「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

シューマン 交響曲第1番「春」
Schumann: Symphony No.1
"Frühling(spring)"


シューマンの交響曲第1番 (作品38)は、1841年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
「春」という標題は、アドルフ・ベドガー(Adolf Böttger)の詩に霊感を得て書いたとされ、シューマンは当初のこの交響曲を「春の交響曲」と呼び、初演時は、春の始まり、夕べ、楽しい遊び、たけなわの春という表題をつけていたそうですが、その後に消去しています。初稿、改訂版、マーラー版があります。

第1楽章 変ロ長調 序奏付きのソナタ形式 序奏は4/4拍子
トランペットとホルンがファンファーレ風な動機を示し、次第に速度を速めて主部に入ります。
39小節から始まる主部は2/4拍子で、第1主題は、弦楽による序奏の動機に基づく沸き立つような旋律です。
第2主題は、木管で転調しながら穏やかに示されるもの。コデッタは、第1主題のリズムに基づくものです。
展開部は、第1主題を元に、トライアングルが使用されます。盛り上がったところで、序奏のファンファーレ風な動機が回帰して、第1主題部後半の部分から再現部となります。第2主題は、原調で再現されてコーダに入り、最後に序奏の音形で締めくくられるもの。

第2楽章 変ホ長調 3/8拍子 ほぼABACAという形式
主部は、弦による夢見るような旋律で、Bは短く、Cは弦と木管が不安げな動機を繰り返すもの。高まったところで幅広く下降する動機も示されます。トロンボーンが半音階的なスケルツォ主題を予告し、休みなく第3楽章に入ります。

第3楽章 ニ短調 3/4拍子 2つの中間部を持つスケルツォです。

第4楽章 変ロ長調 2/2拍子 序奏付きソナタ形式
管弦楽が付点リズムの音型を勢いよく示し、序奏は短く、すぐに主部へ入ります。第1主題は、弦楽によるピアノ的な動きが特徴で、第2主題は、ト短調で木管が音階的に上昇・下降する動機と、弦による冒頭の付点リズム動機がつなぎ合わされているもの。 前半の動機は、ピアノ曲集「クライスレリアーナ」の終曲から採られており、力強いコデッタが続きます。展開部は、付点リズムの動機を扱い、静まったところでホルン、フルートがカデンツァ風に奏し、そのまま第1主題の再現へと繋がります。 再現後、コーダへ入り、第1主題の序奏動機を暗示しながら、力強く結ばれるものです。

クーベリック ベルリン・フィル 1963年
Rafael Jeroným Kubelík
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。60年代とは思えない。ちょっぴり高音域が硬いかな。と思うが、演奏が、楷書体で、きっちり。歯切れよくテンポ良く、緩くなりがちな曲が引き締まっている。歌うし、テンポアップして熱いし・・・。う〜ん。結構、やられます。
カップリング:シューマン 交響曲全4曲、「ゲノヴェーヴァ」序曲、「マンフレッド」序曲 2枚組BOX

1楽章
「み み〜み みみ どれみぃ〜  そそ そそ どれみ〜」
クーベリック盤の演奏は、かくしゃくとしたおじいチャンが、シャキっとした物腰で立っているような感じ。
まるで、ドン・キホーテみたいに、老健にむち打って、腰を伸ばして、すっきと立っているような感じだ。そのくせ血気盛んで、う〜ん。音の響きこそ端正で、そっけないが、丁寧だし、ものすごく熱い。
楷書体で、キッパリとしている。
無駄な音が無いような、余計なモノが削ぎ落とされた音だと思う。
最初の出だしこそ、遅めだが、弦がシュルシュルシュル〜と奏でたあとのスピード感は、すごい。
タターたた タタ タンっ。タターたた タタタ タンっ。 厳しいし、キッパリして歯切れ良いんだなあ。
爽やかだが、ほのぼのしているスウィトナー盤とは違ってて、熱さはバーンスタイン盤に近いけれど、雰囲気的には、全く違う。
いやいや〜 このスッパリ歯切れの良さは、さすがに、クーベリックさんかなあ。黒檀の輝きのようで、黒光りしている。いやいや、もっと硬いかな。鉱石に近いかも。

ヴァイオリンが小刻みにフレーズを刻みめると、春というよりは、肌寒い冬の終わりのようだ。
弦のボーイングが硬いし、少し金属的な音の響きをしているが、耳慣れてくると、まろやかではないもの、シャキっと背筋が伸びる気持ちよさがある。
厳しいけれど、優しい雰囲気を持ってて、無口だけど暖かく感じるのは、何故なんだろう。
堅牢だが、人を受け付けない厳しさとかは感じないんだなあ。
彫りの深い音だ。
「そっそ〜そそ どれみ〜 そっそ〜そそ どれみっ。」
木管の響きも柔らかいわけじゃないのだが、硬質的だけど、木質的だし、硬いのだが、きつくならないところが、キワキワの、ゾクゾクとさせてくるところがある。それに、テンポアップしていく熱さ。
スウィトナー盤は、春の爽やかさと夢想的な面を感じさせ、そこがまた魅力なのだが、クーベリック盤は、その点リアルだ。理知的で、音のカッチリとした鳴り方で迫ってくる。

