「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

リスト 交響詩「マゼッパ」
Liszt: Symphonic Poem "Mazeppa"


カラヤン ベルリン・フィル 1967年
Herbert von Karajan  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。堂々と華麗に演奏される。
カップリングされている曲は下記のとおり。(2枚組)

 

「カラヤン リスト管弦楽作品集」と題されたCD 2枚組BOXである。
1 メフィスト・ワルツ
2 交響詩「前奏曲」
3 ハンガリー民謡による幻想曲
4 ハンガリー狂詩曲第5番
5 交響詩「マゼッパ」
6 ハンガリー狂詩曲第2番
7 交響詩「タッソー 嘆きと勝利」
8 ハンガリー狂詩曲第4番

リスト 交響詩「マゼッパ」

交響詩「マゼッパ」は、ピアノの「超絶技巧練習曲」の第4番の管弦楽版って感じだ。
「ふぁしっ!」と、鋭い一発が聞こえたあと、弦が忙しく駆けめぐる。
まるでムチを打たれた駿馬のようだ。
遠くから金管の「みれどしらそ ふぁみれどしら」と鳴っているし、「ふぁみれどらふぁみれどしらふぁ〜」「らしどみどし らしどみどし〜」と、音が上下に交錯する。
ひぃ〜 これは鋭いなあ。激しい嵐の状態で、揺れに揺れている。で、そのなかで象徴的なフレーズが、トロンボーンで壮大に吹かれる旋律がある。
「み〜み〜れ ど〜ど し〜ふぁ〜らそ〜しみ」
「れ〜れ〜ど しれそ〜ふぁ〜ふぁ〜みれふぁし」

カラヤン盤では、かなり壮大かつ勇壮で、勇ましすぎるぐらいだ。
でも、金管のキレと重さは、充分にあって、さすがに凄いと思う。古い録音なのだが、金管が上に向かって鳴っているのがわかるし、広がりも充分で、チューバの音も奥から聞こえており、結構、立体的に響いている。
惜しいのは、ティンパニーの響きがイマイチなこと。さすがに67年の録音では、致し方ないだろうか。
しかし、英雄とくれば、わしゃ〜帝王じゃ。と言わんばかりに、さすがに豪快に鳴っており迫力充分。

で、嵐が過ぎたような雰囲気の後に、木管が登場してきて、弦と共に傷を癒すような音色に変わる。
ハープも入っている。
「れ〜れど〜し し〜そしれ〜ど れ〜れどふぁそ〜 そそそら〜ふぁ ふぁ〜ふぁ〜」
まっ、この美しい旋律はつかの間で、金管の勇壮さが勝っているんだけどね。

マゼッパという伝説の英雄を素材にした楽曲なので、モチーフには金管が大活躍するが、それだけでは充分ではなく、やっぱり木管が添えられないと、深みが足らなくなってしまう。
「そ〜そしふぁ ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜ら ふぁふぁどそ そそ」
それにしても、単純って言えば単純なモチーフを、使いまわして壮大に仕上げてしまう。
そのリストの技術力、力量には脱帽してしまう。

で、カラヤン盤も、やっぱ力強く、圧倒的なパワーが炸裂しており、そこに華やかさが加わっている。
「み〜み〜れ ど〜ど し〜ふぁ〜らそ〜しみ」
「れ〜れ〜ど しれそ〜ふぁ〜ふぁ〜みれふぁし」の続きに、ふぁ〜(どし) そ〜(どし) ら〜(どし) と、入ってくる合いの手のチューバの音が面白い。
低い音が効果的だ。逞しく筋肉質な感じがして、ついつい金管に耳が行ってしまうが、そこに、ガシガシ言わせて弾いている弦の響きが良い。

ここは、美音ではダメで、カシカシ、ギシギシと擦れた音でやってもらわないと、迫力が出ない。
まあ。そんなところは、既に計算済ってところだろうか。録音は古いし、ちょっと硬い音質だが、権力を鼓舞するかのような、英雄像が描かれており、ちょっぴり威厳のある 、格好の良い演奏だ。
そこには、イマイチ悲哀は入ってこないが、リストの楽曲なら、こう演奏して欲しいかな〜って感じが、そのまま演奏に表れている。ワタシ的には、この楽曲に似合っている感じがする。
ハイティンク ロンドン・フィル 1968年
Bernard Haitink  London Philharmonic Orchestra



録音状態はまずまず。ちょっと遅めで、丁寧なのは解るのだが、イマイチ乗りきれず鈍重な感じがする。
ハイティングは、リスト交響詩全集を録音しており、2枚組BOXが2セットある。カップリングは下記のとおり。

ハイティンクさんのリスト交響詩全集は、2枚組BOXで、2セットある。
「マゼッパ」は、全集Vol.1に収録されている。
ハイティンク リスト交響詩全集 その1
1 山上で聞きしこと
2 タッソー、悲歌と勝利
3 前奏曲
4 オルフェウス
5 プロメテウス
6 マゼッパ
7 祭典の響き

