「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー 小組曲
Debussy: Petite Suite


パイヤール室内管弦楽団 1968年頃
Jean-François Paillard
Orchestre de chambre Jean-François Paillard



録音状態は良い。リマスタリング盤。とてもわかりやすく、平明な演奏だ。聞きやすいとは思うけれど、もう少し品があれば嬉しい。
カップリングは下記のとおり。
 パイヤール ドビュッシー管弦楽曲集 3つのソナタ、小組曲、6つの古代碑銘他
1 小組曲
2 神聖な舞曲と世俗的な舞曲
3 6つの古代碑銘
4 フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
5 チェロ・ソナタ
6 ヴァイオリン・ソナタ

1 小舟にて
ハープとフルートの調べで、おそろしく心地良い楽曲である。
「どぉ〜ら〜 しらど〜ら〜 しらみ〜〜〜〜 ふぁ〜ら〜 ふぁ〜ら〜」
「し〜どぉ (そそみ そそみ そそみ そぉ〜)」
パイヤール盤は、マルティノン盤と比べると、太めの線で描かれている。リマスタリング盤なので、60年代後半とは思えない録音に仕上がってて嬉しい。
たっぷりとした描き方で、豊穣感があるが、その反面、繊細ではない。
揺りかご的な雰囲気もあるし、結構、聞きやすいし、最初に聴くには充分嬉しいんだけど。対抗馬が出てきちゃうと〜ちょっぴり不利かも。
なにも、荒くたいワケでも、演奏が悪いわけでもないんだけど〜 
内声部の木管の動きを楽しみたいという場合は、分離度の高いマルティノン盤を選んでしまうと思うし。
それに、フレーズの膨らませ方が充分でなかったり、息のつぎかたや間合い、リズムの弾み方とか、ちょっとしたことが、平明な感じを与えちゃうんだと思う。
悪く言っちゃうと、繊細じゃーない。主題が戻ってきた時も、なんか同じって感じなんだよね。
違う筈なんだけど〜 もっと細かな細工が欲しいかなぁ。偉そうでゴメンなさい。

2 行列
「らっしら〜 そふぁそ らっしら〜しれどみ」「れっみれ〜どしど れみふぁらそみれど」 
「ら〜み ら〜み そ〜ふぁ れみふぁそ み〜ふぁ み〜ふぁ れ〜み れ〜み れ〜」
可愛いフレーズがたっぷり詰まっている曲で、パイヤール盤は明るく、のびやかに演奏されている。
ちょっと雰囲気が、お子ちゃま向きだけど〜 平明すぎるきらいはある。簡単に演奏してくれるな〜とも思っちゃうんだけど・・・。最後、豪快にしちゃうところで笑っちゃうんだけど。
まあ。底抜け的に開放的で、これでも良いかしらん。

3 メヌエット
「どしっ〜(そ〜) どしっ〜(そ〜) しらそら しどれみ れどしら しっ〜 (ふぁみ〜)」
フルートやオーボエの音色は良い。でも、なんか、もっと丁寧に演奏して欲しいような気がするんだけど。
一応、有名な室内楽団だと思うんだけど。なーんかイージーリスニング盤のようになっている。
あー この盤は、底抜け的に明るいんだ。陽気なんだ。
青空のもとで開放感たっぷり、海辺にいるほうな風を感じる。陽気で開放的、快活で、自由闊達な南欧風というか、のびやかなラテン。ちょっぴり、くすんだ色彩ではなく、彩度が高く、原色に近い。
タッチは太めで、柔らかく、ぐい〜っと描かれた絵画のよう。

