「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

リスト 交響詩「ハムレット」、「ハンガリー」
Liszt: Symphonic Poem "Hamlet", "Hungaria"


ここでご紹介する交響詩「ハムレット」は、リストの交響詩13曲中10番目の作品で、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」を題材にしています。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
1856年にヴァイマールで上演されたのを観て、上演の序曲として作曲しようと思ったそうです。
58年に完成したものの、ハンス・フォン・ビューローは「演奏に適さない」と判断したため、初演は76年となり、ずいぶんと後になってしまって、今でも、演奏される機会はあまりありません。
劇の流れをなぞるのではなく、ハムレットの性格描写に重点を置いて、堅固な意志で復讐の機を窺う一方で、「蒼ざめて、熱っぽく、天と地の間を漂いながら、疑念と優柔不断に囚われた人物として描写している。とのこと。

ロ短調、6/4拍子 ただし調は総じて不安定で、ホルンのゲシュトップフトのひずんだ響きで陰鬱に始まる。
弦楽器の奏する2度上行を組み合わせた動機が、各パートに受け渡されるが、この動機は後にも活用される。
ここでは、 "schwankend"(不安げに)、"ironisch"(皮肉に)、"stürmisch"(荒れ狂って)、と暗い印象の指示が続く。
やがて4/4拍子となると、テンポを上げて、アレグロ部が始まる。
ここでは、2度上行を基本にした第1動機と、符点リズムが特徴的な第2動機が絡まり合いながら発展していく。
激しい展開の中、オフェーリアを象徴するドルチェ、変ニ長調の楽節が木管楽器によって唐突に2回現れる。
この楽節は当初のスケッチには存在せず、改訂の過程で追加されていったものである。力強いトゥッティが急速に静まると、主要動機が葬送行進曲の形で現れ、力なく終わる。とのこと。

演奏時間は、わずか14分程度の楽曲なのですが、心理的な葛藤としては巧いとは思うものの、極めて暗く、もわ〜っ とした鬱々とした主題と、激する気分の主題が、見えて終わり〜という感じです。
で、どうするの? と、突っ込みを入れたくなってしまうワタシには、ちょっと・・・。力なく終わらないで〜って感じです。

ハイティンク ロンドン・フィル 1970年
Bernard Haitink  London Philharmonic Orchestra



録音状態は、まずまず。資料的な意味あいの方が強いかも。
カップリングされている曲は、下記のとおり。(2枚組)
ハイティンクが、ロンドン・フィルと録音したリストの交響詩全曲13曲1セット2枚組の盤が2組ある。← これは内7曲を収めた盤である。長らく廃盤だったが、交響詩全集として4枚組で再販。
ハイティンク リスト交響詩全集 その2
1 英雄の嘆き
2 ハンガリー
3 ハムレット
4 フン族の戦い
5 理想
6 ゆりかごから墓場まで
7 メフィストワルツ 第1番

交響詩「ハムレット」

このリストが作曲した「ハムレット」は、なんだか、とっても暗い。
元々は、劇のために作曲したらしいのだが、こんな暗い劇なんぞ、当時流行ったのかどうだか、疑わしいなあ。って思う。
ティンパニーの暗いポン ポンっという音と共に、弦の「れそ〜ら どれそ〜らし」という不気味な旋律が流れてくる。
どうも、これが主題らしい。
「しどみふぁ しどみふぁ ふぁみっ」「しどみふぁ しどみふぁ ふぁ〜どれっ し〜ど ふぁぁ〜」
なにやら半音階的に、のぼりくだりしてて、まるで、いきなり亡霊が劇に登場した雰囲気なのだ。足の無い幽霊が、ぼよよ〜んと、登場して、精気のない顔で、突っ立っているみたいで、 うぐっ。気味悪いっ。

その序奏が終わったら、なんとなく、リズムが生まれて「タラン タラン たった〜」と勢いがついてくる。
トランペットが、鳴ってくるあたりから、立ち回りが生まれて、「そ〜 そっそっそっ」「し〜 しっしっしっ し〜 しっしっしっ」 「れ〜れっれっれっ」  ティンパニーが、パカパンっ。と、シンプルに鳴りはじめる。
すわっ ようやく場面展開、立ち回り劇が始まるのかなっと思わせるのだが、あまり続かない。 攻撃的なフレーズの後は、また、鎮まって陰鬱な静かなフレーズとなって、 フルートと、弦が悩める様なフレーズを奏でたあと、また、「れみふぁみれっ」

構成的には、解りやすいというか単純な感じがするのだが、やっぱり終始不気味で、怪しげだ。
過去と現在、いきりたったり、反省したり〜という交互の要素が詰まっているような感じで、総体的には、劇のバックで鳴っているような曖昧模糊とした雰囲気で、明確な主題が鳴っている感じがしない。
目の前で劇を演じられている邪魔にならないので、交響詩というよりは、劇付随音楽かなあって思う。
まっ もっと、この曲の描く筋道を理解しないと〜 わかりませんが、 ぱっと聴いて解るようなシロモノではないし、悩める主人公の複雑な心理を描いているとすると、まあ、こんなモノかもしれないとも思う。

