「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 ラフマニノフ 交響的舞曲
Rachmaninov: Symphonic Dances


ラフマニノフの交響的舞曲(作品45)は、1940年に作曲されたラフマニノフ最後の作品です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
第1楽章 ハ短調 形式はほぼ三部形式(ソナタ形式の要素もあり)
 弦楽器のうえに木管楽器によって主題が断片的に表れ、全奏したのち、行進曲調のリズムになります。木管楽器によって主題が提示され、弦やピアノを加えて変奏され発展し、中間部では嬰ハ短調に転じます。オーボエとクラリネットの動機に続いて、サクソフォンが哀愁ある旋律を歌い、バスクラリネットが暗雲が垂れ込めてきますが、最初の主題が回帰します。ハ長調に転調したコーダでは、交響曲第1番1楽章の主題が回想されて、静かに曲を閉じます。

第2楽章 ト短調 三部形式
 ワルツの楽章となっており、不安な雰囲気を帯びたファンファーレから始まります。ファンファーレによって中断し、ヴァイオリンが導入の楽句を弾いて主題に入ります。幻想的な雰囲気と、絡む対旋律が不安な気分を高めていきます。
冒頭のファンファーレが再び登場し、新しいワルツの旋律を導き出しますが、不安な気分は残り、テンポをあげてコーダ。

第3楽章 三部形式
 ロ短調に始まり、主部でニ長調に変わります。スケルツォ的な性格で、調性やリズムが変化し、怒りの日の主題も随所に表れます。ファゴットが主題の断片を出し、フルートと鐘の響きが応えます。ニ長調のスケルツォ風の主題が提示された後、変奏風になりピッコロとシロフォンで提示されるホ短調の旋律が絡みます。中間部は、憂鬱なワルツ的旋律が歌われ、オーボエによって主部への回帰が提示されると怒りの日の旋律となります。スケルツォ風の主題と、低弦の第2主題(ニ短調)の再現、コーダ直前で「徹夜禱」第9曲のアレルヤの引用がなされて曲を閉じます。

交響曲1番や「徹夜禱」からの引用や、ラフマニノフが好んで引用してきた「怒りの日」の旋律が出てきてます。
怒りの日は、交響曲2番と3番、交響詩「死の島」、鐘、ヴォカリーズ、パガニーニの主題による狂詩曲などにも引用されています。1楽章ではアルト・サクソフォン、サックスや3楽章では鐘が使われ、約35分の躍動感のある楽曲です。

ヤンソンス サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団 1992年
Mariss Jansons
Saint Petersburg Philharmonic Orchestra

まっ こんなモン

録音状態は良い。
活き活きとした色彩感もあるが、スピーディに淡々と進む。
どことなくスタイリッシュな感じがするが、寂しさも感じられて〜
カップリング:ラフマニノフ交響曲第3番、交響的舞曲
交響曲と管弦楽曲がカップリングされた3枚組BOXもあるし、ピアノ協奏曲とカップリングされた6枚組BOXもある。
1楽章
弦がチャチャチャチャ・・・と細かく刻むなかを、木管群が、「れしそ〜 しそみ〜 ふぁどし〜」と落ちていく。
で、弦が、「れっどっ みっしっ らそ どっふぁっ れっどっ らっみっ れど ふぁっしっ」
金管の「そ〜ふぁぁ〜 そ〜ふぁぁ〜 っみどらぁ〜 っみどらぁ〜」
印象的なティンパニーと3つの音 たらら〜 たらら〜 と、3つの音の短いパッセージが連なっていくのだが、ヤンソンスさんの演奏は、シャープで切れ味が鋭い。
色彩感もあるにはあるがちょっとクールな響きで、淡々と無表情に進む。
さほど、スピードが速いわけでもなく、木管の響きも悪くはないが、やっぱり淡々としている。
どことなくメタリック感覚があるというか、かといって、サイボーグ的でもなく、さっぱりした感覚だ。