4 バレエ
「しみっ どら しみみどら そそそれ ふぁふぁふぁれ みみど れ〜」
「みみみ どぉ〜 みみみ どぉ〜  ふぁふぁれど ふぁふぁれど」
これで1フレーズになって、最初は弦と(パっパっ)と合いの手が入っている。
次には、ティンパニーと金管が軽く入ってて、一段と華やかになっているのだが、ノリノリ〜状態に。
メチャ快活で、あーー ここまでしちゃうと、ノー天気なフレンチカンカン風になっちまってる。
あ〜あ やっぱりなあ。マズイよ。
(予測できちゃったところが、また悲しい)
マルティノン盤が、大人の遊園地だったのに、パイヤール盤では、世俗的で、お子ちゃまランチ・・・。
とっても分かりやすい演奏で、のりのり〜なのは嬉しいが、楽曲のセンスとしては、がっくりしちゃうなあ。
センスないよぉ。テンポをあげて、ぐい〜っと盛り上げないと、ワタシ終われないわ〜って感じになっちまって。場末のバーじゃあるまいし、オッフェンバック調になったら終わりじゃん。
最後の曲で、がっくりしちゃった。

世俗的で、ポピュラーミュージック風に聞こえてきちゃうところが、かなり悲しい。
わかりやすいのは嬉しいが、この楽曲は、もともと平易なのだ。シンプルなのだけど〜 極めて可愛く、ほっとした和みがあって、大人がひとり聴いて喜んで、幸せを感じる、遊び心のある小品なのだ。
こっそり、夜ひとり、幸せ感に浸りたい時、可愛いな〜と、ひとりごち。そんな風に聞きたい時は、パイヤール盤だと、なんだかぶちこわしモードである。この楽曲に関しては、イイ女に出会えないなら、パスっ。って感じになってしまいました。ごめんなさい。
マルティノン フランス国立管弦楽団 1974年
Jean Martinon
Orchestre national de l'ORTF



録音状態は良い。上品で香り高い演奏。極めて柔らかく、さりげなく、明瞭さも失わず、綺麗なトレースで細く描かれている。大人のオシャレな演奏。
ドビュッシー・ラヴェル管弦楽全集8枚組BOX
1 小舟にて
ハープとフルートの調べで、おそろしく心地良い楽曲である。
「どぉ〜ら〜 しらど〜ら〜 しらみ〜〜〜〜 ふぁ〜ら〜 ふぁ〜ら〜」
「し〜どぉ (そそみ そそみ そそみ そぉ〜)
「どぉ〜ら〜 しらど〜ら〜 しらふぁ〜〜 そふぁ〜れどしっし らしどみみ〜」
う〜ん。うっとりしちゃう。
まさしく小舟に乗っている気分で、風が、そよそよ〜 のんびりとした優雅な船遊びである。
「そそみ そそみっ」と囁くオーボエの音色が輝いており、少し音が平べったい感じがするが、まるで、アヒルが鳴いているような声である。
マルティノン盤は、ゆったりとしたフレーズだが、トレースのしっかりした音で、極めて明瞭で明晰。
木管のキラキラした硬い宝石のような響きと、弦の柔らかさが面白い。
録音年は1974年だが、70年代とは思えないほど〜気味が悪いほどクリアである。わずか4分弱の楽曲なのだが、ハープの分散和音が綺麗に、奥からさりげなく奏でられて、この揺りかごのような調べに、やられちゃう。4分弱とはもったいない。もっと聴いていたい〜。
マルティノン盤は、特に、このオケのオーボエさん 誰が吹いているのかワカラナイのだが、平べったいアヒルのような声が、スパイスが効いていて意外と楽しい。
「みっれどれぇ〜 どしれ〜 どし らっふぁら どっらふぁ〜 そっれし〜」
「みっれどれぇ〜 どしれ〜 どし らっふぁら どっらふぁ〜 そっれし〜」
と跳躍したフレーズが出てきて、金管がまろやかに響く。このホルンと木管のハーモニーが絶品。
芯の硬い木管(オーボエ)が、まろやかな響きにくるまれている。
再度、冒頭のフレーズが出てきて、穏やかに終わるのだが、木管が個性的というか独特な音色で、これが生命線のような気がする。それに、底辺で支えるボンボンっと響く低弦の響きが、とってもさりげないが効いている。

