「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ベルリオーズ 序曲「宗教裁判官」、序曲「ローマの謝肉祭」
Berlioz: Ouverture "Les Francs-Juges" , "Les Carnaval Romain"


メータ ロンドン・フィル 1993年
Zubin Mehta  London Philharmonic Orchestra

いかすぜっ

録音状態は良い。力強く、色彩的で開放感あふれる演奏で、とっても楽しい。
カップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲、序曲「ローマの謝肉祭」、歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲
 序曲「ローマの謝肉祭」

序曲「ローマの謝肉祭」は、歌劇の序曲ではない。単独の楽曲である。
1838年に初演したオペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」が失敗に終わったので、主要な旋律を引用して単独の管弦楽曲へと編曲しており、アリアの主題と「ローマの謝肉祭」の主題を引用したものである。

序曲の出だしは、同じベルリオーズの序曲「海賊」みたいに、トランペットの威勢の良い音が鳴り響く。
で、そこが一体しずむと、優美なコーラングレのソロが始まる。この主題が、とっても楽しい。
「らぁ〜み〜 そらど れっど そぉ〜み どしらそっ・・・」 パパパ パパパ・・・パッパ パッパ パぁ〜
「どぉ〜 みぃ〜 そぉ〜 み〜」「 そぉ〜そ そし〜ら そふぁ みぃ〜れ どど」
「どふぁ〜みれ れ そぉ〜み ど らそ そふぁれみふぁそらしど〜」
↑ これが、コーラングレの主題である。この主題は、このオペラのアリアだったらしい。

ベルリオーズって、ホント、楽しい出だしで、勢いのある楽曲が多い。
アミューズメントパークなんぞ、当時なかっただろうに、この楽しみ方を良くご存じである。この飛び出し方、冒頭のつかみは、本当に天才だわ〜と、そう思う。
で、おちゃめに飛び出しておいて、なんとも優美で綺麗な主題を提示してくるのだろう〜と、これまた舌を巻いてしまう。
この主題を提示する、すごい変わり身は、歌舞伎を見たこともないだろうに・・・この変わり身も天才なのだ。
で、主題を転調しながら、弦が受け継いでいく。う〜ん。凄い。

それにしても奏でられる音の綺麗なこと、ヴィオラとコーラングレの中音域の柔らかい穏やかな音色、 そして、打楽器が入ってきて、チャカチャカ チャンっと、飾り付けながら、リズムを刻んでいく。 これまた、ニクイ演出である。
光と影と明暗に分けて、底抜けに明るすぎず、暗すぎず、ハートをがっちり、とらえて離さない。
旋律美にかけてはチャイコも素敵だと思うが、この弾むイタリアンな明るさは、やっぱベルリオーズだろう。

また、メータ盤も太い音色で、弦の響きが優美だ。明るくて、色彩的で、キラキラとした金管の音色と独特の華やかな打楽器、タンバリンの鈴のシャンシャンと弾む音で、 とても開放感あふれる響きが、 柔らかく、しなやかな弦と絡んで、色香を放ち、聴いてて楽しいノリノリ感のある楽曲となっている。

そして極めつけは、やっぱりコーラングレの音色だ。ホント素敵な楽器ですねえ。うっとりしちゃう。
コーラングレやコルネットを含めた木管の層が厚いのと、トロンボーンの音色、大太鼓やタンバリンが、シャンシャンやってくれるのが、やっぱ理屈抜きで楽しいですよね。
やっぱり、このメータ盤は、管楽器の豪勢な煌びやかな音でしょうねえ。
そして、これはオケでしょう。ロンドン・フィルの持っている音の華やかさ、開放感が、直接楽しさを振りまいてくれます。
ホント、とっても楽しくて〜 うふふ。

  ミュンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 1994年
Myung-Whun Chung
Orchestre de l'Opéra de la Bastille
(Bastille Opera Orchestra)