2楽章
1楽章とはうってかわって、ソフトにゆったりと歌う。
「どふぁ〜れみふぁ ら〜そ〜 らしれ〜ど ふぁ〜そそ〜」 
歌謡的で、そっと、密やかに歌い始めるところが魅力的だ。
「れ〜ら そしれ〜 ら そしふぁ〜 ら〜そふぁみれ・・・」 木管が、絶妙な間合いで、控えめに鳴るところが素敵だし、弦の甘いが慎重な響きが、なんとも言えない緊張感を生む。
緩いところが、無いのがスゴイよなあ。

3楽章
「みっらぁ〜 どっそ ど〜しっし〜 そっ れ〜み れっ〜どしし」
結構、速めのフレーズで、きっぱりと歯切れ鳴らしている。
裏のチャチャチャ・・・というリズムを生む付点が、なんとも軽やかで、そのくせ硬めで、活き活きとしてる。
弦の短めのフレーズが、大変印象に残る。
奥行きある響きではないが、瑞々しく聞こえてくるのは、歯切れの良いリズムかなあ。ホント、短いのだ、チャチャ・・・という音が、短くて鋭い。 う〜ん。クーベリック盤を聴いていると、他の盤が、まったりして聞こえてきちゃう。
さっぱりし過ぎて、なんとも厳しい春だなあ。と思わなくもないんだけど、2楽章の歌と言い、なんとなく、硬いだけじゃない人の良さというか、素朴さも残っていて、機能的すぎないところが、微妙に良いみたい。
もちろん、素朴すぎないし、かっしり感があり。
速めの冒頭と、中間部の軽やかな歌うフレーズのバランスが良いのだろう。

4楽章
序奏部分の、「しどみ そどみ そっら〜しっど〜れみ〜 ふぁそぉ〜」
ハイ、この合奏部も硬めだけど、その後の軽やかなチャカチャカと木管と弦の可愛らしさが・・・。 むふふ。 木管の、チャチャ チャチャチャ・・・という合いの手が、また可愛いんだなあ。 憎たらしいほど可愛いのだ。きっぱり弾いているのに、可愛いとはなあ。
で、ためて、「らっし〜 どっれ〜 みふぁ そらぁ〜」と、弦が印象的なフレーズを弾いてくるのだけど、そのフレーズも歌うんだよなあ。さりげなく・・・
いつもは印象に残るホルンの音色は、決して良いわけじゃーないのになあ。 ワタシは、やっぱ、木管の音色にやられたと思う。 木管の頃合いの、気づかない程度の柔らかさと、春のイメージを添えてくる爽やかな音色に、これはやられる。
ホントついつい、ホルンに、弦の響きに耳が行くのだけど、この盤は、木管のフレーズによって変わる音の添え方は、う〜ん。やられちゃった。フルートさんが巧いよねえ。
みどらしどれらそ パラパラパラ〜というフレーズも良いけど、それ以外の弦のカシカシと弾かれているのがリズミカルだし、最後は、テンポアップして〜 あらら〜という間に盛り上がっていく。
1楽章の速さ、熱さが再現されていくのだ。むむっ こりゃ〜 やられるわ。
この盤は、ベルリン・フィルだが、90年代にバイエルン放送交響楽団と再録している。この演奏も、聴いてみたいと思う。

メータ ウィーン・フィル 1976年
Zubin Mehta
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。活き活きとして、元気あふれる演奏で、重厚さと繊細さが、綯い交ぜになっている感じ。
シャキシャキしてて推進力もあって、一気に聴かせてくれる。
カップリング:シューマン 交響曲第1番「春」、第3番「ライン」

1楽章
メータ盤は、元気がよい。冒頭の金管は、ちょっぴり音が悪く、まろやかな響きを期待しているのに、薄いというか、木管の響きが薄いのかなあ〜
「みっ みぃ〜み みみ どれみぃ〜  そ そぉ〜そ そそ どぉ〜れぇ〜みぃ〜」
「ししぃ〜 らぁ〜そぉ〜ふぁ〜 みっ みれどしらっ・・・(ら〜 らそふぁ〜み)」
「ふぁふぁっ っそっそっ んみっみっ ふぁふぁっ・・・ らぁ〜そ ふぁみれぇ〜」
「みみみっ どどどっ っれれれっ みみみっ」という金管の和音は綺麗に決まってくる。

クリーミーな響きが本当は好きなんだけどな〜と思うが、なかなかに力強いのだ。
シャキっとした瑞々しさがあるので、パワーと共に押し出しの強さ、勢いが感じられる。
渦巻くように、弦がまわってくるところの加速感と、頂点に持っていくスピードが、すごい。
「どっどぉ〜 どど らしどど らしどど みっそぉ〜み」
「みみ ふぁれ どれ どし どれ らし そら っふぁふぁ〜そ」
「らっらら ふぁそらっら〜」と、弦のカシカシカシカシっ・・・という音が凄く気持ち良いぐらいになってきて〜
まるで、弦のみなさん全員、デッキブラシで掃除を始めたような音がしてくるのだ。(笑)
アクセントと、適度な重みと、しなやかな跳躍感。いや〜良いです。

パワフルなのだが、結構見通しが良く、弦の揺れるフレーズも巧いし、パワーアップして畳みかけてくるフレーズも、ハイ、気持ちが良いぐらい、シャキシャキした推進力となっており抜群に巧い。
「っれっれっ し〜れっ パーン パーんっ」「っれみ〜 しっれ〜しれっ〜そっふぁ」
リズミカルに弾んで、スイスイ。ティンパニーや低弦の響きも重すぎず、快活だし〜
下からぐわーっとあがってくる元気の良さがあり、スカッとして格好もよいし、良いわっ。こりゃ〜良い!
と、単純なワタシは、この1楽章の推進力で、もう拍手状態になってしまった。
シューマンって、まどろっこしい人だと思っていたのに、違うやん。
メータ盤で聴くと、活き活きとして、スポーツ選手のようになっているのだ。フレーズを伸びやかに歌わせる歌心もあるし、弦のピチカートも決まっているし、こりゃー やられました。

