「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラヴェル 組曲「クープランの墓」 管弦楽版ほか
Ravel: Le Tombeau de Couperin


クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 1962年
André Cluytens    Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire

 


色彩豊かで、自由に、大きく響く。太い流れのなかで、ソロ楽器の彩りが調和されてて、懐の大きいおおらかな演奏である。
カップリング:ラヴェル 組曲「クープランの墓」「古風なメヌエット」「道化師の朝の歌」「亡き王女のパヴァーヌ」
1 プレリュード(前奏曲)
オーボエとクラリネットが大活躍する楽曲で、「しらふぁれど しらふぁれど し〜し〜 しらふぁれど しらふぁれど し〜し〜 れどれ しどれ みれみ・・・」
クラリネットの重みのある明るい音色がアクセントになって、揺りかごに入って揺られている気分になる。
テンポは、メチャ速め。 こんな速く吹けるのかと思うほど、パララ パララ ぱ〜ぱ〜 と、畳みかけるように、立て続けに、オーボエが吹かれて進む。 弦のフレーズも、とても速いっ。

低い音で奏でられる、パララ〜という重みが、かなりインパクトあり波を描き出す。
この音自体の重さ、まろやかさ、ふくよかな響き、う〜ん。これは唸ってしまう。音自体の輪郭は少し甘いし、まるでソフトフォーカスの写真を見ている感じがするのだが、でも、曖昧な音色じゃーない。
特に、低い響きが、ふわ〜っと包み込む大きさがあるし、でも、木管の音色にツヤがあるし、ハープの響きも大きく入ってきて、音の波に大きく包まれる。
テンポは速いが、すーっとクールに演奏されることもなく、全体的に暖かく、熱い息吹さえ感じる。
個々の楽器の音色が、やっぱり鮮やかなこと、キチキチに締め上げたアンサンブルではないけど、おおらかさがあって、人肌以上の暖かみがあって、音の響きにくるまれる快感がある。
フレーズに膨らみがあるだけど、しかし、曖昧にならず、膨張もせずに流れていく。う〜ん。すげっ。なんでしょ、この雰囲気のありようは・・・・。残響が少し多めなのが、幻想的に感じるのだろうか。

2 フォルラーヌ
「らっ どど〜み どみっ〜どっ れっ らっらっ そっそっ ふぁっふぁ みっみっ ふぁ〜」  
底辺に流れるファゴットの響きが、まーったく合わない和音フレーズを吹いてて、へえ〜っと感じるんだけど、摩訶不思議な音色に溶け合うんですねえ。「タン タララ ラッタタ タ〜」
音符の跳ね具合が、また面白くって〜 「らしら ふぁっれれ ふぁ〜」
跳ねている楽器と、底辺で流れる楽器が、面白く絡み合ってて、全体的には跳ねているんだけど、やっぱ裏側では、しっかり地盤が出来てて〜 単にフワフワしているだけじゃーないみたいな、その妙なバランス感覚が、また不可思議さを生んでいる。
不協和音でありながら、また、フレーズの流れ、その両面を、しっかり聴かせてながら、違和感を感じさせることなく、ハーモニーとして成り立たせる手腕って、う〜ん。すげっ。
音の響きも計算されているんだと思うんだけど、その計算って、どーなってるんだろう。
音の溶け合うさま、いや溶け合わないさまが、面白い。
フォルラーヌとは北イタリアの6/8拍子の舞曲だそうだが、ブンブン舞曲にならず、陽気な顔を持ちながらも、背後には影がぴったり寄り添っているようで、そのくせ、浮かび上がってくるフレーズがある。
ふふ これがラヴェルの輝きの要素なんだろうなあ。煌めきは、絵画と同じで、背景が暗めだと余計輝いてみえるようだ。

3 メヌエット
「みふぁみ〜れみみ〜 ら〜しど し〜らふぁ そ〜ららぁ」
明るくて平和的、牧歌的な印象のフレーズで、ハイ、メヌエットです。
これもオーボエが大活躍してて、フルート、ハープの音が響くのだが、ここのオーボエの音色って、細めの平べったい音じゃーなくって、かなり豊かで太めな声を持っている。
クラリネット的な雰囲気を持ってて、開放的で色彩的に立体的に広がっていく。
オーボエばかりでなく、木管全てが、ふくよかな響きで、明るく、太めに広がりって余韻を漂わしていく。
バロックの要素の強い曲なのだが、平板にならず、大広間のなかで、ふわーーーっと広がっていくよう。
音型は、バロック的なのだが、音の響きは浪漫派っぽいと言えば良いだろうか。矛盾しているようだが、 演奏がまろやかな膨らみを持っており、ふぁ〜っとした吹き方で、底から湧きあがる息吹が感じられる。
音の出し方が、う〜ん。違う。初めと中間終わりで、音の量の調節がなされているのかな。う〜ん。耳元に息を吹き込まれているみたいで。あ〜 カイカンっ。

