「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
Hindemith: Symphonic Metamorphosis of Themes by Carl Maria von Weber


ヒンデミットのウェーバーの主題による交響的変容は、1943年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
ウェーバーの付随音楽「トゥーランドット」と「ピアノ連弾曲集」からの4つの自由な変奏曲で、ヒンデミットの作品の中で、最も演奏される機会の多い作品のひとつです。34年に、画家マティスが初演されて成功を収めたものの、 世界情勢が悪く亡命する羽目になったそうで、38年にスイスに、40年はアメリカに、46年にはアメリカの市民権を取得することになります。こんな激動時代の作品です。

ウェーバーのピアノ連弾「8つの小品」と「6つのやさしい小品」、劇付随音楽「トゥーランドット」の序曲の中から、主題をとりあげて、それを変容させたもの。

4つの楽章で構成されており、自由な変奏曲形式となっています。
第1楽章 アレグロ 原曲は、4手ピアノのための「8つの小品」(作品60第4曲)
第2楽章 「トゥーランドット」 スケルツォ、モデラート 「トゥーランドット」の主題に基づく変奏曲です。
第3楽章 アンダンティーノ 原曲は、4手ピアノのための「6つの小品」(作品10aの第2曲)
第4楽章 行進曲 原曲は、4手ピアノのための「8つの小品」(作品60の第7曲)

わずか20分ほどの楽曲ですが、ジャズの要素もあり、ヒンデミットならではの音楽語法というか、不協和音が舞い踊っている感じのする楽曲です。でも、この不協和音が、何故か不思議と耳に馴染むのです。
この不思議感は、なかなか文字では表現しづらいのですが、親しみやすい吹奏楽風で、コミカルで楽天的、小気味良いアクタレ風の楽曲で、ちょっと他では味わったことがないようなスパイスの効いた楽曲です。
天才ならではの諧謔的で、ひねりの効いた風味とでも言うのでしょうか。聴けば、結構、ハマります。

スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン 1967年
Otmar Suitner    Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)



録音状態は良い。透明度も高く、非常に明晰で、カッチリとした演奏である。
スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンBOX10枚組からの1枚。

1楽章
スウィトナー盤は、導入部の打楽器から、カッチリした演奏で始まる。
「れぇ〜どし らぁ〜しぃっ ふぁ そぉ〜ふぁみれどれっ しどれみふぁ〜そら〜し どぉ〜ふぁ ふぁみれみふぁっ」
民族性の高い、土俗的なフレーズも、直球勝負ってところだろうか。で、特徴としては、明晰さ。
木管のフレーズが、透明度の高い録音のため、みごとに聞こえてくる。 レヴィ盤には、まろやかさ、ほんわかした暖かみがあったのだけど、木質的だとされるシュターツカペレ・ドレスデンでも、おおっ。幾分、キツメかな。という感じがしちゃうのだ。 でも、これが本来の響きかもしれない。(レヴィ盤は、残響多めだったから)

「ふぁ〜みど そぉ〜み ふぁ〜ら し れふぁ〜」
トランペットとトロンボーンのフレーズなのだと思うが、この不協和音が癖になってしまう。
「そぉ〜みど そぉ〜み ふぁらし どれふぁ〜」
かなりリズミカルで、フレーズの最後に入るタンバリンが、シャンっと入ってくるが、それまでのフレーズは、弦と木管、金管を総動員した不協和音だ。 リズムの良さ、軽妙さもありながら、個々の楽器の明晰なフレーズが、そのまま、シャッキっとして入っており、ジャンっと入ってくる打楽器の威力も大きい。

2楽章
ウェーバーの「トゥーランドット」の序曲と行進曲が元になっている楽章は、先の楽章でもそうだったのだが、ピッコロさんが大活躍する。
最初の「そ〜みれ しっし そみみれ み〜 みそ らふぁふぁれ どふぁふぁれ・・・」が入ってくるまでは、ほわ〜っとした音のまどろみの中なのだが、弱音のなかで、すーっと浮き上がってくる。
金管が、速いフレーズにもかかわらず、ついて行っているし、木管弦も、何とも言えない忙しい動き回るフレーズを、チャララ チャララ〜と入れてくるのが解る。
演奏家さんが、このCDを聴くと、自分が受け持つ楽器を、しっかり聞き取ることができると思う。
しかし、素人の耳には、全部の楽器、全部のフレーズが聞こえてしまうというのは、多少ツライ部分があって〜 ちょっとキツイ。う〜ん 聞き分けられないよぉ。と悲鳴を上げてしまう。
お馴染みになった、ジャズの要素タップリの場面は、う〜ん。ティンパニーの勇壮な響きで勝負ってところなんだろうなあ。
金管の粘りが少なめで、さすがに、レヴィ・アトランタ響の、愉快な演奏には至らない。
やっぱ、ドイツのオケでは〜硬いっ。(笑)
金管の吹き方が、ちょっと違うのかなあ。どこが、どう違うのか、素人のワタシには巧く言えないんだけど〜 これは聴いたら、素人でも、スグわかる違いだ。 でも、カペレのティンパニーは、破壊力が抜群で〜 ハイ、なかなかに勇壮です。

