「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラヴェル 高雅にして感傷的なワルツ(管弦楽曲版・ピアノ曲)
Ravel: Valses nobles et sentimentales


ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」(Valses nobles et sentimentales)は、1911年に作曲されたワルツ集で、最初はピアノ曲として、翌年12年、管弦楽版が作られています。
ウィキペディア(Wikipedia)等を元に記述すると
ラヴェル自身、このワルツ集を、シューベルトのワルツをモチーフとして作曲したものと述べており、管弦楽版は、ロシアのバレリーナのトルハノフからの依頼を受けて、バレエ曲「アデライード、または花言葉」として作られています。
このバレエ曲 Adélaïde, ou le langage des fleurs (Adelaide: The Language of Flowers)は、どうやら、次のようなストーリーです。

1 1820年、高級娼婦のアデライード(Adélaïde)さん宅で、パーティが開かれています。
  アデライードさんは、胸に月下香を忍ばせ、ホールを歩いています。
2 青年ロルダン(Lorédan)さんが現れ、彼女に気持ちを託した花(金鳳花= 栄誉)を渡します。
  彼は、とても憂鬱そうで、自信なさげです。
3 アデライードさんは、金鳳花の花に託されたロルダンさんの誠実な気持ちを感じています。
4 2人で踊っていると、パトロンの公爵がやってきました。2人は踊りをやめ、アデライードさんは狼狽を隠せません。
5 公爵は、アデライードさんに、プレゼントの花束(向日葵=私はあなただけを見つめる)を贈ります。
6 アデライードさんは、彼を、なまめかしく追いやりますが、ロルダンさんは失望して、がっかり。
7 公爵はアデライードさんに踊りを誘うが断られます。アデライードさんは、失望するロルダンさんをなだめて踊ります。
8 宴が終わると公爵はアデライードさんを再度誘いますが、アデライードさんはアカシアの花(=プラトニック)を贈ります。
  ロルダンさんには、白い罌粟(=忘却)の花を贈ります。
  落ち込んでしまったロルダンさんは自殺を〜でも、アデライードさんが、赤い薔薇を出して愛の告白をします。

拙い翻訳なので、間違っているかもしれませんが、高雅にして感傷的なワルツは、花言葉の意味を含めて、ストーリーをイメージしながら聴くのがよいみたいですね。

ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1989年
Yan Pascal Tortelier  Ulster Orchestra

録音状態は極めて良い。 楽曲そのものを、まだしっかりつかめていないので、なんとも〜(汗、恥)
ラヴェル管弦楽全集CD4枚組BOX(1988年〜92年)

 

ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」は、「優雅で感傷的なワルツ」とも訳されている。
う〜ん。高雅「こうが」って言葉は、普段、あまり使わない語彙なので馴染みがないし、感傷的って言葉も追加されている。感傷的と言いつつノーブルなわけで上品で格調高い、すご〜く楽しいワルツなのである。
でも、人を食ってるような楽曲なのだ。 短い8曲で構成されているが、続けて演奏されるのが普通だし、それぞれは、1〜2分程度の短い曲でもあるので、あっという間に終わってしまって〜 あれれ〜。

ところで、ヤン・パスカル・トルトゥリエって、あのチェリストのトルトゥリエの息子さんで、フランス人である。
アルスター管は、アイルランドのオケであるが、録音状態も極めて良いし、ブラスバンドさながらの逞しさもあるし、華やかさだし、明るくて粋な音を持っている。

第1曲は、「しししっ ふぁ らららっみ しししっ ふぁ らららっみ」
「れ〜れ〜れ〜 れれれっしぃ〜 れれれっしぃ〜 れれれっし」
「れれれっど っれどら そふぁみれどらっ・・・ らそふぁみ らっ」
出だしから、金管の柔らかくも、鮮やかな色彩たっぷりの音色で〜 悩殺されてしまう。
なんて言うんだろ。太めの音がたっぷりと出てくるのだが、豪勢なくせに品が良いというか、開放的で艶っぽく、色っぽい響きがある。ちょっぴり年齢の高いおばさまの色気が、プンプンしている。
っ タタ タッタ っタタ タッタって言うリズムの「ん」の間合いが面白い。

クリュイタンス盤とか、マルティノン盤とか、ミュンシュ盤とか、昔ながら聴き継がれてきたフランス系の指揮者がいるし、また、フランス人以上にフランス系だと言われているデュトワ盤とか多々あるのだが、このトルトゥリエ盤を聴いていると、う〜ん。イギリスの、それも北アイルランドのオケを使って、なんて華やかで逞しく楽しそうに演奏されているんだろ〜って感心しちゃう。 系統としては、どこか、ミュンシュ盤に近い逞しさがあるのだが、このオケの金管の良さ。
まろやかで、そのくせ、引き締まっており、艶っぽい。まず録音状態が良いので、すごーく楽しい。

2曲目は、緩やかにと速度指定された曲で、「そ〜み ふぁ〜れ そ〜みふぁれ〜 み〜 (れっれっれ)ど〜し〜 し〜ふぁ  し〜そ ら〜ふぁ」って感じの、もわもわ〜っとした緩い曲である。

3曲目は、「どぉ〜しっみ ふぁ〜らっど どぉ〜しっみ ふぁ〜らっど」を可愛く繰り返している曲だ。
なんだか、好き、嫌い 好き、嫌いって言いながら、花びらをちぎって、花占いでもしているかのような少女じみた曲だ。
なんとも可愛いというか、木管の可憐な響きが印象に残る。

4曲目は、「ふぁぁ〜み ふぁぁ〜み れぇ〜ど れぇ〜っど」と言いながら半音がずれていくような楽曲で、とりとめもなく、フワフワしちゃう感じの楽曲で、蝶々がヒラヒラしているような感じだ。
幻想的で、渋い色調でありながら、華麗だが、曲自体の輪郭が淡くぼけてしまい、5曲目も、6曲目も光と空気感が、漂っているような弦のパラパラ感が出てくる。

7曲目は、冒頭は幻想的なのだが、段々とフレーズが現れて、華やかに舞踏が始まる。遠くから聞こえてくるのだが、ん〜っ と伸び上がって一瞬止まるブラスのタメもあって、なかなかに楽しい。
最後の8曲目は、これまでの回想エピローグになっている。

なんていうか、8曲が統一されているわけでもないのだけど、ずーっと切れ目なしに演奏される。
ふわふわした幻想的世界で遊ぶ迷える小羊? いや、少女のような感じでもある。
ちょっぴり少女趣味のような感じもするが、アンニュイな大人だろうか。この感覚がなあ〜ワタシには、難しいのだ。ドイツ臭い、カッチリした曲が好きな方は、よくワカンナイな〜 つかみどころの難しい曲だな。って感じるかもしれない。
ワタシ的にも、どーもワカラン。第1曲は、はっきりしているのだが、そのうち迷子になって出てこられない幻想の世界に入ってしまうのだ。もわもわ〜 ふわふわ〜 で、最後まで行ってしまい終わってしまう。
全く違う曲が始まって、あっ 終わっちゃったのか・・・。あっ いかん。と思いつつ、いつも、白昼夢のなかで眠っちゃう感じなのだ。 もはや、トルトゥリエ盤が、どーのこーのと言っている状態ではないので、今回は、これまで〜(スミマセン)


