「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ビゼー 組曲「アルルの女」
Bizet: L'Arlesienne Suites


マルケヴィッチ コンセール・ラムルー管弦楽団 1959年
Igor Markevitch    Orchestre Lamoureux



録音状態は良い。とても59年録音とは思えない。
演奏は、紋切り調でクッキリ、ハッキリ、キッパリ〜 怖いぐらいに、派手に切れるところもある。カップリング:組曲「カルメン」
アルルの女 第1組曲
1 前奏曲
「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ そらしらそふぁ みらそふぁ」
う〜ん。のっけから、素っ気ないというか、紋切り口調で、くっきり、ハッキリ、キッパリ。
冷たいこと、このうえなし状態で、愛想のないというか、ブキミというか、怖い演奏である。
この冒頭のフレーズ、確か、ヴァイオリンだよねえ。弦って、ヴィブラートがかかるのが、当然のように思っていたのだが、音に響きがない。
音が発せられているのだが、ひや〜っと伝わってくる。音の幅が無いというか、音の波が感じられないっていうか。ヴァイオリンが、おそらく何名もおられる筈なのだが、う〜 はあ。人の気配が無いっていうか。
木管も、感情がないっていうか、素っ気ない音で、フレーズに山形の曲線が描かれていない。
ひぃ〜 なんで〜 こんなに直線的なのだろう。ノビが全く無いって言うか、遊びの要素がないっていうか。
クソマジメな堅物の裁判官が、表情ひとつ変えず、判決を言い渡しているという雰囲気だ。

2 メヌエット 〜 3 アダージェット
「た〜らったた タッタッタ〜  ら〜っらっら らっらそらみ らっらそらみ どっれみふぁみれ・・・」
な〜んか、しゃくし行儀で、関節が外れたようなメヌエットだ。で、テンポが速い。
ペトルーシュカと間違っているんじゃーないだろうなあ。いや、「死の舞踏」風かな。
愛想のないヴァイオリンのフレーズに、ティンパニーの冷たい響きが合いの手を務めており、うへっ 氷の上で踊っているわけじゃーないだろうに。また、このティンパニーが良く響くのだ。
59年の録音って、嘘でしょ〜という感じで、よ〜く響き、残響の多いこと。
ひ〜っ。弦は響かないくせに、ティンパニーの皮の張りは、緩めなのだろう。
「ふぁ〜ふぁっ ふぁ〜ふぁっ」と、弦の波打ったフレーズの後、甘めのフレーズに変わるのだが、甘いどころか、 メッチャ冷たい。マルケヴィッチさんのコワモテの顔が浮かんでくる。
冷気が漂っているのは、どーしてなんでしょうねえ。
アダージェットは、さすがに甘めで。ゆったり〜 死体が生き返ったように感じる。
で、柔らかく変貌している。
すーっと秋風の漂ってきたケーゲル盤とは違って、春が来そうな雰囲気がある。ほっ。
フレーズは、少し短めに区切っており、弱音部分は、冒頭の紋切り調のヴァイオリンとは別人のよう。

4 鐘(カリヨン)
「らふぁそ らふぁそ らふぁそ・・・」
「ど〜そらそふぁ〜ど れみふぁらそみど ど〜そらそふぁ〜ど みふぁらそみど〜」
几帳面っていうか、無表情っていうか、1音目は確かにボリュームを持たせているが、決して、踊れるようなワルツではないし、楽しさとか明るさとは、ご縁がない。
結婚式風カリヨンでもないし、葬式風カリヨンとも違うし、風に揺れて几帳面に繰り返しているだけのような感じがする。
フルートの音色もなあ。物悲しいし、目の前に美しい風景があっても、目には風景が映っていないような、そんな虚ろな風情になってしまっている。楽曲へのアプローチが、そうするのか、指揮者の個性が、こんな演奏になっているのか。う〜ん どうなんでしょ。
やっぱ虚無感が広がってるねえ。フルートに、オーボエの音が、メチャ悲しい。
ヴァイオリンも音の響きや、残響が、ほとんど無いって感じなのだ。
カリヨンって言うけれど、鐘が鳴っているのではなく、風のように、音に響きが無いのがなんとも。
鐘って、残響が良いんじゃーないのかい。えっ。そうでしょ〜 
厚みのある金属音 打てば響くじゃん。打ってはいるが、心に響かんぞ。オブリガート、無窮動でも、同じフレーズを繰り返すと、段々と熱くなってくるモノだと思うのに、あ〜 どーしてなのさ。
どうして響かないんだ〜 どーなっとるんじゃ。

