「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 ブルッフ スコットランド幻想曲
Bruch: Scottish Fantasy, for violin & orchestra


チョン・キョン・ファ ケンペ ロイヤル・フィル 1972年
Chung Kyung-wha(Kyung-Wha Chung)   Rudolf Kempe
Royal Philharmonic Orchestra



録音状態は良い。切々と歌われて、胸につまってしまって〜
なんて悲しくて、切ないんだろ〜って、うぐぐっ。ものすごく、ウチに入った演奏だ。
カップリング:ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番、スコットランド幻想曲

序章 グラーヴェ
「みぃ〜みっ みぃ〜 み〜っふぁそ そら みぃ〜 みぃ〜 れ れ れ〜 どぉらし〜 し〜み〜」
「しぃ〜〜そらし し〜み み ふぁそ そぉしみ〜 しそみ れ〜み どぉ〜どしど し〜」
出だしの音が、ぱらり〜っと揺れる。
音が揺れて、いや〜ワタシの耳が悪いのだと思うが、ホルンと弦、ハープが混在してて、息の深い拍がわからないような流れがある。
まるで、ぱらり〜っと髪がほつれ、うちひしがれているようなメチャ暗さがある。
で、足元が見えず、よくわからないような、オケの鋭い咆吼があり、ぽっかり穴が開いたような絶望感。
深淵を覗いているような、鋭さがあって怖い。
テンポは、ゆったりとしてて、ずぶずぶ〜っと沈む。
「そぉ〜〜 れみふぁ〜 ふぁ〜し しれれ ふぁ〜しぃ」
切れ目のないフレーズに絡み採られてしまうようで、思わず引いてしまうほど、ヤダだな〜って思う。
ケンペさんのオケも、なかなかに鋭くてエッジが効いている。
もちろん、チョン・キョンファさんのヴァイオリンも、デビューまなしの頃の演奏で、キレもあるし、悲しみが詰まっていて、切々としている。

1楽章
柔らかく牧歌的なフレーズに変わって、ほっとひといき。
「ふぁ〜〜 ふぁそらし そらし れ〜ど ら ふぁ〜そぉ どぉ〜」
「らぁ〜ふぁ ら〜ふぁ れぇ〜み そふぁみふぁ ふぁそ」
「らぁ〜ふぁ ら〜ふぁ れぇ〜み そふぁみふぁ ふぁそらぁ〜 そ〜どぉ〜どぉ」
「どしらそふぁれどらどし そぉ〜ふぁっふぁ〜」

続いて、ヴァイオリンのソロで歌われる。
「ふぁ〜ど れ〜ふぁっそ そぉ〜ふぁそら〜 ふぁ〜どれ〜ふぁっれ どら らぁ〜そ」
「ふぁ〜そら〜 しららど らそふぁ〜」
キョンファさんのヴァイオリンは、歌謡風フレーズが、大変、解りやすいフレーズになっている。
あっ そうか。と思う感じの拍感覚があって、しっくり感がある。
以前聴いたとき、なーんか変なフレーズだなあ。とらえどころが無いような、変な感じがしていたのだが、いや、ここのフレーズは、しっくり馴染みました。
まっ 音を追いかけて、ここに書くのは、とーっても難しいんですけど。(苦笑:書けないですね。)
昭和の時代 いやもうひとつ、世代が遡るかもしれないような、歌謡風フレーズだ。
東洋人の底辺に持っているDNAのような、くすぐられる感じがして、ほろり〜。

2楽章は、明るくて華やか。歌謡風フレーズから離れて、いつも聴いているようなクラシック音楽という感じがして、3拍子の舞曲が楽しく聴ける。
細いがしっかりと張った音で、「そっ しぃ〜 れっ ふぁら〜〜」
ヴァイオリンの高音域の張り具合の強さ、オケの持っている明るい音質が、面白い。
ヴァイオリンのフレーズでは、ころころと、小節がまわってくる、シャープさは少なめ。
その変わり、高音域のノビかな。コロコロ感は少なめだが、すわーっと、喉を鳴らしている。
まっ この楽章では、オケが元気だし、木管の方が面白いかも。

総体的には、しっとりと、物悲しく、ロマンティックでもあるのだが、暗さを引きずっている。
確かに旋律自体が持つ甘さもあるのだが、ヴァイオリンに切々と歌われると、うぐっ。
胸が詰まる。圧迫感を感じるぐらいに、ぐっと、胸につまされる。

