「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 グリーグ 劇付随音楽「ペール・ギュント」
Grieg: Peer Gynt


グリーグの「ペール・ギュント」(作品23)は、ヘンリック・イプセンが、1867年に書いた戯曲「ペール・ギュント」のために作曲した劇付随音楽です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
もともとは、上演を目的としないドラマだったそうですが、舞台で上演することになったため、1874年に、当時作曲家として名を上げつつあったグリーグに、劇音楽の作曲を依頼したのだそうです。で、1875年に完成。その後、改訂を繰り返しており、全曲版が出版されたのは、かなり後のこと。

あらすじは〜 自由奔放なペール・ギュントが旅に出て年老いて帰ってくるまでの物語で、全5幕
落ちぶれた豪農の息子で、母と共に暮らしている夢見がちな男ペール・ギュントは、かつての恋人イングリを結婚式から奪取して逃亡します。
しかし、イングリに飽きたら彼女を捨て、トロルの娘と婚礼寸前まで行くが逃げ出します。純情な女ソルヴェイと恋に落ちますが、彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。
山師のようなことをやって、金を儲けては無一文になったり、精神病院で皇帝になったり、遍歴した後に、老いて帰郷します。死を意識しながら故郷を散策していると、ボタン職人と出会い、彼は天国に行くような大の善人でもなく、地獄に行くほどの大悪党でもない「中庸」の人間を、ボタンに溶かし込む役割の職人でした。
「末路がボタン」というのだけは御免だと、ペール・ギュントは、善悪を問わず、自分が中庸ではなかったことを証明しようと駆けずり回るが、トロルの王も「やせた男」も、それを証明してくれませんでした。
彼は、最後の証人として会ったソルヴェイに子守唄を歌ってもらいながら永眠する・・・というもの。

ん? ボタン職人って、出てきたっけ?
イプセンの戯曲には、ボタン職人が登場するのかもしれませんが、グリーグの楽曲は、ペール・ギュントが帰郷するときに海が荒れて難破して、小屋でソルヴェィグが歌っている〜 で、終わりだったと思うのですが、ま、ここは、中庸の人間ではなく、破天荒に生きたい。と願う人の気持ちの、劇でのオチの部分なのかもしれません。(←ワタシの推測です)

全曲版になると、編成は大きく ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、大太鼓、小太鼓、シンバル、タムタム、トライアングル、タンブリン、シロフォン、鐘、ハープ、オルガン、ピアノ、ハリングフェーレ(またはヴィオラ独奏)、弦五部、独唱、合唱というもの。
組曲版でも、おおよそ同じ編成ですが、声楽やオルガン、ピアノなどは省かれています。

全曲版だと、N・ヤルヴィさんの2枚組BOXがお薦めかな〜と思いますが、時間にすると1時間半ぐらいでしょうか。
とっても、リアルで面白いのですが、なにせ長い。で、まずは、聴き慣れた曲が詰まった組曲版(8曲)をお薦めします。

カラヤン ベルリン・フィル 1982年
Herbert von Karajan   Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。透明度の高い、涼しい硬質感のある演奏である。 妖艶で官能的、ダイナミックで劇的効果も抜群。陶酔型とイッパイ、いろんな要素が詰まっていて、ちょっとしたオペラを見ているような気分に陥ってしまう。これは、やられた〜
カップリング:シベリウス 劇付随音楽「ペレアスとメリザンド」

