「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

22232218

バルトーク 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
Bartok: Music for Strings Percussion and Celesta


フリッツ・ライナー シカゴ交響楽団 1958年
Fritz Reiner Chicago Symphony Orchestra

いかすぜっ

録音状態は良い。リマスタリング盤で問題なく聴ける。じわっと熱い。
カップリング:
1〜5 管弦楽のための協奏曲(55年)
6〜9 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(58年)
10〜14 5つのハンガリー・スケッチ(58年)
昔から有名な盤で、58年の収録だが、リマスタリングされていて、問題なく聴ける。

なんだろ〜 すごく訴える力のある演奏で、ぐいぐいと、のっけから引き込んでくる。
表面的にはクールだし、丁寧に奏でられているし、チェレスタの音も綺麗に入っている。しかし、聴いているうちに、熱くなってくるし、ふっと、約60年も経っている演奏とは、思わなくなってくるから、とっても不思議だ。
今でも、充分に通用するスピード感があり、リズムにはキレがある。
特に、アレグロの2楽章なんかは、とっても速めで、キレキレのきわどさがあり、ギザギザした、ざらついた感覚を持っている。

それと共に、チェレスタの光が、まるで鋭い光を放って放物線を描いているようで、勢いよく進む、金属のてかり、艶やかなシャープさを感じる。
例えが悪いが、手作りされた未来型のカッコイイ、スポーツカーのような車のフォルムを見ているかのような感じだ。
鋭いが、滑らかな曲線を描いた、磨かれたフォルムを見ているようで、うわぁ〜と歓声をあげたくなってしまう。
音は、硬直化しているわけではないし、細身でもなく、太すぎず〜
中庸なのだが、地熱のように熱い演奏だと思う。
  カラヤン  ベルリン・フィル 1969年
Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

ガタガタガタ・・・ ←緩楽章  う〜ん。どうだろ ← 急楽章

録音状態は良い。バルトーク特有のノリの良さはあまり感じないのだが、緩楽章の2つの楽章が怖すぎ。あまりの怖さ、不気味さにギブアップしそう。リマスタリング盤
カップリング:
1〜10  ストラヴィンスキー「ミューズを率いるアポロ」(72年)
11〜14 バルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」69年
1楽章
バルトークの大傑作だという弦チェレだが、この面白さが、まだ、わからないまま、ずーっと来ている。
なんたって、この1楽章の冒頭から、恐がりのワタシは、びびりまくり〜で、ホラー映画さながらの情景が浮かぶため、聴く気持ちが、萎えてしまうのだ。
「しどみぃ〜れ〜 ど しど みれ ふぁれぇ〜れど れふぁみみ れみど れふぁみ〜れ どれし」
もう、ここだけでダメですよねえ。
夏の肝試しさながらの〜 うらめし・・・なんとかという、台詞が聞こえてきそうだもん。
こんなモン、怖ろしくて聴こうという気がそがれますよぉ〜 もう冒頭で挫折。

で、その昔、カラヤン盤も聴いたことがあるが、う〜ん 聴きやすいか? と訊かれたら、まあ確かに。
まだ、取っつきやすい方かな〜っていう程度である。この取っつきやすさは、鋭く、尖っていないから・・・。
しかし、カラヤンさん特有のレガートが、怖さに輪をかけてくるようで、もわっとした空気のところに、とにかく、髪の長い女性が登場しそうで、ダメでした。ぞーっ。とても繰り返して聴けず、
ワタシ的には、1楽章は飛ばして・・・ 2楽章から聴きたい・・・弦チェレである。

2楽章
この2楽章は、跳ねて、アクション映画みたいな楽章なのだ。
「しれっ しれっ しれしれ ふぁそふぁれ しっ れっ〜 みれみれ そふぁみっ れぇ〜」
ティンパニーの歯切れの良い音が聞こえてくるし、69年とは思えないような録音の良さと、リズミカルさ。
スピードは速いし、アンサンブルも乱れていないし、ピアノの音も、弦の弾きも綺麗に入っている。
弦のピチカートの音色も、強弱がついてて、メリハリが良いと思う。
聴いてて愉快な感じまでには至らないけれど、低弦の響きから、軽やかなステップを踏む高音域の弦や、木琴、ピアノやチェレスタの音が、クリアーで、多彩な楽器が、そこかしこで踊っている。

