「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ペルト クレド フラトレス
Arvo Pärt : Credo, Fratres


クロノス・クァルテット 1987年、88年
Kronos Quartet

もはや〜これまで。

耐えがたいぐらい、力なく、虚無的な世界も広がっているので、ちょっとねえ〜
もし、健全な精神を求められるのであれば、聴かないほうが、身のためとかと思います。(笑)
冬は厳しく  〜弦楽四重奏の諸相 II 〜

1 アウリス・サリネン 冬は厳しく Winter Was Hard (クロノス・クァルテット編)
2 テリー・ライリー 狼男、月下に乱舞 Half-Wolf Dances Mad in Moonlight
3 アルヴォ・ペルト フラトレス Fratres
4 アントン・ウェーベルン 6つのバガテル Six Bagatelles
5 ジョン・ゾーン 狂った果実 Forbidden Fruit クリスチャン・マークレイ、太田裕美
6 ジョン・ルーリー ベラ・バイ・バーライト Bella by Barlight
7 アストル・ピアソラ タンゴのための4人 Four, for Tango
8 アルフレート・シュニトケ 弦楽四重奏曲第3番
9 サミュエル・バーバー アダージョ Adagio
10 トラディショナル ドアは半開き A Door Is Ajar (クロノス・クァルテット編)

クロノス・クァルテットさんの演奏で、ゲンダイオンガクのツンツンした楽曲を初めて聴いたという方も、意外と多いのではないだろうか。ワタシのCD棚にも、クロノス・クァルテットのCDが複数枚ある。
シュニトケなんか聴いても、ワケわかんないくせに、なんだか、その頃、ブームというのかな〜かっこつけて聴いていたような気がする。 今調べてみると、日本独自企画のCDだそうである。

ペルトのフラトレスや、タブラ・ラサなどの楽曲は、83年のギドン・クレーメル盤が有名だが、クロノス・クァルテットも取りあげており、このCDに収録されている。
で、今日は、ペルトのフラトレラスを聴いたのだが、こりゃ〜真っ暗闇のなか、手探りで歩き、歩き疲れて果てそうなぐらい。
ひぇ〜 なんだこりゃ。

先日、2000年収録のタスミン・リトルさんのヴァイオリンで聴いたのだが、確かに寒い演奏だった。
確かに寒いが、しかし、美しい冬の太陽を仰ぎ見るような、祈りの心境となったのである。大変美しく、綺麗な世界が広がり、どこか救いがあり、どこか安らぎが感じられ、憧れるかのような美意識が詰まっていた。

しかし、このクロノス盤には、う〜ん 漆黒の闇状態で、全く、救いが感じられず、閉塞感が漂っている。
こりゃ〜アブナイです。 ワタシ的には、あまりお薦めしません。
少なくとも、学校や会社に、毎日、元気で行こうっという方は、やめておいた方が良いと思います。
つまり健全な精神を保っていたい〜という方にはねえ、こりゃ危ないわ。
このCDは、改めて聴くと、メチャクチャ暗くて寒いっ。氷点下だよなあ〜 瞬間完全冷凍という、冷たく、寒々しい曲が詰まっており、こりゃ、タイトルどおりだわ。ウソは書いてないと思います。
確かに冬は厳しく、寒い・・・。しかし、それ以上の世界でゴザイマス。(笑)


ヴァイオリン:タスミン・リトル Tasmin Little
ピアノ:マーティン・ロスコー Martin Roscoe
2000年

チリンギリアン四重奏団 1993年
Chilingirian Quartet

昇天しちゃいました
このCDは、ベリー・ベスト・オブ・アルヴォ・ペルト(2CD)とタイトルされたもので、多くの小品が収録されている。
カップリングは、次のとおり。

多すぎて一度に聴けないのだけど、そのなかでフラトレラスをご紹介する。
宗教的な作品で、 とても、静謐で高音域の細い糸のようなヴァイオリンと、低音の響きをもったピアノの音が、グレゴリオ聖歌のように、アカペラ風に繰り返す。人の声ではないので、アカペラって言うのは変なのかもしれないけれど、かといって、無伴奏でもないし、ヴァイオリン・ソナタでも違う。ピアノは単なる伴奏ではない。ヴァイオリンもピアノも一体となった楽曲だ。

フラトレスは、 1977年の作品で、エストニアの古楽団体ホルトゥス・ムジクスからの委嘱によって作曲された作品だそうだ。「ティンティナブリ様式」による書法 つまり鈴のような響きを持った楽曲で、ペルトの作品の中で、演奏頻度の高い楽曲となっている。
「フラトレス」という言葉は、「親族、兄弟、同士」といった意味らしいが、それが何を意味しているのか、ちょっとわからない。どこか教会旋法的な響きを感じる。
緊張感の漂う、張り詰めた凜とした空気感があり、放射冷却の起きた朝・・・冬の太陽を仰ぎ見るという感じだ。
あくまでも、空気感を描いたモノなのだと思う。だから感じないと・・・。

スンマ(合唱のための) Summa for Choir 1977年
2〜8 7つのマニフィカト Seven Magnificat Antiphons 1988年(改訂1991年)
    ジェレミー・バックハウス ヴァサーリ・シンガーズ
フラトレス(ヴァイオリンとピアノのための) Fratres for violin and piano1980年版 
    ヴァイオリン:タスミン・リトル ピアノ:マーティン・ロスコー
10 フェスティーナ・レンテ
(弦楽オーケストラとハープのための)
Festina Lente for string orchestra and harp
リチャード・スタッド ボーンマス・シンフォニエッタ
11 鏡の中の鏡(ヴァイオリンとピアノのための) Spiegel Im Spiegel for violin and piano
ヴァイオリン:タスミン・リトル ピアノ:マーティン・ロスコー
12 マニフィカト Magnificat 1989年 
13 至福 The Beatitudes 1990年(改訂1991年)
    スティーヴン・クローベリー ケンブリッジ、キングズ・カレッジ合唱団
14 スンマ(弦楽オーケストラのための) Summa for string orchestra
15 フラトレス(弦楽オーケストラとパーカッションのための) Fratres for string orchestra and percussion
16 カントゥス-ベンジャミン・ブリテンの思い出に Cantus In Memoriam Benjamin Britten for string orchestra and bell
    パーヴォ・ヤルヴィ エストニア国立交響楽団
1〜2 タブラ・ラサ(2つのヴァイオリン、弦楽オーケストラとプリペアード・ピアノのための) Tabula Rasa for two violins, string orchestra and prepared piano ヴァイオリン:タスミン・リトル R・スタッド ボーンマス・シンフォニエッタ
スンマ(弦楽四重奏のための) Summa
フラトレス(弦楽四重奏のための) Fratres チリンギリアン四重奏団
Chilingirian Quartet
デ・プロフンディス(深き淵より) De Profundis テーヌ・カルステ エストニア・フィルハーモニック室内合唱団
カンターテ・ドミノ Cantate Domino
ベアトゥス・ペトロニウス Beatus Petronius
ソルフェッジョ Solfeggio 1980年
9〜14 ミサ・シラビカ Missa Syllabica ソプラノ:カイア・ウルブ テーヌ・カルステ エストニア・フィルハーモニック室内合唱団

ここでは、タスミン・リトルさんのヴァイオリンと、マーティン・ロスコーさんのピアノの演奏は、11分21秒というクレジットとなっている。また、弦楽四重奏曲での演奏は、チリンギリアン弦楽四重奏団の演奏では、11分51秒という、ゆったりとした演奏だ。
この他にも、いくつかの編曲が、作曲家自身の手でなされている。
ワタシが最初に聴いたのは、ギドン・クレーメルとキース・ジャレットさんの演奏で、ECM盤である。
あまり比較するほどに、聞き込んでいるわけではないが、楽曲自体のもつ静謐さや穏やかさに、いつも息をのんでしまう。

2015年、 パーヴォ・ヤルヴィさんがNHK交響楽団の首席に就任したコンサートでも、取りあげられていた。
エストニアという国には行ったことがないし、その気候風土まで知らないが、やはり、シーンっとした冬がイメージされる。
太陽の昇る前の朝か、夜のとばりが降りた時間で、感謝の気持ちを込めて、ミサをあげるという感じだろうか。
あえて日本で例えるなら、やっぱり冬の朝、神社の前で・・・ってことになるんしょうか。
えっ それでは、あまりにもイメージが違いすぎるって? う〜ん、森羅万象の世界、精霊が宿るような、人が訪れることの少ない、パワースポットで聴いたら、いちばん、雰囲気的にはマッチしているような気がするんだけど。どうだろ。
あくまでも、空気感を描いたモノなのだと思う。だから、自然のなかで感じないといけないように思う。

まちがっても、我が輩の汚い部屋で聴いているのは・・・ ちょっと・・・適切ではないような。
これでは、霊験あらたかにはならないような気がする。 この楽曲の世界観をあえて言うなら、ワタシ的には祈りで、穢れのない世界が広がっているように感じるのです。また、後日、違う曲を聴いてみましょう。


サロネン スウェーデン放送交響楽団 2003年
Esa-Pekka Salonen
Sveriges Radios Symfoniorkester
ピアノ:エレーヌ・グリモー Hélène Grimaud
スウェーデン放送合唱団



録音状態は良い。
1 コリリアーノ「ファンタジア・オン・オスティナート」
2〜4 ベートーヴェン ピアノソナタ第17番 テンペスト
5〜6 ベートーヴェン「合唱と管弦楽のための幻想曲 ハ短調 作品80」
7 ペルト ピアノ、混声合唱と管弦楽のための「クレド」
アルヴォ・ペルト(Arvo Pärt)は、1935年、エストニア生まれの作曲家である。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

ペルトの作品は、一般的に2つの年代に分けられる。
初期の作品群は、ショスタコーヴィチやプロコフィエフ、バルトークの影響下にある厳格な新古典主義の様式から、シェーンベルクの十二音技法やミュージック・セリエルにまでに及ぶが、ここで袋小路となってしまう。
で、行き詰まりを感じた彼は、「西洋音楽の根源への実質上の回帰」を見出し、古楽に没頭したそうで、単旋聖歌やグレゴリオ聖歌、ルネサンス期における多声音楽の出現などを研究するようになります。
現在は、ティンティナブリの様式(ティンティナブリ)と呼ばれる、「鈴の鳴るさま」を髣髴させる簡素な和声、非装飾音符や三和音がしばしば用いられた楽曲に移行していき、絶大な人気を得るようになったそうです。

ワタシが初めてペルトを聴いたのは、「タブラ・ラサ」・・・ そのとき、内心ほっとした。
ワケのわからん、キーンっ、ツーンっとした、ゲンダイオンガクとは一線を画するもので、はぁ〜なんて美しいんだっ。
ある意味、これで、クラシック音楽は、キンキンした過激で、刺激すぎる奇妙なゲンダイオンガクから脱出したかな〜っと、思ったものだ。
まあ、そんな単純じゃーないだろうが、振り切った振り子は、また戻ってくるかもしれない。そう思う。

さて、このCDは、グリモーさんが、ドイツ・グラモフォンに移籍した時に制作されたアルバムだったと思う。
バラバラの作曲家でオムニバス盤かと思ったのだが、一応、テーマがあって、ベートーヴェン繋がり、バッハ繋がりで構成されているようだ。で、ここでご紹介するのは〜

7曲目のペルトの「クレド」である。
ハイ、聴いたことがある〜 「みぃ〜〜 ふぁぁ〜 (ドスン) そぉ〜〜ふぁ〜 れぇららぁぁ〜れそぉ〜(バン!)・・・」
大胆不敵にも、バッハ グノーのアヴェ・マリアを引用したような、冒頭は、荘厳に歌われる合唱だ。
コーラスが終わると、ピアノだけで、平均律を弾いている感じになるが、すぐに不協和音で、ん?
弦のバラバラの断片、金管の断片、打楽器も入っての断片、ピアノがうっすらと入ってくるが、まるで、ピポパポ ピポパポ ギゴガゴ・・・と鳴っていく。子供が、楽器で遊んで鳴らしているかのような無邪気さを感じる不協和音の音だ。
ピアノも声も、断片的で、何を発しているのか、ちょっとわからない。
気持ちの悪い音ではないが、電子音のように響いてきて、銅鑼がなる。
プラッター音が混じってきたり、ひとの笑い声のモチーフかなと思われる節もあり、鳥が鳴いているようでもあり、生オケが鳴っている音とは思えず、これは電子音でしょ〜って感じの音が渦を巻いていく。
トルネード的で、段々と騒音的になっており、騒音の間に、時折、長い空白時間がある。で、トルネード状態が終わると、9分40分頃から、オルゴールのようなピアノのアヴェ・マリアが、ポツポツと奏でられる。

遠くからファンファーレ風のパッセージが入ってきたり、カオス状態から盛り上がり、爆発的になって終息する。
やっぱり、へんてこりんな楽曲じゃん・・・と思ってしまった。まるで、誰かの記憶の断片を、コラージュのように描いて、ラストに、アヴェ・マリアをくっつけた〜 そんな奇想天外なアイディア作品ような違和感をおぼえる。
クレドは、ミサ曲の典礼文(通常文)の1つだ。ウィキペディア(Wikipedia)には・・・「クレド」はラテン語で「信じる」。信仰宣言あるいは信条告白といわれる賛歌・・・とある。
んじゃ〜 暴力的で狂気のような社会を描きながら、行き着くところは、平和への祈念なのだろうか。
戦争が終わった後の世の、人々の信条を描いたものなのだろうか。どう聴いたらよいのだろう。
単にワタシが平和ボケしていて、感性が鈍くなっているのだろうか、そんなことを考えながら、わずか15分程度の楽曲のなかで、極端に変貌するプロセスが、ちょっと〜 わかりませんでした。また、ペルトの他作品を聴いてみます。


1987年、88年   クロノス・クァルテット  NONESUCH  ★★ 
2000年 タスミン・リトル マーティン・ロスコー EMI ★★★★
2003年 グリモー サロネン スウェーデン放送交響楽団  ★★★
所有盤を整理中です。

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