う〜ん。どうだろ

録音状態は極めて良い。
カップリング:
1 ベルリオーズ 歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲
2 序曲「ローマの謝肉祭」 3 序曲「海賊」 4〜7 イタリアのハロルド

 序曲「ローマの謝肉祭」

ミュンフンさんの演奏は、ちょっと線が細いかな〜とは思うが、とても軽やかでスピーディである。
コーラングレは、もう少し太めで、歌っていただけた方が嬉しいかもしれないが、弦のフレージングが豊かだ。
それと、すごく軽妙で、尻上がりに音が昇って、ふわっと終わる語尾に特徴があるというか、で、速いっ。
音の繰り出しが速いのだ。
シャッシャシャ・・・と出てきて、シャカシャカ・・・と打楽器が入ってくる。リズムの処理が速くて、コルネットかな、めまぐるしいほどに短いパッセージが入ってくる。
タンバリンの鈴なのか、後方で鳴っているし、気持ちが良い。
残響が幾分多めなので、輪郭線は明瞭ではないが、勢いのあるフレージングで、軽さが生命線って感じの演奏となっているようだ。
彩度の強いコントラストのある演奏ではないので、ヌケるような青空のもとでの舞曲って感じではないが、乳白色系の煌びやかさというのかな〜 派手さは後退するものの、味の濃厚なイタリアンではなく、爽やかなフレンチって感じだろうか。
歯ごたえはないが、ぬめっとしておらず、シャカシャカとした食感が楽しめる。

デュトワ モントリオール交響楽団 1995年
Charles Dutoit  Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



録音状態は極めて良い。楽天的と言われそうだけど、格好良く爽やか。色彩感、躍動感にあふれている。でも、劇的な要素は少なく、意味深長な演奏ではないので、雰囲気に欠ける。これじゃーノー天気じゃん。と言われかねないのだが、まっ ある面、初心者的な聴き方でも楽しいのデワ。

序曲「宗教裁判官」

当CDは、ベルリオーズ序曲集として発売されていたもので、ご機嫌の8曲がたっぷりと収められている。
今は廃盤状態になっていると思うが、え〜なんでぇ〜 こんな楽しくて、良い録音モノが廃盤?
ワタシ的には、超モッタイナイと思う。

1 序曲「ローマの謝肉祭」
2 歌劇「ベンヴェヌート・チェルリーニ」序曲
3 序曲「ウェーバーリ」
4 歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲
5 序曲「リア王」
6 序曲「宗教裁判官」
7 歌劇「トロイ人」〜「カルタゴのトロイ人」前奏曲〜 1993年録音
8 序曲「海賊」 1984年録音

で、このCDには、序曲「ロブ・ロイ」が入っていないのだが、(交響曲「イタリアのハロルド」にカップリングされている )全8曲でトータル75分なので、きっと、はみ出しちゃったのだろう。
他にもデュトワさんの振ったベルリオーズって、「幻想交響曲」、「レクイエム」、「イタリアのハロルド」、オラトリオ「キリストの幼児」、歌劇「トロイ人」、劇的物語「ファウストの劫罰」がCD化されているのだが、今は、廃盤状態のものも あり、ちょっと残念である。

ワタシ的には、この序曲集の存在だけでも嬉しい限り。なんたって、軽快で痛快だ。
軽やかに弾むリズム感と、カラフルな色彩感があって〜ホント楽しく聴ける。え〜 こんな感想を書くなんて、オマエ初心者だろぉ〜って言われても、まあ、まんざら間違ってないし、せっかくこんな楽しい楽曲を聴くのに、しかめっ面して聴けません。
ベルリオーズの序曲集もロッシーニの序曲集も、デュトワさんのタクトは、軽快このうえない。
とっても洒落てて、格好の良い演奏で、運動機能が抜群で爽やかだ。キビキビしててそのくせ、どっかオシャレなのである。
ワタシ的には、デュトワさんの振ったリストの交響詩全集も出して欲しいのだが〜
(↑ 結構、ハマルと思うんだけどなあ〜と、勝手なことを言っている)

