「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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リスト 交響詩「前奏曲」
Liszt: Symphonic Poem "Les Preludes"


バーンスタイン ニューヨーク・フィル 1963年
Leonard Bernstein  New York Philharmonic

う〜ん。どうだろ

録音状態はあまり良くない。昔のレコードからCD化されたものらしく、かくしゃくとした演奏で、優美だし、すごく立派っ。
でも、なんだか立派すぎて昔風なんだよなあ。
カップリング:.交響詩「前奏曲」、ハンガリー狂詩曲第1番、2番、
メフィスト・ワルツ第1番

リスト 交響詩「前奏曲」

バーンスタイン盤は、さすがに古い。あまり録音状態が良くなく、擦れ気味なのだが、昔のレコードを聴いている気分ではある。
「れ〜どふぁ〜 れしらしれふぁらしれふぁ〜ら〜 し〜れどふぁ〜」「そ〜ら れどふぁ〜」
勢いをつけるというよりも、ハープを伴って、レガート気味で、しゅーっと立ち上がってくる。
ボリューム感を出して、分厚く鳴るタイプではなく、上品でおとなしい。
トロンボーンの迫力もイマイチだが、優美さがある。ハープの音色が良く聞こえてくるし、ヴァイオリンの音色も聞こえてくる。
確かに、フレージングは綺麗で、うん。上品。たおやかさを持って、独特のゆったりとしたタメを持って、この前奏曲を奏でている。

ただ、いかんせん録音が良くない・・・もっとダイナミックに奏でて欲しいかも。
しかし、主題が替わり、場面が展開すると、怪しい雲行き感が出てくる。ここの場面展開は、やっぱり巧く、弦が厳しい音を立てて、雨模様を描く。ガシガシと弾くのではないけれど、テンポも速くはないけれど、ちゃんと起承転結 いや、3部に場面が分かれているのだが、その場面ごとの表情づけが 、巧く描かれていると思うのだ。
最後の盛り上げてくるシーンでは、キレもあるし、金管のぱりぱりとした音が良いと思う。
テンポはゆったりしているが、昔ながらのダイナミックさ。どう言えば良いのか、たっぷりとしたフレージングで、堂々とした演奏の雰囲気がある。良くも悪くも、昔の立派な演奏。
かくしゃくとした雰囲気。あたりを振り払うような存在感がある。

まあ。63年の録音としては、かなり、みなさんが聞き込んだ曲ではないだろうか。 LP時代の遺産だと思う。 今や録音状態の良い盤があるので、あまり聴くことはなくなったが・・・。どことなく懐かしい音がする。
ちょっぴり擦れて、雑音気味の音に聞こえちゃうが〜 
それでも、楽しく、ちょっぴり懐古調に聴いてしまった。
ハンガリー狂詩曲なんて、すげ〜立派で大礼服でも着ている感じだし、そうだな〜 がっしり糊付けされ、パリパリにアイロンされたカッターシャツを着ている感じだ。 昭和時代の糊付け風。
カッターシャツを広げたら、バリバリバリ〜と音が立つ。(笑)そんな感じだ。
まっ これから買うには、薦めできないし、買うのであれば、さて、どの盤が良いか、ちょっと困るのだが、 カラヤン盤は、いかにも深淵を描こうとしているようだが、華麗すぎだし。 バーンスタイン盤は、さらり〜っと普通に上品に抒情的に出ているし、いずれにしても、 表情づけは、どちらも濃い。
もう少し録音状態が良ければなあ〜いいんだが。
あまりにも、ご大層な曲だから、最近、リストって流行らないんだろうなあ。と、改めて思っちゃった次第。
肉食系より草食系時代には、不向きな曲である。
まっ その点残念だけど。楽曲が楽曲だけに、仕方ないかなあって思う。
カラヤン ベルリン・フィル 1967年
Herbert von Karajan  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

これもありかっ

録音状態は、まずまず。堂々と、メッチャ華麗に演奏される。
カップリングされている曲は、下記のとおり。(2枚組)

このCDは、「カラヤン リスト管弦楽作品集」と題されたCD 2枚組BOXである。
1 メフィスト・ワルツ
2 交響詩「前奏曲」
3 ハンガリー民謡による幻想曲
4 ハンガリー狂詩曲第5番
5 交響詩「マゼッパ」
6 ハンガリー狂詩曲第2番
7 交響詩「タッソー 嘆きと勝利」
8 ハンガリー狂詩曲第4番

