「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドヴォルザーク チェコ組曲
Dvorak: Czech Suite


ドラティ デトロイト交響楽団 1980年
Antal Dorati
Detroit Symphony Orchestra

録音状態は良い。
カップリング:
ドヴォルザーク スラブ舞曲op.46(全8曲)、 スラヴ舞曲集op.72(全8曲)、チェコ組曲、アメリカ組曲、プラハ・ワルツ、ポロネーズ、ポルカ「プラハ学生のために」、ノットゥルノ、スラブ狂詩曲
2枚組BOX ロイヤル・フィル、デトロイト交響楽団

ドヴォルザーク チェコ組曲 Czech Suite(Česká suita)Op.39
1 前奏曲(パストラーレ)
2 ポルカ
3 メヌエット(ソウセツカー)
4 ロマンス
5 終曲(フリアント)

1 前奏曲 
ファゴットの音だと思うが、通奏低音のように「みふぁ〜 みふぁ〜 みふぁ〜」と鳴っている。
この「みふぁ〜 みふぁ〜」が、「ぶか〜ぶか〜」っと、フイゴのように動いているのだ。
生き物のような感覚があり、この揺りかごのようなリズムのうえで、ヴァイオリンが遊ぶ。
ドラティ盤では、弦を中心にした旋律が、ゆらめいて鳴ってくるのだが、リズムが底辺に潜んでいて、これが非常に心地良く感じられる。
ふわ〜っと幻想的に奏でられるヴァイオリンが、「そ〜しら そらふぁれ みれど しら そし らそふぁ〜 そみ れふぁ み〜」 まるで、まどろみのなかに響いてくるようだ。
のっけから、これはヤラレタ〜。ガーディナー盤とは、うってかわって、とっても柔らかく暖かみがある。
舞曲の幕開け的なフレーズだが、ドラティ盤で聴くと、いやいや、まどろみでしょ。まだ。
木管が、ふわっとしつつも絡みついてきて、音の広がりが宙に浮いているようで。
浮遊感があり、音が丸みを帯びて漂っている。この浮遊感がどこからくるのやら・・・。この世のモノとは思えないほど。音というよりも、響きだなあ。って思う。

2 ポルカ 
のだめカンタービレ(ドラマ版 パリ・プラハ編の冒頭)に使用されていた 曲だが、おそらくTVでは、マーツァルさんの振っていたチェコ・フィルが使われているのだろう。(残念ながら所有していない)
で、先程の楽曲が、浮遊感たっぷりだったのだが、この曲も、ポルカといいつつ土俗性など皆無だ。
「み〜ふぁそら しっしら〜 そみふぁそら しっしら〜」 
音が広がって、ドーム型の天上へ舞い上がっていくような雰囲気を持っている。
「そ〜みふぁそ しっしぃら〜 しっしぃら〜」と、弦の揺りかごが大きく振られて、なだらかなレガートと、跳ねる部分が、しっかりついているのだが、総じて柔らかい。
チェロが、「しっれ ど〜ら そらしっ らしど しっれ ど〜ら そらしら〜」と、幾分強めに弾かれているが、柔らかく包み込むフレーズを奏でてくる。
全体的にスラーがかかっており、ヴァイオリンの弦が、多少メリハリをつけているが、低弦は、とっても柔らかい、すーっとしたフレーズづくりだ。それでいて、音が広がる。
ガーディナー盤は、柔らかいモノの芯が太く、幾分縦糸重視で構成されていたけれど、ドラティさんのは横線が、ふわーっと流れていく。
「そぉ〜 そし しそしそしそ れ〜 れふぁふぁれ れふぁふぁれ〜」と、ハープのような響きを持つピチカートの部分は、幾分速め。弦がばらけそうになるほど、流れていくけれど、これがまた小気味よい。
ちょっぴり、はしょり気味だが、 そ・れ・ど・そみみ・・・と、1つの塊になって転がっていく。
このあたりの即興性というか優美さ、軽妙さが、たまりませんねぇ。
ガチガチに振られるより、ずーっと心地良くって、ふふっ。思わず聞き惚れてしまった。

