「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番「革命」
Shostakovich: Symphony No.5


ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、1937年に初演された曲です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に簡単に記述すると、第5番では、交響曲の伝統的な形式へと回帰しており、古典的な4楽章の構成となっています。

第1楽章 ニ短調 4/4拍子 ソナタ形式
 弦楽器により主題がカノンによって提示され、副次的な主題がヴァイオリンによって奏でられます。弦楽器の静かな刻みにのせられて、ヴァイオリンが静かに第2主題を奏でますが、調性が変わっていきます。ピアノが登場するところからが、展開部で、ピアノの上にホルンが第1主題部の副主題を、これを合図にして、主題が展開され、トランペットの行進曲風になり、第1主題となります。金管が第2主題を吹いて、クライマックスへ突き進み、再現部へ。コーダは、フルートやヴァイオリンソロが、第1主題の変奏を奏でてチェレスタの半音階で終わるもの。

第2楽章 イ短調 3/4拍子 複合三部形式 スケルツォ
 主題部は、第1楽章の第1主題の変形で、トリオはマーラー風のレントラーです。「カルメン」の引用があります。

第3楽章 嬰ヘ短調 4/4拍子
 緩楽章で、弦楽器には特殊なパート分けがされており、金管楽器は出番がありません。第1楽章に由来する主題が登場したり、第3主題には、マーラーの「大地の歌」、ロシア正教のパニヒダからの引用があるそうです。

第4楽章 ニ短調 4/4拍子 特殊な構成(三部形式に近い)
 冒頭は、木管楽器のトリルとティンパニのトレモロを主体に、ティンパニの叩く行進曲調のリズムのうえで、金管楽器が主題を奏でます。テンポが頻繁に変化し、弱音主体の瞑想的な展開が行われ、ハープが奏でたあと、小太鼓のリズムに乗って冒頭主題が回想されます。少しずつ膨れていき、シンバルやトライアングル、スネア、ティンパニなどの打楽器が参加して、ニ長調に転じた後、ティンパニとバスドラムが叩かれ、全楽器がニ音を強奏して終結します。

ショスタコさんと言えば5番の「革命」・・・というほど人気のある楽曲です。この楽曲では、晦渋さは、あまり感じられないものの暴力的で圧の強さ、そのくせ超繊細で〜と、めまぐるしく雰囲気が変わり、神経質で悲痛です。最後のテンポアップでは、超気持ち良く、快感〜っ!と叫びそうになりますが、そんな単純な楽曲ではないようです。(笑)

プレヴィン シカゴ交響楽団 1977年
Andre Previn
Chicago Symphony Orchestra

70年代の録音のわりには、まずまず良い状態だと思う。演奏は、初めての人でも、すんなり受け入れられそうな感じで、当たり障りなく〜といえば言葉は悪いが、深刻でも悲痛感も少なめで、かなり聞きやすい。
もちろん玄人好みではない。

1楽章
さほど、ブキミではない。重々しく始まるが、総じて明るく暖かめ。
ショスタコの5番なので、これでは、もちろんモノ足らない感じもしないでもないが・・・。
弦を、のこぎりのように、ギシギシ・ガシガシと鳴らす盤が多いなかで、しなやかに演奏されているようで、特に、ヴァイオリンの音など、甘美で艶っぽさを感じる。弦のピチカートも綺麗。
かなり美的感覚ある「革命」になっていると思う。
プレヴィンさんとショスタコでは、ミスマッチかな〜と思ったが、上品なショスタコが聴ける。
小太鼓の軍隊調のところも、几帳面で暴力的ではない。疾風怒濤のようには走らない。
テンポは、あまり変えず、揺らさず、丁寧さを感じさせる。
もちっと、走ってもよいかな〜と思わないわけじゃーないが。後半の美音がいい。

2楽章
リズムが良く、安定して聴いてられる。諧謔やアイロニーがあるわけでもなく、かなり誠実で律儀な感じ。祭典的で、明るい舞踏のような感じがする。ノー天気と言えばノー天気だが、思想や時代背景を除外した純音学として聴く分には、いいと思う。ところどころ、 ちょっとした劇的な演出が見受けられるが、初めての人だと聞きやすいと思うし、これで〜 いいんじゃーなかろうか。

3楽章
葬送的な楽章だが、美しく響いている。木管の泣き節、低弦に、ほろり〜とさせれられる。
ことのほか鉄琴が良く聞こえる。弦と共に、これからの幕開けを、ゆっくり演出している。
ヴァイオリンの高音域の美しさは、ほんと、惚れ惚れさせられる。堅いのだが、しなやかさを感じ、なんだか不思議な感じがする。冷え冷えした〜というわけではなく、人肌の暖かさを忘れていない。聞きやすい。
悲壮な感じはするが、人情味があると言えば良いだろうか。

4楽章
強烈な幕開けなのだが、めちゃめちゃ崩していないため、品がある。
凶暴な盤もあるが・・・ あくまで美しい。金管など、うま〜っ! 走り込んでくるわけではないが、やっぱ歯切れがメチャ良くって、粒がきっちり揃っている。アンサンブルが巧いんだなあ。
弱音部分も、う〜ん。満天の夜空に、星が輝いているような気がする。静謐で、 リズムがいい。
引きづったところがなく、歯切れ良く、リズミカルに最後まで持って行かれる。さっぱり系だ。

バーンスタイン ニューヨーク・フィル 1979年
Leonard Bernstein
New York Philharmonic

    

