「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

0361

ラヴェル 「亡き王女のためのパヴァーヌ」
Ravel: Pavane pour une infante défunte


クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 1962年
André Cluytens    Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire



録音状態は良い。代表的な名盤なので、時代とともにリマスタリングされている。
まったり、ふくよかで優美。
カップリング:ラヴェル クープランの墓、マ・メール・ロワ、道化師の朝の歌、海原の小舟
昔から続く、名盤とされているものである。
約6分〜7分程度の楽曲だが、いつまでも続いて欲しいと願いたくなるような、大変優美で、少し悲しそうな曲である。
「そ〜〜らふぁみ〜れ〜みふぁ ふぁみみ〜 し〜〜どらそ ふぁ〜そら らしそふぁみ〜」
「ふぁそ そらふぁみふぁ〜 らふぁみふぁ〜 し〜・・・・」
クリュイタンス盤は、昔からの名盤として有名である。聴いてみて、確かにっ。と大いに頷かされる。
ゆったりしており、音の厚みもあり、まろやかに響く。
冒頭のホルンの柔らかい響きは、まるでオブラートに包まれた感じだし、ソフトフォーカス的な感じがする。
マルティノン盤だと、もう少し輪郭が明瞭なのだが、クリュイタンス盤は、ほんわかした雰囲気につつまれて、いつまでも、ふわ〜っとしていたい気持ちにさせられる。
ホルンの旋律に耳がどうしても行ってしまうが、弦が、そっと奥でつま弾いている。
で、ハープの音色も綺麗だ。グリッサンドという、パラパラパラ〜っという音色が奥ゆかしい。
「そ〜ら〜 そらし み〜れ〜 (ふぁどふぁ)そら〜みふぁそ どしそ〜」

オーボエのフレーズが、更に穏やかに、静かにフレーズを出してくるが、そのまま弦に引き継がれていく。
主題が、ホルンから木管に引き継がれるわけだが、クリュイタンス盤では、このあくまでの穏やかで、幅のある響きが流れてくる。
各楽器の音色は、今となっては、ちょっと古めかしいし、巧いかと言われたら。う〜ん。今やどうでしょ。
で、オケは厚みのある音色か。と言われたら、う〜ん。どうでしょ。
これまた、そうでもないような気がする。
各パートの響きも、音色も、響きも、多少細い気がする。 音色に艶がある。とも言い難いし。
でも、これは、やっぱ録音かな〜。現在の録音技術だったら、もっと明瞭になるので、どう変化するかワカラナイ。でもこの楽曲は、雰囲気で聞かされちゃう名盤だと思う。やっぱり。 雰囲気で聴いちゃいますねぇ。
最初に言ったソフトフォーカス的な面は、この楽曲には似合っているのかもしれません。

マルティノン パリ管弦楽団 1974年
Jean Martinon
Orchestre de Paris

録音状態は良い。オケの豊かな色彩は、やっぱ群を抜いている。
ラヴェル:管弦楽作品全集2枚組より
「そ〜らふぁみ れ〜みふぁ ふぁみみ〜 し〜どらそ ふぁ〜そら らしそふぁみ〜」
「ふぁそ そらふぁみふぁ〜 らふぁみふぁ〜」
ほんわかはしているが、ホルンの息は浅めで、テンポは幾分速め。
拍子をとる弦のつま弾く音は、奥に引っ込んでいるし、ハープのグリッサンドの音も、う〜ん。ちょっと聞こえづらい。
冒頭のホルンは、幾分速めに感じだのだけど、ホルンの後半からテンポは緩くなっている。
また、木管のフレーズに変わると、ゆったりめにテンポが変わっている。
で、オーボエやフルートが奏でられると、これが雰囲気が変わり、マルティノン盤は、明晰さがあって、輪郭がわりと綺麗に浮き出てくる感じがする〜という感じになる。

クリュイタンス盤は、ぼんやりしたソフトフォーカス風だったのに比べて、確かに、マルティノン盤は、線が綺麗に出てくるのだが。う〜ん。これは、木管の音色が、印象に強く残るためだと思う。
この木管の音色は、鮮やかだ。

