「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

R・シュトラウス 交響詩「マクベス」、交響的幻想曲「イタリアより」
R. Strauss: Macbeth
, Aus Italien


R・シュトラウスの交響詩「マクベス」(作品23)は、彼の最初の交響詩で、シェークスピアの悲劇「マクベス」を題材として作曲されています。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
1886年〜89年にかけて作曲されましたが、初演で好評を得られず、完成から2年後、2作目の交響詩「ドン・ファン」が成功した後に改訂されました。そのため作品番号が逆になっています。
外形はニ短調、ソナタ形式で作曲されており、改訂は、展開部と再現部に集中的に手が加えられたそうです。

「ニューグローブ音楽大事典」の項目執筆者ブライア・ギリアムは、本作品について、
・・・新しい道であろうがなかろうが、「マクベス」は、演奏会場のレパートリーとして、確固たる地位を見出すことに失敗した。後続の2作品である「ドン・ファン」と「死と浄化」には、主題の説得力や、音楽の運びの確信に満ちた筆致が、歴然としているのに、「マクベス」には、どれも欠けているのである。
しかも、内声を抑えて主要主題を浮かび上がらせようと試みて、管弦楽法に手を加えたにもかかわらず、それでも「マクベス」は、響きの明瞭さにおいて「ドン・ファン」や「死と浄化」に太刀打ちできていない。・・・と書いたそうです。

あらら〜 とっても痛烈ねえ。とは思いますが、確かに聴いてみると、どうも、ぱっとしない。
R・シュトラウスの交響詩は人気が高く、コンサートでの演奏も、CDも数多く発売されていますが、このマクベスだけは、なんだか、蚊帳の外状態となっています。


マゼール ウィーン・フィル 1983年
Lorin Maazel
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は良い。ちょっと整理して聴きやすくなっている感じがするが、楽曲そのものが分厚くて〜 ティンパニーもシンバルも、ジャンジャン鳴ります。

上のCDカップリング:
1〜9 R・シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
10   R・シュトラウス 交響詩「マクベス」

下のCDのカップリング:
1〜5 R・シュトラウス 家庭交響曲
6 R・シュトラウス 交響詩「マクベス」

マクベスは、いずれも同じ音源です。
交響詩「マクベス」

初演で失敗したという交響詩「マクベス」なのだが、マゼール盤を聴いて、そんな酷いとは思わないんだけどなあ〜
冒頭は、 金管のふわ〜としたフレーズから、「しふぁ〜 しふぁしふぁ しぃ〜」という短いフレーズがあって、いったん静まって、 「み ふぁ そ らぁ〜 そふぁそっ らどれふぁ らぁ〜そふぁ そぉ〜」っと、結構ドラマティックに始まる。
ティンパニーのロールと、金管が重なって、もわっとした感じがするが、どすぐろい響きで良いし、ヴァイオリンのキレのある響きが、メリハリをつけており、格好良いんだけどなあ。
コントラバスの、「しふぁ〜 そふぁ しふぁ〜そらしぃ〜」という響きと、それに呼応するトランペットの短いフレーズが、リズミカルに響いており、キレがある。

確かに、こった作りのようで、金管とティンパンニーが、ごつくて〜 どぉん どぉん どぉ〜んと、分厚く響く。
ここは、やっぱりヴァイオリンが、どこまで音が届くかによって、かなり印象が変わるのではないだろうか。
で、ティンパニーの音がねえ〜 あまり出ない方がいいのかも。
なにもかも、ぶち壊しそうな音で来られると、「みふぁそら しぃ〜」っという、金管が聞こえなくなっちゃうし、ここのバランスが難しそうだ。

次の主題は、軽やかで優しいので、かなり音量が異なる。フルートやクラリネットが、すーっと入ってきてくるが、相変わらず、ティンパニーは、どす黒く叩かれている。
それが去ると、フルートの二重奏や、ヴァイオリンの「そぉ〜 らどれぇ〜 れぇ〜 みふぁれぇ〜」という美しいフレーズが入ってくる。弦の響きの柔らかさが、いっぷくの清涼剤なのだが、あいもかわらず、どす黒いフレーズが見え隠れする。
そこは、象徴するフレーズを、多彩に組み合わせ、織りあわせて作っていくというスタイルが出来上がっている。

