「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

シベリウス 交響曲第5番
Sibelius: Symphony No.5


シベリウス交響曲第5番変ホ長調(作品82)は、1915年に作曲されており、自身の50歳の祝賀演奏会の際に初演されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

第1楽章 変ホ長調 前半はソナタ形式で、後半はスケルツォ
冒頭は、伸びやかなホルンの問いかけに木管楽器が応えて、第1主題群を形成します。第2主題は、弦のトレモロに乗って、木管楽器群で提示されるもの。提示部は変奏的に反復され、展開部では、ホルンの橋渡しを経て、弦楽器が第2主題に基づいた半音階的楽句を奏で、ざわめく弦に乗ってファゴットに受け継がれます。幻想曲風になった後、高揚して再現部となり、スケルツォ主題は、木管により牧歌風に奏でられ、中間主題は、トランペットにより提示されます。スケルツォの荒々しい雰囲気が回帰して終結部に向かって徐々に高揚し、トランペットによる終結主題で晴れやかな頂点を形成します。

第2楽章 ト長調
変奏曲の形式による緩徐楽章で、主題は、ヴィオラとチェロのピツィカートにより提示される純朴な歌です。
主題が様々な楽器に引き継がれながら、6回変奏されるもの。

第3楽章 変ホ長調 A−B−A−B−コーダの構成を持つフィナーレ
弦のトレモロが、第1主題を低弦部で形成し、ホルンが2分音符の鐘の響きのようなモチーフで入ってきます。
田園的な第2主題は、フルート、オーボエとチェロによって表情的に歌われます。
木管が軽妙に現れて、弦のトレモロが合わされ、弱音器をつけた弦楽器のトレモロによって、主題が再現されます。
第2主題は、フルートとクラリネットに回帰し、弦に受け継がれ、ホルンの2分音符モチーフが加わるもの。
トランペットで朗々と奏でられた後、休符の目立つ和音の6つの連打によって幕を閉じます。

翌年16年には改訂し、1年後に改訂版を演奏しており、さらに、17年にも2回目の改訂を行っています。
交響曲第2番と共に人気のあるのが5番で、朗々と歌われ、とっても晴れやかな楽曲です。

  カラヤン ベルリン・フィル 1965年
Herbert von Karajan    Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

これもありかっ ← なんか違う曲を聞いているみたい。

録音状態は良い。演奏の好みは別としても、アンサンブルは、やっぱりすごい。凄みが感じられて思わず引き込まれる。
カップリング:
1〜4 シベリウス 交響曲第5番(65年)
5 シベリウス トゥオネラの白鳥(65年)
6〜9 シベリウス 交響曲第6番(67年)
1楽章
シベリウスには、透明感がなければ〜というのが持論なのだが、録音状態の良し悪しよりも、やっぱり、ベルリン・フィルとカラヤンの迫力というか、すごみが感じられて、のっけから、はあ〜 やっぱりすごいっ。と感じさせられた。
なんというか、 静まりかえった大地から、光が差し込んでくるような、若い息吹が芽生えてくるような雰囲気があり、金管のフレーズや木管のフレーズなんぞ、もわっとした空気をうち払い、切り開いていくかのような意思の強さを感じさせる。
特に、弦が、速度を速めて盛り上げていくところは、すごい。凄みを感じて鳥肌が立ってくるような感じ。

木管は、BPOだけあって単調ながらも哀愁を帯びた音色になっており、死んだような大地から、大地の下が蠢き、悲痛な声を漏らしながら上昇してくるかのようで、 うへっ。これでは〜 まるで死人が蘇ったような光景じゃん。
と、畏れおののいてしまった。 ベルグルンド盤だと、この冒頭は、春が訪れた自然の変化、生き物たちが喜んで伸びていくという感じがするのだが、カラヤン盤では・・・ 全く違った印象を受ける。
金管が伸びて、伸びて、伸びきった後は、穏やかな顔に変わる。 少し乾いた硬い音がしているが、う〜 すごい。
やっぱすげ〜っ。怖すぎ。怖いっ。あまりにも劇的な変容ぶりで、う〜 なんか、違う楽曲のように感じてしまった。
スケルツォ部分に入ると、テンポを徐々に上げていき高揚してくる。
テンポを落とさず、一気に終わる。この盛り上げ方のテクには、う〜ん。やられた。って感じになる。疲れるっ。

2楽章
弦のピチカートの響きが美しい。
低弦が十分に響いており心地良い。主題は、ヴィオラとチェロのピチカートの純朴な歌。
金管にフレーズが、またもや打ち切られるのだが、この提示は何だろう。
弦は美しい〜 この、ひとこと。6回の変奏があるが、しかし、緩い楽章のところは、う〜ん 少し退屈になってしまった。

3楽章
弦が、小刻みに揺れていると、ヒリヒリするような空気感が漂う。ホルンが2分音符で連呼してくる。
鐘というより、う〜ん。1楽章が死人が黄泉から蘇ったのと逆バージョンで、地獄への警鐘のようだ。 でも、弦がたっぷり 歌ってくれており、巧いなあ。という感想しか出てこない。
ここはカラヤン盤の白眉になるかなあ。
ゼネラル・パウゼ(全休止)・・・ 1楽章はすてきだったのだが、3楽章の盛り上げがクサイ。
う〜ん。これがカラヤンの片鱗か。巧い、巧い、確かに巧い。 この楽章は、壮大な人間讃歌と言われるが、う〜ん。
最後には、腕力でねじ伏せられた感じがしてしまって、ちょっと素直には肯けないものの・・・。はぁ。