アルルの女 第2組曲
1 パストラーレ  2 間奏曲
「どっ ふぁっ〜ふぁ〜 ふぁっ〜ふぁ〜」 この冒頭は、明るい色彩が入っている。
1音目にアクセントがついてて、文字で書くと、ぱっ ぱ ぱぁ〜あ〜 というノビの部分もあり。
このフレーズは、ラムルー管らしくなっている。
「し〜 どれふぁそ ら〜し〜 どれふぁそ ら〜しれそふぁ みれ どれど〜 そらしど〜」
金管の和音は美しい。美しいってたって、色彩的には渋い。
でも和音として、綺麗にまとまって聞こえている。
なんとも不思議な重さで、すげ〜重いという雰囲気ではないし、渋くてたまらん。というほどには渋くないし。へんてこりんな光のあたり方である。なんとも変な旋律だなあ。明るいのを無理して暗くしているような、風変わりなフレーズだ。とっても、素直とは思えない。変わっている。
金管の音色は、まずまずで、わりとラテン的に聞こえる。クラリネットかオーボエなどの木管が、下降線をたどって、また冒頭に戻っていく。はあ。変なフレーズの再来なのだ。
中間部は、マルケヴィッチ盤では、ピッコロの存在が目立っており、甲高い音が奇抜である。

3 メヌエット
「らっ ら〜そ ふぁそらし どらふぁどら〜 そそら そふぁみれ どみそみど〜」
ようやく、まともな耳慣れたフレーズになる。
明るいフルートではない。楽しげでもないし、開放感があるものでもない。う〜ん。抑えて、端正には鳴っているが、小鳥のようにさえずるわけでもなく。う〜 モノタラン。
「ららし〜っ どっ どしらふぁみれど・・・」 
ここだけ、気分転換のように厳かになってはいるが、バロック的に響いているっていうか、神経質なんだろうか。慎重っていうか。恐る恐るという〜音の置き方になっている。
のびのび〜 どーして吹いてくれないのだろう。これじゃー ストレスが溜まるわ。
この間奏曲は、どんより曇り空風である。

4 ファランドール
最後の締めとして、「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ」
第1組曲のフレーズが再度登場 では、こりゃ 軍隊か。というほど激しい。トランペットが明るい音色を出してて、色彩が出ている。これで、ようやく普通の音の響きと明るさだと思うんだけどねえ。
紋切り口調ではあるが、弦に明るさがやどり、
で、「れみふぁそ ふぁみれど れみふぁれ み〜」 遠くから木管が鳴り出した。
ヴァイオリンが、小声で「れぇ〜 し〜ぃ」 この音は何だろう。どんな風に弓をあてているんだろ。
ひ〜っという風を切る音を出してくる。
テンポが、めちゃめちゃ 速くなってきて目が回る。ひ〜 熱いっ。
で、ようやく最後になってきて、ラムルー管だよなあ。マルケヴィッチ盤だよなあ。道理で熱いっ。と思った途端、終わりました。

マルケヴィッチ盤を聴いて、「アルルの女」って、現代病のような楽曲だなーって思うようになった。
鬱病的っていうか、妄想的っていうか。素人なので、病名はつけられないのだが〜
私的の勘なのだが、こりゃ。心の病にかかった人のような楽曲だなあ。って思うのだ。
フレーズが単純なわりには、音が不安定であること。
調が明るいところと暗いところが、混じり合ってコロコロ変わり、安定しづらいこと。
明るい筈だと思うフレーズなのが、明るくなりきれず、暗く転じており、素直じゃないこと。
いきなり激しく、切れた感じで激昂して踊りはじめ、最後、やっぱり、キレテしまうことなど。