3〜5 メヌエット、ロマンス、終曲(フリアント)
ずっと言っているように、しなやかで柔らかく、音色が暖かい。
おおらかな雰囲気を持っていて、メランコリックではあるものの明るい。
メヌエットも穏やかで優美だし、ロマンスでのフルートは、丁寧に奏でられている。終曲(フリアント) は、テンポが速いが、弦の柔らかいフレーズに呑み込まれてしまう。
優美な踊りで、ぱらら らっら〜 ぱらら らっら〜っと進む。
丁寧に縦糸をあわせてっというよりは、横糸が、柔らかいものの波打ってきて、段々と大きくなり、また終息してきて、その運動熱さが、じわ〜っと伝わってくるようだ
金管に派手さは無いけれど、弦が段々に速いパッセージになって熱くなってくる。
タラ ラッタタぁ〜 ティンパニーや低弦の重さ、そこに「ロマ」(ジプシー)風の弦の激しさを加味してくるのだけど、ド派手にならず優美だ。調が変わるところも、渦が巻くようなところも〜 優美だ。
で、最後、コラールを歌うように締めくくってくる。

派手さより、しなやかな優美さで軽やかに、そのくせ、ちょっぴりメランコリックに奏でられている。
メロディ重視、旋律が歌っているので、とても乗りやすい。
ガーディナー盤が、硬めで暗めで、かっしりしているのに比べて、デトロイト響の明るく、弦の優しい響きが、揺れながら漂っている方が、とっつきやすいし親しみが持てる。
この旋律の彩は、う〜ん。やっぱドラティさんは巧いっ。こりゃ、もっと聴いてもらいたい楽曲だと思う。

で、ドラティ盤は、スラヴ舞曲2作品全曲だけという盤もあるし((同曲を確か3回録音していたと思う)、交響曲とカップリングされているモノもあるようだ。
もし、ドヴォルザーク、または、スラヴ系の舞曲に興味が湧いているのなら、この2枚組の方が結局はお得かもしれない。スラブ舞曲もお薦め演奏だし、アメリカ組曲も、吹奏楽でも取り上げられても、よさそうなご機嫌な楽曲である。


ガーディナー 北ドイツ放送交響楽団 1992年
John Eliot Gardiner
Hamburg North German Radio Symphony Orchestra
(NDR Sinfonieorchester Hamburg)

録音状態は良い。スラヴ舞曲の続編的な存在で、全曲舞曲なのだが、ちょっぴり硬め。
カップリング:ドヴォルザーク 交響的変奏曲、チェコ組曲、ブラームス ハンガリー舞曲9曲

1 前奏曲 
ファゴットの音だと思うが、通奏低音のように「みふぁ〜 みふぁ〜 みふぁ〜」と鳴っているうえに、ヴァイオリンで、「そ〜しら そらふぁれ みれど しら そし らそふぁ〜 そみ れふぁ み〜」
舞曲の幕開けのような軽やかな調べが流れてくる。
ふぁ〜 と弦が鳴っているなかを、木管、オーボエでフレーズを吹いてくる。
通奏低音のような、常に流れている音があって、そこに、フレーズを重ねていく。音の広がりと、重ね方、これが試されているような感じの楽曲だ。
録音状態も良いし、ガーディナー盤は、楽器が変わっても、常に同じ音量が流れているような感じがする。このすーっと空気が通っているような音が、ふむ。すご〜く気持ち良い。