4 リゴドン
最後を飾る華やかな曲で、全合奏で、「みっそ みっれっど」
かなり派手な金管で、よ〜く鳴っている。派手っ。
今まで穏やかな曲だったので、目立つっ。その破裂音が刺激的になってて、むしろ、面白いと感じちゃう。それに弦が、ようやく活気づいてて、ピチカートがよく響く。
でも、ソフトな音が入ってて、ホルン、弦の響き、破裂音のトランペット・・・ う〜ん。
シャキシャキしている音の響きと、まろやかなブレンドされた響き、これが、また、ミキシングされてて〜
摩訶不思議な雰囲気が出ている。
あー この両方を兼ね備えた音の調合は、う〜ん、難しいのに、それをこともなげにやっているような気がして、怖いっ。すごいやん。
で、中間部のクラリネットが舞曲風フレーズを吹いててオチャメ。
「れ〜み ふぁみどしふぁ〜 そ〜れみれ〜」「み〜そっ〜 みれっどっ」
古典的な様式美を持った楽曲だが、端正に演奏せず、かなり官能的で、色っぽい。
で、元気でオチャメなフレーズもあって、この4つの短い楽曲なのだが、その個性が豊かに表現されている。

幻想的、夢幻的という言葉がふさわしく、ふわ〜としたフレーズの膨らみを持って演奏されているようだし、かなりロマンティックで〜 下手に言っちゃうと通俗的なのだが、楽曲の持つ古典的様式美に支えられて、それは破綻していないみたい。
結構、自由に演奏してて、色づけ自由って感じ。絵の具をパレットに出して、あまり混ぜ合わせないで、そのまま使いながらも、調和が取れている。
う〜ん。これって難しいように思うんだけど、クッキリした輪郭からは、はみ出さずに描かれているので、遠目でみたら調和が取れているのかなあ。
木管の音量も大きめだし、個々にカラフルな木管だし、最後のリゴドンは、金管が派手。
でも、それがメインディッシュになっている。周りの弦が、ソフトケートされているので、それがオブラートになって響いてくるみたいだ。特に、ハープがよく聞こえてくるのが嬉しいかも。

マルティノンさんの盤とはちがって、音が太めに、ふくよかに響くし、柔らかな流れがあって、輪郭が明瞭すぎない。そこが、幻想的とか夢想的という言葉に繋がるんだと思う。
太めの輪郭線が、ぐい〜っと描かれながらも、その線はおぼろげで、色は原色に近い豊さがあって、そう、あえて言うなら、ゴーギャンの絵みたいな描き方なんだけど、そのくせ、おおらかで、おぼろげなんだよなあ。
なーんか難しい。両極端なんだけど、ちゃんと調和が取れてて。う〜ん。摩訶不思議。
スマートで、ちょっぴりクールな演奏の昨今の演奏とは、まーったく違うって感じなのだけど、さすがに、今まで残っている盤だけあって〜 絶品ですねえ。また、繰り返して聴きたい一枚ですね。

チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団 1978年
Sergiu Celibidach    Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
(Stuttgart Radio Symphony Orchestra)

録音状態は良い。さすがに透明度の高い演奏だ。でも、テンポが揺れず、かえって変な感じがする。
「フランス管弦楽作品集 チェリビダッケ ドビュッシー・ラヴェル」4枚組BOXより
カップリング:
ドビュッシー 夜想曲 、海、管弦楽のための映像〜イベリア〜、ラヴェル 道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲
ダフニスとクロエ第2組曲、ラ・ヴァルス、海のリハーサル