録音状態は良い。Blu-spec CD  ライブ盤
熱気があふれ、圧巻としか言いようのない最終楽章だ。名盤だと言われ続けているライブ盤だが、確かにねえ〜 ラストを聴くと拍手でしょう。
カップリング:ショスタコーヴィッチ チェロ協奏曲第1番 チェロ:ヨー・ヨー・マ (オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団1982年)

このCDは、有名な東京ライブ盤である。かなり伝説的なCDで、繰り返して再販されており、ワタシが持っているのは、普通のCDと、ブルースペックCDがある。その昔は、LPも持っていた。
ショスタコの5番って言うと、これか、ムラヴィンスキー盤というぐらいの極めつけの演奏だとされている存在のCDで〜 確かに熱気は抜群だし、ヌケが良くなったリマスタリング盤である。
リアルな空気感もある。

1楽章の冒頭は、ガシっと出てくる。低弦の響きは、やっぱり凄い。久々に聴いても、ぞくっとするような気がする。乾いた鋭敏な響きではないんだが、しめっぽく、蠢くような緊張感が持続してくる。
そのなかを、すり抜けるようなヴァイオリンの高音域が長い旋律を奏でて、キーンっとした金属的な響きを出してくる。
ドスンとする低弦の響きのなかを、高音域の旋律が、深海魚のように、水中のなかで動物的に動く感じがする。もわもわ〜っとした感じというより、透明度は高いが、メチャ暗いっ。

つーっと、カラダをクネクネさせて、ウミヘビのように動いていくような感じだ。
真ん中の中音域が感じられないし、弦も、オーボエを初めとする木管の響きもキツメ。
「み〜 みみみ〜 みっみみ〜 ふぁそ〜 れっみ〜 れみっ〜」と続く金管の響きはイマイチなのだが、この雰囲気が合っているというか。うっ。皮を突き破ろうとする鋭い爪を持つ虫のようだ。
ピアノが入って「そっそそそ し〜〜み〜 そ〜 れ れ〜〜 ど〜らっ〜」っというフレーズにさしかかると、シーンっとしてくる。生命の存在を否定されているような静寂感。
久々に聴くと、うっ ヤダっ。これ怖い。拒否反応が起こっちゃうぐらいキモワルイ。
息の深さ、粘り感、静寂感、蠢き感が、やっぱり気味が悪いのである。よくこんな交響曲創ったわい。
テンポは遅め、すごい精神性を感じるというより、体温は感じるのだが、冷たいっと思うような、ぞ〜とする蠢く、ぬるぬるしたような動物的な演奏なので、それ相応に聴かないと拒否反応が起こる。

ミリタリー調の行進曲に変わるところは、テンポアップしていくが、金管の咆吼が、これでもかーっと鳴ってくる。ダメ押し、何度すると気が済むのだろう。と思うほどの粘り。ハイ、リアルです。
ダンダンダン ダンダンダン・・・
「し〜し み〜どぉ〜 (らふぁ〜) ふぁ ふぁ〜」 フルートが鳴り出すと、ハイ一気に別世界に連れて行って貰えます。鉄琴の音もクリアーに響いているし、すごいリマスタリングである。
チェレスタの音も、すごい綺麗に入っているし、甘いとろけるようなフレーズで、なんと言う交響曲なんでしょうねえ。バーンスタイン盤は、やっぱり極めつけ。ただごとではないですよねえ 。
やっぱ、おいそれとは聴けません。
もう1楽章だけで、実際にはヘトヘト状態である。

2楽章
「みぃ〜れっれっし ど みふぁっそっし みふぁそ ららら らしどれっ・・・」と、コントラバスの低弦の響きは、やっぱり凄いモノがあって、打楽器のように響いている。コントラバスが跳ねているって凄い。
そこに、つんざくように木管が入ってくる。
シンバルの音が、チャンチャンチャン・・・と奏でられていくのだが、死の舞踏って感じなのである。
おっそろしい。低音の響きとティンパニーの音が、相当に不気味で狂気の沙汰。
いや〜 ホント、そこに甘いヴァイオリン・ソロが入ってくるんだけど、これ、死の舞踏じゃん。と思っちゃう。

3楽章
このラルゴの楽章は、悲痛な響きがたっぷりなのだが、どことなく甘さがあり、引きづった甘さをまき散らしながら、すすり泣き状態で、息を深く吸い込んで歌う。これホントにライブ盤?と言いたくなるほど、リアルな空気感があるので驚かされる。
木管の「れら〜そ れど〜らそらし〜み ふぁみそ〜ら れ〜」と奏でるシーンは、圧巻だ。
聴いている方も、息を呑んで聞き惚れてしまう。
どことなく、マーラーをイメージさせる演奏で、とろみ感がたっぷり。さすがにバーンスタインの振ったラルゴは、粘着性があり、そのくせ甘すぎず、透き通る音でイッパイにしてくるし、う〜ん。息の長さは凄いかも。
木管ソロが続くので、木管の醍醐味を味わえると思う。
「しふぁ〜み しそ〜ふぁ しらふぁみふぁそ〜」と、泣きの半音イッパイのフレーズに泣かない人は、いないんじゃーないだろうか。と思っちゃう。