3楽章
拍子木の音と、ぼわ〜ん。ぼわ〜ん。という音。
「ふぁれ〜 みふぁ〜 しどれみ〜 しどれみれぇ〜 ふぁれどしどぉ〜」と、完全に日本の音楽を聴いている気分に。
この楽章も超苦手で・・・ 逃げ出したい気分を抑えているのが大変なのだ。
やっぱ、なだらかな曲線美が、致命的というか・・・ 怖すぎだ。こんな曲は、真夏に聞くモノではないですねえ。
ひぇ〜っ 背筋が、ホント凍ります。
この弦の掠れた、切れそうな長い糸が、絡んで〜いるというか、柳が風に吹かれて揺らいでいるというか〜
すぅ〜っ しゅぅ〜 ひゅぅ〜っ って感じの音ばっかりが繋がって、超怖い。

4楽章
ティンパニーが、パパンっと打ち鳴らしたあと、弦を掻き鳴らした舞曲が始まる。
「しら そっふぁ みれっ どれ みっふぁ そら しど れっし らそ ふぁみ れっどっ」
このフレーズのリズムが、ちょっと取りづらいのだが、そのうちに、なだらかになって、きちんと拍感覚がわかってくる。
躍動的なリズムとは、ちょっと言い難く、のっぺりしている感じというか、弦のフレーズが、意外と淡々と奏でていく感じがする。金管はしっかりと鳴っているが、やっぱり独特のリズム感があるので、そこは、お国柄が出てくると思う。
他盤の方が、やっぱ超熱いし、開放的な鳴らしっぷりに惹かれるところがあるが、さすがにカラヤン盤は、落ち着いているというか、煽ってくる要素というのは少ないかもしれない。

総体的に、緩急緩急の4楽章を聴いて、リズミカルな2楽章と4楽章は、まずまず。挑発してくるような、煽情的な要素は少ないし、かーっと情熱が迸ってくる演奏でもないが、怖いのは、なんたって1楽章と3楽章の緩楽章だ。
これは、他盤と比べても、怖いのではないだろうか。
特に、ねっとりしているわけでないのだが、風のそよぎを感じるというか、弦の揺らぎが絶妙で〜 ひぃ〜っ。

  デュトワ モントリオール交響楽団 1987年
Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は良い。柔らかくソフト。ぎりっとした苦みは少なく、明るい開放的な色彩感があって、勢いの良さがある。特に、2楽章、4楽章は、リズミカルだ。
カップリング:バルトーク 管弦楽のための協奏曲、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽

1楽章
「どみ〜れ〜ど しどどみ〜ふぁみれ〜ど れふぁみ れれど れふぁみ そし〜ら〜そ ふぁそし」
↑ って感じで、よく似た音が蠢き、膨らみ伸びて縮んで、ウネウネと蛇が進むみたいに奏でられる。
ぬめっとしてて、とらえどころがなく、うねる低い響きが、感覚的に気持ち悪いっ。

バルトークの作品は、総じて難しいというか、う〜ん。少なくとも、聴いてて楽しいっていう楽曲ではない。
とらえどころがなく、晦渋さがある。
この楽章は、変拍子のフーガとなっており、難しい数式、フィボナッチ数列で 創られた音符が並んでいるらしい。拍子が変わりつつ、音が不安定な連なりをもって、膨らんでいくにつれ、緊張感を強いてくる。
「みふぁら〜そぉ〜ふぁれど みふぁら そぉ〜ふぁれど」
「みふぁらそふぁれど みふぁらそみれみ ふぁらそみれみふぁられ・・・」 「らぁ〜〜」
「ふぁみふぁそらそ らぁ〜 らそらみ らそふぁ〜そふぁみ らふぁみらそふぁみ ふぁらしどれみ」
「みみみみ〜みれど ・・・」