  シノーポリ ニューヨーク・フィル 1989年
Giuseppe Sinopoli  New York Philharmonic



録音状態は良い。カラフルな色彩感はあるのだが、重みとか弾み方が、ちょっと違うような気がするのだが・・・。
カップリング:
1〜15 ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」
16    ムソルグスキー 交響詩「禿げ山の一夜」
17    ラヴェル「高雅にして感傷的なワルツ」
冒頭のフレーズ、「しししっ ふぁっ らららっ ふぁっ しししっ ふぁっ らららっ ふぁっ」
「れ〜 みふぁ そらし どれみふぁ〜 れれれ〜し れれれ〜し・・・」ってところで、重いなあ〜っと、ちょっと苦笑してしまった。
他盤で聴くと、綺麗な音で奏でられるように思うのだが、シノーポリ盤で聴くと、えっ なんか音が違うのでは?と思ってしまうほど、高音域の音より、不協和音っぽく聞こえる。
録音状態は良いし、見通しは良いのだが、う〜ん、どことなく金属片が詰まっているような感じがする。
「しししっ ふぁ」の「ふぁっ」の音が強めで、和音の下の音が重々しいのかな。
いやいや、和音の上の音が強いのだろうか。なにせ和音の音のバランスが、ちょっと他盤とは違うような気がした。

また、「ふぁふぁ ふぁぁ〜」の最後の語尾が、また重く、威勢が良いというか、力強いのだ。
なんだか不協和音の塊のように聞こえちゃうような、ちょっと風変わりな感じがする。で、語尾をもう少し、ふわっとうえにあがって、すっとくだって置くようにしたら良いのに、語尾がうえにあがって、飛び跳ねている感じだ。
あらら〜っ。音の重みが、ぐわん〜っと、うえに向かっているのだ。

2曲目は、緩やかにと速度指定された曲で、「そ〜み ふぁ〜れ そ〜みふぁれ〜 み〜」
もわっとした感じの楽曲だが、オーボエが綺麗に、くっきりとトレースしていく。
緩やかではあるが、カラフルで、力強く、明瞭と言えば明瞭で〜
ワタシ的には、どよん〜としている演奏は苦手なので、まあ、ハッキリしてて良いかもしれない。(笑)

3曲目は、「どぉ〜しっみ ふぁ〜らっど どぉ〜しっみ ふぁ〜らっど」と、花占いのような、もわっとした曲なのだが、ここはキュートで、おちゃめ。悩みのないのような無邪気さが感じられる。

4曲目以降になると、ワルツという形が、段々と溶解していく感じで、とろっとしてくる。
まあ、ラヴェルらしい手の込んだ楽曲なのだが、なかなか知的に分析できないワタシのアタマなので、もわ〜としてて、どう聴いたらよいのか、わからなくなってくる。で、ちょっぴり退屈さを感じてしまうのだ。
演奏家のみなさんなら、もちろん、しっかりと分解して再構築できるのだろうが、う〜ん。ちょっと、キッチリとしたワルツではなく。拍感覚がずれた、歯車が1個とれたみたいな〜タガが外れたような、ん〜ぅ〜 チャッチャチャっ、ぐぎっ。って感じのフレーズになっている。まっ そこが面白さ、意外さのある楽曲なのかな。
シノーポリ盤で聴くと、そこが、なんだか、控えめながらも、オーバーで、わざとらしさも、ちらり〜と感じる。

7曲目も、確か、活発さを抑えて・・・とあるのだが、ぐわんっ! と、ダイナミックに演奏されていたりする。
最後の曲は、このエピローグは、終わりのなき、締まりの悪さがある。ぐるぐるまわって、いつまでも〜自分の尻尾を追いかけているかのような感じで、幽霊のように、すーっと、フェードアウトしてしまう。 
93年にイスラエル・フィルとも収録している。
シノーポリさんと、ラヴェルとの組み合わせは、ちょっと意外なのだが、ご本人は好きだったのかもしれませんね。


マルタ・アルゲリッチ 1974年
Martha Argerich

う〜ん。どうだろ

高雅なというよりは、なんだか強い女性像が浮かび上がってくるし、感傷的というよりは、どうも頼りなげな男性が、ウジウジしてて〜という感じで、戸惑ってしまった。
カップリング:
1〜3  夜のガスパール全3曲   4〜6 ソナチネ全3曲  7〜14 高雅で感傷的なワルツ全8曲
高雅で感傷的なワルツ全8曲  ピアノ曲版