3楽章
静かなフレーズ、この楽章は、シュターツカペレ・ドレスデンの良い音が流れてくる。
「しれそそぉ〜 しれそそぉ〜 そぉ〜ふぁみれどしらそふぁみれど し〜」
「られそそぉ〜」「れふぁら らぁ〜 そらど し〜そふぁれど そぉ〜」
弦の穏やかなフレーズに、クラリネットやフルートのパッセージが、すごく調和しているのだが、特に、フルートのフレーズは、超テクって感じがする。

4楽章
「どぉ〜そみそぉ〜  そぉ〜どれ そぉ〜」
金管のフレーズで始まるマーチ風楽曲では、ピッコロ、フルートの類が元気良い。また、各フレーズの和音の美しさは舌を巻く。特に、ホルン、トロンボーンが柔らかい響きだし巧い。 シンバルが、豪快に入りすぎてるんだけど〜 これはご愛敬かしらん。 迫力満点で、どどど〜っ。カペレの別の顔を拝見したようで〜楽しい。

各楽器のバランスの超難しい曲だと思うが、スウィトナー盤は、緻密だ。 細密画のように描ききっていて、細い糸、太い糸、音の強さ、弱さが、一緒になって縫い込まれている。 フレーズ自体の面白さも感じるのだが、軽快ではあるが、軽妙ではないのかもしれない。 なんか、全体的には、面白い。楽しい。という次元とは、ちょっと違ってて、面白い楽曲だが、キッチリ演奏しましょう〜って感じがする。雰囲気には、流されませんってことかなあ。

スウィトナー盤は、確かに明晰で、温かいオケの音質だが、クール気味。
カッチリと演奏されていて、フレーズのなかでの遊びは少なく、もう少し柔軟性があり余裕のある演奏であれば嬉しいのだが、タイトで〜 (演奏として、あたりまえなのだとは思うんだけど) 
実際、何度も繰り返して聴いちゃうと、耳にうるさく感じられるのだ。
特に、木管のフレーズが、う〜 隙間なく入ってくるし、伴奏にまわっているフレーズが、やっぱ、これぐらいにキチキチに耳に入ってくると苦しくなっちゃう。 (単に、ワタシの耳が飽和状態なのですけどねっ 笑)
アバド ロンドン交響楽団 1968年
Claudio Abbado    London Symphony Orchestra

 

録音状態は、さすがに古めかしい。ねじり鉢巻きと褌を締めて、汗を飛ばしながら、太鼓を叩いているような演奏で、超パワフル。
カップリング:
ヤナーチェク「シンフォニエッタ」、ヒンデミット「ウェーバーの主題による交響的変容」、プロコフィエフ 交響曲第3番(1966年)最近、リマスタリング盤(SHM−CD) が出ているようだ。
導入部では、大太鼓が鳴り、「しっ ふぁぁ〜みぃ〜ふぁ〜っそ ふぁ〜みれふぁっ」
という土俗性の強いフレーズが鳴り響く。
アバドさんの振ったロンドン響は、この出だしで躓いている。ちょっぴりトロンボーンがこけていて、声が裏返ってしまったのだ。まっ、それはともかく、凄くパワフルで〜 
ヤナーチェクのシンフォニエッタと同様に、なんだか、ドロドロの泥臭い、ねちっこい分厚い響きで、グイグイと行ってしまう。これは、圧巻だよなあ。と、驚きつつも乗せられてしまって〜 
「れぇ〜どし らぁ〜しぃっ ふぁ そぉ〜ふぁみれどれっ しどれみふぁ〜そら〜し どぉ〜ふぁ ふぁみれみふぁっ ふぁみふぁ ふぁみふぁっ」