どこが、どーだから、心の病にかかったような楽曲に感じる。とは明確には説明しづらいのだが、どーも変なのだ。誰の演奏が、どうだから、こうだから〜というより、やっぱ、楽曲が変なだろうと思う。
そういったんそう感じてしまうと、う〜ん。聴きたくない。病が伝染しちゃって、もらいそ〜。やだな〜と思う。
デュトワ盤を聴いていたら、まあ。その点は、安心だろう。
ケーゲル盤とマルケヴィッチ盤を聴いてしまったから、そんな風に感じちゃうのかもしれない。
デュトワ モントリオール交響楽団 1986年
Charles Dutoit    Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

録音状態は良い。楽曲自体を理解していなかったもので、めんくらってしまった。演奏は楽天的だが、この方が良いかも。
カップリング:組曲「カルメン」
子供の頃に聴いて以来、ずーっと聴いていなかった曲である。
南欧の陽気なフレーズだろうと思いこんでいたが、「アルルの女」について、ストーリーを改めて調べると、仰天してしまった。

以下・・・Wikipedia ウィキペディアより引用
アルフォンス・ドーデの戯曲。その上演のためジョルジュ・ビゼーが1872年に全27曲の付随音楽を作曲しており、ここから編まれた2つの組曲が広く知られている。
南フランスの豪農の息子フレデリは、アルルの闘牛場で見かけた美女に心を奪われてしまった。
フレデリにはヴィヴェットという許嫁がいるのだが、彼女の献身的な愛もフレデリを正気に戻すことはできない。日に日に衰えていく息子を見て、フレデリの母はアルルの女との結婚を許そうとする。
それを伝え聞いたヴィヴェットがフレデリの幸せのためならと、身を退くことをフレデリの母に伝える。
ヴィヴェットの真心を知ったフレデリは、アルルの女を忘れてヴィヴェットと結婚することを決意する。
2人の結婚式の夜、牧童頭のミチフィオが現れて、今夜アルルの女と駆け落ちすることを伝える。
物陰からそれを聞いたフレデリは嫉妬に狂い、祝いの踊りファランドールがにぎやかに踊られる中、機織り小屋の階上から身をおどらせて自ら命を絶つ。(Wikipedia ウィキペディアより引用)

なんと、悲劇だったのだ。で、劇中に「アルルの女」という人物は登場しないらしい。
へえぇ〜 ビゼーと言えば、歌劇「カルメン」が有名なので、「アルルの女」も、てっきり歌劇だと思いこんでいたのだが・・・これは劇付随音楽だった。全27曲中、4曲のみ本人が選曲しており、これが第1組曲。
後日、友人のギローが選曲したものが第2組曲となっている。

アルルの女 第1組曲
1 前奏曲
「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ そらしらそふぁ みらそふぁ」
「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ そらしらそふぁ ふぁみれ〜 みみっふぁ〜・・・」
このフレーズが、テンポを変え、変奏曲のように奏でられていく。
中間部では、行進曲のようになっているが、繰り返して使われるモチーフなので、一度聴いたら忘れない印象的なフレーズである。
しかし、こんなに悲しげな旋律だったとは。思いもよらず、、、意外だった。
デュトワ盤では、その哀しみ、悲しげな雰囲気は、あまり漂ってこないが〜 デュトワ盤では、きれめなしに〜 とろみたっぷりに仕上げてくれている。このフレーズの膨らみは、う〜ん さすが。

