「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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メンデルスゾーン フィンガルの洞窟
Mendelssohn: The Hebrides (The Fingal's Cave, Die Hebriden)


0220

セル クリーヴランド管弦楽団 1957年
George Szell
Cleveland Orchestra

むむっ〜

録音状態は57年のわりには良い。ただ〜高音が伸びず、残響が少ないため、硬い感じがしてしまう。
カップリング:メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」、「真夏の夜の夢」5曲、序曲「フィンガルの洞窟」 (Blu-spec CD)

「そぉ〜みれみ ど〜そ  そぉ〜みれみ ど〜そ」「しそ〜ふぁそ み〜し  しそ〜ふぁそ み〜し」
「れ〜しらし そ〜れ〜  れ〜しらし そ〜れ〜」
「そぉ〜どみそ どしらそら どらふぁ〜・・・」
録音は57年だが、ブルースペック版(Blu-spec CD)なので、かなりクリアーに聞こえる。セル盤は、テンポがゆったりしており、大海原に漂う感じで、優雅に大きく流れていく。
うねりが大きくて、弦で描かれた波が、次々と規則正しくうねっている。
冒頭からフレーズが進むにつれて、低音域の弦、中音域の弦、高音域の弦と移っていくが、ホント、どっしりした風格である。ほぉ〜と息をのむほど立派だ。
ヴァイオリンのフレーズが主にはなるけれど、低弦が、しっかり響いてこないと、「ん〜たら らぁ〜ら ん〜たら らぁ〜ら」と、鳴ってこないのだが、ものすごく、硬いぐらい にしっかりしちゃって〜。
几帳面なほどテンポが揺れないし、う〜 これでは海のイメージがしないんだけど。と、苦言を言いたくなるほど。
かっしりした構造物を見ているというか、その構造の固さに、驚いてしまった。
これほど、はっきり、明瞭に、低、中、高と弦の動きが見えてきそうなのも、珍しいかもしれない。
デュトワ盤だと、すっかり溶け合ってしまって響くのだが、セル盤だと、弦の重層さ、役割分担をしているのが、よく見えてくる。
まあ。どちらが良いとは言いがたいんだけど。
少なくとも、セル盤は、液体って感じがしないんだよなあ。
響きはスリムだ。ノンビブラートって感じの響きに近く、すっきりしている。チェロが歌うところは、歌わせているし、低い響きには、まろやかさは感じられるものの、高い弦の響きが 、う〜ん硬直気味。
そのためか、ツンツンしてて、盛り上がってくるところで、金管が吹かれるが、「ぱぁ〜ぱぱぱ〜 ぱぱ ぱぁ〜」のところでは、突き刺さって来る感じ。音の広がりが感じられず、がっくっ。(涙)
見通しの良い明瞭な線が、綺麗にトレースされて描かれているのだが、厳格な枠に収められている感じがするので、のびのび〜とした広がりを見せるという風ではない。
まっ 重々しい演奏ではないが、木管、弦、金管、パーツが組み合わさった立派な演奏だとは思う。
でも、やっぱ、これでは、あまりにも杓子定規風で、弦の波を感じつつも〜
海というよりは、黒々とした硬い玄武岩でできた洞窟の柱(六角柱状の柱状節理)、その巌の姿を描いているという感じがしちゃった。

0215

モーシェ・アツモン ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1975年

Moshe Atzmon
New Philharmonia Orchestra

ひぇーぇぇ〜

録音状態は、まずまず。弦が乾いて霞がかかっている傾向にあり。演奏は、怖いぐらいに迫力あり。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番、4番、5番、「フィンガルの洞窟」、序曲「静かな海と楽しい航海」、「アタリー」、「異国からの帰郷」、「ルイ・ブラス」、2枚組BOXより  ムーティの交響曲とのカップリングである。

このBOXは、全てムーティが振ったものと思いこんでいたのだが、ムーティは交響曲のみ。
フィンガルの洞窟ほかの序曲集は、アツモンさんが振ったものである。
で、序曲集は、珍しい曲がカップリングされているが、イマイチ録音状態が良くないので、惜しいような気がする。
ここで紹介する「フィンガルの洞窟」は、なんとも勢いのよい、ガッシリとした険しく激しいである。
「そぉ〜みれみ ど〜そ  そぉ〜みれみ ど〜そ」「しそ〜ふぁそ み〜し しそ〜ふぁそ み〜し」
「れ〜しらし そ〜れっ  れ〜しらし そ〜れっ」「そぉ〜どみそ どしらそら どらふぁ〜・・・」