この導入部分が、猛烈に民族臭いのだが、このスピード感は、絶品である。
アバド盤を聴いてしまうと、レヴィ盤はヤワで優美すぎるし、スウィトナー盤は几帳面にすぎる。ってことになってしまうかも。(笑)
ねじり鉢巻きと褌を締めて、汗を飛ばしながら、太鼓を叩いているような〜 そんな感じ。 
「ふぁ〜 みれどしら し〜らそ ふぁみふぁっ」というフレーズも、音が濁ってしまっているが、そんなこと、おかまいなし。元々、不協和音じゃん。と言わんばかりである。
なんだ〜 この熱さは? 猛烈に熱いぞぉ〜
アバドさんの若い時は、エネルギッシュだったのねぇ。と感服しきり。
リズミカルとか、明晰さ重視というよりは、熱きパワーでグイグイ。
厚みのあるオケで、土俗的なフレーズを、格好良く鳴らし、粗野ではないかと思われるほどに勢いがある。
この不協和音イッパイの楽曲を、丁寧に繊細に扱うのではなく、吹き散らかし、奏で散らしつつ。
このテンポでやるかぁ〜 うっそぉ〜とは思いつつも呑まれてしまう。破裂し、破壊してもいいから、原始的なフレーズを力一杯に走っていく。すごいパワーだ。
内部崩壊しそうなのだが、聴いている方は、この勢いには圧倒されて〜 ひれ伏してしまう。

2楽章
最初こそ、お上品に「そ〜みれ しっし そみみれ み〜 みそ らふぁふぁれ どふぁふぁれ・・・」と入っているが、そのうちに、テンションが上がってくる。 まあ、お世辞にも、アンサンブルは巧いとは言い難く、 特に、金管は、あぶなかっしい。
そりゃ このテンポで行くっと言われたら、う〜ん。息も、モタナイでしょうしねえ。いや〜 これは荒っぽい。木管、弦、金管、う〜ん。精緻なアンサンブル、不協和音を楽しむという面では、これは次元が違う。
この楽曲、一応、中国を舞台にした劇音楽である。
プッチーニのオペラ「トゥーランドット」ではないが、同じ題材を使っているのだ。 えーっ 氷のように冷たいトゥーランドットでは、なかったの??? 可愛い美女、冷たい女帝トゥーランドットどころか、これじゃー、まるで、オッサンでしょう。いやいや、コロッセオで繰り広げられる、野獣VS剣闘士 グラディエーターの世界である。
はあ〜 これは、全く別の世界に飛んで行ってしまっており、アッケにとられる・・・。
木管のフレーズは、まるで、真夏の夜の幽霊で、文字通り、ぼょょ〜〜〜ん。音としての響きは、明確ではない。
ジャズっぽい要素を孕んだフレーズでは、ティンパニーが大活躍。
スウィトナー盤でも、ティンパニーは活躍しているのだが、アバド盤では、遊び心としては良いのだけど、ぶっとい重低音が響き、暑苦しい熱帯夜的ジャズである。

3楽章
ようやく、ひんやりした楽曲で、まどろむことができるか・・・。
「しれそそぉ〜 しれそそぉ〜 そぉ〜ふぁみれどしらそふぁみれど し〜」
「られそそぉ〜」「れふぁら らぁ〜 そらど し〜そふぁれど そぉ〜」
弦の穏やかなフレーズに、クラリネットのフレーズが重なり、最後には、フルートの超テク的パッセージが乗っかってくる。
まっ 本来は、神秘的なフレーズなのだとは思うのだが、弦の響きが厚く、クールではない。
この点は、デッカの録音の性格なんだろうけど。フルートのテクニックは解らないが、温かい弦の上に、ちょっぴり繊細で、冷たい音が合わさっている。

4楽章
「どぉ〜そど ふぁ そ〜どれ そぉ〜」
冒頭、もっと華やかに、金管が堂々と吹いてくるのかと思ったのだが、意外と遠慮がちで渋い。
ロンドン響のブラスが大活躍できる楽曲なのだが、音が遠く、ノリノリ感は感じられるのだが、緻密なアンサンブルでは無いし、ちょい下手だ。 完全にブラスバンド風に演奏されてて、勢いはあるものの〜 どっか、違うだろぉ。低音が籠もりがちで、分厚い響きが、もわ〜っと響いている。 録音状態も、透明度が低く、温かい空気感が張り付いており、そのなかでテンションが上がってくるモノだから、汗が出ちゃうのだ。 まるで、暑い夏の盆地状態で〜 うっとうしい。