リスト 交響詩「前奏曲」

「れ〜どふぁ〜 れ〜どふぁ〜」と、ふわっと立ち上がってくる。
低弦から立ちのぼってくる響きのなかに、ハープの響きも聞こえ、混沌とした状態のなかからの夜明け・・・というイメージがする。あたりの雰囲気を振り払って出てくる透き通った音色だ。
う〜ん。これは、メータ盤と比べると、深淵な雰囲気が漂ってるし、テンポも遅め。
メータ盤が、あっけらかんと演奏しているのに比べると、ちょっとご大層な感じがするが、内面的な要素が高い。(← というか、精神的深みを描こうとする意図は、相当に感じられる。笑)

「そっ みっ どっ らっ しっ どっ」 
「れ〜〜 ど・ふぁ・れ・ど し〜ら〜 (ららっ) そ〜(ど・ふぁ・れ・ど)し〜み (みみっ) み〜 みみっ」
高らかに、トロンボーンのファンファーレが鳴り響く。
なんだか儀式的だ。
そんなぁ〜 高らかに歌いすぎじゃないだろうか。
こっちが恥ずかしくなるような、時代がかった華麗で大袈裟な演出だ。
う〜ん。ここまでするかぁ〜 とは思うが、これぐらい派手にしてもらわないと、居心地が悪いのも事実で・・・。まあ。これを期待しているところもあるのでね。
さすがカラヤンだと思わざるを得ない胸中になってしまう。う〜ん。やっぱハメラレタらしい。
華麗にまとまっているなぁ。と、大きく頷いてしまう。

その後も、穏やかなフレーズが続き、甘い調べが続く。
ホルンが、「ら〜そら ら〜そら し〜ら そ〜ふぁそ そ〜ふぁそ ど〜」 
単調と言えば単調なのだが、甘く踊るような調べが続くため、うっとりさせられる。
で、短い時間に、ドラマティックに場面が展開する。ぼーっとしていると、展開が速いので追いつかない。
この展開は、まるでオペラなみ。
弦が忙しく奏で始めると嵐のシーンに突入で、三連符が続いて、「れーど〜ふぁ パパパ・・・」と、「れどふぁっ れどふぁっ」と、紋切り調のフレーズが繰り返される。
「パパパ・・・」と繰り返しているだけといえば、それだけなんだけど。音が変わるだけでリズムは同じ。
う〜ん。で、また、元のフレーズに戻ってくる。

次は、田園のシーンへ。雨があがったようで、鳥のさえずりが聞こえてくる。
「れしそ れしそ〜」と鳥が歌い、「ぱらら〜っパパパっ」と木管が奏でて・・・
「ら〜そら ら〜そら し〜ら」というフレーズに戻る。う〜ん。どうやら、このフレーズが、テーマ音楽になっているらしい。すごく覚えやすい。
ホルンがフレーズを吹くと、居心地は抜群。で、弦が下支えをしている。
「ふぁーふぁーみらーふぁ〜」と、金管が鳴るときの弦の動きがあるが、「れーそー れーそーっ」と、まるで映画のBGMなみに聞こえてくる。
これには、たまげる。リストって、映画音楽のハシリなのか? 
でも、単純なフレーズなのに、格調高く振ろうとするカラヤンの演出にも驚かされた。
最後、大円団になるのだが、「ら〜そら ら〜そら し〜ら」と、行進曲風になって、小太鼓が入ってくる。
「れ〜〜 ど・ふぁ・れ・ど し〜ら〜 (ららっ) そ〜(ど・ふぁ・れ・ど)し〜み」
これだけ単純なフレーズを使いまわして、演出して、最後、壮大に盛りあげていく。
カラヤン盤は、厳めしく、もったいぶって、堂々と演奏して華麗に締めくくるのだが、まるで大学教授が、簡単なことを難しいことのように説明し、はったりをかましているかのような感じで、いかにも、こう聴きなさいと言われているかのようで、その権威には、ちょっと抵抗感を覚えるものの〜屈服させられてしまう。
お仕着せ的・・・と言えば、そうかもしれない。
しかし、う〜ん。これに満足してしまう点も多いにある楽曲で、思わず苦笑いしてしまった。
やっぱ、ヤラレタんだよなあ。
ハイティンク ロンドン・フィル 1968年
Bernard Haitink
London Philharmonic Orchestra