オケの方が甘いフレーズを、たっぷり気味にアプローチしてくるのだが、どうやら、この乙女は、底知れぬほどに悲しいらしい。この切々の間合いが、なんとも言えない。
拍感覚が、普通の楽曲とは、ちょっとずれちゃう感じがする。しかし、このずれ感が、なんとも言えない歌謡風フレーズを、ますます悲しいものにしてしまう。
単なるスコットランドへの郷愁というより、これは、心情が表れてて〜 ぐっと詰まる。

4楽章の楽しいフレーズに入ると、ようやく、安心・・・。
ヴァイオリン 「らぁ〜らっら らぁ〜ど そぉ〜そ そ〜し  どらそふぁ ら〜そ ふぁれ〜 れぇ〜どどぉ」 
オケ 「ふぁ〜ふぁっふぁ ふぁ〜ど そぉ〜そ そ〜し  どらそふぁ・・・」と、同じフレーズを奏でる。
この楽章は、ハイ、やっぱ、キョンファさんのテクは、鋭いな。って思う。
独特のアクは、ここでは少なめだが、それでも、たっぷりと歌う。
単に甘かったり、爽やかだったり、草原のイメージがするとか、ハイランドの風景が広がっている。とかは、あまり感じないし、風景のイメージはあまり湧かない。
描写的ではない。アッサリ風味で描かれたものではない。
なんだか、風景描写に留まらず、ずーっとそこを通り越して、自分を押し込めてしまうような、精神的な強さと脆さが見えそうで、怖いような、悲しいような。

オケの方が、甘さを求めているようだが、ヴァイオリンの方は、内面に押し隠した悲しさが、ほろり〜ほろり〜っと出てくるようで、、、うぐっ。オケは、そこそこ勇壮感もあって、広がりを見せるのだが、ヴァイオリンは、外に向かって出て行けない。ウチにウチに向かうような、悲しさがあって・・・。
ちょっと悲しすぎないかなあ。うぐっ。泣かせられる。
サルヴァトーレ・アッカルド  マズア   ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1977年
Salvatore Accardo   Kurt Masur
Gewandhausorchester Leipzig



録音状態は良い。もう少しクリアであれば文句なし。すきっとした端正な演奏で繊細。女性的で、すわーっと悲哀の漂うフレーズを奏でてくる。
カップリング:ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番〜3番、(1番と2番77年録音)スコットランド幻想曲(77年)、セレナード(78年)

カップリング:ブルッフのヴァイオリン協奏曲全集として、2枚組BOXになっているもの。ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番、2番、3番、ヴァイオリンと管弦楽のためのセレナード、スコットランド幻想曲

ブルッフは、まずは、ヴァイオリン協奏曲の第1番。
で、このスコットランド幻想曲は、タイトルは良く耳にしていたのだが、実は、あまり聴いたことがなかった。
正式には、「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴ったヴァイオリンのための幻想曲」という。短いながらも、スコットランド幻想曲は、4楽章に分かれており、そして、序奏部分が設けられている。

序章 グラーヴェ
「ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜 ふぁ〜そら〜そられ〜 ふぁ〜みれど どぉ〜らし〜 し〜み〜」
ホルンと弦、ハープ付きで流れてくるのだが、メチャ暗くて、新月の夜海岸の縁に立っているような悲しさがある。アッカルドのソロヴァイオリンが入ってくる。
「し〜 そら しぃ〜み みふぁそそしみ〜 しそみ れ〜みど〜らし〜」
ティンパニーの打音と共に、悲劇的、悲哀の籠もったフレーズが詰まって出てくる。テンポはゆったりとしてて、沈み込んでいく。
このスコットランド幻想曲は、スコットランド民謡をベースにした旋律なのだそうで、スコットランドの詩人ロバート・バーンズ(Robert Burns)やジェームズ・ジョンソン(James Johnson)が編纂したスコットランド民謡集から採られたものらしい。

1楽章
柔らかく牧歌的なフレーズが、まずハープとフルートと弦楽で奏でられる。
序奏から続けて演奏されており、物思いに耽っているようなフレーズだ。
録音状態は、まずまず。もう少し、ハープがクリアーに入ってくれたら、メリハリがついていただろうに。
「らぁ〜ふぁ ら〜ふぁ れぇ〜み そふぁ らしど」
「らぁ〜ふぁ ら〜ふぁ れぇ〜み そふぁみふぁ ふぁそらぁ〜そ〜どぉ〜」
「どしらそふぁれどらどし そぉ〜ふぁ〜ふぁ」