まるで、ホラー映画のBGMみたいにブキミで〜 音符が規則正しく並んでいるようには思うが、音符の並びが気持ちよく耳に届くとは限らず、アハハ どうも馴染めないまま終わる。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、
第1楽章は、変拍子の変則的なフーガ。静穏な中に高い緊張を感じさせる。弱音器つきのヴィオラの半音階的な主題から始まる。
続いて5、13、27小節目に完全5度ずつ上で主題が登場する。
また、8、16小節目に完全5度下(変則的なのはここで、通常のフーガなら、まず主調の完全4度下である)に主題が登場し、弦楽器群は次第に音域を扇のように広げていく。
34小節目に、ティンパニが登場。
55から56小節目に、変ホ音のクライマクス。88小節で開始と同じイ音で静かに閉じる。
以上に登場する8、13、21、34、55といった数字は、フィボナッチ数列に現れる。・・・とあった。
この数式は、理数系の方にお任せするとして、青春時代には、ワカラン。と言いつつ無理して聴いていたし、背伸びしたい年頃で〜 いかにも堅物ぽく振る舞っていたが 、やっぱり、ワカランものは、いつまでたっても、わからないままのようである。今は、ピアノ協奏曲については、独特のヒンヤリ感が馴染めてきたのだが、ここでご紹介する弦チェレもですねえ。
これも、正直言って、まだ苦手です。

2楽章
次の楽章は、蛇からアブに変化したようで、耳元で、アブが飛んでいるような感じ。
音がぐるぐる回る。
「しれっ しれっ しれっ みふぁそふぁれし しれっしれぇ〜そふぁれっどっ」
ティンパニーが格好良く、パパンっと鳴ってくるので、とっても刺激的だが、ピアノが入ってきて、おおっ 馴染みのある音だ。と思ったら、また、弦が、あらぬ方向に飛び交いはじめる。
ただ、この楽章は、キレがあって、打楽器の響きがとても綺麗に弾けてくれる。
まるで、夜空に拡がる花火のように色彩があって、デュトワ盤は、奥行きの広さと、録音状態の良さで聞かされてしまう。柔らかく、しなやかに、たわんだようなピチカートの響きが、ワタシにとっては極上サウンドになっている。

3楽章
拍子木のような音と、ぼよよぉ〜ん。という打楽器の響きのなかで、チェレスタが響く。
夜空の星というよりも、青白く光る虫が、群がっているような雰囲気だ。木琴の硬い音と、太鼓のような残響を残すモノとの組み合わせ。
シャカシャカ、キンキン、多彩な音で、「れしどふぁみ れしどふぁみ れしどふぁみ れしどふぁみ・・・・」
という音型をモチーフとして、いろんな楽器で語られる。
デュトワ盤は、あくまでも煌めき度が高く、不気味さは軽減されているが、神秘性があって美しい。

4楽章
ティンパニーが、パパンっと打ち鳴らしたあと、マンドリンのような音で、弦が、シャカシャカ。
そこに滑るような、「しらそっふぁみ れっどれみっふぁ そらしど れっしら らそ ふぁみ れっどっし」
と弦が入ってくる。
スペインのようなカラフルな舞曲だ。ティンパニーが掻き鳴らすように鳴らされて、ピアノも加わる。
ふむふむ。楽しい舞踏である。ピアノが、らららら らそふぁみ らららら・・・と、無窮動のように叩かれているが、テンポがめまぐるしく変わる。一種の変奏曲なのだが、明るくて、かんかん照りの太陽のもとで、繰り広げられるかのような熱っぽい舞曲だ。
最後には、1楽章の冒頭で出来た、くねっとした蛇のような雰囲気を再現するが、すぐに消えてなくなる。
総体的にデュトワ盤は、カラフルでしなやか。
暗くてじめっとした感覚は少なく、繊細で華麗。最初に聴くには、聴きやすい盤だと思う。
ギリギリ締め上げられるかのような演奏ではないし、緊張感の高い演奏ではないので、これじゃー バルトークじゃないと、
おっしゃる向きもあるかも知れないけれど。う〜ん、どうでしょ。
少なくとも、2楽章、4楽章の明るいスピード感のある楽章は、とっても爽快ではないかと思う。
ワタシ的には、聴きやすい盤だと思っている。

