「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ショスタコーヴィチ 交響曲第1番
Shostakovich: Symphony No.1


ショスタコーヴィチの交響曲第1番(ヘ短調 作品10)は、レニングラード音楽院の卒業制作として作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
1926年、レニングラードにおいて初演されており、熱狂的な反応を得て大成功を収めたそうです。清新で軽妙洒脱さにあふれ、巧みな管弦楽法を駆使したこの作品はすでにその後の活躍を予感させる完成度を示しています。

第1楽章
序奏部は、弱音器を付きの独奏トランペットとファゴットによる、軽妙で不安さの伴う導入部から開始され、独特の管弦楽法が印象づけられるもの。主部はソナタ形式で、行進曲の第1主題と、ワルツによる第2主題からなっています。展開部は序奏部と第1主題の楽想を扱い、第2主題は再現部で用いられて導入部に戻ります。コーダは、序奏部が静かに回顧されるものです。

第2楽章
スケルツォとトリオからなる楽章で、低音弦とクラリネットによるユーモアな主題で開始されます。ピアノが活躍するアレグロの再現を経て、トリオ主題によるコーダへと一気に演奏されます。モダンで、スピード感あふれるスケルツォです。

第3楽章
三部形式による緩徐楽章で、弦楽の静かな波動の上に現れるオーボエが、輪郭のはっきりしない旋律を奏し、チェロ独奏は、ワーグナーの「ジークフリート」や「トリスタンとイゾルデ」の動機、「運命の動機」の旋律が、引用されています。弦楽器のピアニッシモの楽節は、第8番のパッサカリアを予感させるものです。第2主題は葬送行進曲で、小太鼓のトレモロがクレシェンドで響き、アタッカで切れ目なく最終楽章に移ります。

第4楽章
バスの三連音の鳴動と木管楽器の悲愴な楽句で、レントの序奏部で開始されます。第1主題は、第1楽章の第1主題と関連し、2本のクラリネットが軽快に歌い、ヴァイオリンによって激しいクライマックスへ導かれます。主部では2つの主題が、ソナタ形式に基づきながら巧妙に変化しますが、クライマックスに達すると突然休止します。直後に、独奏ティンパニが強弱の変化を伴った不思議な音型を奏します。弱音器を付けたチェロが、第2主題を回想したのち、最後は第1主題と第2主題が組み合わされたコーダによって、トゥッティで華々しく終わります。

ショスタコーヴィチの楽曲は、とっても複雑で、軽妙さや諧謔さが見え隠れしながら、段々と進化していきます。理数系のアタマでないと理解しづらいように思え、また、裏の裏を見ないといけないようでもあり、どこか、ひねくれた感じがして、どうも苦手です。とにかく、1番から聴かなきゃ〜っという感じです。

デュトワ モントリオール交響楽団 1992年
Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。ショスタコというよりも、お洒落な雰囲気を持った、軽妙な演奏で、色彩的で重苦しくなく、ふわふわした感覚もあり、決めるところは、シャープに決めてくるし、イマジネーションが豊かになって、とても聴きやすい。
カップリング:
1〜4 ショスタコーヴィチ 交響曲第1番(92年)
5〜9 ショスタコーヴィチ 交響曲第15番(92年)
1楽章
デュトワさんのショスタコーヴィチって、えっ? と、驚いちゃう感じだが、意表をついた軽快で、お洒落な感じの楽曲になっている。ひととおり聴いて、むふっ。と笑えてしまった。
CDのブックレットを読ませていただくと、1991年春、デュトワさんへのインタビューにおいて、「交響曲では、まず第1番と第15番を録音したいと思っています。この組み合わせはまだ誰もやっていませんから。・・・その結果次第で第13番を考えています。」と、書かれてあった。
また、大宅さんの解説では、「たとえば第1番では、第1楽章の第2主題部や第3楽章、さらに第4楽章の導入部などに、まさしくチャイコフスキーの流れを汲む抒情性が息づいている。これは初演当時には必ずしも肯定的な評価を得られなかった材料となった。しかしチャイコフスキーに少年時代から心酔していたショスタコーヴィチが、最初の交響曲の中にチャイコフスキーふうの表現やその手法を持ち込むことも、自然の成り行きといえるだろう。」と書いてあった。

はあ、チャイコフスキーとショスタコさんの関連は、ワタシには、ちょっと解らないけれど、ん〜 そうなのかあ。と、素朴に感じてしまった。
まあ、そういわれたら〜というところもあるかもしれないが、ワタシ的には、チャイコとの関連はわからないし、あまり雰囲気は似ていないようにも感じる。で、デュトワさんは、その後、5番と9番のCD(94年、92年)はあるが、13番というのは、見かけないように思う。そのあたりは、ちょっと経緯はわからないけれど・・・
1楽章の冒頭は、さすがに軽妙で、カラフル。とっても色彩的だ。
木管のフレーズは、ほんとに弾んで、ショスタコとは言われても、ちょっとにわかには信じられないほどだ。行進曲風というより、ダンスをしているかのようでもあり、活き活きとした洒脱の効いた、超オシャレな楽曲に思える。
クラリネットも良い音だし、フルートとのセッションなんぞ、プーランクかしらんと思うような、フランス音楽のような感じだ。

