「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

スクリャービン 交響曲第4番「法悦の詩」
Scriabin: Symphony No.4 "Le Poeme de l'extase"(The Poem of Ecstasy) 


スクリャービンは、1872年生まれのロシアの作曲家です。モスクワ音楽院では、ラフマニノフと同級生だったことは有名です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
交響曲第4番は、1908年に作曲され、スクリャービンが神秘主義に傾倒した後期の代表作として知られています。
日本語の「法悦」は意訳で、原語のまま「エクスタシー」として理解するとよい。この標題の意図については、性的な絶頂を表すと考えるほかに、宗教的な悦びを表す、あるいは両者を包含しているという解釈もあるとのこと。
オルガン、ハープ、チェレスタなどを含めた4管編成の大オーケストラによる単一楽章の楽曲で、自由な形式の交響詩とみなされていた時期もありますが、拡張されたソナタ形式をとっています。
決まった調性を持っておらず、神秘主義に傾倒して以降の作品で頻繁に用いられる、神秘和音を完成させたとのことで、多彩な楽器が使われます。オルガン、チェレスタ、ハープ、鉄琴、イングリッシュホルン、バスクラリネット、ホルンはなんと8本・・・など。約20分の楽曲に、これだけの大編成で、効率が悪そうです。(笑)

弦のトレモロと木管を伴い、フルートによる意気消沈した主題が現れた後、独奏ヴァイオリンやピッコロなどに受け渡され、やがて、クラリネットによる、ゆったりした旋律が形を変えるなどして序奏を締めくくり、主部では、フルートが序奏で使用された2つの動機をモチーフとした主題を提示します。しだいに、大きくうねるように盛り上がり、金管楽器のトランペットによる頂点が繰り返されます。とのこと。

かつては、ちょっぴりエッチな気持ちで、この楽曲を聴いてみたけれど、はあ? なんじゃーこりゃ!
ワタシは、トンデモ交響曲だと思うんですが・・・。さて、どうでしょうか。

アシュケナージ ベルリン放送交響楽団 1990年
Vladimir Ashkenazy Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
(Berlin Radio Symphony Orchestra)

ばっちグー!

録音状態は良い。幾分、筋肉が引き締まった感じなので、とろけるような甘み成分が好きだという方には、向いてないかもしれないが、ほの暗く甘い。
カップリング:
1〜4 スクリャービン 交響曲第3番 神聖な詩
5 スクリャービン 交響曲第4番「法悦の詩」
6 スクリャービン 交響的楽章「夢」
アシュケナージさんのスクリャービンといえば、マゼールさん指揮のピアノ協奏曲や、ピアノソナタのCDがあるが、ここでは、自身が指揮を振った交響曲でる。

いつまでたっても、摩訶不思議な楽曲なのだが、その昔は、すっかり官能音楽だろうと思っていた。
で、ワタシ的には、エクスタシー、法悦って言えば、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニのバロック彫刻、聖テレジアの法悦を思い浮かべてしまう。白い透き通るような大理石に、口を半ば開けて、美女が、聖人女性が・・・なのだ。
こんな公の場では発言できそうにもない〜 うふふっ。
で、そんなイメージを持って、スクリャービンを聴くと、やっぱり、他の作曲家とは異なり、ちょっぴり、やっぱり〜 Hっぽい。

しかし、このアシュケナージ盤で聴く法悦の詩は、ラストにかけては、結構、鳴りっぷりは派手なのだが、いろんな面を持っているように思う。ベルリン放送響の音色は、ムーティ盤のフィラデルフィアには、色彩的には遠く及ばない。
どちらかと言えば渋くて、かっちり〜 とした構成力を持ちたいみたいに感じる。
そのくせ、甘さもある。
金管は、メリハリがあるというか、きっぱり、さっぱり、力強く吹かれているし、パッセージも短め。ロシアのオケのように、分厚くて、どてっとしたメタボ系の贅肉のようになっていない。たら〜んと、粘液が落ちてくるような、粘りでは、 吹かれていない。もちろん、垂れ下がったような語尾ではなく、キリッと締まっている。
ジャーンっと、ど派手な銅鑼が鳴っていても、たたーん たたーん たたーん と、負けないように鳴っている。

ラストに向かうところの場面では、相当に色彩的にはカラフルに、力強く、派手に鳴っているが、それまでは、渋くて、どちらかというと、引き締まった感がする。
静かな黒っぽい森を描いた、ドイツのロマン主義絵画ような感じがするので、う〜ん ちょっと意外かも。
大きなオケ編成で、チェレスタやハープも登場しているのだが、オケに埋没せず、しっかり聞こえている。
総体的に言えば、ブーレーズのように透明性が高く、品格を持たせた演奏と、ゲルギエフさんやスヴェトラーノフさんばりのとろとろ系、場末のナントカ〜という雰囲気のちょうど中間って感じの演奏だろうか。
  ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1990年
Riccardo Muti  Philadelphia Orchestra
トランペット:フランク・カデラベック

ばっちグー!