  ショルティ シカゴ交響楽団 1989年
Georg Solti  Chicago Symphony Orchestra

もえてるぅ〜

録音状態は良い。部分的には、リアルな音が響くが、総体的には乾いている。鬼のように迫ってきて熱い演奏だ。乾いた大地で、悲鳴をあげながら踊るというより、逃げまどうような感じで〜強烈だっ。
カップリング:
1〜4  バルトーク「弦楽、打楽器とチェレスタのための音楽」 1989年
5〜7 バルトーク 「ディヴェルティメント」 1990年
8 バルトーク 組曲「中国の不思議な役人」 1990年録音

1楽章
「弦楽、打楽器とチェレスタのための音楽」 略して、弦チェレ。
バルトークの楽曲って、結構、難しい曲だが、 特に、この弦チェレは、ショルティ盤で聴くと、とってもタイトで彫りの深さがあり、筋肉質、ぞっとする底知れぬ恐怖感にかきたてられる。
いつものショルティさんの豪快で、パワー溢れる演奏とは、ちょっと異にしてて、1楽章は、どこかストイックで、鬼のように迫ってくるのだ。
「どみ〜れ〜ど しどどみ〜ふぁみれ〜ど」と、うねりを帯びて進む。
ショルティ盤で聴くと、かさついた、乾いた音がしてて、弱音から始まり、コントラバスの音だと思うが、低音の響きが支配的になってくる。この楽章は、変拍子のフーガで、規則正しいといいつつも、トコロテンの押し出しみたいに、ぐいっと押されて圧迫される感覚になる。
「そらど〜しぃ〜ら そらどどれしぃ〜ら〜そ どみれどしどらそ しれ〜どしららそぉ〜」

幽霊のようなかすれた、震えた音が、次々に登場しては消えていく。
この消え方が、次の強めの音に吸収されて、また大きくなってくるので、ちょっと気味が悪いのだ。
大きくなるなら、段々大きくなって欲しいのに、大きく上昇したかと思うと、急激に萎むのだ。
このショルティ盤は、うろっとした音がしてて、あまり明晰ではない。
クリアーでない分、形が歪んで聞こえるというか、クリアーだったら歪まないのか、う〜ん。よくわからないのだが、もわっとした音の出てき方で、音の大きさがつかみづらい。
で、揺れた感覚がする。音像が綺麗だと、膨らみ感、萎み感が、見えてくるのか。と言われたら、う〜ん。それも自信ない。なんしかブキミです・・・。としか、言いようがないかなあ。

音がぐるぐる回る。
「しれっ しれっ しれっ しれっ ふぁそふぁれ〜し れっ そ〜らそ〜ら れっしそ〜ふぁっ」
ティンパニーが格好良く、パパンっと鳴ってくるので、とっても刺激的で、どこか開放的。
ピアノが入ってきて、ティンパニーの打音で目覚めたかのように、跳躍の大きな弦のフレーズが出てくる。
ティンパニーの音は大きいけれど、らっみ〜 れっそ〜 と、弦の跳躍は太めで、ガッシリしている。
なにせ、ティンパニーの音が大きいだけに、豪快さが感じられる。
でも、泥臭くて、ニオイがキツイ。
リズミカルではあるのだが、音の響きがイマイチ籠もっているくせに、妙にティンパニーがリアルなのだ。
色彩的には豊かではなく、どす暗い。
軋んだ音がしてて、野蛮というか、タムタムの軽快さは入ってくるものの、キキキキ・・・とした弦が耳に残る。低音の響きが優先されてて、明るい音のピアノとかチェレスタは、音が通っているものの、煌めき感としては薄い。
「ふぁっふぁっ ふぁっふぁ ふぁっみっどっれっ・・・」
「しっしっ ししっ しっしっ どどっれっみっ!」 歯切れの良いピアノや、ハープの音が聞こえてくるが、妙に浮いている感じがする。奥には、弦のピチカートが細かく入っているのだが、音の出入りというか、凹凸感が、イマイチ綺麗には聞こえてこないんだけどなあ。
録音のせいだろうか。まあ、一応、力強さは感じられるんだけど。音の濁り感があって、それが民族的、泥臭さにも繋がっている感じがする。少なくとも、デュトワ盤のようなスマートな、煌めきは少ない。