このアバド、ロンドン響のCDは、最初の一枚にはお薦めしない。アバドの若き日の熱血漢あふれる演奏が聴きたい方には、どうぞ。 あーっ ヒンデミットの痺れるような冷たい演奏が聴きたいっ。
  ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 1987年
Herbert Blomstedt San Francisco Symphony

録音状態は良い。ヌケの良い録音ではないのだが、まろやかで華やかな金管の音色が、素晴らしい。
カップリング:
1〜3 ヒンデミット 交響曲「画家マチス」
4 ヒンデミット 葬送音楽(ヴィオラと弦楽合奏のための)
5〜8 ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
1楽章
「しっ ふぁ〜みふぁ っそっふぁ〜」という冒頭のフレーズは、えっ と思うほど軽め。
「っんっ ぱぁ〜パッ ぱぁ〜」という、田舎のおじちゃんが、田圃で放屁しているような、泥臭さがなく。
肩すかしぎみの都会的センスあふれる楽曲になっている。
太い金管音が、充分に入っていないからかなって思う。ただ、この音色は凄いっ。ブロムシュテット盤は、オケが、サンフランシスコ響だからなのか、金管が明るく、キラキラしてて〜 そのくせ柔らかく、ホントに良い音が倍音で響いてくる。

ヒンデミットなのに、こんなに明るくて良いの? と、一瞬、ひいてしまうぐらい〜 のけぞってしまいそうなぐらい、のびのびしてて、良いわ〜。これは醍醐味。
トランペットとトロンボーンの重なった和音は、これは、お見事っ。なんって美しいっ。
花びらの花弁が、重なるか重ならないかの微妙な隙間で、風に揺れるような感じで、良い音で響いてくる。ひぇ〜 なんて言えば良いのか、芸術品みたいな感覚で音が鳴り出す。
楽曲自体は、ウェーバーの4手のためのピアノ曲集 8つの小品、6つの小品、序曲「トゥーランドット」を元に作られているが〜 不勉強なため、元々の曲を知らないものの、すこぶる楽しい楽曲だと思う。

確かに、調性とか解りづらいものだが、リズム感だとかは、とっても平易な解りやすいものである。
ヒンデミットと言えば、とっても硬くて歯が立たないほど、難しい曲が多いのだが〜 この曲は、とっても親しみが持てる。
不協和音の響きだが、特徴のあるフレーズは、そのまま調性を維持している感じがするし、和音を分解したような音が、パラパラっと、リズムのなかで、適度にちりばめられている。
かといって、付点ばっかりのリズムでも、長音ばかりが続くわけでもないし、楽器の使い方が巧いのかな〜飛んでいる感じのするリズムは、耳に優しい。元々の曲も、柔らかい響きを持っているのだと思う。

2楽章
「そ〜みれ しっし そみみれ みぃ〜」
トゥーランドットの楽しい、コミカルな音楽が鳴ってくる。
瑞々しい快活さがあるし、繰り返して主題を使い回しているものの、いろんな楽器が登場するので、音色が変わる楽しさがある。軽く、さらり〜と演奏されているが、ふわっとした空気感もあるし、細やかに、裏で金管のフラッター音のようなモノが、 パララパラ〜っと扇動してくる。

アンサンブルも見事にあっているし、これだけテンポをあげていても狂うことなく、酔狂な音楽になっている。
ジャズの要素も、見事にマッチしているし、う〜ん。トロンボーンの適度に粘る音が、楽しい。
ホント、このジャズっぽさが、すごく入ってて巧い。ずれて旋律が流れてくるところや、金管とティンパニーの掛け合い漫才のようなフレーズや、弱音で奏でられる木管の動き、鐘の音色がちりばめられてて〜
フレーズが、勝手我が儘に流れていくが、その余裕感がすごく良い。
カラフルに最後は大円団でまとまってくるし〜 ハイ、アメリカのオケならではの、開放感があるみたいで、楽しい。

3楽章
アンダンティーノは、「しれそ そぉ〜 しれそ そぉ〜 そぉ〜 ふぁみれど しらそふぁ みれど し〜」
クラリネットと低弦の柔らかい音色。なんともハーモニーが絶妙だ。柔らかい弦の うえに、艶のあるクラリネットが巧く乗っており、ファゴットとクラリネット、弦の膨らみ〜 フルートの可愛い硬質な響き。
なんだか、柔らかい音と硬い音の組み合わせが面白いのと、ビーズ玉が転がっていくようなフルートの旋律が、さほど速くはない。