ザンデルリンク ベルリン交響楽団 1971年
Kurt Sanderling  Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
(Berlin Radio Symphony Orchestra



録音状態は、さほど悪くはないのだが、重低音がこもった感じがする。シベリウスには透明度が必要だと思う。ブリリアントとベルリンクラシックの輸入盤(シベリウス全集)がある。
← ブリリアントの交響曲全集BOX
1楽章
重々しいけれど少し明るさが感じられる。ホルンがまろやかに吹かれていて、春を告げる音に聞こえる。
ひとことで言うと、まろやかなシベリウス。悪く言えば、ぬるま湯的シベリウス。
シベリウス初期の交響曲だと、ザンデルリンクも良いのでは? と思うが、かなりドイツ臭いというか、アクセントがありすぎることと、厳しさとか徹底した冷たさなどとは、少しかけ離れた世界が広がっている。
振り子のようなリズムも、ゆりかごに入れられた感じで、ほんわかしており、のんびり〜
第2主題のヴァイオリンの小刻みな旋律をバックに、木管の旋律が主体となって奏でられている部分は、
なにか邦楽でも聴いているかのような気分になった。
ここでは、ヴァイオリンの旋律が、ほとんど聞こえない。
紅葉を愛でながら雅楽のフレーズでもきているかのような、木管類の音色がそんな気にさせる。
全体的には力強く、安心できる、決して突き放したような感覚にはさせない。
しっかり大地に足がついているが・・・ 少々物足りない。中音域のヴァイオリンやヴィオラが、もう少し下支えをして欲しい感じがする。

2楽章
もう少し、すきっとして軽やかでも良いのに、重厚にすぎるというか。う〜ん。
清涼感が少ないので、かなり窮屈。重低音すぎて、この楽章には重い。重すぎだよなあ。
テンポの揺らめきが少なく、ゆったり、どっしり安定しているが、爽やかさに欠ける。
重くたれ込めた雲とか、大地のささやきなどのイメージが浮かぶのだが、もうすこしさりげなく〜でも良いかもしれない。ちょっとなぁ。イマイチ。やっぱり重すぎて辟易してしまった。
どうも低弦の響きが、処理されていないというか、ゴリゴリ ガリガリ、ゴツンゴツン。
う〜ん。哀愁漂うというよりも、大地を掘り起こしているみたいに聞こえちゃってるし、ヴァイオリンは甘美なのだが、ここまで、 旋律が長いというか、ロマンティックに演奏されすぎて、まったり〜
ここまで来ちゃうと、思わずニガワライ。

3楽章
慌てず騒がず、安定感たっぷりで始まる。
弦は小刻みに震えているのだが、残響のせいなのだろうか、まったりしすぎに聞こえる。
ティンパニーと金管は、抑え気味のようで激しく鳴らない。特に、ティンパニーは抑えられて聞こえない。
雲海を見下ろしているか、朝靄のなかに佇んでいるいるような気がする。
重低音が勝っているため、木管のフレーズだけになると中抜けしたような感じがするし、中音域のヴィオラやチェロの厚みが、心なしか少ないような気がする。
最終コーダに向かう盛り上げ方は、小細工を使わず、さほどテンポも揺らさず・・・素朴すぎではないかと思うほど。
息は長く深め。金管がメインになって大音量になる盤が多いなか、この盤は、弦が前面で良く聞こえる。しかし、全休止部の残響は、少ないように感じた。

全体的には、古式ゆかしき〜まったりスタイル。
よく言われるシベリウス的、北欧的と言われる演奏ではない。しかし、親しみやすく素朴な雰囲気を持っている。小難しく考え込まないで、まず聞いてみよう〜とした場合、まあ。いいかな〜とは思う 。
重量感があり、バーンスタイン盤より、かなり田舎臭いかもしれません。

カラヤン ベルリン・フィル 1976年
Herbert von Karajan  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態はまずまず。悪くはないが〜イマイチ。
カラヤンとベルリン・フィルの最盛期であるEMI盤70年代の録音で、旧盤は、60年代のグラモフォン盤がある。
1楽章
音色は幾分艶やかで、 最終は、すごい形相で迫ってくる。迫力というより剣幕って感じに近いけど。
65年盤よりは、テンポが速く畳みかけるようになっている。

2楽章
弦が合わさっていくところは、う〜 華麗である。弦の艶が他の盤とは違って輝いている。なんでこんなに違うのだろう。
さざ波に光が反射してキラキラ輝いているようだ。 う〜 綺麗すぎって感じがする。
寂寥感というより、湖面に美女でも立っているかのようで、うっとりさせられる。 神秘性な感じは、あまり受けない。ちょっと人間くさいかも。

3楽章
ダイナミックというひとこと。陰鬱な雲は垂れて込めていない。明るい太陽が、といってもノー天気の楽天的ではないが、これは人間讃歌的に傾斜しているかもしれないし、英雄伝って感じがする。
1楽章のすごみが、3楽章でどのように昇華されるのかと思ったが、最終は、もっと形相を変えて 迫ってくるのかと思ったが凄みではなく、どちらかと言えば雪の結晶のように淡く溶けるようだった。 かなり美化した演奏だと思う。
しかし、この美がカラヤンらしさとも言えるかも。

