「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

オネゲル 交響的断章「パシフィック231」
Honegger: Mouvement symphonique "Pacific 231"


オネゲルの「パシフィック231」(Pacific 231)は、1923年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
タイトルの「パシフィック231」は、蒸気機関車の車軸配置をあらわしています。
フランス式で 「231」と表現される車軸配置は、アメリカ式では「パシフィック"Pacific"」という呼称が与えられているもので、先軸、動輪、後軸の軸数が順に2-3-1のものだそうです。

スコアでは、「300tもの重量を持つ蒸気機関車がゆっくりと動き出し、加速してフルスピードになり、また停車する様子を表している」と解説されているが、オネゲル自身は描写音楽的な解釈を否定しており、当初は単に「交響的断章(仏語:Mouvement Symphonique)」として作曲したが、脱稿後に、「ロマンチックな考えが頭に浮かんだので」、「パシフィック231」のタイトルを与えたと述べているそうですが、ネゲルの機関車好きは、つとに知られたところであり、「私は常に蒸気機関車を熱愛してきた。私にとって機関車は生き物なのであり、他人が女や馬を愛するように、私は機関車を愛するのだ」と語ったことでも有名であるとのこと。

ちなみに、オネゲルの「交響的断章」は全部で3曲あります。
第1番が、1923年「パシフィック231」
第2番が、1928年「ラグビー」
第3番が、1933年 サブタイトルはありません。

デュトワ バイエルン放送交響楽団 1982年
Charles Dutoit  Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra)

録音状態は良い。不気味な鉄の塊というよりは、ちょっと明るめ。
← 2枚組BOX
カップリングは次のとおり。

カップリング:
ディスク1
1〜3 オネゲル 交響曲第1番
4〜6 オネゲル 交響曲第2番
7〜9 オネゲル 交響曲第5番「3つのレ」

ディスク2
1〜3 オネゲル 交響曲第3番「典礼風」
4〜6 オネゲル 交響曲第4番「バーゼルの喜び」
7 オネゲル 交響的断章(運動)第1番「パシフィック231」
8 オネゲル 交響的断章(運動)第2番「ラグビー」


交響的断章(運動)第1番「パシフィック231」

オネゲルの作品のなかに、交響的断章とも交響的運動(Mouvement Symphonique)とも訳されている3つの作品がある。 その第1番が「パシフィック231」、第2番が「ラグビー」、第3番目は副題がついていない。
で、この1番の「パシフィック231」っていうのは、蒸気機関車のことらしい。

どうも、オネゲルさんは、蒸気機関車が好きだったようで、機関車を横に見て、車輪が、前から2つ、中に3つ、後に2つという配列になった型が、231と呼ばれているらしい。
ワタシは、テッチャンではないので、さっぱり知らない。一度、大井川鉄道で蒸気機関車に乗っことがあるだけだが、その時の印象は、真っ黒な鉄の塊が、モクモクと黒い煙を吐いて動く姿は、 格好良いなと思う反面、不気味ですらあった。

で、この楽曲・・・
わずか7分程度のものなのだが、蒸気機関車が動き出すところから、止まるまでが描かれている。
最初の出だしは、金属が軋む音 「れみっ そらっ れみっ」って感じで、金管とヴァイオリンの高音で鳴り始める。
その後、チューバの「ぼわ〜っ」とした音が鳴って、ああ、これが蒸気が吹き上がる音か〜と思うぐらいで、あとは、コントラバスの「どっ ふぁっ れっ しっ」と、蠢く音が鳴り始め、段々と加速していく。
「んっ ぱっぱっ んっ ぱっぱっ」と、金管や低音の木管が、
「しっし ふぁっふぁ しっし ふぁふぁ」という動きを、弦が弾き始める。
「しれふぁふぁ どし どしふぁそ られふぁそ しれ・・・」
↑ これじゃー 子供のくちずさみ程度じゃん。
あ〜 音がとれない。ホント、音が、半音で移動しており、こりゃワカランよぉ。
この楽曲、不協和音の塊のような楽曲である。
で、簡単に音は捕まえられないし、必ずしも音が全部聞こえているわけでもないようだ。
大雑把なリズムは、すぐに耳に馴染むが、その間に蠢く細かな刻みが入ってくる。
ホルンが吹かれて、あっ 蒸気だな。トランペットが鳴ると車軸が動いている様がイメージされるし、加速して定速になると、弦が忙しく、わりと規則正しく上下して、ピストン運動のようになっている。
で、音が聞き取れない、とらえきれないというだけではなく、結構、場面展開が速いのだ。
駅と駅の間が、7分程度なんだもん。(=この楽曲の演奏時間)
すぐに加速して、減速でしょ。ってことになるのだ。

