「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

チャイコフスキー 交響曲第5番
Tchaikovsky: Symphony No. 5


チャイコフスキーの交響曲第5番(作品64)は、1888年に作曲されています。
77年に4番を、85年にマンフレッド交響曲を作曲し、86年にヨーロッパに旅行した後、48歳頃に書かれた作品です。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
古典的な4楽章の交響曲ですが、第3楽章には、スケルツォの代わりにワルツが採用されています。

第1楽章 ホ短調、序奏付きのソナタ形式
序奏はアンダンテ、4/4拍子で、冒頭は、クラリネットによる主題で「運命の主題(動機)」として、各楽章に現れて統一感を出しています。主部は、6/8拍子の弦の行進曲で、クラリネットとファゴットが第1主題を奏で、第2主題は、ヴァイオリンによるワルツ風な旋律です。小結尾を経て展開部に入り、再現部では第1主題、第2主題の両方が再現された後、第1主題によるコーダで盛りあがり、低音弦楽器のフェルマータで暗く重い結末となるものです。

第2楽章 ニ長調、三部形式
短い弦の序奏のあと、ホルンが美しく吹かれ第1主題となります。オーボエによる第2主題の断片が提示され、直ちに再び第1主題の登場しますが、弦が主体となってホルンは補う形です。第2主題の弦が登場してクライマックスを築き、中間部では、クラリネットが短調で現れ、大きく盛り上がると、「運命の主題」が回帰されます。
ピッツィカートによる短い経過部後、第1主題が弦で再現され、テンポが落ちて、第2主題が提示されクライマックスとなり、コーダに前に唐突にトゥッティで「運命の主題」が強奏されるものの、静かに終わります。

第3楽章 イ長調、A−B−A−コーダからなる三部形式
弦によって主要主題が提示され、主題は、木管に引継がれて展開します。
木管で主題が再現され、トゥッティにて繰り返しされます。木管による短い経過句を経て、中間部は三部形式です。
弦による細かい音型が特徴で、ティンパニーが弱音で応答します。木管に引継がれ、再び弦に戻って、この音型に乗ったまま、主要主題が戻ってきます。運命の主題は、コーダ後半、クラリネットとファゴットに静かに現れます。

第4楽章 ホ長調 → ホ短調 → ホ長調、序奏付きのソナタ形式
運命動機に基づく序奏があり、主部はティンパニの連打に導かれ、第1主題は、華やかで民族的なもの。第2主題は木管による穏やかな行進曲調です。展開部は、弦が第1主題のリズムを刻み、第2主題が変奏されていきます。
テンポが落ちたところで唐突に再現部、劇的に盛りあがって全休止。その後コーダへなだれ込んでいきます。
運命の主題が高らかに奏され、ホ長調6/4拍子に変化した第1楽章の第1主題を、ホルンとトランペットが豪快に全曲を締めくくるものです。

ムラビンスキー レニングラード交響楽団 1960年
Evgeny Mravinsky
Leningrad Philharmonic Orchestra
(現:Saint Petersburg Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。リマスタリング盤であるが、多少音量があがると、ビリっとする。
しかし、60年という録音年代を考えると、とても良い方だと思う。
演奏をじっくり聴きたいと思うものの、鋭角的で硬めで快速バージョンである。

1楽章
「そっそら〜そふぁそ〜み〜 し〜ししど〜しら しそ みれどしらそ〜みれどしらそ〜 ら〜しし〜」
テンポは遅め。深い音色がよく響いている。余韻もあるが、幾分乾いた音色である。
1音1音は、テヌート気味で長めだが、区切りがついているので、でれ〜っとしないという不思議さがある。
湿った雪が、ゆっくりと音を立てずに積もっていくかのような雰囲気があり、しーんとした緊張感がある。
テンポは若干遅め。 シンコペーションで、金管とティンパニーの掛け合いのところは、かなりの楷書体で硬い。
金管も几帳面でストレートだが、弦の「そ〜らしどれ みれそ そ〜らしどれ ふぁみれどそ そぉ〜ふぁれ〜」のフレーズは風のように揺れている。楷書体と、風のように揺れるフレーズの使い分けは、かなり印象深く感じられる。

弦のピチカートは速いし、合いの手の金管も速めだが、ゆったり出てくるフレーズがあるので、振幅の差が大きく感じられる。落ちる球を見せておいて、直球で空振りという感じだ。
弦が、「そふぁみ〜 らそふぁ〜 しれどしら〜 そふぁみ らそふぁ〜」と、鋼のように硬く、締まっている。
決して滑らかな巧い歌い方じゃないのに、やられるのは、何故なのだろう。

色気はないくせに、弦も乾き気味で、しゃちこばった骨の硬い演奏のようで、テヌートがかかっているような、ぬめりがある。
かといって、語尾がスッパリしているし、不思議な演奏だ。
で、フレーズは、1つのパーツは、普通の人よりも、長めにとっているような気がする。

弦のピチカートは、メッチャ速い。
そのくせ、「らそふぁ〜しらそ〜 どみれ どし〜」という甘美なフレーズになると、やっぱ弦 が一糸乱れず、高音域がすごい響きを持って響く。金管は、異様なほど残響があり、まろやかに聞こえてくる。
う〜ん。神々しいほどの音色で奏でられてくるが、黒光りして硬いっ。
最後は、テンポは遅め。金管も、素っ気ないほど短めに区切って吹かれている。

2楽章
低弦の序奏後のホルン・・・。「みれど ふぁ〜み どれみ そ〜ふぁ〜」
チャイコの5番で、聴きどころとなっているホルンだが、う〜ん。これは巧いのだが、素っ気ない。
いや〜抑制が効いていると言うべきだろうか。まるみはあるが、余計な歌い方はしない。
クラリネット、オーボエ共に、情感はあるのだが、テンポが幾分速め、ふっとテンポを落とすところはあるが、効果の狙ったものとは言えないのかも。
で、最初は抑揚がついていないな〜 素っ気ない無いな〜っと思っていたのだが、そのうちテンポが揺れ出し、「れ〜ふぁ れ〜っ れ〜ふぁっ れ〜っ」  となった時には歌っている。

美しいというフレーズの描き方ではないし、エッジは鋭く硬い。木管のフレーズも綺麗だし、がっしり構築されている堅さがあるようで、優美さはないし、余裕感もないし、 金管がせりあがってくるところの迫力が感じられる。
パワーもあり、低音の響きの効果もある。無骨だが、フレーズのちょっとした間合いが、怖いほどに揃っているし、硬めの木管の音色が、弦の硬さに、ほどよく均衡を保っている。
タメはあまりなく、頂点を築いたあとは、速めに駆け下りて、段々・・・ 迫ってくる。
再度の金管の咆吼は、迫力あり。弱音の間合いの綺麗さがあるが、この間合いが、ちょっと緊張する。

3楽章
「れ〜どしらそふぁ そ〜らしそど〜 み〜ふぁそらど〜し れ〜みふぁそら〜」
優雅なワルツ風のフレーズが続く。テンポが少し速めで、風のようにそよいでる。優美さとはちょっと違うし、硬めだね。やっぱ。
チャカチャカチャカ・・・ チャカチャカチャカ・・・ 弦のフレーズの速いこと。メッチャ速い。
「そ〜れ られそ られそっ られそっ し〜」 はやっ。最後の、ジャンジャンジャン ジャンっ。
切れの良いこと。あっという間に終わる。 

4楽章
弦の合奏は硬めだが綺麗だ。「れ〜れれ れ〜れれ れっど〜」
端正すぎるほど端正で、首が絞まるような硬さがある。キッチリしてて、ホルンも几帳面で、ちょっと息がつまりそう。ホルンが絡むところも厳格そうだし、情緒に余裕が無い。トランペットと弦の絡みにも杓子定規に聞こえてくる。
そして、弦の「れっみふぁ どどど ししし ららら・・・」というフレーズの恐ろしい音。
はあ? すげ〜 畳みかけと速さ。
疾風怒濤のように嵐が起こり、砂埃をあげて突進していくような、すさまじさがある。一直線的なコーナリングで振り落とされそうだ。音量はさほど大きくならないのだが、テンポがトルク化してて凄いパワーである。
バンバン ジャンジャンとは鳴らないのだが、ぐぐ〜っと前のめりに走っていく鋭さ、戦闘機なみに、ぐわ〜っと下がって、ぐぃ〜っとのぼっていく、まるでGが掛かっているかのような感覚というのか、どうして、こんなに速いんだろう。
そして、どうして、パワーがあるのだろう。