4楽章
マーチングバンドのように、「どぉ〜そぉど そっ そぉ〜どれ そぉ っ」と、活気あふれて晴れやかに出てくる。もっと、ノリノリ感があっても良いが、ちょっと軽めかな。残響は短め。
この金管のバックにある低弦のピチカート気味の刻みが、心地良く、妙なごわごわ感を持たせている。
金管の音色も良いが、妙に、この低弦の跳ね具合が気になる。
「しっし らぁ〜 しっし らぁ〜  そ どれ どぉ〜しぃ」 あまり最後の音を伸ばさず、軽めに、ふっと音を切っている。
金管に色彩感はあるので、華やかさが感じられるが、すわ〜っとした軽さ。
で、リズミカルで、横笛の軽い、ぴろぴろ〜っとした音色。重厚に鳴りすぎず、軽やかに、舞うようにテンションをあげていく。
最後は、アメリカナイズされているようで、ちょっと、、、と思うが、確か、ヒンデミットさんがアメリカに渡って作曲した作品だし〜 まあ、受け狙いとしては、バッチリ、ノリノリ感が味わえる。

ワタシ的には、ヒンデミットという方は、理知的で、数学的、論理的すぎて〜 ちょっと近寄りがたい存在なのだ。で、この明るさは、いったい 何ぃ〜?って、驚いてしまうわけ。
ブロムシュテット盤は、ちょっとノー天気っぽい気もしちゃうが、微笑ましいぐらいの程度だし。
もちろん品もあるし、瑞々しさ、若々しさ、潤い感もあって、最後には高揚感を持たせて、にこやかに笑ってしまえる明るさがある。ホント、ブロムシュテット盤は、これは、アメリカのオケらしく、明るくて楽しいっ。文句なしに拍手っ。
レヴィ アトランタ交響楽団 1989年
Yoel Levi  Atlanta Symphony Orchestra

録音状態は良い。少し残響が多めだが、まろやかに、明るく、リズミカルで、ノリノリ感のある演奏となっている。
カップリング:
1〜3 ヒンデミット 画家マティス
4〜6 ヒンデミット 気高き幻想
7〜10 ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
1楽章
ヒンデミットという作曲家は、なーんか、暗めの硬いというイメージがあるのだが、ウェーバーの主題による交響的変容は、吹奏楽っぽくもあり、結構、面白い。コミカルさも感じさせる楽曲である。
レヴィ盤は、なんだか理屈っぽく、口を「へ」の字に曲げたような、小難しい、理屈っぽい楽曲を、みごとに丸く収めている。特に、残響が柔らかいし、音にノビがあり弾みもあり、柔軟性が感じられる。
悪く言えば、軽音楽風になってはいるが・・・ とっつきやすく、聞きやすい。

元は、ウェーバーのピアノ連弾のためのアレグロで、ハンガリーの香りのする舞曲である。
導入部では、大太鼓が鳴り、「しっ ふぁぁ〜みぃ〜ふぁ〜っそ ふぁ〜みれふぁっ」
「れぇ〜どし らぁ〜しぃっ ふぁ そぉ〜ふぁみれどれっ しどれみふぁ〜そら〜し どぉ〜ふぁみれみふぁっ」
「れぇ〜どし らぁ〜しぃっ ふぁ そぉ〜ふぁみれどれっ しどれみふぁ〜そら〜し どぉ〜ふぁみれみふぁっ」
この導入部分が、強烈に民族臭いっ。
しかし、何度も聴いていると、妙にこの臭い匂いが、馴染んでくる。
で、「・・・ふぁっふぁみふぁっ」 
「ふぁ〜みれどしれ し〜らそ ふぁみそ そぉ〜ふぁみ れ〜ど どっ ふぁふぁみふぁっ」
木管が綺麗にはまっていて、なんだか、細かく短いフレーズが、パッチワークのように組み合わさっていて、不思議な色遣いで織り上げられている。
金管も入って、豪快なのだが、渋い色彩を放っている。
複雑極まりないフレーズが織り込まれているのだが、語尾のリズムが良いんだよねえ。これは癖になる。