2楽章
弱音で、そろっ〜っと、「ど ふぁ〜れみふぁ らぁ〜そ〜 らしれ〜ど ふぁ〜そそ〜(そららら〜)
「し しどれ〜どし らぁ〜ふぁ れど〜ふぁ そみ〜ら〜」 
夢を見ているような、ふわーっとした歌謡風旋律で奏でられる。
「れぇ〜らぁ〜 そしふぁ〜」「しぃ〜ふぁ〜 みそふぁ〜」と上にあがるところで、重なるようにフレーズを入れ込んでくるところと、木管をバックに、チェロの甘いフレーズが奏でられるところの、くすんだ甘さが良い。
ちょっと、木管オーボエさんは、平べったい音色が、ちょっと気になるが、不安げな気持ちがかきたてられているようで、特徴があり、印象に残る。

3楽章
「みっ らぁ〜そっそ どぉ〜しっし〜 そぇっ〜れぇれみ れっ〜どしっ」
「みっ みぃれ〜れぇ そぉ〜ふぁみ どぉ〜そぉぉ〜ら そふぁ〜み」と、力強くスケルツォが始まる。
切れが良く、それでいて厚みのある重みのあるアクセントがついている。
それでいて、ブンチャッチャというフレーズが軽やかに流れてくる。
硬いのだが、柔らかいという、チャチャカと、鋭いエッジで、弦が刻みを入れていくので、ごつくてキレの良さを感じる。チャカチャカ チャンチャンチャンっと、弦のキレが効いてます。
可愛いフレーズも入ってくると、軽やかさが生きてくるし〜 
硬いけれど、しなやかさも失わず、両極のバランスが整っているように思う。
だからこそ、のびやかな牧歌的なフレーズが、リズミカルで歌うようにしているのが、活き活きと聞こえてくるみたいで。しなやかでもあって〜歯ごたえのある演奏になっているようだ。
う〜ん。結構、微妙なバランスで成り立っている楽章だなあ。と思う。

4楽章
華やかに幕開けしました〜という感じで、弦が滑って「そっらぁ〜 しっど〜れみぃ〜 ふぁ〜そぉぉぉ〜」
その後、妖精が舞っているような、チャカチャカ〜 弦の飛び跳ねていくような可愛らしいフレーズがあり、木管の「ししっ ららっ ししっ ど れれっ みみっ どどっ しれどしらっ」
低弦の「らっし どれ〜みっふぁしぃ〜」という掛け合いが面白い。
重さの違う、硬さの違うフレーズが、手をとりあって踊っているかのようで、木管の柔らかくて、オチャメで、よく巻き舌風に、ころりん〜っと音が転ぶんである。
で、美女と野獣って感じのするメルヘンチックな演奏になっている。むはぁ〜 メチャ楽しいよぉ〜 森のなかの妖精達の結婚式みたいで、メンデルスゾーンも、真っ青の可愛いフレーズが、詰まってて、 えーっ シューマンの1番って、こんな可愛い楽曲だっけ。と、メチャクチャ驚いてしまいました。
弦の軽やかさ、木管のカラフルで軽妙で、オチャメで、可愛くて〜 弦の細かい音符が、空中に舞ってくるような、メルヘン的で可愛いくせに、しっかり硬めで重厚で、ホルンやフルートの良い響きにくるまれており、 う〜ん。絶品だよなあ。

スウィトナー盤も、とっても軽やかで妖精たちの踊っているようなシーンが思い描かれた。 メータ盤は、男っぽいし、残響も多くないし、ふわっとした浮遊感のようなモノは少ないのだが、恰幅良く、堂々と、誇らしげに奏でられており、ドイツ臭さがイッパイ。 「たけなわの春」って副題がついているが、それ以上に、熱くて〜春らしくなく、もはや開放的な初夏を迎えている感じ、春というイメージを超えてます。 きゃー 立派っ。

総体的にメータ盤は、重厚で、かつしなやかにリズミカル。
元気いっぱいの筋肉質的だけど、丁寧に、場面場面を描いているように思える。
76年当時のメータさんって、なんてキビキビしてて、確信を持って、立派に演奏しているんだろ。 グイグイ引っ張って、パワーあふれる演奏で、惚れ惚れしちゃう。 それに比べて〜 う〜ん。最近、元気ないよなぁ〜

バーンスタイン ウィーン・フィル 1984年
Leonard Bernstein
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

録音状態はまずまず。その昔、ご推薦されていた雑誌を見て買ったんだけど〜世間の評判とは違って、ワタシ的には、好きじゃないなあ。荒々しく、緻密 さに欠けているように思う。ささくれだって聞こえる。
カップリング:シューマン 交響曲第1番「春」、3番「ライン」
1984年のライヴ盤である。