アシュケナージ フィルハーモニア管弦楽団 1980年
Vladimir Ashkenazy The Philharmonia Orchestra

う〜ん。どうだろ

録音状態は、イマイチ。多少こもった感じがする。特に低音が濁った感じ。
指揮者に転向してまもなくのCDで、整理されていないというか、音の織り込みが薄いというか、あまり綺麗でない感じがする。(えらそうで〜スミマセン)
カップリング:シベリウス交響曲第5番、交響詩「エン・サガ」
1楽章
アシュケナージさんが、ピアニストから指揮者に転向して、えーっ ピアニストから指揮者? どうしてぇ〜? もったいない〜と、驚かされた、その直後ぐらいに録音された、輸入盤CDだったと記憶する。

ティンパニーのロールのなかから、ホルンの「どぉ〜 ふぁ〜そどぉ〜 らぁ〜ふぁ そぉ〜」
フルートの「ふぁ ど〜そぉ〜 みふぁ どぉ〜 れぇ〜 そられ〜 どぉ〜 ふぁそどぉ〜」
気持ち良い朝を迎えたような、すがすがしいフレーズが出てくる。
アシュケナージ盤は、テンポは遅め。
ラトル盤のようには、リズミカルとも言えないし、活き活きとしているとも言えない。ティンパニーの打ち込みは大きく、そこだけ、インパクトが強い感じがする。
「そぉ〜ど れっそぉ〜」「タッタ〜った タッタぁ〜」という、シンプルな音の並びには、雄大さはあるものの、切れはさほどよろしくない。それに、音が濁っている。ティンパニーが、インパクトを与えてくれるのだが、ごご〜っという低音の響きが、かなり濁り気味なのだ。ここは、相当にもったいない感じがする。

明るい伸び上がって行く雰囲気とか、フレーズのノビは良いので、弦の歌い方や木管の小さな囁きは可愛いのに、畳みかける勢いとか、アップテンポで一気呵成に動いていくような勢いというか、スピード感や、シャキシャキした感覚は、あまりない。それに、主になるフレーズが、太くないというか。フレーズの織りが薄いというか、パーツ、パーツが、綺麗に絡んでこないで、どちらかというと、単に緩やかに、たゆよう〜 感じの演奏になってしまっている感じがする。
暖かい空気感が辺りに漂ってくるのは良いのだが、冷え冷えとした空気感のなかに、音が立っていくというか、木管のフレーズが、ぴーんと鋭く響く感覚は、あまりないので、インパクトが弱いかも。

2楽章
弦のボンボンと響く音に、木管のフレーズが乗っかって、楽しいリズムが生じるのだが、う〜ん。
「みれど ららら れどし ららっ どしら ししっ」という、 弦のピチカートの響きが美しい楽章なのだが、弾む音が、もう少し強調されてもいいのに、これは弱い。弱くて弾まない。
主になる核が、今、何なのか、それが強調されていないため、みんなバラバラ〜という感じがする。
音の出入りが、えっ? おそるおそる〜 弱いかなあ。
掛け合いが面白い楽章なのに・・・ スピードも遅いし、これじゃー 楽しくないや。

3楽章
ティンパニーの一音のあと、「みぃ〜しぃ〜らぁ〜  そふぁ みみふぁそ ふぁみみれ みみふぁそ・・・」
弦の細かい速いトレモロが、ずーっと続いて行く。
スピード感はあって良いのだが、なんだか拍感覚が弱くて、貧相な「タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ・・・」である。
木管の音とか、整理されていないというか、ごちゃごちゃしている。
で、このリズムのなかに、金管フレーズが入ってくる。
「ふぁどふぁ みふぁ〜み れそれ みどみ ふぁどふぁ みどみ・・・」 この楽章は、すごく単純なくせに、雄大な印象を与えるのだが、やっぱ、木管や弦の細かいフレーズが、背景で吹かれているものの、金管が主体でしょ。という時に、主体が引っ込んでいるし、う〜ん。音の強弱が、今、何が主役かが整理できていない感じを受ける。

ホント、土台のしっかりした感覚があってこそだと思う。いろんな音がしっかり織り込まれて、控えめに織り込まれた音たちのなかに、浮かびあがらせるフレーズは、何か。 それをはっきりさせないと、あかんね〜 そう思ってしまった。
木管のフレーズとか、良いんだけど、なんか、しっかりと絡んでいないというか、う〜ん。
弦の響きと、どれぐらいのバランスで、歌わせるのか、この曲を聞いてると、ちょっと、絡んでない。
別に浮いている感じがするのだ。
それに、弦が弱音で奏でているところは弱音で良いのだが、もわ〜とした空気感しか感じない状態になってて、ちょっと、もったいない感じがする。 それに、低弦の響きには濁りがあって、音がクリアーに立って行く感じがしないし。
う〜ん。総体的に、 リズミカルに走って行くわけでも、豪快で、雄大というほどでもないし〜 う〜ん。訴えてくるものが・・・
ちょっと中途半端かと思ってしまいました。

余談だが、アシュケナージさんって、燕尾服着ないんですねえ〜 この頃から、タートルネック姿だ。
いつもは白色だが、ここでは紺色だ・・・。(笑)

