「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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R・シュトラウス 交響詩「ティル・ オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
R. Strauss: Till Eulenspiegels lustige Streiche


R・シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(作品28)は、1895年に作曲され、彼の交響詩としては、マクベス、ドン・ファン、死と変容に続く、4作目にあたります。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、14世紀の北ドイツの伝説の奇人ティル・オイレンシュピーゲルの物語を、シュトラウスの巧みな管弦楽法で音楽化した作品で、「ロンド形式による昔の無頼の物語」という副題があります。
1894年から95年にかけて作曲されており、ロンド形式、ヘ長調
弦楽器による親しみやすい短い前奏で、昔、昔・・・あるところに・・・って感じの始まりのテーマです。
続いてホルンで奏でられるのが、ティル・オイレンシュピーゲルの第1のテーマで、ティルの笑いを表すテーマがクラリネットで奏でられます。

ストーリーですが〜 市場に現れたティルは、牛馬を解き放し、市場は大騒ぎになってしまいますが、空を飛ぶ靴でティルは遁走します。続いて、ティルは僧侶に変装して、でたらめなお説教で人々を煙に巻きます。 ヴァイオリンのソロが、退屈したティルのあくびを表現しますが、ふと彼の心に、破滅への予感がよぎります。(金管群による信号で表されます)

続いてティルは、騎士に変装し、美しい淑女を口説きますが、あっさりと袖にされます。
怒ったティルは、全人類への復讐を誓います。(金管の鋭い上昇音型で表されます)。
で、最初の標的を俗物学者(ファゴットによるユーモラスな音型)に定めたティルは、彼らに論争をふっかけます。
次第に旗色が悪くなり、論破されたティルは悔しまぎれに小唄を歌います。再びホルンによるティルのテーマが現れ、次第に勢いを増して、好き放題に、いたずらを繰り返すティルの活躍が描かれます。
しかし、突然、小太鼓が鳴り、ティルは逮捕されてしまいます。

金管による、いかめしい裁判のテーマが奏され、ティルは裁判を嘲笑しているものの、彼は死の予感におびえて、金切り声をあげます。ついに、死刑の判決が下り、ティルは絞首台にのぼらさされて最期を遂げてしまいます。
冒頭のテーマが回帰してきて、ティルは死んでも、彼の残した愉快ないたずらは不滅であることを示し、ティルの笑いの動機で曲が終わるというものです。

短い曲ですが、ストーリー仕立てとなっており、さほど構えなくても面白さが感じられる楽曲です。
しかし、頭に絵が描けないと、単に騒がしいだけの楽曲もなってしまう恐れがあります。せっかくなので、同じ聞くなら、それぞれの場面をイメージトレーニングを兼ねて、楽しみながら聴いてみましょう。

ケンペ シュターツカペレ・ドレスデン 1970年
Rudolf Kempe  Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。柔らかくソフトだが、勢いの良さもあり、音の響きで聴かされる。これは醍醐味っ。このティルは、妖精的だ〜
R・シュトラウス管弦楽作品全集 9枚組BOX
全体的に柔らかい音質で、ふわっ〜っとした冒頭で出てくる。
「しぃ〜そぉ どぉ〜れぇ れそぉ〜〜 ふぁみ みれ そらし〜 れそら しれそしれ〜〜」
「れそら しぃ〜れ れそら しぃ〜れ れそら し〜し どどれ み〜れ〜しそっ」
ホルンの軽快で柔らかい音が、メチャ凄い。

で、テンポが良く、サクサクっと歯ごたえで、前に向かって行く。
悪ガキの悪たれのいたずら〜というようなイメージではなく、小人ちゃんたちの世界に入ったような感じで小さい粒が、すばやく動き回っているような感じがする。
弦の響きは繊細で、切れがある。金管は、柔らかい響きで、まろやか。
木質的な響きというよりは、谷間で、植物のシダ類が、風にそよいでいるような、そんな軽さがある。
弦のた〜ら た〜ら。という動きと、木管のシャキシャキした飛び跳ねた音型が、軽妙な感じで、マッチングしているのだ。
バウンドしてくる音の響き、広がり感覚が、なんとも言えず柔軟で、淡い色彩を放つ。

悪さをして出しているな〜というシーンでは、カシャカシャと派手な音の効果が聞こえてくるが、弦の響き、特に中低音の響きが、なーんとも言えない心地よさがあり、絶品的な、まろやかさがある。
クラリネットの音質も、う〜ん。絶品で・・・。
唸ってしまった。
打楽器類も活躍している楽曲だが、奥行きの深さがあり、あくまでも、響きが柔らかい。
重低音は、さすがにクリアーではない。ちょっと籠もった感じもするが〜 (←リマスタリングの仕方かも)
でも、許容範囲だし、決して風呂場的な広がりではなく、オケの持っているソフトな音質だろう。
道化師風の飛び跳ねる要素がたっぷりあるし、丸みを帯びた、木質的な音質でも、細かい動きが手に取るように解る。
それでも、決めどころでは、結構切れがあり、シンバルが、シャーンっと鳴ってくるので、驚かされる。
(あくまでも、ソフトだと思いこんで聴いているからだが〜)

軽妙さ。これが前面に出ていて、適度にスピードもあり、音の響きで聴かされてしまう盤である。
ケンペ盤のティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯というのは、メルヘンティックな、おとぎの世界で〜
少女趣味的だと言われかねないぐらい、柔らかい。
ニヒルな感覚でもなく、ぎらぎらした世俗世界とは無縁で、最後、絞首刑になっちゃうのが可愛そうなぐらいだ。最後、いたずらが過ぎて、厳しい刑がくだされてしまう。
ケンペ盤では、柔らかい響きではあるが、厳かなファンファーレが響き、情け容赦なく刑がくだされる。
一呼吸、しっかり置いて、最後ティルの主題が戻ってくるが、この時、とっても、慈愛に満ちた、和むような音が奏でられており、これが、かなり印象的で〜 一瞬、うるっ。

総体的には、あまり世俗的な雰囲気がせず、人間臭くなく、テカテカしていない。
風のように軽やかななティルで、まるで、ティンカーベルのように、可愛い妖精が舞っているような別世界が広がっている。これは凄いっ。絶品〜っ。

 カラヤン ベルリン・フィル 1972〜73年
Herbert von Karajan  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。リマスタリング盤 華麗なるティルさまのお出ましである。
カップリング:
1〜9 R・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」(1973年)
10 「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(1972年〜73年)
11 交響詩「ドン・ファン」 12 歌劇「サロメ〜7つのヴェールの踊り 〜」
カラヤン盤は、72年〜73年の録音と86年の盤がある。
いずれも華麗なるティルで、特に、この70年代の録音は、あまりの美音に驚いてしまうほど。ツァラを初めとするこの盤の録音状態は極めて良く、リマスタリング盤だが、今、聴いても全く遜色のないものだと言える。
ホント、これが70年代初めとは、とっても思えない。

「しぃ〜そぉ どぉ〜れ れ そぉ〜〜そふぁみ みれ そらし〜 れそら しれそ れ〜」
「れそら し〜れ  れそら し〜れ」と、とても柔らかい美音で始まる。
とても悪戯モノのアクタレものが登場するような雰囲気ではなく、華麗なるティルさまのおでまし〜という感じだ。
もちろん、幕開けは華麗なる出だしだが、シャンっというシンバルの鳴りっぷりやティンパニーの打ち込みに鋭さがあり、コミカルさもあり、おどけた雰囲気は出ている。
ホルンを初めとした金管も、木管も、もちろん弦も、しなやかで弾力のある美しい演奏だ。

ドラティ盤が、冒険活劇を見ているような演奏だったが、このカラヤン盤は、正装して出かけた劇場で、品の良い劇を拝見しているかのような演奏だ。
確かストーリーは、町のなかで、悪戯をしでかし、喧噪を引き起こすアクタレが主人公なのだ。
牛馬を解き放し、市場は大騒ぎになると遁走し、でたらめな説教をしたり論争をふっかけて〜というストーリーなのに、思わずティルさまと呼んでしまいそうになるようなカラヤンの演奏なのだ。
ちょっと苦笑してしまうが、いやいや、美音には甘い。また、 続く、ドン・ファンなんぞ、ばらの騎士を聴いているかのようで、うっとり〜 まあ、これはこれで、極上の音楽なのだ。 
ドラティ デトロイト交響楽団 1980年
Antal Dorati   Detroit Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。コミカルで、テンポが良く、木管のフレーズの見通しの良さがあり、軽妙で繊細だ。う〜すごい。何度聴いても楽しい。
カップリング:交響詩「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、「ツァラトゥストラはかく語りき」
録音状態は極めて良く、繊細で内声部の木管のフレーズが、とっても楽しい演奏である。
雰囲気の良い、間合いと、ふっと音を膨らませる小技が効いてて、テンポ良く進む。
ほんとに、小気味よいフレーズのテンポの良さがあって、メリハリがあって、リズミカルだ。

「しぃ〜そぉ どぉ〜れ れ そぉぉ〜〜ふぁみ みれそらしぃ〜 れそら しれそ しれぇ〜(そぉっ)」
ホルンが、「れそら し〜し  れそら し〜し れそらし〜し どどみれしそれしそれぉっ」
「らっしっ」
「れそら し〜し れそら し〜 し れそら し〜し どどみれしそれしそれぉっ」
「みそら しぃ〜し みそら しぃ〜し ししどどれれふぁ〜」

弦の響きはもちろん良いのだが、ホルンも弾んで、木管のフレーズが、とっても楽しい。
ペチャっとしたオーボエ、クラリネットの良く響く音。
これらが、パパパっ パパパっ パパパパっ。と、ホントに弾んでリズミカルに、弾み方が他の盤とは違うんんじゃーないかと思うほど、異なるのだ。
メチャ 弾力性があって、推進力がある。木管フレーズが、ものすごく見通しよく聞こえてくるし、オマケに、速い。高音域に抜けるような音が、ふわっと弾みながら宙に浮いていく。
まるで、トランポリンのうえで弾んでいるかのような、撓りがあって、音が、単なる音じゃーなくて自発的に動き出しているかのようだ。ゼンマイ仕掛けの時計のように、正確で、精密機械のように動くが、それが、クールではなく、メチャ暖かい。
ここの木管群は、金管も、弦も、活き活きしてて、研ぎ澄まされたコミカルな動きをする。

ワタシは、劇場の天井近くの席から、下を覗き込んで、ミクロの世界になったコミカル劇を見ているかのような気分だ。畳みかけてくる、せわしなさ〜 それがコミックみたいで、間髪入れないタイミングの早さ。
決して、それが前につんのめるワケではなく、丁寧に描かれているが、内声部の木管にふわっとした音質、空気感があり、弾み方は、まるで巻き舌風に、くるりん。と音が回って弾むかのようだ。
最後は、速いっ。
小太鼓が鳴り始めると、色彩的でカラフルな煌めきを放つ。ブラスの響きは、壮大だし、低弦の響きも大きく、悲痛な甲高い音が鳴り響き終末を迎える。
最後、幕を閉じる時の優美さと、お茶目なオチの音が、いかにもアメリカっぽく、多彩な面を見せる。
特に、版が違うんじゃーと思うほどの、木管の見通しの良さ、楽しさがある。
あっという間に終わる寸劇を見ているようで、テンポ良く進んで、あー もう終わっちゃったの?

ドラティ盤は、暖かい音質で、残響がほどよく入っている。
録音状態は、極めて良いと言っても、過言ではないと思う。色彩感があり、開放的で楽天的な響きを、放っている。
重くて硬く、几帳面に鳴ってくる盤もあるが、このドラティ盤は、アメリカナイズされた、ゴージャスな、ハリウッド映画を見ているような楽しい演奏だ。
ブラスの重厚さもあるが、柔軟、しなやかに、色彩的で華麗で、 まるで活きの良い、ストーリーの展開の速い冒険活劇を見ているかのような演奏である。

カラヤン ベルリン・フィル 1986年
Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

ばっちグー!

録音状態は良い。華麗なティルの悪戯が、めくるめく展開しており、劇的な効果も抜群だと思う。80年代の録音である。
カップリング:R・シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」は、とっつきやすそうだが、実のところ難しい。
交響詩とは言うものの、漠然とした情景を描いたものではなく、一応、ストーリーがあるようで、どの楽器が、主人公のティルの役割を担っているのか、また、今流れている フレーズが、どのような場面を描いているのか、バレエ音楽と同様に、ストーリーを知っていないと、いつまでも聴いている方のバージョンがあがらず、難解なままのようだ。
まっ 堅苦しく考えなくても、実は、コミカルなので楽しめちゃうんですけどね。

「しぃ〜そぉ どぉ〜れ れ そぉ〜〜そふぁみ みれ そらし〜 れそら しれそ れ〜」
ホルンが、「れそら し〜れ  れそら し〜れ」と吹くと、幕開けになるが、たいてい、この場面だけで納得して終わってしまって・・・。 幕が開いたにもかかわらず、その後の展開は、あまりよくわかっていない。
今聴いているところを、誰か、わかりやすく解説してくれないかなあ〜って、いつも思う。

わずか15分程度の曲なので、何度か繰り返して聴くと、そのうち、「れそら し〜れ れそら し〜れ」と、奏でるホルンが、ティル登場のシーンだとは解るが、木管のめまぐるしく動く音に、ついていくのが精一杯というところが現状だろうか。
「れそら しっどっれ れそら しっどっれっ〜」と弾むリズムが、コミカルだ。
木管の弾むリズムと、それを追い駆けて鳴るティンパニーが落ちをつくったりしている。
馬に乗って市場に乗り込んで、ハチャメチャにしてしまうシーンとか、騎士になって女性をくどく。というシーンもあるらしいが、今のワタシには、明確には解っていない。
ティルのアクビ(ヴァイオリン)とか、哄笑(クラリネット)は、わかったんだけどなあ。

今回聴いたカラヤン盤は、華やな音色で、明るい。
金管に馬力があるのと、クラリネットのコミカルさが面白い。
北ドイツの悪たれ小僧との悪戯というよりは、美少年のエロティックな、戯れ言、いたづら、お遊びのようにも聞こえちゃうぐらいだ。
あっけらかんと、堂々と悪戯がなされ、楽しんで、飛び跳ねて遊んだ後、華麗なる幕引きが待っている。
最後のティルの絞首刑が執行されるところは、小太鼓が鳴り響いて、「れれぇ〜れれぇ〜 そぉ〜 ど〜ん」と、迫力あり。大太鼓とチューバの大きな響きが良く入っているし、最後の最後まで、楽しみながら、優雅な美しく幕が閉じられる。
これって、メチャ皮肉だとは思うんだけどなあ。
しかし、メリハリのついた盛り上げ方も良いと思うし、スピード感も充分だし、クラリネットのコミカルさも、メチャ巧いって思うし。 ホント、素人のワタシ的には、十二分に楽しめちゃう効果抜群の演奏だ。
ティルの場合、場面の展開が速く、楽しめちゃうことと、ストーリーの盛り上げが、巧い盤だと楽しめちゃうと思う。
いい加減な聴き方で申し訳ないが〜 あまりストーリーの展開が読めてないモノが、とやかく言うのはどうかとは思うが。(苦笑)
まあ。ティルだと、なんとなーく、悪戯場面が彷彿できて面白いと思う。
まあ、しかし、ツァラの方は、さっぱり、解らず仕舞い。難解なまま放置状態だ。 R・シュトラウスの交響詩は、とっつきやすそうで、実は、とっつきが悪い。これが、ワタシの現状である。 (反省) 
ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 1989年
Herbert Blomstedt  Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。聴いているうちに劇に引きこまれて、オチャメで可愛いティルが、目の前に存在するかのようだ。
カップリング:R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、メタモルフォーゼン、交響詩「死と変容」

「しぃ〜そぉ どぉ〜れ れそぉ〜〜ふぁみ みれそらしぃ〜 れそらしれそしれぇ〜(ぽんっ)」
ホルンが、「れそら し〜し  れそら し〜 し れそらし〜し どどみれしそれしそれぉっ」と吹くと、幕開けになる。このホルンの冒頭のテンポと間合いとか、それに続く、弦の「らしっ」ポンっという響き。
で、木管のフレーズの音質、弦のフレーズとかが、とても丁寧で細やかだな〜と思う。
冒頭の幕開けシーンだけでも、何度も聴けちゃうぐらい楽しい。

で、オーボエも同じフレーズを繰り返すが、音質が柔らかで、ホント表情付が巧いと思う。
ティンパニーの歯切れも良いし、楽しさが、するり〜っと、イッパイに広がってくる。
そろり〜とした幕開けから、ホルンがテンポを引き出したあと、木管や金管がコミカルに吹かれて、音が、タタタタ・・・と進むのだ。
「らしどっ ふぁらし どっ れっ れれぇ〜」っと一気に聴かせてくる。
このテンポ設定が巧いし、間合いを入れるところと間髪入れずに入ってくる音が、面白い。
「しれ そしれっ」「しど れっれそっ ふぁ〜しっ」と、コミカルに吹かれるクラリネットのフレーズも、絶妙っ。
派手になるシンバルの音とか、バタバタ劇を醸し出すプラッター音や、ブロムシュテット盤は、劇を見ているかのような気分に引きこまれてしまう。

とっても表情が豊かだし、チェロで奏でられている「そぉ〜みみみれ ど〜れみ ふぁ〜み ふぁ〜み れらそぉ〜」という柔らかくてまろやかな響きも、とっても美しいし。
金管の奥から響いてくるオチャメなコミカル劇を見ているようなフレーズとか、ヴァイオリンソロの場面とか、わずか15分程度の曲 のなかに、いろんなシーンを見てて、イメージが膨らむのだ。

ブロムシュテット盤は、この劇を見ているような気分にさせて、イメージの膨らませる余地というか、ふわーっとした旋律と、オチャメなフレーズを交互に醸し出してくれる。
よく聴くと、とーっても、めまぐるしい場面設定で、すごく速い場面展開なのだが、これが面白いのだ。
もちろん飽きない。飽きさせないだけの魅力的な音としての構成力と、提示力というのかな〜
それぞれの場面の表情付が、とっても豊かに作られていて、悠然と闊歩して歩いているらしいシーンとか、アッケラカンと悪さをしてアッカンベーと笑っているような雰囲気とか、音だけで視覚的に訴えてくる能力の、とっても高い演奏だと思う。
ひとことで言っちゃうと、雰囲気のつかみやすい演奏となっている。
もちろん音は、昔のシュターツカペレ・ドレスデンで、まろやかで木質的、昔良く言われた燻し銀サウンドが生きている。そのくせ、この楽曲は、サービス精神旺盛で、むふふっ。

地味な響きではあるが、テクニシャンが多いし、むははっ。巧いなあ〜やっぱり。と思っちゃう。
アクの強い、押し出しの強い演奏ではないが、それだけに素直に受け入れやすい大人向けのコミカル劇のようになっており、大変、聴きやすいモノとなっている。
最後のティル絞首刑の場面も、小太鼓が鳴り響いて、「れれぇ〜れれぇ〜 そぉ〜 ど〜ん」と、よく引っ張って鳴っており、そこそこに迫力あり。 幕開け後のフレーズも、短い楽曲なのが、超もったないぐらい優美で質の高い楽しみ方ができた満足感がある。
トライアングルもきっちり入ってくるし、名残惜しそうに、コミカルに奏でられている。

総体的に、細かい場面展開を聞き逃したくないな〜と思いつつも、ワタシ的には展開の速さについて行けてないところがあるのだが〜 滋味だとは思うが、ものすごく表情づけが豊かで軽妙。
楽しさイッパイに広がる演奏となっている。
で、15分(クレジットは14分45秒)があっという間に過ぎて、えーっ もう終わりなの。と文句を言いたいぐらいなのである。技術的にももちろん巧いと思うが、それ以前に聴いてて楽しい。
ホルンを初めとした金管、クラリネット等の木管が、パーツとして聞こえてくるのではなく、各楽器が力を合わせて1人のオチャメな主人公を形づくっている。

そして、劇を見ているかのように楽しませてくれている。そういう意味では、メチャ満足度の高い演奏だ。
ワタシ的には、このブロムシュテット盤ティルが、大好きである。 同じシュターツカペレ・ドレスデンで、ケンペ盤もあるが、どちらもオケとしては最高っ。と思う。
ケンペ盤は、ワタシ的には妖精のようなティルだったが〜 (笑) 
ブロムシュテット盤は、こりゃ等身大の人間の演じる青年のような、劇主人公のティルだと思う。(笑)
なお、ブロムシュテットさんは、1994年にサンフランシスコ交響楽団と再録しているが、新録の方は未聴です。

バレンボイム シカゴ交響楽団 1990年
Daniel Barenboim  Chicago Symphony Orchestra

あんたもやるね〜 

録音状態はまずまず。あまりクリアーに響いておらず、金管が荒々しく磊落にぶっ放す。
2枚組BOX
カップリング:
1     R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイゲンシュピーゲルの愉快ないたずら」
2〜7  R・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
1〜11 R・シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」
12     R・シュトラウス 交響詩「ドン・ファン」
録音状態は、まずまずだが、ペタンとした、奥行き感少なめな感じで、立体的に構造的には、あまり聞こえない。
木管フレーズは、まずまず聞こえるし、テンポも良く、スイスイと進んで行くのだが、どことなくクリアーでない。
もわっとした感じで終始する。
で、洗練された感じとか、フレーズを磨いて、綺麗に歌いあげるとか、繊細さや緻密さを感じさせる演奏ではなく、粗野で、豪快に鳴ってますという感じの演奏だ。特に、金管は、ぶっ放しデスという感じがする。
まあ、墨書で言えば、巨大な筆で、たっぷり墨をつけ、余白に墨を撒き散らし、点々をつけながら、豪快に1文字を勢いよく描いた。という感じだろうか。

冒頭のフレーズは、さて、昔、昔〜 ティルという、悪戯ものの小僧がいましたとさ。っという出だしのところだが、もわっとした音で出てくるし、弦のフレーズはおとなしく、なにせ、金管のフレーズが、なんとも、慌ただしい。
子供に絵本を読み聴かすという感じではない。
バタバタした感じで、「れそら しぃ〜 れそら しぃ〜」というフレーズが、前につんのめって速いし、「パパパ ぱっ パパパ ぱぁ〜 ぶっぱぁ〜っ」と、ぶっ放してくるので、品がない。
まあ、悪戯もののストーリーなので、アクタレ風で、品がなくてもいいや。という感じのアプローチなのね。
と、少し苦笑いしつつ聴いていたのだが、これが良い演奏かと言われたら、う〜ん、ワタシとしては、ちょっと・・・。
愉悦性は少なく、権力主義者っぽく聞こえる。

やっぱり、金管のフレーズの磊落さが、目立ちすぎ。
この楽曲のラストは、ばばぁ〜ん ばばあぁ〜ん ばぁ〜ん と、大太鼓と金管の音が、これでもかぁ〜っと鳴っている。
権力を振りかざし、力づくで、悪い奴は、捕らえてやりましたよ。と、ニンマリ笑っているかのようで・・・。
えっ あのぉ〜 主人公を間違ってませんか?と言いたくなってしまう。
ティルを演じているというよりは、捕まえて処刑しちゃった権力者の視点のようで、興ざめ。

まるで、粛正しちゃう、どこかの独裁者を描いたかのような気分で、イマジネーションを働かせる余地もない。
アハハ〜 これは、違うでしょう。 楽しげに演奏している風ではなく、通俗的に、上から目線で、偉そうなことを嫌みに言い放つ、毒舌家の演説を聴いているかのような気分なのだ。
で、ティルではなく、ティルをやっつけた〜という側の演奏のようで、ワタシは、まいってしまった。

ティルの愉快な悪戯を、コミカルに、笑い話風に聞こえるのが嬉しいのだが、 それには、やっぱり、ティルを演じる木管が生命線って感じなのだ。でも、ここでは、金管が猛烈な音で、うるさい音で、ぶち壊してしまう。

ある意味、音の絵巻物なので、聴き手は、アタマのなかでは自分のイメージを膨らませたい。あくまでもティルを主人公に語っていただきたいのだ。
そのため、どんな悪戯をしたのよぉ〜と、聴きたいのだ。捕らえて・・・という場面けを、聴きたいわけじゃないのに、でも、この演奏は、結論だけ言いたいだけなんだよね。
ワクワク感や、楽しそうに演じてくれるのが嬉しいのだが、これでは、ちょっと・・・。
ホント、破天荒すぎて、荒っぽく捕まえる側の勢いが止まらないような気がして、暗黒時代のようで、ハイ興ざめでした。
ショルティ ベルリン・フィル 1996年
Georg Solti    Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は良い。楽しいライブ盤
カップリング:
1〜9 R・シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
10  R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイゲンシュピーゲルの愉快ないたずら」
11  R・シュトラウス 楽劇「サロメ」〜7つのヴェールの踊り〜
このCDは、ショルティさんがベルリン・フィルに客演した時のライブ盤で、亡くなる前年の収録である。
出だしの弦、「しぃ〜そぉ どぉ〜れ みそぉ〜〜 ふぁみ みれそらしぃ〜」というフレーズの間合いも良いし、「れそらしれそしれぇ〜(ぽんっ)」
「れそらしぃ〜れ そらしぃ〜れっ・・・」という、ホルンの走りのテンポも良いし、金管のぷわ〜っという広がりも立体的だ。
クラリネットの二重奏も素敵だし、木管のコミカルさもあって〜 フルートの転がり方も。
ふふふっ。楽しい。

「らしどっ ふぁらしどっ れぇ〜 れれぇ〜」 遁走シーンも面白いし、こじんまりしないで、賑々しさも感じられる。
場面の展開のメリハリ感があって、弾んだリズム感が、とっても面白い。
アンサンブルも絶妙だし、やっぱり巧いですよね。それに、ライブの瑕疵は感じられない。
特に、木管のテクが要求される楽曲だろうな〜と思いながら、ノビ感もあるし、楽器の受け渡しもスムーズで、クラの快活さが絶妙だ。楽しさが伝わってきます。
密度の濃い、かいって、くちゃっと、ひっついていない木管と弦の掛け合いが、気持ち良いほどにフィットしてる。
それに、ストーリーにそって、ころころころ〜っと綺麗な音が聞こえ、テンポも速く、ひぃ〜〜っという悲鳴も聞こえてくるので、笑えます。
金管のハチャメチャ風フレーズに、木管の囁きなど、ほんと多彩な楽曲で〜 思わず耳を澄ませてしまう。

「そぉ〜 みっみっれっ どぉ〜れみっ」と、馬が歩くような、ドロボウさんが歩くような雰囲気や、トランペットの、ヴァイオリンの落ちていく音や、ジャズっぽい演奏があったり〜 ものすごく、彩りが豊かな楽曲であることが、よくわかります。
聞き込めば、まだまだ楽しさが倍増しそうです。
まだまだ、修行が足らないので、もっともっと、聞き分けられるような耳になりたいな〜
もっともっと、自分の想像力が、沸き立つようになりたいな〜って思います。とにかく、何度も繰り返して聞きたくなる楽曲と演奏です。 これが、ショルティさん80歳を超えての演奏ですからね〜 こんな曲を振ろうっていうのって、やっぱ、凄い。
ご自分をティルに見立てておられたのでしょうか〜 いやいや、ほんと、ポジティブで、意欲的でないと、できないことじゃないでしょうか。さすがっ、生涯現役っ。恐れ入りました。

1970年 ケンペ シュターツカペレ・ドレスデン EMI ★★★★★
1972年〜73年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★★
1980年 ドラティ デトロイト交響楽団 Dec ★★★★★
1986年 カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1989年 ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン De ★★★★★
1990年 バレンボイム シカゴ交響楽団 ★★
1996年 ショルティ ベルリン・フィル Dec ★★★★
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「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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