ショルティ盤の最終楽章も、まるで蒸気機関車なみのパワーを感じたのだが、よく似ている。
ムラヴィンスキーさんのこの楽章も、蒸気機関車のようなのだ。モクモクと煙を吐いて、車輪が回っていく様相に感じられ、このリズム感に乗せられていく。ものすごく、リアル感があるのだ。
録音の状態によるとは思うが、ショルティ盤は、もっと重量感があった。ムラヴィンスキー盤は、重量感こそ無いが、もっと鋭角的で、一直線っという感じがする。
なにせ硬い。硬くて強靱で、鋭い。自信に満ちたワンマン型で、鋼のような硬さである。聴いている方も、押し付けられた感がするし、強制的で有無を言わさない圧迫感がありすぎるほどある。
ワタシ的には、もっと抑揚のついた演奏の方が好きだが、昔から、ムラヴィンスキー盤は、超快速で怖いことで有名だった。
昔からの名盤だと言われているが、実は、とんでもないんじゃーないだろうか。とも思ってみたが・・・。いやいや〜すごい。
凄まじい鋭さがあり、切り込み隊長のように、切りつけられていく。

マゼール ウィーン・フィル 1963年
Lorin Maazel
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

ガタガタガタ・・・ 

録音状態は、まずまず。多少、粗めのアンサンブルだが、勢いというか鬼気迫るというか、押してくる演奏で、すごみがある。
これが、ウィーン・フィルとは、俄に、信じられないほど荒々しい。
カップリング:チャイコフスキー 交響曲第4番〜6番、幻想序曲「ハムレット」2枚組BOX
1楽章
マゼールさんの若かりし頃の演奏で、4番〜6番まで、ウィーン・フィルと振った2枚組BOXである。
この3曲の交響曲を、天下のウィーン・フィルを、ここまで勢いがあって、すごいドスの効いた、すごみのある演奏をさせるなんて〜 マゼールってすごい人だったんだ〜と改めて思った。
5番って、ホントに美しい交響曲だが、メチャクチャ軋んでいる。
チャイコフスキーの美しい筈の木管のフレーズが、埋もれずにきっちりと聞こえてきて、見通しが良いのだが、それが、意外と、吹き飛ばしている。えっ というほどに粗く吹かれており、弦のフレージングも尻切れトンボ的だ。
あまりタメを作らずに、素知らぬふりをして、スイスイと進んで行く。

金管も、荒々しく吹かれており、ホルンの音は濁っている。
この盤は、ロシアの演奏家だろう〜と思うほど、まさか、ウィーン・フィルとは、思いもよらぬ音である。
軋んだ音で、ハチャメチャと思うほどに、開放的に、ぶっぱなしている。あ〜 こうなりゃ、やけくそよぉ〜って感じだ。
ティンパニーの打ち込みは激しく、金管との呼吸がイマイチあっていない。
低弦の音は、しっかりと入っており、ものすごく層が厚く鳴っているのがわかる。ファゴットのフレーズも、オーボエの音も、手に取るように聞こえてくるし、普段気づかないフレーズが満載で、情報量が多い。
63年の録音で、ここまで見通しのよい情報量の多い演奏も珍しいようには思うが、いかんせん、金管のパワーを始め、アンサンブルの荒々しさ、ガッツリした厳めしさは、う〜ん。絶句である。

歌謡風のフレーズになっても、優美さの欠片もないが、無愛想なほどに軋み、ストレートに響いてくる。
アンサンブルが乱れてるやん〜って文句のひとつも言いたくなるが、後半に入ってくると、より一層、口をつぐまざるを得ないぐらいに、威圧的というか、鬼気迫るというか、すごみを感じて・・・ 鳥肌が立ってくるほどだ。
合理的というか、無駄を排除したかのような、カッシリとした構図が出来上がっているようで、なにか? まさか、文句ないよね〜と言われているかのような気配だ。なんしか、押し切られちゃう。

2楽章
絶望的にうちひしがれたような低弦の響きのなかから、ホルンが、「みれど ふぁ〜み どれみ そ〜ふぁ〜」と立ち上がってくるのだが、う〜ん。ニュアンスの少ない、色気のないフレージングで、ちょっとがっかり。
オーボエの細い硬い音が、すーっっと空気を切って出てくるし、全体に丸みの少ない響きで、がっかりだ。
響きが薄いというか、平板的で、もっと、歌って欲しいが、そんなモノ・・・と一喝されそうな勢いだ。
「れぇ〜ふぁしら ら しどれし そぉ〜 しどれし そ〜ふぁみ み〜れど ふぁらど ど〜し」 
あっ 情感たっぷりに歌うフレーズが、天下のVPOだというのに〜 どうしたら、いったい、こんな無骨な音になるのだろ。
あ〜 嘆かわしいっ。と思うが、これだけ、クールに演奏されていると、淡々としたなかに虚無的な思想が漂いはじめる。
きっと、マゼールさんは、戦う戦士なのだろう。

運命のモチーフが登場する時には、もはや、テンポが遅くなり、立ち止まる気配がするが、雑多なモノから解放され、ぶつっと音を立てて収束する。弦のピチカートは、メチャ暗く、えっ・・・ 不意打ちをくらった感じで、立ちすくんでしまうが、演奏は淡々と、元に戻っていく。
何事もなかったかのような、平板な感じで、あのテンポの落とし方は、なんだったの?
歌わないフレーズを苦渋の思いで聞き進むが、弦のツーンとした音と、金管の音と、ティンパニーのどす黒い、硬い乾いた打ち込みで、また、足元が、すくわれる感じになる。ひぇ〜っ。怖いっ!
「れ〜 ふぁしらぁ〜 れ〜 ふぁしらぁ〜」 怖ろしいほどに凍り付いたような静寂が訪れる。

3楽章
「れ〜どしらそふぁ そ〜らしそど〜」と続く、 優雅なワルツだと思っていたのだが、えっ。と思うほど快速だ。
オーボエも、クラリネットも、ファゴットも、完全に吹き飛ばしていく。
弦も優美さや流麗な〜という形容詞は、まったく不要で、あっけにとられているうちに、この楽章は終わってしまう。
まるで、ショスタコやプロコの無窮動の世界だ。

4楽章
弦の合奏で始まるが、ここは、ハイ、一糸乱れぬという姿で美しい。
弦のピチカートのなかに金管が入ってくる。「れぇ〜どぉ れぇ〜どぉ しぃ〜らそ どぉ〜」
「らぁ〜らら しぃ〜らそ らっふぁ〜 どぉ〜どど れ〜どし どっふぁ」
「ふぁ〜み〜れ〜 ど どしら〜 ふぁ〜みれ どぉ〜 みれどぉ〜」
「れ〜れれ れっど れ〜れ れれ れっど ふぁ みれ どどしら・・・ ふぁ みれ ど みれ どぉ〜」
ノンビブラートで、吹ききるというのも凄いが、何か考えがあったのだろうか。なんだか、素すぎて〜 ちょっと、何かあるのかと思わせるのが、手なのかもしれない。斉唱なので綺麗なのだが、音が周りに広がらないので、闇のなかで吹いているような気配がして、かなり不気味だ。

で、強いアタッカで、弦が、怖ろしい勢いで切りつけてくる。
テンポは遅いのだが、強くて、えっ? なんで、ここだけ音が大きいの? と、素朴な質問をしたくなる。
で、スピードがあがるのかと思ったが、さほど変せず、機関車のようなエンジントルクが始まるが、弦が遅れがちでアンサンブルが危ういっ。金管の音ばっかり聞こえて、ティンパニーは奥に引っ込んでいる。
なんだって、オーボエの音がメインなの?と思うところがあったり、なんだか、音が抜け落ちたようなところあがったり、ちょっと変です。
強打するのが、好きなのか、いきなり不意を打たれることが多いが、普通は、ここからテンポアップしていくだろうに、そこを、インテンポでやっちゃう? という、天の邪鬼的なところが垣間見られる。
鬼のように迫ってくる気迫には、負けそうになるが、正当な5番ではないように思う。

カラヤン ベルリン・フィル 1975年
Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良くない。奥行きがなく、乾燥しているのか、最後がバリバリ状態になっている。ところどころ巧いなあ。と感心するのだが、最終楽章は、超ド派手で爆演に聞こえる。これは、ちょっと、やりすぎでは・・・。
カップリング:チャイコフスキー 交響曲第4番〜6番 70年代の録音ではEMI盤もある。