ラトル フィルハーモニア管弦楽団 1981年
Simon Rattle  The Philharmonia Orchestra

録音の音場が深く、透明感がある。この後、バーミンガム市響とシベリウス交響曲全集を録音している。爽やかで、すーっと通っていく風のような演奏だ。
カップリング:シベリウス 交響曲第5番、ニールセン 交響曲第4番「不滅」(1984年バーミンガム市響)、パンとシリンクス
1楽章
無機質にもならず、さほどまったりもせず、すっ〜っと音が伸びてくる。
録音状態は良く、音場が深い。金管が遠くから鳴ってくる。木管の響きにも透明感があって、大地を奥行きたっぷりに、遠くまで眺めることができる。 俯瞰している感じがする。
地面から突き出た感じの盤、人の目線で春を感じる盤などがあるが、このラトル盤は、どこか、少し高いところから大地を俯瞰しているような〜 そんな印象を受けた。
どーしてなんだろ。録音状態か? オケの配置か? う〜ん。
ただ、金管が、他の盤と比べて遠いところに位置しているような感じがする。
それと、見通しが良く、かなりフレーズの組み合わせ、絡みが見える。
フレーズのなかの音も、ちょっとした区切りがあるし、揺りかごのようなフレーズも振幅は大きくないが、小気味良い。金管も、随所にきりり〜と吹かせている。
単調で1本調子になりがぎな たらら〜 たらら〜 この繰り返しの裏に、いろんな楽器が、うごめいているというのがわかる。
へえ〜 弦がブンチャブンチャ・・・やってたんだ。と、ほぉ〜っ と感心してしまった。
また、弱音になっても、繊細で〜 
再度、盛り返してくるところは、のびやかで楽しい。すかっと爽快な気分になる。

2楽章
弦のピチカートが、弱音ながらよく響いている。落ち着いたテンポで、可愛く粒立ちが良い。
小花が、ぽっ ぽっ と、あちこちで咲き始めたような雰囲気がある。
そのうちにテンポがあがってきて、たたた〜っと金管が吹かれて、まろやかに牧歌的な歌謡風のフレーズが出てくる。
コントラバスの低い響きが心地よく、超低音と、高音域の弦の響きがブレンドされている。で、よく弾んでいるのだ。このあたりのテンポと、余韻の残る響きは、このラトル盤のすごい〜ところ。

3楽章
たら〜ん。というティンパニーと、ふぁーどーしー の和音から生まれた たたた たららら〜というフレーズが生まれる。
これが繰り返され、初めは横揺れしているような感じがするのだが、そのうち波形になってきて、段々、縦揺れしてくような不思議な感覚になる。
タタタタ タタタタ・・・ 生き物のような感じがするのは、スゴイ。いつの間に変化するんだろ〜
単調なフレーズなのだが、ラトル盤は、どこか動物的な感じがする。
ここは、何度聴いても飽きない。
他の盤だと、静的で、自然景観を見ているような気分なのだ。
段々と、雄大なパノラマが広がっているなあ。と視界は広がっていくイメージなのだが、ラトル盤は、動き回る小さな単体動物って感じを受けるのだ。
この盤は、金管の音が鳴る度に、段々と生命体が成長するようで・・・
タタタタ タタタタ・・・ のフレーズが、ためにためて、小さな雨粒のように跳ねて、また、段々と大きくなって、最後には、あらま。吠えてるで〜という。なんだか不思議なんだなあ。

乾いたティンパニーの響きが、段々と荘厳になってくる。 金管も、まあ。音色が良いとは言えないけど迫力あり。
最後、ゼネラルパンセと和音の響きは、さすがにどっしり雄大で、相当に聴き応えがある。
余韻に切れ味があって爽快な感じがする。デビューに近い時期の録音だったと思う。
それにしても、アシュケナージ盤と1年ほどしか変わらないのに、同じフィルハーモニア管弦楽団をラトルが振ると、こうも違うとは・・・。やっぱり凄い指揮者だったんだと、改めて思う。

ベルグルンド ヘルシンキ・フィル 1986年
Paavo Berglund Helsinki Philharmonic Orchestra

録音状態は良い。硬質な演奏ではなく、冷たさよりも暖かみがある。ベルグルンドのシベリウスは、ボーンマス響、ヘルシンキ・フィル、ヨーロッパ室内管の3つがある。これは、2回目の録音。
カップリング:シベリウス交響曲第5番〜7番、交響詩「大洋の女神(波の娘)」、交響詩「フィンランディア」、交響詩「タピオラ」

1楽章
冒頭のホルン ふぁ〜 ど〜 ふぁそど〜らふぁそ〜 
春を告げるようなホルンの音色に、木管の響きがあわさって、生き物たちが呼応している様が浮かぶ。
ああ〜 春を迎えるんだな。という場面が、この最初のフレーズで感じられる。
ベルグルンドさんの振るシベリウスは、寒々しいだけでなく暖かさがこもっている。
懐かしい土の匂いや、のびあがってくる植物などの生命感が、ふわーっと自然に出ているようだ。
第2主題では、管楽器より、弦の刻みがよく聞こえてくる。ここは厳しい弦のトレモロになっている。
どしら〜 そらし〜 らそふぁ〜 しどれ〜
揺りかごのようなフレーズは、気持ちが良いというより、不安げな気配がする。
主張したかと思えば、すぐに消え去るフレーズが、次々と出てくるので、も〜追いかけるのに必死なのだが、ほんと、すぐに消えちゃうんだよなあ。
儚げなフレーズたちが、まるで妖精のように表れて消え、表れては消えていく。幻想的だ。
この雰囲気を表現しているところが、これまたスゴイなあ。って思う。これベルグルンド盤の聴きどころ。
でも、ベルグルンド盤は、ぼわ〜っと、まったりしているわけではなく、メリハリがついている。
同じ音を単にのばしているだけの盤もあるんだが、たぁ〜たぁ〜たぁ〜と波をつけて押し出して、盛り上げているし、管がユニゾンで出てくるところは、
ど〜れみふぁ〜 し〜どれそ〜 ら〜れみっふぁっ! そ〜どれっそっ〜! 
と、最後の音を金管がキッパリと吹いてアクセントがついていたりする。