バズーンらしき楽器が、息づかい荒く、「っそそそそ〜 そそそそ〜 それみふぁみれど〜 それふぁ〜」
途中シンバルが鳴るし、オーボエが、蛇遣いのように、ふにゃふにゃ〜と鳴っているし、フルートも吹かれているし、弦も忙しそうだ。
「それみ ふぁみれど〜 しどし〜」← こんな単純な音だけじゃない。 
金管が、段々と高揚していくなか、細かい中声部が、細かい動きをしている。
大きな音の動きだけではなく、内の音が、重なって、ホント蠢いているって感じ。
まっ 確かに、蒸気機関車のような図体のデカイ機械を動かそうと思えば、車輪を回すために、いろんなパーツが、それぞれの役目を担って動いているわけだもんね。
オケ全体が、イコール蒸気機関車になりきっているワケではないけれど、客観的に描いている作品なのかもしれないが、しかし〜 他の楽曲に比べたら、そりゃー  イメージしやすい。
恐らく子供、大人でも、この楽曲を聴いてイメージするのは何? って訊ねたら、答えは、蒸気機関車だと返ってくると思う。

誰が聴いたって、こりゃ〜 ハイ、蒸気機関車ですよね。っと納得させるだけの高い描写力なのだ。
「それふぁ〜 それふぁ〜 ふぁ〜 れふぁ〜 ど〜 しふぁ〜」
トロンボーンとホルンだと思うが、段々と、機関車が止まるらしく、動きが緩くなっていくのも描かれている。
う〜ん。スケッチとしては大変細かい。大太鼓が叩かれた後の、ブレーキ具合も、わりとわかりやすい。
しっかし、この楽曲の楽譜は、どーなっているんだろう。
規則正しく、オタマジャクシが、上に行ったり、下に下がったりして、並んでいるのだろうか。
いや〜 CDで聴くだけでも、結構、いろんな細かい動きがあるなあ。と思う。
金管の大きなフレーズのなかに、木管が細かく吹かれ、弦が上がり下りしている。単純な音の並びでは、蠢く様は描けないだろうなあ。と、そう思う。

で、デュトワ盤の感想だが、比べる盤を所有していないので、なんとも言えないのだが、鉄の塊の運動体という感じはしないこともないが、 楽しげな感じが、あまりしない。
巨大さであるとか、迫力であるとか、不気味さであるとか、時代背景であるとか、乗っている人物が受ける印象など、他の要素は感じられない。う〜ん。どうなんでしょうね。他の盤も買ってみなきゃ〜っ。
フルネ オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 1993年
Jean Fournet  Radio Filharmonisch Orkest
(Netherlands Radio Philharmonic Orchestra)



録音状態はまずまず。ちょっと、くぐもった感がするが、力強さと煌めきも適度にあり、なにより、蒸気機関車という雰囲気があって、まとまりある一体感を感じさせる演奏だ。
カップリング:交響的楽章第2番「ラグビー」、交響的楽章第1番「パシフィック231」、コンチェルト・ダ・カメラ、夏の牧歌、交響曲第3番「典礼風」
「パシフィック231」

オネゲルさんは、う〜ん、ちょっと晦渋な作曲家なのである。典礼風を聴いてから、ちょっと、引いてしまっているのだが、この「パシフィック231」は、蒸気機関車が 描かれている。ということで、わりとイメージしやすい。
初めの部分の、蒸気機関車が動きかけるところは、大変面白い。
加速感があるし、スピードのあげかたが絶妙だ。低弦の響きも、金管の音の吐き出し方というのかなあ〜これがリアルだ。むふっ これ解る〜 活き活きしている。
フルネ盤は、録音状態は、まずまず。ちょっと、ヌケがよくないのだが、この加速度感が、巧いなあ〜って思う。それに、木管の温かみある音色が、もわっとしているのが、かえって良いのかもしれない。
もわっとした音質が、吐き出される、もわっとした気体、つまり、蒸気って感じがするのだ。

しかし、専門家でもないし、素人のワタシの耳には、クラリネットB管と言われても、う〜ん。
また、ファゴットの2種類の音がとらえきれないので、もどかしい。金管も、トランペットC管ねえ。
う〜 ワカラン。という始末である。
しかし、6分23秒というクレジットされた演奏のなかに、生き物(蒸気機関車)の楽しさが凝縮されて伝わってくる。
リズムの刻み感というのも、メタリック系というより、温かみのある音が幸いしているのか、生き物的に聞こえるし、ホント。フルネ盤で聴くと、イメージしやすいというか、親しみやすさが沸いてくるのだ。
分厚いリズムと響きに彩られているのと、結構、木管の動きが素早いので、風を切って走っているような感覚が生まれるのと、最後のパワーアップしていくところは、結構、力強いが、かといって、ガチガチの黒い鉄の塊が、機械的に動いているという感じではなく、擬人化しているような雰囲気がある。