1楽章
クラリネットとファゴットによる主題、「そっそら〜そふぁそみ〜 し〜ししど〜しら しそ みれどしらそ〜みれどしらそ〜 ら〜しし〜」 厳かな冒頭で、テンポは遅め。深い音色で美しい。
弦が奥で鳴っている響きは、絶品に近い。
息づかいも深いし、神秘的にすら感じる。冒頭は静かな音が流れてくるので、ちょっとボリュームをあげて聴くと、すごい深い音色がしてくる。
でも、金管があわさってくるところは迫力がある。
「そっそ〜 っそそ〜 (ティンパニー)ドレミファソラ〜 ふぁっ ふぁっ」
「ららっ(ドンドン)ふぁふぁ らっら(ドンドン)ふぁふぁ ららっふぁふぁ ららふぁら ふぁらふぁら」
シンコペーションで、金管とティンパニーの掛け合いも、面白い。
ちょっと音場が近いのか、奥行きが足らない感じがするが、でも、やっぱ流麗で木管や金管が特に巧いし、弦の響きなんぞ、やっぱ、すげ〜と思う。
低弦のボンと響く響きがすごい。「しっ どみぁそし・・・ し〜みし〜みし〜みし〜」
これが繰り返されて、穏やかに、「そふぁれ〜 らそふぁ〜 しれどしら〜 そふぁみ らそふぁ〜」
いや〜 「そ〜ふぁみ ら〜そふぁ」と、耳元で囁かれ、言い寄られているような気分になってしまう。
弦の音色と、妙にふんわり感があって、ころり。
でも、金管にも、同じく「ふぁっふぁっ」と、耳元で吹かれているような気がして苦笑い。これは困る。
振り子のように聞こえる金管が、「ら〜みら〜み し〜みし〜み ら〜みら〜み し〜みし〜み」
「らみみ〜 しみみ〜」「らみみ〜 しみみ〜」
「そそそ ららら〜 どっどみぃみ〜 みみっ〜みっみ みみ〜ららら〜ららっ〜」
ひ〜っ。うるさっい。う〜ん。弦や木管は、抜群の音色なのに、この金管さんたち、どっか行って〜っ!
楽章の最後、同じく「らそふぁ〜しらそ〜 どみれ どし〜」という甘美なフレーズになると、やっぱ弦の美しいフレーズが、引き締まった音色で奏でられてくる。
低音は充分にまったり音なのだが、高音になると、ちょっと硬く、ヒスっているに近いかな。

2楽章
低弦の序奏後のホルン・・・。「みれど ふぁ〜み どれみ そ〜ふぁ〜」
やっぱ巧い。音色も深く、低弦の寄せが綺麗に聞こえてくる。情景は浮かばないのだが、純粋に(近い雰囲気)音色を楽しむことができる。
「そ〜し〜みれ〜 (らみ〜ふぁ) みそ〜しみれ〜(らみ〜ふぁ)」
オーボエとホルンの掛け合いも大変美しい。コントラバスのフレーズも、よく響いている。
「れどしみ〜れ どれみ ふぁ〜み・・・」 弦と木管の掛け合いも、う〜 美しいっ。
この楽章は、テクニシャンたちのソロを楽しむことができて、思わずうっとりしてしまう。
で、演奏の感想は、どうなの? と言われたら、頭をカキカキ、思わず、うっとりしてしまいまして・・・。
他につけたす言葉も見つからず仕舞い。
でも、これだけ、うっとりさせてくれる盤も、少ないって感じはするんですが。どうでしょ〜ダメでしょうか。
派手に金管が鳴った後、「れ〜ふぁ れ〜っ れ〜ふぁっ れ〜っ」 低弦のパラパラ音が響き渡る。
このテンポも優雅で、余韻がすごい。

「れどし み〜れ どれみ そ〜ふぁ ふぁそら らら〜 らそ〜」 低弦の2音の揺れのなかで、木管と弦が、優美に奏でられている。
低弦の響きが無くなったあと、弦が、「そらし し〜ら ふぁそら〜らみ みふぁそそ〜」
「みれど み〜 らしど ふぁ〜み」と畳みかけるように速めにテンポアップしていく。
ここの弦のフレーズは揺れており、他のフレーズに食い込んでいくような勢いを感じる。そう。切迫感があり、かき立てられていく。情感があふれ出すっていう演出なのだ。
で、充分にためてから、「れ〜ふぁしら〜 しどれしふぁ〜 しどれし ふぁ〜」 
この情感タップリの弦のフレーズと、金管の競ってくるところと、頂点に至るところのタメが、うっ うまい。
弦は、フレーズをたっぷりに歌い、情感をたっぷり後ろにのばして弾いていくし。
音量は、じわ〜っとあげていっては、頂点で一発。音量を下げるところは、一辺に、ひゅ〜っと引くし。
トランペットは、うっうっうううううっ。と重なって押して情感を圧縮してくるし。
弦とトランペットの情感のせめぎ合いって感じがする。
で、また、テンポの伸縮度合いが巧いんだよなあ。で、極めつけは、金管のフライング気味の出だしだ。頂点から引いてきて、音が消えそうになった一歩手前で、「バーン ババ バーンババ ババっ 」 
ひぇ〜っ。これって、金管が、単にばらけただけと思うのだが、もしかして計算ずく? やめようよぉ〜。こんな録音、ホントは取り直しではないのでしょうか?

3楽章
「れ〜どしらそふぁ そ〜らしそど〜 み〜ふぁそらど〜し れ〜みふぁそら〜」
優雅なワルツ風のフレーズが続く。よく言われているようなレガートかけまくり状態ではなく、まだ締まっている。木管のフレーズが綺麗で、クラリネットもファゴット、低弦の響きもバッチリ。
弦の細かく動くフレーズも優美だし、アンサンブルもみごと。やっぱ各パートのソロは聴くと、巧いよなあ。
弦と木管のセッション部分 「みみふぁみれど (ふぁ〜そ)」
弦と木管の、互いに主旋律になったり、バックになって演奏してるところなんか、巧〜いなあ。
「そ〜 られそ られそっ し〜」 「しどれ〜そどっ」 やっぱ。弦と木管は、うまっ。

4楽章
弦楽合奏的なフレーズから始まる。この弦の響きは文句のつけようがない。
弦のピチカートも。ホルンも。う〜ん。優美で、しっかりした響きが堪能できる。各パートの声が充分に絡んでいて、バランスが良いと思う。ホント美味だと思うのだが。
「ど〜っどど〜 どっどどぉ〜 れ〜ど れ〜ど〜 し〜らそみ〜 れ〜どしみ〜」
ホルンとトランペットが絡んで、いったん鎮まるのだが、そのあと〜 ティンパニーのロールが鳴ったあと、弦が、ガシガシガシ・・・弾き始める。
げっぼっ! ここで、いきなり、吹き出してしまった。
「れっみふぁ どどど ししし ららら・・・」
いきなりテンションがあがって、メチャ苦茶デカイ、アホほど派手に、ティンパニーの音が鳴る。
先程までの綺麗な弦が、うって変わって変貌する。
ウッパ ウッパ ウッパ・・・ ドシドシ・・・
なんじゃーこりゃ。運命の動機だったか、運命の主題。こんなに派手に鳴らさなくても・・・ 
これは、やりすぎだあ。こりゃ酷い。テンポはさほど変わらないのに、ドンドン ジャンジャンである。
もう少し抑えて演奏してくれたら、良いものを。先程の美音は、どこへ行ってしまったのやら。
ひぃ〜 これは酷い。あっけにとられてしまった。

録音状態は、最初は悪くはないと思った。しかし、最終楽章が、どーも頂けない。
派手に鳴りすぎて、ドンドン バンバン、ジャンジャンしすぎ。金管とティンパニーの近くに、マイクがあるのか、耳元が鳴っているようで痛い。奥行きが足らない状態なんだと思う。
で、ソロ部分は、やっぱメチャ巧いと思うし、アンサンブルも巧い。弦も木管も美音である。
で、2楽章、3楽章は、聴きどころも多いと思う。
でも、最後がなあ。演出しすぎなのか、派手に鳴らしすぎで、こりゃ〜爆演に聞こえて、どうしょうもない。これは頂けません。 ちなみに、同じ70年代録音では、グラモフォン盤(当盤)よりEMI盤の方が評価が高いようだ。

クルツ ツュターツカペレ・ドレスデン 1978年
Siegfried Kurz
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

録音状態は良い。品の良い楷書体の演奏である。
地味なんだけど、スルメ的で・・・ワタシ的には好き。 愛聴盤である。繰り返して聴いても破綻していない点、完成度が高い盤で、ものすご〜い調和感のあるバランスの良い演奏である。