2楽章
オブラートに包まれたような優しさを感じる。ピチカートの響きが楽しめる楽章なのだが、録音の透明度がさほど高くないので、あちらこちらで響く、音の揺らめきが感じられない。
雰囲気はあるのだが、ちょっと残念。
6回の変奏は、能力がないため、聞き分けられず。がっくり。

3楽章
勢いがあって、迫力があって、押し出しの強い演奏もあるのだが、かなり細部にこだわった演奏って感じがする。繊細さが、ベルグルンドさんの生命線なのかなあ。
ぐぐーっと音圧でやられる。ってことがない。でも、他の盤だと、ついゆるんでしまうところが、このベルグルンド盤は、とても美しくて聴きどころになっている。掌で暖めていますって感じで。微笑ましい。
最後の和音は、まあ。線は細いが、強打で締めくくっている。

最終楽章は、他の盤の方が、強烈に盛り上げるので、分が悪いのだが、1楽章は相当に良い。
この微妙で、繊細な生き物のような演奏を、聴き手である私が、しっかり受け止められているのかどうか、かなり疑問。
で、ベルグルンド盤では、聴き手が、自分のイメージを浮かべやすい。
他の盤では、なんだか押し付け気味に、指揮者の解釈を聞かされているという感じがするのだが、主張しすぎないで、主張しているというか、こちらに思い浮かべる余地を残してくれているような気がする。
とにかく、1楽章は、何度も繰り返して聴きたいなーって思う。

バーンスタイン ウィーン・フィル 1987年
Leonard Bernstein Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra



録音は、透明感のあるモノではない。激しく勘違いした堂々とした演奏で、ライブ盤
バーンスタインとシベリウスの取り合わせが、予測どおりでしたって感じがする。ホント、ありえないぐらい〜 ベタベタで濃厚すぎる。とんでも盤である。
1楽章
バーンスタインとシベリウス。う〜ん あまりに厚ぼったい暑苦しい・・・。うっ やだ〜と思いながら、聴き始めた。
冒頭は、洗練された出だしで、爽やかさを感じる。やっぱ巧い。
ただ、喜びが湧き起こってくるという感じは少ないし、のびる〜というか、勢いがあまり感じない。
なにせ、 テンポが遅いのだ。
だた、盛り上げは、じわじわ〜っと歩みを進めて、風格が充分で思わず寄り切られたというか、聞かされてしまう。
揺れ動くフレーズは、大づかみで繊細さはない。金管もゆったり〜 ティンパニーの響きが、よく通って、これが引き締め役というところ。盛り上げ方も、ゆったりなら、引いていくときも一気にいかず、テンポを緩めながら音量を下げる。
テンポが遅いため、弦のピチカート部分は、完全に弛緩してしまうのだが、最後に向けて、ヴァイオリンの高音部分がリズミカルで奏でているし、木管の音色は艶やかだし 。
小気味いい打楽器類が入ってくるし、トランペットが緊張感が持続してくれるし。
このため、いつの間にかバーンスタインの振るテンポに慣れてて、う〜やられったという心境に陥るのだ。
それにしても、超スローテンポではある。ちなみに1楽章15:15 快速サラステだと13:11 
まあ。この実測速度というよりも、体感速度の方が、遅く感じると思う。

2楽章
牧歌的な楽章で、とろり〜としてしまう。弦のピチカートが、ピチピチしておらず、かなり甘美で、蕩々と流れる水のようで、眠くなってしまった。
氷のはった湖を冷たいイメージの盤もあるのだが、バーンスタイン盤は、黒々とした森林のなかで迷子になったような気分だ。針葉樹林やフィヨルド的感覚とは遠い。

3楽章
ようやく、ちょっとテンポアップしてくれた。弦のパッセージが、ようやく速めにペコペコと小気味よく動き始めた。ほほ〜 テンポがあがる あがる〜
ホルンは、遠いが分厚い。チューバの響きが、ぼわ〜っ。なんとも締まりのない音なんだが。
まあ。良いかあ。
最初の方から、かなりトロトロ〜 で、同じフレーズが繰り返されて、この重厚さがUPされる。
低弦とティンパニーがあわさり、ティンパニーが響くと、遠くから雷鳴が聞こえるようだ。
たんたんたん〜 たんたんたん〜  鐘のイメージより、ホント雷鳴に近い。
木管が鳴いているのだが、雷雨が来るから、逃げよう〜っとでも言っているように聞こえる。
最後のコーダに入っていく前に、かなりテンポを落としている。音量も小さくなって、パワーを溜め込む。
最後の全休止は、あまり長くなく、金管の残響がとても綺麗に入っている。

