「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ベートーヴェン 序曲「コリオラン」
Beethoven: Overture "Coriolan"


カラヤン ベルリン・フィル 1965年
Herbert von Karajan  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。響きもまろやかで、勇壮に感じられる。
カップリング:ベートーヴェン序曲集  プロメテウスの創造物、シュテファン王、アテネの廃墟、エグモント、コリオラン、命名祝日、献堂式、レオノーレ1番、レオノーレ2番、レオノーレ3番、フィデリオ 全11曲 2枚組BOX

「れ〜 そっ れ〜 みっ れ〜 ふぁっ  らっ らっ れふぁみ みらら・・・」
歯切れの良さと、キッパリした壮大さを持っている。拍を、幾分長めにとっていると思うが、特に、金管の音がよく聞こえて、広がりを感じる。
リマスタリング盤だと思うのだが、イエス・キリスト教会での録音とのことで、響きは豊かなのだが、なんだか音がうわずって聞こえるような気がする。

ちょっと、金管の高いところが、う〜ん硬いかなあ。強めだなあ〜とは感じる。
しかし、残響の豊かさに消されてしまって、そのうちに気にならなくなって、流れに呑み込まれてしまう。
悲劇というより、英雄で、ちょっと、筋肉質っぽい。
意外と、硬めで楷書体、筋肉質で、キッパリした力強さを持っている。カラヤンの60年代の録音なので、活き活きとした、このような雰囲気を持っているのだろう。
「そふぁみ〜 みみみっ みみみっー みみみっー ・・・ そ〜ふぁれどしどれみ ふぁ〜そらし〜」
さほどテンポをあげず、きっちりと歩んでいく。

で、優美なフレーズ「らーしらそみど どーれど〜し らーしらそみど どーれどし〜」というところは、なだらかで滑りが良いが、後年のように、レガートを、ばりばりかけまくりっていう状態でもなく、品が良い。
「ふぁ〜み そらそら〜 し〜ら どれどれ」というフレーズなどは、ヴァイオリンの高音が、他の弦の厚みと、奥のティンパニーの響きのうえで、なんとも綺麗に響き、輝いて見てくる。
う〜ん さすが教会の響きだ。
「しーら どれどれ しーら どれどれ れーど ふぁそふぁそ」
「らら〜 れ〜ど らら〜 れ〜ど」 この低弦の振り子状態のように、重量感が揺れるさまが楽しいし、リズミカルに聞こえる。 主題が変わるところの、ちょっとした間合い。息づかい。
冒頭のフレーズが戻ってくる金管の入れ方、う〜ん。やっぱ巧いっ。カラヤン盤は、さすがに巧いなあ〜って思う。最後の静かに終わるところも、たっぷり長めにとって、弱音での音、はりつめた緊張感のなか聞かされてしまった。
マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1972年
Kurt Masur   Gewandhausorchester Leipzig
(Leipzig Gewandhaus Orchestra)



録音状態は、あまりクリアではない。暖かみがあるというか、ぼわっとした感じがする。演奏も、う〜ん。
カップリング:交響曲、序曲集
90年代も全集録音をしており、これは旧録音である。

冒頭、重々しく悲劇性の強い印象的なフレーズで始まる。
録音状態は、まずまずで、残響は豊かで暖かみのある響きがある。さほど、キレは良くないが、スピード感はあり、「そふぁみ〜 みみみっ みみみっー みみみっー ・・・ そ〜ふぁれどしどれみ ふぁ〜そらし〜」
かなりテンポよく進んでいく。
ゲヴァント管なので重々しい、低弦ガリガリ音をたてて演奏されるのかと思っていたのだが、ちょっと軽め。
それなりに重いのだが、重層的に響くという感じがしない。
「ふぁ〜み そらそら〜 ふぁ〜み そらそら しーら どれどれ」
ティンパニーの響きが入ってくるのだが、どこか、くぐもっているため、ちょっと迫力が薄く感じられる。
「しっふぁみっしっ らっふぁれっ どっふぁれ・・・」と続く主題のなかで、チャチャチャと鳴っている弦のなかで、木管の響きがあるのだが、う〜 
「そ〜 れっ そ〜 み〜み〜」 ダメ押しする強さが足らない。
「ふぁ〜そ ふぁみどら ら〜しらそ ふぁ〜そふぁみどら ら〜しらそ ふぁ〜そふぁみれど」
英雄コリオラヌスって感じじゃないなあ。ちと凡庸にすぎるだろう。
「しーら どれどれ しーら どれどれ れーどふぁそふぁそ」
最後の方になって、鞴のように低弦が唸ってきたのだが、ぐぐぐ〜と、底から湧き起こるようなパワーがないので、私的にはモノ足らない。つまらん。やっぱ緩いかなあ。
う〜ん なぜなんだろうなあ。響きが溶け合わないっていうか、録音の場所が悪いのか。
弦の響きがイマイチなのだ。歯抜け的って言っちゃマズイか。
でも、ゲヴァントの低弦が(コントラバスだと思う)、何故か分離しているかのように聞こえてしまう。
スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン 1981年
Otmar Suitner  Sächsische Staatskapelle Berlin (Staatskapelle Berlin

