「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー 夜想曲 (雲・祭・シレーヌ)
Debussy: Nocturnes (Nuages,Fetes,Sirenes)


ドビュッシーの「夜想曲」(Nocturnes)は、1897年〜99年に作曲した管弦楽の組曲です。
フランス語のまま「ノクチュルヌ」と呼ばれることもありますが、雲、祭、シレーヌという3つの曲で構成されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

第1曲 雲 (Nuages)
空の雲のゆっくり流れて消えていく様を描写したもの。冒頭に、「セーヌ河の上に垂れこめた雲」を表すと思われるクラリネットとバスーンの動機があり、6/4拍子のリズムに「汽船のサイレン」を表すであろうコーラングレの旋律が4/4拍子で絡みます。 全体的に拍節感がぼやけており、ソロを除いて弱音器がつけられた弦楽器は、細分化され(ヴァイオリンは第1、第2が、それぞれ6分割、合計12分割)、弱音器をつけたホルン、低音域のフルートなど、 「灰色」のイメージが作り出されます。中間部では、ハープを伴ったフルートが、五音音階の旋律を奏でます。

2 祭 (Fêtes)
祭の盛り上がりと祭の後の静けさが描かれています。
ff の空虚五度によるリズムが弦楽器によって刻まれ、木管楽器が、スケルツォ風の主題を奏でます。活発な3連符のリズムが唐突に中断すると、遠くから幻影のような行列が近づいてきます。やがて、祭りの主題と、 行列の主題が、同時進行して溶け合うようになり、主題を回想しながら消え入るように終わるもの。
トランペットは、次の「シレーヌ」の序奏をさりげなく予告しています。

3 シレーヌ (Sirènes)
「シレーヌ」とは、ギリシャ神話などに出てくる生物です。トロンボーン、チューバ、ティンパニと、打楽器は使用されておらず、代わりに、歌詞のない女声合唱(ヴォカリーズ)が加わられています。月の光を映してきらめく波と、シレーヌの神秘的な歌声が、表現されています。

「牧神の午後への前奏曲」と「海」の間に位置する管弦楽曲です。絵画的な楽曲という感じがするので、アタマのなかに映像を浮かべて、曲を聴きながら、絵の具を足していければ楽しいかもしれません。

ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1991年
Yan Pascal Tortelier
Ulster Orchestra



録音状態は良い。明るく開放的で、わかりやすい。
リズミカルで、推進力があり、縦の糸がぴしゃっと合うところがあり、横だけの流れに流れいかないところが気持ち良い。楽しく愉快な感じがする。
ドビュッシー 管弦楽作品全集4枚組BOXより

ドビュッシーの管弦楽って、どーも解りづらいように思う。
ドイツ系の音楽(←って曖昧な表現だけど)のカッチリした音楽に馴れていると、どーも、フワフワしてて気持ちが悪いとか、居心地が悪いとか、何が言いたいのか、よーわからん。という感じになるように思うのだ。

まだ、「海」だと、なんとなくイメージが湧くのだが、この「夜想曲」・・・。 一応、3つのタイトルがあって、「雲」、「祭」、「シレーヌ」という名前は付いているのだが、えっ!? 雲ってかい。雲を、どうやって音楽として表現するじゃ、こんなモン、フワフワしているだけで形なんぞ、ないやんかーっ。という感じなのである。
まあ、イメージなんでしょうけどねえ。
夜想曲、ノクターンでしょ。寝る前に一曲聴けば良いやんってなワケにも、いかないようで・・・。どうやら、ドビュッシーは、違うイメージのノクターンを書いたようである。

「雲」
「そふぁそみふぁれ そふぁそみふぁれ みしれらどそ しらど ふぁ〜 れみふぁ〜 そふぁ みぃ〜れ〜どぉ」
「そふぁそみふぁれ そふぁそみふぁれ〜 どれどふぁみ〜 どみふぁみ そみふぁれ れぇ〜」
「しふぁみ〜 どぉ〜みぃ〜」
コーラングレが、突然声をあげる。
「れみふぁそぉ〜〜ふぁ〜み どぉ〜 れみふぁそぉ〜〜 ふぁ〜み どぉ〜」
このメロディーの他には、あまり強調するフレーズがないんだけど・・・。細かい繊細な弦のフレーズが折り重なっていて、ピチピチ、シャシャシャシャ・・・という音がでている。
ふわーっとしているが、短いフレーズが何度も繰り返されていく。
フルートが、「そぉ〜〜ら れしそれみし れみそぉ〜 そられしそれみし れみそぉ〜」
「みれみれし〜そらぁ〜 どれそみ どそらみそしぃ〜れみ〜」