3楽章
拍子木の澄んだ音が、打ち鳴らされて、すわーっとリアルに拡がっていく。
ぼぉ〜ぉん。ぼぉ〜ぉん。という打楽器が、間抜けた響きと、とろとろとろ〜っと響くなかで、
「ふぁれ〜 みふぁ〜 しどれみ〜 しどれみれぇ〜 ふぁれどしどぉ〜 そらどれれぇ〜 そふぁみふぁ〜」
拍子木の音はリアルなのだが、弦のフレーズが、なんかピリっと締まらないというか。
そのうちにさざ波のように動くのだが、ツーンっとした緊張が生まれていないというか、空気が生暖かい。
まっ その分、肝試し大会のようでもあるので、面白いっちゃー面白いのだが、チェレスタが出てくると、はあ、まるで幽霊で、ひぃ〜ほぉ〜 しぃゆぅ〜っという音と言えないような音が、小声で、奥で鳴ってくる。

ひえぇーーーーーっ これは怖い。チェレスタは綺麗なのだが、火を起こすかのような煽るような弦があり、崖っぷちに追いつめられては、「れしどふぁ れしどふぁみ れしどふぁみ・・・」と、突きつける。
げっ。追いつめられたっ!
ドスンドスンという打楽器がダメ押しして、突き落とす。
泥沼のなかでもがき、崖に登らせておいて、追いつめて、突き落とすかのような鬼のような音楽。
かなり怖い。

4楽章
ティンパニーが、パパンっと打ち鳴らしたあと、弦が、シャカシャカと掻き鳴らされる。
「しらそっふぁみ れっどれみっふぁ そらしど れっしら らそ ふぁみ れっどっし」
この弦の熱いこと。熱く飛び跳ねて、キツイ。
乾いた大地の踊りっていうか、まるでストラヴィンスキーの原始的な音楽にも聞こえるのだが、もっと土俗的で熱い。灼熱の大地の踊りって感じで、アチチっ・・・と言いつつ、フライパンのなかで、ポップコーンが弾けているかのような感じだし、ティンパニーの大きな音が、超リアルな響きではじける。
この楽章は、恐ろしいほど明晰で、狂気染みた怒りを感じる。
弦のキレの良さはもちろん、キレキレの怒り爆発っ。

ピアノも怒っているし、弾けてぶっ飛び〜 キンキン、カシカシ、このリズムは、どこの大地なんだろう。
ワタシには、熱くて乾いた大地が、悲鳴を上げているかのように聞こえる。
スピード感と言い、キツク叩きつけて、すっかり干からびてしまったひび割れた大地のようにも感じる。
で、最後に至るまでには、弦の穏やかなフレーズも出てくるが、1楽章の主題を思わせる、うねっとしたフレーズが顔をもたげ、謎を問いかけては、わりとアッケなく終わる。

ショルティ盤は、昔から名盤と言われているモノだが、確かにねえ。熱き大地で、踊るというよりは逃げまどうって感じが近いかもしれない。 アクは強いけれど、どろっと〜した感覚でもなく、さらり〜というよりは、全く水分が無い状態で、干上がっちゃう感じだけど、ヒリヒリするほど熱くて豪快。 押しも強いし、鬼のように迫る演奏だ。
63年、ロンドン響とも録音しているが、ワタシは未聴である。いや〜このシカゴ響で十分だと思います。