録音状態は、まずまず。色彩感覚に富んだスタイリッシュな演奏で、颯爽としており、格好良く決めている。
← スクリャービン交響曲全集 3枚組BOX Brilliantから発売されているもので、原盤はEMIである。
交響曲第1番(85年)、2番(89年)、3番「神聖な詩」(88年)、4番「法悦の詩」(90年)、5番「プロメテウス」(90年)

スクリャービンの「法悦の詩」は、交響曲ってことになっているが、とっても不思議な約20分程度の楽曲である。
一応、邦訳は「法悦」って言葉を使っているが、原題は、Le Poeme de l'extaseだ。
英語になると、The Poem of Ecstasytである。

若い頃、えへへぇ〜 ちょっと下心ありで、ちょっぴりエッチな気持ちでこの楽曲を聴いてみたが、はあ?
さーっぱり意味がわからず、なんじゃーこりゃ?!
CDに添付されている解説や、クラッシック音楽のウンチクが書かれた本なども読んでみたこともあるが、う〜ん。さっぱりわからない。 神秘和音と言われてみても、確かに伝統的な和音とは違うけれど、それが、いったい何?
ってわけで、よくわからない〜と、お蔵入りの放置状態だった。

どこが、おもしろいのか、どこが革新的なのか、どこが神秘的なのか、ムーティ盤は有名だからと何度か聴いてみたが、今になって聴いてみても、よくわからない。 すごく、カラフルだな独特の色彩感だとは感じるが、1908年に作曲されたこの曲を聞いて、タイトル通りにご満悦になる方もおられないだろう。結構、風変わりな交響曲であることは確かだが、それを分析的に説明するのは、たやすくない。

吉井亜彦さんの「名盤鑑定百科 交響曲篇」から引用させていただくと・・・
なにしろスクリャービンは、デリケートな感受性とロマンティックな音楽観をもちながらも、数々の斬新な実験的試みに対して意欲的であった。自らの音楽を色彩によっても表現しょうとしたことなどは、現代においてなら彼の時代よりもっとウケたかもしれない。 自らの音楽と香りまでも結びつけようとした試みも、今ふうといえば今ふうであろう。
法悦の詩という宗教色を感じさせるような名でよばれているが、実際にはもっと官能的な内容で、いわば恍惚の詩に近い。スクリャービン独自の「神秘和音」により、全体はかなり危なっかしく、不安定で、しかも、きわめて自己陶酔的である。 あたかも、マジックをかけてどこかにひきずり込んでしまおうとしているかのような音楽、とでも形容すればよいのかもしれない。まさにスクリャービンの独壇場とでもいうべき性格の交響曲だ。・・・と書いてあった。

う〜ん マジックかあ。マジックというよりは、睡眠薬みたいな、やばいクスリっぽい楽曲でしょうけど。
試みは、わかるような気がするし、今に通じるモノも感じられて、麻薬チックなモノを追求した試作品的な、感覚追求型の楽曲なのだろうかと、また理論を確立しようとしていたようにも思えるが、それが何?って突っ込みたくなるのだ。
音楽を楽しいと感じる要素を、グラフ化してみても〜  1つの要素のみを、グラフを突き破るかのように突出しても、はたしてどうなのかと思う。
聴いてて愉快に思う、ルンルン気分で弾む、その愉悦性の延長線に、果たして官能があるのか、って言われても違うと思うし、馥郁たる香り、芳醇な香り、色気がある〜としても、現実に音楽が果たす役割や効果はどうなのか、想像力をかきたてる役割としての音楽も、 結局のところ、どう人に作用しているのか、なんにも解ってないような気がする。
そんな程度の感性、理解度では、 この天才肌の作曲家には、ワタシは、ついていけないのである。
21世紀になれば、脳科学分野ももっと進み、この楽曲の理解は、高まることを祈るが〜 今のワタシでは、祈ることしかできませんね。

まあ、そんな感じで、ムーティ盤を聞いてみたのだが、トランペット、トロンボーン、ホルンの金管が大活躍の楽曲である。
トランペットは、とてもストレートで明るく、颯爽とスピード感を持って演奏されている。
押してくる波も、たたぁ〜 たたぁ〜っと 鋭く、速く、鋭角的に波打っており、健康的でスポーティだし、金管の響きが煌めいており、どこかハリウッド的というか、華麗で賑々しい。
楽曲自体の持っている分厚い響きが、重たすぎないで沈み込まず、淀まない。 この分厚さで、スイスイと動くさまは凄い。きっと、高音域の音の流れが綺麗に見え、比較的速いスピードで泳いでいくため、動きがスマートだと感じるのだと思うのだろうと〜。