2 メヌエット〜 3 アダージェット
「た〜らったた タッタッタ〜」 舞曲風に、弦が軽やかに踊り始める。
ブンチャッチャ〜のリズムで、木管のフレーズが美しい。
弦がユニゾンのように「ふぁ〜ふぁっ ふぁ〜ふぁっ」と、力強く弾いたのち、甘いフレーズに変わる。
甘いような悲しいような、不思議な感覚だ。ストーリーから受ける盲目的な愛情表現ではないし、燃え上がる感じもないし。純朴な青年をコミカルに仕上げているわけでもないし。
う〜ん。どんな場面に使われたのだろう。
続く、アダージェットも、かなり短い楽章で場面転換に使われたのだろうか。幻想的なフレーズになっている。思い出を綴ったような、ふわーっとした フレーズで、回顧しているイメージだ。

4 鐘(カリヨン)
これは、文字通り冒頭より鐘が鳴っている。
ホルンで、「らふぁそ らふぁそ らふぁそ〜」と鳴るなか、ヴァイオリンの旋律が、優美で華麗に奏でられている。ああ これが結婚式の場面なんだろうねえ。
「ど〜そらそふぁ〜ど れみふぁらそみど ど〜そらそふぁ〜ど みふぁらそみど〜」
ただ、この主題が終わると、フルートの和音が奏でるフレーズは、憂いに満ちている。
デュトワ盤では、底抜けに陽気になれない悲しみを感じる。陰影のつけかたはソフトで、決して鋭くないのだが、底に悲しみが張り付いているのだろうか。再度、カリヨン(鐘)が鳴り始める。
アルルの女 第2組曲
1 パストラーレ
「ふぁ〜 ふぁ〜 し〜どれ ふぁそら〜 し〜どれふぁそら〜し〜れそふぁみれ どれど そらしど〜」
牧歌的と言えば牧歌的なのだが、半音のあがりさがりが変な感じを受ける。
テンポは、まるで牛の歩みのように遅い。不思議な楽曲。

2 間奏曲
「ふぁ〜みどら〜しど れ〜み ふぁみふぁそらふぁ〜みれ」
くら〜っい間奏曲で陰鬱に満ちている。この第2組曲は、暗い旋律ばっかり集めてるのかなあ。
中間部は、神の子羊と呼ばれるフレーズだ。
「ら〜しられ〜どふぁ ふぁ〜みふぁ そ〜らそ〜 し〜らふぁれ〜どらそふぁ ふぁみふぁ みれど」
「ふぁ〜そふぁ ら〜しどみれ ら〜しどれど しらそ そーらしふぁ らしどら れみふぁそ そ〜」
なんとも、悲しみを押し殺した歌曲風のフレーズである。でも、どこかコラールになっており、教会で歌われる讃美歌のようなイメージだ。素朴ながら美しい。

3 メヌエット
フルートで奏でられる有名な旋律 「らっら〜そ ふぁそらし どらふぁどら〜」
アルルの女って言えば、これしか知らない。って状況だが、中間は舞曲風なので聞きやすい。文字どおりメヌエットなので軽やかである。
 
4 ファランドール
最後の締めとして、「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ」第1組曲のフレーズが再度登場する。
2つのフレーズが、交互に登場するのだが、これが綺麗に渦巻いて、高揚していく。
単純って言えば単純なのだが〜 この太鼓と金管のオブリガートが効いている。
デュトワ盤は、陽気で流麗な面が出ているものの、ビゼーの楽曲は思いのほか、暗かった・・・。
デュトワ盤は、楽天的と言われそうだが、むしろ、この方が健康的で良いかもしれない。
ヘルベルト・ケーゲル ドレスデン・フィル 1986年
Herbert Kegel    Webpräsenz der Dresdner Philharmonie
(Dresden Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。透明度が高く、全体にひんやり〜。
カップリング:ビゼー「カルメン」から1〜4幕の前奏曲、「子供の遊び」1987年
アルルの女 第1組曲
1 前奏曲
「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ そらしらそふぁ みらそふぁ」
冒頭から、しっかり、きっちり弾かれていて、ひんやり〜とした空気感が漂う。
テンポは幾分速めで、デュトワ盤と違って、とろり〜としたところがなく、爽やかというか、秋風がすーっと通っていくような涼しげな雰囲気。
南欧のイメージから遠く、スカンジナビア半島に飛んだみたい。一瞬、ペール・ギュントかと思ったほど。
「れっられーみ ふぁみふぁれ らー」と、かなり歯切れ良く、チャカチャチャーンと合いの手の入るブラス部分なんて、まるで軍隊なみ。えっ ミリタリー調かあ? あのぉ〜これ、行進曲じゃーないんだけど。