4楽章
怒濤の最後の楽章で、すご〜く猛烈に速いっ。のけぞるほどに速い。
ティンパニーの音が、ダンダンダンダン・・・ は? こんなに速かったっけ。
で、弦が悲鳴をあげながら、いきなり走りだして〜 突き進むスピード感が抜群である。
ひぇ〜っ すごい前につんのめって走っていく姿は、もう圧巻っ。誰にも止められません〜という感じ。
楽章冒頭より、他盤より速いのだが、まだまだ、これから〜と言わんばかりに、さらに加速していくところが、えーっっっ。まだスピードアップするの。
ハイ、このスピードには、完全にのけぞって、驚いてしまった。
タララ ランラン タララ ランラン タララ ランラン・・・ タラ ララララ タタタ・・・
冒頭より、これ以上速くなるとはなあ。縦糸が合っていないと思う箇所もあるが、いやいや〜 テンションあがりまくりで、そんなこと、どーでも良いじゃん。と思う。
まさしく、火の玉のように転がっていく のだ。すかーっとするテンションの上がり方である。木琴が、キャーっとしうように叩かれている。金管のスネアも、ジャーンっ。ドドドドドドド・・・・
で、転がっていった火の玉は、一気に水の中にドボン。
急速に萎むところが、これまた、圧巻だ。
神妙な面持ちに早変わりして、美しく「どそぉ〜らそ〜 れそ どぉ〜ふぁそらそふぁし み〜ど〜みそふぁみら れら〜」と奏でる。
最後、ドンドンドンっとシコを踏むような音が鳴って、悲鳴をあげるような不協和音が、はち切れんばかりに膨れあがって、一気に放出されていく。
ホント、ライブならではの熱気充満型の演奏で、圧倒される。まあ、お見事としか言いようのない圧巻のライブ盤である。まっ、一度火の玉のように転がってみてください。


ハイティンク コンセルトヘボウ 1981年
Bernard Haitink
Concertgebouw Orchestra Amsterdam

録音状態は良い。響きが十分に伝わってくる。音の響きの良さには、うっとりするが、まっとうすぎて面白くないことも確か。
交響曲9番(ロンドン・フィル)とのカップリング

1楽章
ハイティンク盤は、あまり重々しく始まらない。
テンポは、かなり遅め。区切りが良いというか、アクセントがついているような感じがして、へっ? と思うところもあるが、弦や管の音色は、他と比べて、う〜ん、これまた渋い。
聞き応えはいいのだが、なにぶんにも、テンポが遅いために乗り切れないところあり。
息を凝らして潜んでいる感じがするのだが、私的には、緊張感が続かない。
が、中盤以降テンポがあがってくる・・・ げっ アップしているやん。 軍隊調になってきたところでは、完全に他の盤とテンポが同じになってきて、煽ってる〜  ふかーっ スネアがすごく響きが良い。
上品な深々とした残響で好ましい。雄叫びにはならず、キンキンにもならず、ふむ。この音色は良いなあ。
軍隊が遠ざかった後の、平和的なハートフルな音楽は、一転している。
これまた、テンポが、ぐぐぐっーっと落ちる。死体でも転がっているわけでもないのに、う〜ん、安堵感で疲れたのか。疲弊しているのか、緊張感がとけたのか、ここまでテンポを落とすと・・・
やっぱ、弛緩してしまった感じを受けるのだ。残念。もったいない。

2楽章
低弦の響きが豊かで、ほほ〜っ こりゃすごい。ティンパニー類の打楽器の響きが、これまた素敵で・・・
惚れ惚れするのみ。これは響きと音色で、ノックアウトされてしまう。ショスタコが、これほどのホールトーンで聴けたら、嬉しいなあ。やっぱ。あまり速くしてしまうと、響きが濁るので、このテンポで許そうって気になる。演奏は、そっちのけになってしまう。苦笑気味。

3楽章〜4楽章
悲痛 悲壮感から、高揚しだして〜 たまりかねたように、一気に音を吐き出すのだが、 う〜ん。
ハイティンク盤は、まだ余裕がある表情をしている感じで、淡泊というか、素っ気ないというか、余裕を持っていながら、がむしゃらには鳴らしてこないので、ツマランといえば。つまらないのですが〜
ハイティンク盤は、その淡泊な演奏そのものより、音の広がり感や、豊穣感、(ショスタコで豊穣感っていうのも変ですが)
録音の響きを楽しむことができる〜という感じです。


ザンデルリンク ベルリン放送交響楽団 1982年
Kurt Sanderling
Berliner Sinfonie-Orchester
(Berlin Radio Symphony Orchestra)

録音は、幾分くぐもっている。特に、低音域がイマイチ。
人肌の温かい演奏になっている。それが良いのかどうか・・・
ショスタコの5番としては、まったりしてて、異質な感じがしちゃう。

1楽章
どど〜ん。どど〜ん。と、なんとも分厚い音圧を伴って冒頭を奏でる。
ちょっと録音が悪いのか、くぐもっているのだが、それがまた、黒々とした雲が覆ったような、重々しい感じが出てて、、、良いような感じ。
ただ、冷たくて、凍てついた感覚ではなく、あくまでも人肌のぬくもりある、とても暖かい演奏になっている。
ぬるま湯的と言えば、それまでなんだけど・・・ 
冷たい大地なのだろうが、そこに存在する人の温かなぬくもりが、ザンデルリンク盤は重要なのだろうか、暖かさが、ずーっと消えない。この温かさは、弦の音色なのだろうか。
ショスタコの交響曲は、たいてい、ブキミな音が並んでいるのだが、ザンデルリンク盤は、角が丸いというか、ツンツン、トゲトゲしていないし、挑戦的でもない。
テンポも揺らしていない。金管が咆吼しているわけでも、弦が特段に厳しいわけでもなく、わりと緩やかなのだ。
う〜ん。ショスタコとザンデルリンクなあ。あまり合わないような気がする。
よく言われるように、ロシア的というより、ドイツ的なんだろうなぁ。それに、平和的で穏やかな旋律が、ザンデルリンクには、ふさわしい感じがする。銅鑼が鳴る前、金管が音をみごとに外している。どひゃん。