1 プレリュード(前奏曲)
オーボエとフルートの「ぱららぁ〜ぱららぁ〜 ら〜ら〜」
爽やかな風が吹いてくるような雰囲気があり、そこに透明度の高い弦の音。
テンポは普通。いつもの遅いテンポではないので、意外に感じるほどだが、いたって普通だ。
音が曖昧に聞こえるほど、いつもより速いぐらい。パララ パララ ぱ〜ぱ〜
「そふぁそ〜そしみ そふぁそ〜そ  どしど〜れふぁし〜 どしど〜れ〜」
「そふぁそ そふぁそ そふぁそ そしそ〜」
へえ。とっても快速じゃん。
オーボエが、もう少し巧いと良いんだけど、どっか危ない感じがしちゃう。
弾けるような感じで、パララ パララ パララ〜っと続いていく。このリズム感は、3段飛びみたいに、はずんでいて、いつもより、ずーっと柔らかい感じがする。
金管が合わさってくると、余計にソフトな感じになるので不思議。金管が、外向きに開放的で、はじけるような、割れ音が出そうな演奏をする盤があるが、それとは違う。かなりニュアンスがソフトで、縦糸ガッシリと組み合わされた感じがしない。

2 フォルラーヌ
ちょっとテンポは遅め。ちょっぴり遅いんだが、不可思議なフレーズが、レガート的に繋がっていく。
た〜タラ タッタタ。フルートの響きにも、ノビがあって「たぁ〜 たら らたった」と、他の盤よりノビている感じがする。ちょっと意外な印象を受ける。
木管の各楽器が、大事にされてて〜 わくわく。楽しげな雰囲気はしないけれど、丁寧な舞曲だ。
ここは、もう少し、ハジケテ欲しい気がする。 でも硬いわけじゃなくって、「たぁ〜ら らたった」と、山なりの曲線を、大きくフレーズとして描いている。柔らかく、こうなると舞曲とは感じないんだけどなあ。と思いつつも、可愛くはじける、旋律、リズム処理が面白く聴ける。もっと少し、ラテン的でも良いのだが、あまり開放感はない。

3 メヌエット
「みふぁみ れ〜みみ ら〜しど〜 し〜らふぁそ ら〜しれ〜どし ふぁ〜みふぁど しどら そ〜」
ここは、普通のテンポだ。あまり明るくならず、陰影を含んでいる。
オーボエのフレーズなのだが、開放的な音色にはしておらず渋い。
もっと、色彩的に彩度の高い盤が多いのに。何故か渋い。
コーラングレまで、ちょっと渋いので〜 はあ。何故なんだろう。ドイツ臭い音と言って良いのだろうか。
「ど〜しら〜そ ど〜みしどら・・・」 くらっ。渋すぎじゃーないだろうか。
テンポが普通なのだが歌わないんだよなあ。フルートの高い音色は、まずまずなのに、弦が、旋律を膨らませてくれず、憂いが帯びている。悲しいっ。クラシカルな旋律なのだが、古色蒼然としているというか、骨董品を見ているような気分に。最後、ハープが出てきてくれたので、ちょっと、ほっとする。 鳥さんの鳴き声は良い。ここは効いていた。

4 リゴドン
はあ。なんか、華やかな楽曲の筈なのに、み〜そっ みれっどっ。
ハジケテ欲しいのに、湿気が含んでて重い。テンポは、普通に速めなのだ。それなのに、どうも重い。
木管、パラパラパラ進んではいるが、
中間部分のオーボエかな。まったり吹かれているのだが、低弦の響きが少なく、ソロで大活躍。
あまり官能的でもないし。う〜ん。雰囲気が私的にはモノ足らない。
硬いっすねえ。元気がないというか活気が無いというか、ちょっと世俗的でも良いんだけど・・・。
几帳面というか、やっぱ硬い。みっそ〜 みれどっ。 この最後の3音が、尻すぼみ的になっているのが悲しい。
メリハリがあって、開放的なら嬉しいが・・・。やっぱ〜DNAが違うのかなあ。
総体的に、リズムのノリって言うのが、どうも違うみたいだし、やっぱ、ラヴェルには、色彩的で、開放的な響きが欲しいって思うんだよなあ。柔らかいタッチで演奏されている曲もあるし、レガート的に繋がっていく雰囲気もするし、可愛いと感じるフレーズも印象に残るんだけど。なーんか違うんだよなあ。
確かに、チェリさまの、いつもの演奏とは違っているので、すごく面白いし、びっくりさせられちゃう。
可愛い、なーんて感じた演奏は、他にないんじゃ〜なかろうか。(笑)