アルト・サクソフォンの出てくる場面になると、テンポを落とす。
「れふぁら〜 そふぁ みふぁそみどぉ〜 ふぁぁ〜らみれど みどらぁ〜 しぃ〜らしどぉ〜 れぇ〜」
このフレーズになると、さすがに郷愁が漂ってくるが〜 
でも、どこか、甘いフレーズは封印されているかのようで、多少叙情性には欠けている。
せっかく超甘いサックスの登場なのに、ソロの美味しいところが、もう少し甘めであってもよいかもしれない〜 少々色をつけても、誰も文句は言わないのに〜 う〜ん 高揚感が薄いので物足りなさを感じる。

ピアノが入ってきて 「ふぁられ〜 れふぁらぁ〜 そふぁ みふぁそぉみどぉ〜 ふぁ〜 みれど みどらぁ〜」
「し〜 らしどぉ〜 しどれ〜 どどれ〜」
「ふぁられぇ〜 ど〜し らし どらふぁ〜 し〜らふぁ らふぁれ〜 みれみふぁ〜 みふぁそ〜」
弦とピアノのフレーズは、確かに甘さは感じられるし、たっぷりめには歌われている。これが精一杯なのだろうと思う。

続く、金管がマーチングバンドさながらに大太鼓を伴って鳴り響く場面では、やっぱり威勢が良い。
こっちのノリ感が良い。低音の金管は、ちょっと腰砕けになりそうだし、音がねえ〜 イマイチなのだが、金管の多少キンキン気味に鳴る音や、シャンシャン言う音、弦の切れは鋭い。
鈴の音色も、シャンシャン聞こえるのだが、どことなくクールですよねえ。ふわーっと暖かい空気感が入り込む余地はないのかなあ。たまには夜空を見上げて、人間らしく、ほっ〜として、ひといき入れて、甘い夢のひとつぐらい見てもいいよねえ。
と、思っちゃった。
超絶クールってわけではないんですけどね。どこか、仕事だし〜 してます。って感じに聞こえちゃってねえ。

2楽章
「みぃ〜ふぁみ〜 みぃ〜ふぁみっ〜」という、壊れたような金管のフレーズがある。
で、三拍子のブンチャッチャ、ンチャチャのリズムのうえに、クラリネットが蛇使いのようなフレーズを吹く。
悲しげな哀愁の漂うワルツで、寂しい。暗いっ・・・ 粘りが少ないので、あまりコクがないが、寒さが、肌身にしみる感じ。
スヴェトラーノフ盤だと、なんとも怪しい、気怠い色気が感じられたのだが、ヤンソンス盤は、モスクワの町をコートの襟を立てて歩いているかのようなクールさがあり、ニヒルなのだ。男の色気かな。

3楽章
交響詩的な表情豊かな3楽章だ。
舞台の奥から、鐘が鳴り、ハバネラのように熱い舞踏が始まる。
これだと、スペインのフラメンコかなあ〜って感じだが、木琴の弾むリズムが可愛く打ち鳴らされ、夜の風景のように弦が流れていく。
かなり絵画的というか、めまぐるしく場面が変わっていき、時間の流れが感じられる。 う〜ん。走馬燈のように頭の中で記憶が蘇ってきているのか、ちょっとわからないが〜 
この楽曲のストーリー性は感じられるが、なにせ、速い展開なので、独りよがり的なのだ。
(つまり、ついていけないのだ〜 演奏ではなく楽曲そのものに・・・)
かと思えば、ひとりごち〜抒情的に、長い弦の響きが、ずーっと続く場面あり〜
かと思えば、暴れ馬にのってカウボーイ風かしらんと思うような、荒々しい舞踏にもなるし、変化がめまぐるしい。

あれっ どこで、怒りの日が登場したのかなあ。と、思っていたら、最後の方で、おちゃらけ風に登場する。
まるで、アメリカナイズされた喜劇風で、どこか、滑稽な感じがする。
う〜ん。そのくせ、この楽章を聴いていると、ニヒルに都会的に格好つけているが、やっぱ寂しさが顔を覗かせているかのようで〜 一抹の寒さ、寂しさ、後悔しているかのような気持ちは、隠しようがない感じがする。
この楽曲のアプローチって難しいですねえ。
バカみたいにはじけ切れない、かといって、滑稽な音楽だしねえ〜 マジメに演奏するしかないのかなあ。
演奏家の人柄が出ますねえ。マジメに取り組んでいるように感じる、そんなヤンソンス盤の演奏です。

最後に銅鑼が叩かれているが、ちょっと、控えめで素っ気ない感じがする。
余韻は良いのだが、なんとも気の毒な〜感じのする最後で。あれま・・・ 


スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団 1995年
Evgeny Svetlanov
Svetlanov State Academic Orchestra
(Russian State Symphony Orchestra)



録音状態は極めて良い。
まろやかで、ふくよかな響きがある。1楽章は、すごい速いテンポで行かれちゃうが格好良い。2楽章以降は、とろみ感があって別世界行き。ふわ〜っとした官能的な世界が広がる。
カップリング:1〜3 ラフマニノフ「交響的舞曲」、4 ラフマニノフ 交響詩「ロスティラフ公」、5 ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
1楽章
弦がチャチャチャチャ・・・と細かく刻むなかを、木管群が、「れしそ〜 しそみ〜 しれし〜」「らぁ〜」 
と、下にさがって聞こえないぐらいの低音までさがる。
で、突然、弦が、「れっどっ みっしっ らそ どっふぁっ れっどっ らっみっ れど ふぁっみっ」
チャカチャカチャンっ。ババババ バッ と素早くティンパニーが入ってくる。
金管の「っみどらぁ〜 っみどらぁ〜」

ジャンジャンっと弦が掻き鳴らしていくなかを、バンバンバンっ。とリズムが刻まれる。
低い木管、「れしそっ それどっ」
ファゴットのボンボンボンっと響くなか、クラリネットとフルートが、象徴的な3つの音を、立て続けに吹いていく。3つの音の短いパッセージが連なっていくのだが、スヴェトラーノフさんの演奏は、とても速い。
すごく速くて、えーっ。爪を立てて、挑みかかってくるような野性的で、凶暴な感じがする。
弦の響きは、とても荒々しいのだが、スピーディで、しなやかだ。よく、縦線があうな〜っと、恐ろしい速さに驚愕してしまった。シンボリックな3つの音が、快進撃を続ける。
豊かな音響を響かせ、ジャンジャンっと進むのは、かなり気持ちが良く、クネクネと音を響かせて、突き進んでいくところは凄い。爽快っ。格好良い。

とにかく、他の盤に比べて、メチャ快速だったので、のけぞるように驚いたのだが、アルト・サクソフォンの出てくる場面になると、テンポを落として、ゆったりと吹かせており、快感っ!
「れふぁら〜 そふぁ みふぁそみど〜 ふぁぁらみれど みどらぁ〜 しぃらしどぉ〜 れぇ〜」
背筋がすわ〜っとしつつ、ふわーっとカラダが浮き上がるような気持ちの良さだ。
前段は、凶暴な顔を覗かせ、エッジをきかせて弦を掻き鳴らすのだが、中間部の歌謡風のフレーズは、ゆったりと郷愁を込めて歌う。この落差の大きさが、ホントすごいと思う。
録音状態は極めて良いし、もう1楽章の中間地点で、うぅ〜ん。勝負あった。
これは、やられたぁ〜という感じでしょうか。

可愛い木管のフレーズも出てくるが、再び、金管がマーチングバンドさながらに大太鼓を伴って鳴り響き、ジャンジャンジャン・・・
最初に登場した3つの音、「ん みどらぁ〜 っみどらぁ〜」が、雄叫びのように響いていく。
最後には、広大な夜空を見上げているような、涼しげな鈴の音が広がり、可愛く終わる。
ラフマニノフの最後の作品だが、う〜ん。とても、スケールの大きい演奏だ。
スヴェトラーノフさんの演奏は、大甘の歌謡フレーズを、野性味あふれたザックリした皮で、みごとにサンドウィッチのように包んで運んでくる。

2楽章
「みぃ〜ふぁみ〜 みぃ〜ふぁみっ〜」という、金管の幕開けフレーズがあって、ブンチャッチャ、ンチャチャのリズムのうえに、クラリネットが蛇使いのようなフレーズを吹く。
悲しげなワルツなのだが、ひとことで言うと官能的。
歌謡風フレーズが、ここでも出てくるのだが、クネクネ感が、たまらない。木管の甘い響きと、ワルツのリズムを刻む弦が、ヴァイオリンのソロが、くね〜っ。甘さをまき散らし、怪しい、気怠さを運んでくる。
う〜ん。この生暖かい音は、コーラングレか。この旋律は、とろみ感を持ちつつ透明度が高く、ゆったりと吹かれているのと、弦のワルツのリズムが、んぅ〜ん チャッチャと、とても良く粘っているんである。
一応、この交響的舞曲には、今は削除されているが、
各楽章に、サブタイトルがついてて、1楽章は「昼」、2楽章は「たそがれ」、3楽章は「深夜」と名付けられていたそうだ。
いやぁ〜 全て、黄昏、まどろみが、含まれているでしょ。って感じだが、ちょっぴり2楽章は遅く感じられて、いつまでも布団から出られない、もぞもぞ感が出てくる。
ラヴェルの色彩的だが、怪しくて、もぞっとした生暖かい感覚、かったるさが似ているかな。って思う。
2楽章は、濃厚すぎて、あぷっぷ。と、さすがに、沈没しちゃう感があるが、金管が出てくるとアップテンポの変わって、軽やかに変貌する。

3楽章
ジャン ジャジャジャンっ。みっ しししっ〜 と弦が掻き上げて歯切れ良く出てくるが、木管は、まだまどろみのなかに埋没しており、「しぃ〜 どらぁ〜 しそぉ〜 そみ〜  みぃ〜ふぁれぇ〜」と沈没する。
奥の方で、怒鳴り込みに来るような足音が聞こえて、大太鼓が連打され、鈴が鳴り、鐘がなる。
「しぃ〜どらふぁれ しぃ〜どらふぁれっ」と、ハイ、何者かが到来したようで、そこから幕が開く。

バレエ音楽のようでもあり、軽やかな舞踏風フレーズが流れてくるのだが、ふふっ。可愛い楽器で演奏されてはいても、ラフマニノフのテーマソングでもある「怒りの日」が、聞こえてくる仕掛けになっている。
舞踏会を開いていても、やっぱり、心の底では、「怒りの日」が流れてくるって感じで、ある一種のトラウマのように、自分自身の影のように引きずって歩いているようである。

う〜ん。めまぐるしく風が吹く。
そよ風のように、「らそらぁ〜 そらふぁ そらし〜ら〜そらふぁ〜」と歌いかけるものの、ハリウッド映画のようなフレーズも重なり華やかな断片が見受けられるのだが、結局、思いは沈むようで〜。
甘いフレーズは詰まっているものの、古い傷をなめたいような気持ちに戻り、険しい表情は、すぐに思い出のなかで、緩む。
う〜ん。ラフちゃんは、峻厳な気持ちからは遠く、やっぱり、沈みこみつつ、どこか甘さに頼ってしまうらしい。で、フレーズが、次々と繰り出され、まるで、玉手箱から、ふわ〜っと雲が湧き起こるフレーズもあって、ストーリー性を感じられる。
かなり思いがたっぷり気味に押し込まれ、詰めこまれたフレーズが、箱から、次々に繰り出されて、まるで昔の写真を取り出して見ているような気持ちに・・・。
2楽章、3楽章は、う〜ん。かなり、センチメンタルに演奏されている。
遠い目になって、ふわーっと、心、ここにあらず的な、感傷的にすぎるかもしれない演奏だ。
ふわ〜 ふわ〜 ふわぁ〜っ。そんな感覚が、かなり濃厚に、甘く、とろみ感を持って演奏されている。

最後には、「怒りの日」のテーマが、舞踏風フレーズに乗って登場してくる。
段々と高揚感を帯びて、激しく、壮大に幕を閉じるのだが。怒りの日が、舞踏風にアレンジされている点が、う〜ん。なんか、この気持ちは、ワカランねえ。どうなんでしょうねえ。ワタシ的には、あまり理解できないんですけど。(といいつつ、精神的に弱い方を、どこかお慰めしたい気持ちにはなるんだけど・・・)
スヴェトラーノフ盤は、ある種、濃厚な甘いお菓子を食べたい時に、絶対手がのびてしまう、そんな悪魔的な演奏だ。
まあ、ある種共感は覚えるのだが、さらっと聴きたい時には、敬遠しちゃう。(笑)
1楽章の爽快で格好良く進むフットワークさが、2楽章以降、影を潜めてしまうのが、ちょっと惜しいかな。って思うのだが、甘みたっぷり系が好きな方には、超お薦めである。
それに、録音状態が良いのと、多彩な木管、打楽器が使われているので、フレーズを聞き分け、また、耳をそばだてて聴きたい方には、超お薦め盤かと思う。ここまで行くと、やっぱり拍手だと思います。


アンドリュー・デイヴィス ロイヤル・ストックホルム・フィル 1997年
Andrew Davis
Stockholm Philharmonic Orchestra

ばっちグー!

録音状態は良い。しなやかに、切なくしっとりと歌う。とろみのついた執拗で、濃密なタメの効いた歌い方ではなく、さっぱりとした爽やかさがあり、とても瑞々しい。
そういう意味では、泥臭い演奏の方がお好みの方にはあわないけれど、旋律の持つ美しさが感じられて嬉しい。通好みという感じ。
カップリング:ラフマニノフ「交響的舞曲」、交響詩「死の島」、幻想曲「岩」

1楽章
録音状態が良く、残響もほどよく入っている。A・デイヴィスさんの、しなやかで、清涼剤のような繊細なフレーズがとても美しい。
ロシア臭い、濃厚な味がついていないし、ザクザクと刻まれる弦の強いフレージングが、さほど強く、ガッシガッシと鳴ってこない。ティンパニーも金管も、わりとおとなしいし、全体的に鳴りっぷりが、豪勢というか、大げさではないので、ちょっと〜もの足らないかもしれない。(もの足らないかも・・・と言いつつ、まあ普通サイズのオケなんですけど)
テンポは、ゆったりめ。執拗なタメもないし、純粋に楽曲を演奏しているという感じ。もちろん。粘って、ためているところも多少はあるけれど、演出過剰という感じは、まったく受けない。
木管の音色も、アルト・サックスの音色も、甘すぎない甘さだ。
もっと、とろみがあっても〜 良いぐらい。(笑)
「れふぁら〜 そふぁ みふぁそみど〜 ふぁぁらみれど みどらぁ〜 しぃらしどぉ〜 れぇ〜」
甘くて、とろみのたっぷり〜ロシア臭い演歌風で、この曲を聞きたい場合は、他盤でどうぞ・・・。だと思う。