2 ポルカ
この楽曲が、「のだめカンタービレ(ドラマ版 のだめカンタービレ Lesson1)」の冒頭に使用されていた。
「み〜ふぁそら しっしら〜 そみふぁそら しっしら〜」 
妖精が舞うような軽やかな出だしで、室内楽的な響きを持つ楽曲である。
酔っぱらいのオッチャンが踊るような楽曲ポルカもあるが、これは、メチャふんわかしており、弱音で奏でられる。物憂げで、メランコリック、抒情的で〜 地面に足が着いているのな〜って思うほどの楽曲だ。
こりゃ、ホントに、お祭り風に踊るモノ楽曲ではない。もし、どーしても踊るのであれば、バレエぐらいでしょ。そうでないと、こんな足が地面につかないような風情には、ならないような気がするんだけど・・・。
↑ 何をのたまうか。と専門家に怒られそうだが、ホント、そんな風に聞こえるんだもん。

3 メヌエット(ソウセツカー)
スラヴ舞曲を詳しく聞き込んでないので、さーっぱりわからない。ドゥムカ、オドゼメックなどと、舞曲に種類があるらしいのだが、そのメヌエット版らしい。3拍子としか、う〜ん。わからない。(泣)
クラリネットが美しく響き、低音の響きが、ちょっぴり硬め。
「たらっ た〜」っと鳴るが、その最初が爪でひっかいたように聞こえる。

4 ロマンス
フルートが主となって「み〜ら〜み どみれどし れ〜どしら」と奏でられるが、そこにクラリネットが絡み、和音を作っている。甘いのだが、べとっとしておらず、まるで小鳥のようだ。弦が伴奏にまわっている。
ここまで聴いて、あ〜これ全て舞曲なんだ。と感じた次第。これはワルツ風。
調べてみたら、スラヴ舞曲集の続きに作曲されたらしい。はあ。なるほどね。
でも、スラヴとチェコでは、恐らく雰囲気が違うんだろうなあ〜。もっと民族が複雑に入り組んでいる筈だから、恐らく、同じだと思っちゃマズイのだと思う。でも、その違いは。う〜んワカリマセン。

5 終曲(フリアント)
これも、「のだめ」に使われていた曲である。
弦が流れるように使われているが、この曲だけ、金管、ティンパニーが使われている。
オーボエ 「っしっし〜どれみっみ〜ふぁっそら ふぁっふぁ〜」
弦 「れっれ〜 みふぁ そら ふぁっふぁ〜」
この「っ」が、難しいっ。すぐに口ずさめるのだが、この付点なぁ、書いて表現するのは難しいっ。

軽快な音楽だが、ガーディナー盤は、ちょっぴり硬め。硬いというよりは重いのかもしれない。
ティンパニーがよく響いているし、トランペットは渋いっ。楽曲のフレーズに強弱がついており、「みふぁそ〜 らそ ふぁふぁふぁみっ」と、華やかにフィナーレを飾って行こうとするするのだが、やっぱ物憂げ。
最後には調が変わって、長調になっているが。総体的に、メランコリックな楽曲である。
「そらふぁっふぁ〜 みふぁ そらふぁふぁ〜 どれっしっし〜」

ガーディナーさんが、北ドイツ放送交響楽団に就任した際に録音した盤だったと思う。また、グラモフォンが4Dという手法で、録音した最初の盤だったように記憶している。
まあ、ガーディナーさんが振るのは、とっても珍しいような楽曲ばかりで・・・。ちょっぴり驚いた。 とても民族色の強い楽曲なので、この曲を振るのは、果敢な挑戦の筈。 で、ドラティ盤と比べてしまうと。う〜ん。やっぱ勝負にならないみたいだけど。(ゴメンナサイ) 
ちょっぴり几帳面で、硬さがあり、楷書体風、教科書体風かな。スリムな造形美とでも言うべきかなあ。確かに、美しいのだけど〜 でも、なんだか気質が違うので勝負にならないようだ。
まあ、 録音も残響がほどよく入っており、頑張ってるとは思うんですけど。


フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 1999年
 Iván Fischer
Budapest Festival Orchestra