すごーく長い 息のながーいフレーズが何度も繰り返され、すでに煮えすぎてドロドロ〜。
全ての材料が、煮詰まって、鍋のなかで、形がなくなってしまったような感じがする。
かといって、エネルギッシュでもないんだなあ。諦念のような雰囲気さえあるぐらいで、情熱的には鳴っていない。少なくとも、シベリウス2番のような、粘着性のあるところまでは至ってないが、はあ。やっぱ遅い。
繊細さ、風のような、とらえどころのない揺らめきというのは感じないし、あくまで豊たかに、たっぷり〜
どっしり〜 どっぷり〜 安定して〜 聞かせてくれる盤である。まー ワタシ的には、ここまでやるかぁ〜
どひゃーん。レニーさん好きな方は聴いたら良いが、ワタシ的には耐え難い・・・。
完全なトンデモ盤だと思う。

  ラトル バーミンガム市交響楽団 1987年
Simon Rattle City Of Birmingham Symphony Orchestra

録音状態は良い。シベリウスの長大なシンフォニーが、細かいリズミカルなフレーズで構成されており、ノリノリ感があって飽きさせない。このテンポにやられる。
カップリング:
1〜3 シベリウス 交響曲第5番
4    シベリウス 劇音楽「クオレマ」〜鶴のいる情景〜
5〜8 シベリウス 交響曲第7番
9    シベリウス 交響詩「夜の騎行と日の出」
1楽章
このCDは、ラトルさんがバーミンガム市響を振ったもの。
この前に、81年、フィルハーモニア管弦楽団と入れたCDもあるが、ワタシ的には、すーっと通っていく音が気持ちよく、いずれも好んで聴いている。
冒頭、ホルンの「ふぁ〜 どぉ〜 ふぁ そどぉ〜 らぁ〜ふぁ そぉ〜」
う〜 この出だしの伸びやかさが大好きなのだ。
フルートの「ふぁど〜そぉ〜 みふぁっ どぉ〜 れぇ〜そらっれ〜 どぉ〜ふぁそっどぉ〜」
「れぇ〜そられ どしらしそっ どぉ〜ふぁそっど しらそらふぁ そぉ〜」  
「れぇ〜そられ どしらしそっ そぉ〜 ふぁみれみど どぉ〜 しらそら ふぁ〜」
このフルートの二重奏は、ちょっと強めに吹かせているが、とても、きりり〜っとスッキリと響いている。

ラトル盤は、テンポは速め。ちょっぴりアクセントを付けながら、サクサクと進んでいく。
活き活きとしているというか、弦の3連符を「らそ〜ふぁ そら〜し らそ〜ふぁ そら〜し」と揺らしながら進むので、かなりリズム感がある。「そぉ〜ど れっそぉ〜」「タッタ〜った タッタぁ〜」と、シンプルな音の並びを、繊細にかつ大胆に揺らしていく。
自然な感じなので、「ふぁみ〜れ みふぁ〜そ」と、弦のアクセントは嫌みに感じず、むしろ心地良い。
ホント、心地良い揺れがあって、単に沈み込んで、すーっと流れていくという気がしない。
木管のフレーズは、停滞感を持たせてまま、かなり沈ませているけれど、背後には弦がカシカシと小声で囁いているし、この沈み込んだ感じが、後で生きてくる。
録音状態は極上ではない。もう少し低音の響きがあれば申し分ないんだろうけど〜 柔らかく、奥行きもまずまずあって、柔らかいがピンぼけしない程度に引き締まっている。
音質は暖かい。弦の響きは、多少薄いかな〜って感じはするが、中間部以降は、テンポをあげて、ぐいぐいと勢いをつけて、一気呵成に流れていくので気にならない。
いや〜 それにしても快速バージョンなのだ。
この速いのに驚きつつも、奥の方から金管の響きが届いてくるので、意外と立体感が生まれている。
小ホール的な響きがあるのだが、結構、良い録音で、横にも奥にも広がりを感じる。 金管のキレも良いし、スマートな響きがあって、瑞々しく、爽やかな朝の光のように広がっていく。

2楽章
弦のボンボンと響く音、木管の短い合わせ。「みれど ららら れどし ららっ どしら ししっ」
パーツの見通しが良いが、もう少し響きに硬さがあっても良いかな〜
チェロとヴィオラの音が、ちょっと明瞭ではないのだが、木管の響きと、ヴァイオリンのフレーズが始まると、快速に変わっていく。 小さな渦のように、こまかく動き始めたと思ったら、ストンっと急に沈静化してくるし〜
メチャクチャ、テンポはよく変わっていく。
芸が細かいというか、飽きさせないというか〜 小回り効かせて、とってもリズミカルだ。う〜ん。変奏曲だと言うが、このピチカートのすばしっこいこと。特に高音域の弦が、すばしっこく動き、そして、自分を慰めるように、ふわっと消える。