1楽章
シュターツカペレ・ドレスデン(旧呼称:ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)のファンにとっては、醍醐味の一枚。録音が古いので、多少くぐもって聞こえてくるが、カペレの温かな音色がたまらない。
演奏は、人肌の暖かみの感じさせるチャイコフスキーで、極寒のイメージはない。
感じるままに情景を述べるとしたら・・・ 極寒の凍てついた大地のイメージではなく、晩秋だろう。
落ち葉が積み重なった道を、一人静かに逍遙している感じがする。
ホント、ふかぶか〜っとした音色が響きわたっている。
金管の音色も、まったりまろやか。弦も低弦から豊かに響く。木管は小気味よく。
これらの音色だけで、充分に至福を味わうことができる。
一般的に言われているロシア臭さ、演歌節はない。上質なチャイコだと思う。

2楽章
ホルンの音色は絶品。耽美すぎず、さらり〜と吹かれているが、ペーター・ダムさんのソロだろう。
遠くから、懐かしい角笛のような音色が聞こえてくる。
森の奥で響く木霊のように、ホルンとオーボエが吹かれており、まるで目の前が、木々の葉が揺れる森のような情景で、鹿にでもなった気分だ。ああ〜なんという穏やかな世界なのだろう。
救いを求める宗教でも信仰の世界でもなく、森の奥に入り込んだような、自然と一体となった気分だ。

3楽章
なだらかに、スケートでもしているような滑るように流れていく。
クラリネットとオーボエの音色も良いし、テンポが速い。木管が、ことのほか速い。小気味よいほど、ぱらら ぱらら ぱららら〜っと演奏していく。このリズミカルなところは絶品。
例えば、インバル盤だと、ここは、ヴァイオリンの4連符が、ペコペコペコペコ・・・ 
ショルティ盤だとガシガシガシガシ・・・。
うるさくて耳障りなのだが、クルツ盤には羽根が生えているようだ。う〜ん。音の響きとして調和があり、なんとも美しい聴きどころになっている。

4楽章
決してパワフルではない。じわ〜っと立ち上がってくる。うわ〜っ 温和しい。地味じゃん。と思ってしまったが、ホルンの対旋律が聴き応えがあったり、仕掛けは充分。う〜ん やっぱ音色が他とは違う。
弦があわさってくるところとか、巧いっ。
何度も繰り返して聴くと。う〜ん。おみごと。
ティンパニーはさほど大きい音量で鳴らしていないのだが、緊張感があり、耳をすませて聴こうという感じになってくる。じわじわ〜っと音量とリズムを乗せていくのだが、これがどこから始まっているのか、何度聞き直してもワカラナイ。
いきなり、ぐぐっ〜っと来る盤もあるのだが、クルツ盤では、気がついたらテンションがあがっている感じ。
ショルティ盤のような強引さは皆無で、これはやられる。
ティンパニーの一撃で煽る盤もあるし、これでもか〜っとガシガシ弾いて煽ってくる盤もあるのだが、まあ、このクルツ盤は、テンポもさほど変えずとも、自然に運動体になっている。

ガシャーンとか、ドカーンっという擬音は一切無い。このカペレには必要ないのだろう。まるで職人技のように精緻に、綺麗にまとめられ、上品でスマートなまま、自然に煽られ〜 気がついたら熱くなっておりましたという感じ。これには、まいりました。やられた〜
中音域をになう木管のデキが、他とは違うようで。目立たないところが良いんだろう。初めてクルツ盤を聴いたら、ん? 何がそれほど良いのか、わからないと思う。際立った個性や、押し出しの強さや主張が強くないから・・・。だが、いろんな盤を聞き比べてきた後、このクルツ盤に戻ってくると 、ほっとするのではないだろうか。目立たないところが、きちんと、あたりまえのように仕上がっている。 そんな質の良さを感じる。絶品 っ!

ムーティ フィルハーモニア管弦楽団 1978年
Riccardo Muti
Philharmonia Orchestra of London



録音状態は、少しカサっとしているが、まずまず。
ムーティらしく、カンタービレ風にためて歌う。金管も迫力充分で、随所にティンパニーの一発も織り込んである。
EMI原盤のブリリアント(Brilliant Classics)レーベル盤 交響曲全集7枚組BOX

1楽章
クラリネットとファゴットによる主題は、静かに始まる。深々としており、粘りもあるが、どことなく、1音1音が少し区切られて出てくる感じがする。テンポは遅め。
「そっら そっら」「みっみっ みふぁそ らそふぁみっど そっそっ〜ふぁ ふぁみっみっ」のリズムが、ちょっと弾んで、合いの手のクラリネットの音色に艶があり、リズミカルだ。
特にクラリネットの音が、よく入ってて明るめ。
さほど、すごいとは思わないのだが、息づかいの深さと、たっぷりとした流れが感じられる。
弦の膨らみや厚みは、う〜ん。いいなあ。
「そ〜ふぁみ ら〜そふぁ」「そふぁれ〜 らそふぁ〜 しれどしら〜 そふぁみ らそふぁ〜」上品に、カンタービレ風に美しく歌わせている。
ホルンの「ふぁ〜ど ふぁ〜ど」「そ〜ど そ〜ど」のリズミカルさと、弦のうたいっぷりは、やっぱり巧い。
それにしてもチューバの音が、すごい大きく入っているのだが、どーなっているんだろ。マイクが、そばにあったのかなあ。
深く太く逞しいが、荒いわけでもなく、気がついたら、いつの間にか乗せられている。って感じがする。
フレーズには、レガートがかかっているのだが、嫌みに聞こえないところは、テンポの良さなのだろうか。
それに音がマイルドだ。
特に、「らぁ〜しぃどれぇみ ふぁ〜みらぁ ら〜しぃどぉみ そ〜ふぁみれら らぁ〜そぉみ らぁ〜そみぃ」「らぁ〜ら らそふぁ そふぁら〜」なんて歌うところは独特で。思わず吹き出すぐらいカンタービレ風である。
思わず、おいおい、チャイコだぜ。と言いたくなるのだが、これが、ムーティらしいところ。
まっ それでも、歌うところ、歯切れよく進むところ、フレーズの使い分けがすごいハッキリしているのだ。
鳴らすところは豪快に鳴らして、歌うところはタップリ歌い。インテンポで進むところはインテンポ。
う〜ん。小気味よいって言う感じだ。

2楽章
低弦の和音が美しい。歌わせ方のツボがあるみたいで、序奏後のホルンも巧い。
「みれど ふぁ〜み どれみ そ〜ふぁ〜」
儚げに聞こえるし、情感がこもっているというか陰影が深いというか、テンポも音量も揺れがあるが、それが、また、ふわっとして聞こえて幻想的だ。深い森のなかでの、精霊の声のように聞こえる。
それを引き継ぐオーボエの音も良いし、フルートの音色も良く聞こえてくる。
内声部が綺麗に詰まっている。つい、他の盤だと、弦しか耳が行っていなかったのだけど。
「れどしみ〜れ どれみ ふぁ〜み・・・」 弦と木管の掛け合いも、う〜美しいっ。カラヤン盤も綺麗だったんだけどね。こっちも巧い。なにせ雰囲気が抜群だ。
「れ〜ふぁしら〜 しどれしふぁ〜 しどれし ふぁ〜」 う〜ん。痺れちゃう。情感タップリの弦のフレーズと、テンポを重ねて圧をかけて頂点に至るところのタメが、巧すぎ。弦 をたっぷり膨らませて、ためて〜
充分に歌わせ、そしてふくよかに、まったりと収まる。
木管の歌いも良いし、テンポを微妙に揺らして、ぼっん。と入って金管が奏でられるが、ここも、まだテンポをあげず、充分に〜 ぐぐっとためる。こりゃ〜ニクイねえ。
そのくせ、弦の3音「らっ れっ ふぁっ」は速め。これを遅くする盤が多いのに、通常の逆張りである。
その後、得意のカンタービレ風になり、歌うわ歌う。
ムーティ盤は、これ、弦より木管、特にクラリネットが活躍している。弦の歌いっぷりより、木管の歌いが耳に入ってくるなんて〜 ふふふっ。これ面白い。「れっふぁしら〜 しどれしふぁ〜 しどれしふぁ〜」 この楽章は、ムーティの独壇場って感じ。ちょっと癖があるのだが、やられるなあ。
で、金管 「バーン ババ バーンババ ババっ 」 この金管が、メッチャ遅い。へえ?
なーんで、こんなに超スローなんだ。と面食らっている直後、「れ〜ふぁしら〜 しどれしふぁ〜 しどれし ふぁ〜」 と、美しいカンタービレでやられる。負けました。