オーボエの旋律が、原曲のフレーズであり、ほとんど、そのまま使われているらしい。
「そぉ みど そ〜み ふぁ〜らし・・・」と、吹かれているトロンボーンも、和音が綺麗。
これだけ、フレーズが重なっていると、音が濁りそうなモノだが、妙に風合いがくすんでいて、渋い大島紬でも見ているような感じで、音の浮き沈み、手触りのごつさはあるものの、レヴィ盤で聞くと、軽妙だ。

2楽章
この楽章は、ウェーバーの作曲した「トゥーランドット」の序曲と行進曲が元になっている。
この楽曲のハイライトでも言うべき楽章で〜 一度聴いたら、ハイ、耳について離れません。
「そ〜みれ しっし そみみれ み〜 みそ らふぁふぁれ どふぁふぁれ・・・」
「そっみれ しっし そみみれ みっ みそ らふぁふぁど どらふぁふぁ っそらし〜」

最初は、小太鼓、ピッコロが、フレーズを作っていて、オリエンタルちっくな、エキゾチックなフレーズが流れる。まっ、フレーズそのものは、ウェーバーさんの曲だし、これが中国か?と言われたら、ちょっと怪しいけれど。メチャ、可愛い主題である。
それが、何度も繰り返されていくなか、楽器が増えてきて、奥の方で、いろんな打楽器によってフレーズに装飾がついてくる。 なんだか、鍋の蓋のような、ボンボンっとした、ぼんやりした打楽器だったり、金管が、木管が、ぴ〜ら〜 ぴ〜ら〜っと装飾してきて、段々と、テンポアップしてくる。

弦が主題を受け持っていると、ドンドンっ。と大太鼓が入ってきたり、更に、木管が、っふぁふぁあ〜 どどっど〜っと、妙ちくりんな伴奏を入れてくる。まっ 変奏曲というよりも、いろんな楽器を使った装飾ですかねえ。 不協和音で、飽和状態になってしまうのだが、フレーズが頭のなかで、既に予想されているので、音が混濁してきても、気持ち良い、不思議な快感に繋がっていくようだ。
で、いったん鎮まると、今度は、ジャズっぽくなってて〜 あれれ〜 
これまた、変化球だ。ティンパニーまで、踊り出して〜 これは軽妙このうえない。
すげっ。ヒンデミットって、メチャ暗くて、堅物だと思っていたのに、意外や意外。
最後には、カリオン 鐘が鳴り出して〜 フレンチカンカン風にも変貌するし、多国籍風、いや無国籍か。同じモチーフを用いながら、何色にでも変化・変貌させてしてしまうのだ。

3楽章
これは、ウェーバーのピアノ連弾のためのアンダンティーノが元になってて、静かな牧歌風の楽曲である。
「しれそそぉ〜 しれそそぉ〜 そぉ〜ふぁみれどしらそふぁみれど し〜」
「られそそぉ〜」「れふぁら らぁ〜 そらど し〜そふぁれど そぉ〜」
穏やかなフレーズに、クラリネットの音色が、とても柔らかく絡み、暖かみを醸し出している。
ティンパニーが重なると、重厚さが出てくるが、あくまでも柔らかい。
最後には、フルートが、絡みついててきて、幻想的で夢幻的な世界が広がっている。

4楽章
この楽章は、ウェーバーのピアノ連弾のための行進曲が元になっている。
冒頭、「どぉ〜そみそっ〜  そぉ〜どれ そぉっ〜」。
金管のフレーズで始まるマーチ風楽曲で、レヴィ盤は、まろやかで柔らかいトロンボーンの音である。
そぉ〜どれ そっ。と、音色こそ柔らかいけれど、キレもある。伸ばしている音と、切れた音の残響が、実にまろやかだ。
その後のマーチ風フレーズが、トライアングルを響かせながら、リズミカルに進む。大太鼓も入ってきて、豪勢に鳴ってくるのだけど、チャチャ チャー。「そっそ そ〜み ふぁっふぁ ふぁ〜れ・・・」 格好の良さと、不気味な金管の沈む音と、ない交ぜになりながら、行進していく。 どろどろ〜っと 底で鳴っている大太鼓もあるし、小太鼓が、シンバルが入ってくるし、この曲は、シンプルだけど、多様・多彩なのだ。 最後、トロンボーンの勇壮に、和音を響かせて終わる。まるで教会で響くオルガンのように・・・。