録音状態は良い。残響はちょと多め。がっしりした堅牢な演奏ではなく、しなやかで、モーツァルト風って感じ。
←ジャケット写真は交響曲全集 CD1枚モノの序曲集には、エグモント序曲(84年)、コリオラン序曲(81年)、プロメテウスの創造物(84年)、レオノーレ序曲(84年)、フィデリオ(84年) が収録されている。

「そぉ〜 し〜 し〜 しどっ れ〜 れみっ ふぁっ」
スウィトナーさんが個人的に好きなためか、まろやかに深く聞こえる。
冒頭は、木管の残響が、良く残っている。
低弦の響きも充分だが、「らそふぁみ〜」という木管の音色が神妙だし、「そぉ〜っ」という金管の和音には悲愴感があるが、木管の柔らかい残響が明るさを持っているため、それが相まって響くのだ。
ひいきの引き倒しではないと思うが、硬いとかゴツイ、とかというイメージではなく、オペラの幕開けのような感じで、金管の広がりが、すご〜くあり。柔らかいし、明るい。
カラヤン盤のような歯切れの良さと、キッパリした壮大さは持っていないけれど、音と音の間合いも充分で、何が始まるのだろう。という期待感が感じられる。
間合い充分であるので、テンポは、ゆったりめ。

英雄コリオラヌスっていう、マッチョ風筋肉質ではない。モーツァルト風に聞こえるっていうと、ちょっと誤解を生むかもしれないけれど・・・。でも、モーツァルトの序曲集を聴いているみたいだ。
「たららら たらら たららら〜っ」と、フレーズが動くところは、小気味よさが出てくるんだよね。
ティンパニーの奥から響く音も、推進力がある。それも、重々しいっと言うより、軽快なのだ。
特に、ヴァイオリンの刻む音は、芯はあるが柔らかい。
「そららど そらしどれ らしどれ〜れれみふぁ〜」ってフレーズのところでは、あ〜 こりゃ良いわ。
耳のご馳走っ。思わずニンマリ笑ってしまう。
「ふぁふぁ そそっ ふぁふぁっ そそっ」という、ちょっと重い低弦の音に続いて、「ふぁ〜そらしふぁ〜 ふぁ〜そらしふぁ〜」という木管のソフトな音色が来るので、これにはやられる。
弱音が、また柔らかい。よく響くし。とろけとるがな。って感じ。
低弦の硬め響きと、木管の柔らかさ、この絶妙な連携プレーには、まいった。
で、また、ここのティンパニー 歯切れのよい頃合いの硬さなんだよなあ。
奥行き、立体感の出てくる、金管の響き。

響きがまろやか。ちょっと長めの残響。これで癒されて。好みであることも手伝って、ため息、涙もので拝聴してしまった。
みなさんには、ベートーヴェンのわりには、柔いっと言われてしまうかもしれないが、でも好きなんです。
あっ もちろん硬い、イカツイ、ベートーヴェン演奏スタイルも好きですけど。(笑)

テンシュテット ロンドン・フィル 1984年
Klaus Tennstedt  London Philharmonic Orchestra



録音状態は良い。意外と歌うし、推進力のある演奏で、すすり泣くような色気のある演奏でもある。
カップリング:ベートーヴェン序曲集 .フィデリオ序曲、レオノーレ序曲3番、プロメテウスの創造物序曲、序曲コリオラン、エグモント序曲 全5曲