ショルティ シカゴ交響楽団 1976年
Georg Solti    Chicago Symphony Orchestra

まっ こんなモン


録音状態は良い。ちょっぴり、スピードが速く健康的だ。倦怠感を含んだアンニュイな雰囲気が欲しいところだが、西海岸の明るい日射しを浴びて海水浴をしているかのような雰囲気がする。
カップリング:ムソルグスキー「展覧会の絵」、ラヴェル「クープランの墓」
1 プレリュード(前奏曲)
「しらふぁれど しらふぁれど し〜し〜 しらふぁれど しらふぁれど し〜し〜」
オーボエとクラリネットで始まるフレーズだが、オーボエの速いパッセージが、粘り気が少なめ。
なんとも速くて、100メートル競走のように、あっという間に、さーっと走って行ってしまう。
弦が入ってくると、ふくよかな響きとして感じられるが、クラリネットの音色も明るく、音響の良さに救われているかのようだ。
アバド盤でも感じたのだが、音の強弱で、うねっている感じがする。

2 フォルラーヌ
なだらかなレガートが感じられず、アクセントが、3拍子のアタマだけについている風と言えば、わかりやすいだろうか。
確か6/8拍子だったと思うが、少し動きが硬いかもしれない。「ぁ〜ら らった」と、このアクセントだけで、雰囲気を出そうとしているかのようで、あまりにも単細胞的で、明確で健康的だが、う〜ん、独特の倦怠感はない。
雰囲気という点では、どうだろ。アンニュイって言葉は、ちょっと縁遠い。

3 メヌエット
「みふぁみ〜れみみ ら〜しど し〜らふぁ そ〜らら」
オーボエが大活躍してて、フルート、ハープの音が入ってくるが、主人公はオーボエである。
スッキリとした音質で、輪郭を鮮やかに描いてみせる。ふわっとした、ぼんやりした空気感ではなく、どことなく涼しげ。
秋の夜長という、鈴虫が鳴いているかのような、ちょっぴり、ひんたりとした空気感のなかで、すーっと通っていく感じだ。
で、弦が入ってくると、暖かい空気に入れ替わる。
和風テイストの和音と、コーラングレの音が、膨らみ、萎み、また膨らんでいく。この楽曲は、かなりイメージが膨らみ、良い楽曲だなあ〜っと感じさせる情緒がある。

4 リゴドン
快速の可愛いリゴドンだが、速くって、あーっ待ってっ。という感じで、スイスイと推進してしまう。
あまりの速さに、余韻が感じられないほど。情緒が浸りきらないうちに、次々と音が押しかけてくる。
あーっ 待ってぇ。寄せてくる波に、いい気分で流れていきたいのに、速すぎて、清流の渦に巻き込まれてしまうかのようだ。色彩が明るすぎて。ちょっぴり、雰囲気が違う気がする。

あらっ もったいないわ。幻想的に浸るまもなく、 中間は、ちょっぴり夜の気配で感じられるのだが、それも、あっさり。
あらまっ 濃密に囁いてくれる筈ではなかったの? えっ もう終わり? あら残念・・・。
色彩的にもう少し中間色があっても良いのではないかと思うのだが、ショルティ盤で聴いていると、西海岸で日光浴をしながら海岸で寝そべっているような、そんな健康的な雰囲気がする。

デュトワ モントリオール交響楽団 1983年
Charles Dutoit   Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

   

録音状態は良い。もう〜 これは楽しいっ。ちょっぴり元気で明るすぎるかもしれないが、すごくチャーミングでフレーズの膨らませも大きく、ダイナミックで痛快。
この曲、こんなに楽しかった?っと驚いてしまうほど、オシャレで、おちゃめな演奏である。
カップリング:ラヴェル「マ・メール・ロワ」、「亡き王女のパヴァーヌ」、組曲「クープランの墓」、「高雅にして感傷的なワルツ」

1 プレリュード(前奏曲)
デュトワ盤も、アバド盤と同様に、超快速で演奏される。
オーボエが、「ぱららぁ〜ぱららぁ〜 し〜し〜」「そらど パララ〜 そらど パララ〜 ぱ〜ぱ〜」
はあ。速いっ、すげ〜速い。
「ふぁ〜そしみ ふぁ〜そ〜 し〜れふぁそ ど〜れ〜 そ〜そ〜そ〜 そしそぉ〜」
まあ、オーボエの速いこと。よくこのスピードで吹けるなあと、これには驚かされる。
で、抑揚も音量も大きく膨らんで、「ど〜れふぁそ ど〜れ そ〜そ〜そ〜 そしそぉ〜」
このフレーズが終わると、パラララ〜 っと終息する。
で、とってもテンポが良いことと、この膨らみの大きさで、すごく快感で〜
痛快極まりないっと言えるぐらい、素敵だっ。 
それに、このオケの金管や弦が、メチャ色彩的で、綺麗で、鮮やかなのだ。とっても凄い。
こりゃ、フランス的って言われる筈だと思う。ホント。
で、アバド盤も快速だったのだが、オケの音色が、ちょっぴり違うことと、フレーズ自体に膨らみは、さほどなかったのだ。デュトワ盤は、その点、ダイナミックだし、オーバーだな。と思うほど、演出的だし、粋に演奏してくれる。こりゃ〜 やられちゃった。