レヴィ盤は、木管も細かく、金管も、柔らかく響き、ノリノリのテンポが良いですねえ。 ホント、明るく、のびやかで柔軟度が高い。切れもあるし、テンポが、ダントツに良い。 ノリノリ・・・ って言っても良いだろう。 最後の曲なんか、とってもレヴィさんのオケに似合っているように思う。 特に、金管が巧いし〜、まろやかで自然派だと思うが、録音が、ちょっと残響多めなので、この点、好き嫌いが別れるかもしれない。
  C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 1989年
Colin Davis  Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra)

むむっ〜

録音状態は、イマイチ、ヌケが良くない。テンポは良いのだが、もっとシャープさが欲しい。
カップリング:
1〜10 レーガー モーツァルトの主題による変容曲とフーガ
11〜14 ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
タワーレコードから、このCDと、モーツァルトとクラリネット、シュポアのクラリネット協奏曲(VPO)を収録して2枚組BOXとして発売されている。
1楽章
冒頭、馬がいななき、まるで蛮族が襲来したかのような雰囲気で、ティンパニーを伴って分厚い弦で奏でられる。
「しっ ふぁ〜みれみっ ふぁ〜 そっ ふぁ〜」
「れぇ〜どし らぁ〜しぃっ ふぁ そぉ〜 ふぁみれどれっ しどれ みふぁ〜そら〜し どぉ〜ふぁ ふぁみれみふぁっ」
この冒頭が、とっても特長あるのだが、C・デイヴィス盤は、期待したほどに良い録音ではなく、超がっかり。
もっと、メリハリつけて、躍動感あふれる演奏をしてほしかったのに。
ベールに包まれたような、もわっとした録音で、金管がストレートにのびてきておらず、木管フレーズも埋没しがち。
シャン、シャン言っている打楽器類も、ひろひろ〜っと鳴っている木管も、せっかく面白い素材が使われているのになあ。
テンポもよいし、金管も派手に鳴っているし、いろんなフレーズが交錯していく楽曲なので、もっと、音が通れば、もっと見えてくるかのように楽しめるのに。ちょっと、う〜ん。これは泣いてしまうわ。
せっかく、テンポも良く、とても推進力の良い演奏なのに・・・。ミュンヘンのヘルクレスザールでの89年のデジタル録音なのに、う〜ん。がっくし。

2楽章
最初の「そ〜みれ しっし そみみれ み〜 みそ らふぁふぁれ どふぁふぁれ・・・」という、楽しげなフレーズで始まる。
どこか、人を食っちゃったような変容ぶりで、吹奏楽バージョンのように楽天的だ。
始めのフルートは良いのだが、弱音の部分では、木管フレーズが埋もれてしまっている。
クラリネットなどのピラピラ〜というフレーズは楽しげで、金管も入ってくるところも、結構、ノリノリ感もあって、弾んで行くようなテンポは良い。「そぉ〜みれ しっしっ そぉ〜みれ しっしっ」というバックでも、いろんな楽器が活躍しているのだが、 ちょっと、靄がかかっており、充分に聞き取れないもどかしさを感じる。
あーっ ホント、もどかしいっ。

3楽章
アンダンティーノは、まどろみを感じさせ、幻想的なフレーズが出てくる。
「しれそ そぉ〜 しれそ そぉ〜 そぉ〜 ふぁみれど しらそふぁ みれど し〜」
クラリネットを主体とした弦の柔らかいフレーズが奏でられ、木管のフレーズと弦の絡みがとても美しい楽章だ。
揺らめくような甘美さと、金管が段々と膨らみを持たせて、少し盛り上がってくる。
室内楽の妙という感じで、金管フレーズのうえを、軽やかに木管が飛び、舞う姿が、繊細で軽やさが感じられる。

4楽章
この楽章は、行進曲風で、「どぉ〜そぉど そっ そぉ〜どれ そぉ っ」と、活気あふれて晴れやかに出てくる。
ブラスバンドでも演奏されると楽しいだろう楽曲で、金管の和音が命って感じの曲である。
「そっそ そぉ〜み そっそ そぉ〜み どっどぉ〜ら ふぁらそぉ〜」と 格好の良く吹かれる。
キラキラとした華麗なる吹奏楽って感じの楽章で、とてもワクワクし、乗せられ疾風していく。
C・デイヴィス盤は、テンポは良いのだが、もっとシャープさが欲しい。録音は、ちょっと かなり・・・。もったいないと思う。

ちなみに、この楽曲で使われている楽器は、
ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、コーラングレ1、クラリネット2、バス・クラリネット1、ファゴット2、コントラファゴット1、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ 打楽器3名:バスドラム、スネアドラム、テナードラム、銅鑼、タンブリン、トライアングル、ウッド・ブロック、小ゴング、シンバル(大、小)、チューブラベル、グロッケンシュピール、弦五部