3楽章
「れ〜どしらそふぁ そ〜らしそど〜 み〜ふぁそらど〜し れ〜みふぁそら〜」
さすがに、木管が綺麗に活躍している。で、ところどころ、カンタービレ風味がついている。
ちょっとワザと出だしを遅めにしてみたり。速めてみたり。中間部のテンポは、もう少しゆったりめでも良い気がするが、アンサンブルはみごと。
木管が頑張っているのに、弦が、艶っぽく聞こえて来ないんだけど。
う〜ん。もう少し、弦も頑張って欲しい気がする。「そぉ〜られそっ られそっ られそっ しぃ〜」ってところが、元気なく、そのまま行っちゃった。もちっと粘って欲しい。このフレーズには、重みのある、勢いのある音が出てくると思って期待したのに。がっかり。最後は大きく膨らむ。

4楽章
弦楽合奏的なフレーズは美しい。ことさらに、低弦を響かせておらず、モノ足らない感じがしないわけでもないが、しっかりした口調で、そこそこ重みが感じられる。
弦のピチカートも歯切れ良く、ホルンもよく響いて聞こえてくる。
「れぇ〜れれ れぇ〜れれ れっど〜 ふぁ〜みれ どっどしら〜」
マーチ風になってくるところの、裏の金管の音が、なんとも言えない響きがする。まろやかに立ち上っていく雰囲気が巧い。このホルン誰だろ。巧いなあ。和音の美しさが特筆される。
弦が、ここでは頑張っており、ゆったり大きく膨らんでいる。このタメが、いやらしく聞こえないところが、すごい。で、タメにためた後、ティンパニーのロールが鳴るのだが、途中で、2発程度、ドンっと強打している。
この強打、メチャ効いているのだ。ドンっというより、ジャンに近いのだが、すげ〜音で、金管も、フレーズの途中で、ぼわ〜っと強めに吹かれてアクセントをつけている。
へえ。他の盤も、ここ強かったかなあ。
で、そのティンパニーの後、弦が鳴り始めるのだが、これがガシガシになっていない。美しいのだ。
弦の鳴り方と金管、その後の木管類のバランスが、面白いというか、弦主体じゃーないんだなあ。
まあ。その後、段々とスピードアップしてくる。
ティンパニーが、ドンドンと叩かれヒートアップしてくる。で、コントラバスがゴリゴリと鳴ったあと、いったんテンポが落ちてきて、ウッパ ウッパ ウッパ・・・ ドシドシ・・・ が始まる。
フルートの音色が綺麗なのだが、バックで、ウッパウッパが鳴っていることが、面白い。
最後は、さすがに金管だけにパワーが集まってきて、執拗な感じがしてしまう。これじゃー 弦が鳴っていないじゃん。
「ふぁみれどしど ふぁみれどしど〜」 最後のコーダも、まあ。勇壮な感じはするが、最後にきて弦が頑張るが、木管が、ひゅ〜っと吹かれており、嵐のようだ。 で、金管と木管のひゅーとした音、そこにティンパニーが重なる。

う〜ん。どうでしょ。部分的には良いのだが、弦の存在が・・・。
いったい、この録音のバランス状態は、どうなっているのだろう。弦が、ホントあまり聞こえてこないのだ。
まるで、裏方に回っているかのような感じになっており、不自然な感じがする。
ムーティ盤は、徹底して、カンタービレ風に歌うところが面白いことと、タメの作り方が、やっぱり巧い。チャイコフスキーならではの粘りもあり、細部にわたって面白く聴ける1枚である。ただ、最後には、熱くなってくるものの感動できるかは、また別の次元で、感動とは少し遠いかもしれません。

ザンデルリンク ベルリン交響楽団 1979年
Kurt Sanderling
Berlin Symphony Orchestra

録音状態は、多少くぐもった感じは拭えない。重低音が充分に入っているのだが、ヌケがイマイチ良くない。教会での録音なので、残響が少し多い。
まったり〜な  ほっこり〜な的な演奏である。
カップリング:チャイコフスキー 交響曲第4番〜6番 2枚組BOX

1楽章
ザンデルリンク盤は、まったり〜太い音が聞こえてくる。人の良さそうな暖かみのある、ちょっと小太りなおじさんのような音で、決してスマートではない。
落ち着いているといえば落ち着いているんだが、まったりすぎて〜 テンポよく聴きたい人には、ダメかもしれないが、大河のようなうねりがある。
雰囲気としては、地面が凍り付いておらず暖かい。シベリウスの交響曲全集でも感じたこととだが、多少、ぬるま湯的傾向にあり。テンポ遅めに、たっぷり歌う。
コントラバスのピチカートの場面は良く響く。ヴァイオリンのピチカートのように緊張した感じを与えきれていないのが残念だが、低弦の重みが下支えになっており、全体的に、どっしりとした安定した雰囲気を与える。もの悲しさや寒々とした感じはあまり受けないが、叙情的で優しく柔らかい。
決して冷たいチャイコではない。
弦が、ちゃぁ〜ちゃ ちゃぁ〜ちゃ  金管が、ぱぁ〜ぱ ぱぁ〜ぱ ぱぁ〜ぱ アクセントが大きく第一音についており、大きな揺りかごのなかで揺られているようだ。
大きなうねりは、大地というより大河的に聞こえてきて・・・ ちょっと私的には違和感がある。

2楽章
弦の低い声のうえに、ホルンがふわっと乗ってくる。低弦の響きは、ことのほか柔らかく、まるで真綿にくるまれた感じがする。ホルンの音色自体は、オブラートに包まれた感じで、透明感には優れていないが、安定感があり、優しい。

3楽章〜4楽章
レガートたっぷりに歌われる。上品なマダムが踊っているような感じ。ちょっぴり重量があるが・・・
落ち着いたというか、う〜ん これは遅いっ。重いっ。という人もいるだろう。
私的には、軽めの方が好きなので、これほど、レガートタップ〜リに歌われると、ちょっと驚く。
最終楽章は、出だしから重厚感たっぷりで、うへっ 重い〜っと思ってしまったのだが、これがじわじわ盛り上がってくるのだ。
ショルティ盤は、アクセルを踏み込んだら、いっきに回転度数があがる優れた運動機能を持っているが、ザンデルリンク盤には、俊敏な運動能力はない。
その代わりに、低弦のすごいパワーで粘り腰で迫られ、ドンドン、ズシンズシン・・・地響きをたててくる。
で、いつの間にか、じわじわ〜っと音圧で迫られて圧倒される。これはこれで凄い。
が、これがチャイコかと言われたら、う〜ん。首を捻らざるを得ないんだけど、険しい・厳しい・寒々しい・不安定な心理状態のチャイコではなく、どっしり安定した 、ほんわか〜とした重厚感にあふれるチャイコの5番になっている。いかにもドイツ風と表されることになるとは思うが・・・違った側面を呈示してい て、これはこれで面白いかもしれない。

シャイー ウィーン・フィル 1980年
Riccardo Chailly
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

はぁ?  →  

録音状態は、まずまず。シャイーのウィーン・フィルへのデビュー盤である。
スマートで、現実的で、リアルで、合理的って感じでしょうか。
← ところで、このジャケット写真 27歳には見えないんだけど・・・。

1楽章
冒頭、クラリネットが暗く鬱っとした感じで吹かれている。テンポは遅め。
音色はまろやかだが、かなり引きずったレガート気味に吹かれており、ねちねちとしたフレーズが続く。 このままだと鬱病になりそうなほど、なんだか耐えきれない状態に追い込まれる。

その後、「たぁらっ〜ららら ららら らぁ〜」 主部に入って弦が刻みをつけていくと、 ようやく開放されたような気分となる。
主部に入った途端、響きに豊穣感が漂いはじめ、歌うようにフレーズを膨らませ、リズミカルになっていく。
金管もまろやかに、タッタタ・・・ リズムが生まれて、「んじゃ〜 んじゃ〜」と膨らんでいく。
弦が、「そ〜ふぁれ〜 そ〜ふぁれ〜 そ〜 そふぁみそ〜」と喘いでおり、うっ。まるで官能的な息づかいのようで、うっ。これチャイコだったよなあ。と思わず唸ってしまった。

