「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラフマニノフ ヴォカリーズ、合唱交響曲「鐘」
Rachmaninov:
Vocalise,The Bells


ラフマニノフの歌曲「ヴォカリーズ」嬰ハ短調は、最初は1912年に作曲されたソプラノ又はテノールのための「14の歌曲集」の終曲だったそうですが、自ら管弦楽の編曲を行い、1916年に初演されているそうです。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

母音「アー」で歌われる溜め息のような旋律と、淡々と和音と対旋律とを奏でていくピアノの伴奏が印象的な楽曲で、ヴォカリーズの性質上、歌詞はありません。ロシア語の制約を受けないためもあって、ラフマニノフの数多ある歌曲の中でも、最もよく知られた曲となっており、また、さまざまな編成による器楽曲としても広く演奏されています。

ロシア音楽に共通の愁いを含んだ調べは、この作品においては、バロック音楽の特色である「紡ぎ出し動機」の手法によっているそうで、短い動機の畳み掛けによって、息の長い旋律が導き出されています。
鍵盤楽器による伴奏が、もっぱら和音の連打に徹しながら、時おり対旋律を奏でて、瞬間的なポリフォニーをつくり出しているのも、初期バロックのモノディ様式を思わせるもの。
旋律の紡ぎ出し部分は、ラフマニノフが愛したグレゴリオ聖歌「怒りの日」の歌い出し部分の借用です。不協和音や旋法の多用を斥けて、古典的な明晰な調性感によっており、作曲者の生前から非常に人気が高い楽曲です。
ちなみに、ヴォカリーズ (フランス語:vocalise、ドイツ語:Vokalise)とは、歌詞を伴わずに(しばしば1種類以上の)母音のみによって歌う歌唱法です。

プレヴィン ロンドン交響楽団 1975年
Andre Previn
London Symphony Orchestra

     


録音状態は良い。タップリ系の代表格。甘みタップリなんですが〜 妙にハマルというか、疲れた夜に聴くと癒されてすっぽりハマルというか。妙に、なよなよ〜とシナを作りたくなります。
ラフマニノフの交響曲全集3枚組BOXより。交響曲の他に、交響詩「死の島」、「ヴォカリーズ」、歌劇「アレコ」から「間奏曲」と「女性の踊り」2曲が収められている。

録音は、いささか古めかしい感じがするが、太めの、たっぷりめの録音であることが、ラフマニノフには良いのかもしれない。ゆったりと、どちらかというとポピュラーミュージック系のような、大衆的に受け入れられやすそうな雰囲気を持っている。
で、このCD、交響曲第2番が、ノーカット盤(全曲完全版)ということで話題となったCDだ。
以前は、曲が冗長すぎると楽章の途中でカットされていたのを、執拗にも?繰り返しを行ったことで話題となった盤である。

ヴォカリーズも、たっぷり甘み系の、たれ〜っとした楽曲に仕上がっている。
が、しかし、流されて聴いちゃうけれど、耳にはご馳走である。妙に、なよなよ〜っとシナを作りたくなっちゃうなあ。って感じになっちゃうのだ。プレヴィン盤を聴いていると、どうも納得しちゃうというか、ハマル感じなんだよね。(笑) 柔らかく、物悲しいというより、どっか喜んで、自己満的に、やるせなさ〜を演出しちゃっている感じもしないでもないんだけど・・・。
甘味料を控えめにしましょうと言っても、6分半程度の楽曲だ。妙にハマルのである。うん。適度に良いかもしれない・・・。(と、妙に得心しちゃうんですよねえ)
たまには甘いスイーツが食べたいよぉ。と、甘いモノに飢えている時に、聴いちゃう楽曲だしね。

柔らかい弦のフレーズのなかに、木管の太くて暖かい音色が、まろやかに響くし、特にオーボエやクラリネットが、クッション状態になって弾力性を与える。で、低弦のピチカートが、ぼんっ。と大きめに入ってきてインパクトを与えている。
とにかく、弦の表情付が濃い。そして、そこはかとなく〜 自然な膨らみ感と、萎み感があることは確かだし、弦のフレージングを主体にして、柔らかい曲線で、くねくね〜っと描かれている。
映画音楽みたい。と言っちゃえば、それまでだけど・・・。疲れた夜に聴くと、絡め取られちゃって〜
やられてしまいます。抗しがたいんだよなあ。
ここまで、たっぷり演奏されてしまうと拍手以外にないでしょう。