2 フォルラーヌ
不協和音的に吹かれている低い木管の音が、アクセントになっていることと、切れの良いリズムがある。
「タッタラ タ〜っラ タッタ タ〜っラ〜」と、結構アクセントが強め。
でも、これがリズムを良くしているし、弦の切れも良いし、これも楽しげで、ヌケの良い明るい音質で奏でられている。
ちょっと倦怠感があっても良いのだが、 「ふぁっ どっどみ〜 どみっど それっ らふぁふぁ〜」
タン タラン タン タラン タン タラン。と続いていく。これが、巻き舌風なのだ。
すごい。このリズム感に、乗せられちゃう。

それでいて、キチンと不協和音が入ってて、明るい音と暗めの不協和音の音が、違和感なく聞けちゃうところが凄い。明るく開放的で、リズミカルで〜 オチャメだ。 いろんな木管の音が、混濁せずに存在しているし、バラバラにならず、全体での音のトーンが整えられているように思う。
絵画的には、点描的にも思えるんだけど、いやいや〜 違うんだよね。
モネの晩年の絵のように、線だけが描かれていて、近づいて見ると、何が描かれているのか、輪郭がハッキリせず、抽象画っぽく見えるんだけど、遠くからみたら、ちゃんと形になって具象化されているような。
なんか、驚いちゃう。
楽器の音が、それぞれ、自己主張しているし、これだけ鮮やかに、楽器によって音が違うってことが、改めて、よーく解るっていうか。特に、木管が・・・。
フルートも、ノビのあるフレーズで、語尾で頑張っているし、木管の群生地のようで〜 醍醐味です。
あまり、近視眼的にならないで、聴く方が良いのかなあ。

3 メヌエット
「みふぁみ〜れみみ ら〜しど し〜らふぁ そ〜らら」
ハイ、これも木管たちが頑張ってます。オーボエのスマートな音が素敵だ。
シャイなくせに、しっかり歌うオーボエ、もちろんフルートも。綺麗なフレーズが描かれてて、巧いですね。 それに、リズミカルで明るい。
「ど〜し ら〜そ ど〜み しどみ し〜ど し〜 ら そられみ〜」 陰影のつけかたも巧いし、なにせ歌心があり、聴き手を、くすぐってくるような、誘うような気持ちにさせてくれる。
ハープや弦が、鐘のように、風のように、蠢いて、膨らんで〜 コーラングレの音色が、からみつく。
これは、すごいっ。色彩感と音の鮮やかさに、やられちゃう。 

4 リゴドン
最後を飾る華やかな曲で、全合奏で、「みっそ〜 みっれっど」と、カラフルな音が、前面に出ている。
いや〜 この金管の華やかで、明るくて、巧くて、透明度の高い余韻が特徴だ。
巧いよなあ。この速さで、よく音を外さずに吹けるなあ。 特に、破裂音が、嫌にならない程度に、短くサッパリしており、リズミカルで、音が綺麗に切れている。 音は、さっぱり系だし、速く、巻き舌風でコミカルだ。 オチャメなんですよねえ。
体が自然と動きたくなるような、華やかな舞曲だし、中間部は静かに沈むのだけど、クラリネットとかの光と影の影部分を描く。で、突然に、「みっそ〜 みっれっど」 と、金管が驚かしてくるし、やっぱり凄く巧いし面白い楽曲だなあ。と、感じさせてくれる一枚である。

仕掛けが、イッパイつまった楽曲だと改めて感じさせられる演奏で、ホント、総体的には、録音状態が良いことと、リズム感が、なんとも言えない粋な感じを受けるし、オシャレなんだよね。
ホント、洒落てるって感じるのだ。
なんか短い楽曲なのに、1つ1つ楽しめちゃう。
音楽で、快感〜っ オシャレ〜っと、感じることは少ないんだけど、これは、文句なくオシャレです。
ワクワク、楽しい雰囲気がいっぱい詰まってて、面白い楽曲なんだな〜っと、遊び心が、くすぐられちゃう演奏だし、器の大きさや明朗さ、楽しさ、魅力的で、つきあってて、ホント楽しい。