トルトゥリエ盤は、1音1音がはっきりしているというか、音を踏んでいってくれるので、結構、明解な感じがして、ワタシ的には、わかりやすい。弦が奥に引っ込んで、木管フレーズがメインに聞こえてくるので、ぼわぁ〜と、 あまりしていないのだ。ゆらゆらと、あまり揺れないしねえ。
すーっと音が横に流れていく感じがしてて、縦揺れがしないのである。
フレーズも大づかみって感じがして、文節が長めになっているような気がする。

「祭」
「れれれ れっれ れれれ れっれ れれれ れっれ・・・」
「そらし どれみ ふぁみふぁ れどれ らそふぁ」「み〜 ふぁみふぁみぃ〜」 
弾む強めの弦のなかに、フルートが入り込んでくるが、フルートの音色も明るくて太めの力強いフレーズになっているし、タタッタ タタッタ・・・と音を刻んでいく。
金管フレーズも、明るく咆吼しているが、まろやかで開放的だ。まぶしいくらいの光が射し込んでくる。
「どどっ ししっ どどっ ししっ・・・」「そ ふぁふぁ そっ ふぁぁ〜〜 ドドッ!」
暗さと明るさの陰影を楽しめば良いのだろうし、ティンパニーの音も豪快に入ってきて、ハープの煌めく音も、すかさず綺麗に入ってくるし、はぁ〜 ドイツ音楽とは、全く違う世界が広がってくる。
「どどど みっどっ ふぁぁ〜」「どど れれ どど みっど らぁ〜」
長いフレーズと短いフレーズが、微妙に入り組んでてて、よくわからないのだけど〜 
でも、影がゆらっとしてて〜 「し〜れし〜 し〜れ ふぁっしぃ〜」
「ふぁぁ〜れ ふぁ〜そぉ〜 ふぁれ ふぁら ら〜」 幻想的でありながら、愉快な気持ちにさせてくれるフレーズになっていて、晴れやかに、小刻みに動いて弾む。
リズム感、ピチカートが、トルトゥリエ盤だと、ハッキリしているので、気持ちが明るくなれちゃう。

それに、金管が、弱音の時から、バンダのように奥から、すごく良く聞こえてきて立体的だ。
録音状態が良いので、奥行き感があるし、弦の響きだと思うけれど、行進曲のように現れて〜 シャンシャンと最後には、しっかりと盛り上がってくる。リズム感がとっても良く、アクセントも付いてて、かなりオシャレで、スポーティだ。ワタシ的には楽しいっ。

「シレーヌ」
海から、ニンフさんたちが現れて、歌声を響かせているかのような、すごく幻想的な曲だ。
「そふぁ〜 そふぁ〜 そふぁ〜 そふぁそふぁ〜」
木管の使い方が、やっぱドビュッシーさんの色彩感を、すごくあげているな〜という感じがする。
トルトゥリエ盤で聴くと、朝陽を浴びて、沐浴しているようなシーンで、すこぶる明るく、開放的だ。
影のある楽曲ではなく、月の出た夜の雰囲気という神秘性は、あまりない。
ハイ、とっても健康的なんである。可愛い女の子たちが、静かに、でも喜びを体いっぱいに、ピチピチと、水を飛ばしながら、水浴びをしているような感じがする。
精神的で、神秘的なパワースポットを訪れたというよりは、むふっ。海賊たちが出そうな島で、ジャングルっぽいところで、亜熱帯のような暖かい温度のところで、滝に打たれているかのような感じ。
オチャメで、綺麗な、愉快な映画のワンシーンみたいな感じ。