1楽章
いきなり金管がミミミドレミ ソソソソソラレミ〜 弦楽が重い音で、シュルシュルシュルーって下降音で、ティンパニーが鳴るのだが、すごくエキセントリックだ。
若い時、シューマン、シューベルトの交響曲が、苦手 だったのだが、そのイメージは、このバーンスタイン盤で形成されてしまったようだ。今も、若い時にシューマンの交響曲をバーンスタイン盤聴いて、えっ。ぎょっ。と、のけぞってしまった記憶が甦ってしまう。
ひとことで言うと、すごく、荒っぽい。スウィトナー盤と比べてみると、雰囲気は違っていて、雲泥の差と言っても良いほど。
神経質で、これが同じ曲とは思えないほどに、ささくれ立っている。
最初の和音と、その後のティンパニーは、う〜ん。オマエは病気か。と言いたくなるほど、悲劇的で、暗いし険しい。
ヴァイオリンが小刻みにフレーズを刻みはじめて、華やいだ春らしさが出てくるものの、野性的で、荒ぶれた神々が、野放図に走り回っているような感じで。なんとも・・・。
セカセカしてて、落ち着かないのだ。なにをそんなに速く演奏しているのかワカラン。演奏そのものも、破綻しているようなイメージだし、きっちり縦糸が合っていない。緻密さには欠けているし、そんな落ち着かないのだったら、トイレに行ってきたら?と言いたくなるほど。 およそ、穏やかな春というイメージではないし、 開放的でもなく、聴いてても嬉しくないわ。
こんな演奏が、評論家のおじちゃんからお薦めされてるなんて〜 変じゃん。
ライブ盤だから、メリハリをつけた起伏の激しい演奏になったのかもしれないけど、おおよそウィーン・フィルの華麗な音色は無いし、ホント楽しげな感じがしないのである。う〜ん。ワタシテキには、この演奏の気質は合わないし、むしろ腹立たしい。なんじゃこれ。

2楽章
ゆっくり〜 ホントゆっくりと、濃厚な浪漫派という感じで演奏されている。
バーンスタイン盤が好きな方は、この楽章の重厚で、ねっとりした感覚が好きなのかも。
確かに〜 う〜ん。この楽章は、テンポを遅めに、ゆっ〜たりと、ゆらゆら演奏するのが良いのかも。
妖艶な女性が、とろり〜っと横たわっているかのような、まどろみの演奏だ。
ちょっと、ご大層な演奏だなとは思うけれど、スケールがデカイよなあ。ちょっとデカすぎかも。
弦の高音域は透き通るように聞こえてくるのだけど、どこか分離しちゃったような感じがするし、木管類も、確かに綺麗なんだけどなあ。

3楽章
間髪入れずに2楽章から引き続き演奏される。
少し乾いた音が惜しいが、まるでブラームスの曲を聴いているかのような重厚さ。重々しさ、それと入れ替わりに軽やかなフレーズが流れる。
メリハリはついているが、テンポの落とし方が、ちょっとネッチリしている。
さっぱりした演奏が好きな方と、ねっとり気味が好きな方とで、かなり好き嫌いが出てくるかも。
総体的に演奏は熱いしなあ。情熱的とは良く言ったもので、熱いよ。結構・・・。
ウィーン・フィルなのだが、結構低弦が硬め。テンポの阿漕な落とし方が、う〜ん。どうかなあ。ワタシテキには、イマイチ、急ブレーキをかけて落とされているような気分で、一種の鞭打ち状態になってしまう。

4楽章
これも、間髪入れずに入ってくる。
スウィトナー盤が水彩画風であるすれば、バーンスタイン盤は、タッチの荒い、ごっつい感じの一筆書きのような油絵風である。 粘るのだったら、もっと丁寧に音を奏でて欲しいのだが、跳ねるし、あっちこっちに八方美人的に良いとこど取りをしているのか、良くワカラン。
テンポは、急に落とすし、急に速くなるし、一貫性が感じられない。
どっちに向いて、飛び跳ねているのか、よく解らない感じがする。
やっぱ1楽章同様に、荒々しいという感じだ。やんちゃなシューマンかな。
まろやかさが欲しいという向きには、ちょっと合わないかも。いやいや、合わなさすぎだが〜。
濃厚さはあるものの、ささくれている感じがするのは、どうしてなのだろう。2楽章は濃厚さ、たっぷりのだが、これは好ましく聴けた。しかし、1楽章、4楽章は、う〜 どうもねえ。

ティンパニーが、結構豪快に鳴ってて、確かにふむふむ。豪快だ。とは思うのだが、テンポが、速めだし〜
せっかくのフレーズが、ささくれていたのでは・・・ 粗悪な感じを受けてしまう。
伸びやかで自由闊達なところも欲しいが、これじゃー 春雷がアチコチで、暴れているような感じだ。
色彩感覚も、う〜ん。薄いのか厚いのか、と言われたら厚めなのだが、う〜ん。どうだろ。
不安定で、ごろごろっと鳴り始めては、ぐぐっとテンポはやめ、ぐぐっとテンポ遅め。と、一定しないところが、やっぱりワタシテキには致命傷である。
安定で、安心に聴ける演奏では、ないような気がする。
ワタシ的には、これは〜 いかにも乱暴でしょう。熱いのは良いけれど、乱暴で、横暴すぎじゃーないのかなあ。と思ってしまった。(あくまでも個人の印象ですけどねえ。)やっぱ、若い時に聴いた印象は、覆らないですね。嫌だわ。やっぱ。
嫌いだわ。なんども繰り返して聴くには、やっぱ〜 敬遠するなあ。
ライブ盤としては、エキサイティングで好ましく聞こえるのかもしれないけど・・・。 シューマンを何度も聴いてて、いろんな演奏を聴いてみたいという時の1枚に選んだ方がよいかもしれません。

スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン 1986年
Otmar Suitner
Sächsische Staatskapelle Berlin
(Staatskapelle Berlin

録音状態は良い。イエス・キリスト教会での録音なので残響が長く、響きが柔らかい。でも、この残響は好みが分かれるところだと思う。 メルヘンティックに聞こえる演奏。
カップリング:シューマン 交響曲第1番「春」、第3番「ライン」

1楽章
いきなり金管が「ど どぉ〜ど どど らしどぉ〜  み み〜み みみ どれみぃ〜」
金管(ホルンとトランペット)と弦と和音の響きのあと、弦楽がシュルシュルシュルーっていう下降音 が入ってきたあと、ずれたような、タタタン タタタン タタタン タタタン・・・と、ティンパニーが鳴る。
象徴的な冒頭だが、スウィトナー盤は、残響が多めで、爽やかなのだが、どこか夢想じみている。
聴きようによっては、ぼんやり気味の雰囲気だと言われかねないが〜
それに、どうも、第1稿版のスコアを使用しているので、響きが薄めに感じられるのかもしれないけど〜
綺麗なことは、綺麗で〜 和音の響きが嬉しい。

ただ〜 続く、「どっど〜どど らしど らしど みっそ〜み」 タッタ タタ タタタン という小気味の良いリズムが、幾分、ぼんやり気味なので〜 もう少し重みが欲しいところ。
う〜ん。軽やかなステップを踏んでいるような気がしない。
爽快な春の幕開けというよりは、うん。どっか、昼寝の寝起きみたいで〜 ちょっと。これは、、、う〜ん。
ちょっと金管と低弦が遠いのかな。
弦の響きが立体的ではあるのだが、低弦の響きが、遠く聞こえて、もう少しあったほうが、重みがでて、リズミカルそのものが、もっと軽快に響いたかもしれない。
ただ、羽毛のように軽やかで、間接音がタップリ気味なので、大型スピーカーで、ちょっと大きな音量で再生すると面白いかもしれないけど。
物憂げなトーンから、さっと広がるような開放感よりも、雲の上の、ふわふわ感がある。
金管の後に続く、弦の響きが、もう少し欲しかったかな。か細すぎるかも。
「そら〜そ ら〜そ ふぁれみ みそ〜 みそ〜 ふぁ みれど」 フルートの響きも柔らかく、夢見心地であることは、スゴイ世界である。弦の軽やかな柔らかい流れに、うっとり 恍惚感たっぷり。
最後は、すげ〜綺麗です。 「み み〜みみ どれみ〜 みっみ〜みみ どれみ〜」という、金管の和音がすごく綺麗で〜 うっとり。ティンパニーも美しすぎるほど、美しく入ってくるので、この残響多めの演奏が、やみつきになるかも。 柔らかいソフトフォーカスのなかでの煌めき感は、他を圧倒しっちゃう。

1841年の初版、つまり第1稿を使用した演奏だということなのだが、ワタシ的には、分析をしていないので〜通常版との違いが、ちょっとわからない。音程が3度低いらしのだが。耳が悪いのかなあ。

2楽章
「どふぁ〜れみふぁ ら〜そ〜 らしれ〜ど ふぁ〜そそ〜」 
どうも、はっきりしない、物憂げな旋律で終始しちゃう楽章だ。木管と弦との絡み、金管の合いの手が入ったあとの木管の響きが、遠くから、線を描いてくるのだけど、弦が終始、「ど〜らしどみ〜れ みふぁ〜ら〜そ ど れ〜 」 まどろみの世界を描いているようで、春眠暁を覚えずみたいなモノ。
綺麗な旋律で歌いたいところだが、眠気を誘われ、深々とした息づかい、長めの旋律が続く。
スウィトナー盤は、夢幻そのものの演奏だが、これが爽やかでもある点がいい。それに音の響きが綺麗だ。

3楽章
いきなり冒頭で、「みっらぁ〜 どっそ ど〜しっし〜 そっ れ〜れっどしし」 
チェロとコントラバスの印象的なフレーズが登場するスケルツォだが、まったりしているものの爽やかさがある。この弦の奥ゆかしい響きが、とても印象に残る。
「ん たぁ〜たたた たぁ〜たたたた た〜たたた たぁらら〜」 ちょっと変わったトリオで、特徴のある主題が、主となる低弦の響きが、とても柔らかいのだ。
荒々しく主題を奏でる盤も多いのに、なんともまろやかで〜 なんとも柔らかい。
繰り返し奏でられる主題は、とても印象に残るし、耳に染み渡ってくるが、その間に挟まってくる木管や弦のポロポロ〜と囁く主題が、ふわっとしている。

4楽章
序奏部分は、爽やかで軽やか。
う〜ん。水彩画を見ているような、さらっとした感じで風景画のようである。
シューマンの音楽が、まるでメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」のように聞こえちゃう。妖精パックが踊っているわけじゃないんだけど、ホント似ているかも。 「らっし〜 どれっみ〜 ふぁそら〜」という弦の主題のなかに、軽やかな木管の間を弦が合いの手を入れてくるし、「しっそ〜 みふぁっそ どしら〜」と、弦の音色と、まろかで色彩的な金管の柔らかいトーンが、絡み合ってて、ちょっぴり華やかでさえある。 低弦のもつ主題は、木質的だし、森林のなかで妖精たちが踊っているかのような夢幻的な要素が強い。えっ たしか〜 タイトルは春なんですけどね。
スウィトナー盤で聞くと、木漏れ日の射し込む森林で、妖精が住むような可愛い世界が広がり、そこに、爽やかな風が吹いて・・・という感じだ。 重厚さもあるが、ドイツ臭くないというか、丘陵地の英国風というか〜スコットランド風というか。