これもありかっ

録音状態は、まずまず。鈍重なほど牧歌的に歌われるが、これで良いのかしらん。リストのアクは、感じられずに終わっちゃったけど。
カップリングされている曲は、下記のとおり。2枚組BOX
このCDは、「ハイティンク リスト交響詩全集 その1」と題された2枚組BOXである。
ハイティンクさんが、ロンドン・フィルと録音したリストの交響詩全曲13曲あり、1セット2枚組BOXが2組あるのだ。
長らく廃盤だったが、交響詩全集として4枚組で再販されている。

1 人、山の上で聞きしこと
2 タッソー、悲劇と勝利
3 前奏曲
4 オルフェウス
5 プロメテウス
6 マゼッパ
7 祭典の響き

リスト 交響詩「前奏曲」

「れ〜どふぁ〜 れしらしれふぁらしれふぁ〜ら〜 し〜れどふぁ〜」
「そ〜ら れどふぁ〜」と、驚くほどハイティンク盤は、ふわっと立ち上がってくる。
靄がかかっているのかと思うほど、夢幻的で、弦とフルートが絡んでいる。
で、テンポが緩やかだ。凡庸かしらん。と、一瞬思うほど、緩い。
「そっ みっ どっ らっ しっ どっ」 
「れ〜〜 ど・ふぁ・れ・ど し〜ら〜 (ららっ) そ〜(ど・ふぁ・れ・ど)し〜み (みみっ) み〜 みみっ」
↑ このフレーズも、え〜っと思うほど、鈍重。
もうこのフレーズになると、一気にあたりをふりほどくように、高らかにトロンボーンのファンファーレが鳴り響く筈なのだが、とろいっ。え〜ウッソ。
和音は綺麗だが、ティンパニーも遅いし弱いし、弦が、これまたバカ丁寧に、キシキシ、カシカシと弾いている。
カラヤン盤なんぞ、こっちが恥ずかしくなるような、時代がかった華麗で大袈裟な演出だったのに、なんて素朴なんだろう。
ドンドンっ ティンパニーが派手に打ち鳴らされ、英雄のお出まし風に鳴っていたのに・・・。ハイティンク盤では、緩やかに、まるで歌うように静かに奏でられている。

ホルンが、「ら〜そら ら〜そら し〜ら そ〜ふぁそ そ〜ふぁそ ど〜」
う〜ん。美しい牧歌的な和音の調べで、まるで角笛そのものだ。まだ、朝靄に包まれている雰囲気。
木管が幾分、ペタンとした音で吹かれているのが刺激的なほど。
かなり牧歌的で、平和だ。
嵐のフレーズに入ってきてくると、ようやく勢いがついて、低弦と木管が蠢いてくる。
「しっ しっしし しっられ しっられ ふぁそらど ど〜 どっしれ どっしれ〜」
ここもまた、硬いっ。
リズミカルではなく、ガシガシ、ギクシャクしている。そんななかでも、テンポアップはしてくるんだけどね。
「ど〜 れどふぁ ・・・ ど〜 れどふぁっ れどふぁっ そそそそ〜 らららら〜」
下りのフレーズから、ようやく生き返ったみたいに活気づいてくる。

でも、やっぱ英雄にはなれないのかなあ。
普通の人って感じがする。っていうか、ハイティンクさんは、やっぱ平和主義者なんでしょうねえ。
挑発的にでも、威圧的でもないし。そう言う意味では、ちょいと面白くないって言えば嘘になるが、はったりをかますタイプじゃないだけになあ。実に丁寧に、大仰ではない、等身大の素直なリストである。
で、牧歌的で、ワルツ風に奏でられる。
が、しかし。しかしなのだ。きちんと最後は、ちゃんと力強く、シアワセの賛歌風、平和を歌いあげるような演奏になっているんだよな。なーんだ、最後は、ちゃんと盛り上げてくるやん。
やられた。そう来たか。う〜ん。最後の最後でねえ。はぁ。遅いよ。
  ショルティ ロンドン交響楽団 1977年
Georg Solti  London Symphony Orchestra

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。期待していたほどには恰幅が良くなく、カッシリしているよいうよりは、ずーっと緩やか。意外なほど。
カップリングは下記のとおり。 
カップリング:
リスト ファウスト交響曲 ショルティ指揮 シカゴ交響楽団1986年
リスト 交響詩「前奏曲」、「プロメテウス」 ショルティ指揮 ロンドン・フィル 1977年
リスト ダンテ交響曲 ロペス=コボス スイス・ロマンド交響楽団 1981年 2枚組BOX