グリーグ 組曲「ペール・ギュント」 カラヤン盤では、第1組曲と第2組曲の計8曲が収録されている。

1 朝
2 オーセの死
3 アニトラの踊り
4 山の魔王の宮殿にて
5 イングリッドの嘆き
6 アラビアの踊り
7 ペール・ギュントの帰郷
8 ソルヴェイグの歌

1 朝
ハイ、このカラヤン盤のイメージで騙されたました。という感じで、グラモフォンのCDジャケットと共に、てっきりワタシは、北欧山岳地帯の朝をイメージを、自分の頭のなかに定着させてしまったのである。
いやいや、誇張ではない。
この演奏を聴いていると、ひんやりとした爽やかな、涼しい空気が、目の前に広がってくる。朝って感じなんだよな。フルートとオーボエの音色と言い、あわさってくる弦の硬質の深みある音。
息の長い、音量を上げてくるスムーズさといい。う〜ん。やっぱ巧い。巧いよなあ。
リズムも杓子定規な3拍子ではなく、サクサクと進むところ、遅めのところと、ところどころテンポを変えている。高音域から低音へ下がるところの弦のアンサンブルもみごとだし、ホルンのまどろみの音といい、湖面の囁きのような、鳥の鳴き声のような木管のフレーズが、底に流れていて、う〜ん。深い。
クラリネットとの、パラパラパラ〜 という音色も、ふふふっ。素晴らしい。
視界が、一気に、ぐわ〜っっと広がる、この広がりが、やっぱりタマリマセンねえ。

2 オーセの死
弱音で奏でられ、緊張感を保ちながら息の長いフレーズを続けていく。
「そどれ〜 そどれ〜」「れそら〜 れそら〜」
「し〜ら〜そ らし どしら〜っ」っと、全部の息を吐き出し、そして、また息を吸い込んで、吐き出すように「れそら〜 れそら〜」
音を置いてくる3つの音の響き、ことに低弦の響きが良いし。
音の強弱が巧いし、なにより、吐いて〜吸って〜という音の呼吸にやられます。

3 アニトラの踊り
ピチカートの響きが、イマイチなのだが、まっ 80年代の録音なので、こんなモノか。
小声のピチカートも、低弦のピチカートも怪しくも美しいが、なにより、「そぉ〜ふぁ み〜ふぁ そぉ〜」
「ら〜し ど〜し どぉ〜」 と、ため息をつくような声で奏でられる語尾の美しさ。
女性の甘くて、ちょっぴり擦れた声が漏れてくるようで、妖艶すぎて悩殺される。
官能的すぎて〜 

4 山の魔王の宮殿にて
これも、激しさと妖艶な雰囲気を底辺に漂わせており圧巻だ。魔王の宮殿に入り込んだ主人公を、ぎゃーぎゃーっと攻め立てる魔王の手下たちの声が聞こえてきそうだ。
「そらしど れしれ〜 みどみっ れ〜」というフレーズが、段々とスケールアップ・テンポアップしていくのだが、カラヤン盤は、ある一瞬で、急速的にギアをチェンジする。
また、チェロとコントラバスのボンボンという響きが、フレーズのなかに織り込まれているのだが、テンポアップしていくなかで、ボンボンという響きが、不協和音も金管も打楽器も加わり、ぎゃーぎゃーに変わっていくところが凄い。すごいリアルなのだ。
「そらしど れしれ〜 (ぎゃーぎゃー うわぁ うわぁ ギャッ ギャッ ギャギャギャギャ ドギャ)」

5 「イングリッドの嘆き」
ここからは、第2組曲に変わる。
「みぃ〜そふぁそ〜 みぃ〜そふぁ〜そ みふぁみれ ふぁみっ」っと、シンバル付きで危険・危険っと言われているようなフレーズで始まる。
あとは、弦合奏で、「み〜 どし しどみれ〜 ど〜 どれふぁみ〜」と、嘆き節が聞こえてくる。
ゆったりと、深く沈痛な面持ちで奏でられ、大変美しい。
低弦の響きがことさら悲痛で、痛々しくも、美しくもあり、ものすごい響きが横たわって、美しい和音を響かせている。
この弦のボーイングは、どうなってるんだろう。切れ目が見えないし、1つの音のなかで、つけている強弱の幅が大きいし、フレーズのなかでも、大きく膨らませていく。
で、頂点を形成した大きな嘆きのなかで、ダダダダダ・・・と、入ってくるティンパニー。
こんな曲をつくる人も凄いけど、演奏している人も、演出力が必要だ〜と、つくづく思う。