2 行列
フルートの二重奏、「らっしら〜 そふぁそ らっしら〜しれどみ」「れっみれ〜どしど れみふぁらそみれど」 
「ら〜み ら〜み そ〜ふぁ れみふぁそ み〜ふぁ み〜ふぁ れ〜み れ〜み れ〜」
なんとも可愛いフレーズが主題となっている。
これが、最初木管だけなのだが、弦が絡んできて、柔らかいなかで、ハープが奏でられ〜 金管とシンバルが柔らかく重なってくる。光の煌めき感が、ふわ〜っとした旋律にトライアングルのチンっ、という響きまで加わってくる。
なんて可愛く、優しいフレーズなんだろう。かなり音が抑えられてて、とてもメルヘンチックだ。
ところで、何の行列だろう? 妖精の行列って変だし、羽根の生えた蝶々でもあり、虫さんの行列のような感じもするが・・・。 

3 メヌエット
「どしっ〜(そ〜) どしっ〜(そ〜) しらそら しどれみ れどしら しっ〜 (ふぁみ〜)」
この木管の序奏のあとに、ヴァイオリンで柔らかく し〜ふぁふぁ どれみど しどしら み〜
「らぁ〜 みっみ れどしれ みふぁそしらそふぁ〜 (ふぁっふぁ)」
メヌエットと言っても、モーツアルトのような華やかで宮廷風ではなく、無白色系の色合いを持ってて、柔らかい間接的に光があたっている感じだ。木漏れ日的で、柔らかく、穏やか。
中間部分では、木管が次々に登場してきて、短いソロを吹いてくる。
また、これが、とってもソフトで、良い意味での中庸感があって、色彩的、さほどカラフルではない。渋いってところまで彩度は落ちてないけど、音色の輝きはそのままに、ちょぴりメランコリックに奏でられているし、柔らかく装飾されており、ソフトにソフトに・・・と、小さく動いているって感じ。
マルティノン盤は、どことなく幻想的で妖精の世界のようだ。あまりテンポをいじらないし、アクセントをつけず、ん〜ジャンジャン ジャジャ〜となっておらず、重みが無い。甘いコーラングレの響きも入ってきているし、でも、とろとろ〜感はない。つまかえどころがないほど、ふんわりしている。
底弦の響きが、さりげなく聞こえてくるのが嬉しい。でも、無重力空間を彷徨っているような雰囲気が生まれていて、これが心地良く感じられる。

4 バレエ
この曲は、「しみっ どら しみみどら そそそれ ふぁふぁふぁれ みみど れ〜」
「みみみ どぉ〜 みみみ どぉ〜  ふぁふぁれど ふぁふぁれど」
これで1フレーズになって、最初は弦と(パっパっ)と合いの手が入っている。
次には、ティンパニーと金管が軽く入ってて、一段と華やかになっている。
1度聴いたら、とりこになっちゃう楽しいフレーズだ。
3回目には、さらにさらにグレードがあがって、強めに奏でられ、華やかに繰り広げられて、遊園地のような感じがしてくる。
前の楽章では、妖精の世界のようだったのだけど〜 ここはおもちゃ箱、遊園地。
そんな楽しい、うきうき〜とした世界が広がっている。オチャメなのだ。ちょっぴり、はしゃいだ感じはするけれど、でも、ちゃんと大人の世界に居るんだよな。大人のおしゃれで洒脱の効いた、コミカルさ。
活き活きとした活発なフレーズだけど、マルティノン盤は嫌らしくない。お上品で、ハチャメチャまで行かず、この頃合いが巧い。
この楽曲、ホントに、ドビュッシーが作曲したの?
楽しくて〜 柔らかい、素直なクープランみたいな感じがする。中間部はワルツ風になってて、いった穏やかに奏でられるが、再度、冒頭のフレーズが奏でられ、懐かしいような気持ちになって高揚して終わる。
ちょっぴり最後は、ばらけそうになってたけど。オチャメ〜でした。(編曲されている)

