「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラヴェル 道化師の朝の歌(管弦楽版)
Ravel: Alborada del gracioso


マルティノン パリ管弦楽団 1974年
Jean Martinon
Orchestre de Paris



録音状態は良い。スマートで軽やか鮮やか。昔から名盤とされているんだけど、これを超える新しい盤が欲しいかも。
ドビュッシー、ラヴェル管弦楽作品全集8枚組BOX
マルティノンさんって、フランス音楽専用って感じがするが、この録音を聴くと、う〜ん。やっぱ、音が違うなあ〜って唸ってしまう。
この「道化師の朝の歌」だって、メチャ音が軽やかでカラフルだし〜 音がふわっと弾けている。
なんだろ。この違いは・・・。
まず、テンポは速めで、弦のピチカートとハープの音が、弦が奏でていることがわかるほど、指ではじいているのが彷彿としてくるほど、弾けてるんだよなあ。
「みそみそみそしそれふぁ・・・ しっらそふぁみれみし・・・」
音が重くないし、なんか乾いた弦の音が、心地良い。

もちろん低音部の木管たちも、ふぁどふぁど・・・と、ぷっぷっぷっぷっ・・・と吹かれている。サラサラしてて気持ちよいし、朝という風景が、さら〜っと流れてくる。空気感があるっていうか。
で、こんなにサラサラしてて良いものかどうか、ちょっと疑問に思っちゃうほど。
金管が合わさってきても、弦の弾けた音が、ちょっと、ばらけ気味に広がっている。これが、本来の弦の広がりなんだろうか〜 
カスタネットも小気味良いしなあ。木管もさりげなく音が届いてくるし、グリッサンドなんか、ひぇ〜と思うほど、彩りがあるし。う〜ん。シャンっと前半終わるところも、キレがある。
中間部のファゴット(バスーン)の音色は、タメはあるけど、さほど粘着的でもない。
悲しい感じは、しないし、トライアングルと鈴の音色が広がってくるので、彩りが一層華やかな方だ。
キラキラ光のように響き、鬱陶しく響かない。儚いほどに、細めに、そろっと歌っている。
へえ〜 珍しいファゴットのソロだから、めちゃ、ねっちりと吹かれるのかと思ったのだけど、わりと、さらっとしている。

乾き気味の空気感で、バックの弦の響きがアクセントになっている。蠢いている風にも、感じられるけれど、しかし執拗じゃない。乾いた土地で、再度、盛り上がる。
シンバルとか木琴、小太鼓などの打楽器群の音が、きわめて明瞭に響いていることが、鮮やかさに繋がっているんだと思う。 じっとりしたフレーズになるところを、弦や木管の2音が、アクセントをつけてくるので、タメてても、嫌にならないですね。パーツが綺麗に分かれて響いてて、弦が、添え物的な存在になっているのが良いのかも。
マゼール フランス国立管弦楽団 1981年
Lorin Maazel    Orchestre national de France

録音状態は、とびっきり悪いわけではないが。
丁寧な演奏だが、面白みには欠けている。
カップリング:「ラ・ヴァルス」、スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌
テンポが遅い。へっ? と思うほど遅い。
マゼールさんのことだから、きっと速いっと思っていたのに、これは〜ずっこけてしまうほど。
CDのクレジットをみたら8分41秒だった。
アバド盤で7分16秒。うへっ。やっぱり天の邪鬼なんだ。
で、弦のピチカートは丁寧に、クリアーに弾かれている。アンサンブルを整えている。
弾んで、転ぶような洒脱の効いた感覚はないけれど、しかしっ。噛みしめるかのような、几帳面で、すーっと透明感のある、筋通ったアプローチだ。
思わず、セル盤かと思ったほど。
いや〜これ、テンポは確かに遅く、なかなか変わっているけれど、演奏としては耳を傾けてしまう。
なにも特別なことはしていないのだけど、刻み方が丁寧で、各楽器の音色の綺麗さはあるし、煌めき感も出ている。
ファゴット(バスーン)のソロは、すーっと素朴なほどスッキリしてて揺らぎを持っていない。
砂漠の蜃気楼のような、まったり感より、きりり〜とした空気感がある。北欧風の涼しげな〜ヒンヤリした空気感ではないし、熱いワケでも、洒脱が効いているわけでもない。
それでも演奏としては、楽器のしっかりした刻み、響きを出そうとしている雰囲気は感じる。
ただし、リズム感がイマイチで・・・。
アンサンブルに重視してて、面白みには欠ける。快活な感じがしないのだ。
かなり縦糸を重視した、アンサンブルに神経を使っているかのような演奏だと思う。
う〜ん。アンサンブルを合わせないと、完全に崩壊しちゃうような曲だし、テンポも活き活きしてないとダメだし、洒脱も必要だし、重い音だと雰囲気でないし。
こりゃ〜 難しい楽曲だっ、と再認識させられた演奏だった。
マゼールさんのラヴェルって言えば、ウィーン・フィル盤もあるのだけど・・・。う〜ん、食指が動かない。
デュトワ モントリオール交響楽団 1981年
Charles Dutoit    Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