6 アラビアの踊り
冒頭、ピッコロが二重奏で歌い出す。
「っら しらしど れどれみ みれどっ  っふぁ そふぁそら しらそ ふぁみれっ」
この冒頭で大太鼓が、小さく、ボンボンと入っているし、シンバルも小さくはいって、段々と行進が近づいてくる。
「れ どぉ〜らど れ〜ふぁれ どぉ〜 どっどっどぉ」
「れ どらどみふぁらそみ どぉ〜どっどっどぉ」
「しぃ〜 そみ どぉ〜みど どぉ〜どっどっどぉ」っていう異国風フレーズが奏でられるが、すごく力強く、
ジャンジャカ ジャ〜と鳴っている。
フレーズの可愛らしさと妖艶さ、粗野な荒らしさが詰まってて、相乗効果を生んで、華やか。
それが大袈裟なほど、馬鹿馬鹿しいほどに美しく演奏されて、唖然としてしまう。
歌謡風のフレーズ 「み〜みぃ〜 れ〜どしらみ〜」と、アルトの女性が歌っているかのように聞こえてくるところは、チェロが甘いっ。くらっとくるほど、甘いっ。絶品である。

7 ペール・ギュントの帰郷
「れ れれっそ〜 れっ れれっそ〜」  
「みっ みみっしし〜 みっ みみっしし〜」と、音が飛ぶ。
金管の「どっ そそ どっ れれれ どっ そそ どっ ・・・」と飛んでいくさまは、オペラみたいだ。
最初は、海のなかで船が弄ばれているのか、あまり派手に鳴らさず、暗闇の海の不気味さを表しているようだ。
半音で駆け下りてくるフレーズが、恐ろしい風、波が吹きあれ、ぶち当たっている様を描く。
そのくせ、途中で、あっ 岩に当たったっ。と思わせる場面もあるし、金管の吐き出したような音が、あ〜人が海に投げ出されているわ。と、いうようなイメージが浮かぶ。
(実際には、まだ難破してないようなのだ・・・ 全曲盤では、ホントは、続きがあるらしい)
でも、リアルだねえ。 ハイ、ここだけでもオペラを見ているような醍醐味があります。巧いっ。巧すぎ〜

8 ソルヴェイグの歌
続いて、最後、「みぃ〜どみらし〜 らそぉ〜 そ〜 みそどれ しぃ み〜」 と、最大限の母性を発揮した歌が流れてくる。これ以上の母性があるかしらん。涙なしには聴けない。
ハープが奏でられると、うぐぐ〜っ。優しく甘美で官能的。これ以上言葉は不要〜というレベルです。

2つの組曲が合わさっているものの、全部で8曲しかない。 しかし、このカラヤンの演奏だと、ホント、充分に堪能できる演奏で・・・。これは、やられた。 迫真の演技で、ホント、劇を見ている気分にさせてくれる一枚。
これだけ、たっぷり濃厚に演奏されると、耳だけでなく、五感が刺激される。絶賛しちゃう。拍手〜
デ・ワールト サンフランシスコ交響楽団 1982年〜83年
Edo de Waart
San Francisco Symphony
ソプラノ:エリー・アーメリング Elly Ameling

録音状態は まずまず。豊かな音響で、ダイナミックさもあり、弾力性もあるが、北欧の曲に期待するヒンヤリした空気感というのは、あまりない。アメーリングの声は美しい。
全12曲の抜粋盤 収録されている曲は、下記のとおり。

グリーグ ペール・ギュント デ・ワールト

1  第1幕への前奏曲
2  2幕への前奏曲(イングリッドの略奪と嘆き)
3  山の王の宮殿で
4  山の王の娘の踊り
5  オーセの死
6  第4幕への前奏曲(朝)
7  アラビアの踊り
8  アニトラの踊り
9  ソルヴェイグの歌
10 第5幕への前奏曲
   (ペール・ギュントの帰郷)
11 教会詣での人たちの歌
12 ソルヴェイグの子守歌