リスト 交響詩「前奏曲」
ショルティ盤のうち、このCDは、旧録にあたる。1977年のロンドン・フィルとの演奏である。
92年に、シカゴ響とも録音しているが、両方とも意外なほど、ソフトな演奏で、柔らかい。
カッシリした、恰幅のある格好の良い演奏をイメージをしていたのだが、テンポも、結構揺らしてて、流れるように旋律を奏でている。
木管のフレーズも色彩的で、柔らかな陽射しが射し込んでくるような雰囲気がある。
低弦の響きは、イマイチで、ガッツリしていないので、ヤワイって感じがするかもしれない。
低い音から伸び上がってくるフレーズに、厚みや力強さが感じられないかなあ。
金管の音色は、音の放つ広がり感と、キラっとした煌めきは、さすがに整っているし、ホルンは柔らかくて、持続する音も安定してて、綺麗なんですけど。
弦の硬さや鋭さ、後半のスピード感が、もっとあれば良かったかもしれませんね。
ジェームズ・コンロン ロッテルダム・フィル 1983年
James Conlon  The Rotterdam Philharmonic Orchestra
(Rotterdams Philharmonisch Orkest)

ふむふむ。

録音状態は、まずまず。恰幅の良さはないが、弦を主にして、とても叙情的に描かれている。カップリング:リスト 交響詩「前奏曲」、レーナウの「ファウスト」からの2つのエピソード(85年録音)、「2つの伝説」(83年録音)
今は、Apexから出ているが、原盤はエラート(ERATO)である。
リスト 交響詩「前奏曲」

「れ〜どふぁ〜 れしら しれふぁ らしれ ふぁら〜 しぃ〜」
「れ〜どふぁ〜 そ らぁし〜 れどふぁ〜〜 しぃ〜」
音が全体的に前に出てくるような録音ではないので、ちょっと損している感じがする。
また、この曲にありがちな、恰幅の良い、ダイナミックに演奏されているわけではない。
フレーズに流れがあるわけでも、さほど、キレが良いわけでもなく、う〜ん。もう少しインパクトの強い演奏であれば、耳がそばだつのかもしれない。

「そぉ〜 みどし どれみ そしど みそし どぉ〜」と、昇っていく低弦の響きが、総体的にぼわっ。としていることと、フルートの「み〜 れそぉ〜 みぃ〜 れそぉ〜」という響きの間合いは良いのだが、同じようなフレーズを繰り返していくのに、あまり変貌しなのである。
もわっとした空気から、「どらふぁ〜 どらふぁ〜 れどし らしど れふぁ〜」と半音混じりで力強く昇っていくなか、何かもっと変化が欲しいっていうか。
変貌したり、姿を見せながら、可視化してくるような、湧き起こってくるモノが欲しいかな。って思う。
まあ、可視化っていっても、バケモノが登場するとか、龍が昇ってくるってワケではないんですけど。(笑)

もちろん、段々とは、音が大きく鳴ってくるのだが、大きくなって、膨らんで 膨らんで〜
「そみど らしど れぇ〜 ど みどしら ふぁ〜っ ふぁっふぁっ」と、金管が登場してくるところのフレーズ、最後のダメ押しの金管パワーが、あ〜 もう少し押し込んで、力強く吹いてぇ〜っと言いたくなっちゃうのだ。
歯切れが悪いし、もう少し重量が掛かっても良いかも。
(単に、ワタシが、派手な演奏を聴き過ぎたかもしれないけど〜)

でも、中間部は、叙情的で、弦は綺麗に鳴っているし、前述したフレーズでも、弦は綺麗に入っている。
フレージングの柔らかさ、優しい歌いは、とても巧いと思う。
ホルンの響きは、奥ゆかしいほどだが、弦もハープも一緒に歌う。
「らぁ〜そら らぁ〜そら しぃ〜どれみ そふぁれどら」
「そぉ〜みそ そぉ〜みそ どぉ〜れみ らそみ れそど ら〜そら ら〜そら・・・」と、優しく歌う。
いつもなら、さほど気にならない、木管やハープの音色が、優しく聞こえてくるので、あらっ リストだよね。
と、思わず苦笑いしちゃうほど。