  アバド ロンドン交響楽団 1987年
Claudio Abbado    London Symphony Orchestra

録音状態は良い。丁寧だし色彩的にも豊かなんだけど〜
カップリング:
1〜3 ラヴェル ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
4 ラヴェル 左手のための協奏曲(ピアノ:ベロフ 1987年)
5 ラヴェル バレエ音楽「ジャンヌの扇〜ファンファーレ〜」
6 ラヴェル 古風なメヌエット
7〜10 ラヴェル クープランの墓(管弦楽版)
クープランの墓は、元々ピアノ曲だが、ラヴェル自身に管弦楽曲に編曲されている。
ピアノ版(全6曲)  プレリュード(前奏曲)、フーガ、フォルラーヌ、リゴドン、メヌエット、トッカータ
管弦楽版(全4曲) プレリュード(前奏曲)、フォルラーヌ、メヌエット、リゴドン
本来6曲だったのが4曲になって、順番も異なっている。

1 プレリュード(前奏曲)
オーボエが大活躍する楽曲で、「ぱららぁ〜ぱららぁ〜 し〜し〜」「タララ ラ〜 タララ タララ〜 ラ〜ラぁ〜」 
オーボエに、弦が少し絡んで、フルートやチェロ、それにハープの音が聞こえる。
アバドの演奏は速い。すいすい〜と風のごとく急ぎ足で駆け抜けていく。 アンサンブルは巧いし、柔らかいし色彩的でもあり、へぇ〜と思うほど速くって、なんか、モッタイナイ感じがする。
特に、オーボエやフルートが、物悲しく泣いているような陰影がなく、抒情的というより、風そのものになりきっているようで。木管群の間にも、風がそよいでいるような感じがする。
ちょっとメロウな音で、音色自体は明るめだ。オケ全体が波打っているところまでは行かないけど、なかなか、へえ〜と思うほど軽さもある。音の強弱で、波を作り出しているようだ。
フレーズが、たたみかねるように繰り出してくるが、旋律には、膨らみは少なめである。
木管群の間を飛び交っていることで、アンサンブルが難しそう。旋律に、あまり抑揚がついておらず、音のあがりくだりだけで、平板的にも感じる。

2 フォルラーヌ
不可思議なフレーズで、フォルラーヌとは北イタリアの6/8拍子の舞曲だそうで、和風的ティストも感じる和音が続く。
不協和音なのだけど、とことなく懐かしい気分になる楽曲だ。
「ふぁっ どっどみ〜 どみっど それっ らふぁふぁ〜」「どっどみ〜?」 「そしれ ふぁっそみ〜」
オーボエとフルートが主体となって、弦がお供え物である。「タッタラ タ〜ラ タッタ タッタラ〜」
弦が風なんだよねえ。ハープの音があまり聞こえないのだが、「みっれみ しっれみ〜」
クラリネットとコーラングレが入ってきて、木管群の音色が楽しい。 冒頭の変な和音が、気になるのだが〜 どんな風景がイメージできるだろう。陽気になりきれず、クラリネットの音色が、影を落としてくる。

3 メヌエット
「みふぁみ〜れみみ ら〜しど し〜らふぁ そ〜らら」
明るくて平和的、牧歌的な印象のフレーズで、ハイ、メヌエットです。これもオーボエが大活躍してて、フルート、ハープの音が響く。
弦って、サポート役で、「みれみ〜 しれみ〜 らしど〜」
金管は前面に出てこない。クラリネット、コーラングレが彩りを添えている。途中、だれないようにテンポアップし、弦が強く弾きだしてくるし、まったりと膨らむ。単調な音の流れだが、フルートの音色も輝いているし、古典調の風合いも出てきている気がする。最後、鳥が鳴いて〜 音が、ふわっと空中で消えるようだ。う〜ん。巧い。

4 リゴドン
最後を飾る華やかな曲で、全合奏で、「みっそ みっれっど」
弦が、ようやく活気づいてて、おおっ〜 頑張っている。
ホルン、トランペットの金管もようやく登場してきてくる。木管は、フルートが前面に出てくる。
中間部分は、なにやら〜 夜の気配で低弦がボンボンと響くなか、怪しげな官能的な響きがしている。南フランスの2/4拍子の舞曲らしいが、跳ねたり飛んだり、元気〜  最後のフィナーレ的なので、分厚い響きになっている。