特にオーボエやクラリネットの音が、ちょっと高めに感じる明るい音で〜 コミカルにも聞こえてしまう。
弦部のフレーズもゆったり。まろやかに響く。低弦の響きがも、金管との和音が綺麗に響く。
フルートが登場してくると、「そどれ みそ〜ふぁみ ふぁ〜れみ〜」と、光が射し込むような雰囲気がするし、2番手のフルートとの響きも絡み、クラリネットの音で陰影がついて、多彩な光が、こぼれ落ちる雰囲気がする。弦が、ふわ〜っと、「そしれみ〜 そしれみ〜 みど〜」
う〜ん。やっぱ、この楽曲はフルートやクラリネットなどの木管の多彩な音だなあ。
最後になって、ハープの音色が綺麗に出てくる。おっ やっとご登場だっ。グリッサンドが綺麗に決まっている。幾分、かさっとしている音だが、木管群のご活躍と、ハープの4拍子を刻む響きが、みごとに響いてきて、弦が癒されるように、ふくよかに奏でられ、息を整え、深々〜とユニゾン状態となって、まったり〜 終わる。
長い余韻も、聞き逃せない。

小澤征爾 ボストン交響楽団 1974年
Seiji Ozawa   Boston Symphony Orchestra




録音状態は、まずまず。安定した腰の低い、幅のある、ふくよかなパヴァーヌではあるが、耽美型の演奏を聴いてしまうと〜 どうでしょ。
カップリング:ラヴェル 「ボレロ」「道化師の朝の歌」「ラ・ヴァルス」 「スペイン狂詩曲」
冒頭のホルンが、ちょっと音が割れているような、すきま風が入っているような音色で吹かれている。
一瞬裏返りそうな、怖いところがあるのだが、続く木管は、綺麗に入ってくる。
テンポは、ゆったりめ。
でも、4/4という定型形なのだが、なーんかテンポが微妙に揺れている。
う〜ん。弦の響きは、深みがあり、マルティノンやクリュイタンス盤のように、明るいわけじゃーないけれど、テンポの微妙な揺れで、粋って言う演出をしている感じがする。
特に、「そしれ らしどれ〜 そしどれ〜 みどぉ〜 そしそ らしどみ〜」
3音をゆったり、あとは圧縮していたりして、蛇腹のようにリズムを動かしているようだ。
それに、ハープのグリッサンドも、速めに、ぱららら〜っ。

ここで吹かれているフルートは、ちょっとふくよかで厚みがある。でも、適度な重みなのだ。
角が硬くないし、音に丸みがある。それに、音の適度な重みが・・・。
う〜ん 適度な重みって、曖昧な言葉すぎるのだが、でも、この楽曲、とーっても不思議な浮遊感があるのは、何故なんだろうなあ。って思うのだ。そう感じさせるのって、やっぱフルートの音色だと思う。
水平レベルでいうと、目線より高いのか低いのか。
で、そのレベルは上下に動いているのか。

う〜ん。ここのフルートは、ちょっと低め。でも、ほとんど上下左右には動かない。
でも、幅は厚め。弦の響きも・・・。腰の高さぐらいで安定した高さを保っている。
で、この響きは、ラテン系とは言わないが、層が厚く、放射冷却の時の靄のように、ふわ〜っとしていながらも、形があるようで無いようで、つかみどころがないくせいに、あまり動かない。
冒頭のホルンは、イマイチだが、弦や木管は、多少重いものの安定してて、ふくよかだと思う。


デュトワ モントリオール交響楽団 1983年
Charles Dutoit     Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

昇天しちゃいました


録音状態は良い。まろやかで、暖かい音色として溶解しており、耽溺した雰囲気で演奏される。カップリング:ラヴェル「マ・メール・ロワ」、「亡き王女のパヴァーヌ」、組曲「クープランの墓」、「高雅にして感傷的なワルツ」
「そ〜らふぁみ れ〜みふぁ ふぁみみ〜 し〜どらそ ふぁ〜そら らしそふぁみ〜」
「ふぁそ そらふぁみふぁ〜 らふぁみふぁ〜」
テンポは 遅め。ホルンの音色が少し渋くて、奥にひっこんだ感じだし、巧いかと言われたら、う〜ん。巧いわけじゃなさそう。小さく吹かれているので、濁った音色って感じがするのだ。
録音状態によるのかもしれないが、総体的に、どこか、ぼんやりしている。
このぼんやり感に、やられてしまう感じがする。

マルティノン盤のような明晰さが感じられないし、各楽器の音は、あまり綺麗に届いてこない。
しかし、全体的に靄がかかっているというか、オブラートがかぶさっているというか、乳白色的な色で間接照明的に、対象が浮かび上がっていて、その雰囲気にやられる。
なんだか、テンポも遅めで、ぼや〜っとしているのを後押ししている感じがする。これが、良いのかも。
ハープの音色も、ぼんやり。オーボエの音色やフルートの音色ぐらいが、はっきり聞き取れるぐらいで、弦も、弱々しく、でれ〜っとしており、うすぼんやり、耽溺型である。

って言っても、緊張感が皆無というわけでもなく、深く、息の長いフレーズを描いてくる。
輪郭が浮かび上がるわけでも、音色がカラフルでもなく、フレーズに張りがあるわけでもなく。
中庸的に、とろり〜としたところが、う〜ん。まあ。良いのだろうなあ。
この楽曲だと、眠りモードに入りやすい。

マルティノン盤が、各楽器の音色が、はっきりしており、輪郭が綺麗に描かれている。ただ、ちょっぴり線が強めと感じるかもしれない。マルティノン盤が素材を生かした料理だとしたら、そうねえ。デュトワ盤は、煮込み料理かなあ。
デュトワ盤は、全てが溶解してて、ぼわ〜とした雰囲気で描かれている。響きも暖かく、透き通った響きとは違って、濁りがあり、とろとろのシチューのようだ。これは、全く違うアプローチだと思う。
う〜ん。同じ曲で、こうも違うかねえ。
ワタシ的には、このデュトワ盤の各楽器の音が、固有の響きとして形がなくなるほど溶解させられちゃって、特に旋律を盛り上げるわけでもなく、ぼーっと、うすぼんやり〜した雰囲気に仕上げてくるところに、う〜ん、すげっと、唸ってしまった。

この溶解テクニックは、すごい。あらゆる金属(もちろん各楽器の音の例えだが)を溶かしちゃうみたいだ。
雰囲気のみを楽しむ。雰囲気に浸るという時には、デュトワ盤は良いのだろうと思う。
で、テンポは幾分遅めと思ったのだが、クレジットを見ると6分35秒だ。
速めと感じたマルティノン盤が、6分32秒。
あれっ。これだけの差異だったのか。ワタシの耳ってダメだねえ、あちゃちゃ。

ジュリーニ コンセルトヘボウ 1994年
Carlo Maria Giulini    Amsterdam Concertgebouw Orchestr

昇天しちゃいました


録音状態は良い。息のながい、緩やかで、とろみ感のある代表的な耽美的な演奏だ。この演奏だと、もはや別世界へ逝っちゃう。
カップリング:
1〜3 ドビュッシー 交響詩「海」
4 ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲
5 ラヴェル 亡き王女のパヴァーヌ
6〜10 ラヴェル 組曲 マ・メール・ロワ(1989年録音)
1〜5までは、ライブ盤

晩年のジュリーニさんの演奏で、とっても遅い。遅いが、大変美しいフレージングで、息の長い美しい演奏である。
演奏時間は、7分50秒というクレジットとなっている。(マルティノン盤は6分32秒)

とにかく、冒頭からのホルンが、柔らかくて、くすんだ和音を醸しだしている。
「そぉ〜〜らふぁみ れぇ〜みふぁふぁみみ しぃ〜〜どらそ ふぁ〜そららしそふぁ みぃ〜ふぁそ そふぁみふぁ〜」
息継ぎ場所がわからないほど、長くて、緩やかに続く、穏やかなフレージングだ。

特に、どこかで膨らませているというような、音の膨らみ感、フレージングではないと思うのだが、一定に保たれた音の持続音っていうのか、ほぉ〜〜っという膨らみが、とにかく持続する。
弦の響きは、奥まっており、リズムを形成しているわけでなく、ポンっという弾んだ感覚が埋もれている。
えー 弦の響きが聞こえないなあ〜って、きっと、他盤だと文句言っちゃうところなのだが、なぜか、このとろみ感覚に、やられてしまう。

中間以降、フルートが入ってくる場面からは、いっそうテンポが落ちて、ぐぐーっと、まろやかさを蓄えている。このフルートは、すっきり系で、いたずらに音を膨らませず、結構、淡々とした感じで吹かれる。
木管群が、明晰な線を描き出すので、総体的に、べたっとした演奏に陥っていないのだと思う。
ホント、木管は、綺麗に浮かび上がってきており、ノビのある、語尾までの膨らみ感がたまりません。
あとは、 寄り添ってくるハープのグリッサンドが目立つぐらいで、低弦の響きも奥まってしまって、弦は、どこへ行ってしまったのでしょう〜というほど、聞こえてこない。
推進力もない完全な耽溺型だ。だけど、ついつい、引き込まれてしまう語り口だ。

ジュリーニさんの最晩年の演奏は、超遅いというイメージがこびりついているが、「亡き王女のパヴァーヌ」を聴くと〜 これは、はまってしまう。別格扱いって感じになるだろうか。演奏ともかく、 思わず目頭が、じわーっと熱くなってきてしまって。
うるうる〜っ。 あーっ これ自分のお葬式にかけて〜っという方おられても、ハイ、不思議ではございません。(笑)
つづけて流れてくる「マ・メール・ロワ」も絶品です。陶酔しきってくださいませ。

バレンボイム シカゴ交響楽団 1995年
Daniel Barenboim    Chicago Symphony Orchestra

いたってフツウ

録音状態はくぐもっている。なんだか規則正しい演奏で、楽しくない。
カップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲、ラヴェル「スペイン狂詩曲」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」 現在、ラヴェルの管弦楽曲集と幻想とのカップリングで2枚組で販売されている。← CDジャケットは、Teldec原盤によるThe CD Clubから発売されていたもの。
「そぉ〜〜らふぁみ れぇ〜みふぁふぁみみ しぃ〜〜どらそ ふぁ〜そららしそふぁ みぃ〜ふぁそ そふぁみふぁ〜」
のバックでは、弦のピッチが入っているのだが、それがメトロノームのように感じられる。
また、そのメトロノームが、前の方につんのめる感じで始まっており、へ? これライブ盤なの? 
ホルンの響きは、なんとも平板で〜 膨らまない。
そのまま吹かれた形で、CDに収められ、スピーカーからワタシの耳に届く感じがする。なにこれ? あまりにもストレートすぎませんか? 
総体的に、抑揚が少ないというか、色気がないというか、旋律の美しさが感じられず、淡々と演奏が進んで行く。
また、何の楽器が今鳴っているのか、その違いがわからないような同質感に包まれる。
特に、木管が・・・ 木管の楽器の違いが、あまり感じられない。同じような音質の塊のようで、違いが感じられないのだ。
音質の違いを楽しむ、違うからこそ、楽しさも感じられるんだが〜 なんか不思議。
フレーズの終わり方が、間合いが、特に、木管楽器が、ワタシ的には超イマイチに聞こえるのだが、なぜなのだろう?

平ぺったい音で終始しているし、音が立っていかない。立ち上るような、その雰囲気が感じられないのだ。
フルートのノビもイマイチだし、「そしみふぁ〜 そしみふぁ〜っ」と、旋律を押し出すような流れがないし、音が波打たない。
ハープの音色も綺麗な楽曲だし、グリッサンドという、パラパラパラ〜っという音色が奥ゆかしく響く筈なのだが、アハハ〜
後ろに、ボンボンっという低弦の響きがあるのだが、ぼわぼわしてて、底の抜けそうな床みたいである。
これは、Teldecの録音が悪いのか、ホールが悪いのだろうか、廉価版だから だろうか?
音の分離もよろしくなく、空気感、ホールトーンも少なく、ちょっと悲しかった。

1962年 クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 EMI ★★★
1974年 マルティノン パリ管弦楽団 EMI ★★★★
1975年 小澤征爾 ボストン交響楽団 ★★★
1983年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★
1985年 アバド ロンドン交響楽団  
1985年 カラヤン ベルリン・フィル
1989年 ジュリーニ コンセルトヘボウ SC ★★★★★
1995年 バレンボイム シカゴ交響楽団 Teldec ★★
所有盤を整理中です。

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