録音状態は良い。爽やかな小品、楽曲が収録されている。

カップリング:
1〜10 ドヴォルザーク「伝説」(作品番号59 B122)
11 ドヴォルザーク「弦楽のためのノットゥルノ ロ長調」(作品番号40 B47)
12〜15 ドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」(作品番号75a B149)
16 ドヴォルザーク「プラハ・ワルツ」(B99)
ドヴォルザークの管弦楽曲の小品を集めたフィッシャーさんのCDである。
普段あまり聴かない小品だが、とっても爽やかで穏やかな楽曲だ。ドラティのデトロイト交響楽団との、チェコ組曲などが収められた2枚組BOXもあるが、このフィッシャー盤は、ペンギン・ガイド・ロゼット・コレクションからの1枚である。
ドヴォルザークの楽曲は、音楽学者のブルグハウゼル(ブルグハウザー)が作成した作品目録の番号があり、「B番号(ブルグハウゼル番号)」で整理されている。 プラハ・ワルツのように、作品番号が付けられていない作品もあるようだ。

ウィキペディア(Wikipedia)を見てみると、「伝説」について掲載があり、伝説または伝説曲(チェコ語: Legendy)作品59(B.122)は、まず4手用ピアノ曲として1888年作曲された後、小規模なオーケストラのために編曲されたそうである。
管弦楽版はあまり演奏されないが、全曲としてよりも、抜粋されて演奏されることはあるみたい〜。

小品ですが、10曲に分かれており、全曲を通して演奏するのに、約40分の曲となっている。
Allegretto non troppo, quasi andantino (ニ短調)
Molto moderato (ト長調)
Allegro giusto (ト短調)
Molto maestoso (ハ長調)
Allegro giusto (変イ長調)
Allegro con moto (嬰ハ短調)
Allegretto grazioso (イ長調)
Un poco allegretto (ヘ長調)
Andante con moto (ニ長調)
Andante (変ロ短調)

のだめカンタービレの実写版で、冒頭に使われていたのはチェコ組曲だが、それに雰囲気が似て、さらっと、春のような雰囲気があるというか、初夏のような爽やかさがあるというか、さらっと聴けてしまう。
伝説は、クーベリック盤(イギリス室内管弦楽団)もあるようだが、確かに、あまり知名度は高くないみたい。
他にも、発売されているとは思うのだが・・・。

アクの強さがなく、熱いスラヴ舞曲集みたいな、ノリノリ感は、ほとんどない。
まあ、なんとなく聴けちゃうので感想を書くのは難しく〜 弦の柔らかいフレージングが、とても素朴で懐かしさを感じさせる優しい楽曲だ。室内楽的な雰囲気もあるので、これを聴いて不快に、怒る人もいないだろうと思う。
さらさら〜っと流れていくので、BGMっぽくなるんだけど、弦楽合奏のような、もちろん、ホルンの音色も聴けるので管弦楽曲なんだけど、主体は弦である。チェロの音質も良いし、まろやかさがあり、癒やされ、すっと肩の力が抜けるような曲が、次から次へと、おしげもなく続く。
フッシャー盤で聴くと、草原のピクニックのお供にどうぞ〜という感じだ。
(いまどき、ピクニックに行く若者は、ほとんど、いないでしょうけど・・・笑)

ホント、耳にとても優しい楽曲で、もともと連弾用のピアノ曲だというが、聴いている限りでは、ピアノの楽曲とは、想像しづらい。ちょっと40分もかかると(フィッシャー盤は、39分44秒のクレジット)
さすがに、優しい楽曲に、慣れきってしまって、耳がお留守になってしまいがちなのだが、これは、ワタシの不徳の致すところ。
プラハ・ワルツも、新年に流れてくるウィーン楽友協会でのウィーン・フィル ニューイヤーコンサートのような華やかさはないものの、いやいや、なかなか美しいハーモニーで、負けてないと思う。
小品だけど、なかなかに佳い小品集なので、ご紹介した次第です。ほとんど聞き込めてないので、また、再度聴く機会があれば、そのときに、追記させていただきます。(謝)


1980年 ドラティ デトロイト交響楽団 Dec ★★★★★
1992年 ガーディナー 北ドイツ放送交響楽団 ★★★
1999年 フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 Ph ★★★★★
所有盤を整理中です。

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