「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

メンデルスゾーン 序曲「静かな海と楽しい航海」
Mendelssohn: Meeresstille und glückliche Fahrt
(Calm Sea and Prosperous Voyage)


ドホナーニ ウィーン・フィル 1976年
Christoph von Dohnányi
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。幾分コクは少なめだが、弦のタッチは細かく、精緻だし、パステルで描かれた絵画を見ているようだ。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第1番〜5番、序曲「静かな海と楽しい航海」、序曲「フィンガルの洞窟」3枚組BOX

メンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」という短い楽曲は、ゲーテの詩を元にしている。
で、ドイツ語で表記すると、「Meeresstille und glückliche Fahrt」となる。
ワタクシ、ドイツ語は読めないのだが、同じ詩を元にして、メンデルスゾーンは序曲を、ベートーヴェンは、カンタータ(合唱幻想曲)を書いてて〜 で、同じ詩でも、ベートーヴェンとメンデルスゾーンじゃー いやいや、シューベルトも歌曲を書いていたっけ・・・。まっ  ゲーテの詩という素材は同じでも、出てきた料理は異なり、似て非なるモノになっております。

メンデルスゾーンは、穏やかな楽曲を書かれる方で、聴いててホント嫌みがないので、ワタシ的には大好きな作曲家だ。疲れていたり、ふっとCDを手にして、すーっと流して聴いても良いし、さあ〜聴くぞっ!と、気合い充分に、構えて聴かなくてもOK。全く気にしなくてOKという、気楽な楽曲 、そのくせ清涼剤のように気持ち良くなって終わることができる、大変貴重な楽曲なのデス。

冒頭、まさしく静かな海。渚にて〜って感じのゆるやかな出だし。
弦が、し〜〜っという流れを、ずーっと続けていて、まるで砂浜のような雰囲気で描く。
そこに低い木管が重なってきてはいるが、長い音が、ずーっと続いて、眠くなるような静けさ。
フルートで、印象的なフレーズが入る。
「しぃ〜〜 らぁそふぁ そしみそ」「しぃ〜〜 らそふぁ そしみそっ」
「しぃ しぃ〜 しらっらぁ〜 そぉ〜 そぉ〜 そぉ〜 ししっししっっ・・・」って音が動く。
帆掛け船のように、しゅるしゅる〜っと動き始めると、ちょっぴり快活になって勢いがついて、「れっれっれっれっ・・・ れふぁらふぁれっ れふぁらふぁれっ ふぁふぁふぁふぁ・・・」と進む。
「そぉっ〜 ふぁ ふぁっ ふぁ しぃっ〜 しぃ〜 しらそふぁ ふぁふぁふぁ〜」
「そぉ〜 ふぁ みしぃ〜 そぉ〜ふぁ みしぃ〜」ってところのフレーズになると、なんていうか爽快そのもので、風を受けて、スイスイ〜っと 、日本風に言うと、シュラ シュシュシュ〜と進む雰囲気がたっぷり。

弦のフレーズが、筆の細かいタッチのように描かれていて、さほど音に、楽器を使っているわけでもないのに、動的でもあり、水彩画のような絵画的な雰囲気もあるし、色彩的なのだ。
筆さばきが快活そのもので、視覚に訴える力が湧いてくるというか〜 この点は、すごいと思う。
このこのリズミカルさ、爽快さ、快活さが、なーんとも言えないですねえ。

低い弦の響き、低い木管のフレーズっていえば、「そぉ〜ふぁみ しぃ〜 そぉ〜ふぁみ しぃ〜」ぐらいのフレーズで、「そぉふぁ〜 そぉふぁ〜」と揺れるフレーズぐらいが目立つだけ。
ホルンかなあ。たまに、「ぽわ〜」って鳴るだけだし。
同じような音型で、フレーズが繰り返されて進むだけなんだけどなあ。
「そぉ〜ふぁ ふぁみっし どしっそ らそふぁみ」 「そぉ〜ふぁ ふぁみっし どしっそ らそふぁみ」・・・ 
「そぉみ どそふぁ み〜れ」「そぉみ どそふぁ み〜れ」ってフレーズも、5番の宗教改革で聴いたようなフレーズを奏でて。素直に明るく素朴で快活で、晴れやかに〜
最後は「どしらそふぁみれど〜っ」と単純な音階から、軽めのティンパニー付きで「みふぁそらしど・・・」と明るく、そして、ちょっとだけ暗く軽やかに音階を奏でて〜
トランペットの軽やかなファンファーレ。「みぃ〜 そぉし みそっしっ そっっそそっそぉ〜」
「そぉ ふぁ みみっ〜」と軽やかに、あまり派手にならずに最後は、静か〜に終わる。