まっ ここまでの序奏部分は、他の盤と、さほど変わらないテンポなのだが、さらり〜と行ってしまう。
また、今となっては、ティンパニーのドスンっという音が、こもり気味となっている。
ふわっと、ヴァイオリンの旋律が乗っかってくるのだけど、全体的には、流麗さや穏やかさが出ているというより、ヴァイオリンの音色が乾いてて、まるで、ヒースの枯れて寒々しいイメージが湧き起こる。
ちょっと恐いっ。いや、かなり恐い。
底知れぬ穴が、ぽっかり空いているような・・・。そんな暗くて底知れぬ不気味さだ。
特に、低弦がこもり傾向なので、う〜ん。どろどろどろ〜  ごろごろ〜と音が鳴っているし、不気味な怪物が潜んでいるような怖さがある。これは、低弦とティンパニーの底知れぬ暗くて乾いた音のせいだろう。

木管からチェロに受け渡されたフレーズは、スムーズだが、チェロの音色が甘くないのだ。
硬くて恐い。厳しい音色で彩られている。
旋律の受け渡しは、綺麗なのだが、どっか素っ気ないし、かなり冷たい。
そうだなあ、冬のフィンガルの洞窟って感じだろうか。フルートの音色も、こわばっているようで、凍てついている。とっても、穏やかな瀬戸内海のような波とは違ってて、凄まじいキレのよい断崖絶壁風である。

で、波が、洞窟の巌に打ち寄せているようなフレーズ 「み〜れど れ〜そ  み〜れど れ〜そ」
「み〜れど み〜れど み〜・・・」「ん〜 チャチャ チャら チャ チャン」
「し〜 タララ ラッタ・・・ し〜 タララ ラッタ・・・」というフレーズにさしかかると、一気に回転度数が高くなって、疾走していく。
急激にギアチェンジしており、メチャ、テンポアップして、速い速いっ。おおっ、競馬の第4コーナーで、ムチが入ったかのようだ。
また、木管の音色が、透き通るというより、キレ味抜群の刃物のようで、ぴろろ ぴろろ ぴろろ〜っと木管の音色までが、恐ろしく速くなってて、最後には、ごごご〜っぉ。 ごーっ! 怒濤のように、一気に流れ出してくるのである。あちゃー これじゃ、海に面した洞窟に、海水が流れ込んでくるというより、ダム決壊じゃん。と思うぐらい 。とっても速いくて、勢いがあって、おっそろし〜い状態になる。こりゃ〜恐怖ですね。

まっ、速いテンポは、そのうちに終息するんですけど、遅くなったと思ったら、超遅めですからね。
う〜ん このテンポ設定は、他盤とは違います。とっても変わっている。また、最後、盛り上がってくるところも快速バージョンで、一気呵成に押し切られ〜 これじゃ洞窟が崩壊するぜ。 って感じ。
で、まっ なんたって、海底から巻き起こるような、海水の恐ろしい勢いは、ティンパニーですからねえ。
チェロが甘く弾いていても、ティンパニーが、どろどろ〜っと鳴ると、相当に不気味です。

アツモン盤で聞くと、フィンガルの洞窟は、今にも雨が降り出しそうな空だ。暗くて、暗雲が立ちこめ、どんより〜 生暖かい風が吹き込んでくる。台風が襲来する前のような空気感である。
で、金管の音色とティンパニーの音色が混濁していて、重いっ。
少なくとも、明るく、爽快な〜天候であるとは、とっても言い難いし、この不気味さと、テンポの速さには驚きっ。ワタシは、すっかり腰が抜けました。
冬の凍てつく、氷の世界のような、フィンガルの洞窟探検でした。

0218

ドホナーニ ウィーン・フィル 1976年
Christoph von Dohnányi
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

これもありかっ

録音状態はまずまず。幾分、低弦の響きがこもりがちだが、ガッシリした堅牢な巌に打ち寄せる波が描かれており、ダイナミック。
カップリング:メンデルスゾーン 交響曲第1番〜5番、序曲「静かな海と楽しい航海」、序曲「フィンガルの洞窟」

メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」
好きな作曲家の割には、ほとんど毎回、さらり〜っと聴いてしまってて、つい最近まで、正式な原題が「ヘブリディーズ諸島」という名前だとは知らなかった。
メンデルスゾーンの音色って、水彩画風っと言われるが、弦楽で主に奏でられているため、チェロやヴィオラの渋い音色、ヴァイオリンのサラサラした音色が楽しめて、大変穏やかである。
それでいて、ホント、海を見ているようで〜見ていないような〜 視線が、すわーっと水平線に伸びていくような感じで、飽きない。
(っていうか、しっかり視点を合わせて、じーっと見ていない。つまり、しっかり聴いていないのである。)
まっ 心を鷲づかみにして、ぐわっと、強引に、緊張感を強いるような楽曲ではなく、解き放たれた感じになっちゃうので、耳も、すっかりお留守になっちゃうためと思われる。(苦笑)