「そぉ〜 らしそぉ〜 そ そらっらぁ〜」っと、伸びやかなフレーズもあるし、なかなかに美しいんだけどなあ。
金管の使い方は、すでにマスターできているというか、R・シュトラウスの楽曲だと、すぐにわかる。
また、ツァラのように、ヴァイオリンを単独で使うような感じで、弦をフレージングしているし、パイプオルガンのような響きが、もうすでにできてて、色濃く出ているので、ハハハ〜 こりゃ完成品じゃん。と思っちゃいました。
きっと、この初演を聴いた人は、後の作品を聴いてないから、驚いちゃったんだよ。
ワタシは、そう思う。

ちょっとティンパニーが叩きすぎなんだなあ。出番が多すぎ〜 もう少し、金管が入ってくるところは、ご遠慮気味に叩いていただくと、ちょうどよろしいかと。また、硬めのパレットでお願いします。
(なーんちゃって 偉そうに言っちゃっております。)
マゼール盤は、速めにテキパキと進んで行くし、悲劇をイメージして、あまり、もわもわ〜とした感じを出しちゃうと、スキッと見えないかもしれませんね。
確かに、疑心暗鬼の醜態に、夢遊病者となっちゃいますが、ドンドン シャンシャンは、最後ぐらいに取っておかないと、音が大きすぎると〜 他の音が聞こえません。
やっぱ、派手に鳴らしすぎてて、重くて、重くて〜 楽器が多すぎなんんじゃーないのって、思っちゃいましたね。これでも整理されて聴きやすくなっているようには思うんですけど、後半は、やっぱ、大盤振る舞いのてんこ盛り状態でしょうか。
ハイ、ど素人なりの感想でした。

アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 1984年
Vladimir Ashkenazy
Cleveland Orchestra

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。幻想的な柔らかさを持った演奏だ。
← R・シュトラウス管弦楽曲集 4枚組BOX カップリングは、下記のとおり。
CD1 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」、交響的幻想曲「イタリアより」
CD2 交響詩「ドン・ファン」、交響詩「ドン・キホーテ」、7つのヴェールの踊り
CD3 交響詩「英雄の生涯」、交響詩「死と変容」
CD4 アルプス交響曲、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
録音年 ツァラ:1988年、イタリアより:1990年、ドンファン:1990年
ドンキホーテ:1985年、7つのヴェール:1985年、英雄:1984年
死と変容:1989年、アルプス:1988年、ティル:1988年

交響的幻想曲「イタリアから」 Aus Italien

交響的幻想曲「イタリアから」は、1枚モノのCDだと、ドン・ファンとのカップリングで発売されていたようだが、もはや廃盤となっているようだ。
R・シュトラウスの交響詩は7曲あるが、ここでは、マクベスが収録されず、珍しく、交響的幻想曲「イタリアから」が、カップリングされている。このアシュケナージ盤の他には、ムーティ、ジンマン、ルイージ盤があるように思う。

この交響的幻想曲「イタリアから」は、あまり演奏される機会がなく、馴染みがない。
で、ウィキペディア(Wikipedia)で調べ、それを元に記述すると
交響的幻想曲「イタリアから」(作品16) Aus Italien  ←、「イタリアより」という表記もある。

R・シュトラウスが1886年、22歳頃に作曲しており、標題を持つ作品としては最初の作品です。
4楽章で構成されており、ソナタ形式を持った交響曲に近い、絶対音楽から標題音楽へ創作の中心に移行する過渡的な作品となっているそうです。
1886年、マイニンゲン宮廷楽団を辞めたシュトラウスは、ブラームスにすすめられて、4月から8月まで、イタリア旅行に出かけ、この時にスケッチが進められて、旅行の後、ミュンヘンにおいて完成されたもので、ハンス・フォン・ビューローに献呈されたそうです。