2楽章
この楽章も、木管が活躍している。ファゴットやクラリネットが、とっても、すばしっこい。
ピアノも弦も、とても快適に走って行き、静まったところでは、録音が良いので、音がすーっと通っていく。
神秘性を持ちながら、暖かみのある音で、ふわーっと、清らかな水が滴のように垂れていく。この響きが、なんともいえない丸みをおびて、柔らかく、軽妙に弾み、ピアノの転がるリズムに乗っていくのだ。
「ふぁふぁふぁっ みそふぁっ みそふぁっ・・・」っと、金管が華やかにフレーズを奏でる。
で、転がり落ちながらも、弾んで行った後に、すっと抒情的に沈んでいく。
暖かな水のなかで、ふわっと何かが広がり、漂いつつ、ふわっと浮かんでいくところが、大きな暖かいモノに包まれていくかのようで、喜びを感じさせる。カラダを伸ばしつつ、水に浮かび、漂うところは、思った以上に、気持ちのよい広がり感がある。

3楽章
オーボエのフレーズは、音質は柔らかいが、しっかりとした芯があり、ゆらゆら響く弦を伴って、すーっと糸を引きながら宙で浮いていく。2楽章が水に浮いている感じだが、ここでは、無重力のなかで浮いているかのような感覚がする。
重力に逆らうかのように、金管が、ふわーっと神秘的な和音を並べていくので、まるで、スクリャービンの楽曲を聴いているかのような、官能性が感じられる。生暖かい感覚とも、隣り合わせのような・・・不思議感がある。
ゆらゆら〜 ぷわぷわ〜 なんだか不思議な膨張感もあって、気味の悪さも感じられる。
弦の旋律は甘美だが、軋みもあり、膨らんだり、萎んでしまったりを繰り返すかのようだで、憂鬱な気分にさせられる。

4楽章
鋭い小太鼓が入っているが、重苦しい感じで始まり、しばらくは鬱々としている。
が、ピアノが走ってくると、多彩な打楽器がいっせいに鳴り出して、めまぐるしく、賑々しい音響を、あたりに響かせていく。
ここの変わり方は、とっても素速く、そして華麗だ。
キラキラした音が、宙に放出されたかのようでもあり、また、静かに、静かに、キラキラした破片が、空中で舞って落ちてくるかのようだ。う〜ん、とっても美しい。
全休止のあと、ティンパニーのソロが、とてもシャープにガツンっと響いている。

総体的に、メリハリのあるリズム感、暖かみのある空気感、クリアーな音の響きと、ふわっとした、イマジネーションを豊かにする感覚・・・ う〜ん。ホント豊かに響き、煌めき感もあって、なかなかにダイナミックだ。
それに、色彩豊かなオーケストレーションで、唸るばかりなり。こりゃ〜 意外な組み合わせだが、最後は高揚感もあって、イマジネーションが豊かになって、とても聴きやすい。これは良いっ。すごいっ。


ロストロポーヴィチ ナショナル交響楽団 1993年
Mstislav Rostropovich
National Symphony Orchestra

ふむふむ。

録音状態は良い。まだ楽曲そのものに慣れていないので〜 また聞き比べをしていきます。
カップリング:
1〜4 ショスタコーヴィチ 交響曲第1番(1993年)
5〜9 ショスタコーヴィチ 交響曲第9番(1993年)
1楽章
どうも、ショスタコーヴィチは苦手だ。交響曲1番なんぞ、卒業の作品だというのに、既に完成してるやんか。
冒頭、ミュート付きのトランペットが、コミカルに、「れぇ〜みしふぁっ」 ファゴットが、「ふぁれっ みどっ それっ み〜 どしふぁれ・・・」って奇妙に絡む。クラリネットまでコミカルに登場してくる。
なんじゃーこりゃ、いきなりジャズみたいな感じで、へっ? ブラックユーモアのような劇が開始されるかのようで、いきなり、人を食っている。
クラリネットが、コミカルに、タラン タランっと、行進曲風のような行進曲でないフレーズを奏で始める。
「らぁ〜 そどっれふぁっ みれっ どっし ふぁっ」って感じで、弾んで行くのだ。フルートやクラリネットは、独創的に一人で吹かれている。クラから始まる「ふぁ〜そみ らぁ〜れし それぉ〜ど ふぁ〜れし ふぁぁ〜」というフレーズを、いろんな楽器で引き継いでいく。なんだか、交響曲というより室内楽っぽい。
この第1楽章の冒頭オーボエの旋律などは、R・シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」からの引用だというが、そうなの?

