「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ディーリアス 「春初めてのカッコウを聞いて」
Delius: On Hearing the First Cuckoo in Spring


ノーマン・デル・マー ボーンマスシンフォニエッタ 1977年
Norman Del Mar
Bournemouth Sinfonietta 



録音状態は極めて良い。
ディーリアスの小品が、たっぷり収められており、すっと入って流れていく。大変柔らかく、奥行きもあって、目の前に広い世界現れてくるかのようだ。
 

このCDは、ディーリアスの管弦楽作品を集めたものである。カップリングは、下記のとおりとなっている。

1 「小管弦楽のための2つの小品(2 Pieces for Small Orchestra)」と題された2つの小品
  第1番 春初めてのカッコウを聞いて(春を告げるカッコウを聞いて)
                  On Hearing The First Cuckoo In Spring
2 第2番 川辺の夏の夜 Summer Night on the River
3 夜明け前の歌 A Song Before Sunrise 
4 2枚の水彩画 Two Aquarelles NO.1
5 同上 〃 Two Aquarelles NO.1 NO.2
6 付随音楽「ハッサン」〜間奏曲〜 (編曲:ビーチャム) Hassan: Intermezzo
7 同上         〜セレナード〜(編曲:〃) Hassan: Serenade
8 歌劇「イルメリン」  〜前奏曲〜 Prelude From 'Irmelin'
9 エリック・フェンビー Eric Fenby 弦楽四重奏曲第3楽章 〜遅いつばめ〜オケ版 Late Swallows
10歌劇「フェニモアとゲルダ」〜間奏曲〜(編曲:ビーチャム)
Intermezzo from 'Fennimore and Gerda'.

で、ワタシは輸入CDを購入したが、CDのジャケットは、ちょっと違うのだが、今は、ナクソスでも聴ける。
すごく恵まれた時代ですよねえ〜 手軽に、こんなに多くの楽曲が聴けるなんて〜
う〜ん。信じられないっ。まるで、PCが情報の宝庫ですもん。

春を告げる郭公とも呼ばれている曲だが、
「ふぁ〜みぃ〜 ふぁ〜」と、弦とクラリネットが吹かれたうえに、オーボエで、「そふぁれ そぉ〜ふぁ〜 みれし  みぃ〜れ」 ちょっと間を空けて、クラリネット 「ふぁ〜ららぁ〜」
弦 「ふぁ〜みぃ〜 ふぁ〜しぃ ふぁみ〜 どれ〜らし〜 られ〜らし〜 られ〜どふぁ〜」
クラリネットとオーボエ「みらふぁ みらふぁ・・・」と続く。

このオーボエさんの音色が透明度が高く、よく通るのだ。
断片的に、オーボエが入ってくるのだが、声が高めで、すきっとした音色だ。
録音状態が極めて良く、暖かさを持ちながらも、余韻を残しつつも、透き通っていくところが〜
絶句するほど、凄く気持ちが良く、凜としている。
ここのオーボエの音は、ホント、硬質感があるのに硬すぎず、もわっとした靄のなかから、その存在を主張してて、クラリネットの響きと共に、弱音の弦のなかを、すーっと滑るように流れてくる。
ツーンっとした響きとも言えちゃうぐらい、まだ肌寒いなかを、ものすごく清潔な音色を届けてくれる。

地面には、氷が、まだ溶けず、ヒンヤリした空気がすわーっと流れていくのに、頬にあたる空気は、柔らかく、ちょっぴり暖かい。そんな感じだ。
弦とクラリネットの余韻は柔らかい、特に、弦の響きは、ほんと、ふんわりしてて〜
そのくせ、冷たい水が、ちょろちょろ〜と流れくるような感じの世界観が広がる。
そんななか、クラリネットの郭公が、優しく柔らかく鳴いている。

