ベルリオーズ 劇的物語「ファウストの劫罰」 Berlioz: La Damnation de Faust

 ベルリオーズ 劇的物語「ファウストの劫罰」
Berlioz: La Damnation de Faust
ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1981年
Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

テノール:ケネス・リーゲル Kenneth Riegel
メゾ・ソプラノ:フレデリカ・フォン・シュターデ Frederica von Stade
バス:ジョゼ・ヴァン・ダム José van Dam

冒頭のラコッツィ行進曲(ラーコーツィ行進曲)は、もちろん聴いたことあがるので知ってはいる。トランペットで威勢良く吹かれる。「ぱぱぱ ぱっぱぱ ぱっぱぱ ぱっぱっ ぱぁ~ぱぱぱ ぱぁ~」「らっそら らっそら らっそらぁ~ らしどぉ~し らそふぁみ ふぁ~」「れっどみ れっどみ れっどらぁ~」改めて聴くと、風変わりな行進曲である。滑稽さが含まれ、暗いし舞曲風で、マーチには向いていないように感じられる。で、この行進曲は、ハンガリーが舞台になっているが、第2部になると、いきなりファウストの書斎に場面がかわる。そこから、オペラのように進む。フランス語がわからないと~ うぐ。(汗)
7曲目の三重奏は、ラストで、あはっはっ! と笑い声が入っているし、9曲目は騎行というだけあって、馬を駆けている感じが、すごくよく出ている。また、奈落の底に落ちて、自ら署名したのかと尋ねて、そうだっ。というと悪魔たちの雄叫びのハハハ・・・というシーンは、圧巻だ。ジャーンっ!と、シンバルが、ど派手にが打ち鳴らされており、とてもリアルだ。とりあえず、聴いたというだけで~ ど派手な楽曲ということは、わかったかな~ってところでしょうか。やっぱり、ストーリーがわからないと困るので、ウィキペディア(Wikipedia)から、かいつまんでご紹介を。第1部は、ゲーテの原作にはない、ハンガリーの丘にファウストが立っているというシーンで、遠くから、ハンガリーの兵隊の行進が聞こえてくるもの。


第2部
書斎に籠もって、絶望の果てに自殺を決意します。でも、毒入りのカップを口にしようとした時、教会の鐘が鳴り、賛美歌が聞こえてきて、気力を取り戻します。そのとき、トロンボーンと木管楽器にのって、悪魔のメフィストフェレスが現れます。メフィストフェレスは、ファウストと契約し、ライプツィヒのアウエルバッハ・ケラーという酒場に連れて行きます。酒飲みのブランデルは。「鼠の歌」を歌い、フーガの大合唱となり、メフィストフェレスが「蚤の歌」を歌います。メフィストフェレスが、次に連れていったのは田舎の町です。ファウストに呪いをかけ、マルグリートという女性の夢を見せます。夢のなかで、恋に落ちたファウストに、メフィストフェレスは彼女のところへ行こうと提案します。

第3部
ファウストとメフィストフェレスは、マルグリートの家に侵入します。マルグリートは「トゥーレ王」の歌を歌っています。メフィストフェレスは、鬼火を召喚し、鬼火はマルグリートの周りの周りで踊り始めます。ここで、「鬼火のメヌエット」が流れます。ファウストがマルグリートに会うと、マルグリートも、ファウストのことを夢に見たと告白します。(なんでやねん)2人は愛の二重唱を歌うのですが、そこへ、メフィストフェレスが、マルグリートの母親が町中の人を連れて近づいてきているから、速やかに立ち去らなければならないとファウストに告げます。


第4部
マルグリートは、家でファウストが帰ってくるのを待ちながら「紡ぎ歌」を歌います。場面は、森と洞窟に移り、そこでファウストは「自然への祈り」を歌います。メフィストフェレスは、ファウストに、マルグリートが絶望のあまり母親に多量の睡眠薬を飲ませて殺し、今は刑務所に拘留されていて、明日には絞首刑になる、と伝えます。ファウストが混乱していると、メフィストフェレスは、自分にはマルグリートを救うことができると説明します。でも、ファウストが、自分自身の魂を捨てるという契約書にサインしなければならないと・・・。ファウストが、この契約に応じたとき、打楽器が、破滅の予感を表す演奏をします。メフィストフェレスは馬にまたがって駆けだしていきます。ここで、「地獄への騎行」が流れます。