で、いきなりシャンシャンっと、シンバルが打ち鳴らされて、ミリタリー風行進曲になる。
「れぇ〜みど ふぁ〜しそ みし〜み れぇ〜」とフルートが吹かれ、クラや低弦でフレーズをなぞっていくが、どこか自由で、フワフワした幻想的でもあり、かといって、無機質的な空虚さが感じられるかと思いきや、突然、暴力的に爆発する。
あのねっ もうすでに、ショスタコワールドが広がっているのである。やっぱ〜 青春時代から、キレやすい青年だったのだ。(と、思ってしまった)

2楽章
低弦のうめくような旋律から始まるが、すぐに、クラリネットが、早口でまくし立ててくる。タッタラ タッタラ タッタラ・・・
ピアノも、タッタラタッタラ・・・ それも快速になってて激しく動き回る。とっても早くて目が回りそうだ。このリズムは、ファゴットにクラリネットで、かき鳴らされ、チャッチャッチャっと、小太鼓が締める。
おもしろいっていえば、確かにおもしろいのだが〜 あっとい間に終わり、中間部は、いきなりテンポを落として水中に潜ったかのように、低弦が、ずぶずぶ〜と沈んでいくものとなっている。木管も、それに連れて、深海魚のように鳴っている。
で、この転換は、アンタ躁鬱なの?って感じだ。
それがしばらく続いたかと思ったら、ファゴットが、「しどれっしっ ふぁっれどしっ れっどっしっ」と、鼻が詰まったような音で吹かれ、クラに引き継がれる。また、ピアノが、タンタら タッタ タンタら タッタ・・・と走り出す。
金管が、「ふぁふぁふぁっ みそふぁっ みそふぁっ・・・」 めまぐるしいフレーズが戻って、また、しばらく走り出す。
で、ピアノが、オチのように「パン パン パン」っと鳴らされ、金属片のような音も、シーンっとしたなかで鳴り響く。
う〜ん、なんと、おもしろいっ、おもしろいが、とっても風変わりだ。しかし、これが妙に聴いているうちに、スカッとする!

3楽章
2楽章のスケルツォ、3楽章に緩楽章のレントを持ってきており、普通とは逆になっている。
オーボエのフレーズで、ゆらゆら〜 あてどもなく、空虚に宙で浮きながら切れたタコのように、はためいたフレーズが吹かれる。静謐だが、とことなく気味が悪く、落ち着かないけれど、なんだか美しいという〜 ヘンテコリンな旋律だ。
また、チェロが、そこに合わさってくる。ん、チェロの甘い音質では、穏やかに、たおやかに変質する。
んて、また、小太鼓が、ん チャッチャチャ・・・と入れて、弦がユニゾンのように奏で壮大に膨らんでいく。
ここは、ワーグナーのジークフリートの引用だというが、トリスタンっぽくもあり〜 う〜 わかんない。
同じような音型が続き、トランペットと他の楽器が呼応しながら、陶酔的に奏でられて、次の楽章へ休みなく続く。

4楽章
小太鼓が続けて打ち鳴らされ、おいおい、これはオペラか〜っという感じで、先程の楽章のイメージをひきづっていく。
低弦の「ダダダダ〜ん」、木管フレーズの悲痛な音と、低弦のフレーズが、どことなく、やっぱワーグナーのような感じが出ている。それが終わると、最初に戻って、ピアノが走り回り、大太鼓、シンバル・・・ またまたコミカルな旋律に戻る。
畳みかける金管パッセージが終わったと思ったら、ヴァイオリンの悲しげなフレーズとなり、すすり泣く感じで、高音域にのぼっていくし〜 その旋律を奏でながら、トランペットが騒々しく鳴り響き、けたたましい。
で、いきなり全休止となって、ティンパニーが鳴らされる。
えっ ティンパニーなの?
終わったのかと思ったら、チェロが、すすり泣き始めるし〜 なんだか落ち着かないが、そんな不安な心情をふりほどいて、熱狂的なコーダへと突き進む。

う〜ん なかなかに凄い楽曲で、およそ大学の卒業制作作品とは思えないほど。恐るべし、ショスタコさまである。
他の作曲家の影響を受けていると言われているが、既にこなれているようにも感じるし、強烈な個性が早くも出現っ。という感じである。早熟というか、すでに作品に気質が表れており、さすがに斬新で、習作以上のものがあって〜ここから進化していくとは、既にレベルが違うような気がする。なんともはや〜


1992年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★★
1993年 ロストロポーヴィチ ナショナル交響楽団 Teldec ★★★
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