さて、この序曲「宗教裁判官」は、オペラとして作曲したが頓挫。そのため序曲のみ残っているが、このストーリーが、ワタシは知らない。深刻なストーリーだったら、マズイのだが〜
先日、シュターツカペレ・ドレスデンを振ったC・デイヴィス盤を聴いたが、比較すると、デュトワ盤は、軽い音作りになっている。
確かにオケが違うだけでも音質は、かなり変わるものだから、仕方ないのだが・・・。
冒頭の思わせぶりなフレーズから、金管までは、カペレが雰囲気抜群なのだ。
「れぇ〜〜 れみふぁ〜〜 ふぁそらぁ〜ららら みぃ〜どらぁ〜」
「そぉ〜〜 そらしぃ〜〜 しどれぇ〜 れれれれ (ら〜ふぁれ)」
「し〜どど どぉ〜しそ みれど らぁ〜しぃ〜(そふぁ〜)  らぁ〜しぃ〜(そぉ〜)」
「しどれみふぁそらしどれ みぃ〜どら〜 れ そふぁみら れぇ〜(シャン)」・・・ この金管は、カペレの方が美しい音色だし、きちんとした音づくりで、ものすごく丁寧で品がある。
ホント、金管のまろやかさは、確かにシュターツカペレの方が良いし、弦の響きはくすんだ響き、劇的な雰囲気は、カペレですよ。やっぱ〜 

しかし、録音状態を比較すると、デュトワ盤の方が優秀だし、ヌケが良いし、シャンシャン鳴っていてかなり華やかである。で、どっちが良いのかと言われても、これ困るんである。
ベルリオーズの暗めのフレーズは、カペレだけど、爽やかで、スイスイ行っちゃうマーチングバンドさながらの軽妙さは、ハハハ、こりゃ比較にならないほど、デュトワ盤の方がノリノリ、躍動感ありなのだ。
「みっみ らぁ〜 みらど どぉ〜し しっし れぇ〜 どしら そぉ〜」
「みっみ らぁ〜 みどみ みふぁ〜 れどれ しぃ〜 れどれ み〜」

ティンパニーの叩き方や、劇のストーリー性は?と、聴かれちゃうと困っちゃうんですが〜
デュトワ盤は、あまり、イミシンな雰囲気、劇的な要素はありません。
でも、ハイ、楽天的すぎかもしれませんが、楽しさにかけては抜群に良いです。
アッハハ〜 初心者的コメントですみません。

C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン 1997年
Colin Davis  Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)



録音状態は 良い。奥行き感があって、奥の方で静かに鳴っている大太鼓が、なかなかの雰囲気を醸し出す。旋律が入れ替わり立ち替わりで、展開の速い劇的な楽曲だが、この変わり身が、よくわかるのと、金管の艶消しした倍音の響きがとっても良い。まず、ワタシは、冒頭でやられました。

序曲「宗教裁判官」

ベルリオーズの序曲「宗教裁判官」っていうのは、オペラとして作曲しかけたものらしいが、未完に終わり、序曲だけが残ったものである。で、当盤は、コリン・デイヴィスが、1枚のCDに序曲集として収録したものである。
カップリングは下記のとおり。

1 序曲「宗教裁判官」
2 序曲「ウェーバーリ」(ウェーヴァリー)
3 序曲「リア王」
4 序曲「ローマの謝肉祭」
5 歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲
6 序曲「海賊」
7 歌劇「ベンヴェヌート・チェルリーニ」序曲(ベンヴェヌート・チェッリーニ)

