バルトーク 中国の不思議な役人、青ひげ公の城  Bartok: The Miraculous Mandarin

 バルトーク 「中国の不思議な役人」
Bartok: The Miraculous Mandarin (Der wunderbare Mandarin)
リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ 1997年
Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra

シャイーの演奏は、穏やかな演奏だとは思うが、そもそも狂気のはらんだストーリーと楽曲に恐れをなしている。正直に言います。
この楽曲には、恐怖心が立って気味悪く~とても聴けません。マンダリンも青ひげ公の城も、何故、殺人事件をモチーフにしたパントマイムに音楽をつけようとしたのか、その動機に理解を示すことができない。イメージさせながら曲を聴くというのも悪趣味であり、逃げ腰だ。シャイー盤は、録音が良く柔らかい音質なので、まだしも、若い頃に一度聴いただけでお蔵入りしちゃった演奏が多々ある。生理的にあわない。現代の闇を描いて正視したくないし、吊されるなんていく言葉も使いたくない、青緑色に光を放つなんぞ想像だにしたくない。ストーリーに則して聴くのではなく、打楽器を主に耳に馴染まそうとしたが、どうにも慣れない。ホラー映画のBGMにでも使用したらいい。今のところ、どうにもこうにも~お手上げ。申し訳ございません。
シャイー盤には、細かくインデックスがあるので、聴くうえでは、とても便利です。ちなみに記しておきます。

1  導入部:都会の喧騒
2  幕が開きスラムのみすぼらしい部屋で、3人のならず者達が。娘をおとりに通行人から金を巻き上げようとしている。
3  第1の誘惑のたくらみ
4  みすぼらしい年老いた放蕩者が登場し娘にこっけいな求愛の身振りをするが、ならず者達は彼を叩き出す。
5  第2の誘惑のたくらみ
6  内気そうな青年が現れ、娘は彼と踊りはじめる。初めは照れくさそうに、次第に早く、情熱的に、そしてならず者達に彼もつまみ出される。
7  第3の誘惑のたくらみ
8  通りに不気味な怪しい影を見つけ、それが階段を上がってくるのを聞き付け、ならず者達は隠れる。
9  中国の役人が登場し、無表情のまま戸口のところに立っている。娘は怖気づいて部屋の隅に逃げる。
10 驚愕。娘は憎悪を克服してゆっくりと中国の役人が近くに来て椅子に座るよう誘惑をはじめる。
11 ついに彼女は不本意さを飲み込んで、ためらいがちに踊り始め、次第に挑発的で激しい踊りとなる。
中国の役人は冷静に彼女を見つめている。
12 娘は彼の胸に体をうずめ、彼は熱狂的な興奮でふるえ始める。
13 娘は彼から逃げ、彼は娘を激しく追いかける。
14 中国の役人は娘を捕まえ、二人は争い合う。
15 ならず者達が飛び出し、中国の役人を娘から引き離し、役人から宝石や金を取り上げる。
16 「奴を殺せ、ベッドの上の枕で窒息させるんだ」とならず者達は決める。
17 殺したはずの中国の役人の頭が枕の間から現れ、欲望のまなざしで娘を見る。4人は身震いし、ぎょっとして立ち尽くす。
18 3人のならず者達は恐怖を克服する。彼らは中国の役人を引きずり出し、きつく押さえつけている間に一人が錆びた剣で彼を3回突き刺す。
19 突然役人は起き上がり、娘に飛び掛る。ならず者達がそれを止め再びきつく彼を押さえる。彼らが押さえている間も中国の役人は欲望のまなざしで娘を見つめ
20 彼らは抵抗する中国の役人を部屋の中央に引きずっていき、ランプをかける杭に宙吊りする。
21 ランプが床に落ち、中国の役人の体が青緑の光を放ちはじめる。彼の目は依然として娘を見つめている。
22 娘の主張に従ってならず者達は彼を下におろす。中国の役人は床に落ち、娘の方に跳んでいく。もはや彼女は抵抗せず、彼らは抱き合う。
23 中国の役人の欲望は今や静まり、傷口から血が流れ出し、少しもがいた後に死ぬ。
ねえ~ こんなストーリーの楽曲を、気の弱いワタシには聴けないですよ。


 バルトーク 「中国の不思議な役人」
Bartok: The Miraculous Mandarin (Der wunderbare Mandarin)
ケント・ナガノ ロンドン交響楽団 1997年
Kent Nagano London Symphony Orchestra