低弦のリズムを刻む音も、良く聞こえており擦れたような響きが充満するが、ヴァイオリンをはじめとした弦の高音域が甘美で、とろけてしまう。金管と弦の「たぁら〜ららら たぁら〜ららら」が濃い。
セクシャルに聞こえてしまって。うぷっ。こんな聴き方になるのは、ワタシだけだろうか?  弦の響きが、艶やかで色っぽいのは確かで、すすり泣くような哀しみではなく、甘く誘惑しつつ、取りすがっているような感じがしてきて、哀しみとか苦悩とかと、ちょっと違うような気がしてきた。
まるで、オペラのワンシーンのような、ウツウツと悩んでいるって感じではなく、愛憎混在型と言えるような、駆け引きが展開しているような・・・。そんな気がする。ドラマ仕立てのような感じがしてきて、 楽章の最後木管のフレーズでは、男が立ち去ったシーンを思い浮かべてしまった。

2楽章
取り残された女が、ひとり物思いに耽っているような感じで・・・ ホルンが吹かれている。
う〜 これは、また濃いっ。濃厚な練乳入りのコーヒーを味わっているような。底なし沼に落ち込んだような、恋愛状態で。うぷっ。また慰めてるオーボエの音が、たまらん。
ネチネチ状態で、トロトロの恋愛状態に、これでは、はまりこんでしまって抜けられないでしょう。
もはや、美しいって言える状態ではなく、う〜 見てられないって状態になっている。まるで沈没状態。
で、こっちも見てられないな〜っというところで、金管が「運命の主題」を奏でる。
はあ、やっぱりねえ。でも、弦による反応が無いんだよなあ。
オケの弦が弱音すぎて、無反応かあ。と思ってしまった。なんだ〜これっ。
楽章の最後、高まったあとにテンポをあげて、「み〜そしら〜 し〜れそふぁ〜」悲鳴をあげさせている。
う〜ん。なんかわざとらしい。これが、運命に引き裂かれたって感じのシーンだねえ。
再度、金管が「運命の主題」を奏でる。 これで諦めたのやら。まあっ。弱音状態になって、死に体に近い状態に・・・。

3楽章
気分を入れ替えてワルツを聴いたのだが、シャイー盤で聴くと、この楽章自体の意味あいが、う〜ん。
わからなくなってしまう。 最後に、ブレーキをかけて、物思いに耽るような沈んだ光景に鳴るのだが。
失恋した後の気まぐれな遊興に出かけているのか。と感じてしまった。

4楽章
「運命の主題」が荘厳にあらわれてくるが、華麗に朗々と歌われている。
ホルンと木管が美しく溶け合っているが、カンタービレ調で、良いといえば良いのだが、悲痛さは感じない。ひとことで言えば綺麗で、う〜ん。甘過ぎっ。
運命が甘美に過ぎて唸ってしまう。これでいいのかしらん。
ティンパニーのロールがあって、弦が刻み始める。
迫力があるが、流麗なスラーがかかってホント綺麗だ。金管が畳みかけてテンポアップされる。
煽ってこられて、金管が音階をのぼっていく。
弦の刻みと金管のフレーズが豪快である。いったんテンポを落として、そこからの盛り上げも一段とスケールアップしている。
再度の切り返しも、華麗な響きで、きめも細かいが若さあふれパワフル。何も悩みがなかったかのような自信満々に歌いあげていく。いったい、あの1楽章は何だったんだろう。
マーチングバンドさながらの輝かしい堂々とした演奏で、あっけにとられる。

シャイー盤は、夢や幻想を描いたモノではない。かなり現実に近い、リアルな恋愛劇そのものを見せられているって感じがする。もう少し美化していただくか、濾過して、ゲイジュツ的にしていただくかしないと、 ちょっとリアルすぎだ。
でも、場面が出てくるような感じがするっていうところは、凄い。
シャイーが、弱冠27歳の時の演奏なので・・・ はあ。やっぱ凄い方なのね〜あっぱれ。

ショルティ シカゴ交響楽団 1987年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra

 →  

録音状態は、まずまず。とびっきり良いわけではない。
低音が響かず、奥行きが少ないような気がする。どちらかと言うと、高音域の金管の音に、ピントが合っているようだ。
最初はおとなしいのだが、最後で化ける。やっぱりなぁ〜。
カップリング:白鳥の湖(抜粋版)

1楽章
ショルティ盤だから、おそらく金管バリバリだろうと思っていたのだが、意外や意外。
冒頭の弦が、静かに暗く序奏を奏でる。そこに、ふわ〜っと「運命の主題」と言われているクラリネットとファゴットが、穏やかなテンポで吹き始める。かなり歌っているイメージがする。
旋律を膨らませて、息を吐き出すのだが、その息づかいは深く哀しい。
シカゴ響には、ちょっと荒っぽい、押しの一手・・・というイメージを持っていたのだが、この出だしでは、力ずくのイメージが全くしない。
テンポは、かっちりして堅めだが、枠組みがガッチとしているなかで、チャイコの旋律がうねっている。
低弦は豊かに鳴っている。木管類は、お世辞にも美しい調べというわけではないし、艶があるわけでもない。しなやかでもないが、響きが太く豊かで、たっぷり〜しており、 フレーズ全体が大きなうねりとなって奏でられている。
息づかいは短めだが、う〜ん。これが推進力になっているようだ。
大きなうねりのなかで、運命にもてあそばれているような、そんな劇的な楽章になっている。
楽章最後は、テンポを速め、金管の力強いボリュームで畳みかけてくる。
パワフルでちょっと明るめ・・・でも力が強いので圧倒される。

2楽章
メチャ暗く始まるが、ホルンのほっとする音色が救い。
録音が、もう少し透明度が高ければいいのだが。音色は、まろやか〜とは言わないなあ。これは、ちょっと、くすんだ音色だと思う。クラリネットなどの木管との掛け合いも、いいんだが、音色に艶が足らないかも。コントラバスのピチカートは、もう少し音量があれば、ズシンと響くのだが迫力がない。
楽章の後半は、テンポをあげてくる。極度には変えないが・・・ 盛り上げの頂点は、「パンっ」と吹くトランペットである。かなり短めに吹いている。
で、楽章最後の一歩手前で、運命の審判が下ったような恐ろしいシカゴ響の金管が鳴る。
ショルティ盤は、前半の美しい旋律より、やっぱり後半が聴きどころになっている。 まあ、この楽章は、ホルンと木管が頑張ってくれないと・・・ オケの美的センスが問われてしまうところだ。
金管が入ってくると、すごいパワフルだわ。やっぱ・・・と納得してしまう。前半は、借りてきた猫状態かも。

3楽章
テンポは速め。重厚なワルツになっている。ワルツの筈なのだが、弦がカシャカシャ・・・と弾いており、まるでスケルツォのようになっている。
う〜ん。メチャ速い。ちなみに、ショルティ盤は、この楽章5分40分で終わる。
キビキビした動きで、暗くジメジメしていない。湿気の少ない乾燥注意報が発令されそうな、冬の空である。この盤では、マッチョ風ではないが、からり〜っと、ちょっと涼しいかな。という感じで、やっぱ前向きに仕上がっている。

4楽章
かなり重厚で、色彩感のある楽章になっている。弦の太くうねうねした感じは好ましいが、他の盤だと、黒々とした雲に覆われた大自然や、冬の寒い空をイメージするのだが。
う〜ん。どーして、こんなに元気でパワフルなのか。呆れるほどのエネルギーだ。
金管が立派すぎ。また、ティンパニーが鳴ってからのスピード感と重圧感がみごと。みごとすぎる。
嵐が吹き荒れるというより、ガシガシ弾かれた弦が、まるでエンジンの回転のようで・・・ ひえ〜っ。
この楽章は、鉄の塊の機関車が、石炭をくべられ〜 ぐつぐつと熱し、蒸気をふきあげて、動き始めたような感じがする。
もうもうと煙を吐いて、目の前を通り過るような〜 う〜ん、鉄の塊が、うごめく生命力とでも言うべきか。
巨大な機動力を生かし、競争に勝ち、それを誇らしげに自慢したような勝者の演奏で、人や自然ではなく、もっと熱い。熱すぎ〜 このショルティ盤の演奏は、例えるならば、巨大な動く蒸気機関車だと思う。やっぱ。
1楽章の聴き始めと、最後では大違い。大変貌である。
やっぱショルティ盤はすごい。完全に脱帽。まいりました〜としか言葉が浮かばない。
巨大なエネルギーパワーのうごめきがあり、完全に圧倒されて、聴いているモノのエネルギーを吸い取っていく。そして、演奏のなかでパワー炸裂っ。そんな感じ。

で、余談だが、この後にカップリングされた「白鳥の湖」が流れる。「た〜たららららぁ〜ら らぁ〜ら〜」
えっ このカップリングセンスには・・・ うっそでしょぉ〜 一瞬、顔を強ばらせながらも、ぶは〜と笑えてしまう。マッチョな男性が、バレエ姿で踊るのを想像してしまい〜 コケルこと請け合い。