雲行きが怪しくなってきた後は、さすがにテンポもアップしてくるし、金管も入ってくるので勢いが増してくる。「れどふぁ〜 れどふぁっ〜 そそそぉ〜 そっそそっそっ・・・ らっらっら ししし どぉ〜」
チューバの響きは、さほどインパクトがないのだが、ピッコロの鋭い音は聞こえてくる。
ティンパニーも鳴り出すと、ハイ、勢いはあるのだが、でも、他盤と比べちゃうとおとなしい。
まあ、もちっと元気だして、バンバン ゴシゴシ、やって欲しいけれど・・・。
コンロンさん優しすぎ〜(笑)
後半、シャンシャンした小太鼓、シンバルが入ってくると盛り上がってくる。
が、総体的には、派手に、バンバン鳴りませんが、優しくて叙情的で、弦を主体にして、繊細に描写をしようという気持ちの伝わってくる演奏だと思う。

有名曲である「前奏曲」(プレリュード)よりも、カップリングされている下記の曲が嬉しい存在だ。
、レーナウの「ファウスト」からの2つのエピソード(管弦楽曲) サール番号 S110
 第1曲「夜の行列」、第2曲「村の居酒屋での踊り (メフィスト・ワルツ第1番)」
「2つの伝説」(管弦楽曲) サール番号 S354 
 第1曲「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」
 第2曲「波の上を歩くパオラの聖フランチェスコ」
 ちなみにピアノ独奏版は、S175である。
少なくとも2つの伝説の管弦楽版は、あまり見かけないので、貴重盤だと思う。
ショルティ シカゴ交響楽団 1992年
Georg Soltihi  Chicago Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態はまずまず。ライブ盤 金管がシカゴ響のわりには、ソフトで、思わず耳を疑うほど爽やかだ。ある意味、期待を大いに裏切ってくれた盤である。
カップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲
77年ロンドン・フィルとの前奏曲、プロメテウスの録音もある。
リスト 交響詩「前奏曲」

数あるリストの交響詩のなかで、イチバン有名なのは、この曲だろう。
「れ〜どふぁ〜 れ〜どふぁ〜」と、ちょっとしゃがれた声だが、ふわっと立ち上がってくる。
軽やかではあるが、雲のなかから光が漏れている。 朝日が立ち上ってくるような、爽やかさが含まれている。
カラヤン盤のように、カオス感や深遠さは無いが、メータ盤のような、あっけらかんとしすぎた豪快さとも異なり、しっとりした朝露を含んだような雰囲気が漂っている。

「れ〜〜 ど・ふぁ・れ・ど し〜ら〜 (ららっ) そ〜(ど・ふぁ・れ・ど)し〜み (みみっ) み〜 みみっ」
このトロンボーンとトランペットのフレーズが、軽やかに華やかに吹かれている。
特に、「ららっ れ〜れれっ!」と吹かれる、トランペットのフレーズが、爽快で特徴的である。
腰はあるが、まるで、キャッチボールのように音が飛んでくる。
パパっと、歯切れが良いのだが、重すぎず軽すぎず、これが大変心地よい。音が曲線を描いて、すぽっと、キャッチャーミットに入ってくるような。そんな音の広がりと、のびを感じる。

続く、弦のフレーズもところどころ粘りがあり、まったりしているものの、ご大層にもならず。
弦を主体としたフレーズに、曲線美を感じる。
ホルンが、「ら〜そら ら〜そら し〜ら そ〜ふぁそ そ〜ふぁそ ど〜」と奏でてくるところも、かなり雰囲気づくりがなされており、抒情的に歌われている。

実は、ショルティのことだから豪快な一本調子の演奏だろうと思っていたのだが、これが大違い。
へえ〜っというほど技巧的で、抒情的なので、これは驚かされた。
ショルティさん最晩年の演奏で、CDジャケットのお写真も、すっかりお爺ちゃんになっている。
そういう意味では、ワタシの期待は大いに裏切られてしまったのだが、リストの楽曲で、爽やかな雰囲気づくりとは、大いにびっくり。
う〜ん。ドラマティックな場面展開が続く楽曲なので、ほっておいても、かなり劇的に聞こえるのだが。
嵐のような切迫感のあるシーンでは、テンポを揺らしており、速めに刻んでいく。
重量感は少ないものの、テンポに切れがあるので、かなり動的で、新鮮だ。