シューマンの春には、一応、1楽章は「春の始まり」、2楽章は「夕べ」、3楽章は「楽しい遊び」、4楽章は「たけなわの春」という副題があるそうなのだが、スウィトナーさんの振るこの盤では、メルヘンチックに感じられるし、春たけなわという感じではない。 もっと、軽やかで爽やかである。 結構、堂々と終わっているのだけど、うん。メルヘンティックだ。やっぱメンデルスゾーンに近い雰囲気を持っているような気がする。

ドホナーニ クリーヴランド管弦楽団 1987年
Christoph von Dohnányi
The Cleveland Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手


録音状態は良い。とても、すっきりした端正な演奏で、それでいて、とても美しいバランスで奏でられており、とっても驚いてしまった。これはいいっ。
1〜4 シューマン 交響曲第1番
5〜9 シューマン 交響曲第3番「ライン」
1楽章
録音状態の良さに驚いてしまった。とても透明感があり、すっきりしたシューマンの春だ。
え〜 こんな綺麗に聞こえるなんて、とっても信じられないっ〜というぐらい、驚きの演奏と録音である。
シューマンの交響曲といえば、いつも、なにか混濁したような、濁った音っというイメージがするのだが、これは、ワタシの勝手な思い込みだったのかも・・・と思わせるぐらい、別モノに整えられて提示される。
ドホナーニ盤は、これだけ、すっきりと、みごとに整えられた演奏は、聴いたことがないように思うほど、ホント、もののみごとに整然と演奏されている。

ある意味ドライな演奏かもしれないが、音が綺麗に並んで、次々と繰りだされてくるかのようで、気持ちが良い。
1楽章は、金管コラールのところの、妙にずれた金管のフレーズ、みみみ どどど れれれ みみみ・・・という、ズレた音のズレ方が絶妙だし、木管群の間合いが充分にとられており、弦の絡みつく場面も、とても魅力的なハーモニーになっている。
そして、冒頭から続けて主部に移り、ホルンやトランペットで、そそぉ〜 そそぉ〜っと、鳴り始めるところから、ティンパニーが出てくるところの、みごとなアンサンブルには、舌を巻いてしまった。
適度な叩きのティンパニーは、特に気持ち良くて、明晰さを感じるし、全ての音が引き締まっている。
弦の「たらら ららら」という音を繰り返して行くところも、推進力があって、明快で、とても気持ち良い。
かといって、リズムが完全主体ですという風でもなく、ポイントとなる楽器で締めているという感じだろうか。
全体的には、穏やかで柔らかい音質で包まれているが、スパイスのきいたリズムが、絶妙だし、主体となるフレーズは際立たせているし、う〜ん すごい。下手に音符を伸ばして、まどろっこしさは出てこないし、木管のフレーズは、控えめに吹かれているし、密やかさもあって、 すきっとした爽やかさを醸し出している。

音量の加減かも知れないけれど、分厚くなっておらず、重さを感じさせない。
ちょっと音量を控えめにしているのかな〜 全ての楽器が、思いっきり鳴らさないところが良いのかもしれない。
例えが悪いが、腹八分目という感じだ。ホント、相当に例えが悪いが、これがイチバンわかりやすいかもしれない。(笑)
トライアングルも、遠くから控えめに鳴っているし、歌謡風のフレーズになるところも、こてっと歌わないで、爽やかな歌い方をしている。弦のフレーズが、とても綺麗で、流れが良く、シェイプアップされた、しなやかな体躯のした、美女という感じで、チャーミングだ。 なにせバランスが絶妙っ! これにつきる。
何度で繰り返して聞いても、う〜んっと、唸ってしまうほどの美しさだ。
もう、この1楽章だけでも、充分に満腹状態で〜 嬉しい悲鳴をあげてしまうほど。
ワタシの耳では、全てを聞き分けられないが、中枢では、嬉しい悲鳴をあげている。

2楽章
柔らかい弦のフレーズで、「どぉ ふぁ〜 れみふぁ らぁぁ〜そ〜 らしれぇ〜 どぉ〜 ふぁ〜そそぉ」っと出てくるところは、首筋を、ふわっと触られた感じで、 穏やかさと共に神秘的ですらあって、神妙な面持ちになってしまうほど。
特に、「れぇぇ〜ら そしぃ〜 れぇぇ〜ら そしぃ〜」というフレーズのアタマは、うわっと、ふわっと、音が出てきており、音にならない前の、なんというか音となる前の音、空気のようなモノが出てくる感じだ。
神さまの吐息のごとく、感じられるほどなので、思わず、ビクンっと耳が動く。
単に、穏やかなだけでなく、暖かい空気感みたいなものがあって、それに包まれるかのように思える。
ここは、リズムというよりは、なだらかさを強調したいのだろうか。
春の空に浮かぶ雲のように、ぽっかりしている。彩度は高くないので、もわっとしているのだが、陰翳がほどよく感じられて、木管のフレーズも金管の吹き方も、明晰すぎず、穏やかさを保っている。