う〜ん。この楽曲は、元、連弾ピアノだったらしい。
アンリ・ビュッセルによって管弦楽曲に編曲されたそうだが、う〜ん。やっぱりねえ。
ドビュッシーより、ちょっぴり変わっているのかもしれない。風合いが〜 そうだなあ。ワタシのイメージとしては、もう少しダークなんだよな。
でも、マルティノンさんの演奏は、ドビュッシー色に近いようにワタシは感じる。原色ではなく、ちょっとグレー色を足したような色彩、そして細かなタッチで作り上げていく、優美な世界。
ホントは、もっと色彩感が強い、彩度の高い演奏だと思っていたけれど、なかなかにソフトで、柔らかい色彩で統一されていた演奏だった。ナイス! 一度聴いて大好きになっちゃった〜。
ちょっと健康的で快活な、オキャンな女性風。
エマニュエル・クリヴィヌ 国立リヨン管弦楽団  1994年、95年
Emmanuel Krivine
Orchestre National de Lyon (Lyon Opera Orchestra)



録音状態は、ヌケが良くない。響き自体が柔らかく、メリハリに欠け、アンニュイな匂いがする。これがドビュッシーなのか? そうだ、きっと、これがドビュッシーなんだ。
と、ブツブツ考えてしまった。
カップリングは下記のとおり。
クリヴィヌ 国立リヨン管弦楽団 ドビュッシー管弦楽曲集
1〜4 小組曲
5〜6 神聖な舞曲と世俗的な舞曲
7 アルト・サクソフォーンと管弦楽のための狂詩曲
8 クラリネットと管弦楽のための幻想曲
9〜11 ピアノと管弦楽のための幻想曲

1 小舟にて
「どぉ〜ら〜 しらど〜 ら〜 しらみ〜〜〜〜 ふぁ〜ら〜 ふぁ〜 ら〜」
「し〜どぉ (そそみ そそみ そそみ そそみ そぉ〜)
「どぉ〜ら〜 しらど〜 ら〜 しらふぁ〜〜 そふぁ〜れどしっし らしどみ そみみ」
ハープが少し奥から聞こえてくる。あまり明瞭な響きがせず、ほわっとした暖かい音色に包まれる。
フレーズが大きく膨らまず、わりと平坦だ。ハープが、もう少し明瞭に響いてきてくれたら嬉しいのだが、分散和音が、綺麗に聞こえない。
それに比べると、マルティノン盤は陽射しが射し込んで、水面が、キラキラと輝いている。ハープの音も、くっきり響いていた。 クリヴィヌ盤を聴くと、マルティノン盤は、少し線がくっきりしすぎかな。って思っちゃうほど。あれが強かったのかなあ。と思ったが、いやいや、やっぱりクリヴィヌ盤が、弱いのだ。
それに、録音状態は良いとは言えない。くぐもっている。94年か95年の録音にしては、悪い方だろう。
なにせ、当盤より20年前のマルティノン盤の方が、めちゃクリアなんだから。クリヴィヌ盤は、全体的に、くすみのある音色で、曇り空のような、おぼろげな印象を受ける。この楽曲だから、まだしも〜 う〜ん。
張りつめたような感覚ではなく、気怠さが残ってしまった。

2 行列
フルートの二重奏、「らっしら〜 そふぁそ らっしら〜しれどみ」「れっみれ〜どしど れみふぁらそみれど」 
「ら〜み ら〜み そ〜ふぁ れみふぁそ み〜ふぁ み〜ふぁ れ〜み れ〜み れ〜」
なんとも可愛いフレーズが主題となっている。
フレーズのつかみが大きいのか、明瞭に響いて欲しいのだが、冒頭のフレーズは、まあるい。
ここのフルートは、リズムが、あまり弾まないで、語尾が、ぼしょぼしょぼしょ〜と、まるでフランス語のような響きがする。なんか、靄がかかっているかのような、ハッキリしない音だなあ。
繰り返しをして、弦があわさってくると、ちょっと靄が晴れてくる。
パラパラパラ〜っと、グリッサンドしてくるハープは、大きな音で、メチャ輝いている。金管が入ってくると、いっきに豪勢な音に。おおっ やっと光が射してきたか。(目が覚めたような気がする。)
それでも、また、曇り空になってしまうんだけど。はあ〜 移ろいやすい天気だこと。
元気がないなあ。と、ふと思ってしまった。もっと弾んで〜楽しげに演奏して欲しい気がするな〜と言っていると、最後は、ちゃんと帳尻を合わせるように大合奏になっている。

