演奏もあるのだが、このムーティ盤は、なんともいえない沈んだ音で、抑揚をつけず、抑制しきったフレーズで、また、弦の表面が凸凹していない。
艶のある音でもあるが、ゆったりと大きな緩やかな、大きな底で揺れる波って感じがする。
だから、心地よい。
あれーっ どうしてなんだろ、切れ目がないというか。つなぎが見えない弦の響きで、テンポも、ゆったりしている。
あー なんか久々に聴く、昔風の演奏って感じだ。
それに、ひとことで言うと、昔に聴いたLPのような懐かしい匂いがする。
なんていうか、なんてことはないし、特に個性があるわけでもないし、際だって何かが感じられるわけでもないんだけど。
つーっと すーっと 音楽が流れていく。って感じで、どこか悲しい雰囲気で、暗いというか。
そのくせ、どこか歌っているくせに、熱くもなく冷たくもなく、でも、沈痛な感じが影のように漂う。

きっと、付点なんだけど付点臭くないフレージングのせいだと思う。ヴァイオリンなんて、この付点のところが、巻き舌風に転がって、メチャクチャ綺麗に歌うし、木管の長く伸ばすところは、心持ち長めに引っ張っているし。
あらら〜 これはニクイ演出なんじゃーないだろうか。ハイ。わかっていても、嬉しくなっちゃう演奏ですね。
未完成っていうけど、しっかり完成してて、何度でも繰り返して、ずーっと聴いてられる演奏かもしれないです。

2楽章
ホルンの和音が綺麗で、そこに、弦が絡む。「どぉ〜 れぇ〜 どらふぁ そぉ〜」
確かに、どの演奏を聴いても、はぁ〜美しい和音ですよねえ。
「ふぁぁ そぉ らぁ」 あー シンプルだけど、和音の原点だぁ 
いつ聴いても、ここの部分だけ聴いても、いい曲だぁ〜と、つくづく納得。
オーボエやフルートの音色の美しさと、ホルンのまろやかさ。悲劇的なティンパニーの響き。
あまり劇的には演出しなくても、これだけの響きがあれば、そして、歌心があるので、じわじわ〜と、心に滲みてくる感じ。
これ以上の贅沢はないでしょう。
それに、懐の深さみたいなものを、ゆったりしたフレーズのなかで、自然に一筆書き風に描いてて、特に2つの世界を劇的に表すとか、対比するとか、そんな意図は感じられない。
あまり深読みしずぎないで、美しさも感じつつすんなり聴けて、美音にも接することができて、深読みしすぎて辛くなるという演奏でもなく、暖かいが、どことなく沈痛な感じがするという、懐の深い。
老練な感じさえ漂わす、、、う〜 深いんじゃーないだろうかと思わせる、嬉しい1枚である。

シノーポリ シュターツカペレ・ドレスデン 1992年
Giuseppe Sinopoli  Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

いかさねぇ〜

録音状態は、あまり良くない。年代からするとイマイチ。くぐもっている。
鬱々してて〜 歯切れが悪く、遅いだけで終わってしまう。
カップリング:
1〜2 シューベルト 交響曲第8番 未完成
3〜6 シューベルト 交響曲第9番 ザ・グレート
1楽章
冒頭、コントラバスとチェロの低弦が、「ど〜れ〜み ど〜しそふぁみ〜れそ〜」と奏でるのだが、CDが壊れたのかなと思うほど、弱音過ぎて聞こえてこない。
次に、さざ波がったってきて、クラリネットとオーボエが第1主題を奏でるのだが、木管からスタートしてないみたいだ。
低弦は豊かに歌い始めるし、フルートも綺麗なのだが、ドスンっ。と音が落ちる。
劇的な効果はあるが、鬱々としており、波に乗るかと思いきや落とされる。
ふぁぁ〜 みぃぃ〜 らぁぁぁ・・・ っと昇っていくが、たぁ〜ら たたた たぁ〜ら たたたっ。と歌うところもは重い。
また、すごい間合いがあって、弱音過ぎて〜 聞こえない場面が出てくる。
悲痛な、らぁ〜 そふぁ らぁ〜そふぁ らそふぁ らそふぁ・・・と、畳みかけて、相当に悲痛感が漂う。
で、弦の反復音型の嵐に入っていく。
音が籠もりがちなのが、じけっとした音の響きになっているのかもしれないが、見通しが悪く、ティンパニーの音が支配しており、あまり良い気持ちのよいものではない。同じように繰り返されるので、執拗さしか感じなくなってしまう。
音楽に波が立ってこないし遅いなあ〜と思いって、うんざりしてしまう。独特の鬱々している感覚には、ついていけない。


第2楽章
ホルンの「ふぁ〜そ〜ら」というフレーズに続いて、ヴァイオリンが「どぉ〜れ〜 どらふぁそ〜」と奏でていくが、ホルンの響き自体が、あまり音として広がって行かないので不満だ。
木管がペタンとしており、立体的に響かない。
遅いのと重いのとで、う〜ん。のびやかに歌うという感じが損なわれているような気がする。
カペレの音って、こんな貧相ではなかったのに・・・。う〜ん 五月蝿いティンパニーだなあ。
そのくせ、堂々とクライマックスを作っていこうとするので、無理があるような〜 音の強さだけでは盛り上がらないんですけどねえ。と、イヤミのひとことが出ちゃう。
歯切れが悪いというか、テンポが遅く、流れて行かない。どろどろ〜としたところと、ヴァイオリンの上昇したい気持ちとの対比が面白い楽曲だと思うのだが、美しく聞こえてくるのは木管のみだ。
聴いているうちに、いつまでも、奈落の底にて、もがいてらっしゃい〜という感じになっちゃう。救いがない。