77年と録音時期は古いのだが、そんなことがウソみたいに、録音状態は極めて良い。奥行きもあり、柔らかく余韻が残っている。芯のある柔らかい暖かい音質と、ひんやり〜した音が調和している。
このCDを聴いていると、地味な作品集だし、ついつい気持ちが緩んで・・・ えっ 今、どの曲を聴いているんだっけ。と、いつも、心ここにあらず〜状態になってしまうのだが。
よく似た楽曲というか、つれづれなるままに〜という感じで、流れていきますし〜 まっ それだけ、ふわーっと、自然界に、森林浴のように、散歩に出かけている感じがする。
避暑に出かけている感じというか、(あっ この曲は、シーズンは、春先なのでした・・・)
爽やかで、清々しく、俗にまみれず垢を落としたような気分になる1枚である。
マリナー アカデミー室内管弦楽団 1979年
(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ) 
Neville Marriner
Academy of St. Martin-in-the-Fields



録音状態は良い。暖かみのある音質で、柔らかく聞きやすい。カップリングは、下記のとおり。歌劇フェニモアとジェルダについては、ヒコックス指揮ロイヤル・フィル(1981年録音)の演奏である。

このCDは、「World of British Classics」という、英国のクラシックが、いっぱい詰まった特集CDで、その第5巻という位置づけになっている輸入盤である。

World of British Classics vol.5  マリナー 
1.春初めてのカッコウを聞いて
2.河の上の夏の夜
3.エアとダンス
4.歌劇「コアンガ」〜ラ・カリンダ〜
5.楽園への道
6.「ハッサン」〜間奏曲とセレナーデ〜
7.夜明け前の歌
8.歌劇「フェニモアとジェルダ」より 4曲 ディーリアスの曲が聴きたくなって購入したもので、通常、あまりカップリングされていない曲も収録されている。とても暖かい音質のCDで、A・デイヴィス盤も良かったけれど、マリナー盤は、もっと厚めの音で、優美であり、ほんわかしている。
特に、低音の響きが豊かだし、流れが柔らかく、聞きやすい。

「れ ふぁ みぃ〜ふぁ  そふぁれそぉ〜ふぁ みれしふぁ〜みぃ」
「れ ら〜」 
「ふぁみ〜ふぁし〜 ふぁみ〜 ふぁし〜 どれ〜 らし〜」 
「どれ〜どふぁ られ〜 どふぁ〜 らふぁみ らふぁみ れ〜どしら」 
4分の6拍子なんだろうけど、拍感覚が、すごく柔らかく、そのくせ、揺れ具合が、なんて言うか。
タタタ タタタと、詰めるところと、長めのところを強調した、合わせ技のような演奏だ。

ワタシ的には、この拍感覚については、マリナー盤が、しっくりしている。
マリナー盤は、線の細めの緻密に描いた水彩画というよりは、少し厚めの、ざっくり型の演奏には聞こえちゃうが、手慣れた演奏で、素朴で、安定感を感じを受ける。
聴かせどころは、しっかりポイントを押さえているが、全体的にはソフトタッチなのである。
横流れ主体というか、耳に心地良いフレーズを浮かばせているような。
(あくまでも、そんな気がするという範囲だけど〜)

旋律的に主となるものを、マリナー盤は、より一層浮かせているような感じがするし、ワタシ的には取っつきやすい。耳に馴染みやすいというか・・・。
全体的に、ふわ〜っとした、まどろみのなかの世界なのだが、沈んだり、浮かんだりするフレーズが、まだ解りやすい輪郭と強弱が付いているような感じがする。
A・デイヴィス盤は、茫洋としている点は同じなんだけど、厚みが薄めで、 硬め。
どことなく、緻密で、クールな抽象画という感じがした。強調したいフレーズは、しっかり描かれており、全体として、精密的に描かれているし、横流れより縦型というか。ディーリアスとしては、どっちが良いのか。イマイチ解らないが、和音としては、現代的だな〜という印象を受けるのは、デイヴィス盤だし、いろんな細かいフレーズを聴き取りたいのであれば、デイヴィス盤だろうなあ。