ペール・ギュントって、学校で習った「朝」が超有名曲で、CMなどにも使われているし、耳慣れている。
それに、ストーリーも知っていたつもりだったのだが、改めて、調べて読んでみると、うっそ〜っ!  この劇音楽「ペール・ギュント」の主人公は、トンデモナイ、いいかげんな人物なのである。
だって、道楽オヤジが金を使い果たして母親と貧乏暮らし。現実を直視できない夢想家の彼は、恋人を捨て、人の花嫁を奪って逃げて、あげくに捨てて〜  放浪の旅のあげく、魔物の住む山に向かい、散々の目に遭わされいったん帰国。母親死亡。 で、また、放浪の旅でアフリカへ。
モロッコで詐欺まがいのことを繰り返し、大金持ちになるものの、美しいアニトラには、身ぐるみ剥がされ、砂漠で置き去りに遭う。またまた放浪の果て、今度はアメリカで大金持ちになり、歳もとったし、さて故郷に帰ろうとした時、船は難破してしまう。また破産である。 なんとか故郷にたどり着いたら、昔の恋人は、盲目になりながらも彼の帰りを待っていた。

だは〜っ こんなハチャメチャなイプセンの劇、子供に教えちゃマズイよ。ホント。 グリーグは罪な人だ。
こんなとんでもない主人公の劇に、こんな綺麗な曲を作っちゃって〜  美化しすぎだ。
ホント、「朝」って曲は、主人公が、詐欺まがいのことを繰り返していたモロッコでの、朝なのである。
えーっ 気持ちよく、いままで休日の朝に聴いていたのに・・・ どうしてくれるんだ。
ノー天気に聴いてしまったじゃないか・・・。と、ちょっぴり文句を言いたくなってしまう。
(↑ これも身勝手な、ハチャメチャなコメントだけど 笑)

デ・ワールト盤では、12曲が収録されている。
一般的には、全曲版か組曲版であるのだが、全27曲から、12曲を選んで収録したものである。
この盤の特徴は、ソプラノのソロに、エリー・アーメリングさんを起用していることで、「ソルヴェイグの歌」では、その美しさ、儚さ、悲しさに思わずむせてしまう。

演奏は、太書きだが、丁寧な筆はこびで穏やかだ。しかし、どこか、北欧のひんやりとした空気感には欠けている。劇の内容が、結構ハチャメチャだし、奇想天外さがあっても良いだろうし。ホントは、劇のストーリーに沿って、荒々しさがあっても良いかもしれない。
デ・ワールト盤は、オケの音質は、暖かみのあるモノで、弾力性のある演奏だし、勇壮な感じと悲愴感も、ところどころ感じさせられる が、ちょっとワタシ的には、全体的には暑苦しいさと生ぬるさを感じさせる。
録音状態が、さほど透明度の高いものではないので、そう感じるのかもしれないんだけど。

1 第1幕への前奏曲
ヴァイオリン・ソロは、擦れた舞曲で、初め鳥が鳴いているのかと思うほど、ほぉ〜 ほぉ〜っと、唐突に音が出てくる。変なコミカルさを持った曲である。
「そぉ〜ど〜れみふぁ〜 そら らそそみど〜 どみ みれれし しそぉ〜」

2 第2幕への前奏曲(イングリットの略奪と嘆き)
「みぃ〜そふぁそ〜 みぃ〜そふぁ〜そ みれみふぁ みれみふぁ みれみっ」っと、シンバル付きで危険・危険っと言われているようなフレーズで出てくる。
そこからは、とっても沈んだ音で、イングリッドの悲しみの歌が奏でられる。
あっ ここは、ギュントが、自分の恋人を捨て、人の花嫁を奪って逃げていくところです。
音に重みはあるのだが、もっと、弦が、鋭角的で、もっと、深く掘り下げた音で奏でてくれても良いんだけどなあ。丸い。

3 山の王の宮殿で
「そらしど れしれ〜 みどみっ れ〜」というフレーズが、段々とスケールアップ、テンポアップしていく曲だが、最後、男性コーラスが入っている。
弦の響きがあまり良くないので、ちょっとがっかり。
ん ジャン ん ジャンっ ハイ、ダイナミックです。

4 山の王の娘の踊り
ドヴレ王の娘が、クネクネと腰を揺らして踊っているようなフレーズで、ンタタ んタタ と豪壮な太鼓が叩かれ、テンポアップして、熱く演奏される。重低音が魅力でもあるが、打楽器と木琴、木管の民族風フレーズが入っているのが聴きどころ。