3楽章
2楽章から、すぐに切れ目なしに演奏される楽章で、まるで、ブラームスの曲を聴いているかのような重厚な楽章なのだが、ドホナーニ盤で聴くと、速めに軽く始まる。2楽章に引き続き、まるで、雲のうえに乗っているかのように、 雲を見上げているかのように軽さが感じられる。
他盤と比べると、まるで別モノのように聞こえる。
チェロのフレーズが、軽やかに弾んでいるし、低弦のゴツイにアクセントが強烈についてて、うわっと思うほど暑苦しいのが、普通だと思っていたのだが、とても、軽やかに爽やかに進んでいる。
中音域の音も聞こえてくるが、厚くない。
で、弦の木管のフレーズが、この楽章では明瞭に線を描いて、また、点を置いて通っていく。
宙に浮かびながらも、線としてのクリアーさがあり、また、ティンパニーが、要所で締めている。
中間部は、木管が美しく聞こえてくるのが印象に残る。チェロの中音域の弦が主体となっており、そこに上乗せするヴァイオリンは控えめに演奏されているようだ。

4楽章
序奏部分は、ゆったり穏やかに、優美に幕を開ける。
で、序奏が終わると、弦と木管が、軽やかに登場して、まるで、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」のような感じに聞こえてくるのだが、期待通りに、とても可愛いチャーミングなフレーズが続く。
さらっとした感触なのだが、ちゃんと、弾んで、音が立っていく感じがする。

ん パパパん ん パパパん という音型などが、さりげなく置かれてきたり、弦と木管の弾むリズムと、中低音の弦の呼応が、とても楽しい。
付点のリズムも、速くもなく遅くもなく、妙にアクセントをつけて、カツンカツンとは弾まないので、まろやかだ。
あまりアクセントを付けなくても、この楽曲は、スムーズに流れていくのかもしれませんねえ。
反対にギクシャクしちゃのかもしれず、縦に置いていかないで、流れて行く方を優先したほうが、気持ち良く聞こえるのかもしれないなあ。
特に、弦を聞いていると、ふむふむ。リズムは木管とヴァイオリンに任せてしまって、低弦は底流の流れをつくることに専念にしているのかもしれないです。特に、フルートの気持ち良い、軽やかで自由な雰囲気には、唸っちゃうほど。
う〜ん 美しい。妖精パックの羽根のようにパコパコと跳ねて、そして歌っていくので、う〜ん 嬉しくなっちゃいます。
ホルンの音色も綺麗だし、主題が変わるところも、スムーズに鳴っている。

総体的に、明晰だけど、クールになりすぎず、端正だけどチャーミング。もわもわっとした空気感ではなく、ふんわりした空気感で、整然と奏でられている。 すっきり、あっさりしているが、きっちり旨み成分があり、なかなかに魅力的。
こりゃ〜間違い無く、絶賛、拍手でしょう。

エッシェンバッハ  北ドイツ放送交響楽団 1999年
Christoph Eschenbach
NDR Sinfonieorchester Hamburg

    

録音状態は良い。 すっきりとしたオーケストレーションで、推進力の良い演奏だが、なんとも暗い春で、頑固というか、意地っ張りというか、ディベート合戦のように反論してくる。これジャーコミュニケーションとれませんよ。と言いたくなっちゃう。
カップリング:シューマン交響曲第1番「春」、4番、序曲「メッシーナの花嫁」
1楽章
「みっ みぃ〜み みみ どれみ〜〜  そ そぉ〜そ そそ どれみ〜」
「しぃ〜 らそふぁっみっ」
すっきりとした和音で、余計なモノがありませんって感じで、険しい顔で始まる。
ずれた「っふぁっ っそそっ っみみっ っふぁふぁ」
冒頭は、なかなかに、険しい、金管と打楽器で、タっ タタン タっタタンっと鳴って、穏やかさよりも、嶮しさ。厳しさと、劇的な要素が含まれている。
この序奏部分が終わると、なーんとも速い。「どっ ど〜どど らしど らしど みっそ〜み」
スピード感あふれる演奏だ。

昔聞いた、バーンスタイン盤のように、こってり甘口の重たい浪漫派的な演奏よりも、スイスイと進んで行くので、都会的というか呆れるほどにドライだ。
実に軽快感で、さらさらさら〜っと、春が、めくるめく勢いで、あまり深く感じることなく進んでいく。
速い時間の流れというか、時代の流れなんだろうか、いや〜メチャメチャ流れていっちゃいますねえ。

和音の重厚さより、旋律的が、小声で、サッパリと、薄めに、流れ落ちるように流れていく。
まっ 重いシューマンよりは、サッパリしてて、けろり〜っと歌っていくのは、どちらかというと今風で、聞きやすい感じがするのだが。はあ〜 これで良いんでしょうか。と、ちょっと驚いちゃうほど。軽い。