ケント・ナガノの演奏は、色彩的で軽やか爽やかな演奏だ。楽曲にふさわしくないと言われそうだが聴きやすい。「中国の不思議な役人」は、パントマイム劇の付随音楽である。激しくて弦の滑る音から始まり、金管の咆吼、ぐちゃぐちゃ~とした不協和音が鳴るという荒々しい音の洪水で呑み込まれる。暗くて生々しい、臭い立つようなスラム街の雑踏に、いきなり放り込まれた感じの設定である。狂気じみたストーリー仕立てである。弦に煌めき感があるので、爪を立てて黒板を引っ掻くようなギギギーッという乾いたキツメの音はない。凶暴さは少なめ。最初に聴くなら聴きやすいと言える演奏だと思う。耳に優しいという意味で。しかし、楽曲は、変拍子に次ぐ変拍子で、ヌメヌメした感覚、シュールな様相を示し、楽器は勝手にいろんなフレーズを奏でている。チャイコフスキーのような旋律美は、ここには残念ながらゴザイマセン。甘いクラリネットなんぞ、登場せず、絶叫するばかりなり。コーラングレも別の楽器のような使われ方をする。金管のフレーズは、まるで、お馬鹿ねえ~ あ~あっ あ~あっ~ それみたことかぁ~って奏でているみたいで。なんてこったい。トロンボーンという楽器は、聖なる天使のファンファーレだったんじゃーないの?! うっそぉ。そんな、Hなシーンで登場させるなんて使い方しないでくださいよぉ。

ナガノの演奏は、暗いスラム街的な雰囲気からは遠い。ロンドン響の暖かみのある暖色系の音は、楽曲に即した音質ではないが救われる。煌めき、豊かな色彩、暖かい音色であっても、不快感は、どうしても拭えない楽曲だ。フレージングは流麗さを忘れていないし、見通しのよい繊細な音が詰まっている。ユニークさを忘れないタメ感もあるし、透明度が高く、息が詰まって呼吸ができないという窮屈さはない。楽器の音に耳が寄せていくので、ストーリーを忘れることができるって感じ。アホかいな~ この曲は、もっとギチギチ、タイトに、首が絞まるような息苦しく、頭を掻きむしりたくなる狂気的な演奏しないとアカンねん。てなこと言われるかもしれないが。う~ん、それではワタシには聴けないのでお許しを。

■ バルトーク 歌劇「青ひげ公の城」
Bartók: Herzog Blaubarts Burg (Bluebeard's Castle)
エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団 1992年
Eliahu Inbal Frankfurt Radio Symphony Orchestra
ユデット(ソプラノ):カタリン・センドレニ
青ひげ公(バリトン):ファルク・シュトルックマン
吟遊詩人(語り):シャンドール・ルカーチ


青ひげ公の城って、難しすぎて歯が立たない。そもそもバルトークの楽曲に手を焼いているのに、オペラではハードルが高すぎる。作品の名前ぐらいは知っているものの心理劇でホラー映画なのだ。見やすい動画などがあれば助けになると探してみたが、うーん。これまたギブアップ。致し方ないので、Wikipedia(ウィキペディア)からの引用でお茶を濁そうと思う。とりあえず、舞台上の動きに乏しい(基本的に7つの扉の前で、2人が歌うだけ)オペラなので、特にこれといった事件が起きない。つまり面白くないらしい。場面転換や明示的な区切りもないが、便宜上、9つに区分されている。

1 プロローグ 
語り部が現れて、この物語が、瞼で分けられた内側と外側、つまり自分自身と、他人との関わりの話であることを告げる。
城へ到着する青ひげとユディット。城の内部は広々とした円形のゴシック調のホール。左手には急な階段があり、その先は小さな鉄の扉。階段の右手に巨大な7つの扉がある。城の中は暗く、窓もなく、湿っている。青ひげは、ユディットに城で暮らすを考え直すように言う。ユディットは、城の全てが見たいと言う。城に光を入れて乾かそうと考える。7つの鍵のかかった扉に気づき、開けてくれるよう頼むが、「中を見る必要は無い」と断られる。彼女が第一の扉を叩くと、中から風が吹き抜けるようなため息が聞こえる。青ひげは「怖くはないか」と問いかけて、鍵を渡す。