で、チャイコの5番、格好良く、ホント運動機能抜群の演奏で、最初はまったり〜 最後は、バリバリ・・・ やっぱりショルティだっ。と恐れ入る。拍手っ。
まっ それにしても改めて5番って奥が深いなあって思う。
金管パワーも欲しいし、弦のフレーズは美しくあって欲しいし、当然2楽章なんぞ、木管群のソロもホルンも巧くなければ、ならない総合点の高いオケでなければ、この5番は、演奏できないのである。
また、個々の楽章で、求めてくる能力が違うようにも思うのだ。はあ〜とても難しい5番である。

バーンスタイン ニューヨーク・フィル 1988年
Leonard Bernstein
New York Philharmonic

こりゃ〜大笑い

録音状態はあまり良くない。独特のテンポ設定で、粘りが強く遅め。遅いところは遅く、速いところは猛烈に速い。野獣が走り出すかのように一気呵成に走る。
カップリング:
1〜4 チャイコフスキー 交響曲第5番(1988年)
5 チャイコフスキー 幻想序曲 ロメオとジュリエット(1989年)
1楽章
まず、冒頭のクラリネットのフレーズの「そ〜そそらぁ〜そふぁ そみぃ〜」というフレーズは、遅い。
消え入るかのような、力なく、ウツウツとしている。運命の主題と言われているところは、うへっ もうここで、鬱々としており、ヌケガラ的に鳴っており、疲れ果てた老人のごとくの歩みだ。ここだけで3分が経過する。

だが、この主題が終わると、クラとファゴットが、元気よく速く吹かれていく。
ジャジャジャっと弦が刻み始めると、おいおい、栄養ドリンクでも飲んだのか? って感じで、パワーアップする。

木管のフレーズが、転がり落ちるかのように吹かれて、ティンパニーの叩き方も、金管の咆吼も、荒々しい。
特に、金管の咆吼は、どちらかというと、汚い音で、ぶぉ〜っと、ぶちかますかのように吹かれている。で、シンコペーションのウパウパというフレーズも、豪快というか、壊れそうな感じで、怒りを感じる。
このオケは、音質はお世辞にも美音とは言えない。
端正で、透明度の高い音ではなく、荒々しく、粗野で、汗臭い。渾身の力を込めて、ダンダンっと打ち込んでくる。
まあ、そのエネルギーの量は半端でなく、とても起伏の激しい演奏だ。

木管の音も中音域の弦も、聞こえてはくるが、見通しは悪いし、録音のせいかもしれないが、どこか粘っこく、厚い。
弦とのバランスも、イマイチなのだが、テンポの揺れの方がインパクトがありすぎて、そんなことを言っている暇が無いという感じだ。優美なはずのワルツ風の主題は、なだらかではなく、ギクシャクしており、壊れかけている。
で、再び、やってくる金管の咆吼にぶちかまされてしまう。
ミリタリー風のところは、速いのかと思ったら、テンポを落として、戦車軍団が、ノソノソと動いているかのようになっている。
う〜ん こりゃ、なんでしょ。まるで、ロンメル将軍の戦場のよう〜ですわ。
もはや、1楽章で疲れ果ててしまった。うはぁぁ〜 (アタマから湯気が立つ)

2楽章
このアンダンテ・カンタービレの楽章は、前楽章で疲れてしまったのが、計算されているかのように、また、鬱々・・・。
ジトジト、ジメジメ〜っと、弦が震えるかのようになって奏でられる。おいおい、これじゃ〜ヌケガラじゃん。
で、ホルンのフレーズが合わさってくるのだが、まるで、葬送のようだ。
ホルンにオーボエが重なってくる場面は、ものすごく遅い。

3楽章
優美なワルツというよりは、ねばっこい感じで、うぅ〜ん にゃにゃ、うぅ〜ん にゃにゃ って感じの3拍子のテンポって感じで、1音めの語尾が長い。弦のピチカートが重く、ん〜パン ん〜パンと跳ねるのだが、その音の大きさと重さが、なんとも粘りを感じさせてしまうようだ。
これは録音のせいかもしれないんだけど、で、まだテンポ落とすの?って感じで、うぐ。 
木管のフレーズは、ちょっと洗練された感じはしないし、美音からはほど遠い。雑然としているわけではないが、端正という言葉は、どうも似合わないし、整然とされた感じもしない。
弦がのフレーズに、どうも、艶や音質の良さが感じられないのだ。妙にクラのグリッサンドが、やたら大きく聞こえて来たりするし、どこか品が感じられず、野暮ったい感じがする。

4楽章
ゆったりとしたテンポで、悠然としているというか、悠然としすぎて、呆気にとられる。
金管のファンファーレ風のところは、「れぇ〜 どぉ〜 れぇ〜どぉ〜 しぃぃ〜らそふぁ れぇ〜」って、これで終結部かと思うほど、遅くて、遅くて、粘りに粘る。
堂々・・・というか、これを堂々というのか? う〜ん、ちょっと違うような気がするのだ。どこか寂しい。
で、主題が変わると、ここからの切り返しが凄まじい。一気呵成に走り出して、猛獣のごとく、飛びかかってくるかのような勢いとなる。すごい土煙を巻き上げて、野獣の大移動が始まったかのように走り出すのだ。
まるで、ムーの大群が、河を渡ろうとして、ひきめしあっているかのようで、うははぁ。すごすぎ。
こにオケの木管の音は、なんと貧相なのだろう。汚い音を撒き散らして、うはぁ〜 ひどい。
必死に食らいついていく走りっぷりで、どこか野生的で・・・ 牙をむきだして走る動物のようで、あまりにもリアルだ。その野生的な姿に、唖然としてしまう。
まあ、面白いって言っては、悪いのだが〜 ちょっと、笑えてしまうほど。
あまりにスマートではないので、アハハ〜っと、気の毒なほどで、ナミダメになってしまうが、これでは血の気が多すぎ。
これがライブだったら、ジェットコースター並みの快感を味わえるのかもしれないが、CDで繰り返して聞くと、仰天する。
ぶははぁ〜っと笑ってしまうかも、う〜ん。ちょっと、やっぱり異常なほど。

ひととおり聞いて、これは、マーラーか?というぐらい、情念が渦巻いて、すごく濃厚な演奏で、疲れて果ててしまった。
しかし、カロリーが高いというだけでなく、ものすごく説得力があって、どう言えばよいか、力任せに、ねじ伏せられたわけではないので、なんだか、うぐぐぅ〜っと唸ってしまう。
演奏しておられる方は、おそらく、一生懸命なんだろうなあ〜って、感じがするので、まま、納得感があるんでしょうね。
まあ、つまり、投げやりに演奏しているわけでも、過剰演出でもなさそうだしってことで、納得するのでしょう。

最近、さっっぱりしたチャイコフスキーに慣れてしまっていたが・・・。
これだけ、独特のテンポで、遅いところは猛烈に遅く、蠢き、唸るかのように演奏されると、ど演歌だ、野暮ったいと、一蹴するわけにもいかないかも。しっかり音楽を聴きました。という感もあるし、思わず、納得してしまう一面もあるし、知情意のバランスには欠けていると言わざるを得ないけど、まあ、レニーさんの個性が、もろでている演奏だということで。
高血圧の方には、あまりお薦めできません。

ゲルギエフ ウィーン・フィル 1998年
Valery Gergiev
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

録音状態はまずまず。ライブ盤 ワタシ的にはゲルちゃんと呼吸が合わないんだと思います。調和が悪いのと、テンポが揺れて揺れて〜気持ちが悪くなってしまった。
最後は、とても熱いんですけどねえ。スミマセン。
カップリング:チャイコフスキー 交響曲第4番〜6番

ゲルちゃんのウィーン・フィルとのライブ盤で、結構売れてたように思うが〜
ザルツブルク音楽祭、初登場ってことで話題が先行していたように思う。今、改めて聴いたけど、う〜ん。ワタシ的には、この独特のテンポの揺らしが、どうも苦手だ。縦糸がところどころ、あっておらず大変気持ちが悪い。タメにためて、はしょって行くところの、あざとさがスカンっていうところだろうか。最初にお断りしておきますが〜 まっ ひとことで言うと、ワタシとゲルちゃんの呼吸は合わないんです。ダメっ。