なかなか、気象条件の厳しい諸島らしいが、テーマソングのような主題は、大変穏やかだ。
「そぉ〜みれみ どぉ〜そぉ そぉ〜みれみ ど〜そぉ」
「しぃ〜そふぁそ みぃ〜しぃ しぃ〜そふぁそ み〜しぃ」
「れぇ〜しらし そぉ〜れぇ〜 れぇ〜しらし そぉ〜れぇ〜」
「っ そぉどみ どしらそ ふぁ〜れ」
と、主になる和音が、心地良い定番中の定番という音が連なる。
あまりこれと言って目立たないのだが、ティンパニーの叩き方が、どどどぉ〜っと打ち寄せる波のように、かなりの増幅度があり、リアルに聞こえてくるのと、コントラバスとチェロの響きが、かなりゴツメ。
岩のゴツゴツした洞窟って感じが、堅牢な音で形作られている。

海底から、波が、ぐわ〜っと底からあがってくるような迫力があって、スピードも上げている。
かなりドイツ臭いって言えばドイツ臭い演奏で、ファンファーレのように金管も鳴っている。 水彩画というよりも、色彩感のあふれる演奏というよりも、ガッシリした、幾分暗めの硬い油絵っぽい。
カリカリカリ・・・と、弦をトゲトゲしく鳴らしており、水しぶきがかかるような、繊細な音は、あまり聞こえてこないが、木管フレーズは流麗だし、幅の広い、劇的効果のあるダイナミックな演奏だ。


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ハイティンク ロンドン・フィル 1978年
Bernard Haitink
London Philharmonic Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態はまずまず。くすんだ音色で、重量感があり、ティンパニーなどの各楽器のスパイスが効いてて巧い。
カッピリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」「フィンガルの洞窟」 

「そぉ〜みれみ ど〜そ  そぉ〜みれみ ど〜そ」「しそ〜ふぁそ み〜し  しそ〜ふぁそ み〜し」
「れ〜しらし そ〜れ〜  れ〜しらし そ〜れ〜」
「そぉ〜どみそ どしらそら どらふぁ〜・・・」
緩やかに、自然にはじまって、さりげなく、段々と膨らんでくるところの描き方が巧いなあ〜。
弦が、渋い音色なくせに、妙に美しく、フレーズの膨らませ方、終息させ方が美しく、自然なのだ。
(自然って言っても、もちろん、コントロールされているが。)
なにせ、木管やチェロの音色が良いし、全体的に、フレーズが柔らかく、ゴツゴツした感じがない。
弦全体の音のボリューム感があって、まろやかに響く。
なにげに聴いていると、するっと入ってしまうので、さほどとは感じないんだけど、このするり〜っと入ってくる感覚が良い。セル盤になると、弦の繰り出しが、アンサンブル重視なのか、各弦のパート間に、微妙に隙間が空いちゃって、すぽんと抜けている。
低弦が主旋律になるところ、高弦が主旋律になるところ、これが入れ替わり立ち替わり〜という状態なのだけど、この頃合いが難しい楽曲だと思う。もちろん、木管とかも出てくるけど、まずは、弦だよなあ。
それに、木管のみで奏でられているところは、ハイ、くすんだ音色が効いてますねえ。わりと、くっきりと吹かせているし印象に残る。
で、盛り上げるところのティンパニーが、これがまた効いてて〜 しっかり叩かれて小気味よく入ってくる。
あっ もちろん最初は、連打しているわけではないので、ホントのスパイスなんですけど。
そのうちに、妙に残響を残して、とろとろ〜っと叩かれる。
それが、ごぉぉぉぉ〜〜〜と、海底で鳴っているんですよねえ。ひや〜これは印象に残るわ。

それに、後半の小気味よいテンポ。
まるでマーチを奏でるように、「そっ みっれみどっそ」
ちょっぴりメリハリをつけた木管、弦・・・ これが、キツク鳴らずに、絶品のアンサンブルで、ぐい〜っと重量を増して、押し迫ってくる。この爽やかに、押してくるところが〜 絶品だと思う。
で、そこにティンパニーが重なってくる。「ごぉぉぉぉ〜」
弦の副旋律が、しっかり弾かれているし。「ふぁらそら ふぁらそら ふぁらそら みどそっそ みどそっそ・・・」
↑ この音で合っているとは思わないんだけど。
まるで蒸気機関車の小型版みたいに、トルクが感じられるのだ。巧いわ。完全に乗せられて、やられました。インテンポで盛り上げてくる、すこぶる単純なシーンなのだが、ホント、これにはヤラレタ。
知らず知らずに〜 熱くなってしまう。
「音の風景画」の筆頭、第一位って感じの「フィンガルの洞窟」で、熱くなるとはねえ。
それも、涼しいスコットランド〜 いやいや、なめちゃーイケナイ。熱くなるのだっ。
もう少しだけ録音状態が良かったら、文句なしにイチオシなんですけど。でも、これホント良いです。


1957年 セル クリーヴランド管弦楽団 SC ★★★
1975年 モーシェ・アツモン ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★
1978年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI
1976年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec ★★★
1978年 ハイティンク ロンドン・フィル Ph ★★★★★
1985年 アバド ロンドン交響楽団
1986年 デュトワ モントリオール交響楽団

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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