受ける印象は、感覚的だが、まるで温度感が違うし、CDジャケットから受ける印象と同じように、演奏が違うってわけで、マリナー盤は、家庭的な、アットホームな演奏というか、パステルカラー風水彩画だし、デイヴィス盤は、朝靄の芸術的写真だし〜 このCDジャケットと同じように演奏も違う。(笑)
ワタシ的なヒトリヨガリの好みかもしれませんが、初心者向けは、マリナー盤かもしれません。
朝ドラのオープニング曲に最適な、歌劇「コアンガ」〜ラ・カリンダ〜という曲も収録しているし、結構、聴くと爽やかで、楽しいです。(笑)
アンドルー・デイヴィス BBC交響楽団 1992年
Andrew Davis    The BBC Symphony Orchestra



録音状態は良い。ふわ〜っと朝靄に包まれた草原のなかで、穏やかに郭公(かっこう)が鳴いているという、すこぶる牧歌的な曲であるが、強調したいフレーズは、しっかり鳴っている。カップリングは下記のとおり。

当CDはオムニバスになっており、タイトルは、「愛の挨拶 〜イギリスの優しき調べ〜」である。
イギリスの作曲家、ディーリアス、エルガー、ブリテン、V・ウィリアムスの管弦楽曲が収録されている。
詳細は下記のとおり。
  
1  ディーリアス 春初めてのカッコウを聞いて
2  ディーリアス 川辺の夏の夜(河の上の夏の夜)
3  エルガー   夢の子供たち
4  エルガー 弦楽のためのエナジー
5  エルガー ため息
6  エルガー 朝の歌
7  エルガー 夜の歌道化
8  エルガー エニグマ変奏曲〜ニムロッド〜
9  エルガー 愛の挨拶
10 エルガー 弦楽セレナード
11 ブリテン 4つの海の間奏曲〜夜明け〜
12 ブリテン 4つの海の間奏曲〜月光〜
13 V・ウイリアムズ 揚げひばり

春初めてのカッコウを聞いて〜という曲は、カッコウの鳴き声が、曲のなかに、ふわっと入っている曲である。
何とも言えない、不可思議な曲で、水彩画のような風景画のような曲だ。
う〜ん アッサリ気味のタッチで、さらり〜と描かれた印象派的な音楽とでも言おうか。

事象の輪郭が、周りの風景、光に溶け込み、とろけてなくなった音楽というか・・・。
とにかく、主たる旋律が、何を言いたいのか、積極的に言わずに受け止める人が、感じてくれるままに感じてください。と提示されている作品とでもいうか。

弦が伴奏にまわって、ホルンと木管によって冒頭の旋律が吹かれる。
その後、弦が旋律を受け持つが、すぐにクラリネットに受け渡され、また弦に戻る。
木管主体であり、高音域の弦 すなわちヴァイオリンは、すわ〜っと暖かい雰囲気を醸し出す楽器になっていると言えるかも。

「ふぁっ〜 みぃ〜 ふぁっ  そふぁれ そ〜ふぁ みれし ふぁ〜みぃ」
「ふぁっ〜 みぃ〜 ふぁみ どし〜 ふぁみ〜 ふぁし〜 どれ〜 ら〜し どれ〜 らし」
「られ〜 どふぁ〜 られ〜 どふぁ〜」・・・
「れど〜し しら〜そら れど〜しら そ らそ〜」とヴァイオリンが奏でているが、う〜ん。
やっぱり、高音域が主体になるのではなく、郭公は、木管が担当です。

う〜ん。明確な旋律がないというか、水のなかで浮いた感じのするような浮遊感の漂う音楽である。
ところどころ、カッコウの鳴き声が聞こえる。ふぁっし ふぁっし〜と鳴いているのだ。
う〜ん。ドイツ臭い音楽を聴き馴染んだ耳には、うっ。なんじゃーこれ。と叫んでしまうのだが、しかし。
何度か繰り返しているうちに、確かに、カッコウの鳴き声だよなあ。と納得させられてしまう。
はあ。牧歌的だが、弦と木管しか奏でておらず、メチャメチャ平和的な世界が広がっているのだ。