1楽章
録音状態はまずまず。90年代末としては、これかぁ〜って感じもするが。まっ それよりも、泥臭いオッチャンとウィーン・フィルの勝負。まるで格闘技って感じである。
出だしは、もっと速めでも良いのに遅いっ。たれぇ〜とした遅さ。
「そぉっ〜 そそ らぁ〜そふぁ そぉ〜みぃ〜〜 しぃ〜しし どぉ〜しそ しぃそぉ〜〜み」
「れ〜どぉ しら そぉ〜〜 みぃ れぇどぉしぃらぁ そぉぉ〜  らぁーーしぃ〜」
足を引きずって歩くのはやめなさいって言いたくなるような、この冒頭で、それが何とも言えない気怠さがあり、ぞーっとするような泥沼状態である。独特の執拗感で粘りがあり、虚無感が広がる。
なんてこったい。6番の最後かぁ〜というような感じで、全く最初っから、やる気あるんかぁ〜と言いたくなるような感じ。また、普通弱まっていく音のところで、木管が、もうひと吹きしちゃうって感じで、自然な感じがしないし、うぅ〜っと唸りたくような気持ちの悪さがある。
主題が変わって、「どっ み みふぁそ らそふぁみ どっ そ そふぁみっ・・・」と歩き出したが。
金管が入ってきて、「そっ そそっ そっ そそっ・・・ どれみふぁみれどっ そっ そそっ そっ そそっ」というフレーズは、パワーはあるが、なんか録音が良くないのか、音が混濁しているのか。う〜ん。
これ以降も、う〜ん。弦のピチカートは透明度が高くないし、綺麗さがねえ〜 まるで無し。

2楽章
この楽章は、ゲルギエフさんの、たれぇ〜っとした粘りが出ていて良いんじゃーないだろうか。
「れどし れぇ〜どぉ〜 らしど みぃれ〜 れみふぁ そぉそぉ そぉ〜 ふぁぁ〜」
悲しくなるような、ぼぉわぁ〜っとした、ホルンのフレーズは聴き応えあり。
木管の個人ワザって感じのフレーズが、ずーっと続くし、低弦の音も良いし、ここは、やっぱウィーン・フィルでしょ。面目躍如って感じの場面だと思う。ゆったりと、ゆるやかに流れるフレーズが生きている。
「れぇ〜ふぁしら〜ら しどれし ふぁ〜 しどれし そぉ〜」
テンポアップするところの間合いは、ひと呼吸人さまよりは速いですね。やっぱ・・・。
弦と木管、金管とのバランスは、ちょいと悪いって感じはするが、盛り上げ方も巧いし、泣き節は健在。
落ちるところは怒濤のように落ちるので、劇的効果があるし、金管も、パパパパ パパパパ・・・と畳みかけて必死に吹かれているのは解るし、リアル感あり。ハイ、この楽章はゴウカクって感じです。

3楽章
メチャメチャ速いっ。
「れぇ〜ど しらそふぁ〜 そぉ〜らしそ どぉ〜」という優美なワルツの楽章だ。
出だしは、まずまず柔らかく良いな〜って思っていたのだが、アタリマエ。だってウィーン・フィルなんだもん、ワルツは超得意の筈だ。
で、優美な弦のワルツフレーズが終わって、
ファゴットの「(ん〜)ど み れ しぃ〜 どみれし〜 どみれし〜どれみ そふぁ〜し どらしそふぁ〜」
おいおい、これジャズじゃーないんだぞ。って思っているうちに、今度は弦が、「そらそら しらそふぁ みふぁしふぁ どれどれ・・・」というところから、転がり落ちるようなフレーズで、メチャメチャ速い。
「ふぁふぁそら しらそふぁ そらそら しらそふぁ そぉ〜」
えっ メチャメチャ速い。ううっ やっぱ速い。だはっ〜 すげっ。なんか、頭んなかのパーツが1つ取れちゃっている感じ。弦のピチカートの心地よさが入ってくるのに、せわしく動き回って、普通綺麗だな〜というところが、狂気じみている。せっかくのウィーン・フィルなのに、弦の綺麗さがなぁ〜 あー モッタイナイ。

4楽章
「らぁ〜らら しぃ〜らそ らっふぁ〜 どぉ〜どぉど れ〜どし どっら」
「ふぁみれど っどしらぁ〜 ふぁ〜みれ どぉみれどぉ〜」という、低弦のフレーズは、まろやかに響き、美しいと思う。弦のピチカートも充分に聞こえてくるし、金管も抜群だ。 
緩やかに、力強く始まる。とこからとおなく、ベコベコ鳴らしているオーボエが気になるけれど〜
低弦の響きも、力強いし、テンポも堂々としているし、ちょっと、ぶよっとしているが勇壮さが出ている。
トランペットの「どぉ〜 どどどぉ〜  どぉ〜 どどどぉ〜っ・・・ ふぁ〜そら しぃ〜」と高らかに吹かれているし、おおっ やっぱウィーンじゃん。と思う。
しかしっ しかしなのだ。テンポが、アップしちゃうと狂うのである。
バンバン打ち込んでくるティンパニー。いきなり火がついて、バババっ!と燃え、燃えさかる。

勢いのある演奏だとは思うけれど、ワタシ的には、もう少し精緻さ、静謐さも欲しいところかなあ。
ちょっと硬めの分厚い弦の響きが綺麗な筈なんですけど、荒くたいなぁ〜
全くの馬車馬で、洗練された調和のとれた綺麗さが無いような気がします。かなりアヤシイ危険な演奏っていうか、ちょっと狂気じみてて〜 破天荒すぎ。
この暴れ馬、どこに向かって走っていくのか・・・ わかりませんねえ。単に狂い気味に、熱狂的に演奏しているだけのようで、これをウィーン・フィルが出したっていうのが、とっても残念です。
ライブだから多少の瑕疵はあるのは承知だけど、せめて縦糸は合わせててよっ。って思うし、演奏するパーツそれぞれのテンションの高さは解りますけど〜 オケのメンバーと、指揮者の呼吸が合ってないように思いますしねえ。
オケって調和、バランスが肝要だと思っているんですけど〜 テンポをいじる。思いがけないテンポに変わると縦糸が狂う。縦糸が狂うと、重なる音がずれる。ずれると、どうなるんでしょ。
う〜ん。ちょっと考えちゃいますね。
指揮者が変わると、これだけ金管のバランスと弦と木管のバランス、調和が、壊れてしまうモノなのねぇ〜 そう感じてしまった1枚です。で、これだけ盛り上がる楽曲だし、テンポも速くて、狂い気味に走っていくんですけど、じわじわ〜っと熱くならないんです。ワタシ的には、ひいてしまう。何故なんだろっ。

何故か乗れない、乗りきれない。これがテンポが、呼吸があったらワタシ、熱狂できるんですけど。
ムラヴィンスキー盤は、その点速い、メチャ速いけど鋼鉄のような、鋼管のような硬さがあって1本筋が通ってたんですけどねえ。ショルティ盤も速い。でも、どっか違う。
壊れかけのような感じのするアブナイ、高速運動なんです。それを強要しているような気がするし、客観的じゃーない。哲学的じゃーないような気がするというか、どこか、内容が抜け落ちた肉体労働臭く感じてしまうからかもしれません。スミマセン。ちょっと偏見が入っているかもしれないんですけど〜
最後には拍手がはいっています。あっ 蛇足ですが〜最後のティンパニー うるさすぎっ。ここぞっ ここ1発っ。っていうなら、おっ 待ってました〜って言えるんですけどねえ。最後に向かって何度も何度も、あー 同じように叩かないでよ。あー シツコイっ。執拗すぎて辟易しちゃう。
ライブ盤で、スリリングさはあるのですが〜 ワタシ的には完全にひいちゃいました。ごめんなさい。

1960年 ムラヴィンスキー レニングラード・フィル ★★★★
1963年 マゼール ウィーン・フィル Dec ★★
1975年 カラヤン ベルリン・フィル ★★
1978年 クルツ シュターツカペレ・ドレスデン Berlin Classics ★★★★★
1978年 ムーティ フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★
1979年 ザンデルリンク ベルリン放送交響楽団 De ★★★
1980年 シャイー ウィーン・フィル Dec ★★★
1984年 カラヤン ウィーン・フィル  
1984年 プレヴィン ロイヤル・フィル Telrac  
1985年 アバド シカゴ交響楽団 SC  
1987年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★
1987年 マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団  
1988年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec  
1988年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル ★★
1989年 インバル フランクフルト放送交響楽団 De  
1991年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI  
1994年 ヴァント 北ドイツ放送交響楽団  
1998年 ゲルギエフ ウィーン・フィル Ph ★★★
2011年 ウラディーミル・ユロフスキ ロンドン・フィル LPO  
所有盤を整理中です。

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