  レヴァイン シカゴ交響楽団 1989年
James Levine
Chicago Symphony Orchestra

これもありかっ


録音状態は良い。異なる性格の楽章を、交互にダイナミックに描いていくところは、う〜ん、おもしろい。おどろおどろしい楽章、都会的に描く楽章。
特に、もわ〜 ぬめ〜っとした生暖かい感覚は、ハイ、結構、気持ち悪いです。
カップリング:バルトーク 「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」、「管弦楽のための協奏曲」
1楽章
バルトークの弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽、略して、弦チェレ。
バルトークって、闇夜に浮かぶ怪しげな月、魑魅魍魎とした悪魔と、無邪気に遊ぶ子供って感じがするんですけど、かなりブキミな存在だ。この弦チェレも、真夏の夜に聴くと、超怖いんである。悪魔が寄ってきそうで〜
なので、小春日和の昼下がりに聴くような楽曲ではない。(笑)

半音の不可思議な、不安定なフレーズがつづく。
「しどみぃ〜れ〜 ど しど みれ ふぁれぇ〜れど れふぁみみ れみど れふぁみ〜れ どれし」
「ふぁそしぃ〜ら ふぁそ しららど〜ふぁ〜そ ふぁどし ら〜 らどし〜ら そらふぁ」
まあ、音が採れず、書きようがないって感じの半音つづら折り状態である。
録音状態は、生暖かい空気が漂い、もわぁ〜っとしている。
空気が重くて、沼地のような感じで、底に、もわ〜っと、ぬめっとした感覚が、たまっている感じがする。

そこに低弦が表れ、燻されるかのようなスモーク状態というか、出だしは弱音器のついたヴィオラだそうだが、最初は、隣り合わせの音で、モゴモゴ弾いていたのに、そのうちに、勝手に弦が、音域を広げながら、それぞれ異なるフレーズを描いていく。
段々と、怪しげな世界が高揚していき、いよいよ魔王さま登場か。というシーンとなると、打楽器がドスンっと叩かれる。
怖いモノ見たさの心理を試されているかのような楽曲で、なんだか怪しい雰囲気を、恐る恐る覗く感じになる。
で、垣間見たくなる心境に誘われてしまうのだ。
いひひぃ〜っと、歯の抜けたオバアに誘われているような、変な気持ちに・・・ 真夏の肝試しに使うと、格好の良いBGMになりそうだが。まあ、気持ち悪い。
この楽曲は、よくシカゴ交響楽団が使われているが、ショルティ盤が乾いた大地のようだったのに比べると、レヴァイン盤は、なーんとも、薄気味悪い沼地状態である。
ぬめっとした感覚というか、濁った感じというか、低弦の混濁した響きを聴いているうちに、もわ〜っと腐った匂いが漂うような、そんな気持ち悪さが立ってくる。うへぇっ・・・。胸が詰まってきちゃう。

2楽章
「しれっ しれっ しれしれ ふぁそふぁれ しっ れっ〜みれみれ そふぁみっ れぇ〜」 
「そぉ〜ら そぉ〜ら れっしらそふぁっ」
弦の響きとティンパニーの響きが、さほどクリアーではないのだが、滑る感じで、ノリ感がある。
どろっとした空気感が、まだまだ底にこびりついているような感覚もするが、「たぁ〜ら らっら らったった たぁ〜」という弾みながら飛んでいきそうな、ノリノリ感がおもしろい。
テンポアップされたリズミカルな走り方で、超まじめに張り詰めた感覚というより、なんだか、楽しげだ。
都会のなかの袋小路に追い詰められた犯人みたいで〜刑事モノのテレビを見ているかのようだ。