3 メヌエット
木管の序奏のあとに、ヴァイオリンが入ってくるのだが、腰がないソフトさだ。
「し〜ふぁふぁ ふぁみれみふぁ〜 どれみど しどしら し〜」
「らぁ〜 みっみ れどしれ みふぁそしらそふぁ〜 (ふぁっふぁ)」
メチャくすんだ音色で、猛烈に気怠さを感じる。お昼下がりに聴いてしまうと、間違いなく寝てしまいそうなほど。あっ、演奏が凡庸と言っているわけではない。
全体的に華やかさや、晴れやかな音色やフレーズ感覚ではなく、沈んでいる音なのだ。いや、沈み込んでいるわけじゃーないんだけど、ぼんやり〜 ぽわ〜っと、水中に浮かんで漂っている感覚。
マルティノン盤で、重みが無いと言ってしまったんだけど、いや〜 メリハリはあったよなあ。
ふんわり感も、あったのだが、あれは、宙に浮いている感じがしたのだ。
クリヴィヌ盤は、水中で浮いている感じ。えっ その違いがワカランって。そうだよなあ。
上へ上へとのぼるようなフレーズが無いところに、力が入っていないというか、フレーズに活き活き感が無いというか。メリハリがないので、油断をしていたら、沈みかねないんだよなあ。沈没型。

4 バレエ
「しみっ どら しみみどら そそそれ ふぁふぁふぁれ みみど れ〜」
「みみみ どぉ〜 みみみ どぉ〜  ふぁふぁれど ふぁふぁれど」
これで1フレーズになって、最初は弦と(パっパっ)と合いの手が入ってくる。
活気のある最後の楽曲なのだが、クリヴィヌ盤。もっと、がんばれ〜っ 元気だして演奏してぇ。
「ふぁふぁ れど ふぁふぁ れど」 もっと、フルート明るく、リズミカルに吹いてぇ。
「そらし そらし そらし そらし そらし み〜どらぁ〜 みみみどら〜(パン)」
最後、ようやく元気になってくれたと思ったのに。ホルンが吹かれたら・・・。
あぁ〜あっ 中間になって、また気怠くなっちゃって。萎んでしまった。
メリーゴーランドに乗っているような、遊園地のような光景が楽しい楽曲だったと思っていたのだが、クリヴィヌ盤を聴くと、夜の匂いがする。お酒をいただいた後、オチャメな楽曲で、憂さ晴らしでもしているかのような気怠さ。

録音状態は、少し靄がかかっているのかと思ったが、おそらく響き自体が、全体に柔らかいのだと思う。
マルティノン盤は、くっきりとしたトレース線が浮かび上がってくるような感じだが、クリヴィヌ盤は、ソフトフォーカス的で、かなり違う響きをする。
音量を少しあげて聴きたい。演奏自体もアンニュイな感じで、繊細な感じもするのだが、アンサンブルはさほど精緻ではなく、音が湿気て重い。
聞き進むと、キレが悪く、小股が切れあがらず、気怠い平凡な楽曲として感じられてしまった。
それに、4曲のイメージが、同質的で面白くない。各曲に個性があるはず。最後のバレエなんかは、もっと軽やかで、明るくオチャメであって欲しい。
でも、このアンニュイな匂い。気怠い雰囲気が、ドビュッシーらしいと言われたら、そうなんだけど。 
せっかく、新しい録音盤だと思って買い求めたのに、ちょっと、がっかりだ。
ミシェル・ベロフ ジャン=フィリップ・コラール 1982年
Michel Béroff    Jean-Philippe Collard



録音状態は良い。
カップリング:小組曲、交響曲ロ短調、6つの古代の墓碑銘、白と黒で、民謡の主題によるスコットランド行進曲、リンダラハ
当盤は、ドビュッシー「:小組曲」のピアノ版で、ミシェル・ベロフ、ジャン=フィリップ・コラールの連弾である。
フランスのピアノ作品には欠かせない2人のピアニストによる演奏で、とっても贅沢な盤だ。
CDジャケットを拝見していると、こんなにも変わるモノかねえ〜と、その風貌の変化に驚かされるが、82年当時は、ホント、今をときめくアイドルのようなお二人で〜 可愛くてキュートな演奏家だった。