録音状態は良い。活気があって、豊かな響きで官能的。
ちょっぴり豪快すぎて驚いちゃったけど・・・。
カップリング:ボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス
テンポも速く、すいすい〜っ。
弦の響きが、まろやかに響いて、おそろしく明るく、のびやかで〜 とろけちゃう感じがする。
豊かな響きが、ホールいっぱいに広がり、羽根が飛んでいるかのよう。
ちょっと残響が多いかな。とは思うが、これが良い方に転んでいるみたい。
マルティノン盤と同じで、音は軽めだが、輪郭の明瞭さはマルティノン盤が勝ちって感じ。その代わり、響きの豊かさが、このデュトワ盤にはある。
目の前で、弦のピチカートが、はじけているというのではなく、ホールの広がりのなかで、はじけているのを感じる。
で、音のまろやかさがあって、暖かい空気感が広がってくる。
う〜ん これは録音の仕方だとは思うのだけど・・・ すごい違いだと思う。
で、低弦の響きも豊かだし、パーカッションの響きに勢いもあるし。金管の短いパッセージも、後から、ふわーっと広がる。これは聴く方にとって、快感っ〜かな。やっぱ。
中間部のファゴットの粘りのある響きも、心地良い。
「れ〜み れみふぁ〜 ふふふっ ら〜ふぁれ〜 れみふぁれ〜」
ちょっと、クセのある歌い方だけど即興性が感じられるっていう感じ。ちょっと息継ぎが気になってしまったんだけど。バックの低弦や打楽器、ハープなどと絡むところが、色っぽい。
オケが、総体的に波打って、官能的ですらあるし〜 ムンムン香ってくる。
「れ〜 れれれ どぉ〜 どれみれ そ〜みれし しどし そぉ〜」 
「たぁ〜 たらら らぁ〜」 小太鼓とタンバリンの音色で、キレを生んでいるが・・・。
どことなく、朝って感じじゃーないんだけどなあ。朝帰りって風に解釈するのか、ただの酔っぱらいなのか、道化師のオチャラケなのか、道化師の悲しみなのか。
う〜ん。どちらかというと、心象風景というよりも、海辺で波が砕けているみたいで、ちょっぴり豪快すぎるかもしれない。
でも〜 勢いのあるリズムの刻みで、活気があって、明るくて健康的。文句なく色彩豊かで、動的なリズムだ。
どことなく人間臭くなく、絵画的に聞こえてしまったんだけど。それでも良いのかなあ。
う〜ん。難しいなあ。どう聴けば良いのやら。ピアノ版のイメージとまた違うし・・・。
あまり深く考えないでおこっと。ハイ、デュトワ盤、活気があって良いです。
アバド ロンドン交響楽団 1988年
Claudio Abbado    London Symphony Orchestra