やっぱ、スコットランドというか、北欧というか、空気の冷たい。酸素の薄い? 雰囲気の持ったオケって感じだ。
よどみのない旋律の美しさがあって、織り目の詰まった、密度の高さも感じるのだが、頃合いの余裕があって〜
そのくせ、締まった感じも受ける。正しい、ゆとりというか。適正な余裕というか。
また、旋律の主だけが歌っているわけではなく、しっかり、打楽器類も、木管のフレーズも大事に歌わせて、それが、見通しよく、織り込まれている。
ロシア風だと、主だけの旋律で、じっとり濃厚に、太く歌いあがるのだが、A・デイヴィス盤で聞くと、相対する合いの手や、副旋律が、しっかり見えてて繊細に織りあがってくる。
それが、日本人の気質にあっているのか〜 大変気持ち良い。
旋律を太めに編み込んでいく、見事な職人わざ・・・。って感じ。一種の工芸品を見ているような気分だ。

2楽章
「みぃ〜 ふぁみ〜 ふぁみっ〜」という、ミュート付きの金管かなあ。
ブンチャッチャ、ンチャチャのリズムのうえに、蛇使いのようなクラリネットが絡むが、ピエロ風に踊っているみたいな楽章だ。
甘い黄昏のなか、気怠さのなかに哀愁があって、弦の拍を刻む音に乗った、木管の旋律に泣かされる。
渋い色彩だが、しなやかなに舞うフレーズを巧く絡ませて、とても、聴き応えのある楽章に仕上がっている。
主旋律だけでなく、木管の歌わせ方の見事さなど、場面場面で、とても複雑に旋律が重なっている。
て、複雑な織りなんだな〜と感じるが、それが、厚く感じさせず、音の軽さに繋がっているし、煌めきもあって、ところどころ、さらっと〜 綺麗だなと思わせてくれる。
テンポをさらっと変えて、軽妙さも持っているのだ。

3楽章
透明度の高い、見通しの良い録音だし、鐘の音も爽やかだ。
弦の掻き鳴らす音も、舞曲風の軽やかさも持っていて、とても瑞々しい音色に彩られており、パワーもそこそこにあって聞いてて、気持ち良い。
グレゴリオ聖歌の「怒りの日」のフレーズが聞こえてくるのだが、おどろおどろしさより、清々しい。
この旋律を、ここまで爽やかに奏でるの? っていうぐらい、柑橘系の香りが漂ってきそうだ。(笑)

泥臭く、しみったれた、引きずったような未練がましい感覚が色濃くでた演奏ではなく、ホント、若々しく、楽しげだ。
これから先も、明るく、活き活きと快活で、希望に満ちている〜という確信が感じられるような演奏で、ホント、聞いてて嬉しくなる。回想しているが、心の底から楽しんでいるみたいだ。
これが、ラフマニノフさんの最後の作品とは・・・ 思えないぐらい若々しい作品になっている。
ラストは、いかにも、アメリカ的な底抜けに明るい和音で、すかっと楽天的に、豪勢に鳴っている。
3楽章の最後は、このブラスの鳴りっぷりでは、まるで、ミュージカルでしょう。
いやいや、ラスベガスでしょう〜という感じだろうか。
吹っ切れた銅鑼の音で、ジャーン!(まあ、ちょっと控えめではあるが) 最後まで、皮肉なのかなあ〜

深刻で、ご大層に、意味深で、泥臭い演奏の方が好きな方には、お好みにはあわないと思う。
しかし、ワタシ的には、純粋に楽曲の持っている構成とか、旋律の美しい織り方と、旋律の歌わせ方とかが、楽しめて、とても嬉しいCDだ。
もちろんスヴェトラーノフ盤も、とても個性的で、ものすごく楽しいCDだったが、A・デイヴィス盤は、単に聞くだけでなく、考えさせられる〜ような、演奏家好み、通好みの演奏だと言えるかもしれない。
全く真逆のような演奏だけど〜 もし、この曲がお好きであれば、よかったら〜 一度聞いてください。


1975年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI  
1980年 アシュケナージ コンセルトヘボウ Dec  
1984年 マゼール ベルリン・フィル  
1992年 ヤンソンス サンクト・ペテルブルク・フィル EMI ★★★★
1995年 スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団 Warner ★★★★★
1997年 A・デイヴィス ロイヤル・ストックホルム・フィル apex ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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