ファウストは、マルグリートを助けにいこうと考えていますが、グロテスクな光景を目の当たりにして、恐怖が募っていきます。マルグリートの死刑が執行されるのが近いことを意味するのか、鐘の音が聞こえます。周りの風景はさらに恐ろしく奇怪なものへと変化してゆき、天からは血の雨が降り、路上には骸骨が転がっているという場面になります。メフィストフェレスは「infernal cohorts」と、叫びつつ、ファウストともに、奈落の底へ落ちていきます。悪魔達は、メフィストフェレスに対し、ファウストは本当に自ら魂を明け渡したのか尋ね、メフィストフェレスは、これにうなずくと、悪魔達は、悪魔の王子の名前を唱え、メフィストフェレスの周りを踊りながら、勝利の合唱を歌います。


エピローグ
解説風の合唱が、地獄の恐ろしさや「恐怖の神秘」を歌い、ファウストの契約どおり、贖罪されたマルグリートの魂が現れ、マルグリートは、天使達の合唱に連れられ天国へと迎えられて終わります。ベルリオーズは、男の究極の愛を表現したかったの?でも、それが、なぜ劫罰って言葉と絡むの?とか、原作ストーリーは1部と2部に分かれており、ギリシャ神話がらみの逸話は?とか、ファウストの魂の救済は?とか、ツッコミを入れたくなるのですが~ まあ、このあたりは、ゲーテの原作とは、話の筋が異なります。
理性VS感情、理想VS現実 これは、人としての究極のテーマでしょうか。簡単には解りかねます。で、今日は、「オペラ対訳プロジェクト」さんの歌詞を拝見しながら、改めて聴いてみたのだが、やっぱり、もう少しゲーテの本を読み込まないと、ざっくりとしたストーリーを知っているだけでは歯が立たない楽曲だ。もちろんショルティ盤は、録音状態も良く、豪快で、文字通り劇的という雰囲気があり、リアル感抜群である。
演奏には全く問題はないのだが、ワタシの知識などがついて行けず、CDで聴くには、ちょっと難しいかも・・・。なので~動画サイトにUPされているので、ビジュアル面の助けを借りて、まず、大雑把にストーリーをつかんで聴くのがよろしいかと思います。
この「オペラ対訳プロジェクト」さんのサイトは、パブリックドメイン扱いで、公表していただいているので、とてもありがたいサイトです。

録音状態は極めて良い。ワタシが所有しているのは抜粋版だが、2枚組全曲版もある。劇的物語「ファウストの劫罰」は、ご存知ゲーテのファウストを元にした作品だ。ワタシが所有しているのは抜粋版で、次の9曲が収録されている。

1  ハンガリー行進曲(ラコッツィ行進曲)
2  復活祭の歌
3  ブランデルの歌を主題にしたフーガ アーメン
   第4場 ドイツの北部にて 復活祭の歌「キリストはよみがえりたまいぬ」
   メフィストフェレスの歌
   第6場 ライプツィヒのアウエルバッハの酒場
   メフィストフェレスの歌(のみの歌)「むかしむかし王さまが」
4  兵士たちと学生たちの合唱
   第8場 兵士たちと学生たちの合唱 兵士たちの合唱
   「町なら、城壁にかこまれた街」
   第8場 兵士たちと学生たちの合唱 学生たちの合唱
   「今や星のきらめく夜がひろがり」
5  トゥーレの王(ゴチックの歌)
   第11場 トゥーレの王(中世の歌)「むかしトゥーレに王ありて」
6  メフィストフェレスのセレナード
   第12場 メフィストフェレスのセレナーデと鬼火たちの合唱
   「夜の明けかかる今時分」
7  三重唱と合唱
   第14場 三重唱と合唱「さあ、もうだいぶおそいですよ」
8  マルグリートのロマンス、兵士の合唱、自然への祈願
   第15場 ロマンス「激しい炎のような愛は」、 「トランペットが響きわたれば」
   第16場 自然への祈願 「広大で奥知れぬ崇高な自然よ」
9  地獄への騎行、悪魔たちの巣窟、地上のエピローグ
   第18場 地獄への騎行 「私の心にあの娘の絶望的な声が響く」
   第19場 悪魔たちの巣窟(地獄の言葉による合唱)
   悪魔たちの合唱「アー イリミルカラブラオ (呪文)」
エピローグ 地上にて 「そこで地獄は静まる」