と、相当に大規模編成である。この打楽器の類を見ているだけでも、ワクワクしちゃうものである。ホント、演奏会でやってくれないだろうか。生で聴きたいなあ〜って思っている。
  サロネン ロサンジェルス・フィル 1999年
Esa-Pekka Salonen  Los Angeles Philharmonic Orchestra

う〜ん。どうだろ

録音状態は、少しくぐもっており予想に反してイマイチ。ワタシ的には、クールな演奏を予想していたのだが、意外とソフトな感じがする。
で、ノリ感がやっぱ欲しいかなあ。
カップリング:
1〜4 ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
5〜9 ヒンデミット 主題と変奏「4つの気質」
10〜12 ヒンデミット 交響詩「画家マティス」
「ヒンデミット作品集」とタイトルされているCDで、有名どころの作品が収録されているので、嬉しくなって購入したもの。
どことなく、くぐもって聞こえてしまったので、ちょっと残念な気持ちになった。
もしかして、ライブ盤? って思ったのだけど〜 なんとなく、そんな雰囲気に近い。
特に1曲目が、イマイチに思っちゃったんですけど。
サロネン盤は、どんな風に録音されているのかなあ。
楽器の並びとか、わりと均質に聞こえるのだ。
最初の金管の音は迫力があるのだが、木管の響きがソフトで包まれているが、イマイチ分離しきれてないというか。
大太鼓の響きを聞くと、ちょっとドンシャリ傾向です。

2曲目も 鐘の響きと、フルートの響きは良いけれど〜
打楽器の音が、人工的に聞こえちゃうというか、奥行きなく、ちょっとペタンとしているように聞こえちゃう。
さっぱり系で、均等に聞こえるというか。いや〜ん、低音が、なんでこんなにドスンなの。
こりゃ失敗でしょう。(笑)

でも総体的には、やっぱ理知的というか、淡々としたクールさがあって、そのくせ、意外とまったりしている感じがする。
もっと、とんがっているのかと思っていたのだが、柔らかい。
リズムの揺れとか、音の出し入れは、う〜ん。これがベストなんだろうか。その点は、プロに聴かないとわからないが。
低音の響きが、団子に近く立体的な感じがしないので、ワタシ的には、そこが不満点である。

それに、淡泊すぎるというか〜 はちゃめちゃ風、おちゃめ感が少なくて、楽しさがないですねえ。
ジャンジャン こてこての大阪弁のノリ感のようなモノがありません。あはは〜 素っ気ない。
ジャズ要素をふんだんに取り入れて、アメリカらしく、底抜けに明るく、ねちっこさも含めくるのかと思いきや・・・
リズムを弾ませ、おちゃめな、フレージングかと思ったが、意外と〜 淡々と演奏されてます。

4楽章のマーチングバンドのように、「どぉ〜そぉど そっ そぉ〜どれ そぉ っ」と、馬力のある金管は綺麗ですけど。
トロンボーンの響きは良いものの、楽しめないよぉ〜  えっ そんなコテコテの大阪弁は要らないって? 
まあ、アンサンブル重視と言えば、ハイ、そうかもしれません。かっちりした演奏で、遊び心は、控えめの演奏です。
ワタシ的には、ブロムシュテット盤の方が、明るくて楽しいと感じちゃいましたね。(汗)

サロネン盤は、遊びの要素は少ないが、いや〜 ドイツ臭く、カッチリしながら、遊びましょう〜と、口元が緩んでいる、変なおじちゃん風である。ドイツの軍服を着て、カチカチ、ガツンガツンと、足を上げて歩いていながら、口元が、なんか緩んでいるような〜  なんだか、へんてこりんな感覚である。
ふんっと、スマシた顔をしているのに、間抜けた行動をとっているような、反対要素を包含しているような〜
なんか、うまく言えないけど〜 律儀に演奏しているのに、律儀に演奏すればするほど、う〜ん 裏の裏〜? 
1967年 スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン Berlin Classics ★★★★
1968年 アバド ロンドン交響楽団 Dec ★★★
1987年 ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 Dec ★★★★★
1989年 レヴィ アトランタ交響楽団 Telarc ★★★★
1989年 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 Ph ★★★
1995年 アバド ベルリン・フィル
1999年 サロネン ロサンジェルス・フィル SC ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved