「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

リスト メフィスト・ワルツ第1番 「村の居酒屋での踊り」 管弦楽曲版・ピアノ曲版
Liszt : Mephisto-Walzer (Mephisto Waltz)


「メフィスト・ワルツ」は、フランツ・リストが作曲したピアノ曲及び管弦楽曲です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
このタイトルのついた作品は、4曲存在します。内1曲は未完ですが、第1番は、1856年〜61年頃に、あとは、晩年の78〜85年に作曲されています。第1番が有名で、ピアノ曲としても、管弦楽曲としても頻繁に演奏されています。

メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」S.514
ファウスト伝説に強く惹かれていたリストが、詩人ニコラウス・レーナウによる長大な詩から霊感を得て作曲したピアノ曲が「村の居酒屋での踊り、すなわち、メフィスト・ワルツ第1番です。
この曲は、管弦楽曲レーナウの「ファウスト」による2つのエピソード 第2曲(S.110/2)でも知られています。
曲の元となったストーリーは、「ファウストとメフィストフェレスは、農民たちが踊り集う居酒屋に現れる。楽士からヴァイオリンを取り上げたメフィストは、憑かれたかのように弾き始め、農民たちを陶酔のなかに引き込む。ファウストは黒髪の踊り子を抱いて星の夜へと連れ出し、森の中に入ってゆく。開いた戸から、夜鳴き鶯の鳴き声が聞こえてくる。」というもの。

メフィスト・ワルツ第2番 S.515
第1番からおよそ20年後、1878年〜81年に作曲されており、ピアノの連弾、管弦楽版があります。
冒頭及び終結部に「悪魔の音階」として知られる三全音(トライトーン)が効果的に使用され、部分的には第1番以上に激しい表現があります。

メフィスト・ワルツ第3番 S.216
83年に作曲されたピアノ曲で、C♯-E♯-A♯-D♯のアルペッジョによる異様な導入部から、4度和音を多用して、嬰ヘ長調、ニ短調、嬰ニ短調の間で、より苛烈で悪魔的なものとなっています。

メフィスト・ワルツ第4番 S.696
85年に作曲されたピアノ曲で、1956年に出版された曲です。現在の「無調のバガテル」として知られる曲を「メフィスト・ワルツ第4番」とする予定であったそう。作品自体は完全に演奏可能な形で残されていたのですが、中間部に挿入する意図があったと推定される3ページのスケッチが見つかっているので、構想上未完とされています。
(1978年、レスリー・ハワードが補筆して完成)

なぜ、リストが、メフィスト・ワルツにこだわり、4作まで作るほどにのめり込んでいったのかわかりませんが、文学的要素と共に、宗教的要素も含めて、悪魔的であり〜という表裏一体となった楽曲のような気がします。

バーンスタイン ニューヨーク・フィル 1963年
Leonard Bernstein
New York Philharmonic

あれ〜変 だよ。

録音状態は良くない。昔のレコードからCD化されたものらしい。
音の悪さが、ちょっと違うだろう〜と思いつつも、これが妙にツボにはまり、かすれた音が、気持ち悪さをグレードアップしている。
カップリング:.交響詩「前奏曲」、ハンガリー狂詩曲第1番、2番、
メフィスト・ワルツ第1番 

冒頭の音からして、すごく音が悪くて、ひとことで言い表すと不気味っ。
ふぁ〜 ふぁ〜ふぁふぁ どぉ〜 どぉ〜どどぉ ドスの効いた音というか、かすれた声で出てくる。
不気味なほどの低弦の刻み音、タタタ タンタン タタタ タンタン・・・が、リアルだ。
金管の音の悪さが、これが妙にツボに、はまる。
金属片が、どこかにつまって軋んでいるかのような音で、つまったモノを砕きながら、歯車がまわっていく感じだ。
痩せた音が、なんとも言い難い、レアな感じで〜 こりゃ凄い。キシキシさせながら音楽が流れて、シャンシャンしている。
ゆるり〜と、演奏されており、やせっぽちのメフィストフェレスが、黄色い歯を見せて笑っているかのような、なんとも乾いたニヒルさがある。
肝試しのような演奏でもあり、うねりながら、腰をひらひらさせながら、すり寄ってくるような〜 どひゃーん。キモイっ。