第1楽章 「カンパーニャにて」 (Auf der Campagna) 三部形式      
第2楽章 「ローマの遺跡にて」 (In Romas Ruinen) ソナタ形式 スケッチはローマのカラカラ浴場で書かれたそう。
第3楽章 「ソレントの海岸にて」 (Am Strande) 自由なソナタ形式
第4楽章 「ナポリ人の生活」 (Neapolitanisches) ソナタ形式 
当時流行していた登山電車のコマーシャルソング「フニクリ・フニクラ」を、古くから伝わる民謡と勘違いして用いてしまったので、演奏の都度、シュトラウスは、その作曲家であるルイージ・デンツァに、 著作権料を支払う破目となったそうです。
約45分の楽曲です。

ふ〜ん、ビューローの影響で絶対音楽を志向していたというけど、アレクザンダー・リッターという作曲家に感化されて、リストやワーグナーの標題音楽に興味を持ちだしたというし、ブラームスが、イタリア旅行を勧めるなんてねえ〜
へえ、意外なところで繋がるんですね。
初演は87年にされたそうですが、賛否両論だったそうな。

で、まあ、聴いてみたんですけど〜
カンパーニュ、ローマ、ソレント、ナポリと音楽巡りをしてもらっても、う〜ん。のびやかで、南欧の雰囲気は出ているようには思う。でもなあ、実際に旅行したところであれば、イメージも湧きやすいとは思うが、ソレントもナポリもねえ、 行ったことがないので・・・ ちょっと残念ながら、イマイチ、イメージがわかないのよねえ。

メンデルスゾーンなら、フィンガルの洞窟なんて曲があるが、あれは、結構、海の波打つ雰囲気が、たっぷりに描かれているのだが、R・シュトラウスの楽曲は、ちょっと〜
交響詩でもなきゃ、交響曲でもなく、風景を音化したものではないようで、なかなかに、とらえどころがない。

ただ、聴いてても、リストの交響詩ように疲れないというか、ご大層な楽曲ではない。感受性の強い若い頃の楽曲といいつつ、ワクワク、ドキドキ・・・というのではなく、結構、穏やかなのだ。さらっとしていて、爽やかで、のびやかだ。
はっきり言って、リストのように大上段に構えた雰囲気はないので、アシュケナージ盤だと、さらっと聴けちゃう。
するっと、耳に入っては、出ちゃう感じもするが・・・ これはご容赦を。
で、45分は、ちょっと長いのですが、この楽曲で面白いのは、やっぱり最後の第4楽章「ナポリ人の生活」で、お馴染みの「フニクリ・フニクラ」が出てくるシーンでしょうか。
正直、ビジュアルが欲しいかなあ。
映像と共に流れてきたら、それなりに楽しめるとは思うのだが、どうだろう。
R・シュトラウスさまには申し訳ないのだが、ワタシ的には、ラストの楽章で充分なような気がするのだが〜(謝)

ジンマン チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 2000年
David Zinman
Tonhalle Orchester Zürich
(Zurich Tonhalle Orchestra)

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。またの機会に他盤と聞き比べてみます。
← 管弦楽曲集7枚組BOX
交響詩「マクベス」

R・シュトラウスの交響詩は、有名な楽曲が多く、かなりの枚数のCDが発売されているが、このなかで、えっ? 知らなかった、聴いたことがなかったなぁ〜というのが、作品23のマクベスだった。
R・シュトラウスの交響詩は、7作品ある。

作品20 交響詩「ドン・ファン」
作品23 交響詩「マクベス」
作品24 交響詩「死と変容」
作品28 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
作品30 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
作品35 交響詩「ドン・キホーテ」
作品40 交響詩「英雄の生涯」

で、シェークスピアの戯曲マクベスは、スコットランド王ダンカンの臣下だったが、3人の魔女の予言と、野心家の奥さんにそそのかされ、王を殺害して自分が王位に就くものの、亡霊を見るなど疑心暗鬼にかられ、自滅しちゃう様を描いたものである。
ハムレット、オセロ、リア王と共に、4大悲劇の1つである。
この戯曲を元に、R・シュトラウスは、交響詩を書いているのだが〜  実際には、あまり聴かないし、CDにもあまり収録されていないように思う。
たまたま、先日、ナポリ民謡の「フニクリ・フニクラ」を聴いて、そのつながりで、交響的幻想曲「イタリアより」が収録されているCDを探してて、このジンマン盤を取り出したのだが、 この交響詩「マクベス」と一緒に収録されていたのである。
珍しい楽曲なので、マクベスを聴いてみたのだが〜

金管のふわ〜としたフレーズから、しふぁ〜 しふぁしふぁ しぃ〜という序奏部分があって、いったん静まって
「みふぁそ らぁ〜 そふぁそっ らし れみ ふぁ〜」っと、結構ドラマティックに始まる。
で、低弦の響きが、どすぐろい響きを醸し出している。
低弦の響きのうえに、「しふぁ〜 しふぁしふぁ そっ しふぁ〜 しふぁしふぁ らっ」という勇壮なトランペットのフレーズが乗ってくるのだが劇的な演出となっている。
木管の二重奏などが、次に提示され、ヴァイオリンの「みれぇ〜ど しぃ〜」という美しいフレーズが奏でられるが、タッタンっというティンパニーの鋭い打ち込みがあって、フレーズが遮られる。

「そぉ〜 らしそぉ〜 そ そらっらぁ〜」っと伸びやかなフレーズもあるし、なかなかに美しいんだけどなあ。
即座に、ティンパニーの打ち込みと、「そぉ ら しら そぉ どしら・・・」という金管と低弦のどす黒い響きが、常に影のようにつきまとっており、このティンパニーとコントラの亡霊のような響きと、 「みっ みしぃ〜 しみしみ みぃ〜〜 みぃ〜 らみぃ〜らみらみ ふぁぁ〜」という、金管の力強いフレーズが続く。

戯曲そのものは、かなり気味の悪い悲劇で、後味が悪い。
予言に振り回され、亡霊を見ちゃうという、不安に追い込まれてしまう心理的な劇だが、この交響詩では、確かにどす黒いフレーズも続くが、甘さもある。
甘いフレーズは、マクベスの野心家の奥さんを表しているのかもしれない。
しかし、最後にはうなされて、夢遊病者というか、精神状態が悪くなって、幻を見ては、手に血糊がつていると思って、ゴシゴシと、手を洗おうとするなど、かなり具合が悪くなってしまう。
結局は、自業自得ってやつで終わるのだが・・・。

この交響詩では、どうなのだろう。どこをどう描いているのか・・・ ちょっと、わかりづらい。
ストーリーそのものを、なぞって描いている感じをあまり受けない。
不協和音的な響きが多く、確かに冒頭から、野望の渦巻くさまや、疑心暗鬼になって追い詰められる風はあるが、明るいフレーズも多い。

実際には、1888年に作曲された交響詩「ドン・ファン」(作品番号20)の2年前には完成していたらしいが、91年に改訂されているので、作品番号が逆になってしまったらしい。
まあ、この交響詩より、ワタシ的には、交響的幻想曲「イタリアより」の方が、のびやかで〜 イタリア観光のように聴けて嬉しい楽曲だ。
マクベスは、ちょっとねえ〜 嫌な感じの題材だ。だって、 ウィキペディア(Wikipedia)を見ていると、イギリスの演劇関係者の間には、劇場内で「マクベス」の名を口にすると災いが起きるというジンクスがあり、いまでも本作を「The Scottish play」と呼びかえる者もいる・・・と書いてあったほどなのだ。
だから、このサイトにも載せないで避けた方が良いのかもしれません。(笑)

ところで、本命の 交響的幻想曲「イタリア」は、第1楽章 「カンパーニャにて」、第2楽章 「ローマの遺跡にて」、第3楽章 「ソレントの海岸にて」、第4楽章 「ナポリ人の生活」という構成だ。
この4楽章のナポリで、フニクリ・フニクラが、壮大に演奏されてて〜 とっても、素敵な楽曲である。
少し長くて45分もあるのだが、若い頃の作品でもあり、後々のツァラや英雄の生涯のような、ご大層な交響詩とは違ってて、あまり押し出しの強さはなく、さらっと聴けてしまう。 この楽曲については、またのちほど〜。

1983年 マゼール ウィーン・フィル ★★★★
1984年 アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 Dec ★★★★
2002年 ジンマン チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 Arte Nova ★★★
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