まあ、ひとくちでいうと、泥臭くなく、暗闇にひっぱっていこうとするような悪魔的でもなく、いたって健康でスマートだ。
ハリウッド映画、昔のミュージカルスターのような明朗さがあって、見てて、すがすがしいというか、可愛いというか、予定調和的なところが、聴いてて安心できるというか・・・ エンターテイメント性にたけているというか。
トランペットをはじめ金管のカラフルさと、スピード感に圧倒されるというか、見てて、(聴いてて)さっぱり〜しており、泥臭くなく、 身のこなしの優美さが、視覚的に訴えられてくるという面白さがあって、最後の一音まで、格好良すぎる。
ハハハ、指揮者は、伊達男を気取ってますよね〜と、そういう意味では痛快だと思います。

  ブーレーズ シカゴ交響楽団 1995年
Pierre Boulez  Chicago Symphony Orchestra

ばっちグー!

録音状態は極めて良い。いろんな楽器が登場して派手に鳴っていくが、とても見通し良く整理されている。とても聴きやすい。
カップリング:
1 スクリャービン 交響曲第4番「法悦の詩」
2〜4 スクリャービン ピアノ協奏曲
5 スクリャービン 交響曲第5番「プロメテウス」
ピアノ:アナトール・ウゴルスキ Anatol Ugorski
「どぉ〜 しどぉ ふぁしどぃ〜 れみふぁ〜 れみふぁ〜」
「どみふぁぁ れみふぁぁ・・・ れぇぇ〜 らぁらぁぁ らぁ〜しぁ〜 ふぁぁ〜」 
「ふぁ〜み れそぉ れ〜み〜ふぁ〜 (ふぁ〜み ふぁ〜み) ふぁ〜みふぁぁ〜しそぉ〜 らぁ〜そしぃ〜 そら しみぃ〜」
なんしか、半音の詰まった長い音が、フルートや弦で綴られ、単に「しぃ〜ふぁ しぃ〜ふぁ」と奏でているように思う。

ブーレーズ盤は、録音状態が極めて良く、整理されており、木管が強調されているところは、火の鳥のようだ。
旋律としてというより、今、何の楽器が鳴っているのかは、とても見通しが良いのでわかるのだが、なにせ、この楽曲は、何を表現したいのか、わからないので聞きようがないって感じなのだ。
えっ? まさか、Hな行為を音化しているわけじゃーないでしょ。ですよね。
う〜ん 楽曲自身が意味不明だと思い込んで聴いているので、ますます、余計にわかりづらい。
「らぁ〜しぃ〜 どぉ ふぁ〜  そどしぃ(ぱぱっぱ) そどしぃ(ぱぱっぱ) ふぁど そどしぃ〜」

何か法則があって、それが、どう発展しようとしているのか、う〜ん。
金管が繰り返して吹いている旋律は、神秘和音って呼ばれているようだが、確かに綺麗な和音で、この心地良さを広めようとして使われているのだろうか、また、この楽曲を使って何か実験をしょうとしていたのだろうか。
う〜ん 謎が深まるばかりなり。
きっと、この時期、作家は、何か、象徴したいモノがあって、それをイメージとして表現したかったに違いないと仮定しているのですが、はあ〜 わかりませんね。冒頭に出てくるフルートが女性で、ヴァイオリンが男性?
いきなり出会って・・・となるわけでしょうか? そんなワケないですよね。

金管も綺麗で、大音量で大洪水になっているのが、きちんと、奥からの金管、大太鼓、鉄琴などの音も届いており、ホント、録音状態は、とってもナイス。極めて良いと思います。
数枚所有している盤のなかで、録音状態が良く、イチバン分析的だと思われる。
で、ブーレーズ盤は、完全に分析くさく鳴らさず、適度に、適度にですよ〜 甘さも残っており、下世話な楽曲にならず、きちんと丁寧に見通し良く、格調高く、楽譜を解析するかのように鳴っているように思う。

まあ、これだけ、丁寧に演奏されていても、実は、楽曲が謎めいており、どう聞いてよいのやら困ってしまうのだが〜
ブーレーズさんが、演奏しようと、この楽曲を取りあげているのだから・・・ きっと、良い楽曲なんですよ。
きっと咀嚼して、充分にわかりやすく演奏してくれている・・・はずなのです。
そのくせ、どんな風にして聴けばいいのか、ワタシ的には、まだ理解できていない。う〜ん、謎が解けず、なんだか腑に落ちませんが、スフィンクスの謎かけのような楽曲なのだと〜 そう考えておきます。
(なんという苦し紛れな答え)また機会を見つけて、再度チャレンジしてみます。

1971年 アバド ボストン交響楽団  
1986年 シノーポリ ニューヨーク・フィル  
1990年 アシュケナージ ベルリン放送交響楽団 Dec ★★★★ 
1990年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI ★★★★ 
1995年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 ★★★★★ 
1996年 プレトニョフ ロシア・ナショナル交響楽団  
1996年 スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団 Exton  
1999年 ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 Ph  
所有盤を整理中です。

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