5 オーセの死
「そぉどれぇ〜 そぉどれ〜 み〜れど れ〜み ふぁ〜み〜れ」
弦の合奏のみで、悲痛なフレーズで奏でられる。
シンプルなフレーズが、うねりを描きながら、深く、沈み込んでいく曲で、息の長さと深みをたたえながら描く。デ・ワールト盤では、温かい音だ。もっと、タイトでも悲痛さがあっても良いんだけどなあ。

6 第4幕への前奏曲(朝)
これは、おなじみの曲だ。
「どらそふぁそら どらそふぁそら どらど れられ み〜」
オーセの死と同様、短いフレーズを、大きなうねりで演奏されていく。演奏としては、まあ。こんなモノかな。

7 アラビアの踊り
合唱入りで演奏される。
「れ どぉ〜らど れ〜ふぁれ どぉ〜どっどっどぉ」
「れ どらどみふぁらそみ どぉ〜どっどっどぉ」
「しぃ〜 そみ どぉ〜みど どぉ〜どっどっどぉ」っていう異国風フレーズが奏でられ、タンバリンが細かく振られていく。
砂漠のなかの光景で、どこからともなく隊商が現れるのか、戯けた風なフレーズが続き、さてさて、予言者が登場する。「そぉ〜そそそ〜 そっれ〜 みれ そっれ〜みれ〜」
ソプラノ・ソロが、砂漠のなかの蜃気楼のように、風のように歌う。ノビのある声で、エキゾチックで、心がくすぐられる。
ここは、ドラマティックだし、いろんな楽器が使われてて〜 面白いのだが、ちょっと、ソロのマイクが近すぎオン状態で、全体的にアンバランスなんだけど。まっ 力強い演奏である。

8 アニトラの踊り
3拍子のワルツで、弦のピチカートが印象的なフレーズである。
「らそらし みれみっれ〜 どみどっしら〜」「そぉ〜ふぁ み〜ふぁそぉ〜」
あまり怪しげな雰囲気のしないアニトラさんの踊りで、結構サッパリ系。低音の響きはあるのだが妖艶さがちょっぴり不足。

9 ソルヴェイグの歌
これも超有名曲で、弦合奏のみで演奏されるが、この盤では、ソルヴェイグの悲しい歌が、アーメリングさんの絶頂期の声が聴ける。
「みぃ〜どみらし〜 らそぉ〜 そ〜 みそどれ しぃ み〜」
冬から春、夏へと1年が過ぎても、別れる時に約束したアナタの帰りを待っていると歌い、神の加護が、アナタにあるようにと祈り、また神の国で待っているのであれば、そこで会いましょうと歌っているらしい。
あー こんな奴を待って、けなげに祈るなんてぇ〜 止めなさい。と忠告したい気分になってしまう。
あー 悲しいっ。悲しすぎるわぁ。

10 第5幕への前奏曲 (ペール・ギュントの帰郷)
っれ れれっそ〜 れっ れっれそ〜  
みっ みみっら〜 みっ みみっら〜 と、音が飛ぶのだが、これは嵐の模様である。
ハイ、ソルヴェイグの歌に引きつけられたように、ペール・ギュントが船に乗って戻ってくるのだが、嵐に遭っちゃうのである。(ざまーみろ。天罰じゃーっ)
嵐の描写は、これはダイナミックに演奏されててい、金管の咆吼が気持ち良い。
ん タラン タラン タラン と、3つの音が上昇していく気持ちよさがある。

11 教会詣での人たちの歌
伴奏なしで、静かに讃美歌風の歌が、歌われる。 嵐で大変な目に遭っちゃって、ここで、反省しなさい。改悛しなさい。と、野放図に生きてきた人への戒めをしたいところなんですが〜 ソルヴェイグさんへの慰めなんでしょうかねえ。
平穏な安らぎが訪れる。

12 ソルヴェイグの子守歌
ここは、黙って耳を傾けましょうって感じだ。 ホント、優しいソルヴェイグさんの子守歌で幕を閉じるなんて〜ニクイ演出だ。

抜粋したデ・ワールト盤の良さが凝縮されているように思う。
組曲版だと、ストーリーが完全に飛んじゃう感じで、綺麗どころの曲を、つぎはぎしちゃった感も免れないし、しかし全曲聴くとなると、ご大層で2枚組になってしまう という、結構、CDを選ぶのは困ってしまう曲である。その点、ストーリー立てが巧いかな。と思う。
録音の点でいうと、リマスタリング盤が出ているのであれば、それを選ぶ方がお薦めである。
演奏自体は、まずまず〜かな。と思うが、合唱及びソプラノ・ソロについては、つい、うるっと来ちゃう。