「どふぁみ どふぁみ どぉ〜らら」。なんて、木管にて奏でられてしまうと、眠くなるというか、実際に眠いのだが、のどかな〜 広い牧草地が、すわ〜っと目の前に広がっていく、その広がり方が、突然なのである。
何度か繰り返してホント聞くと、憑きものが落ちたみたいに、すわーっと広がるのだ。
なーんでしょねえ。この唐突さは。
何度か繰り返して作業しているうちに、あっ そうかあ。とガッテンっ。と解る瞬間なんでしょうねえ。
まっ 音楽を聞いているうちに、ガッテン。しちゃう瞬間が、ありますもんね。

でも〜初めは、馴染めないんですよ。このフレーズの無さが・・・。
えっ なんやこれ。環境音楽か? 旋律は、和音は、リズムは? えっ どーなってるの? と、いつもとは馴染みになっているクラッシックとしての要素が、感じられず、超不安な気分に陥る。
が〜 しかし・・・。これ、耳に馴れると、すこぶる気持ちが良い。
○○セラピーとか、エステサロンで、ボディーマッサージでも受けているような気持ちで、ハイ、とろりん。
ついつい、眠りたくなってしまった。まっ クラシックとは・・・なーんていう既成概念をとっぱらう必要に迫られるかもしれない楽曲です。

わずか、6分弱の楽曲である。「そっふぁ そっふぁ〜 そっふぁ そっふぁ〜」と、繰り返し吹かれる鳴き声は、まさしく、耳にしたことがある、郭公(かっこう)の鳴き声である。 こんなに、のどかで良いんですかねえ。
作曲家ご本人は、放蕩息子って言うことばを、地で行っちゃった〜という人生なんだそうですが、 作られた曲は、はあ。
この曲に限って言えば、郭公の鳴き声とともにシアワセな気分になります。

適度に、艶も適度にあって、ゆったりしたテンポながら、弦のアクセントをつけすぎることなく、つけて〜揺らめきを持たせている。透明度は必ずしも高くないものの、高くないところが、オツなのかもしれないです 。

幻想的な雰囲気すら漂い、朝靄、木々からの水蒸気が、ふわーっと昇って、薄い陽射しが射しこんでくるような草原がイメージされます。
現代音楽の過激なパーカッション演奏でもないし、すこぶる牧歌的で、しずかーに聞くには、恐ろしいほど胸に迫ってくる曲かもしれません。木管を担当している演奏家が、好きになりそうな楽曲でしょうか。

A・デイヴィス版は、アンサンブルが、茫洋としすぎるかもしれないですし、最初に聴くには、ちょっと、とらえどころが無いような感じがするので、う〜ん。マズイかもしれません。

「春初めてのカッコウを聞いて」に続いて流れてくるのは、「河の上の夏の夜」というです。
この曲が、う〜ん、あんまりワカンナイんですよ。私には風景が見えてこないというか〜
いつも、ぽわ〜と聞き流してしまって。ありゃ なんだっけ。いつも、あまり印象に残らずにおります。(笑)
このディーリアスの曲だけではなく、エルガー、ブリテンの曲も、穏やかというか、中庸すぎるというか、柔らかい日射しで、ぼわ〜っとした雰囲気の曲が流れてきますので、う〜ん、メリハリに欠けちゃうんです。

で、ワタシ的には、選曲的には、A・デイヴィス盤にもお得感があるのですが・・・
最初に聴くなら、ワタシ的には、マリナー盤をお薦めします。
1977年 ノーマン・デル・マー ボーンマスシンフォニエッタ Chandos ★★★★★
1979年 マリナー アカデミー室内管弦楽団 Dec ★★★★★
1992年 A・デイヴィス BBC交響楽団 ★★★
所有盤を整理中です。

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