ピアノが出てくると、しゃれっ気が出てくる感じで、ますます、明るく楽しげに感じられるのだが、爽快な掛け合いというよりは、ちょっぴり娯楽的な大衆臭さがあるみたいで、おもしろい。
モノクロームな無機質的な感じよりも、楽しげで〜 ばたばたした感があって、ジャズでも聴いている感じだ。
暖かさのある録音状態によるのか、ちょっぴりバタくさい、慌てふためいた感じのバタっとした、打楽器の響きなのだが、そこが特徴かもしれない。低弦の響きが、ちょっぴり奥まっているものの、甲高い木琴やピアノは良く聞こえるし、ティンパニーは、ど派手気味に叩かれている。

3楽章
拍子木の小刻みな音と、ぼわ〜ん。ぼわ〜ん。という打楽器が打たれ、「ふぁれ〜 みふぁ〜 しどれみ〜 しどれみれぇ〜 ふぁれどしどぉ〜 そらどれれぇ〜 そふぁみふぁ〜」と、邦楽のようなフレーズが登場する。
バルトークならではの、静かで、おどろおどろしい魔界のような楽曲だ。
ぼぉわ〜ん。と、かすかな音で、どろどろ〜っとした音が、背後から鳴っている。
レヴァイン盤で聴くと、打楽器のぼわぁ〜ん。という響きは、なかなかにおどろおどろしいし、生暖かい音なので、墓場的な感じがする。 粘りがあるような無いような、ピンっと張った感じではなく、しのび足のような、臆病な動物のような、辺りをうかがうような音の蠢き感がある。
チェレスタの音は、遠めで鳴っており、弦のさざ波にかき消されそうになりながらも響いているが、クリアーでない分、ちょっと損した気分だ。
ピアノの打音、「れしどふぁみ れしどふぁみ・・・」と、いろんな楽器で畳みかけるところの「れしどふぁみ」は、イマイチ歯切れが悪い。まっ、この点、他盤とはアプローチが違う。
しかし、生暖かい、ちょっと緩めの、おどろおどろしさって感じ。
そういう意味では、とっても情景的に描かれており、ワタシ的には、生暖かい、ぼわ〜ん。とした、夏の肝試し大会的な、墓場的光景が目に浮かぶ感じってところだ。雰囲気がすごく〜伝わってくるが、怖いっ。

4楽章
ティンパニーが、パパンっと打ち鳴らしたあと、「しらそっふぁみ れっどれみっふぁ そらしど れっしら らそ ふぁみ れっどっし」という、特徴のある舞曲が奏でられるが、なだらかなフレージングで、飛び跳ねてはいるものの、熱さがない。
やっぱり、ここは、アクの強いショルティ盤で聴いてしまうと〜 う〜ん。ちょっとモノ足らない。
アクセントの付け方が、なだらかすぎるかもしれない。ここは、DNAが違うかな・・・。
レヴァイン盤は、さらっとしすぎて、綺麗すぎちゃって〜 都会的かもしれない。躍動感もあり、推進力もあって、一気に聴かせちゃう。

レヴァイン盤は、同じ陽気さを持っているようにも思う。でも、 デュトワ盤のきらびやかさ、華やかさとは、かなり違うけれど、分厚い響きで豪快さもあり、ダイナミックに聴かせてくれる点は、お薦めだと思う。
良い意味で、聞きやすさもあるし、異なる楽章を、みごとに演じているな〜って感じがする。
1楽章と3楽章は、とってもおどろおどろしい。
2楽章と4楽章は、ダイナミックに、都会的にスイスイ進むという、全く性格の異なる楽章を交互に描いていく、その手腕は、認めちゃいますね。気持ち悪いほどだけど・・・(笑) なかなかに描写力の高い、面白い演奏である。

1958年 ライナー シカゴ交響楽団 ★★★★
1969年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1983年 ドラティ デトロイト交響楽団 Dec
1987年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★
1989年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
1989年 レヴァイン シカゴ交響楽団 ★★★★
1994年 ブーレーズ シカゴ交響楽団
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved