「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラヴェル マ・メール・ロワ 管弦楽曲版
Ravel: Ma Mère l'Oye (Ma mere l'oye)


ラヴェルのマ・メール・ロワは、「マザー・グース」を題材にして作曲した、ピアノ四手連弾の組曲、それをベースとした管弦楽組曲およびバレエ音楽です。このページでは、管弦楽曲版でご紹介します。
管弦楽組曲版は、ピアノの連弾用の組曲を、そのまま管弦楽編曲したもので、1911年に編曲されています。
チェレスタやハープ、木管も多彩でコーラングレやコントラファゴットなども必要で、楽器編成は大きいものです。

第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ 4/4拍子
 シャルル・ペローの童話集「マ・メール・ロワ(マザーグース)」の「眠れる森の美女」
第2曲 親指小僧 2/4拍子
 「マ・メール・ロワ」から。曲名に関しては「一寸法師」という訳があてられることもあります。
第3曲 パゴダの女王レドロネット 2/4拍子
 ドーノワ伯爵夫人マリー・カトリーヌの「緑の蛇」から。パゴダとは、中国製の首振り陶器人形のこと。
第4曲 美女と野獣の対話 3/4拍子
 マリー・ルプランス・ド・ボーモンの「子供の雑誌、道徳的な物語」からの「美女と野獣」に基づくもの。
第5曲 妖精の園 3/4拍
 「眠りの森の美女のパヴァーヌ」と同じくペローの「眠れる森の美女」から。王女が王子の口づけで目を覚ますシーン。

おとぎの世界に迷い込んだかのような、華麗なオーケストレーションを楽しむことができる、とっても楽しい楽曲です。
大人になっても、おとぎの世界は、うふっ♪ いつまでも、心のなかにしまっておきたいものです。

デュトワ モントリオール交響楽団 1983年
Charles Dutoit    Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



録音状態は極めて良い。音で綴られた物語だが、これだけ繊細で緻密に描かれているとは、う〜ん すごいっ。感動して思わず、涙めに・・・。
カップリング:ラヴェル「マ・メール・ロワ」、「亡き王女のパヴァーヌ」、組曲「クープランの墓」、「高雅にして感傷的なワルツ」
デュトワさんのこのCDには、バレエ音楽版としての全曲版として、次のようにインデックスされている。
1 マ・メール・ロア 前奏曲
2 第1場 紡ぎ車の踊りと情景
3 第2場 眠りの森の美女のパヴァーヌ
4 第3場 美女と野獣の対話
5 第4場 一寸法師(おやゆび小僧)
6 第5場 パゴダの女王レドロネット〜妖精の国

録音状態も極めてよく、もちろん色彩感があり、奥行き感があり流麗だ。
木管のフレーズや打楽器の音が、煌びやかでありながらも、抑制が効いててロマンティックで、密やかに響く。
組曲版にはない前奏曲があり、ふわーっとした空気感があって、おとぎの世界にタイムスリップしたかのような感じがする。
古い図書館で、1冊の本を見つけて、そろ〜っとをページを開いたかのような雰囲気がある。

いろんな森の囁きや鳥の鳴き声が聞こえてくる〜 ちょっぴり怪しい森の入り口に到着したかのような感じだ。
その心理描写力ってすごい。ワクワク、ドキドキで、耳を澄ませてみたら〜 
ファゴットの怪しい音色、ホルンの招き入れるかようなフレーズ、フルートの鳥が鳴いて、鉄琴の音や打楽器ので、いっそう怪しげで、風の音まで聞こえてくる。
ちょっぴり躊躇しそうな感じだが、興味しんしん・・・ ワクワク感はおさえきれず、紡ぎ車の回転と共に、少女がスキップしながら歩いているかのように、音が飛んでいく。

眠りの森の美女のパヴァーヌは、 「しれふぁ〜みら しれふぁ〜みら」と、フルートが柔らかく、眠っている王女さまを表しており、「ふぁみっ ふぁみ しぃ〜ど」
で、フルートの鳴き声で、なにやら起こったのか、魔法が解けたのか?
ものすごーく、イマジネーションを湧かすことのできる楽曲で、クラリネットの甘いフレーズは王子さまが登場して、語っているのかな〜と思ったり、コントラファゴットは、ん? 魔女がかけた呪いなのかな?
おおっ 眠りから覚めたっ!(らしい・・・)