ベロフさんは手の故障で、いったん休んでしまったし、二人とも、すっかりオジチャンになってしまっているがCDから流れてくるピアノの瑞々しさは、変わらない。
両名とも、とても若い頃の演奏だが、いつまでも瑞々しく、軽やかで爽やかな演奏で〜
ふむ、いつ聴いても良いモノだなあと思わせるCDとなっている。

さて、小組曲は、小舟にて(En Bateau)、行列(Cortège)、 メヌエット(Menuet)、バレエ(Ballet) という、小さな作品4曲が組曲になっている。
元々は、ピアノ版だったらしいが、アンリ・ビュッセルによって管弦楽用に編曲されている。

ワタシは、この冒頭の「小舟にて」のフレーズ、「どぉ〜ら〜 しらど〜 ど〜ら〜 しらみ〜〜 〜」という部分が大好きで、このワンフレーズだけで、小春日和気分となれる曲だ。
で、管弦楽版の方が、もちろん色彩的に広がりが生まれて、もっともっと曲の魅力があふれ出てくるのだが、このピアノも、すてがたいものがあって、連弾なのに、まるで1人で弾いているかのような感じで、呼吸と音質が整っている。
管弦楽版だと、水面のキラキラ度を表すハープが使われているが、そこはピアノ版。
直接的には水を感じないし、水そのものを表現されたような演奏ではないが、弾む気持ちが表れている。
行列では、フルートの二重奏 が、「らっしら〜 そふぁそ らっしら〜 しれどみ どれっ〜」というフレーズを吹いているのだが、ここもピアノしかない。「小舟にて」でも「行列」でも、高音域のピアノ音には、エッジの立ったキラキラ度はほとんど感じられない。
もっと水を表すのであれば、キラキラした感じが欲しい気もするが、まろやかだ。その癖、瑞々しさがあって、付点のリズムが楽しげに響く。ちょっぴりくすんでいるのだが、陰りを持たせてながらも、木漏れ日のような光の間合いが、ところどころで揺らぐところが、ドビュッシーらしいというか。
音の粒が小さくて、弾むリズミカルなところが、らしい。というか。

この小組曲を聴いていると、ワタシ的には、季節で言うと、春といえども、肌寒い早春の3月がイメージがする。特に、4曲目の「バレエ」 「しみ〜どぉ〜ら〜 しみみど  らぁ〜 そそそれ ふぁふぁふぁれ みみどれ〜」のリズムが、ハイ、とっても楽しい。
でも、この楽しさは、底抜けの明るさではなく、ホント、ほの暗く、殻を突き破って出てきたい。というような、軽やかだけど湿気があって、なかなか抜けきれない、まどろっこしさを感じる部分があって。
でも、なーんか、明るいっていう、不思議な感覚を感じる楽曲となっている。

ラヴェルのように、直接的にキラキラした演奏が欲しいわけでもないし〜 ワタシのなかで、ドビュッシーってちょっと色合いがムズカシイ作曲家なのだが、この小組曲は、肌寒いが、確実に春だ〜という季節にマッチしているような気がする。
淡い明るさ。寒さを感じながらも、なーんか、先が見えてきたような、ちょっぴり明るく、これからの暖かさを感じさせるような、そんな、季節の変わり目にあっているような曲かな。
で、そんなイメージが、このCDからも流れてきてて〜瑞々しい演奏だが、ちょっぴりくすんで穏やかで、落ち着いた演奏。
滋味なのだが優しく、そう、水温む(ぬるむ)って言葉が、あっているような演奏だと思う。
ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1991年
Yan Pascal Tortelier    Ulster Orchestra

まっ こんなモン

録音状態は良い。明るく柔らかく、楽天的な演奏で楽しいのだが、もう少し繊細であっても〜 嬉しいかもしれない。
ドビュッシー 管弦楽作品全集4枚組BOXより
当盤は、ドビュッシー「:小組曲」の管弦楽版である。
ワタシ的には、このトルトゥリエ盤は、録音状態が良いので、気に入って聴いている。
少し残響多めなので、その点は、好みが分かれるかもしれない。それに、演奏は、楽天的で陽気である。
えー こんなのドビュッシーじゃないよぉ。と、おっしゃるむきもあるかもしれない。