ドホナーニ盤は、ウィーン・フィルってオケなんですけど〜
ホント、これウィーン・フィルなの?って言うぐらい艶っぽくもないし、コクもなく。ちょっと、さっぱりし過ぎじゃーっと思うほどの、アッサリ風味。
幾分、彩度は落ちているし、テカテカしてなくって 良いって言えば良いんだが〜 やっぱコクがないかな。分厚い響きが少なめだが、録音状態は良いし、筆タッチは明解で精緻だ。
オケのパートの見通しは抜群に良い。
ちょっと パステルで、さらり〜っと描きました。という感じで、小型の帆掛け船って感じでしょうか。
抑揚が少なめで、リズミカルさが、もう少しあれば、もっと活き活きしていたかもしれないが、 充分に弾力性はあるし、演出過剰ではない玄人好み風で、筆致を楽しむなら〜超お勧めって感じだ。
まっ この点は好みでしょうが・・・。

アバド ロンドン交響楽団 1986年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra



録音状態は良い。弾力性よりも、カッチリしてて〜 音質は明るめで重量あり。
カップリング:メンデルスゾーン 序曲集
序曲「美しいメルジーネの物語」、「真夏の夜の夢」序曲、序曲「静かな海と楽しい航海」、吹奏楽のための序曲、トランペット序曲、序曲「ルイ・ブラス」、序曲「フィンガルの洞窟」

このCDは、序曲ばかりを集めて1枚に収録されたもので、珍しい楽曲も収録されている。
吹奏楽のための〜とか、トランペット序曲なんて・・・ へぇ〜って感じで、全く知らなかった。

さて、「静かな海と楽しい航海」
アバド盤は、86年のデジタル録音なのだが、う〜ん。録音状態は、78年のドホナーニ盤の方が断然に良いように思う。なんだか、ちょっと乾いた感じで、平面的というか、デッドなイメージがしちゃう。
冒頭 のゆるやかな弦の響きは、弱音すぎて〜 あとに出てくる勢いのあるフレーズと比べると、死んじゃった海のような感じで、ゆらめき感が少ない。低弦の響きは充分にあり。
「静かな海」の場面では、夜の海というか、ダークな感じ。視界的な広がり感がイメージできないな〜って感じてしまった。

「しぃ〜〜 らぁ そふぁ そしみそ」「しぃ〜〜 らぁ そふぁそしみそっ」
「楽しい航海」の始まりは、ハイ、やっぱ明るいです。オケの音色は、明るめで、木管の音の幅が広くて、勢いが出て快活そのもの。
「れっれっれっれっ・・・ れふぁらふぁれっ れふぁらふぁれっ ふぁふぁふぁふぁ・・・」と進み、「そぉっ〜 ふぁ ふぁっ ふぁ しぃっ〜 しぃ〜 しらそふぁ ふぁふぁふぁ〜」
「そぉ〜 ふぁ みしぃ〜 そぉ〜ふぁ みしぃ〜」ってフレーズに 続くが、縦糸がバシっと合っていてわりと几帳面で、ドイツ風なマーチのように、カッチリ硬めに聞こえる。
「そぉ〜ふぁみっどぉ〜 そぉ〜ふぁみどぉ〜」というチューバかな。この音が重く、ずんっ!と入ってくるし、低弦の響きも金管の響きも、太くて重めだ。
ちょっと低音が勝っているので、低音がこもった感じがしちゃう。

ドホナーニ盤が、しゅしゅる しゅるぅ〜っと進むような、勢いがあって、横に流れるノビ感というか、前に進んでいくノビ感を感じたのだが、アバド盤を聴くと、弾力性は、う〜ん。イマイチな感じがする。
海のうえを進んでいく、自由さ、揺らめき感、伸びやかさは、あまり感じないかもしれない。
もちろん快活だし、明るいし、ダイナミックで、重厚さも申し分ないし、油絵タッチに近いというか、金管やティンパニーの音も重さがあって、開放的で恰幅が良いのだが〜。

ただ〜 ドホナーニ盤を聴いて、アバド盤を聴くと、なーんか、雑に聞こえてしまう。う〜ん。何故なんだろ。何度か聴いてみたのだが〜
弦の細やかな動きだとか、木管のフレーズが浮かび切れないというか、どーも見通しが悪いためかもしれないなーって思う。シンプルなフレーズの楽曲だし、短い曲だ。
でも、シンプルな音型なくせに、もののみごとに構成されていて、筆致のみごとさに驚かされたし、また、同じような音型が、幾重に重なって次々と繰り出してきては、弾力のある動的なモノに変化し、活き活きと描かれていると感じることができたのは、ワタシの場合は、ドボナーニ盤でした。
まっ 色彩感や音の質感には、ワタシ〜 ドホナーニ盤は、コクが無いって書いちゃったしなあ。
コクもなく。ちょっと、さっぱりし過ぎじゃーっと思うほどの、アッサリ風味。って感想を書いちゃったし〜
あちゃ〜 どうしましょ。今頃、猛省しても仕方ないのですが〜(苦笑) 

苦し紛れに、水彩画的な筆致を楽しみ、爽快で清涼感を楽しむならドホナーニ盤。
重量級でカッチリして、ダイナミックに油絵風を見るように楽しむならアバド盤かな。って言っておきます。
いい加減な感想で、スミマセン。
1975年 アッツモン ニュー・フィルハーモニー管弦楽団 EMI
1978年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec ★★★★
1986年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★
所有盤を整理中です。

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