ティンパニーが使われていないらしいのだが、大太鼓の迫力もある。低弦のヌケは良くないものの、木管のフレーズには、もわっとしたなかに、ところどころ煌めきがあり、オケの一体感みたいなモノを感じる 。
それに比べると、デュトワ盤は、なーんだろ。
バラバラって感じというか、蒸気機関車が、どことなくパーツ的に描写されているような気がしたんだけどなあ・・・。
どうしてなのかなあ。まっ 蒸気機関車ってことは解ったものの〜 どちらかというと、フルネ盤は、シンプルにまとまっているというか、まとまり感があるような感じ がします。
それに、響きが、もわっとしてて、明晰すぎない。ってところでしょうか。
(↑ いつもながら、なんか曖昧な感想だなあ〜 もっとリズム感について、お伝え出来ればよいのですが〜)
ヤンソンス オスロ・フィル 1993年
Mariss Jansons  Oslo- Filharmonien
(Oslo Philharmonic Orchestra)


こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。ちょっと軽量級の機関車で、黒い鋼鉄の機関車というよりは、アルミニウム合金製の鉄道車両のようだが、超スマートで格好良い。
カップリングは下記のとおり。
このCDは、2枚組で、1枚目が1993年の録音でオネゲル、2枚目が1997年の録音で、クルト・ヴァイルの作品が収められているという、とても、お買い得感のあるCDだ。

カップリング:2枚組BOX
CD1 1〜3 オネゲル 交響曲第2番、4〜6 オネゲル 交響曲第3番「典礼風」、7 オネゲル パシフック231
  ヤンソンス オスロ・フィル 1993年
CD2 1〜4 クルト・ヴァイル 交響曲第2番、5〜9 クルト・ヴァイル ヴァイオリン協奏曲
    10〜16 クルト・ヴァイル 「マハゴニー家の興亡」組曲
  ヤンソンス ベルリン・フィル 1997年 (ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン)

ここでは、パシフィック231をご紹介します。
ヤンソンスさんとオスロ・フィルの演奏って、他にも何種類かのCDを持っているのだが、いずれも軽量級というイメージがする。
で、この楽曲、機関車が走り出して、次の駅に到着するまでを描写したものなので、どっしりした〜 安定した、重厚な音が欲しいところだ。 が、やっぱ〜 ヤンソンス盤は、ちょっと、重々しいという感じとは違っている。
重くはないのだが、とても見通しの良い演奏で、いろんな楽器が登場しているし、木管や金管の旋律が、とっても楽しく聞こえてくる。
走り出す前の出発進行っ!って感じの描写から、とっても繊細で、綺麗に描き出している。

最初の機関車の車軸が動きかけるところは、もっと、重々しい、うぐっ うぐぐぅ〜と回転していくところの雰囲気や、ガツンっというパワー欲しいところなのだが、ちょっと、その点は足らない。
でも、いったん走り出すと、重々しい感じより、軽快で、猛烈なスピードで走って行く。

で、リズム感がとっても大事だ。ヤンソンス盤は、聴いてみると、これ面白いんですねえ。
なんていうか、色彩がたっぷり感じられ、軽快で、いろんな楽器が使われていることを教えてくれる。で、また、しなやかなのだ。
ガッチガチの演奏の方がいいと思っていたのだけど、音の響きも優美だ。
えっ 蒸気機関車だよね〜 真っ黒い車体で、煙をモクモク吐き出して走るんでしょ〜
でも、様相は違うのだ。
ヤンソンス盤で聴くと、通勤電車で例えると、アルミニウム合金製の鉄道車両だと言えば良いだろうか。さすがに、新幹線で例えるのは、いくらなんでも違うでしょ〜って感じだが、スマートな車体で、新幹線の先頭車両のように、N700系とかカモノハシ風である。つまり〜流線系って感じなのだ。

かといって、蒸気機関車の雰囲気として、モノ足らないわけではない。
いや〜反対に格好良いんだよね。とても、機能的で、運動神経抜群って感じで、統制されている。
しなやかだが、カッチリしているというか、弦はしなやかだが、木管群の色はカラフル、低弦の響きも充分あり、金管も、しっかり開放的な音で、ぶっ放す。
軽量級だが、見通しが良く、リズミカルでスピードも速いので、高速で走っている感じがするし、金管の刻みも素敵だ。

あらゆる音が、きっちり密度高く詰まって聞こえるというか、それでいて、収まるべきところに音が、しっかり詰まっているというか、それでいて、旋律が、複数の線として見えてくるので、まるで車体と風のようにわかれている。
う〜ん 車体と風が見えるかのように、見通しが良いという、怖ろしい見え方をする両面を兼ね備えた演奏なのだ。
弦がしっかり刻んで、そこに、いろんな音がバランスが良く配置されており、一斉に動き出しているという、機能美を感じる。 また、金管が巧い。綺麗に音が詰まって均質的にリズミカルに動く。
これは、とっても素敵っ。
掘り出しモノの1枚だと、ワタシは思う。これは拍手でしょう〜。
1982年 デュトワ バイエルン放送交響楽団 ★★★
1993年 フルネ オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 De ★★★
1993年 ヤンソンス オスロ・フィル EMI ★★★★★
所有盤を整理中です。

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