他のCDを聴いていると、頭のなかで、オタマジャクシが泳ぐというよりは、形のない、もわっとした空気感が感じられ、曖昧感もたまには良いのだが〜 どうも、スッキリしないのだ。
しかし、ワタシ的には、このトルトゥリエ盤で聴くと、ある意味、人間くさくて、ワタシ的には、楽しい。
幽玄さとか、幻想的というよりも、必要に以上に構えなくても、わりと、すっと入っていける世界だと思う。
他盤だと、耳慣れしなきゃーダメだと思って、何度も繰り返して聴いていくものの〜
いつの間にか、めげて、挫折していたのだが、この盤だと、健康的なところが感覚的にマッチしたようである。
うまく言えないのだが、ところどころ、縦の糸がぴしゃっと合うところがあって、それが気持ち良いというか、(もちろんオケ自体の演奏は合っていて当然なのだが〜)綺麗さが、わかるというか。
てれてれ〜っと、ワカラナイままに流されているような感覚ではないのだ。
ホント、初心者で、スミマセン。

色彩的には、こりゃー ラヴェルでしょ。と思いつつ解りやすさで、このトルトゥリエ盤を聴いていたりする。
いずれにしましても〜 ステレオの前でちんまり座って、じっと聴いているよりは〜モネの絵画とか、セザンヌの風景画とか、ターナーの晩年の形の無くなった絵画なんかを見ながら、CDをかけて聴いた方が良いようである。
(えっ それは邪道でしょ。笑)

サロネン ロサンジェルス・フィル 1993年
Esa-Pekka Salonen
Los Angeles Philharmonic Orchestra
ソプラノ:ドン・アップショウ Dawn Upshaw



録音状態は良い。乳白色系の色彩で、もわ〜 ぼわ〜としているのは楽曲のせいかもしれないが、ちょっと平板な感じがする。
カップリング:夜想曲 雲、祭、シレーヌ、
「選ばれた乙女〜ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの詩による〜」
交響的断章「聖セバスチャンの殉教」

このCDは、珍しいドビュッシーの管弦楽作品が収められている。
夜想曲と選ばれた乙女、そして聖セバスチャンの殉教、結構マイナーな曲なのである。
で、このページでは、夜想曲をご紹介するのだが、
サロネン盤は、もわ〜っとした空気感が、辺りイッパイに広がっている。

「雲」
冒頭の木管の絡みが、凄く柔らかい。
オーボエとバスーンかなあ。「そふぁそみふぁれ そふぁそみふぁれ」「み〜れ〜ど〜」「みしれらどそ みしれらどそ ら」
「れみふぁそぉ〜 ふぁ〜みぃ〜れぇ〜どぉ〜」という、コーラングレのフレーズが、弱音で柔らかく絡む。
ホント、木管とコーラングレの掛け合いのフレーズが、柔らかく、幾重にも重なっている感じだ。
弦のフレーズだけが浮かぶわけではなく、弦も、均質的に木管も、全てが柔らかく絡むのだ。
もう少し弦が、少し腰が強めでも良いかもしれないが、いずれにしても、ふんわり感がある。
「れみふぁそぉ〜ふぁぁ〜みぃれどぉ〜」というコーラングレだけが、飛び出ているわけではないので、空気感があり、色彩的には、総体的に、乳白色のようだ。
色があるような、無いような・・・ 
形の輪郭線が柔らかく描かれていて、ホルンの響きも、それを包むように流れてくる。
クラリネットの「み〜れみふぁれふぁそみふぁそみそらふぁそら・・・」と、何の脈路もないような音の並びがあるし、主張するフレーズがほとんど感じられずに、溶け合うのが特徴かもしれない。

「ふぁふぁしし ふぁふぁしし ふぁふぁそそ ふぁふぁそそ・・・」と、弦のピチカート部分にさしかかると、リズム感が出てくる。そこにコーラングレが、乗っかってくるのだが、ここでも柔らかく穏やかな音質だ。
コーラングレの音質の違いって、結構、他盤と違って、ソフトで地味め。
ワタシ的には、これもありかな〜って思う。
チェロか、ヴィオラの響きだと思うが、オーボエとの掛け合い、「そふぁそみふぁれ そふぁそみふぁれ みしれらどそ・・・」というフレーズも、何の脈路もないが、そこが、この楽曲の特徴なんでしょうねえ。
で、リズム感が、ほとんど感じられない楽曲だが、フルートだけが輝いている感じがする。
「そられし れみそみ〜 れみし〜そらぁ〜」
他に、ソロヴァイオリンのフレーズと、チェロの響きと〜ハープも登場してくるし〜
木管の音の違いのお勉強にもなるかなあ。オーボエ、クラリネット、コントラファゴットかなあ。一番暗いパレットの色は、、、と聞き比べながら、すわっと終わってしまった。
コーラングレさんが主役を張っている感じがするが、木管の繰り出されてくるのが面白いのと、パーツごとにセッションが組まれているようで、その場面の展開が面白い楽曲かもしれない。
まあ、サロネン盤は、特に個性が強調されていないが、ぼわ〜とした乳白色の世界に浸るのも良いかもしれない。

「祭」
総体的に、もう少し明るめでも良いのにな〜と思う演奏で、弾むピチカートや、弦の響きにメリハリ感が少なく、平板な感じがして、楽しい楽曲の筈なのに、明るく弾まないんである。
ティンパニーの響きも、おとなしいし、金管のフレーズも奥行きが少なめで、う〜ん。
これは、面白くないでしょ。立体的に響いていないなあ。
トルトゥリエ盤だと、青空のもとで、すかっと晴れたところで、ワクワク感があったのに、あれれ〜
サロネン盤では、暗いままで曇った感じがするのと、もわ〜とした空気感が漂う。
特に金管の音に、ハリがないのと、シャリシャリした食感が少ないのが、う〜ん。イマイチかもしれない。
小さくまとまってしまっている感じだ。

「シレーヌ」
ああぁ〜 ああぁ〜という女性の声から始まるのだが、これがニンフたちの声である。
トルトゥリエ盤は、少し健康的すぎだが、ワタシ的には好ましかったが〜 このサロネン盤、どことなく緩いんである。確かに、ふんわかした幻想的な世界が描かれた楽曲なのだが、それにしても、雰囲気がイマイチ出ていない。
視覚的にも、想像の世界が広がってきそうなモノなのだが、平板で、あーという声の響きに、広がり感がなく、ツマラナイ感じがする。もっとフレーズの膨らみ感とか、もっと広がり感があっても良いだろうになあ。
雲では感じなかった、音の響きが、どこか、野暮ったいというか、ぼったりした音の感覚が、気の流れを妨げて、空気の澱みを感じさせてしまう。

録音のせいかなあ。とも思ったが、いやいや、どこか停滞感を感じてしまって、う〜ん。ちょっとなあ。
線が明瞭でないし、どこか個性も埋もれているようで、繊細さが見受けられず、センスが磨かれていないような気がするんだけど・・・。どうしてかなあ。でもねえ〜 次の「選ばれた乙女」なんかは、穏やかで、音が丸く、 適度に小さくまとまってて、音に濁りがあって、彩度をあえて落としたかのようで、色を抜いたような柔らかさがあって、結構好きなんですけど。

マゼール ウィーン・フィル 1999年
Lorin Maazel    Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

      

録音状態は良い。ゆるやかに、濃密で幻想的で、魅惑的。
艶を消したモノトーンな雰囲気を持っているが、淡く丸く、解りやすく、なかなかに不思議感があって、やられました。
カップリング:ドビュッシー バレエ音楽「遊戯」、交響詩「海」、夜想曲 (遊戯と海はライブ盤である)「

意外と良かったな〜って思ったのが、このマゼール盤である。
ふわぁ〜っと、優美で、まどろみのある幻想的な雰囲気が、冒頭から漂っており、クールで鋭角的、そして明解なドビュッシー だと思っていたのに、えーっ ウッソ〜という感じの意外性のある夜想曲である。

「雲」
冒頭。「そふぁそみふぁれ そふぁそみふぁれ」「み〜れ〜ど〜」「みしれらどそ みしれらどそ」
と木管が吹かれているのだけど、解りやすい。
音が混濁せずに、さりげなく吹かれているんだけど、ちゃんと絡み合ってて、ものすごく柔らかいんだけど芯があって、ちょい中味は硬いって感じのフレーズだ。
輪郭が、すーっとした一筆書きというのではなく、幻惑されそうな、ふわふわした、濃密な世界が広がっていて、魅惑的だ。
なーんていうか、おフランス風フレーズではなく、聴きなれたドイツ風味で〜(← なんとも曖昧な表現だけど)間合いが、うんうん、聴きなれた雰囲気のフレージングだな〜って感じなんである。
巧く言えないんだけど、変に間延びしてないっていうか・・・
音の取り方というか、音の置き方が、ハイ、ウネウネしてないんである。