テンシュテットさんの振るベートーヴェンってことで、どこか、恐怖感の漂う、すごみの効いた演奏かと思って聴いたのだが、わりとスマートで、瑞々しささえ漂い清々しい感じがする。
「どぉ〜 ふぁっ どぉ〜 れぇっ どぉ〜 ふぁっ そっ そっ・・・」
という冒頭のフレーズも、綺麗にまとまっており、重くない。
金管の残響もほどよく入っていて、冒頭よりも、むしろ「れふぁみ みらら れふぁふぁみ みららっ」というフレーズに推進力を感じる。
勇壮さもあって、まろやかさも感じられるし、へえ〜 意外と悲愴感の漂う演奏ではなく、スイスイと進んでいく。グロテスクなほどに怖い演奏かと思っていただけに、ちょっと拍子抜けするぐらいだが、歌心もあり、気持ちが良い。スマートさえ感じるぐらいだ。
ンチャチャ ンチャチャ・・・ 弦に揺れが感じられるような、風合いがあって、そのなかにフレーズが歌い、そして、アクセントのついたリズムが生まれている。
「ふぁ〜み そらそら ふぁ〜み そらそら し〜ら どれどれ〜」と、すすり泣くように歌う。
適度な音量でティンパニーが叩かれて、「ンタター タタタ ンタター タタタ」という、これまた適度なアクセントのつけかたで、シンプルなリズムが活きてくるのだ。

粘りが少ないかな〜というぐらいの演奏なのだが、それが、そうでもないんだよね。
いや〜 なかなかに、さりげないフレーズのなかに、躍動感があって、長く伸ばす音には、ふんわり感もあるし、パア〜と伸ばす金管にも、開放感があるという、味のある役者だな。という感じがする。
カラヤン盤のような勇壮で、劇的な効果抜群という演奏というよりも、むしろ、さりげない演技で、決められちゃっている感じがするのだ。

冒頭のフレーズに戻ってきても、あまり重く鳴らずに、音の間合いも充分にとって、残響を生かした柔らかい演奏となっているし、コリオランって、悲劇的で、悲愴感たっぷりの傷ついた兵士みたいな演奏が多い気がするが・・・。 こんなにスマートで瑞々しくって、清潔な感じのする楽曲だったっけ。という感じで、改めて見直してしまった。

主人公の心情的をえぐり出すかのような演奏スタイルではないのだが、純粋に演奏として聴くと、金管の響きが揺らぎ、弦の響きが揺れて、涙声のように聞こえるのが印象的だ。古代ローマの英雄「コリオラヌス」を主人公の劇の序曲だが、 そこからイメージされるような筋肉質な演奏でもない。もちろん、コロッセオの拳闘士のようなグラディエーターでもなく、スパルタカスでもないのだ。
意外や意外、どことなく、オンナっぽく、女形のような色気さえ感じる不思議な演奏だ。
ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 1987年
Christopher Hogwood
Academy of Ancient Music

まっ こんなモン

録音状態は良い。
勢いがあり、力強さも感じられるのだが、草食系男子っぽい演奏かも。
カップリング:ベートーヴェン 交響曲第6番、序曲「コリオラン」、「エグモント」序曲
「どぉ〜 ふぁっ どぉ〜 れっ どぉ〜 ふぁっ そ そ どみみ れそそっ・・・」
弦のキレもあって、残響も適度に入っている。で、細身だが、勢いが違ってて、スピード感があるというか、スポーティな演奏だ。
古いCDなんかを聴いている耳だと、薄うぅ〜と感じるかもしれないが、今や、すっかりピリオドが定着しているし。
ずーっとピリオドで聴いていると、昔のCDを取り出してフルオケバージョンで聴くとは、うへっ 分厚すぎて〜脂っこいという感想になっちゃうのかもしれない。
まあ、もっとも、元々、こういう楽曲だったのね〜と、ピリオド演奏を、アタリマエのように感じているんだけど。でも、ホグウッド盤で聴くと、ちょっと軽量級かなあという感じがする。
リズミカルで、瑞々しさが感じられるので、楽しさ、愉悦感もあるのですが〜