2楽章
重厚な弦の出だしの後、金管がまろやかに吹かれている。
重低音の響きが、堂々としてて・・・この堂々さに圧倒される。

3楽章
この楽章は、ザンデルリンクさんのよさげなところが勝っているようだ。ふわーっとしている。
ムラヴィンスキー盤のように、ガシガシ・・・と弦が鳴らないところが、ふーむ。深々〜 しんみり〜。

4楽章
ぴららら〜っと木管が鳴ったと思ったら、いきなりティパンニーが、テンテンテンテン・・・
ひえ〜っ この楽章、猛烈に速い 速い・・・ げっ! 狂ったように走り出している。
えっ これまでの楽章は、いったい何だったんだーっ。
まったり〜 ふくよか〜に、前の3楽章を奏でていたくせに、この楽章だけ特別なのだろうか。
全てぶっ飛ばす感じで、走り出してしまう。まるで手のつけられない暴れ馬のようで・・・。
このテンポで、最終コーダまで持つのかしらん?と心配したのだが、いったんブレーキがかかりました。
そこで、息を整え、ふかぶか〜っと間をとり、そこから延々と、最終コーダが続く。
このコーダが、これまた長く〜 長大すぎ。
さきほどの最終楽章冒頭のテンポが懐かしくなるぐらい。この楽章のテンポ設定は理解できない。
最後に、これだけ堂々と演奏されたら、手をあげて降参してしまう以外にないのだが、ちょっと執拗で辟易しちゃったというのが、ホンネである。
う〜ん。全体的に言うと、他の盤とは趣が異なり、まったりしたショスタコである。 あー お茶漬け食べたい!

ロジェストヴェンスキー ソビエト国立文化省交響楽団 1984年
Gennady Rozhdestvensky
USSR Ministry of Culture Symphony Orchestra

げっ ぞっ    これもありかっ ← ティンパニーの音には、アハハ〜っ。


所有しているCDは、1枚モノものがあるのだが、ついつい、ロジェストヴェンスキーのショスタコ全集 ロシア音源でよみがえる!っていう、ふれこみの10枚組BOXも買ってしまった。
「1983年年から85年にかけて、セッション録音されたロジェストヴェンスキーのショスタコーヴィチ全集の特徴は、何といってもそのエグイまでの過激な音楽づくりにあり、特に、第4番や第5番、第8番、第11番といった、もともと強烈な作品では、数ある同曲異演盤の中でも、トップ・クラスの金管&打楽器攻撃が楽しめるのがポイントです」と、書いてあったのだ。この言葉に、つい〜買っちゃった。
でも、ホント、この全集は、各楽曲の録音の善し悪しが、バランスがマチマチで〜
あれまっ・・・。やっちまったぜ〜という感じです。

まあ、この5番は許容範囲で、ワタシは酷くないと思います。
演奏それ自体は悪くないのですが、ティンパニーの音には、ちょっと笑えました。
ライブ盤かと思ったのですが、セッションのようです。ハイ・・・楽しみましょう。

1楽章
録音状態は良い。そんな酷くはないのだが、ティンパニーや金管の鳴りっぷりがすごく、マイクが、それぞれに立っていたのか、すぐ前で、収録したような感じがする。そこだけ、スポットを当てたように、わざと大きくしている感じがするのだ。
だから、オケ全体で響く〜というような、ホールの奥行き感は、望むべくもない。
84年の録音なので、その当時では、普通程度だったのかもしれませんがねえ。でも、ちょっと変です。
まあ、テンポも遅くもなければ速くもないし、ことさら深刻さや、悲痛な感じもしないし、演奏そのものは、さっぱりしているという感じがする。えっ そんな素っ気ない〜と言われても、まあ、こんな感想です。お国モノだし、ロジェストヴェンスキーさんが首席を務めていたし、海外に亡命されると困るので、このオケを彼のために創設したと、聞き及んでいるんですけど〜
この楽曲に対する思い入れは、さほど強くないのかもしれません。

2楽章
あまり粘らないで、木管のフレーズや弦のフレーズが、淡々と進んでいってしまう。
フルートやピッコロは、さすがに、ん〜にゃっ!  ん〜にゃっ! と尻上がりに伸ばしてくるのだが、そこだけなの? って感じになっているし、弦のピチカートも、粘りがないというか、アッケラカンとしている。
スネアが入ってくるところは、弦がスカスカしてて、オケの重層感が感じられないというか、少ないというか、やっぱり弦重視で行っていないというか・・・ オケ全体としては厚み感がなく、また、情報量が少ない感じがする。
ことさら打楽器だけは、イキイキとして聞こえてくるので、やっぱり、少しバランスが悪い。特に、ティンパニーは、すごい、ごっつい音で、ドンっ。と入ってくるし、打楽器軍団と金管軍団は、これ、別録音でしょ。って感じです。