ジュリーニ バイエルン放送交響楽団 1995年
Carlo Maria Giulini
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian State Orchestra)



録音状態は、まずまず良い。ライブ盤(拍手入り)にしては、良い状態と思う。テンポは、とてもゆったりしており、深々と情感たっぷりに歌いあげる。
カップリング:シューベルト交響曲第8番未完成、第4番
1楽章
冒頭、コントラバスとチェロの低弦が、「ど〜れ〜み ど〜しそふぁみ〜れそ〜」と鳴る筈なのだが、あまりの弱音で、CDの頭出しから出てこない。
しかし、響きが柔らかく、続いて「そーど〜しどれ そ〜 ど〜しどれ み〜ふぁそふぁみれ〜み (らーそ らーそ)」
このフレーズでは、フルートの音色が天上的に響く。もちろん、ホルンも・・・。
テンポは、総じてゆったり。
ゆったりとしつつも、低弦、特にコントラバスが、よく響き、3拍子をリズミカルに刻んでいく。渋い音色ではあるが、柔らかい。 主題が変わり、金管によって「れ〜 み〜 ふぁ〜」と、3つの和音が鳴り響く。ここでは、谷底に落ちるかのような、それまでのフレーズが断絶される3音である。

しかし、ホルンが、あまりにも、まろやかで、う〜ん。驚いてしまった。
それに、「れ〜 み〜 ふぁ〜」と、鳴り響く、和音3音が非常に長い。
ここの金管で鳴らされる、わずか3つ音は、主題が変わるだけでなく、神の怒りに触れたのか、雷に打たれたのか、東洋風に言うと閻魔大王の前に立たされて、判決を待っているかのような箇所なのだ。
え〜っ こんな、まろやかで良いのぉ〜?
主題が変わる直前、前主題の終わり最後の音 「たた〜ん たた〜ん たぁ〜ん」 これも長い。
ここが、ジュリーニ(95年)盤の最大の特徴的かもしれない。
甘いっていえば、甘い〜と言われかねない演奏だと思うが、 それよりも、緊張が続くか否か。試されているみたいだ。

2楽章
1楽章より、もっと遅い。ひぇ〜と驚くほどの、超スローテンポである。
確か、アンダンテ・コン・モート (ほどよくゆっくり、動きをつけて)という、表示だったと思うんだが。
これでは、ほどよくには・・・なっていないと思う。
ホルン 「ふぁ〜そ〜ら」
ヴァイオリン 「ど〜れ どらふぁそ〜 ど〜れ どらふぁみ〜れ」
う〜ん。とろけちゃって。たまらん。
天国行きというより、真綿で首を絞めて〜という感覚状態に、悶えてしまう。とにかく柔らかい。
全ての形が無くなってしまう。そんな、幻想の想念にとらわれてしまう。 超スローテンポであるということは確かだし、テンポは遅い。低弦の響きや弦の響きは、まろやか。 超浪漫的な演奏と言われそうなのだが、感情の起伏は、激しいわけではないのだ。 情感はこもっているが、劇的ではないんだよねえ。
おそらく〜 諦念の気持ちっていうか、虚無の心境に、足を一歩踏み入れましたねえ。という感じだと思う。(← これは勝手な想像である。だって、そんな心境になったことがないため、ワカラナイ)

う〜ん。全体的に、もうあっちの世界に行っちゃった〜という状態の演奏かもしれない。
世を全て知り尽くした。あきらめて、果てを見据えている。って感じかなあ。相反する世界が同居しているというより、もう既に、内へ含めちゃっているかもしれない。ちょっとワタシ的には、重くて、しんど〜い演奏である。

1963年 ケルテス ウィーン・フィル L ★★★

1967年

サヴァリッシュ

シュターツカペレ・ドレスデン

Ph

 

1978年

ブロムシュテット

シュターツカペレ・ドレスデン

DS

★★★★

1978年

C・クライバー

ウィーン・フィル

★★★★

1978年

ジュリーニ

シカゴ交響楽団

 

1983年

ドホナーニ

クリーヴランド管弦楽団

TELDEC

 

1983年

シノーポリ

フィルハーモニア

 

1986年

シュタイン

バンベルク交響楽団

 

1987年

バーンスタイン

コンセルトヘボウ

 

1987年

ガーディナー

リヨン歌劇場管弦楽団

★★

1990年 ムーティ ウィーン・フィル EMI ★★★★★

1992年

アーノンクール

コンセルトヘボウ

 

1992年 シノーポリ シュターツカペレ・ドレスデン ★★

1993年

ブリュッヘン

18世紀オーケストラ

Ph

 

1995年

ジュリーニ

バイエルン放送交響楽団

SC

★★★

1996年

インマゼール

アニマ・エテルナ

SC

 

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