それでいて、音質や音色には、くすみがあって〜ちゃんと色を落としました。って感じ。
彩度が高くなく、艶を消してあるのだ。線の太さと音質だと思うんだけど〜
どういえば良いのか・・・ おフランス的ではなく、ラヴェルのような華やかさや煌びやかさとか は、無いのだ。あー これがドビュッシーか。と言っちゃ〜超マズイのかもしれないが、ワタシ的には、は〜なるほどねえ。と感じちゃった1枚である。

もっと、コーラングレだけを目立たせるのかと思っていたが、また、もっとクールに響かせるのかと思っていたんだけど、こりゃ、違う。弦の響きなんぞ、やっぱ魅惑的で はあるが、ウィーン・フィルとは一見して解らない。
とても不思議感のある演奏だ。
フレーズの膨らませ方とか、息の長さと弦の余韻で、聴かせちゃうような気もするが〜
いろんな楽器がセッションしているのだけど、それが分離・分解されていないで、ふわっと一つにして聴かせちゃうという芳醇な響きがある。
コーラングレも前に出すぎずに、ハープの音色も、ピンピンっと張っていないで、音が抑えられてて、輝いて来ないのが、なーんか、これが良かったりする。
特に木管のフレーズと弦のパートが、それぞれ受け渡して演奏しているのに、そんな分離感がないのが、良いな〜って思ってしまった。
弦だけは、なーんか、ほのかに光を放っている感じがするが、艶っぽさは消されている。
木管の音色が、コーラングレも、クラリネットも、フルートの響きも、どこか同じような響きに聞こえてくるというか、均質的というか、そんな気がするんだけど・・・  (←そんな筈はないんだが)
そんな風に耳に馴染んでくるが、とっても不思議で、どこか木管フレーズも、5音階的な響きがあって、これも嬉しい。
ホント、雲に関しては、かなり嬉しい仕上がりで〜 うふふ。は〜 なるほどなあと聞き惚れてしまった1枚である。曇空のようにどんより、モノトーン的で、光が煌めいているって感じがしない曇り空 だし、一見すると、おとなしいだけの演奏に聞こえちゃうが〜 なかなかに含蓄ある演奏だと思う。

「祭」
ワタシ的には、ドビュッシーよりラヴェルの方が、ラテン的で、ずーっと好きなのだが〜
この祭り、総体的に、もう少し明るめでも、弾んでも良いのにな〜と思うが、なんか妙におとなしい割には、楽しい。どこか、モノトーン臭いというか、あっさりして 淡い色調なのだ。
トルトゥリエ盤で聴くと、祭りが、楽しく明るく華やかで、「れれれ れっれ れれれ れっれ れれれ れっれ・・・」 「そらし どれみ ふぁみふぁ れどれ らそふぁ」「み〜 ふぁみふぁみぃ〜」と、弾んで、タタッタ タタッタ・・・と強めに太く演奏されるのだが、マゼール盤では、柔らかくて、とんがっていない 。全体的に丸くて、ふんわりしている。それでいて、リズミカルだが華やかな感じではなく、音の粒が丸くて、弾んでこない。
そのくせ、柔らかいなかにリズム感があって、平板ではないという感じ。 あー 巧く言えないのが、もどかしいなあ。
木管の響きが丸いし、弦のピチカートは、しっかりした硬さは持っているけれど、やっぱ丸い。
金管も咆吼しないし〜開放感のある音ではない。

バンダのところは、奥行き感はあまりなく、弱音なだけで、この点は、ちょっと残念なんだけど〜
ホント、派手さがなく抑えめで、洗練もされていない。
で、アコギな言い方をしちゃうと、わざと彩度を落とした感じがしないでもないが〜
だって、これだけの楽器が鳴っていて、えー そんな筈ないやん。って感じがしちゃうんだもん。
これだけ楽器が鳴っていると、ホントは、もっと派手な筈なんだけどな〜って思いつつ聴いたのだが、これがよかったりして〜 
ちょっと不自然な感じがしちゃったけど・・・。これは、録音のなせるワザかもしれない。
打楽器や金管の音の抑え方が、妙に気になって〜 丸い響きが、妙にワタシにハマッテしまった。
サロネン盤で聴くと、なーんか平板な感じがして、ハリがないのと、シャリシャリした食感が少ないって文句を言ってしまったのだが〜
また、トルトゥリエ盤のような抜けるような青空ではないのだが〜
妙に淡くて、変に曇っている空の元での祭りだが、この色彩感には、ふ〜む。どこか、変な感じだ〜と思いつつ、何故か、マゼール盤だと、このおとなしい感じが、良い風に感じてしまったのだ。
あ〜 何故なんだろ。自分でも解らない。

「シレーヌ」
このマゼール盤のシレーヌは、とっても怪しい。
妖艶って感じがするのだが、どっか抑えてて〜 ふわっとした空気感でありながら、空気には濃密さがあって〜 むふふっ。ホント、沈没しちゃうぐらい怪しいっ。
ああ〜 ああ〜っという女性の声のなかで、 木管のフレーズが、波打って繰り出される。
ああ ああぁぁぁ〜 と言いつつ、ううっ うううぅぅ〜っ わぉわぉ わぉぉぉ〜て、波打って言っているようにも聞こえるんだけど、気のせいかなあ。
相当に怪しいぜ。この声っ。単に「あ」じゃーないなあ。この母音の発音・・・。
でも、この女性陣の声に、ワタシ的には、完全にやられちまったのである。
いや〜 このシレーヌは、ハイ、ホント魅惑的で幻想的で、やられます。

フレーズが長めでありながら、声の不思議な盛り上がり方があって、弦のフレーズにも、タッチが、筆圧が、太めで強め。もわもわ〜とした、柔らかい色調で、太めのフレーズでありながら、安定した音が出ているんだけど、 どっか悶えちゃうような伸ばしがあって、あちゃー。魅惑的すぎて怖いっ。
こりゃー 引きこまれて〜気がついたら海の底に連れていかれました〜って感じです。
蠱惑的で、魅力的、かといって俗的なニオイはしない。
超魅力的なニンフさんたちの声で、悶えちゃって、シアワセ〜的に昇天しちゃいます。

総体的には、ワタシに、ドビュッシーの魅力を教えてくれた1枚です。
いろんな色を、細かく、点描で、または、短めの線で置いていくというタッチではなく、いつも聴くような安定的なフレージングで、柔らかいが、長めの線画風。 でも、それがエッジの効いた細めの線が描かれているわけではなく、彩度は落として、淡いパステルカラー的に響く。う〜ん。これは、技あり1本っ。
ワタシ的には、マゼールさんに、やられました。脱帽っ。そして拍手ですっ。

アバド ベルリン・フィル 1999年
Claudio Abbado Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。シャリシャリして明晰で、健全な演奏。
カップリング:
1    ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲
2〜4 ドビュッシー 夜想曲 雲、祭り、シレーヌ(ベルリン放送合唱団)
5〜8 ドビュッシー ペレアスとメリザンド組曲
森、庭園の泉、城の地下窟 城の一室(1998年ライブ)
アバドさんが、この曲が好きで、この曲を振るために指揮者になったらしい〜というエピソードを耳にしたが・・・。
若かりし頃のボストン響との1970年のCDもあるらしいが、これは未聴。
で、このCDは、65歳を過ぎてからベルリン・フィルと収録している。

冒頭、「そふぁそみふぁれ そふぁそみふぁれ み〜れ〜どぉ〜」
「れみふぁそぉ〜 ふぁ〜みぃ〜れぇ〜どぉ〜」という、コーラングレの音が絡む。
木管が大活躍する楽曲だが木管が輪郭線、弦の柔らかさが、気体状態を表すような楽曲だ。
柔らかいけれど、形がなきゃー わかりづらいし、奥行き感がなければ、ペタンとした平面になっちゃうし、なかなか〜難しいそうな楽曲である。
ワタシ的には、いろんなCDを聴いて、聞き比べをする楽しみがあるが、いずれの演奏も気合いを入れて、イメージを浮かべようと思わないと、ふにゃ ふにゃ ふにゃ〜っと、音型だけが流れて、時間だけが経過していってしまう。
アバド盤は、木管のフレージングは優美だが、素朴さがあり、輪郭線もぼやけることがない。すーっと伸びていくが、音質が、木の香りがしそうなぐらい木質感がある。
まあ、木管だけでなく、そこに寄り添う弦の厚みとか、柔らかくも深みのある音が聞こえてこないと、立体感が生まれてこないんだと思うが、その点、彫りが浅くもなく、深くもなく、型がくっきりでないようで、質量感が出てくるように演奏するのって、ひやー 難しそうだと思っちゃう。
で、木管の「そふぁそみ ふぁれ そふぁそみ ふぁれ みど れしれらどぉ みしれら どぉ〜」 ヨナ抜きのような音が、「そぉ〜らぁれし それみし れみそぉ〜みぃ〜」っと、田舎の風景を醸し出してくれいる。
アバド盤で聴くと、そこそこ質量感があり、初夏、田んぼのまんなかで、雲を見ているかのようで、爽やかな空気が通っていく感じがする。緑の田んぼ、蒼い空って感じの季節感を感じるのだ。
どんより、くぐもった空ではないような〜 一種の爽快さもあって、もちろん、風景は広がり、距離感を感じる。

「祭」
この弦の「れれれっれ れれれっれ・・・」という出だしが、とても、リズミカルで、金管がカラフルだ。
歯ごたえ的には、シャリシャリ感があるというか。
フレージングに明晰さがあり、シャシャシャっと弾む、飛んでいくほどには弾まないけれど、時間の経過をしっかり刻んで行くリズム感じがあって、楽しさを感じる。
ある意味健全で、収穫祭のような華やかさもあり、バンダの効果も、ものすごくあって〜
遠くからティンパニー、ハープで、行進曲が聞こえてくるし〜 とても華やかだ。
祝祭的で、とっても、シャリ感のある、喜びに満ちあふれたものとなっている。
ここら辺は、イタリアぽっく、いささかノー天気風だけど、ぼわ〜としたものではなく、歯切れのあるストレートな表現だ。

「シレーヌ」
この楽曲は、どんなイメージだろう。神秘的なのだが、アバド盤で聴くと、ハハア〜 ちょっと健康的すぎかなあ。
もっと妖艶でもよろしいのですが〜
しっかりと現実味を帯びた、うねっとした、とろみ感の少ないハッキリした演奏だ。妖しく、濃密感の漂う、もわっとした膜に覆われた、魅惑的な雰囲気がないので、ちょっと・・・魅力を感じなかった。欲が深いんですかねえ。
別世界的な、あーっという声の奥行き感はあるのだが、そうですねえ〜 宇宙的な感じでしょうか。
惑わされれる、迷いを生じるかのような、ふらふらふら〜っと、耽溺していきそうな面は少ないように思う。
(えっ そんな要素はいらないって、う〜ん そうかもしれないけど・・・)
眩惑される要素もワタシ的には、欲しいんだけどなあ。
だって、シレーヌって、セイレーン(Seirēn) ギリシャ神話に出てくる海の怪物なんです。
上半身が人の女性で、下半身は鳥の姿、または魚の姿で、海の航路上の岩礁から、美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破させる。えっ やっぱり〜
歌声に魅惑されて、食い殺された船人たちの骨は、島に山をなした〜といわれているらしいんですもん。
ちょっと、その点を考えると、確かに美しいのですが、アバド盤では、眩惑までは、ちょと〜されないでしょうか。

1962年 ミュンシュ ボストン交響楽団(雲・祭)  
1973年 マルティノン フランス国立放送管弦楽団 EMI  
1978年 バレンボイム パリ管弦楽団   
1979年 ハイティンク コンセルトヘボウ Ph  
1982年 M・ティルソン・トーマス  フィルハーモニア管弦楽団 SC  
1983年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI  
1986年 アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 Dec  
1988年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec  
1991年 トルトゥリエ アルスター管弦楽団  CHANDOS ★★★★
1993年 サロネン ロサンジェルス・フィル  SC ★★★
1993年 ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団  
1999年 マゼール ウィーン・フィル ★★★★★
1995年 ウェルザー=メスト フィラデルフィア管弦楽団 EMI  
1996年 プレヴィン ロンドン交響楽団  
1999年 アバド ベルリン・フィル ★★★★
所有盤を整理中です。

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