3楽章
ラルゴの楽章としては、悪くないし〜 弦だけで奏でられているところは美しいし、フレージングも良い。
弱音で奏でられる場面では、濃厚で〜 シーンとしたなかで、フルートは美しく響いているし、ハープとの絡みも絶妙だと思う。せっかく良い低弦の響きもプラスされ〜 盛り上がってきたと思ったら、ピッコロが、ぴえーっ!
低弦のフレーズに耳を傾け、フルートの柔らかい響きに耳を傾けて、テンポゆったり、間合いのゆったりした濃厚なフレージングに耳を傾けて、聴き惚れているのに〜
「そそそ そぉ〜ふぁみ ふぁ〜 ししし しぃらそら られど しらど られど しらそぉ ふぁ〜 そぉぉ〜」

4楽章
はあぁ〜 ティンパニーの音量の、でかさに驚愕っ。
すごく乾いた、ぺらっとした、プラスチック製のような膜のような音は、すごすぎる。もはやティンパニーとは言えまい。
田舎で、農作業のおじいちゃんが、トタン屋根を修理しているみたいで〜 ひどっ。
弦の刻みは、まずまず良いのにねえ。
テンポが一定しすぎて面白くないな〜とは思うのだが、そこそこいけてるんですよ。
なのに、このティンパニーが打音すると〜 なんか、アハハハぁ〜 (息が抜けて はぁ〜) あっハハハ〜
盛り上がり部分で、ドスコイ ドスコイ ドスコイ・・・ ですからね。笑う以外にありません。

音量がアップしてきて、弦だけで収まらず、金管や打楽器が入ってくと、ソースかけ過ぎのトンカツを、ドンっ!と、いきなり大盛りで出された感じになってしまって、うへっ! 
なんて下品なお皿の出し方だぁ。と、怒っちゃう感じになるし、普通にやってくれれば良いものを、スパイスを効かそうとして、いじっているんでしょうねえ。ソースかけすぎっ。って感じです。
で、極めつけは、やっぱ乾いた、トタン屋根風のティンパニーの音でしょうか。
う〜ん、これは、めくじら立てて怒るよりも、笑ってあげるほうが、みんなシアワセになれそうな気がします。
ライブなの? いや、セッションのようです。

アシュケナージ ロイヤル・フィル 1987年
Vladimir Ashkenazy
Royal Philharmonic Orchestra

録音状態は良いとは思うのだが、あまりクリアーとは言い難い。少しボリュームを上げ気味にしないとダメ。音量の落差が大きすぎて追いつかない。 言っちゃ悪いが。ちょっと、のんびりしていて〜張りつめた感じがしない。「5つの断章」がカップリングされている。

1楽章
最初の方は、なんとなくテンポが私的にはあわなくって、だるく聞こえてしまう。
どことなく音色が暖色系なので、静謐感が、さほど感じられないのかもしれないし、張りつめた感覚が少なくて、緊張感があまり感じなかった。特に、ヴァイオリンの高音域の音色が悪い。 なんだかアンサンブルも下手って言ったら怒るかもしれないが、やっぱ。ダメ。
澄み切ったなかからの悲鳴に近い声が聞こえない。これじゃーダメじゃ。
中間部から、金管が入ってきてから推進力がついた。多少速くなっており、小太鼓が入ってくるところも、リズミカルではあるのだが、さほどテンポがあがらず・・・ う〜ん。
金管が入るとパワーが炸裂するのだが、それは他の盤も同じで、特別に何かをしているわけではなさそう。言っちゃ〜悪いが、かったるい〜。

2楽章
力強い弦で始まる。金管はパワフルだと感じる。ぶわ〜っと吹く金管が、ん? これは悪癖なのか。
これロイヤル・フィルだったよなあ。と意外な感じがする。この点、ちょっとロシア的かも。
弦も、妙に、ひよぉ〜っと、アクセントをつけて、ひっぱる〜 はあ?
この楽章は、ほとんどこのアクセントで行くようで、ひぉ〜っ ぷぉ〜っ、と言うのが耳に入ってくる。

3楽章
聴かせどころの多い楽章であるのだが、綺麗にそつなくまとめているようで、、、
地獄を見たような凍り付くような冷たさとか、凄みとかはあまり感じない。アンサンブルに、ん? と思うところがあるし、イマイチかなあ。 バランスも妙に悪いかなあ。
弱音のフレーズ部分になると、だるくて眠くなってしまう。

4楽章
目が覚めるような大音量で始まった。打楽器のパワーはいいんだが、雑と言えば雑かも。
テンポは、まず遅めから始まるのだが、弦に推進力があまり感じられない。
弦が緩いのかなあ。金管類は迫力あって、炸裂している感じがしていいのに。
静かな旋律になると、休憩かぁ? と思うほど、緩すぎ。
それに、小さくて聞こえなくなってしまってしまう。
金管炸裂時との音量の落差が大きすぎて、ボリュームの調整が追いつかず聞きづらい。とほほ。 これじゃーダメだよ。


インバル フランクフルト放送交響楽団 1988年
Eliahu Inbal
Frankfurt Radio Symphony Orchestra

ひぇーぇぇ〜

録音は、かなり透明度が高い。演奏は、陰鬱で、悲鳴や悲痛で満たされている。 恐怖の館に入った感じで、不気味なホラー映画のようだ。かなりおっそろしい。違和感はあるのだが、ここまでやるか〜と拍手してしまう。