リスト 交響詩「マゼッパ」

リストの交響詩「マゼッパ」は、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、
・・・ウクライナの英雄マゼーパを題材とした、ユーゴーの叙事詩「マゼッパ」に基づく標題音楽である。
マゼッパは、実在の人物で、イヴァン・マゼーパさんという。

・・・ウクライナ・コサックの棟梁になって以後、コサック国家の復興を目指して領土拡大に成功し、ウクライナの文化、とりわけ正教会の発展に大きく貢献した。
独立したコサック国家を成立させる努力がために、ボフダン・フメリニツキーに次ぐ、ウクライナ第2の英雄と考えられている。 ・・・と書かれてあった。
1700年〜21年、スウェーデン・バルト帝国とロシア、デンマーク、ノルウェー等との戦い(大北方戦争)が起こり、イギリスやポーランド、オスマン帝国まで参戦して、ヨーロッパ大陸の北東地域で戦争が起こった。結果は、スウェーデンの敗北で終わっており、ロシアが勝利して 、その後覇権が及ぶことになる。
まあ〜 詳しいことは、歴史大好きサイトでも放浪しないとダメなのだが、
この時のコサック代表が、マゼーパ そう、この交響詩のタイトル「マゼッパ」なのだ。

バイロンが、この英雄マゼッパ(マゼーパ)の叙事詩にし、ヴィクトル・ユーゴーは、マゼッパが、ポーランド王に仕えていた時の恋愛事件から着想を得て、長編叙事詩にしている。
また、リストの音楽に影響を与え、絵画にも影響を与えたのだ。
ちなみに、下記の絵画は、フランス人画家オラース・ヴェルネ(Horace Vernet)が描いたマゼッパである。

右の絵画は、どうやら個人所蔵らしいので詳しく解らなかったのだが、左の絵画は1826年に描かれている。この絵画は、ユーゴーの影響なのだろうか。何故 そう思うかっていうと、ポーランド王に仕えていたのに、とある貴族の婦人と恋愛中になり、横恋慕したことが露見し、裸で馬にくくりつけられて追放されるというシーンなのである。
白馬に背中合わせで、くくりつけられている姿は、露わで〜 超情けないし、荒野を走る白馬と、狼の視線は合っているし。狼も目をまん丸にして、びっくり顔!なのだ。
この狼の表情は、アニメチックというか、ちょっと風変わりというか、稚拙な感じを受けて、ワタシは思わず笑ってしまった。う〜ん。ここでは、マゼッパは、英雄と して描かれていないようである。
なんて絵を描くんでしょうねえ。で、ワタシは、いったいなにを紹介しているのやら。

でも、この絵を見て・・・
あっ そうかあ。リストの交響詩「マゼッパ」の冒頭で鳴るムチは、この馬にくくられて追放されるシーンを描いたものなのだ。と、ようやく解った次第である。
で、その後は、ウクライナに戻りコサックへの英雄になっていくのだろう。音楽の方も、華麗な晴れやかな演奏に変わっていく。
さて、肝心のハイティンク盤の演奏は、う〜ん。重々しいし、カシカシカシと、やたら弦のフレーズが丁寧に弾かれており、最初の部分はリズミカルではない。
鈍重というか、颯爽とした雰囲気がせず、太った体躯を騾馬にくくられた、鈍くさそうな、およそ、英雄とは思えないオッサン臭い演奏だ。ひとことで言っちゃうと〜 とてもドンクサイ感じなのだ。
もっとスピーディさが欲しい。
で、音外してません?という感じの金管だし、響きもイマイチで、のろいなぁ〜っ。こりゃ〜ダメだね。
悲哀の面に焦点があたっているのかもしれないが〜うがった見方をすると、ヨーロッパ人が、上から視線で、マゼッパを見て共感してないんじゃーという気さえしちゃう。
まっ そんなことは無いでしょうけどね。
メータ ベルリン・フィル 1994年
Zubin Mehta  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は、思ったほど良くない。こもりがち。ライブ盤
カップリング:交響詩「前奏曲」「オルフェウス」「ハムレット」「フン族との戦い」

リスト 交響詩「マゼッパ」

メータ盤は、録音状態にもよるのだろうが、ちょと、この楽曲だとキレが悪いのが感じられる。
カラヤン盤のような鋭さがないのだが、ゆったり気味だが、そこそこ力がある。
でも、腰が重いんだなあ。トロンボーンが長いのか、チューバが重いのかな。
でも、弦が、金管のうえで、「ん〜チャ ん〜チャ」と、歯切れよく切っているところは、う〜ん。よさげ。
まあ。なんて言ったって派手な楽曲だし、はったりが効かないとオモシロクナイ。
一発かまして〜というところがないとダメなのだが、今のメータ盤だと、むしろ、ゆったりしたフレーズの歌い方が良い。
若い時は、破天荒なぐらい豪快だったのになあ〜 どうしたんだろ。
もっとシェイプアップして欲しいなあ。