 ベルリオーズ 劇的物語「ファウストの劫罰」
Berlioz: La Damnation de Faust
ケント・ナガノ リヨン歌劇場管弦楽団 1994年
Kent Nagano Opéra National de Lyon

ファウスト(テノール):トーマス・モーザー Thomas Moser
マルグッリト(ソプラノ):スーザン・グレアム Susan Graham
メフィストフェレス(バリトン):ヨセ・ヴァン・ダム José van Dam
ブランデル(バリトン):フレデリク・カトン Frederic Caton

ワタシの所有しているのは、ハイライト盤である。全曲版では、どうなっているかというと、次のとおりである。★と数字マークの部分が、抜粋盤(ハイライト盤)で収録されているところだ。日本語での表記、例えば、マルグリット、マルグリート(Marguerite)など、多少の表記は異なっているかもしれないので、その点はご了承ください。
ケント・ナガノさんの演奏は、抜粋盤といっても、たいてい、ラストの地獄落ち部分、地獄への騎行ってところが、やっぱり聴き所なので、ワタシ自身も第4場を、抜粋して聴いちゃうことが多い。この盤でも、もちろん~ 第4部は一気に聴かせてくれる。なので、不満はない。さっぱりした録音で、さっぱりした演奏になっている。さほど劇的でもなく、ガツンっとかまそう~というような効果を狙った感じはしない。でも、奥行き感もあり、ラストに近づけば近づくほど、迫力も出てくるのだが、ひとことでスマートと言っちゃうほど、単純じゃないかもしれない。
まあ、劇場において見ている(聴いている)という雰囲気が、たっぷり満喫できる。暗黒のダークサイドにおける劇というよりは、さっぱり~すっきり~ 悪魔的というか呪縛的な駆け引きを描いた心理描写、ぐぐーっと引き込んでいくようなパワーは少ない。
例えるなら、ゴシック建築様式の教会の空間のような、装飾的だけど暗くて、ひんやりしてて、黒くて、重厚で、曲線的な感じではなく、現代建築のスッキリした空間で、明るく広く、直線的な感じの演奏という感じだろうか。まあ、なかなか例えるのって難しいが、今風の演奏だ。クラシカルな雰囲気がねえ。ちょっと少ないので、好みが分かれちゃうかもしれませんが、ラストは、コーラスになって終わるので、満足度はある。また、動画サイト、「オペラ対訳プロジェクト」さんのサイトにお邪魔して、今後も、多少なりとも、勉強しながら拝聴していきたいと思う。

CD1
1  第1部 第1場 古びた冬は春に道をゆずり (ファウスト)★1
2  第1部 第2場 牧人たちは彼らの羊の群を去り (農夫たちの合唱)
   第1部 第3場 だが、田園をいろどるのは戦いの雄叫
3  第1部 第3場 ハンガリー行進曲 (ラコッツィ行進曲)★2
4  第2部 第4場 悔む気持ちもなく、私は美しい田園を去ったが (ファウスト)
5  第2部 第4場 キリストは蘇り給う! (復活祭の合唱) ★3
6  第2部 第5場 ああ、けがれのない感動ですな! (メフィストフェレス) ★4
7  第2部 第6場 もっと飲もうぜ!酒を (酔っぱらいたちの合唱)★5
8  第2部 第6場 あるねずみが、台所に
   (ブランデルの歌 ブランデルの歌の主題によるフーガ) ★6
9  第2部 第6場 アーメン (ブランデル、合唱)
10 第2部 第6場 やさしい蚤が一匹 (メフィストフェレスの歌)
11 第2部 第7場 ここにバラありて、今宵花ひらく
   (メフィストフェレスのアリア ファウストの夢)
12 第2部 第7場 眠れ、しあわせなファウストよ
   (地中の精たちと空気の精たちの合唱)
13 第2部 第7場 空気の精たちのバレエ 
   マルガリータ! わたしは何を見たのだろう!(ファウスト)★7
14 第2部 第8場 城壁や砦に取り囲まれた町々 (兵士たちの合唱)
   第2部 第8場 夜は、はや星のきらめくヴェールをひろげ