ハイティンク ロンドン・フィル 1971年
Bernard Haitink
London Philharmonic Orchestra



少しテンポがゆったり気味だけど、重厚で色彩的なメフィストになっている。
カップリングされている曲は、下記のとおり。(2枚組)
ハイティンクが、ロンドン・フィルと録音したリストの交響詩全曲13曲の内の7曲を収めた盤で、1セット2枚組の盤が2組ある。
長らく廃盤だったが、交響詩全集として4枚組で再販。

ハイティンク リスト交響詩全集 その2
1 英雄の嘆き
2 ハンガリー
3 ハムレット
4 フン族の戦い
5 理想
6 ゆりかごから墓場まで
7 メフィストワルツ 第1番

リストのメフィスト・ワルツは、管弦楽曲とピアノ曲とがある。 第1曲目だけが有名で、「村の居酒屋での踊り」というタイトルがついている。 全部で4曲あるとは知らず〜 えっ 4曲も・・・と思ってしまった。
どうやら、その内1曲だけは、未完らしいが、それでも4曲である。作曲された時期は違うらしいが、リストは、ドイツの悪魔「メフィストフェレス」を、好んでいたのか?

メフィスト・ワルツのピアノ版は、多くのピアニストが個々に録音しているのでCDは多い。
しかし、リストの交響詩って、さほど人気が無いらしく、管弦楽版は、交響詩とカップリングされているが、実のところ、あまり多くCDは出回っていない。
ワタシが今日聴いたのは、ハイティンク盤で、録音状態は、まずまずの状態だ。
冒頭、「ど〜どど ど〜どど ふぁ〜ふぁふぁ ふぁ〜ふぁふぁ」
「そぉ〜そそ しぃ〜しし ふぁふぁふぁ〜 ふぁらみそふぁ・・・」

ワルツというだけあって3拍子ではあるのだが、不可思議な「ど し ふぁ」と曖昧な組み合わせのように聞こえる。
ピアノの楽譜を見ていると、段々と音が増えて5つの音が、「パパパ パパパ パパパ パパパ ぱ〜ぱ」っと、鳴り出すのだけど・・・。
う〜ん。オケの弦が、「しっ〜しし ふぁ〜ふぁふぁ」 と、ヴァイオリンの強い弦の擦れた音がして、妙なバランスで音が作られている。
「たらぁ〜ら たぁ〜ら」という、ちょっぴり粘りのある引きずったトリルのフレーズが、妙に重く、そのくせ小刻みに震える弦の音が、やっぱ不気味さを与える。
「ふぁ〜れ ふぁ〜れ」
弦の引きが、ハイティンク盤では強くは感じないし、ある意味明るく、滑稽でもあるんだけどなあ。
まあ、2回目の主題からは、トーンが明るくなるんですけどね。
「ぱぁ〜 ぱぱぱ」 「し〜しし し〜しし」
和音になっている弦の音が、不協和音っぽく響いているのだけど、明るいんだよなあ。
転がり方は、ぱぱぱ ぱぁ〜ら ラッタッタ のラッタッタは、小気味良いんですけどねえ。シャープさには欠けていると思うし、木管のフレーズが、あまり前に出てこないのが、ちょっと惜しいかも。

中間部の穏やかな場面は、ちょっとおっとりしているし、ソロ・ヴァイオリン、オーボエ、フルートなどが奏でる
「しどふぁど」「ふぁそどそ し〜ら ふぁそどそ そど〜し」というフレーズは、牧歌的でもあるのだが、ヴァイオリンが下降してくると、再び、嘲笑しているようなワルツが始まる。
最後、けたたましく しどふぁど れそふぁれ ・・・」 金管やティンパニーが入ってきて、渦巻き状態になって、ハイ、フルートを初めとした木管たちの小鳥さんたち風フレーズが入り、ハープのグリッサンドが鳴って、姿が見えなくなるような〜 幻想ムードになるのだけど。
ハイティンク盤は、録音状態が、さほど良くことと、テンポが幾分遅めなので、勢いや迫力には欠けている。しかし、色彩感もあるし、丁寧だし、恰幅のあるメフィストとも言える。(笑)
まっ、ワタシ的には、全般的に、シャープさが感じられないので、どっか、フトッチョ気味の「メフィストフェレス」に感じてしまうんですけどね。
重厚で、豊かに鳴っているし、弦の細かなピチカートなども良いんだけど、少し押してくるような、押しつけがましいぐらいのパワーが無いもんなあ。 テーマというか、主人公が悪魔だということを考えると、人が良すぎというか、あくどくないというか〜 
もう少し、アクの強い、うひひ〜っと嘲笑を投げかけて、挑発してくる演奏でもよいと思うんだなあ。
そう言う意味で言うと、ハイティンク盤は、タイトルそのままの、のどかで素朴な「村の居酒屋での踊り」と風にしか感じられないデスね。ちょっと、モノ足りないかなあ。

正式なタイトルは、レーナウの「ファウスト」による2つのエピソード(ドイツ語 Zwei Episoden aus Lenaus Faust  英語 Two episodes from Lenaus Faust)と言うようです。
ホントは、1番目が「夜の行列」、2番目が、この「村の居酒屋での踊り」の2曲セットになっています。
でも〜 ピアノ版に編曲された方が有名で、管弦楽版も、同じように「メフィスト・ワルツ第1番」と呼ばれることが多いです。

ショルティ シカゴ交響楽団 1993年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra

録音状態は良い。ショルティの最晩年のライブ盤。テンポは速め、リズミカルで〜 血湧き肉躍る。さすが〜ハンガリー出身ですよね。面目躍如という1枚。(ライブ盤)

メフィスト・ワルツの管弦楽曲版 今回ワタシが聴いたのは、ショルティ盤である。

カップリング:
リスト 「メフィスト・ワルツ」「ハンガリー狂詩曲第2番」、バルトーク「5つのハンガリー・スケッチ」「ルーマニア民俗舞曲」、コダーイ「ハーリ・ヤーノシュ」、ヴェイネル「チョンゴルと悪魔 序奏とスケルツォ」

ショルティさんの最晩年のライブ盤だが、ご機嫌なナンバーが詰まったオムニバスアルバムだ。
ハンガリーものが、たっぷり収録されていて、そうだった〜 サー・ゲオルク・ショルティって、ハンガリー出身の指揮者だったんだ。と改めて感じるものとなっている。前回は、ハイティンク盤を聴いたのだけど、「ふぁ〜ふぁふぁ どぉ〜どど そ〜そそぉ」というフレーズから、力強いモノとなっている。最初の1音目に、タランっ というトリルが付いてて、それが小気味よい。巻き舌が巧いというか。

弦は、擦れ気味だけど、その擦れたところが、良いなあ。と思う。しゃがれた声、ハスキーボイスで、弦の下を掬うかような、それでいて、ノビのあるフレーズが印象的だ。
チャチャチャ チャチャチャ・・・ た〜ら た〜ら た〜ら。という2つの弦の動きが、痛快。
また、バックで木管が飛び跳ねているのが、よく解るし、かなり効果的。
まっ ガンガンに行くというよりは、幾分かは、柔らかいんですけどね。しなやかに熱い。
なにせ、スピーディで、アクセントがきっちり強くついているし、弦が、タララ ラララ タララ ラララ・・・と、メチャ細かい刻みが、続いていくところは、大変力強い。もちろん、金管も、やっぱり図太いモノになっているし、パワーがあり、さすがショルティというところだろうか。
前後のパワフルなリズムに挟まれている中間部では、「しどふぁど」「ふぁそどそ し〜ら ふぁそどそ そど〜し」は、 静かなワルツ風になっており、ちょっぴり、緩いかなあ〜と思ったのだが、極めて絵画的というか、視覚的なイメージを彷彿するものとなっている。

フルートなどの木管が、綺麗に入ってて、バレエ音楽かと一瞬思うほどで、 う〜ん。これは良いなあ。。
ビジュアル度も高く、優美で官能的で、まったりしている。ヴァイオリンソロも、フルート等の木管も、透き通るような音質で〜 う〜ん。巧いっ。主題に戻る時、木管のフレーズの後ろで、必死にハープが弾かれているようで・・・。
おおっ こんなところでハープが? と驚いたが〜 (ホントにハープ使われているだろうか?)
ライブ盤なので、録音状態は、最善とは言い難いけれど、やっぱ リズムが違う。のりが良い。スポーティな、メフィストフェレスかもしれないけれど、底力があり、弦のピチカートも快速で〜まずは、納得、得心したモノとなっている。

佐渡裕 フランス放送フィルハーモニー管弦楽団 2000年
Yutaka Sado
Orchestre philharmonique de Radio France



録音状態は良い。ライブ盤だが、ライブとは思えないほど。
テンションの高い狂気世界ではないけれど、美しい。選曲の良さで購入しちゃった。
カップリング:リスト「レーナウのファウストによる2つのエピソード(メフィスト・ワルツ、夜の行列)」、ワーグナー「ファウスト」序曲、ベルリーオズ「ファウストからの8つの情景」

当CDは、佐渡さんの振ったフランス放送フィルとの、「ファウスト」をテーマにした曲を集めたものである。
こりゃ〜面白い選曲だっ!と思い、速攻購入したものだ。

カップリングとしては、レーナウ「ファウスト」による2つのエピソード、いわゆるメフィスト・ワルツの管弦楽版で、入っている順番は、2番にあたる「メフィスト・ワルツ 村の居酒屋での踊り」、1番にあたる「夜の行列」となっている。
そして、ワーグナーの「ファウスト序曲」、ベルリオーズの「ファウストからの8つの情景」が収録されている。
ここまで来ると、リストのダンテ、ファウスト交響曲も聴きたいところだが、とにかく、う〜ん。と唸ってしまうほど、珍しい曲で構成されている。ファウストに興味のある人には、垂涎ものだろう。

さて、ここでは、「メフィスト・ワルツ 村の居酒屋での踊り」を聴いてみる。
このCDに収録されている有名な曲は、これだけなのだが〜 まあ。聞いた感想は、率直に言って、普通ってところだろうか。
軽快で、録音は良いものの、ちょっぴり軽い。
佐渡さんのタクトだと、きっと、粘りがあるだろう。と思っていたんだけど、意外と、アッサリ系である。
確かに、フランス風というか、カラフルというか、シンバルがシャンシャンっと聞こえてくるが〜 軽い。
う〜 軽すぎるやん。もっと、重たさがあっても良いと思う。
だって〜粘り腰で、どろっとしてないと、メフィストファレスの意味あいが薄れてしまうような気がするんだけどなあ。日々、酒に溺れ、女を抱いて〜という、酒地肉林の世界とまでは行かないまでも、どろどろの世俗的な世界を描いてもらいたいなあ。と思ってしまった。
低音の重さ、ドドドっ という迫力がなあ。イマイチ少ないのだ。
ただし、電気がスパークしているような、メラメラっとした、パチパチっとした感覚はある。

中間部の情景の描写は、ナイスだ。
ゆったりと、木管のフレーズが生きてて、妖精たちが舞うような雰囲気になっている。あれま。美しい。
暗闇のなかの不安とか、勢いとか、底知れぬ不気味さには、ちょっと遠い。
まっ 聴き手の希望、欲望を満たしてくれるような演奏って、難しいんだけどなあ。
後半は、低音が入ってきて、まずまずなのだが〜 それでも、やっぱ。きまじめかも。 オケもフランスだしなあ。これではエグイ、狂気すれすれに踊るという世界を描くのは、難しいかなあ。