田園風景のようなシーンでは、ぐぐ〜っとテンポを落として、シアワセ感たっぷりに、木漏れ日のなかで喜びを表現してくれる。 さほど、大袈裟ではないのだが、さりげなく歌のようにフレーズが伸び縮みしており、それでいて、自然な感じで聴かせてくれる。ギクシャクした演出感を感じないので、普通に受けとめることができて嬉しい。
大見得を切ったメータ盤、華麗すぎるほど華麗に演じてくるカラヤン盤とは、全く異にしている。
最初のテーマが戻ってきても嫌らしくない。聴後感が、大変さっぱりして、ホント爽やかだ。
リズミカルで活き活きとした感覚。健康的で、通常的で、それでいて、のびやかで〜 う〜ん。なかなか、ないよねえ。
リストの楽曲で、これほど心地よい風が吹く、朝の雰囲気が漂っているって演奏は・・・。 たいてい、アクが強いもん。
ショルティ盤が、抒情的なんです〜と言うと、なんだか変だが、これ貴重な存在かもしれないなあ。
しかし、信じられないほど、シカゴ響のくせに爽やかなんです。これホント。
但し、あまり他の方にはお薦めできない。(笑)
メータ ベルリン・フィル 1994年
Zubin Mehta    Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

あちゃ〜

録音状態は、思ったほどよろしくない。特に小太鼓などのパーカッションが分離できておらず、ヌケが良くないのでこもりがち。ライブ盤  もちろん、しっかり演奏されているが、あっけらかんとした表情づけだと思う。
カップリング:交響詩「前奏曲」「オルフェウス」「マゼッパ」「ハムレット」「フン族との戦い」
リスト 交響詩「前奏曲」

このメータ盤は、ライブ盤である。
カラヤン盤は、冒頭の序奏部分で時間を割いていたが、メータ盤は、柔らかに立ち上がってくる。
ふわ〜っと、のびやかだ。おまけに、カラヤン盤とは違って、筋肉質というか重厚な肉厚感がある。
テンポに、あまり速さは感じないのだが、メリハリのついた感じで、スムーズに展開している。
このメータ盤を聴くと、カラヤンがもったいつけて演奏していたのかと勘ぐってしまうほど、あっけらかんとしてて、健康的で、伸び盛りの若さとパワーを感じる。

「そっ みっ どっ らっ しっ どっ」 
「れ〜〜 ど・ふぁ・れ・ど し〜ら〜 (ららっ) そ〜(ど・ふぁ・れ・ど)し〜み (みみっ) み〜 みみっ」
高らかに、トロンボーンのファンファーレが鳴り響く。ここの雰囲気は、太陽が昇ってきたという感じがする。

まるで、燦々と降り注ぐ光を一身に受け、太陽に向かって仁王立ちしているような、英雄的な自信がみなぎっている。
簡単に言えば、いや、端的に言っちゃうと、超マッチョ風。 金管の迫力もすごいが、ティンパニーが、ものすごい響きで圧倒的に叩かれている。
カラヤン盤が抒情的だったことに比べると、叙事詩そのもの。なんとも力強いことで・・・。アッハハ・・・これは痛快だ。

単純なフレーズの使いまわしを、のびやかに歌い、劇的効果も抜群である。 動的で、動き回るリズム感と、音の量や伸びに振幅の大きさを感じる。 豊かな音量で、豊穣感があって、これだけ、たっぷり鳴らしてくれると嬉しい。
ワタシ的には、あまり深刻ぶらなくても良い楽曲と思うので、これで録音状態が良ければ、さらに嬉しいのだが・・・。
残念なことに、あまり良い録音ではない。
小太鼓の音が、かぶさってくると、奥ゆきが足らないのか、混濁してくる。 まっ しかし、会社に行くのが嫌だな〜っと思っていても、これを朝、聴いていくと、元気が出てくるかもしれない。 但し、若い人に限るけれど・・・。 中高年以降は、そんな単純なモノではない!と、苦言が出るかもしれないけど。

しかし、そんな深刻ぶらなくてもよいのではないだろうか、むしろ、あっけらかんとした、気分にさせてくれることは、 ある意味、ありがたいことなのかもしれない。その点、裏切らないというか、 やっぱりねえ。というメータ盤である。
ノー天気派のワタシには、これを聴くと、どことなく、にやり〜と笑えるので、好きだったりする。
  シノーポリ ウィーン・フィル 1996年
Giuseppe Sinopoli    Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra) 満足っ満足っ

録音状態は良い。最初の方は、なんて緩いんだろう〜って思ってしまったのだが、音色の美しさはピカイチ。
繊細なフレーズで、女性的な演奏で、逞しさやアクの強さは影を潜めている。でも、最後には、結構盛り上がって終わってくれるので、思いの外、壮大なので満足してしまった。
リスト 交響詩「前奏曲」