第1の扉 拷問部屋
壁に血の痕をみつける。青ひげは「怖くはないか」と再度たずねるが、ユディットは差し込む朝日に驚愕し次の扉の鍵を要求する。青ひげは次の鍵を渡す。

第2の扉  武器庫
全ての武器に血が付いているのをみつける。城内に光が入ってくる。ユディットは「あなたを愛しているのだから」とさらに鍵を要求する。青ひげの憂いは通ぜず、これ以上なにも問わないことを条件に、さらに3本の鍵を渡す。

第3の扉 宝物庫
ユディットは感嘆する。しかし宝物には血痕が付いている。青ひげは次の扉を開けるよう急かす。

第4の扉 秘密の庭園
ユディットは多くの花に喜ぶ。しかし、白いバラに血の痕を見つけ、土には血が染みこんでいると言う。青ひげは第五の扉を開けるように言う。

第5の扉 青ひげ公の領土
眼前には広大な青ひげの領土があった。呆然とするユディット。雲から赤い血の影が落ちている。青ひげは、もうこれ以上なにも問わず、自分を愛してくれと求めるが、ユディットは残りの扉を開けるよう執拗にせまる。青ひげは根負けして、もうひとつ鍵を渡す。扉を開けようとすると、再び中からため息が漏れてくる。

第6の扉 涙の湖
ユディットは、不気味なほど静かで、銀色に輝く湖にうちひしがれる。ようやく二人は抱擁する。青ひげは、これで城は光で満たされたから、最後の扉は閉めたままにしておかなければならないと言う。しかし、ユディットは、以前に青ひげが愛した女性のことを問う。嫉妬が不信を呼び、最後の扉を開けるよう迫る。
ユディットの中では、武器に付いていた血、領土に降り注いだ血が、前の妻達のものだという考えが渦巻いていく。殺したのだと、噂は本当だったのだと問いつめる。青ひげは絶望して、最後の鍵を渡す。

第7の扉
扉を開けると、中から3人の妻が列をなして現れる。ユディットは「生きている。目もくらむほど美しい」と息をのむ。彼女たちこそが富と領土の源泉であり、それぞれ「夜明け」「真昼」「夕暮れ」を支配している。ユディットはその間、私など遠く及ばないと言っている。
青ひげは「私は四人目を真夜中に見つけた」といい、夜を彼女のものとする。ユディットは最初逃れようとするが、「おまえが一番美しい」といわれ、彼のマントと宝石を受け入れ、四人目の妻として他の者たちとともに第七の扉に消える。青ひげは「もうこれで完全に闇の中だ…」といって、暗闇のなかに消える。

インバル盤は、録音状態が良く、音響的には申し分ないと思う。で、1幕もののオペラなので、ずーっと続けて歌われる。想像を逞しくしつつ拝聴するが、悲しいかな日本語じゃーないのでねえ。美女を城に閉じ込めちゃうという城主の犯罪、心理劇、ホラー映画のような怖いお話のようだとは一応わかる。暗い場面では、五音音階の民俗音楽のようなフレーズが存在する。第5の扉の領土を荘厳さ、天地創造かローマ皇帝のお出ましというような圧巻のフレーズがあるが、後半に行くにつれて閉塞感が一層強まる。ワタシの場合は、理解を深めるには、まだまだ先のようだ。

オペラ対訳プロジェクトさんのサイト https://w.atwiki.jp/oper/
青ひげ公の城 言語はハンガリー語です。
https://w.atwiki.jp/oper/pages/340.html
https://w.atwiki.jp/oper/pages/341.html


バルトーク パントマイム「中国の不思議な役人」
1975年 ブーレーズ ニューヨーク・フィル SC 未聴
1977年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec 未聴
1983年 ドラティ デトロイト交響楽団 Dec 未聴
1990年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec 未聴
1994年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 G 未聴
1997年 シャイー コンセルトヘボウ Dec ★★★★
1997年 ケント・ナガノ ロンドン交響楽団 E ★★★★

バルトーク 歌劇「青ひげ公の城」
1992年 インバル フランクフルト放送響 DENON ★★★★


 

YouTubeでの視聴

バルトーク Bartók: The Miraculous Mandarin, BB 82, Sz. 73 (Op.19)
Concertgebouworkest シャイー コンセルトヘボウ
ここでは冒頭のみ掲載します。
https://www.youtube.com/watch?v=6W-Vsh1zrSw


Bartók: The Miraculous Mandarin Op.19 I Allegro - Introduction 
ケント・ナガノ - トピック イントロダクションのみ掲載します。
https://www.youtube.com/watch?v=Wh5xWZFQN5w



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