3楽章
トトン 「みぃ〜し ふぁぁ〜  そふぁ みふぁそ ふぁみれみ みふぁふぁ ららしど しらしど・・・」
弦の細かい速いトレモロが、ずーっと続いて行く。で、ワタシったら、音を追いかけているうちに、いつも、ハミングで歌ってしまっているんだよな〜 柔らかくて、幻想的ですらあるフレーズになっていて、すごくリズミカルで、たらら たらら たらら〜っと、ノリノリで乗ってしまう。
で、気がついたら、金管の和音が始まっているのだ。う〜ん。このテンポは、やられるなあ。
「ふぁふぁそら らぁ〜そふぁ ふぁふぁそら そふぁふぁみ ふぁふぁそら ら〜しど しらしそ」
「ふぁふぁそら ら〜しど しらしど れ〜どし らそらし ど〜しら・・・」
う〜ん。このテンポの良さは、クラシックの領域を超えてるぞぉ〜って思ってしまう。
あー こんなに、ペコペコとオーボエにリズミカルに歌われると、体が踊ってしまうじゃーないかっ。(笑)
そこに、「ふぁどふぁ みふぁ〜み れそれ みどみ ふぁどふぁ みどみ れそれ みどみ〜 ふぁ〜」と金管が歌い始めるのだ。

あー これは、シベリウスの世界から、なんか脱皮しちゃったみたいで〜
なかなかに楽しい曲を聴かせていただいたな。って思う。まあ、ちょっと変わり種っぽいが、最後の最後は、メチャクチャテンポを落として、壮大に、雄渾に奏でていくので、許せちゃうかな。
(ちょっと変な、間合いに感じちゃうが〜)
総体的には、ノリノリ感のあるリズムと、アクセントにつきるかもしれない。細部は、結構いじくっていて〜普段聴く5番とは、またちょっと違うかもしれない。特に、地響き立てそうな重低音の音が入っておらず、弾ける低弦の響きは少ない。ティンパニーも、金管の重厚な活力ある、ぶっぱなし音も、ほとんどその存在に気づかない。まあ〜 この点は、かなり減点って感じなのだが、ノリ感はなあ。抜群だ。 他盤では、なかなか感じないかな〜って思います。



ヴァンスカ ラハティ交響楽団 1995年
Osmo Vänskä Sinfonia Lahti (Lahti symphony orchestra)

ばっちグー!

上のCDは、シベリウス交響曲第5番の1915年初稿盤のみで、現行版は収録されていない。
交響詩 「伝説(エン・サガ)」(1892年原典版)とのカップリング
録音状態は、惚れ惚れするほど〜極めて良い。 

ヴァンスカ ラハティ交響楽団 1997年
Osmo Vänskä Sinfonia Lahti (Lahti symphony orchestra)

ばっちグー!

下のCDは、オリジナル版&現行版として販売されており、シベリウス交響曲第5番の1915年初稿版と、現行版の両方が聴けるCDである。初稿盤のみ購入したものの、現行版も聴きたくなって購入したもので、録音は良い。現行版の録音は97年である。
オリジナル版は、1915年版と表記されており全4楽章、現行版は全3楽章である。
作曲家の改訂の意図は、よくわからないし、ワタシ的には、どっちでも良いや〜なのだが、やっぱり、4楽章だったものが3楽章になっていたり違いが大きく、和音の響きとかは、やっぱり現行版の方が良いように思う。
耳慣れているためでもあるだろうけど〜

特に、1997年録音されている盤を聞くと、CDが壊れている。最初の冒頭部分が飛んでしまって聞こえない・・・。
と錯覚してしまう。
初稿版は、冒頭からして、違うので〜 最初は、え??と、思ってしまうのだ。
現行版だと、ホルンの「ふぁ〜どぉ〜ふぁ そどぉ〜ら〜ふぁ そぉ〜」から出てくるのだが、初稿版では、そのホルンの続きである木管フレーズ、「そ〜 っふぁそぉ〜れ〜 みっふぁ どぉ〜 れぇ〜 そられ〜」が、出だしになっている。
もわ〜っと出てくる木管が冒頭ではねぇ。
つまり、ホルン部分が後に付け足されたわけだ。 ふむ。ここの改訂は、大正解だと思いますね〜(笑)
初稿と現行版の違いは、どこか詳しいサイトでご覧いただくとして〜 ここでは、現行版のみの感想を。

1楽章
冒頭、ホルンの「ふぁ〜 どぉ〜 ふぁ そどぉ〜 らぁ〜ふぁ そぉ〜」
意外と、だみ声風の音で、もわぁ〜っと始まってくる。
フルートの「ふぁど〜そぉ〜 みふぁっ どぉ〜 れぇ〜 そらっれ〜 どぉ〜ふぁそっどぉ〜」という音は、あまりクリアーでもなく柔らかい。すーっと透き通っていく、とおりの良さは、高音域の部分だけで、テンポは意外とゆったり気味に感じる。
確か、ラトル盤は、速めでスイスイと進んで行ったよなあ〜と思いつつ、ヴァンスカ盤の音の揺らし方が、面白い。

「ふぁみっれ どれっみ れどっし らしっど〜」と、この妙に弾む3連符が印象に残る。
「たっ たぁ〜た たたた」というフレーズとか、アクセントの付け方が、妙に楽しく聞こえるのだ。
あと、木管の音と、サワサワと後ろで鳴っている弦の存在があって〜 あー かわいそう。
メインになれない弦の方々。黒子ならぬ、風になっているのである。
ラトル盤も心地よかったが、ヴァンスカ盤の揺れも心地よい。
でも、なーんか、色彩感が違っていて、暗いっていうか、色彩が暗い、くろ〜く、よどんだ感じがして、さわやかではない。
木管フレーズも。もわーっ。もわもわ〜とした空気感があって、結構、不気味感があるのだ。