1楽章
冒頭、あまり図太く出ない。もっと深刻で、もっと神経質に出てくるのかと思ったのだが・・・。
だが、やっぱインバルさんだなあ。陰鬱な響きで、そろ〜っと様子伺いのようで、潜行しているようで、なにやら、面白そうな気配がする。
ヴァイオリンの高音域は、カサカサ気味で、艶やかさとはほど遠いが、まあ〜 ショスタコだし。エキセントリックに聞こえて良いかも。微妙に震えているところが、幽霊の鳴き声のようで、うふふ〜っ。
金管は、う〜ん。ロシア的とはちょっと言い難いんだが、炸裂するところは、まあ〜 大音量で吹いているんでいい。ただ、途切れた感じがするんだが・・・。う〜ん。その点、ちょっと、もったいないかなあ。
金管類の響きが途切れるのは、どうもスカン。
インバル盤は、金管より、弦と木管類の悲鳴の方が、深淵を醸し出しているので良いと思う。
特に、ヴァイオリンの声は、かなり聴かせる。声にならない声というか、泣きというか、風のような揺らめき、う〜ん。微妙で緊張感がある。透明度も高いし、いろんなパーツが見えるし。すげっ。

2楽章
切れがいいね。やっぱ。ホルンも頑張ってる〜 小太鼓の響きもよく捉えている。
マーチの部分は、いたづらには速くない。ここは、なんと言っても、ヴァイオリンのソロが絶品。
全体の楽章として、小太鼓がマーチ風に奏でてはいるのだが、私的には、ショスタコ版 サン=サーンスの「死の舞踏」ではないかと思える。
まるで、1人寂しく、生きる屍が踊っているかの様相を醸し出しており、金管が合わさってくると、これが大勢で踊っているかのようで、かなり皮肉っぽい。
最後、ブレーキをかけてテンポを落とすのだが、骸骨が、ぐしゃっと壊れて、地面に落ちたようだった。

3楽章
なんて冷たい楽章なんだろう。屍が目の前に転がっているようだ。
うへっ こんな演奏 元気の無い時に聴いたらアブナイかもしれない。希望ナシ状態で、悲痛で、痛くてたまりません。
救いのない虚無感に陥りそうだ。いや〜 こりゃ。否応がなしに、引きずり込まれている。
木管のソロは、どうすればよいのだろう。これから・・・。と、ひとり呟いている人の声のようで怖いし、木琴の音色なんぞ、今にも倒れそうなオジチャンの恨みがこもった拳が、地面を叩いているようで・・・ ひぃ〜
恐ろしい間合いと共に、細〜い弦の音が続くあたりなんぞ、これは、怖くて凍えてしまう。
まるで、凍死寸前の「マッチ売りの少女」状態である。

4楽章
ひえ〜 やっぱ、みんなの怒りが勃発か? ん? しかし、人間くさくない音だ。
金管は炸裂しておらず、わりと抑えめである。これでは咆吼には聞こえこない。
わりと、客観的に演奏しているのかと感じてしまう。 銅鑼が鳴ると、これ、やっぱ怒りじゃん! と、人のパワーとしての炸裂だよなあ。と感じる。
だが、怒りは1発で終わったようで、楽想が変わったところでは、う〜ん。元の静謐さに戻ってくる。
怒っても、抵抗しても、なんともやりきれない、そんな諦めた声に感じる。 諦めたら、平和になるのだろうか。
よくわっからないな〜と思いつつ。遠い目になっていると、 遠くから、軍隊調の音楽が聞こえてくる。
しかし、協調できず、抗しがたいが反抗できない、フラストレーションというか、苛立ちが聞こえてきそうで〜
で、最終の音なんでしょう。
ワタシ的には、最後のティンパニー部分は、蛇足のようなんだけどなあ。まあ。楽譜がそうなのだろう。
インバル盤は、各パーツの音が、人のつぶやきというか、一人一人の怒り、声にならない声に聞こえてくるような感じで、なんともやりきれなさを感じるし、かなり、ブキミな演奏である。


スクロヴァチェフスキ ハレ管弦楽団 1990年
Stanislaw Skrowaczewski
Halle Orchestra

録音状態はいい。かなり透明性が高い。基本的には1961年のミネアポリスを振ったマーキュリー盤と変わらないが、録音状態はこっちの方が、ダントツに良い。
感情を押し殺した味気ない感じもするが、スルメみたいな演奏かなあ。

1楽章
たたーん たたーん と、冒頭の低弦は、テンポがかなり速い。素っ気ないぐらい。
その後のヴァイオリンのフレーズに入ってくると、静謐で、透明度も高い。メリハリがあり、歯切れが良すぎるほどで、ファゴットの音色も素っ気ないが、不気味さが出てくる。
ヴァイオリンは凍てついた音色だ。
ぱぱーん。ぱぱーん。の第一音にアクセントがついている。第二音までの出だしに休止があるような感覚で、切れが生まれてくる。刃物で切った感覚に近い。