まあ。このメータ盤では、ちょっと優美に、木管の音色が透き通って聞こえてくる。
でも、金管は、高音が力不足で苦しそうだし。もっと、頑張ってくれぇ〜っ。
畳みかけてくる力もあるし、 音がのぼったりくだったりするところも、結構、速いんだが、それでも、もっと〜頑張れっと言いたくなってしまうところが、聴き手の性だろうか。
う〜ん ライブ盤でなければなあ。もっと良い録音だっただろうに。う〜 惜しいっ。
それにしても、リストの交響詩って人気ないんだよなあ。そろそろ、新譜が出てきて欲しいっ。
でも、これを聴いていると、ピアノの超絶を聴きたくなってしまう。
あ〜 リストのピアノは苦手なんだけどなあ。
ジャナンドレア・ノセダ BBC交響楽団 2006年
Gianandrea Noseda  The BBC Symphony Orchestra



録音状態は極めて良い。勇壮かつ繊細だし、オケも巧いっ。
ノセダは、リスト交響詩を全集録音している(全5枚)
このCDは第3巻にあたる。カップリング:リスト交響詩「英雄の嘆き」「プロメテウス」「祭典の響き」 ※ ナクソスで聴ける。

リスト 交響詩「マゼッパ」

「ふぁ しっ!」と、鋭い響きが、掻きむしられたように聞こえたあと、静かに弦が駆けめぐる。
そのうちに、大太鼓が鳴り出して、嵐が襲来する。
弦が、シャンシャンシャンと引いているなかで、遠くから金管が、「みれどしらそ ふぁみれどしら」(ホントは半音が入っているようだが)を繰り返し、木管のフルートは、鳥が悲鳴をあげて逃げまどっているように、激しく「ひゅーっ」と繰り返し吹かれる。
この情景が、とてもクリアで、とても綺麗に鮮明に描かれている。
「らしど みどし らしど みどし〜」と低音で繰り返された後、勇壮で象徴的なフレーズが、トロンボーンで壮大に吹かれる。
「み〜み〜れ ど〜ど し〜ふぁ〜らそ〜しみ」
「れ〜れ〜ど しれそ〜 ふぁ〜ふぁ〜み れふぁし〜 そぉ〜 どし ふぁ〜 どし・・・」
ノセダ盤は、録音が極上で文句のつけようがない。スピードもあるし、弦、管が渡り合うかのように響いてくる。奥行きがあるので、総体的に響きは、まろやかに感じられるし、強引な押し1本というより、調和感がある。

派手な金管ばかりが目立って、キツイってことはない。むしろ、金管に負けないぐらい、弦がすごく活躍しているのがわかる。特に、金管の1音のあと、低弦でカシカシと下りてくるところなど、う〜ん。力強く、筋肉質で逞しく、格好良い。「ど〜(しらそ〜ふぁらそみ) れ〜 ふぁ〜」
テンポは速め。パワーが充分にあり、緊張感のあふれる広がりがある。トルク感があるのだ。
ティンパニーも炸裂しているが、内声部の細かな動きが、すごーく綺麗に見えてくる。
この録音も凄いけれど、バランス感覚というか、ここの弦すごいよなあ。加速するスピードも速いし、それを要求している感覚の鋭さ。
「み〜み〜れ ど〜ど し〜ふぁ〜らそ〜しみ」
「れ〜れ〜ど しれそ〜ふぁ〜ふぁ〜みれふぁし」
「ふぁ〜(どし) そ〜(どし) ら〜(どし)」と、入ってくる合いの手のチューバの音が、少し遅めに感じるが、それでも勇壮で重々しく、荒々しい泥だらけのような光景が浮かび上がってくる。
トランペットのファンファーレも、お見事。すごい美しいっ。
「れっふぁっら〜 ら れどら しらふぁ れっふぁ ら〜」
開放感あふれて、色彩も豊か、楽しくワクワクする。これ、ホント、イギリスのオケなの?
恐ろしく綺麗じゃん。
「みっみ み〜れ みっみ み〜れ みふぁ そ〜ふぁそふぁしら〜」 ここの木管の煌めきなんて、最高です。もちろん、金管の短いパッセージも凄い。
いや〜 すごい。これは良いっ。 かなり丁寧に細部を描き分けていて、ダイナミックに盛り上げるパワーもあって。拍手デス。 ノセダ盤には、インデックスが入っていて、4つに区切られている点も便利である。
1967年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1968年 ハイティンク ロンドン・フィル Ph ★★
1994年 メータ ベルリン・フィル SC ★★
2006年 ノセダ BBC交響楽団 Chandos ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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