あっ そうそう、当盤の2曲目 レーナウ「ファウスト」による2つのエピソードの1曲目「夜の行列」・・・ 
のだめカンタービレ 映画版の後編 映画の冒頭に、テルミンという不思議な電子楽器が、雨のシーンで使われている。
のだめの住むアパートの屋根裏に住む、テルミンを演奏する不思議な学生「ヤドヴィ」の奏でる音だ。
このテルミンのフレーズが、「夜の行列」と雰囲気が似ているのだ。
うふふ〜 「れぇぇみ〜 ふぁぁ〜そ そ〜らぁぁぁ〜 」

魂を売ってしまったファウストが、馬に乗って森を彷徨うというシーンを描いた楽曲なのだが、ふむふむ。
なるほどねえ。のだめ映画後編は、ファウストとオーバーラップさせている。
ファウストねえ・・・。メフィストファレスは、もちろん、竹中氏の演じる指揮者シュトレーゼマンだけど・・・。
ちょっとご大層かなあ〜とは思うが、凝っていることに間違いないし、見る人に意識させている点は面白いし、これで、制作者の意図はわかるし、1本筋が通っていることには、間違いないと思う。ハイ、解ります。
あっ しまった。佐渡さんのCDを聞いていたんだっけ・・・。(苦笑)
このCDは、資料って意味あいだけでなく、やっぱ〜 選曲は良いし、意欲作には間違いないので、みなさん聞いてくださいネ。ライブ盤とは思えないほど 良い演奏です。

ジョン・オグドン 1972年
John Ogdon

めがまわる〜

録音状態は良い。超快速で、ぶっとばし〜 豪放磊落というか、単に指がついていけてないというか。サイボークのように、ターミネーターのように、彼は成りたかったのだろうか。また、聴衆は、果たして、ここまで求めていたのだろうか。
自分を追い込み過ぎのような気がするんだけど。
このCDは、ジョン・オグドンさんのリスト 超絶技巧名曲集である。
ラ・カンパネラ〜リスト 超絶技巧名曲集と、タイトルされているもので、1972年6月11日、12日東京の青山タワー・ホールで収録されている。

カップリング:
1  リスト ハンガリー狂詩曲第2番
2  マゼッパ(超絶技巧練習曲第4曲)
3  鬼火(超絶技巧練習曲第5曲)
4  パガニーニによる大練習曲第3曲
5  ラ・カンパネラ
6  泉のほとりで(巡礼の年 第1年 スイス 第4曲)
7  物思いに沈む人(巡礼の年 第2年 イタリア 第2曲)
8  タランテラ(巡礼の年 第2年補遺 ヴェネツィアとナポリ 第3曲)
9  半音階的大ギャロップS.219
10 メフィスト・ワルツ

まあ、なにせ、速いっ。第1曲目のハンガリー狂詩曲から聴いたのだが、もう、超快速で、前につんのめっており〜
気持ちに、指がついて行けてないような気がする。
いやはや、そこまで速く弾かなくても、そんな豪快に弾かなくても・・・と、思うのだが、想像を絶する豪放磊落ぶりで、驚異的だ。バカテクの持ち主で、速く弾くピアニストは多くおられるとは思うが、昨今は、きちんと弾かれ、弾き飛ばすタイプって少ないように思う。だが、もしライブで、超快速ピアノに接していれば、まあ そんな正論言葉は飲み込んで〜 聴き手は、ぎゃっ〜っと悲鳴をあげつつも、興奮の坩堝に転落しているに相違ないだろう。

しかし、CDを聴き進み、ラストのメフィスト・ワルツを聴いていると、う〜ん。何かに憑かれているかのようで、メフィストフェレスに、そそのかされたか何かと引き替えにしたのか〜 物語のなかに入り込んだかのようで怖いなあ〜って思ってしまった。
いったん静まったところでは、なんだか、迷路にハマ込んだかのように、よれよれになっているし、自分で火を点け、自分の身を焦がさないと、いけないみたいに思い詰めているみたいで、そして、行き着くところまで行こう〜としているようで。
しかし、行き着けないまま、暗黒の闇に転落していくような。
う〜ん 聴いているうちに、こっちまで、うっ・・・ 内に入り込んで、悶々とした気分になってしまう。
鬱々とした、シューベルトを聴いているわけではないのにねえ〜 これって、リストだよなあ。
サイボーグのように機械的にはなりきれないなら、引き返すべきなのかもしれないが、引き返すタイミングを逸してしまったのか、なんだか、とっても危険で、アブナイ心理状態がうかがえる演奏でもある。まあ、ここまで追い込まないと天才とは言えないのだろうか。だったら、リストなんぞ、弾かなきゃいいのに・・・ っとは所詮、凡人のたわごとかもしれない。