ネーメ・ヤルヴィ エーテボリ交響楽団 1987年
Neeme Järvi   Göteborgs symfoniker
Gothenburg Symphony Orchestra)

録音状態は良い。組曲版とは全く次元が異なり、劇をみているかのような、リアルで、土俗性が高く、劇的効果ばっちりの盤。

← 全曲版
ソプラノ:バーバラ・ボニー
メゾ・ソプラノ:マリアンヌ・エクレーヴ
バリトン:ウルバン・マルムベルイ
カール・グスタヴ・ホルムグレン
カップリング:グリーグ 十字軍王シーグル

← 同じく、ネーメ・ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団盤
カップリングが異なっており1枚ものである。
こちらは、組曲「ペール・ギュント」、組曲「ホルベアの時代から」1〜5曲、組曲「十字軍の兵士シグール」1から3曲が、収録されている。同じソフトなので、購入する際には、カップリングで選んでください。
グリーグ ペール・ギュント ネーメ・ヤルヴィ 全曲版

1  婚礼の場にて (第1幕前奏曲)
2  ハリング (第2場と第3場)
3  スプリンガル (第3場)
4  花嫁略奪 : イングリの愁訴 (第2幕前奏曲)
5  ペール・ギュントと山羊追いの女達 (第3場)
6  ペール・ギュントと緑衣の女 (第5場への導入)
7  「育ちのよさは馬具みりゃわかる」 (第5場の結び)
8  ドヴレ山の魔王の広間にて (第6場の開始)
9  ドヴレ山の魔王の娘の踊り (第6場)
10 ペールはトロルに追い回される (第6場)
11 ペール・ギュントとベイグ (第7場)
12 オーセの死 (第3幕前奏曲)
13 (第3幕 第4場の中)
14 朝のすがすがしさ (第4幕前奏曲)
15 泥棒と盗品買い (第5場)
16 アラビアの踊り (第6場)
17 アニトラの踊り (第6場)
18 ペールのセレナーデ (第7場)
19 ペール・ギュントとアニトラ (第8場)
20 ソールヴェイの歌 (第10場)
21 メムノン像の前のペール・ギュント (第11場への導入)
22 ペール・ギュントの帰郷 : 夕方の嵐の海 (第5幕前奏曲)
23 難破 (第1場と第2場の間)
24 小屋でソールヴェイが歌っている (第5場)
25 夜のシーン (第6場)
26 ペンテコステ賛美歌 「祝福の朝なり」 (第10場)
27 ソールヴェイの子守歌 (第10場)

ペール・ギュントは、組曲として、1・2を収録したものが一般に流布しているし、全曲版と、うたっていても、一部割愛されているものもあるのだが、ヤルヴィ盤は、5番目の山羊追いの女達から、歌が入ってくるので、まるで劇を見ているような感じになる。
さながら、サウンドトラック盤ってところだろうか。演奏も、かなりリアルだ。
インデックスは27に分割されており、これぞ、ペール・ギュント完全版っていう盤である。
(インデックス13番目は、台詞である)
シャンシャン、ドンドン、どひゃ〜ん。 ハイ、ホントに劇を収録したのかな〜というような、劇的効果抜群の盤で、ワタシには、原語は解らないのだが・・・。組曲版を聴き馴染んでいれば、この全曲版は、退屈しないと思う。

ストーリーさえ頭に入っていたら、楽しめちゃうし、結構、アクの強い、ダイナミックな演奏なので、娯楽的要素も強くて、飽きさせないのだ。
確かに、CDとしては2枚組となっているし、結構、長く、全部で1時間25分程度となっている。
でも、その間、ずーっと、CDを駆けっぱなしでも、結構、耳は、そばだっているし〜 台詞もオケも一体となってて、表情が豊かである。(← もちろん声だけだが 笑) 
これで、ビジュアルがあれば完璧なんだけどなあ。