美女と野獣も、木管の能力はすごい。美しいシーンが描かれており、フルートの音色といい、さわ〜っとした弦の響きも、チェレスタの神秘的な響きも奥行きが深い。
音も持つ幻想的な雰囲気づくりには、う〜ん、唸りたくなるような美しさ。
ライオンから王子さまに姿が戻るシーンも、ええ〜 こんなシーンが音楽で描けるなんて。ディズニー映画以上に、わくわくしながら聴いてしまった。アニメだと、魔法使いの杖から、☆が飛び出していくようなシーンなのだが、音でね〜
で、するっと聴いていると、いつの間に、一寸法師(おやゆび小僧)に、場面が行ったの?って感じなので、ちょっと、しっかり聞き分けたいですね。

パゴダの女王レドロネットの、賑やかな中国風のフレーズが、楽しいっ。
鳴り物がイッパイで、チャカチャチャカ・・・ 「そぉ〜れぇ〜みぃ〜 そら れぇ〜みぃ〜」
で、妖精の国に至るや、あはっ なんだか、涙目になっちゃうほど感動しちゃいます。

デュトワ盤の演奏も素晴らしいが、ラヴェルの緻密な楽曲構成には、アタマがさがります。
う〜ん、また、これを息をこらしながら、音の物語に没入して、聴いているワタシも・・・ アハハ〜
完全、没入して聴いてしまいました。

ディズニー映画も楽しいかったし、眠りの森の美女は、もちろん、シンデレラや、7人のこびとさんの登場する白雪姫などを思い出しました。また、ネバーエンディング・ストーリーとかジュマンジのような、物語のなかに入り込む映画も、メチャ楽しかったな〜と思います。DVDを借りて、こっそり夜に見ようかな〜
今なら、アナと雪の女王や、アンジェリーナ・ジョリーさんが魔女に扮して有名だった、マレフィセント〜眠れる森の美女〜 が、最近の子供たちの物語となるのでしょうか。いや〜 いずれにしても、子供心はいつまでも持っておきたいですね。

ブーレーズ ベルリン・フィル 1993年
Pierre Boulez    Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は極めて良い。精緻で濃密な演奏で幻想的。
バレエ「マ・メール・ロワ」全曲
カップリング:海原の小舟、道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲、ボレロ
ラヴェル マ・メール・ロワ
1 前奏曲
2 紡ぎ車の踊りと情景
3 眠りの森の美女のパヴァーヌ
4 美女と野獣の対話
5 おやゆび小僧
6 間奏曲
7 パコダの女王レドロネット
8 妖精の園

このブーレーズ盤は、バレエ版「マ・メール・ロワ」の全曲である。ブーレーズと、マ・メール・ロワ(英訳するとマザー・グース)とは、なんとも場違いのような、違和感があったのだが、聴いてみて、ビックリ仰天っ! 
なんて素晴らしいんだ〜 いっきにのめり込んで聴いてしまった。
マザー・グースだからと、子供向けで、メルヘンティックに軽く聴けるだろうと思っていたが、思いの外、味わいの深い楽曲で、幻想世界に誘ってもらえる。

1 前奏曲
大人向きのメルヘンというか童話の世界なのだが、弦の響きが幻想的で、極めて透明性が高い録音なのだが、響きがまろやかである。深みのある渋い音だ。
ファゴットやピッコロなどの木管が、鳥の囁きを演出して、ホルンが森の蠢きを醸し出す。ティンパニーの連打が入ってくると、一気に盛り上がってワクワク感が高まってくる。

2 紡ぎ車の踊りと情景
シンバルの一発で、風が吹いたような感じで一気に別世界へ飛ぶ。チャッ チャチャチャ・・・と、木管が紡車の回転を描き出すのだが、木管が軽やかで、艶やかな弦が上に被さってきても、重くなっていない。
へえ〜 こんなふわ〜とした感覚が、ドイツのオケで出来るんだ。
音色は渋いのだが、なんともいえない、柔らかな響きで・・・ 絶句。