2 メヌエット〜 3 アダージェット
「た〜らったた タッタッタ〜」 舞曲風に、弦が軽やかに踊り始める。
ブンチャッチャ〜のリズムが、しっかり粘りながら、きっちり小股が切れ上がった感じで仕上がっている。
また、ティンパニーの響きが、よく聞こえて歯切れも良い。よく響くティンパニーで、ちょっと暖かいメヌエットというよりは、クールだ。
「ふぁ〜ふぁっ ふぁ〜ふぁっ」と、弦の波打ったフレーズの後、本来、甘いフレーズに変わるのだが、甘いどころか、ひんやりしてくる。確かに甘めなのだが、情感たっぷりとは歌わない。それも、段々とフレーズが重なってくるほど、つめたーくなってくる。
続く、アダージェットには仰天させられる。
デュトワ盤でも幻想的には感じたのだが、ケーゲルで聴くと天上の音楽に早変わりしており、誰かが言っていたように、マーラーの5番のアダージョに近い。弱音でフレーズの切れ目がわからないほど、弦が繋がって、息のながーい延々とした旋律になっている。

4 鐘(カリヨン)
「らふぁそ らふぁそ らふぁそ〜」と几帳面に鳴っていく。そのなか、ちょっとクールな、ヴァイオリンの音色が重なっていくのだが、優美で華麗〜という言葉より、低音のリズム感が強く、メトロノーム的なリズム感が強い。
せっつかれたようなミリタリー風だ。で、主題が変わるとフルートの音色が、メチャ沈んでて、婚礼の場からいっきに、憂いに変わる。えっ ブルーマリッジか?
なんだか楽しいのか、憂いが占めているのか、将来の不安感に怯えているのか。 
弦のアンサンブルはみごとだが、抑揚があまりないため、クールに響くようだ。で、弱音の美しいこと。
カリヨンが弱々しく響き、ティンパニーの響きで終わる。

アルルの女 第2組曲
1 パストラーレ
この出だしは、本来、牧歌的な筈なのだが・・・ 冒頭の「ふぁ〜ふぁ ふぁ〜ふぁ」で、のけぞってしまった。
「ふぁ〜ふぁ〜 ふぁ〜ふぁ〜 し〜どれ ふぁそら〜」
アルプス交響曲でもないんだけど、山に木霊しているような金管なのだ。
「し〜どれふぁそら〜し〜れそふぁみれ どれど そらしど〜」
なんだ〜これっ。超スローテンポで重々しい。重々しすぎる。葬式じゃーないんだから。と思いつつも、牛の歩みのような、ちょっと田舎風だけど、充分に、荘厳にした葬列のようだ。
中間部分は、フルートが、もの悲しくも素朴なフレーズを奏でる。
再度、主題が繰り返してくるところで、ついにたまらず、滑稽すぎて笑ってしまった。何をイメージしたら良いのやら。頭がこんがらがっているが、笑えてしまったものの、響きはやっぱり美しい。
ハープの音色もよく響いているし、ひんやりしてるものの、まるみを帯びる残響も美しい。

2 間奏曲
「ふぁ〜みどら〜しど れ〜み ふぁみふぁそらふぁ〜みれ」
あのとろとろ、テレテレとした、デュトワ盤でも、くら〜っい間奏曲で陰鬱に満ちていると思ったぐらいだ。
で、案の定、ケーゲルで聴くと、美しいのだ、美しすぎる。
「ら〜しられ〜どふぁ ふぁ〜みふぁ そ〜らそ〜 し〜らふぁれ〜どらそふぁ ふぁみふぁ みれど」
「ふぁ〜そふぁ ら〜しどみれ ら〜しどれど しらそ そーらしふぁ らしどら れみふぁそ そ〜」
確かここは、サクソフォンとホルンだと思うのだが、ん? これ、トランペットで吹かせてるの?
え〜っ何の楽器だ? 高くのびる音を聞くと、トランペットに間違いないとは思うが・・・。
で、厳かにさえ感じられて、頭が自然と垂れてくるのだが、通俗的すれすれような気もして、ここだけでの単独で聴いても、充分に不思議な感覚となり、聴き応えがある。