巻き舌風に、タッタ らった タタタ タッタ らった タタタ〜と、リズムが流れ行くところも、メチャクチャあっさりしてて〜 はっ?と驚いちゃうぐらい。また、合いの手の木管が、なんとも、こざっぱりと入ってくる。
スウィトナー盤では、軽やではあったが、そこに、温かさと、ふんわりとした華やかな要素が感じられたのだが、このエッシェンバッハ盤は、どこか硬くて冷たいのだ。
オケの音色なんだろうけど、翳りがあって、冷たい感じがする。で、能面っぽく、精気が感じられない表情のまま、早口で歌うのだ。そういう意味では、ちょっと不気味。表情の豊かさは、ワタシ的にはあまり感じられない。顔の表情を変えないまま、クールに論理的な答えを出す、秀才型の大学生みたいだ。
楽章の最後になると、ますますテンポアップしてきて、エキセントリック状態になってしまうくせに、自然と、アコーギクにテンポを落として、タメをつくって〜 粘る。
う〜ん。ワタシ的には、とっつきにくいタイプではあるが、音が濁りつつ激しく、軽やかに、そして、何食わぬ顔をして、タメて〜ためて〜 粘る。なんとも極端な演奏だな〜と思いつつも、結構、ハマル。

2楽章
「どふぁ〜 れみふぁ らぁ〜そ〜 らしれ〜どぉ ふぁ〜そ そぉ〜 ふぁらふぁらふぁら ら〜」
「らしどれどし ふぁ〜 ふぁどふぁ そみ ふぁ〜」
面白いぐらい揺れて、ゆらゆらゆら〜っとした音が出てくる。
音の強弱というか、1音の出し入れが面白いぐらいに強弱がついてて、弦でありながら、息を吹き込んで音を出すような木管楽器のように奏でられる。
このフレージングの長さと、ふわーっとした感覚は、不思議感がある。まるで、足のない美少女の幽霊が立って、こっちを見て微笑んでいるかのようである。(げっ!怖いじゃん)
いやいや、まっ 不気味ではないが、葦原のなかのような、タンポポの花が咲いてて風が吹いて、ふわふわした種が飛んでいくような雰囲気がある。
主題が変わると、結構、カシカシと鳴ってくるのだが、それでも、柔らかめ。春眠暁を覚えずって感じの楽章だが、速めに、すいすい〜 感情移入は、あまりできない。第三者的な、遠めの視線で、俯瞰した視線である。
何を言いたいのか、感情が平板化してるようで、よくワカンナイのだが〜 柔らかいフレーズではあるが、優美さには欠ける。見た目よりも素っ気ない印象を受ける。

3楽章
1楽章と同様に険しい表情で、出だしの「みっらぁ〜 らそっそ どぉ〜しっし〜 そっ れ〜れみ れ〜どし」と、チェロとコントラバスの強いフレーズが聞こえる。
木管の音色は柔らかいのだが、それを打ち消すように、「ん たぁ〜 たたた たぁ〜 たたた」と、怖い雷オヤジが説教するかのように咆える。
また、ティンパニーの音がガツンと入ってくるし、なんともイカツイ楽章になっている。
音の響きが硬いし、濁った暗い音で、ごごぉ〜っと響いており、シューマンの和音って、なんて汚いのだろうと思ってしまった。およそ春っていうイメージじゃないのだ。凍りついたツンドラ地帯か、氷河のように硬くて冷たい。ツルハシや金槌で、 大地を叩いているかのような、意固地な音が響く。

4楽章
えっー 優美な、華やかな、明るい楽章の筈なのだが〜 頑なフレーズが流れてくる。
オケの厳めしい硬い、冷たいクールな音質は、こりゃ「冬」でしょ。
この演奏は、どうにもこうにも、馴染めないですねえ。
「らっし〜 どれっみ〜 ふぁそら〜」という、弦の華やかな主題のなかに、軽やかな木管の響きが聞こえてくるはずなのだが、硬いよなあ。やっぱり。まろやかさとか、穏やかさが前面に出てこないで、イカツイ主題が、常に反論してくる。 この反論が、かなり意固地で、完全に打ち消してやる〜式で、ガツンと入ってくる。

まあ〜 やんわりと反論するというのが、社会性、協調性って感じの日本人気質では、う〜ん。
会社じゃー あんた、つまはじきだぜ。眉間に縦ジワをくっきり刻んで、まるで、ディベート合戦のように、嶮しさをより一層増しながら、お誘いを断り、頑強に打ち消してくるのである。あーっ なんて奴なんだ。これジャーコミュニケーションとれませんよ。 と言いたくなっちゃう。変な演奏だ。ホント変な奴だ。協調性のない奴だ。と言いたくなるような楽章になっている。
まっ シューマンさんの頑固さ、親密にうち解けない性格が出てるのかしらん。いや、指揮者のエッシェンバッハさんの性格なのかしら。

まあ、叙情的だとか、風景を描いたような、まろやかで穏やかな演奏とは言い難いし、結構、コワモテに、果敢に挑戦してきて、執拗なのである。で、ところどころ、木管が可愛く登場してるけれど、なかなか、雪解けシーズンは到来しない。なんだか、聞き進むうちに、 可愛い木管がいじめられているような気分で、う〜ん。やんなっちゃった。春は遠いのでした。
あーっ まどろっこしい。なんて、暗い陰気な春なんだろ。やっぱり、エッシェンバッハさんは天の邪鬼だぁ。

1963年 クーベリック ベルリン・フィル ★★★★
1976年 メータ ウィーン・フィル Dec ★★★★
1984年 バーンスタイン ウィーン・フィル ★★
1986年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン De ★★★★
1987年 ドホナーニ クリーブランド管弦楽団 Dec ★★★★★
1999年 エッシェンバッハ 北ドイツ放送交響楽団 ★★★
2006年 シャイー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Dec  
所有盤を整理中です。

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