録音状態はイマイチ。湿気感があり、演奏もちょっぴり重いけど、迫力はある。主に打楽器がパワフルで〜 でも、せっかくの色彩感は欠けているかも。
カップリング:ダフニスとクロエ 道化師の朝の歌(1987年)、ボレロ(1985年)
ちょっぴり残響多めで、湿気が感じられる。音の広がりは、立体的だけど、なーんか違う空気感で〜
弦の響きが重くて、こもり気味。
やっぱ残響なのかなあ。必要以上に音が太く、あとに残る。
低音の響きが多く、重くて〜 ハープの音が聞こえないし、せっかくの弦のピチカートが、明瞭に響いてこないのだ。木管の音色は、しっかり響いて各楽器が鳴っているのだけど、弦がイマイチかなあ。
「どっし そ〜ら どっし そ〜ら」のところは爆発的な迫力はあるが、異様な感じ。
合いの手を入れる大太鼓が、ボコボコと大きすぎてキレが無い。
カスタネットだけは、奥から聞こえてくるけれど。この音は、舞台裏のように響いてて変だぁ。
フルートの風のような響きは良いけど、弦の細やかな動きがイマイチ聞こえてこないので、リズムが死んじゃうような気がする。
ファゴット(バスーン)のソロは、甘めで、とろり感あり。どんよりした空気が漂う。
木管が太めの響きを持っているので、ちょっぴり重めで、黒い雲が覆い隠してくるような気配がする。
で、金管が豪快に派手に弾ける。押し出しのパワーは感じるけれど、う〜ん。ちょっと、バランスがなあ。
どよよ〜んとした空気の、もわ〜っと熱いところからの、大太鼓をはじめとした金管パワーの弾け方なので、確かに迫力はあるんだけど・・・。
マルティノン盤を聴いた後だと、なんか違う感じがするんだけど〜 でも。金管のパラパラパラ・・・ 木管のグリッサンド、コーラングレとかの響きは綺麗だ。
なーんか繊細じゃーないんだけど。まっ 普通ならこうなるかなあ。って感じがする。
ちょっぴり、ごっつ〜い 道化師って感じだけど、いや、道化師っていうより、大きな動物が跳ねているような感じもするかなあ。
金管の重た〜い音が占領しちゃってて、木管群にキレが感じられないのが残念。
どことなく、まじめくさっている感じがして。ちょっと違うよなあ。面白くない。
ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1989年
Yan Pascal Tortelier
Ulster Orchestra

録音状態は極めて良い。爽快で快活。もう少し緻密で、粘りが出てくれば嬉しいけど、好ましい青年っぽい演奏。
ラヴェルの管弦楽全17曲 4枚組BOXより
最近の録音なので、録音状態が良いのが、まず嬉しい。
冒頭の弦のピチカートが、美しく残響として残っている。
「みそみそみそみそみしそれふぁ・・・ しっらっ そふぁみれみし・・・」
なかなか良いんだけど、最初、もたついている感じ。綺麗にスタートしてない。それに、「しっらっ そふぁ〜」のところに、タメが欲しい気がする。タメを入れちゃうと、ドイツ臭くなるのかもしれないが。
このフレーズの後、ハープやカスタネットが入ってくるが、流麗に入ってきているし、音も良い。
タタタ タララ タタタ タララ〜と響く、低弦の響きも豊かだ。 
「どっし そぉ〜ら どっし そぉ〜ら」 爆発的な響きには驚かされるけど、響きが芳醇で、まろやか。
リズム感もバッチリで、楽しめちゃう。
中間部のファゴットのソロは、もう少し太めの響きが、ぐい〜っとのびてきてくれたら嬉しいのだが。
ちょっと細め。あの爆発から比べちゃうと、うへっ。がくっ。
いっきに枯れちまった巨木風になってるじゃん。
ただし、背後の細かな打楽器などの動きが、よーく聞こえてくる。
かなりテンポは遅くしており、ごろごろ〜っとした動きや、金管の小さなフレーズが聞こえ、蠢きっぽく感じられる。乾いているけれど、暗い雰囲気づくりはできていると思う。夜明けって感じの、まどろみ感や、空気のヒンヤリ感などの繊細な雰囲気は、もう少しあった方が嬉しいけど。まずまずだと思う。
ただし、その後のフレーズが、いけません。
「ん〜たららっ らったぁ〜 ん た〜ららら らったぁ〜」という盛り上げどころで、金管の響きが揃って出てこられず、へっ 音が割れてる。タメも、充分にできてなくって腰砕けてしまった。
まあ。こんなモンでしょうが。ちょっと残念。
最後は、一気に走って、走って、走って〜 ゴールイン!
爽やかさ、若さが命ってところがあるけど、重すぎず軽すぎず、カラフルすぎず。オケは、中間的な色彩感覚を楽しめる。もう少しアンサンブル緻密になってくれたら 〜と思うが、この成長が楽しみである。
1962年 クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 EMI  
1974年 小澤征爾 ボストン交響楽団  
1974年 マルティノン パリ管弦楽団 EMI ★★★★★
1981年 マゼール フランス国立管弦楽団 SC ★★★
1981年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★
1988年 アバド ロンドン交響楽団 ★★
1989年 ヤン・パスカル・トルトゥリエ  アルスター管弦楽団  CHANDOS ★★★★
1993年 ブーレーズ ベルリン・フィル
所有盤を整理中です。

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