CD2
1  第3部 帰営を告げる太鼓とトランペットのひびき
2  第3部 第9場  ありがとう、やさしいたそがれよ! 
   (ファウストのアリア)
   第10場 あの娘がやってくるのがきこえましたぞ! (メフィストフェレス)
3  第3部 第11場 なんと蒸し暑い陽気だこと! (マルグリット)
4  第3部 第11場 昔、トゥーレに王がいて (マルグリット) ★8
5  第3部 第12場 降神 変幻定からぬ焔の精霊よ (メフィストフェレス) ★9
6  第3部 第12場 降神 妖精たちのメヌエット
7  第3部 第12場 降神 お前に夢中な男の家の前で
   (メフィストフェレスのセレナード) ★10
8  第3部 第13場 おやまあ! なにが見えるの? (マルグリット) ★11
9  第3部 第14場 さあ行こう、もうおそすぎますよ!
   (メフィストフェレス) ★12
10 第4部 第15場 愛の烈しい焔は、私のうるわしの日々を焼き付くす
   (マルグリットのロマンス) ★13
11 第4部 第15場 トランペットのひびきに、勇敢な兵士たちは
   (兵士たちの合唱)★14
12 第4部 第16場 自然への祈願 果てしなく、測りがたく、そして猛々しい自然よ 
   (ファウスト)★15
13 第4部 第17場 叙唱と狩 蒼穹にはつねに変わらぬ愛の星辰がみつかりましたが
   (メフィストフェレス)
14 第4部 第18場 奈落への騎行 私の心の中で、あの娘の声が鳴りひびいている   
   (ファウスト)★16
15 第4部 第19場 地獄の首都 イリミル・カラブラオ!←呪文
   (悪魔たち地獄に墜ちた者たちの合唱)★17
   地上でのエピローグ その時、地獄は燃えだした
16 第4部 第20場 天上 讃えられよ! ホザンナ!★18
   マルグリットの祝聖 天上へとのぼっておいで、純真な魂よ (合唱)


ベルリオーズ 劇的物語ファウストの劫罰
1981年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
1994年 ケント・ナガノ リヨン歌劇場管弦楽団 E ★★★★

ベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」(作品24)は、ドイツの文豪ゲーテの「ファウスト」に基づく作品です。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、1824年頃、ベルリオーズは「ファウスト」のフランス語訳を購入し、読み漁って、これを音楽にしようと決心したそうです。「ファウスト」からの8つの情景を作曲し、自費で楽譜を出版し、それをゲーテに贈呈したものの、ゲーテは気に入らなかったのか、総譜はベルリオーズの元に返されてしまいます。で、そのまま20年近く放置されてしまったそうな。思い出したのが1845年、自ら台本を書き、「劇的物語」と命名して作曲を続け、オーケストラに声楽、合唱が加わる大作となり、1846年に初演されています。

ハンガリー楽旅中に採りあげて喝采を浴びた「ラコツツィ行進曲」を使用しようと、冒頭の部分を強引にドイツからハンガリーへと変更したそうです。で、通常は、コンサート形式で演奏されるのですが、最近は、オペラ形式での上演も行われるとのこと。「ハンガリー行進曲」(ラコッツィ行進曲)、「妖精の踊り」「鬼火のメヌエット」は有名で、単独で演奏されることも多くあります。
ストーリーについては、これは、やっぱり~ ゲーテのファウストを読んでいただかなくては・・・ ちょっと、ここでご紹介するには、長大すぎるかもしれません。(ベルリオーズはストーリーを変えていますが)で、劫罰(ごうばつ)って、馴染みのない難しい言葉が使われていますが、コトバンクさんで調べると、地獄に落ちたような苦しみを与える罰、膨大な長い時間にわたり受ける罰、永劫にわたる罰・責め苦があります。しかし、西洋の思想や芸術に、多大なる影響を与えた「ファウスト」です。後世、多くの人がこの作品にインスピレーションを受け、自らの作品を創造しています。


 

YouTubeでの視聴

Berlioz: La Damnation de Faust, Op. 24, H 111
シカゴ交響楽団 - トピック Chicago Symphony Orchestra - Topic
Provided to YouTube by Universal Music Group
長大な楽曲でインデックスが詳細に区分されているので、ここでは、有名なハンガリー行進曲(ラコッツィ行進曲)のみ掲載します。https://www.youtube.com/watch?v=tzr88355d2Y

erlioz: La Damnation de Faust, Op. 24, H 111
ケント・ナガノ - トピック Kent Nagano - Topic
Provided to YouTube by Warner Classics International
長大な楽曲でインデックスが詳細に区分されているので、ここでは、有名なハンガリー行進曲(ラコッツィ行進曲)のみ掲載します。https://www.youtube.com/watch?v=PYCWfUZPrYY


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