1987年の録音なので、極めてクリアーとは言い難い。
でも、面白さの方が勝っていて、組曲版を聴き馴染んでいても、おおっ ここで、本当は合唱が入ってくるんだな〜 その方が、やっぱりリアルだな〜と思って聴ける。
それに、組曲版は、綺麗どころを並べてあるので、確かに、それで綺麗だし、親しみやすい。
だが、この全曲版を聴いて、再度、組曲版を聴いてみると、雰囲気の同じものを編集した感じで、「山の魔王の宮殿」のみが聴きどころ。突出した感が否めない。

まあ。静謐な、冷涼な雰囲気を求めて、聴く分には組曲版。
娯楽的要素を求め、また、資料的価値を求めるのであれば、せっかくなので、全曲版を聴いてみても良いのではないかしらん。と思う。

あまりに楽曲が長いので、ここでは、全体的な印象を書いてしまうが〜
演奏自体は、娯楽性が高く、ドンドン、ジャンジャン、派手にやらかしているが、それだけに面白さがあり、シーンを思い描け、想像力をかきたてられる面がある。
で、組曲版で思い描いてしまうような、単なる、北欧の静謐さだけではなく、ドタバタ風のコミカルな要素も強く、地に足をつけずして人生を歩むと、ほれ、みたことか〜 って感じで、最後には〜という、結末も暗示されている。
まっ 劇中は、馬鹿馬鹿しく、空想劇・絵空事で、オチャラケて遊んでいるんですけどね。
その、ハチャメチャぶりの様子が、ウルバン・マルムベルイさんのペール・ギュントの声で、メチャ、面白いのである。

特に、8番目の「ドヴレ山の魔王の広間にて」から10番目の「ペールはトロルに追い回される」という、6場は、さすがに大音量で驚かされる。

あとは、2曲目の「ハリング」、3曲目の「スプリンガル」で演奏されているノルウェイーの民族的な音楽が聴きどころである。
ヴァイオリンかなあ〜ヴィオラかな〜という、渋い弦の音が響く。
オケでは、通常ヴィオラが担当するらしいが、これは、本当は、ハルダンゲルヴァイオリという楽器を使うらしい。素人には、悲しい、ジプシー風楽曲に聞こえちゃうのだけど、常時2〜3本の弦を同時に弾くらしいので、重音独特の渋い音が広がるのだろう。
で、このハンダルゲルというのは、ノルウェイの南西部に広がる地名である。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら・・・
ハーディングフェーレ(Hardingfele)は、擦弦楽器の一種。ヴァイオリンよりはやや小型で、4本の演奏弦に加え、駒の下部に4〜5本の共鳴弦が張られている。別称はハルダンゲル・フィドル、ハルダンゲル・ヴァイオリン、ハリングフェーレ。
ノルウェーを代表する民族楽器であり、ノルウェー出身のエドヴァルド・グリーグ、ゲイル・トヴェイトらが自分の作品に用いている。グリーグは『ペール・ギュント』の前奏曲などにこの楽器を用いている。・・・ とあった。

残念ながら、ワタシは北欧に行ったことがないのだが、ノルウェーをご紹介しているサイトも多いので、サイト放浪してみても楽しい。 ちなみに、ハリング(Halling)、スプリンガル(Springar)というノルウェーの舞曲は、グリーグの抒情小曲集(第2集)にも収録されていたりする。
また、YouTubeには、ハリングダンス(hallingdans)も掲載されているので、検索してみてください。
ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 1988年
Herbert Blomstedt
San Francisco Symphony

ばっちグー!