シノーポリさんのリストの交響詩は、ここで紹介する前奏曲と、オルフェウス、マゼッパの3曲である。
いずれも、ウィーン・フィルを振ったものなのだが、ワタシの所有しているCDは、リストのピアノ協奏曲1番と2番がカップリングされているもので、前奏曲しか収録していない。
あーっ しまった。ピアノ協奏曲は、ジュリーニさんが指揮したもので、ダブリ買いをしてしまった。
そんなワケで、交響詩を重点的に聴きたい場合は、他の盤があるので気をつけてください。

当盤のカップリングは、下記のとおり。
リスト ピアノ協奏曲第1番、2番 ピアノ:ラザール・ベルマン ジュリーニ指揮 ウィーン交響楽団
交響詩「前奏曲」、ハンガリー狂詩曲第2番 シノーポリ指揮 ウィーン・フィル

さて、前奏曲、、、 ウィーン・フィルとの演奏は、ちょっと柔らかめだ。
 「れ〜どふぁ〜 れしらしれふぁ らしれ ふぁら〜 しぃ〜 れ〜どふぁ〜 ら〜し〜 れどふぁ〜」 という序奏部分は、大変優美である。
一呼吸おいて、同じフレーズを、密やかに、上昇していく。
フルートの響きは大変美しく、弦は柔らかく、優美で、女性的。
ちょっと、ガッツのあるフレーズが好きな方にとっては、柔らかすぎて、あれっって感じがするかもしれない。
そういう意味では、音の響きは確かに綺麗なのだが、力強さとか意志力とか、逞しさとか、アクの強さみたいなモノには、ちょとご縁がない。
ただし、金管が入ってくると、かなり色彩的で、開放的で、ティンパニーの鳴りっぷりが特に印象に残る。
もう少し、テンポアップして演奏していると、メリハリが出たかも知れないが、結構、ゆったりしている。
思わず、ワタシも、こりゃー緩いわい。と思っちゃったのだが、 怪しげな空気の場面に入ってくると、金管の力強さが、前に出てくるのだ。
それに、ホルンの音色なんぞ聴いていると、はあ。美しいっ。
世紀末的な様相といか、ちょっぴり、退廃的なムードが漂う楽曲になっちゃってるのだ。
ため息が出ちゃうほど美音で、リストの楽曲を、こんな柔らかく優美で良いのかしらん。と、首をかしげてしまったのだが、まあ、これは、アクの強い、大見得を切ったような演奏を聴いてきた、功罪かも。

前奏曲の後半は、なかなかに、弦がガシガシを弾いており、劇的な演出のニオイがする。
重厚さを持ち合わせた満足の高い演奏だ。
エッジは鋭くないし、彫りの深さも、さほど感じないが、その代わり、繊細で、叙情的で、いろんな音が聞こえてきて〜 えっ。こりゃ耳のご馳走かもしれない。と、思い直した次第。
一辺倒に鳴らしてこないで、意味深に、サブになっている旋律を、繊細に浮かせてくれる。
聴きなれた楽曲に、新鮮さをもたらせてくれるアプローチだ。
他盤とは異なる版かしらん。って思うほど異なる面を描き出した演奏なので、このシノーポリ盤を聴くと、新鮮さが感じられて嬉しいかも。
最後の方は、小気味良く小太鼓が叩かれ、オペラチックに壮大に華麗に盛り上げて終わってくれる。
打楽器が入ってくると、かなりリズミカルさが出てくるし、壮大なクライマックスを築いて盛り上げてくる。
特に、木管、金管の音色の美しさに、うっとり〜させていただいちゃった。
  ジャナンドレア・ノセダ BBC交響楽団 2004年
Gianandrea Noseda    The BBC Symphony Orchestra

さっぱりワカラン

録音状態は良い。ノセダは、リスト交響詩を全集録音(全5枚)しており、このCDは第1巻にあたる。この前奏曲(レ・プレリュード)の解釈は、ちょっと、ついていけない。最初は勢いもなく、 オジン臭く諦めムードが漂っていたのだが、最後では、ド派手〜あれれ? 
カップリング:リスト交響詩「山上で聞きしこと」「タッソー、悲哀と勝利」「前奏曲」「オルフェウス」
リスト 交響詩「前奏曲」

「れ〜どふぁ〜 れしら しれふぁ らしれ ふぁら〜し〜 れどふぁ〜 そ〜ら〜 れどふぁ〜」
ノセダ盤は、透明度が高く、叙情的というか、穏やかに自然なうねり感をもって昇ってくる。
同じフレーズを音を変えて、再登場するが、それでも、すわ〜っとした風のような雰囲気だ。