ちなみに、「クラシックの聴き方が変わる本」のなかに、・・・オグドンは、元来バカテクの持ち主で、何か思いつめたような演奏には定評があった。(略) しかし、その音楽性から感じた危うさは現実の危機となり、彼の演奏家生命を蝕んだ。
この鬼火は、次第に熱を帯び、暴走する。しかし、指がついて行かない。彼の心の中ではもっともっとさらに速い「鬼火」が鳴っているのがわかる。けれども走るのは心だけだ。・・・と書かれていた。

1962年、アシュケナージさんと、第2回チャイコフスキー国際コンクールの一位をわけあった仲だそうだが、う〜ん。
アシュケナージさんは、いまや、ほんわか〜しておられるのにねえ。どこが分水嶺だったのかしらん。


シプリアン・カツァリス 1980年
Cyprien Katsaris

めがまわる〜


録音状態は良い。普段良く聴く1番は、なんとまあ〜音がイッパイつまってて、それも、気持ち悪いほどにスピードが速くて、目眩を起こしそうになります。
しかし、2番以降は、あまり聴かれないものの、幻想的で、蠱惑的。
ジケジケした気持ちの悪い悪魔的要素というより、からり〜とした闇の世界が、さらっと描かれているようで、意外とあっさり聴けます。
カップリングは、下記のとおり。
このCDは、シプリアン・カツァリスの「リスト ピアノ作品集」である。カップリングは次のとおり

1 「詩的で宗教的な調べ」第3曲〜孤独の中の神の祝福〜 S.173-3
2 メフィスト・ワルツ第1番 S.514〜「村の居酒屋での踊り」〜
3 メフィスト・ワルツ第2番 S.515
4 メフィスト・ワルツ第3番 S.216
5 調のないバガテル S.216a
6 メフィスト・ワルツ第4番 S.696
7 メフィスト・ポルカ S.217
8 バッハの動機による変奏曲 S.180(82年録音)

この前、オグドンさんのピアノを聴いたのだが、このカツァリスさんの演奏は外せない。
オグドンさんは、前につんのめって指がまわらず、崩壊状態を露呈していたが、カツァリスさんは、音がイッパイ詰まっていて、まだまだ余裕ありまっせ〜的に弾かれているが、めちゃくちゃ速い。
1.5倍速ぐらいに早回しにしてるんじゃーっと、疑いたくなるような感じで、はぁ〜 驚いちゃう。

冒頭は、村の居酒屋も、通常の速度から始まるのだが、中盤以降、えっ うっそーっという状態だ。独自にアレンジしてるんじゃーないの? かっ飛ばしだし、フレーズを、ぐっと縮めて、パラパラパラ・・・と弾いているし、独特の付点のリズムで、えっ ここで跳躍? えっ どこに飛んでいくの? えっ、ここでゆっくり?
最後には、わけわからん・・・。と呟き、クラクラ目眩を起こしてしまう始末です。

まあ、リストに共感し、1番から4番までこだわり抜いて演奏してくれるのは、カツァリスさんぐらいしか、おられないでしょうし。おそらく、2人は、よく似た資質をお持ちなのだろうと、ご推察するわけですが〜 
アタマのなかで整理する暇を与えず〜という感じの速さなので、アタマの回転の速い方ならいざ知らず、ワタシにはとてもムリ。消化できません。