ゾルタン・コチシュ デ・ワールト サンフランシスコ交響楽団  1984年
Kocsis Zoltán  Edo de Waart
The San Francisco Symphony

録音は良い。サッパリ系、間合いがちょっと〜ワタシ的には呼吸が合わないんですけど。
カップリング:1〜3 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(1984年)
4〜6 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番(1983年)
5 ヴォカリーズ ヴォカリーズ(コチシュ編 1984年)

コチシュさんが編曲した、ピアノ版のヴォカリーズである。

呟きに似た感じがして、甘さは控えめ。左手の伴奏が、ちょっと速めに刻まれて、さっぱり系だ。
でも、ところ どころ〜タメが入っている。
「(れれ)ふぁみふぁ〜 れみふぁ みれ み〜どれみ
「れどれ しどれ〜  どしらぁ〜 そら〜しらぁ〜 (んっ)パラ」
「しれふぁそ〜ら ふぁ〜 み れ〜 どぉ〜れどれ ど〜」
ちょっと間合いが独特で、はしょってしまうところと、んっ。と前にタメが来るところとがあって、とてもテンポは揺れている。
ワタシ的には、えっ と思うところで、はしょるので呼吸がちょっとあわないのだが〜
フレーズに変化をつける必要もあると思うし、ピアノって、残響がさほど長い楽器でもないし、こういう長音ばかりが続く楽曲は、難しいように思う。
コチシュさんのピアノの音質は、くすんだ色合いであり、低音の響きが柔らかいなかで渋く輝く。
落ち着いてて、もの悲しさと、溜息のような弱音の音が、じわじわ〜っと後半になって浸みてくるのだが、やっぱ呼吸が合わないと・・・。う〜ん。


ヤンソンス サンクト・ペテルスブルク・フィルハーモニー管弦楽団 1993年
Mariss Jansons
St. Petersburg Philharmonic Orchestra



録音状態は
あまりよろしくない。渇いた録音状態が、う〜ん。イケマセンねえ。
他にも交響曲と管弦楽曲がカップリングされた3枚組BOXもあるし、ピアノ協奏曲ともカップリングされた6枚組BOXもあり。BOXの場合は、交響曲の隙間を埋めるかのように収録されている。
カップリング:1〜5 ラフマニノフ 交響曲第2番 
6 ラフマニノフ「スケルツォ」
7 ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
ヴォカリーズは、「あ〜」という母音だけで歌われる曲である。
メチャ癒される曲で、ずーっと聴いていられる曲でもあるし、そこはかとなく、哀愁が漂う曲でもある。

「らそらぁ〜 ふぁそらぁ〜そふぁ そぉ〜みふぁそぉ〜〜」
「ふぁみふぁ〜 れみふぁ〜〜 みれどぉ〜しどぉ〜れどぉ〜」
「れふぁらしぃ〜ど らぁ〜 そ ふぁ〜 み〜れみふぁ〜」

超シンプルなのだが、疲れた夜にはもってこい。あー 母親の胎内にいるような穏やかな曲である。
本来は、ソプラノかテノールが歌うらしいが、たまたま聴いた今日のCDは、管弦楽曲版である。
ラフマニノフが、14の歌曲集の最後の曲らしいが、初演は、管弦楽版だったとのこと。 まっ 声楽付きの方が、もちろんムードもあるし、甘さたっぷり感で歌われるに間違いないが、声楽ではなく、人の声 声域に近いチェロだけで演奏されても良いだろうし、ピアノ版であっても良いと思う。 管弦楽でも、ソロの編曲バージョンでも、何でもぴったりはまりそうな曲だと思う。 だって、元祖「あ〜」なんだから。