ヴァイオリンの高音域の沈んだ旋律の部分は、冷たい美しさ。決して艶やかな音色じゃないのだが、う〜ん。この楽曲に艶は、いらないのかもしれない。 大太鼓にしても、淡々と叩いているようで、早口だし。
いずれにしても、この盤は、寡黙な人の不気味さに近いかもしれない。 テンポは、わりと淡々と進めているのだが、そこにブキミさが生まれている。
ピチカート部分が始まる一歩手前、木管のところから少し速くなるのだが、でも一気の加速ではない、ほんの少しずつ・・・ 駆け下りてくるところは一気。
あまり、感情移入させての演奏ではないところが、凍てついているように聞こえるようだ。
響きとしては、他のショスタコとは異次元の世界かなあ。ロジェベンさんのように金管は、無茶苦茶吠えるわけでもなく、抑え気味。ロシア的とは違った世界である。まっ ちょっと変わり種だなぁ。

2楽章
コントラバスが、のこぎりを引いているような感じで。ガシガシ・・・しているのだが、妙なアクセントがないので、小節のまわった、ブキミな舞楽にはならない。
低弦と小太鼓のリズムは響くのだが、ヴァイオリンは小声で囁いているように聞こえる。
純音楽的と言えばいいのか・・・ ローカル色は無い。
木管は、一応、小節まわしているように強烈なアクセントがついているが、基本的には舞曲風にはなっていない。 ちゃんと音量をあげたりしているんだが、ヴァイオリンも泣きとは言えないしなあ。
他の盤とは違って、かーっとした燃えるようなテンションには、ほど遠い。インバル盤のようなリアルさは無いんだよなあ。かといって、淡々と進んでいくのだが、音楽的には整っているようで。

3楽章
ひんやりでも〜 カラカラでも〜 じとじと〜でもない。
なんと言うのか、湿気がないようで、適度に冷えている。淡々と進んでいるようで、押さえつけられたような圧迫感は感じられない。
鉄琴の響きはよく透っている。十分な間合いもあり、インテンポで進む。
身を切られるような、せつなく、むせび泣くような楽章なのだが、感情移入は、あまりできない。

4楽章
音響的にはよく響いているのだが、畳みかけてくる圧迫感はなく、ティンパニーは、わざと走り出す気持ちを抑えている気配を感じる。歯切れは良く、ブラスも、うるさく吠えない。いつ吠えるのだろう〜という期待が膨らむ。弦も揃えるという意識が強いのか、確かに揃っていて綺麗なのだが、う〜ん。
テンポは初めはインテンポなのだが、でも、急にブレーキがかかったり、ちょっと複雑。
透明度が高く、音としての響きはよく聞こえてくる。
悲しくなるほど、抑えて最後まで行くのだが、盛り上げるところは盛り上がる。
 
弾力性はあまりなく、しなやかでもなく、かといって鋼鉄のような硬さや強さも、さほど強烈でもなく。
強烈な個性的な盤が多いなか、感情を押し殺した味気ない風だが、無味乾燥的に装いながらも、楽曲のせいか、じわじわ〜っと、味を感じるところが出てきてくるようだ。
演奏者がパフォーマンスを演じているというより、聴く方が、噛めば噛むほど、味が出るような感じがする。
まあ。音楽的にはかなり整っていると思うので、余分な感情移入を入れた、どろどろ〜タイプではなく、
こちらが噛めば噛むほど、味が出るスルメみたいな存在かもしれない。


ゲルギエフ キーロフ劇場歌劇場管弦楽団(現、マリンスキー劇場管弦楽団) 2002年
Valery Gergiev
St.Petersburg Kirov Orchestra
(Mariinsky (Kirov) Theater Orchestra)

録音状態は、う〜ん。イマイチ。タコ踊りをイメージさせられるような、緩い感じがしちゃって、期待していただけに、超がっかり。ふにゃふにゃした感触がキモイ。
カップリング:ショスタコーヴィッチ交響曲第9番

1楽章
最初コントラバスの響きが あまり感じられず、たた〜 たた〜 たた〜 たた〜
合いの手のヴァイオリンが、イマイチ緊張感がなく。へぇ〜 どうなってるん?という緩い感じを受ける。
静寂のなかから出ていたような雰囲気でもなく、透明度があまりない。
テンポが、ゆったりめで、全体的な第一印象は、いたって普通やん!
なんだか、ぬるま湯のようで、ショスタコの5番としては、う〜ん、これ困ったなあ。

最後の音が消えないところで、次の音が出てくるような気がするのだが、消えた合間が欲しいような気もする。打楽器や金管のパワー炸裂なのかと期待した部分があったので、がっかりしたとも言えるのだが、やっぱ、何度か聴いてみたが、大胆さがないようだ。
木管が、特に、つーんとした冷えた音ではなく、冷たさが感じられない。 コントラバスにしても、もっと大きくアクセントをつけて刻むのかと思ったが、違っていた。
それに、弦のちゃんちゃか〜 ちゃんちゃか〜 という、深海魚のような雰囲気の場面でも、ゆるい。
チューバの音色は柔らかいし、リズム全体がボコボコしており、切れが少なく、 木管は柔らかで弾力性があるのだが、それが、ここでは、う〜んと唸ってしまう要素になっている。 まあ。もったいぶらない演奏と言えばいいのか。