で、今日は、序曲「宗教裁判官」を聴いてみたのだが〜  結構、金管が活躍する親しみやすい曲である。序奏部分は、弦でちょっと暗めに出てくるが、弦が高みに昇ったところで、すぐにブラスが出てきて勇壮さが出てくる。
「れぇ〜〜 れみふぁ〜〜 ふぁそらぁ〜ららら み〜どらぁ〜」
「そぉ〜 そらしぃ〜 しどれぇ〜 れれれ (ら〜ふぁどぉ)」
「し〜どど どぉ〜しそ みれど らぁ〜しぃ〜(そふぁ〜)  らぁ〜しぃ〜(そぉ〜)」
「しどれみふぁそらしどれ みぃ〜どら〜 れ そふぁみら れぇ〜(シャン)」・・・
と、ずっとメインの旋律を吹いてて、大活躍なのだ。ここだけで、結構聴き応えがある。
この金管の渋いフレーズは、う〜ん。燻し銀って感じなんですけどね。爽やかさとか、ファンファーレとはほど遠く、また、フレーズのキレ目で、シャンっと鋭いシンバルが入っており、どこか、歴史的なワケありの背景を醸し出している。
ふむ。宗教裁判っていう感じ・・・ そうですねえ〜 想像を逞しくすると、異端裁判っぽく鳴っている。
どっか、オリエンタルな音もするんですよねえ。

この序奏の後、弦のスピードが増して、「海賊」のフレーズの一部ぽっく、くるくるっと落としてくる場面もあるし、続いて、マーチングバンドのような軽やかなフレーズもあるし、、、
なかなかに、楽しいフレーズが詰まっている。
弦が爽やかに、「みっみ らぁ〜 みらど どぉ〜し しっし れぇ〜 どしら そぉ〜」
「みっみ らぁ〜 みどみ みふぁ〜 れどれ しぃ〜 れどれ み〜」続いて、フルートが同じ旋律を吹いてて、軽妙なのだ。はぁ〜場面転換が巧い。

このフレーズが終わると、アヤシイ天気に早変わりしていくし。金管が登場すると、いかにも〜って感じの、ドラマ性が高くなるのだ。
フルートの二重奏のフレーズ「そらぁ〜 ふぁ〜み〜れ みふぁ〜 そぉら〜」ってところなんぞ、奥でティンパニーと大太鼓が、そろっと入ってきて、ドンっと怪しげな音を叩くんですが、瞬間的な使い方。
う〜ん。このあたり、幻想交響曲っぽくなっているが、ホント、短いのだ。
また、マーチングバンドのフレーズが挟まってくる。いや〜 展開が早いですよ。約12分半ほどの楽曲だが、この展開のスピード感には、やられてしまう。

幻想交響曲の4楽章って言えば、「断頭台への行進曲」だが、この宗教裁判官のフレーズが転用されているという。まっ 完全に転用されて、そのまま詰まっているワケでもないし、全く違う展開になっているのだと思う。だって、この宗教裁判官は、明るいもん。

「れっれ そぉ〜 れしっそ そふぁ〜 れっれ らぁ〜 しらそ ふぁ〜」
「れっれ そぉ〜 れしっれ れ〜み みどら そふぁそ れぇ〜」・・・と、楽天的に明るい。
最後、金管の倍音の綺麗なこと。
れみふぁ〜 ふぁそらぁ〜と、最初のブラスフレーズに戻ってくるが、そこでも、明るさを放って終わる。

C・デイヴィス盤は、総体的には、奥行きのある演奏だし、厚みがあり、雰囲気がとっても良く出ている。
特に、金管は艶消し状態だが、この艶の消した倍音の響きが、とっても良い。
宗教的であり、イミシンな、深みのある、渋い響きの良さが、まろやかで〜 厳かな雰囲気が、とーっても良く表されているのだ。
序曲「海賊」では、ちょっと渋すぎて〜 冒険活劇風の要素が足らないと思ったけれど、曲目が変わると、渋いつや消し音が、しみじみ〜と響き、また、ちょっとくぐもった空気感と、間合いたっぷりなところが、良さに転じているようだ。うん。宗教裁判官は、とっても満足しちゃいました。
1988年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI  
1993年 メータ ロンドン・フィル Teldec ★★★★
1994年 ミュンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 ★★★★
1995年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★★
1997年 C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン ★★★★★
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