続いて、ヴァイオリンのソロで歌われる。
「ふぁ〜どれ ふぁそ そふぁそら〜 ふぁどれ〜 どららそ」
ヴァイオリンの二重奏のように奏でられており、抒情的で、懐かしい古い民謡だな〜っていうのが解るし、シンプルなフレーズだが、ノビのある小学校唱歌を聴いている気分になる。
で、古いスコットランド民謡から、アレンジされ取り入れられているとのことだが、原曲は、よく解らない。
「Auld Rob Morris」年老いたロブ・モリス という曲か、「Through the Wood Laddie」スルー・ザ・ウッド、ラディーという曲かと言われているそうだが、ワタシ自身聴いたことがないので、わかんない。
しかし、物悲しくも美しいメロディーだから、親しみやすい。

2楽章は、3拍子の舞曲で、これも、ソロ・ヴァイオリンが旋律を歌う。
「ふぁっそ らぁ〜 ふぁっそ らぁ〜」「ふぁ〜そ らっふぁっみれみ〜」と、低弦の強い勇壮なフレーズが流れ、舞曲で、「どぉ〜れ みっどしら みっらっら しっどっら〜」
この曲は、「Dusty Miller」 「粉まみれの粉屋」という曲を元にしているらしい。

3楽章は、「I'm a Doun for Lack O'Johnnie」「ジョニーがいなくて、がっかり」を、元にしているらしい。
「らぁ〜みふぁ〜ら し〜らしどぉ〜  れぇ〜ら しぃ〜れ み〜れみふぁ〜」
大変親しみやすいフレーズで、とても可愛いし、ハープが入っており、ニクイ演出で乙女チックに歌う。
「ふぁ〜 しぃ〜ら そ〜らし ど〜らふぁ そらしぃ〜らそ〜ふぁ ふぁしぃ〜」
執拗なぐらい、このフレーズを繰り返すが、これがまた物悲しいし、切々と歌われて、うぐっ、涙。

4楽章は、「Hey Tuttie Tattie」は、 ロバート・バーンズの「Scots wha hae Wallace bled」(ウォレスとともに血を流したスコットランドの民よ)という曲が元になっているらしい。

ヴァイオリン 「らぁ〜らっら らぁ〜ど そぉ〜そ そ〜し  どらそふぁ ら〜そ ふぁれ〜 れぇ〜どどぉ」 
管弦楽   「ふぁ〜ふぁっふぁ ふぁ〜ど そぉ〜そ そ〜し  どらそふぁ・・・ 同じフレーズを奏でる。
ヴァイオリン 「どぉ〜どっど どっれふぁ〜 どぉ〜どっど どっれふぁ〜」
「れ〜ふぁ れっど れみふぁそ らどぉ〜 そらふぁ〜」
これが主となる歌である。
ここから、変奏曲のように走っていくのだが、主となるフレーズは、執拗なぐらい、しゃがれたこえで、切々と歌いきる。
ホント、スコッチウィスキーを飲み過ぎて、声をつぶしたような、しゃがれた男の歌ですねえ〜
聴きようによっては、バーボンウィスキーのようにも聞こえちゃうが(笑) アイリッシュ いや、スコットか・・・。
女性の歌も聞こえてくるものの、底辺で歌われているのは、力強い、騎士道精神みたいなモノかな。
子どもの頃に読んだウォルター・スコットの「アイバンホー」に出てくる格好良い、黒騎士を思い浮かべてしまった。
分厚く力強いフレーズなのだが、アッカルドさんのヴァイオリンは、女性に焦点があたっているようだ。
ヴァイオリンの音が、とっても繊細だけに、この力強い勇士を励まし、また、思い出しては懐かしむ。
そんな気分になってしまった。

まっ、スコットランドの民謡は、ここでご紹介しているスコットランド幻想曲だけではなく、ベルリオーズの序曲「ロブ・ロイ」にも影響を与えているらしい。
やっぱ〜 古くから伝わる民謡は、その国において底辺に流れているモノなんですね。時代を変えて、インスパイアーしていくもののようなので、また聴いてみようと思う。
それにしても、いずれの国の民謡、民族音楽も、ワタシを、すごく懐かしい気分にさせてくれるんだけど〜 
どこの国でも、う〜ん。琴線に触れちゃいますね。
(といいつつ、肝心の日本の民謡は聞きませんが〜)
1972年 チョン・キョンファ ケンペ ロイヤル・フィル Dec ★★★★★
1977年 アッカルド マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管 Ph ★★★
所有盤を整理中です。

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