しかし、ガンガン弾き飛ばすのではなく、演奏しているフレーズを何度か聴いていると、ふら〜っと、眩惑される不思議な雰囲気も持っています。
特に、2番以降は、夢のなかに誘われて、ドビュッシーやラベルなどの印象派の楽曲を聴いているような、また、フォーレのように翳りがあって、形が溶解してくるような気がする演奏です。
第3番や第4番は、スクリャービンのように、音に色がついている〜って言い始める感じることになるかもしれません。
とても、蠱惑的な演奏で・・・妖艶だし、甘いし、妖しい雰囲気はあるものの、肌合いの悪い、じけ〜っとしたエログロの世界ではなく、カラリ〜とした闇の世界という感じです。
カツァリス盤で聴くと、悪魔的要素というより、どこか、からっと、アッケラカンとした〜さっぱり感があるので、運動神経抜群の、痛快な演奏という感じを受けます。
2番以降は、あまり聴かれないものの、幻想的で、蠱惑的だし、ジケジケした気持ちの悪い悪魔的要素というより、からり〜とした闇の世界が、さらっと描かれているようで、意外とあっさり聴けます。
ご興味のある方だけ、お聴きになるマニアック系の演奏でしょうが、後期ロマン派が色濃く残っている世界だけど、調性の失われたゲンダイオンガクに段々と近づいており・・・。
ワタシ的な希望的観測ですが〜(笑) 今後は、もっと聴かれる機会の増えてくる楽曲のように思います。


アンヌ・ケフェレック 2004年
Anne Queffélec

いかすぜっ

録音状態は良い。細やかなフレージングで、女性的で、細やかな演奏だ。
幻想的だ。決して目が回るような快速バージョンでもなく、力尽くでもないが〜 気がつけばアッチの世界に誘われているかのような感じ。

カップリングは下記のとおり。
アンヌ・ケフェレックさんのリスト名曲集というCDである。収録されている曲は、次のとおり。

1 メフィストワルツ 第1番
2 愛の夢 第3番
3 パガニーニによる練習曲 第4番
4 エステ荘の噴水
5 波を渡るパオラの聖フランシス
6 超絶技巧練習曲 第5番「鬼火」
7 巡礼の年 第1年スイス 第4曲 オーベルマンの谷

今回は、ケフェレックさんの演奏で、メフィストワルツを聴いたが、男性ピアニストとは異なり、とても繊細な演奏である。
決して目が回ってクラクラするようなものではないが、意外と速い。
ガンガン バンバンというダイナミックさには欠けているかもしれないが、ふわっと広がって語尾を跳ねていくので、まっすぐ一直線というわけではない。
柄の大きい、いかつい悪魔的というよりも、楚々として幻想的で、少しエロティックな小悪魔的な雰囲気を感じる。

細やかなレース感と、まどろみ感があり、タメ感を持って演奏されているので、ふっと幻を見ているかのような気分になってしまった。
力尽くで魂を奪おうっていう魂胆はなく、とても美しく、夢を見て、朦朧としつつ別世界に誘われて、すっと力を抜かれちゃうようなタイプの演奏だ。
これは、女性が聴くメフィストかもしれないし、男性諸兄は、この女性的なアプローチに、ついつい手を出して、じわっと、チャーミングにアプローチされたあげく、熱っぽくされて、放されちゃうような、宙に浮かぶかのような中間部分である。
で、ここで、気をつけないと・・・ ホント、魂を抜かれるかもしれない。
ホント、とても繊細で細やかなフレージングが、機能的に動いている。
特に、速いところよりも、テンポが遅くなったところが、大変美しく、なんとも女性的で、薄幸の美人的な演奏で、儚げなメフィストである。もちろん、畳みかけるパワーもあるし、スピード感もあるが、繊細さにおいては群を抜いているのではないだろうか。この色香にはやられてしまう。これはこれで、すごい演奏だと思う。

管弦楽曲版        
1963年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル SC
1971年 ハイティンク ロンドン・フィル Ph ★★★
1993年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
2000年 佐渡裕 フランス放送フィルハーモニー ★★★★
ピアノ曲版        
1972年 オグドン   ★★★
1980年 カツァリス   Apex ★★★★★
2004年 ケフェレック   ★★★★
所有盤を整理中です。

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