BISの録音は、かなり透明度の高い印象があるのだが、この演奏は、ぼわ〜っとしている感じがして、それがまた、妙に重さが感じられ、透明度の高い湖というよりも、暗く、モコモコと空気が吹き出しているような沼地がイメージされる。
それが、前半、ずーっと続くのだ。
で、9分頃になってくると、ラトル盤と同じで、快速になってきて、いきなり勢いをつけて走って行く。
それでも、暗くて、もわっとした空気感はそのまま。
ティンパニー、音の割れたオーボエ、フルート、弦の広がり感は、いまいち感じられず、いろんな楽器が、隙間から顔を出していくが、その音は、さほどスマートとは言えないず、煌びやかさは生まれてこないので、色彩は変わらない。
モノトーンと言えばモノトーンで、真っ黒ではないのだが、うっすら〜じわっと水分を含んだ重さを感じる暗さ。

2楽章
弦のボンボンと響く音に、木管のフレーズが乗っかって、「みれど ししっ みどし ららっ」
木管フレーズは、柔らかく弾んで、霧の濃い森林って感じの雰囲気を醸し出している。針葉樹林の息づかいって感じがするし、その森林のなかを小動物たちが、ちょこちょこと走っている感じがする。
フレーズが、ばらけずに〜 ストーリーが描けているというか。ビジュアル映像が生まれてくるので、なかなか楽しげだ。
一本の水を基調とした世界が生まれている。で、ストーリーが生まれ、そこに、小さなフレーズが、くっついて、離れて、くっついて、弾んで、飛んでいく〜という感じがする。
森林、小動物、霧、水、雨粒、水の精のように、ワタシの頭のなかに、映像が湧いてくる。
いずれにしても、水分たっぷり、イオンが感じられる楽章となっている。

3楽章
小さな弦のトレモロが続いていく、無窮動に鳴り続けるのような楽章である。
プロコフィエフとシベリウスでは、ひとくちに無窮動といっても、スタイルが違うんだろうな〜とは思うが、その違いをうまく言い表すことができない。
プロコだと、まるで精密機械なのだが〜 シベリウスは風のようで〜 この風が、細かく動きつつも、でも大きなうねりのように感じられるのだ。それも、オーロラ的というか縦の波動的な動きって感じで。

他の指揮者だと、かなり、リズミカルな動きで、ノリノリ状態になるのだが、ヴァンスカ盤は、ノリノリ感というよりは、大きなうねりのように感じてしまう。
木管のペコペコ・・・と吹かれている感じが、さほどノリ感が良くないというか、(あっ 悪い意味ではありません) それが、控えめでよかったりするし〜 また、金管のくすんだ音が、遠くから聞こえてくる雰囲気が、妙に計算されているような感じがする。
つまり、視界の奥のまで〜 ずーっと見通しよく、すかっと晴れているわけではないのだ。
それが、すごく計算されているような感じがする。雪の大地のスケッチをしているかのような、広がり感があるのだが〜
適度に、視線を遮られるものがあって、小さな動きが連動しているというか、有機的に繋がっているというか。
でも、それは、幾何学的でもなく、機械的でもなく、どこか、アナログ的というか、妙にずれていたりして〜
その繋がり方が、妙に、自然な感じ・・・。無窮動といいつつ、プロコ風ではないところというか。(あー うまく言えない)

また、ものすご〜く小さな、小さな、音で奏でられている場面があって〜
その音になるか、ならないか〜という、瀬戸際的な、でも、暖かみが感じられる息づかいが残っていて、ものすご〜い世界が広がっているのである。う〜ん。これはスゴイです。
別の生命体の蠢きという感じで、もはや視覚ではなく、研ぎ澄まされた聴覚のみが残っているって感じでしょうか。(笑)

で、最後の壮大なホルンの音とティンパニーだけが、妙にクリアーで、リアルで、ここだけ別に録音したのぉ〜という感じで鳴ってくる。えっ?うっそーっ。(笑) まあ、ホント、タメが十分で、クリアーに締めてくれるところは、なかなか演技派って感じ。やっぱ〜きっちり計算してますね。納得させられてしまいました。

総体的には、録音状態がクリアーじゃないのですが、そのくすんだ感覚が、妙にレアで〜
他盤だと、格好よく、すかっと聞き終えた爽快感があるのだが、目では見えない、目では追えない風を聞きましょう的な、また、別の感覚が必要かもしれない、そんな演奏のように感じられて、そのニュアンスに脱帽です。
演奏が巧いとか、どうとかという感想ではなくて、別次元的な感覚が、聴き手にも求められる。そんな感じに思えました。

1965年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1966年 マゼール ウィーン・フィル Dec  
1971年 ザンデルリンク ベルリン交響楽団 Brilliant ★★
1975年 C・デイヴィス ボストン交響楽団 Ph  
1976年 カラヤン ベルリン・フィル EMI ★★★
1980年 アシュケナージ フィルハーモニア管弦楽団 Dec ★★
1981年 ラトル フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★★
1986年 ベルグルンド ヘルシンキ・フィル EMI ★★★★
1987年 バーンスタイン ウィーン・フィル ★★
1987年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI ★★★★
1989年 ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 Dec  
1992年 C・デイヴィス ロンドン交響楽団  
1993年 サラステ フィンランド放送交響楽団 Fin  
1995年 ヴァンスカ ラハティ交響楽団 BIS ★★★★★
1997年 ヴァンスカ ラハティ交響楽団 BIS ★★★★★
2001年 オラモ バーミンガム市交響楽団  
所有盤を整理中です。

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