このCDは、ヤンソンスの交響曲全集にカップリングされているものだが、ちょっと録音が擦れ気味なので、もっと湿気た感じのする方が良いと思う。 ゆったりはしているが、潤いにはちょっと欠けているかも。
録音状態のカサカサ感が、やっぱり気になってしまう。たっぷり系、しっとり系のプレヴィン盤の方が、やっぱり軍配があがってしまうし、このヤンソンス盤の録音状態は、いかんともしがたい。カサっとした食感の、ビスケット風というか、パサっとしているというか、乾いている状態だ。
ちなみに、この曲に近い雰囲気を持つのは、ヴィラ・ロボスのブラジル風バッハ(バキアーナス・ブラジレーラス)の5番「アリア」だったり、グレツキの交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」かな〜って思う。
いずれも母音の「あ〜」で終始しちゃうが、美しい完全癒しモード系の楽曲である。


スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団 1995年
Evgeny Svetlanov
Svetlanov State Academic Orchestra
(Russian State Symphony Orchestra)

あちゃ〜


録音状態は良い。多少残響多め、遅すぎて〜耽溺しちゃう。
カップリング:1〜3 ラフマニノフ「交響的舞曲」、4 ラフマニノフ 交響詩「ロスティラフ公」、5 ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
スヴェトラーノフ盤は、オケで、これだけ耽溺した歌い方ができるのか〜と驚くほど、とろみ感のある演奏だ。
まあ、決して甘すぎるわけではないが、遅い。超スローテンポなのだ。なんと9分47秒もある。
一応、参考に書いておくと、プレヴィン盤で6分33秒、ヤンソンス盤で6分57秒なのだ。いかに遅いかわかろうってなモノでしょ。
しかし、ブラスの響きが重く沈むが、けっして暗いわけでもなく、盛り上がるところで、ふらふら〜っとしてしまうほど、よろめいてしまう。甘すぎてなのか、遅すぎてなのかは、自分でもわからない。
アハハ〜よろめくな〜っと思うが、まあ、こんな曲があっても良いんじゃないの。さすがに、多少飽きますが・・・。
これぐらい遅いと、コーラスが入ってて欲しいかなあ。いや、歌う人に気の毒だよなあ〜
(と、集中できないまま、終わってしまいました。)
少し残響が多めなので、好みが分かれてしまうかもしれないが、ワタシ的には、この楽曲にはよろしいのでは。


アシュケナージ コンセルトヘボウ 1984年
Vladimir Ashkenazy  Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)
ナタリア・トロツカヤ(S)、リザート・カルツィコフスキー(T)、トム・クラウセ(Br)
コンセルトヘボウ合唱団

これもありかっ ← 楽曲の感想デス。

録音状態は極めて良い。奥行きのある豊かな響き、コーラスが綺麗に収録されている。カップリング:ラフマニノフ 独唱、合唱と管弦楽のための詩曲「鐘」、「3つのロシアの歌」
ラフマニノフ 独唱、合唱と管弦楽のための詩曲「鐘」

ラフマニノフの鐘といえば、フィギュアスケートの浅田真央さんのプログラム曲「鐘」を、思い浮かべる方もおられるかもしれないが、プログラムの方は、ピアノ曲で、「幻想的小品集」の前奏曲嬰ハ短調である。
ここでご紹介するのは、コーラスの混じった管弦楽曲である。
ラフマニノフは、鐘をモチーフにしたフレーズとか、グレゴリオ聖歌「怒りの日」ディエス・イレとかをモチーフに用いることが多いが、この曲、その名のとおり、ずばり鐘・・・。

で、4楽章にわかれており、人生の移り変わりを、四季に見立てるというか、鐘になぞらえている。
春・夏・秋・冬とちがって、銀の鐘、金の鐘、銅(真鍮)の鐘、鉄の鐘と見立てているそうな。