しかし、、、、曲が進むにつれ、ハープの音色や弦の音は、どこか不気味で、暗雲たれ込めそうな暗さを持ってくる。
まるで、息づかいが、はぁ〜は はぁ〜はっ と、息切れを起こしているようだし、奥歯にモノが挟まったような、持って回った言い方をしているようで、ちょっと、まどろっこしい。
スピード感もないし、年老いた爺様の、ムカシ ムカシあるところに〜というような、懐古調で物語を綴っているかのような、重い感じがするのだ。
で、フレーズがかわって、金管の豪快な鳴りっぷりのところでは、明るさが無い。
「れぇ〜ど みどしら ら〜ららっ ふぁ〜みらふぁみ れ〜っれれっ れ〜 れれっれ み〜」
豪快で、見えを切るかのようなフレーズなのに、どうも重くて開放感がない。
なーんでぇ〜 ファンファーレのフレーズが、重くて、重くて、なんとも、くぐもった重たいモノになっているのである。
録音状態も、レーベルがシャンドスなので良い筈なのだが、低音の響きが、どっかガッシリと響いて来ない。ドンドンドンっというティンパニーの響きはあるものの、腹に響かないのである。
え〜ノセダ盤には、期待していたのに〜 これじゃ、期待はずれだ。

カラヤン盤は、爽快さや見栄を切るような素振りがあり、役者なのである。いかにも深淵な雰囲気を漂わせ、かなり大層に上段に構えて、ドラマティックである。ここまでするかぁ〜  と思うぐらい向こうを張っていたのだが、ノセダ盤は、その点勢いに欠け、弦のカシカシとした、ガッシリした構築性が感じられない。

タイトさに欠けているっていうか、嶮しさとか、キツサが感じられないので、どっか緩めに感じちゃう。
それに、オケの色彩感というか、低弦の響きが少なめで、立体的ではなく、ピラミッド状のように広く、高く積み上がってくるような感じがしないのだ。う〜ん。何故なんだろ。
叙情的ではあるが、どことなく、疲れや諦め感の方が強い。
う〜ん。やっぱ、息づかいがオジン臭いのかな。

野心的に、龍のように上向きで、ギラギラして上昇指向を描かないところが、なんともモノ足らない感じがしちゃうんだと思う。 こりゃ〜 諦めムードを漂わせて、人生の終焉を迎えるって感じですねえ。
まちがっても、ミリタリー調で、ガンガンに奏でる解釈ではありません。この曲に格好良さ、豪快さ、アクの強さを求めるなら、違う盤を聴いた方が良いです。ハイ、そんな方はお薦めしません。
ワタシは、浅はかな者なので、この曲には、ある程度、格好良さも求めちゃうんですねえ〜
もうちょっとぐらい派手に演奏してもらっても良いなあ。って思います。

まっ ノセダ盤のレ・プレリュードは、老齢者向き。静かに死を迎えましょうって感じかな。
ちょっとは若い時、色めき立ちましたけど、もはや、ジタバタしませんって感じで、テンポは遅めです。
しかし、しかし〜 何故か、最後の最後で、ド派手に演奏されるんです。
恐ろしく大きな音で、シンバルもティンパニーも入ってて、アホみたいな行進曲になってます。

まるで、ノー天気に、お空には虹がかかって〜 お迎えが来ましたよぉ〜 さあ参りましょう。って感じですかね。人生最後、南○○○と唱えれば、阿弥陀如来がお迎えに来てくださって、極楽浄土に行けますよ〜って言われてるみたいなんです。
別に、宗教に批判する気持ちはありませんのですが〜 えぇ〜 それまで諦めムードだったのに、いきなり最後で、救いを求めたって、あなた〜 そりゃないでしょ。
最後で、アプローチを最後で変えるなんて、ひどいや。あまりにも思慮に欠けてません?って感じで、ホント、なんだか裏切られた気分でしたデス。 そんなに深刻ぶらなくても、もともと楽曲派手ですけどねえ。
1963年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル SC ★★★
1967年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1968年 ハイティンク ロンドン・フィル Ph ★★★
1977年 ショルティ ロンドン・フィル Dec ★★★
1983年 コンロン ロッテルダム・フィル Apex ★★★
1992年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★
1994年 メータ ベルリン・フィル SC ★★★★
1996年 シノーポリ ウィーン・フィル ★★★★
2004年 ノセダ BBC交響楽団 Chandos ★★★

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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