「ふぁ〜み そらそら らぁ〜そ しどしどっ」という直前の木管のフレーズでは、アンサンブルの縦ラインが、あってるのかなあと、ちょっと変だな。と思うところがあり、多少前につんのめった感がする。
金管のパッセージは力強いが、バランス的には、イヤミなく吹かれているし、アクセントをつけぎみに、速めに演奏されており、ティンパニーのスパイスも効いている。
金管の音は、ワタシには、やっぱり独特で、多少金属片が詰まっているような、どこか、耳に突き刺さる感がする。
弦の動きは見えるかのようで〜 ンチャチャ ンチャチャ・・・と、ずーっと奏でられており、無窮動風にも聞こえてくる。音型が見えるかのようで楽しいのだが、ティンパニーの響きや、木管の方が、スケスケしてて、ワタシ的には、 ベートーヴェンさまの楽曲は、どちらかというと重厚に聴きたい方なので、いささか慣れない感覚だ。
ごごぉぉ〜「ら〜ど しどしど れぇ〜ど しどしど れぇ〜ど しどしど・・・」ってところのフレーズだと、後ろの「しどしどっ」が、とても、バタバタと聞こえる。

草食系男子のような、ローマの将軍コリオラヌスさまという感じだろうか。
ワタシのイメージだと、筋肉隆々の、多少太くなってきたかな〜っという主人公像なんですねどね。まっ これは好みの問題でしょうけど。

ダニエル・ハーディング ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン 1999年
Daniel Harding
Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen



録音は極めて良い。瑞々しく、時には荒々しく、スマートでありながら強烈なインパクトを持った演奏。
カップリング:序曲コリオラン、レオノーレ序曲第3番、エグモント序曲、レオノーレ序曲第2番、プロメテウスの創造物、レオノーレ序曲第1番、アテネの廃墟、フィデリオ序曲 全8曲

CDジャケットを見たら、ヤワで、ちょっと貧弱そうで、線の細いエリートのようで。ホントに演奏は大丈夫なのかなあ〜って思うぐらいだったのだが、なんのなんの〜 えらい出世しちゃって、、、
このハーディングさん、ラトルの後継者のような存在で、今をときめく人なのである。
で、CDを聴いてみて驚いちゃった。コリオラン序曲の格好の良いこと。
「れぇ〜 そぉっ れぇ〜 みぃっ れぇ〜 ふぁっ  らっ らっ れふぁみみらら・・・」
ティンパニーの響きは硬めなのだが、残響もあって、畳みかけてくる勢いの良いことと、スピード感がたっぷりあって、それはそれはスマートに決まっているのだ。
線は細めなのだが、ノビもあるし、弦の直線的な響きの綺麗なこと。
木管の響きも軽やかだし、なんていっても、やっぱりピチピチした勢いだと思う。
そこに、残響たっぷりのインパクトのあるティンパニーの響きが重なる。
「ふぁ〜(ドンっ)み そらそら ふぁ〜(ドンっ)み そらそら し〜(ドンっ)ら どれどれ〜」と、ガツンと一発入ってくるのである。

弾むようなリズムというよりは、弦の終いにキレがあって、切れるような響きを持っている。
ドンドンっと鳴るティンパニーと、奥の金管の咆吼と、んパパァ〜 んパパァ〜っと付点のリズムのなかで、どろどろ〜っと地響きのように回る響きが、これまた面白い。
重戦車軍団のような響きを持ちながら、槍を持って突き進むような勢いもあって、歩兵軍団も間に挟まって軍勢が快進撃を続けているかのようだ。
これだけ、フレーズが見事に描かれ、混成部隊が、それぞれの役割を果たして活躍しているのは、見事ではないだろうあk。
ホント、総体的に活き活きしてているのだが、どこから生まれるものなのか・・・。
うえに伸びようとする柔らかいフレーズと、打ち下ろしてくる音と、ところどころで弾む音と。おおっクロスしてるじゃん。ベートーヴェンのコリオランって、こんなに面白かったっけ・・・。
う〜ん。なんていろんなリズムがあるんだろ〜 ちょっと目から鱗状態だった。
ハーディング盤なら、何度でも聴けちゃう。これは面白い。拍手っ。
1965年 カラヤン  ベルリン・フィル ★★★★
1972年 マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 ★★
1981年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン De ★★★★★
1984年 テンシュテット ロンドン・フィル EMI ★★★★
1987年 ホグウッド  エンシェント室内管弦楽団 Dec ★★★
1999年 ハーディング ドイツ・カンマーフィル Virgin ★★★★★
1995年 ウェルザー=メスト フィラデルフィア管弦楽団 EMI  
1996年 プレヴィン ロンドン交響楽団 ★★★★★
所有盤を整理中です。

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