フレーズに、重みが感じられないことや、引きずった感覚がなく、反対に、しなやかなのだ。
また、ティンパニーの響きが緩いんだなあ。独特の音がしている。小太鼓はあまり聞こえない。
テンポをあげていくところもあるのだが、嫌にならない程度の自然を装っているが、ちょいと不自然感もあり。
句読点がはっきりしておらず、意外や意外。切れが悪いって行ってもいいかもしれない。悲鳴に近いものがあっても良いのでは・・・。と思う。堂々としているのだが、どことなく緩い。 薄氷を踏んでいるような瀬戸際感がないんだけど・・・。
ショスタコ5番で、柔らかいと言われて、それで良いものかどうか疑問。
もちと悲愴感だとか、悲痛感がなければ、1楽章らしくないと思うし、重苦しさがなきゃ解放感もないわけで。
う〜 モノ足らない感じがしてしまった。

第2楽章
みっ れどれ コントラバスの跳ねて踊るようなフレーズが、木管の鋭さを産み、オーボエの転がるような節回しに繋がる。たらんららん と転がるところが、ちょっと乱雑な感じがして、 ホルンの音色が突然大きくなる。
弦のピチカートも爽快な感じがあるが、フレーズ最後の粘りが少ない。
木管は粘っこくしている。みみみ〜そ みみみ〜ふぁっ。の部分は良いんだが、後始末がちょっとはしょっているよな気がする。全体的に、もう少し丁寧に演奏して欲しいような気がする。
最後、ティンパニーが鳴り響いた後の皮肉は、たっぷりしており嫌みなぐらい、テンポを落として、ちゃかちゃんちゃん。と鳴らす。これがオチでした・・・。と言わんばかりだ。まあ。茶目っ気があると言おうか。劇的すぎるというか、過剰演出かも。

3楽章
この3楽章では、混沌としており、液体状のカオスをイメージすることができた。
どす黒いものが、どろどろ液化しており渦巻いているような、それを俯瞰して見ているような。
底知れない未知数の世界が広がって、その怖さを、じわーっと感じているようだった。
これは、良いっ! まるで、暗黒ダークサイドを、じーっと凝視しているかのよう。
ファゴットの音なんぞ、液体をかき混ぜているような音で、ぐつぐつ煮ているような気がする。
音のフレーズ形が、なくなってしまいそうなほど、テンポは関係なし。アクセントも関係なし。
ふふふっ。これ面白い。
鉄琴の そそそ そーふぁみふぁー (コントラバス)しししー ふぁみふぁ〜
下手な盛り上げはないし、なんだか無機質を装っているようで、おもしろい。これ化かしているやろ。
テンポもインテンポで遅め。う〜 暗い気持ちでこれを聴くと、鬱になりそうだ。
なーんにもする気が湧いて来なくなるなあ。こんな演奏を聴いていると。
ぐぐーっ どろ〜っん。死にかけてるんか。動かないぞ〜 こりゃ、東洋風、虚無の世界です。

4楽章
ぴろぴろ〜っと木管が吹かれた後、さすがに派手に鳴ってくれるのだが、このティンパニーが緩い。
弦が、ドシドシと鳴った2回目以降、ようやくエンジンがかかり、テンポがあがる。
でも、意外なことに、一気に急上昇しないんだなあ。これが。
なんや、落ち着いているっていうか。狂ってこないというか。野蛮にならないというか。
弦のせわしない不安定なフレーズも、へっ。落ち着くなよ〜こんなところで〜
銅鑼が鳴ったあと、ティンパニーが、ドシドシドシ・・・
そのあとで、弦が上昇音階を奏でていた。はぁ。こんな音が裏で鳴っていたんだ。
なんか、中途半端な感じで、熱くならない。
どそ〜 らそ〜 れそどーふぁー そらそふぁしみーどーみそふぁみられらーれみふぁれーみふぁそー

ああ〜なんやこれっ。最後で、再度テンポが落ちる。
はあ。信じられん。まだ、盛り上がってないぞ〜 と絶叫しそうになる。
また、深みにはまったようで、ブラックホールのような世界で、オーボエの音が響く。
あ〜あ。また、穴に、はまったようだ。夢うつつの熱情・・・ご愁傷さまでした。という感じで終わった。
本当の最後、ティンパニーで目覚める。ドスンドスン状態のティンパニーの緩い音。やめてくれ〜

ゲルちゃんの演奏は、3楽章はカオス 4楽章は、熱にうなされたものの挫折し鬱になって、ついには、引き籠もりになってしまった人のようでした。3楽章は、これ白眉でしょう。これはスゴイ世界です。でも、ここだけでは・・・ (泣)


1961年 アンチェル チェコ・フィル Sup  
1961年 スクロヴァチェフスキ ミネソタ管弦楽団 Mer  
1973年 ムラヴィンスキー レニングラード・フィル(東京ライブ)  
1977年 プレヴィン シカゴ交響楽団 EMI ★★★
1978年 ムラヴィンスキー レニングラード・フィル Me  
1979年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル SC ★★★★★
1981年 ハイティンク コンセルトヘボウ Dec ★★★
1982年 ザンデルリンク ベルリン交響楽団 DS ★★
1984年 ロジェストヴェンスキー  ソビエト文化省交響楽団 Me ★★ 
1987年 アシュケナージ ロイヤル・フィル Dec ★★
1988年 インバル フランクフルト放送交響楽団 De ★★★★★
1990年 スクロヴァチェフスキ ハレ管弦楽団 De ★★★★
1992年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI  
1994年 ロストロポーヴィチ ナショナル交響楽団 T  
1997年 ヤンソンス ウィーン・フィル EMI  
2002年 ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 Ph ★★★
2006年 大植英次 ハノーヴァー音楽大学管弦楽団 -  
所有盤を整理中です。

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