そうなのだ、第1曲の「小舟にて」は、う〜ん。冒頭のフレーズ
「どぉ〜ら〜 しらど〜 ら〜 しらみ〜〜〜〜 ふぁ〜ら〜 ふぁ〜 ら〜」
「し〜どぉ (そそみ そそみ そそみ そそみ そぉ〜)
「どぉ〜ら〜 しらど〜 ら〜 しらふぁ〜〜 そふぁ〜れどしっし らしどみ そみみ」
もう少し揺れて、分散和音を、綺麗に散らして欲しいな〜って思うし、キラキラした雰囲気が出てきても嬉しいかもしれない。ぼんやりしているという雰囲気はあるけれど、どこか、風呂場的に聞こえる。

ハープの音色が遠い。タメというか、間合いの一呼吸が速いしなあ。音の持ちが、わずかに早めで、惜しい。
(と、ワタシは勝手に思っている。 笑)

第2曲の「行列」にしても、アルスター管が悪いわけでもないとは思うが、音の像が、あまりクリアーではなく、フルートの旋律が際立ってこない。
第3曲の「メヌエット」は、あまりリズミカルにならず、さらっと流れていく。結構、平面的な演奏だ。
第4曲の「バレエ」は、トルトゥリエ盤の真骨頂というか、特徴がイチバン出てくる楽曲だと思う。だって、超楽しく聴けるんだもん。やっぱり陽気だし、華やかなのだ。
弾んだようなリズムや、明瞭な旋律美は描かないけれど、打楽器や管の音色が、とっても陽気で、良い意味で楽天的な響きがしている。楽しいドビュッシーが、だめなら仕方ないけれど、これはこれで有りかもしれないと思う。
もちろん、もっと、カッチリと演奏はしていただきたいけれど〜(笑)

総体的に言えることだが、 マルティノン盤は、くっきりとしたトレース線が浮かび上がってくる。
クリヴィヌ盤は、ソフトフォーカス的で、かなり違う響きがしており、湿気を帯びておりて音色が渋い。
トルトゥリエ盤は、ソフトフォーカス的で、柔らかい残響があり、音が丸く、楽天的で、陽気である。

ドビュッシー 管弦楽作品全集4枚組BOX トルトゥリエ アルスター管弦楽団

ディスク1

1〜3 交響詩「海」、4〜6 夜想曲、7〜8 交響組曲「春」、9 牧神の午後への前奏曲

ディスク2

1    映像 ジーグ、2〜4 映像 イベリア、5 映像 春のロンド、6 遊戯、7 カンマ

ディスク3

1〜6  おもちゃ箱、7〜12 子供の領分、13〜16 小組曲、17 スコットランド行進曲(管弦楽編)
18   スティリー風タランテラ(管弦楽編)

ディスク4

1〜3  幻想曲、4 クラリネットのための第1狂詩曲 クラリネット:クリストファー・キング Christopher King
5〜6  神聖な舞曲と世俗の舞曲(ハープと弦楽編)
7    サクソフォンと管弦楽のための狂詩曲 サクソフォン:ジェラルド・マクリスタル  Gerard McChrystal
8  サラバンド、9 喜びの島(管弦楽編)
10 レントよりもおそく(ツィンバロンと管弦楽編)ツィンバロン:デレク・ベル  Dereck Bell
11 ベルガマスク組曲 〜第3楽章 月の光〜 管弦楽編



1968年頃 パイヤール パイヤール室内管弦楽団 ★★★
1974年 マルティノン フランス国立放送管弦楽団 EMI ★★★★★
1994年、95年 クリヴィヌ 国立リヨン管弦楽団 De ★★★
1982年 ミシェル・ベロフ ジャン=フィリップ・コラール EMI ★★★★
1991年 トルトゥリエ アルスター管弦楽団  CHANDOS ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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