しかし、楽曲としては、明確な主題が連なってこないと、冗長的というか、退屈な音楽にしか聞こえてこないことも確かで、なかなか、これだけでは成立しないのでは? と、作曲家に怒られてしまうようなことを思ってしまった。

おなじシャークスピアから題材をとったのなら、チャイコの幻想序曲「ハムレット」の方が、少し甘めで旋律がわかりやすい。
なんたって、チャイコさまは、優美だもん。
でも、 リストは、ちょっと冒険的というか、誰でも知っている筈のハムレットの心情を音で表す。う〜ん、シュールな感じがすることと、劇的な描写というよりは、心理を描こうとしているのだろうけど〜 精神的に病んでいるような、やばい気がする。
まっ ワタシには、今の時代、これでは、ビジュアルがついてこないと、う〜ん。わかりづらい不思議な感じにうけとめてしまったのだが、 もしかしたら、リストの方が、冒険心に富んでいるのかもしれない。
リストが作曲した交響詩13曲のなかの10番目の曲である。

ちなみに、改めて復習のために、ハムレットのあらすじをウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら・・・
デンマーク王が急死する。王の弟クローディアスは王妃と結婚し、跡を継いでデンマーク王の座に就く。父王の死と母の早い再婚とで憂いに沈む王子ハムレットは、従臣から父の亡霊が夜な夜な城壁に現れることを知る。亡霊に会ったハムレットは、実は父の死はクローディアスによる毒殺だったと告げられる。

復讐を誓ったハムレットは狂気を装う。王と王妃はその変貌ぶりに憂慮するが、宰相ポローニアスは、その原因を娘オフィーリアへの実らぬ恋ゆえだと察する。父の命令で探りを入れるオフィーリアをハムレットは無下に扱う。
やがて王が父を暗殺したという確かな証拠を掴んだハムレットだが、王と誤ってポローニアスを殺害する。オフィーリアは度重なる悲しみのあまり狂い、やがて溺死する。ポローニアスの息子レアティーズは父と妹の仇をとろうと怒りを燃やす。
ハムレットの存在に危険を感じた王はレアティーズと結託し、毒剣と毒入りの酒を用意してハムレットを剣術試合に招き、秘かに殺そうとする。
しかし王妃が毒入りとは知らずに酒を飲んで死に、ハムレットとレアティーズ両者とも試合中に毒剣で傷を負う。死にゆくレアティーズから真相を聞かされたハムレットは、王を殺して復讐を果たした後、事の顛末を語り伝えてくれるよう親友ホレイショーに言い残し、死んでいく。

ここまで読んで〜 アホなワタシは、亡霊は、ハムレット自身だと思っていたのだが、 お父様の父王の亡霊だったのでした。(あっ そうか〜って基礎的な教養がないっ。泣)
で、いずれも、髑髏を持って対峙するハムレットが、象徴的に映像化、ビジュアル化されています。
この髑髏、誰?と調べたら、宮廷道化師のヨリックさんらしい。 ぞぉっ〜 やっぱ悲劇というより、メチャ恐い話なのだ。
「To be, or not to be: that is the question.」
「生きるべきか死ぬべきか」・・・という、有名な台詞と共に、このシェークスピアの戯曲は、多くの劇や映画等になっているようだが、古い映画では、ローレンス・オリビエさんの「ハムレット」がある。
ローレンス・オリビエさんの映画では、レベッカと嵐が丘は、大昔に見たことがあるんだけど〜

1996年のケネス・ブラナーさんの「ハムレット」は最近の映画だが、これも片鱗しか拝見しておらず、DVDも所有してなかった。残念・・・。
絵画でハムレットと言えば、美女オフィーリアなんだけどなあ。 まっ とりあえず、ドラクロワの絵画がある。
ここで描かれているハムレットは、黒装束で、青白い顔をしてて、あまりイイ男じゃ〜ないんだけど。

ジャナンドレア・ノセダ BBCフィルハーモニー管弦楽団 2008年
Gianandrea Noseda
BBC Philharmonic Orchestra

録音状態は良い。あまり演奏されない楽曲を取り上げ、交響詩を全部演奏していただいたのには、とっても感謝っ。
1〜6  交響詩「ハンガリー」
7〜10 交響詩「ハムレット」
11〜14 交響詩「フン族の戦争」
15〜24 交響詩「理想」
交響詩「ハムレット」

ノセダ盤は、この13分47秒の楽曲にインデックスを入れており、サービス精神が旺盛でありがたいのだが、な〜んとも言えない暗い鬱々感がねえ。正直言って、耐えかねる・・・という楽曲なのである。
「そぉど〜し (ふぁふぁ) れぇ〜 ど〜ふぁみ (どっどぉ〜) ティンパニー 
「どらそふぁぁ〜 ふぁふぁ そらどれ そぉ〜〜 らぁ しぃ〜  そらみふぁ そら ど (そふぁ〜み)」
出だしは、低弦の響きで、うねぇ〜っとあがってくる。で、チェロの音になって、ヴァイオリンへと受け継がれてくようだ。
半音を昇っては降りて、昇っては降りてを繰り返して、ぱぱ〜んと、亡霊が登場って感じなのだろう。

楽器の使い方も、ティンパニーのごろごろ〜ってところのインパクトも、やっぱ相当に巧いなあ。と思う。
そら どっど どぉ〜 ど ふぁみれ・・・音が消える。なーんていうシーンも、視覚的に訴えてくる音だな〜っ。
そぉ〜 ふぁ〜 (パパンっ。) ここのティンパニーの叩き方は、結構、神経を使いそうである。
でも、金管は、結構単純なパッセージで、パッパ ぱっ!
リストのリズムは、パパパっ・・・ 「そ〜 そっそっそっ」「し〜 しっしっしっ し〜 しっしっしっ」という、パターンが多いかも。
難しいシンコペーションのリズムは、あまり使わないみたいだ。ピッコロも活躍して活劇風になってしまう。
金管の「ふぁ〜っど れしらっ」というフレーズに、弦の「しどれぇ〜どぉ しらそふぁみ しぉ〜ど どぉ〜」という半音混じりのフレーズを織り込んでいるってことは、ハムレットの思いのなかに浮かんだ、オフェーリアの悲しそうな女性の表情なんでしょうねえ。
弦と金管での「ふぁっ ふぁっ」という旋律、弦の切れあがった、すぱっとした音が、う〜ん。イライラっとしたのを断ち切りたいっと思う気持ちの表れなんでしょうか。う〜ん、まあ、分析して聞くならいいけど、ぼんやりと聞いてても、あまり気持ち的には動かないですねえ。


交響詩「ハンガリー」

交響詩「ハンガリー」(S.103, R.420)は、リストが作曲した9番目の交響詩で、1854年に作曲されています。
原題の”Hungaria”は、ハンガリーのラテン語名だそうで、1840年作曲のピアノ曲「ハンガリー風の大行進曲」の改定・改作・編曲版だそうです。ピアノ曲、管弦楽曲、交響詩に変化している曲で、56年の初演は大成功だったそうな。
ノセダ盤で22分1秒というクレジットのある演奏ですが、豪華で派手なオーケストレーションで、ある意味国家の権威を誇る、士気を鼓舞するかのような楽曲って感じでしょうか。

最初は、とっても暗いフレーズで、「らぁ〜しぃ〜 らぁ〜し そみれどぉ〜 らぁ〜しぃ〜 らぁし そふぁみどぉ〜」
っと、なんだか鼻に詰まった半音で、低弦で奏でられ、振り子のように上り下りをします。
「しぃ み〜ふぁ そふぁしぃ〜 しぃみ〜ふぁそふぁみ れふぁ れふぁ〜」
「そ どぉ〜れ みれそ れそ〜れそぉ〜みれど れみふぁ〜 れみふぁ〜」
って感じの弦が入って、段々と行進曲風になってくる。
このあたりの、金管の使い方は、シンプルに「れっそ れっそ れっそ・・・」なのだが、やっぱり和音が綺麗だ。
で、結構多彩で、木管のフレーズが、主となるシンプルな音型フレーズ「みっふぁ そぉ〜ふぁみっ」を飾っていく。
しかし、どうも長いというか、行進曲というイメージではなく、鬱々とした、沈痛な面持ちの暗い木管の足取り、ヴァイオリンのソロが入ってきたり、それなりに風味付けをしているのだが、少し長いかもしれない。

「そふぁ〜みふぁ そぉ〜」という音型を巧く変化させながら、木管で彩り、テンポを速め、同音連打って感じでスピードをあげて高揚感をだしていくという、結構、シンプルな感じの構成だが、1曲のなかに、展開部、再現部って感じで繰り返されるのだ。行くなら、はやく、チャッチャともりあげて〜と言いたいのだが、モゴモゴと木管の暗い、じめっとした暗雲立ちこめるかのようなフレーズが続く。
まあ、行進曲の前には、ちょっと、緩徐楽章風の主題が必要なのは、わかるんだけど。
その暗さを突き破ってくるのが、行進曲風のフレーズなのだ。

「みぃ〜 みみみ みみみ みっみ み〜(パン パパン)」という金管ファンファーレになっていく。
まあ、また沈み込んでいく場面もあるのだが、この華麗なるファンファーレが、愛国心というか、華やかな祝祭ムードを盛りあげて行く。
同じような音型にちょっと、変化をつけていくところは、やっぱり巧いと思うのだが、なにせ長い。
この曲には、短縮形がオプションで2種類あるらしいのだが、詳細はわからない。
長い導入部はファゴットとホルンに低弦のラルゴ・コン・デュオーロでニ短調、主部はアレグロ・エロイコでリスト特有の金管のファンファーレで始まるロ長調。
ラストに至るまでが長いが、高揚感が出てくるところからは、さすがに、高らかに金管が咆吼し、ティンパンニーが活躍し、テンポアップされ大円団になって、銅鑼がシャーンっと鳴るという見得を切る様相は、やっぱり、リストさま・・・だと思う。

1970年 ハイティンク ロンドン・フィル Ph ★★★
2008年 ノセダ BBCフィルハーモニー管弦楽団 Chandos ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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