3 メヌエット
フルートで奏でられる有名な旋律 「らっら〜そ ふぁそらし どらふぁどら〜」
透明度が非常に高く、凍り付いたような張りつめたなかで、フルートが奏でられている。
メヌエット、舞曲いう動的なモノが感じられないんだが、静かに絵画を見ているような感じだし、遠い目で景色を見ているかのようだ。
 
4 ファランドール
最後の締めとして、「れっられ〜み ふぁっみふぁれ〜ら〜ふぁ」という、第1組曲のフレーズが再度登場している。
躍動感のある弾みと、えっ と思わせる長めのレガートの対比が、すごい極端に奏でられている。
この2つの潮流が、渦潮的になってて、海の底にひきずり込まれそう。
ぎゃ〜っ このオブリガートは、シンプルに見えて強力だ。これが長く続けば、ぐったりしてしまうだろうが、ありがたいことに短い楽章なので・・・。ほっ。

決して、高揚させる演出タップリの演奏じゃないのだが、それが逆にクールに作用してて、結構面白い演奏になっている。天の邪鬼的と言えば天の邪鬼。
そもそも、さほど聴いてこなかった楽曲なので、えらそうには言えないが・・・。一般的に演奏されているパターンとは、ちょっとひねりの効いた、逆バージョン的発想で、エンターテイメント性は皆無。
ストーリーを知ったら、はあ。それもそうだなあ〜と納得するのだが、それを知らなかった無知で、単純ノー天気だったのは私の方だったわけだ・・・。
単に、イメージとして持っていた南欧の明るさ、陽気さ、きっと〜 明るくて元気なんだろう的なところは、正さねばならないのだが、結構、複雑な心境に・・・。
セミヨン・ビシュコフ パリ管弦楽団 1993年
Semyon Bychkov    Orchestre de Paris

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。パリ管のビゼーだから、もう少しカラフルかと思っていたのだが、意外とさっぱり。奥行き感というか、広がり感が少ないので、狭くて重苦しい。
ストーリーが男の破滅だからなあ〜 これでも良いのかもしれないけれど、う〜ん。どうでしょ。カップリング:組曲「カルメン」、アルルの女 組曲
アルルの女 第1組曲
1 前奏曲
「れっら れ〜み ふぁっみっ ふぁれ ら〜ふぁ そっら しらそふぁ みっら そふぁみふぁ」
「れっら れ〜み ふぁっみっ ふぁれ ら〜ふぁ そっら しらそふぁ ふぁっみっ れ〜」
冒頭のフレーズは、わりと細切れフレーズになってて、きっちりしているとは言うものの、寂しげな感じがする。幾分、素っ気ない感じで、紋切り調ではないものの、カシカシ カシカシ系のフレージングだ。

このアルルの女は、ワタシがとっても勘違いしてて〜 とろり〜っと甘い恋心を歌ったものだと思っていたのだが、恋いに狂った男の破滅物語である。
そう思うと、この冒頭、イメージが一転してしまうのだが、なんとも、悲しげで、怖いほど空虚な、悲劇の幕開けだよなあ〜って感じがしてきて、ビシュコフ盤の出だしから、一気に引き込まれてしまうのだ。
で、有名な主題の繰り返しで、打楽器が入ってくると、一気にミリタリー調になっており、ケーゲル盤ほどではないものの、かなり、ひんやり、一途な思いが籠もっている。
とっても有名な3人の王の行進は、なんとも、虚無感漂う後味の悪い音を残す。
サクソフォンの音色は、甘みがあるものの、なんとーも、寂しさが漂ってきて、劇の雰囲気が、フレージングのなかで生まれてくる。