この組曲「クープランの墓」は、アバド盤で16分18秒という短い曲だが、色彩感覚も豊かで、軽やかさもあり、官能的な響きや和風テイスト的な風合いがあり、じっくり聴いていると 混ぜ合わされて、ふわっと浮かんでくる。その風合いは、こんなにイッパイ、詰まっていてよいのかな。と思うほどなのだが・・・。
アバド盤で聴くと、確かにしっかり聴けば、その色の違いがわかるんだけど〜
でも、なーんか何度聴いても、すーっと流れちゃってしまうところがあって、耳が、ピクピクと動くって感じがしない。丁寧な演奏だし色彩的にも豊かなんだけど〜 なにか足らない。
雰囲気に欠けちゃっているっていうか、なんかワクワクしないっていうか。
ふーむ。どうしてなんでしょねぇ。
コワモテのおじちゃんたちが、精一杯合奏しているだけのような感じで。ラヴェルらしくないっていうか。
もちっと流麗に演奏してくれてもよさそうなモンだ。
ちなみに、アバド&ロンドン交響楽団のラヴェル管弦楽作品は、全集として3枚組で発売されている。
で、ワタシは、バラバラ買ってしまって〜中途半端になっているが、 これらは、1981年〜88年の録音である。

ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1989年
Yan Pascal Tortelier
Ulster Orchestra

録音状態は極めて良い。爽快で、さらりとしているが、中間色が美しく見え、色合わせを楽しんでいるかのような演奏。
ラヴェルの管弦楽全17曲 4枚組BOXより
1 プレリュード(前奏曲)
「しらふぁれど しらふぁれど し〜し〜 しらふぁれど しらふぁれど し〜し〜 れどれ しどれ みれみ・・・」
テンポは速め。重みを感じさせることなく、風がそよいでいる雰囲気がある。
変なアクセントがないのだが、フレーズに膨らみを適度に持たせている。
低めの音や、弦の1音目にアクセントを置いているクリュイタンス盤に比べると、揺りかご的な、揺れは生じていないし、大きな波をことさらに描くことはない。
この点は、全然アプローチが違う。
クリュイタンス盤は大きな波を感じるし、アバド盤は平板な感じがしていた。どっちもどっちだな〜というのが、ホンネだったのだが、このトルトゥリエ盤は、音色に艶もあって、アクセントではなく、フレーズを大きくとらまえて、そのなかで音の強弱で波打ってくるようなところがある。
それも、段々と、知らず知らずに、音の大きさが変わってくる。
同じ音型が、繰り返し使われているようなところじゃ〜 やっぱり自然に盛り上がって気持ちが良い。
それと、木管の使い方が、ボショボショボショ・・・と呟き的に響く。これが面白い。

2 フォルラーヌ
「らっ どど〜み どみっ〜どっ れっ らっらっ そっそっ ふぁっふぁ みっみっ ふぁ〜」  
跳ねる旋律と、低音で伸びる音色が、よくマッチングしている。
音の重ね塗り。ちょっと旋律が透けるところで、下地が見える。この下地が見えるところが面白いかも。
ボン ボンっと響く低音、なんの楽器だろう〜語尾だけに活躍しているんだけど。
このトルトゥリエ盤を聴いてて、ふと思った。あ〜 平安貴族の衣のようだなあって。
重ねた色から、浮かび上がってくる下地の色。重ね色の風合いを楽しむ楽曲なのかもしれない。この色合いや風合いを楽しむように出来ているのかもしれない。
ある旋律が浮かび上がる。そのバックの色彩は濃い色で、表の旋律を引き立てる。
また、表の色と裏の色の組み合わせがあって、これが、ある時には表が裏になり、また逆に裏が表になるような絡み合う面白さ。また合いの手が絶妙に入ってくる。まっ どの楽曲にも、当てはまることなのだが、ラヴェルの楽曲は、ある意味、色遊びのようで〜 色を重ねて風合いを楽しむ。
それが、この楽曲を聴いているうちに見てきたら、多分もっと楽しく聴けるのかも。そんな風に感じた。

3 メヌエット、4 リゴドン
「み〜れみみ〜 ら〜しど し〜らふぁそ ら〜しれ〜どし ふぁ〜みふぁど しどらふぁ〜」
さらっと演奏しているのだが、染み渡ってくるような横笛的なイメージがしてくる。
ことさらに、強くもなく、弱くもなく、中庸的に響いているのに東洋風の色彩が濃いように聞こえる。
音の並びが、なーんとなく中央アジアっぽいというか、この平板な音が、じわ〜っと響いて、和のテイストを味わっているような気になる。
「ど〜しら〜そ ど〜みしどみし〜」 どこの国のメヌエットですか?と、問いかけてみたい気分だ。
短い楽曲なのだが、めちゃ、この情緒たっぷりの演奏にやられた。
秋に聴く、しみじみ〜染み入るような良い楽曲で、日本人のDNAに近いイメージがする。
リゴドンは、北イタリアの風合いが強いようだが、輝くフレーズと物悲しいフレーズが組み合わさってできている。
トルトゥリエ盤は、中間色が持っている美意識が確立しているようで、自己主張は強くないが、クラシカルな様式のなかで、しっかりとパステルカラーに近い中間色を、さまざまに組み合わせて描き出しているような気がする。クープランの墓は、コントラストの強い楽曲ではないので、それが活きているようだ。

  レ・ヴァン・フランセ  2011年
Les Vents français

フルート:エマニュエル・パユ Emmanuel Pahud  クラリネット:ポール・メイエ Paul Meyer
オーボエ:フランソワ・ルルー François Leleux  バスーン:ジルベール・オダン Gilbert Audin  ホルン:ラドヴァン・ヴラトコヴィッチ Radovan Vlatkovic

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。もはや言葉では〜語り尽くせない。うっとり〜
このCDは、フルートのパユさんや、オーボエのルルーさん、クラリネットのメイエさんなどが集まったグループ、レ・ヴァン・フランセ結成10周年記念アルバムである。
フランスの風 ザ・ベスト・クインテットと、一応タイトルされているようだけど、レ・ヴァン・フランセ(Les Vents Francais)は、フランスの風=管楽器という意味らしい。フランス系の音楽や木管好きには、たまらない1枚だと思う。
カップリングは、次のとおり。

カップリング:2枚組BOX
1〜3    イベール 3つの小品
4〜7    ラヴェル クープランの墓(メイソン・ジョーンズ編)
8〜10   ジョリヴェ オーボエとバスーンのためのソナチネ
11〜17 ミヨー 組曲「ルネ王の暖炉」
18〜20 タファネル 木管五重奏曲

1〜6       リゲティ 6つのバガテル
7           ツェムリンスキー フレモスケ(ロンド)
8           バーバー 夏の音楽(作品31)
9〜11   ヴェレシュ オーボエ、クラリネットとバスーンのためのソナチネ
12〜16 ヒンデミット 5つの管楽器のための小室内音楽

で、今日聴いたのは、クープランの墓・・・
すっきりした編曲で、必要不可欠の旋律しか登場してこないが、これが〜 やっぱり巧い。
巧いとしか言いようのない軽妙な語り口で、あーっ ホントに良い音だ。ワタシの貧相な感性は語彙を生まないし、言葉では言い尽くせない。アタマを絞り出しても、なにやら曖昧で怪しげな言葉しか出てこないので、まあ、とりあえず聴いてくださいな。としか言えません。(汗)
軽々と吹かれているオーボエの通る音に、クラリネットの可愛い添え音に、裏打ちしているバソンの音に、レースのようなフルートなどの音に包まれ、うっとりしてしまう。
やっぱり、芯のあるオーボエの音が基軸になっているのだが、この色彩感覚は、なんて言うのだろう。
ぬけるような青空でもあり、雲のように流れて行くようでもあり、陽だまりも、そよぐ風も、体感できるような演奏という感じがする。この音の広がり感、品のある音・・・ 
陽だまりのなかでウトウトしている猫と同じようにシアワセ。みなさんお揃いで、よくぞ収録してくださいました〜と、感謝の気持ちが湧いてくる。お休みの日の朝に聴くのが、嬉しい1枚である。
1962年 クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 EMI ★★★★
1974年 マルティノン パリ管弦楽団 EMI  
1978年 チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団 ★★
1976年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★
1983年 デュトワ モントリオール交響楽団 L ★★★★★
1987年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★
1989年 トルトゥリエ アルスター管弦楽団  CHANDOS ★★★★★
1999年 クリヴィヌ フランス国立リヨン交響楽団 VALOIS  
 
2011年 レ・ヴァン・フランセ (オーボエ、フルート、クラリネット、バソン、ホルン) Warner ★★★★★
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