録音状態は良い。子供向けにも配慮がされており、品良く、楽しめる。
ノルウェー語での抜粋盤
グリーグ ペール・ギュント ブロムシュテット サンフランシスコ響 抜粋版
ブロムシュテット盤は、一部抜粋盤である。で、ちょっと、N・ヤルヴィ盤との比較ってことで表にしてみた。

ネーメ・ヤルヴィ エーテボリ交響楽団 全曲版

ブロムシュテット サンフランシスコ響 抜粋盤

1  婚礼の場にて (第1幕前奏曲)
2  ハリング (第2場と第3場)
3  スプリンガル (第3場)
4  花嫁略奪 イングリの愁訴 (第2幕前奏曲)
5  ペール・ギュントと山羊追いの女達 (第3場)
6  ペール・ギュントと緑衣の女 (第5場への導入)
7  「育ちのよさは馬具みりゃわかる」 (第5場の結び)
8  ドヴレ山の魔王の広間にて (第6場の開始)
9  ドヴレ山の魔王の娘の踊り (第6場)
10 ペールはトロルに追い回される (第6場)
11 ペール・ギュントとベイグ (第7場)
12 オーセの死 (第3幕前奏曲)
13 (第3幕 第4場の中)
14 朝のすがすがしさ (第4幕前奏曲)
15 泥棒と盗品買い (第5場)
16 アラビアの踊り (第6場)
17 アニトラの踊り (第6場)
18 ペールのセレナーデ (第7場)
19 ペール・ギュントとアニトラ (第8場)
20 ソールヴェイの歌 (第10場)
21 メムノン像の前のペール・ギュント (第11場への導入)
22 ペール・ギュントの帰郷 : 夕方の嵐の海 (第5幕前奏曲)
23 難破 (第1場と第2場の間)
24 小屋でソールヴェイが歌っている (第5場)
25 夜のシーン (第6場)
26 ペンテコステ賛美歌 「祝福の朝なり」 (第10場)
27 ソールヴェイの子守歌 (第10場)

1  第1幕 前奏曲 婚礼の場にて


2  第2幕 前奏曲 花嫁略奪とイングリッドの嘆き
3  第2幕 ペール・ギュントと山羊追い女たち


4  第2幕 山の魔王の洞窟にて
5  第2幕 山の魔王の娘の踊り
6  第2幕 ペール・ギュントはトロルに追い回される
7  第2幕 ペール・ギュントとベイグ
8  第3幕 前奏曲 オーゼの死

9  第4幕 前奏曲 朝の気分
10 第4幕 泥棒と盗品買い
11 第4幕 アラビアの踊り
12 第4幕 アニトラの踊り
13 第4幕 ペール・ギュントのセレナード

14 第4幕 ソルヴェイグの歌
15 第5幕 前奏曲ペール・ギュントの帰郷夕方の嵐

16 第5幕 難破
17 第5幕 小屋でソルヴェイグが歌っている
18 第5幕 夜の場面
19 第5幕 讃美歌「祝福の朝なり」
20 第5幕 ソルヴェイグの子守歌


ワタシ的には、ブロムシュテット盤の抜粋盤で充分だが、完璧を求める方は、やっぱりN・ヤルヴィ盤の2枚組を〜と思う。
ブロムシュテット盤は、CDのブックレットが、絵本のように書かれたところが7ページあり、可愛い。
きっと、子供も、CDを手にとって聴くだろう〜という想定がされている。もちろん、歌詞対訳付き(ノルウェー語)である。

演奏については、N・ヤルヴィ盤は、強烈に面白かった印象が残っている。
それに比べると、幾分、分が悪いかもしれない。なんというか、ヤルヴィ盤は、良い意味でバタバタ劇って感じで、強烈すぎるほどの劇的効果がある。山の魔王のシーンは、お腹を抱えて笑えてしまうほどで〜 とてもベタな印象だ。
それに比べると、ブロムシュテットさんの演奏は、とても品があり、スマートで、録音状態も良い。
どちらが良いとかは〜 これは、好み・・・としか、言えない。
1982年 カラヤン(組曲版) ベルリン・フィル ★★★★★
1982年 マリナー(組曲版) アカデミー室内管弦楽団 EMI
1982年 エド・デ・ワールト(抜粋版) サンフランシスコ交響楽団 Ph ★★★
1987年 ネーメ・ヤルヴィ(組曲版) エーテボリ交響楽団 ★★★
1987年 ネーメ・ヤルヴィ(全曲版) エーテボリ交響楽団 ★★★★★
1988年 ブロムシュテット(抜粋版) サンフランシスコ交響楽団 ★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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