中年が銅(真鍮)で、老年になると鉄だそうで、年齢を重ねると、どうやら、錆び付いてしまうようだ。
思わず、突っ込みを入れたくなるような構成というか、なんとも・・・ 苦笑いせざるを得ない構成で、人生くだりざか〜
こんな坂道をくだるようなイメージの曲は、どうもねえ、避けたい気持ちになる。 なんか寂しい考え方というか。情けない考え方というか、これって皮肉なの? ブラックユーモア狙いなのだろうか。
しかし、少なくとも、銀→金→銅(真鍮)→鉄 というモチーフだと言われると、ちょっと〜手が伸びない。
こんな曲、中年以降になってから、聴けないように思うんですけどねえ。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べると・・・
1楽章 銀の鐘が、若さの輝きを歌っている。快活なテノールの独唱が、鈴の音にのって疾走するそりの姿を描き出す。
2楽章 愛と結婚の幸福が、ソプラノによって甘く美しく歌われる。聖なる婚礼に鳴り響くのは、金の鐘である。
3楽章 激動の騒乱を告げる銅の警鐘が鳴り響く。
     人々の恐怖と憤激を代弁するかのように、混声合唱が力強い咆哮を轟かせる。
4楽章 鉄の鐘が告げるのは、弔いの悲しみである。
     バリトンの荘重な響きが、寂寞たる風景の中に永遠の眠りがもたらす心の平安を歌っている。・・・とあった。

もちろん、ロシア語で歌われるので、さっぱりわからない。
4楽章という構成も、かっちりしているのだが、ラフマニノフ自身も、交響曲をイメージしていたらしい。
しかし、交響曲というよりは、ショスタコの「森の歌」のようなカンタータのイメージに近いかも。
曲想は明確に描き分けられている。
やっぱり翳りが見え始めたと思ったら、凄い勢いで、怖い世界に突入しているので、3楽章、4楽章は、ロシア語が、わからない方がシアワセなのかもしれない。(苦笑)
太陽が昇ったと思ったら〜  夕陽が沈むのは早い。そう感じる。

こんな楽曲を書こうという気になったワケが知りたくて、いつ書いたの?って調べたら、なんと、ラフマニノフ40歳の時の作品だそうで・・・ はあ? なんとも・・・。40歳で、これを書くのかと、唖然としてしまった。

また、この作品の構想は、ラフマニノフの熱烈な女性ファンから、匿名で送られてきた一通の手紙に端を発するそうで、そこには、ロシア象徴主義の詩人のバリモントがロシア語に訳したエドガー・アラン・ポーの詩が添えられ、あたかも彼のために作られたようなものだと・・・そう主張していたことに興味をそそられたらしい。
はあ。そうだったの。ファンレターに書かれた詩が、モチーフなのだ。(なんだ〜 結構単純じゃん)

う〜ん。いずれにしてもローマで書かれ、40歳だから、まだまだ、老年までには時間的余裕があるから、書けたのかもしれない曲である。ホント、まだまだ、実感として感じていないのかもしれない。
だから、冷静に老いる。老いた以降を描けるのかもしれないと思った。
また、4楽章は、マーラーのように、救済の世界が描かれているようにも感じる。
それに、 これを聴いていると、穏やかに、なだらかに、人生を、くだりたいものだ〜っと思ってしまった。
はあぁ・・・ やだねえ。苦笑いが出てしまうねえ。だって、あっという間に夕陽だし、おまけに、人生を36分程度の駆け足で巡る楽曲なのだ。
う〜ん。困ってしまうわ。こんな曲・・・。(ニガワライ)

アシュケナージ盤の演奏を、どうのこうの言えるところまでは、聞き込めていない。
また、あまりCDは発売されていない。2000年録音プレトニョフとロシア・ナショナル管弦楽団、2012年録音のラトルとベルリン・フィル盤(ライブ)、デュトワ、コンドラシン、プレヴィンさんが録音しているようである。


ヴォカリーズ
1975年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI ★★★★★
1984年 コチシュ デ・ワールト サンフランシスコ交響楽団 Ph ★★★
1993年 ヤンソンス サンクト・ペテルブルグ・フィル EMI ★★★
1995年 スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団 Warner ★★★★
合唱交響曲「鐘」
1984年 アシュケナージ コンセルトヘボウ Dec ★★★★
所有盤を整理中です。

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