2 メヌエット〜 3 アダージェット
軽やかな舞曲だが、あまり粘らず、さら〜っと演じているが、なんというか、空気感というか、間合いが巧いというか〜
劇の持っている空気感が感じられる。
「ふぁっふぁふぁ しぃ〜ら ふぁっふぁふぁ しぃ〜ら」と、ささやくようなフレーズも、さりげない〜 柔らかい弦の歌わせ方が巧い。雰囲気があるのだ。
フルートとハープの柔らかい、ふわっとしたフレーズも、空気を含んでいる。録音状態に、奥行きがないのだが、それでも、膨らみ感を持たせている。

4 鐘(カリヨン)
「らふぁそ らふぁそ らふぁそ〜」と、鐘が鳴っているのだが、う〜ん。
なんて奥行きのない、平板な録音なんだろ。
目の前で、らふぁそ らふぁそ らふぁそ・・・と繰り返されているのだが、気持ちが悪いほどに、真っ平らな状態の録音である。
ペタンっと一辺倒に弦も、ホルンも、木管も並んでいるかのような録音なのだ。
えーっ なんか変だ。この録音? 残響が無いっていうか、ホルンの音色が、音符の形そのままに切り取られたように鳴ってくるので、立体感がない。
ホールの奥から響くという三次元の世界から、二次元の世界に作り直されたような音で〜 あれまっ。
こりゃ だめだ。
ティンパニーの音も、全ての音が、それぞれ目の前で叩かれているようで、頭がこんがらがって音が濁る。

アルルの女 第2組曲
1 パストラーレ
冒頭の「ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜」という、金管が、重く響く。
奥行き感が、あまり感じられないので、狭い世界だ。
続いて、木管が木霊のように鳴り出すのだが、イマイチ、牧歌的な世界は感じられない。
音が重苦しく、カッチリしてて、締め付け感があるというか。木管の音色も、目の前で吹かれている感じがするので、少々きつい。

2 間奏曲〜メヌエット〜ファランドール
この「ふぁ〜みどら〜しど れ〜み ふぁみふぁそらふぁ〜みれ」というフレーズは、淡々と歌うのだが、フレーズに膨らみ感があり、間合いの美しさと、弦の表情は豊かだ。
フルートの音色の優しいメヌエットだが、ハープが、ちょっぴり暗く寄り添っている。
フルートの抜けが良くないのと、ハープとのバランスが、悪い感じがする。

清潔感のある、すがすがしい感じや、伸びやかさには、少々もの足らない。
活気がないというか、う〜ん。どうなんでしょ。空気が重いねえ。

通俗的とさえ言われているポピュラーな楽曲だけに、心地よさはないし、あまり満足できない。
弦の表情は良いのだけど、いささか、フレーズの切れが細かく細分化されている。
これは、この曲を舞曲として意識したものなのか、通常からフレージングが短めなのかは、よくわからないが、テンポ良く進むものの、やっぱ紋切り的だ。
ドイツくさい演奏より、色彩が明るめかな〜と、パリ管のCDを買い求めたのだが、色彩感には乏しい。
それと、空気が狭くて重い。
せっかく、明るいトーンと、伸びやかさを期待していたのだが。
かなり音が重くて、う〜ん。なんだか中途半端で、抜けきらない。
最後、ファランドールで、一夜漬けの追い込み状態で、熱っぽく演奏されるのだが、う〜ん。
なんか、とってつけたみたいで・・・ ワタシ的には、だめでした。
 
1959年 マルケヴィッチ ラムルー管弦楽団 Ph ★★★★
1974年 レーグナー ベルリン放送交響楽団 DS  
1986年 デュトワ モントリオール交響楽団 ★★★★
1986年 ケーゲル ドレスデン・フィル BERLIN Classics ★★★★
1993年 ビシュコフ パリ管弦楽団 Ph ★★★
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