3 眠りの森の美女のパヴァーヌ
「しれふぁ〜みら しれふぁ〜みら」 冒頭、フルートが悲しげに吹かれている。
奥行きのある録音で、なんて言うのだろう。深みがあってハスキーボイスに近い音色のフルートで、耳に心地良い。フレーズが、どことなく和風的に聞こえる。また、亡き王女のパヴァーヌとは、またちょっと違う。
こっちは、魔法によって眠らされた、まどろみの眠り姫だからか荘厳さは少ない。
ゆったり〜静かに 「らしれ〜しら らしれ〜しら」と、音を変えて続くフレーズが優しい。
弦がこしげたような弾き方をしているところがあり、ひゅ〜っと音が降りてくるところなんぞ、背筋が、すーうっと、してしまう。うん〜 これは、どんな場面なのだろう。魔法が解けたのかなあ。
少し明るめのフレーズに変わっていくのだが。
この拍の調子と「らしれ〜らし らしれ〜らし・・・ しーれ しーれ」という音の持つ雰囲気に、なんとも言えない心地よさを感じてしまう。

4 美女と野獣の対話
美女と野獣では、美女がクラリネット。映画のイメージで言うと、ライオン顔だと思うのだが、野獣にさせられた王子役が、バズーン(今トラ)で、それぞれ旋律を受け持っている。
あまりに、映画のイメージが強すぎて・・・。苦笑いしながら聴いていたのだが、やっぱり映画の、視覚によるイメージは強烈に残るらしく、さすがのブーレーズ盤でも、払拭していただけず。(再度聴きたい)

5 おやゆび小僧〜 6 間奏曲
冒頭より、美しい和音が、纏綿と続いていく。木管が主旋律を奏でていくが、弦が追随して、いや〜 言葉にならないぐらい幻想的で、軽やかで、リアル感がなくなってくる。
おやゆび小僧ってタイトルが、う〜ん。なんともいただけない。楽曲にマッチングしていない。
だんだん、地面に足が着かなくなって浮遊してしまいそうだ。どこか浮き世ばなれしてきて、絵画的な雰囲気がたっぷりしている。途中、コーラングレが甘さを加えてくる。う〜ん。こりゃ凄い。
で、余談なのだが・・・ 一寸法師っていう訳を使用している盤もあるのだが。こりゃ、なんだ?

7 パゴダの女王レドロネット
パゴダって、普通、寺院のことだと思うのだが、ここでは、中国製の陶器で作られた人形らしい。
人形の女王さまが、何故かお風呂に入っている時に、お風呂の周りで、楽曲を奏でて、シャンシャンと慰めてくれるらしい。いかにも中国風に賑やかに木琴が奏でられ、銅鑼が遠くにシャーンと鳴って、「それ〜み そられ〜み」と鳴ってくる。ふふっ。可愛いっ。
いや、ホント。ブーレーズが振っている盤とは思えない。天地がひっくり返るほどの衝撃だ。(笑)
 
8 妖精の園
最終楽章、前奏曲のフレーズが戻って、この幻想的な世界を締めくくる。
微妙で繊細な和音が、別世界に飛ばしてくれる。なんともいえない、中音域の、いつもなら目立たない中音域が、なんとも美しい和音を響かせてくれる。いや〜 言葉にならない美しさで。
音が、段々と広がって、アルペジオになって、最後には、ティンパニーが絡んできて、クライマックスになるのだが・・・。
木漏れ日のなかの煌めきがあり、幸せ感が心のなかに満ちてくる。う〜ん。すごっ。

いや〜短い楽曲なのだが、とても満足感が得られる。確かに、幻想的で童話的なテーマが続いているのだが、ブーレーズ盤では、テーマを描写しているだけではないようだ。
時空間を超える幻想的な旋律であること、浮遊感ある独特の和音であること、色彩豊かであること。
まだまだ言葉にならない、いろんな要素があるが・・・ 濃密で、うっとりしながらタイムトリップできる。
ブーレーズ盤は、繊細でありながら、おおらかで、渋めの深みある色遣いで、全体的に重厚で濃密に描いている。う〜ん。見直しちゃった♪
管弦楽曲版        
1962年 クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団  EMI  
1964年 モントゥー ロンドン交響楽団 Dec  
1974年 マルティノン パリ管弦楽団 EMI  
1979年 ジュリーニ シカゴ交響楽団  
1983年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★★
1985年 アバド ロンドン交響楽団  
1989年 ジュリーニ コンセルトヘボウ SC  
1993年 ブーレーズ ベルリン・フィル ★★★★
ピアノ連弾版        
1993年 アルゲリッチ、ネルソン・フレイレ  
所有盤を整理中です。

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