アルゲリッチ盤を聴いて、この高雅にして感傷的なワルツって、どんな曲なのだろうと調べてみたのだが、ラヴェルは、まずは、ピアノ曲を作曲して、その後、バレエ音楽として管弦楽曲に編曲している。
で、イメージ的には、高級娼婦の館におけるパーティでのひとこま。
高級娼婦と、純朴な青年と、おそらくパトロンであろう公爵との三角関係の物語だ。

アルゲリッチさんのピアノは、冒頭、豪快というか、ハチャメチャっぽいというか、すごくキツい。
女主人公の気のキツいお姉さんが、気に入らない男性の頬に、ビンタしたかのようで、ぎょえ〜っと、のけぞってしまった。
3曲目では、キュートに変貌しているが、変貌しすぎっ。
まるで花びらを1枚づつちぎりながら、好き、嫌い、好き、嫌いっと、花占いでもしているのかと思うほど、少女っぽい。
で、7曲目は、高雅というより華麗なワルツだという感触だったことと、ピアノの音が硬いなあ。という印象を受けてしまった。感傷的という心理面では、ウジウジしているというか、悩める若きヴェルテルみたいではあるが、う〜ん。
どことなく、悶々としていても、キラキラした水面のしたで、モゾモゾ、蠢いている何か〜という感じがして、違う楽曲を聴いているかのようだ。
高級娼婦の館でのパーティとは、どうもイメージとは違ってて、人との感情、人肌からは遠い感じがする。
なんだか、違う感じがするんだけどなあ。どうだろ。

パスカル・ロジェ 1973年
Pascal Rogé

う〜ん。どうだろ

録音状態はまずまず。ところどころ、びびっと・・・振動が感じられるところがあって、必ずしも良いとは言えないが、演奏は、若い純朴でまじめな青年の心情が伝わってくる感じ。
カップリングは、下記のとおり。2枚組BOX

高雅で感傷的なワルツ全8曲  ピアノ曲版

パスカル・ロジェ ラヴェル作品集 2枚組BOX 13曲
1〜3   夜のガスパール
4〜11  高雅にして感傷的なワルツ 8曲
12    水の戯れ
13〜17 鏡 5曲
1〜3  ソナチネ 3曲
4〜9 クープランの墓 7曲
10 前奏曲
11 ハイドンの名によるメヌエット
12 ボロディン風に
13 古風なメヌエット
14 亡き王女のためのパヴァーヌ
15 シャブリエ風に
16〜20 マ・メール・ロワ


実は、アルゲリッチ盤を聴いて、パスカル・ロジェさんのピアノを聴くと、なんて歯切れが悪いんだろう。メリハリがないな〜って思ってしまっていた。 テンションの高いアルゲリッチさんの演奏を聴いてしまうと、なんともインパクトがないというか、ハッキリしないな。って思うのだ。まあ、それだけ、アルゲリッチ盤が、強烈な存在ってわけでもある。

しかし、バレエ曲「アデライード、または花言葉」としても作られていることを知ると、高級娼婦さんに憧れ、パトロンの存在を知った純朴な青年? の恋心、ストーリーがあるものだとを知ってしまうと、はあ、なるほど、がってん〜!
鬱々とした心情っていうのが、わかるんですね。

そのストーリーを、ちょこっとでも聞きかじると、う〜ん。アルゲリッチお姉さまの激しい、パッションは、どうも高級娼婦さんを描いたものなのかなあ、と、しかし同時に、鬱々とした青年の心情を表したものではないな〜っと思ってしまうのです。
じゃー ロジェさんの演奏は? となると、こりゃーもう、青年の心情を描いたモノで、うつうつ・・・
青年が、恋心を抱いて、彼女に会って、心を躍らせていたり、うきうきしている感じも、微妙に描かれているような感じがします。ワタシの勘(理解が)が正しいのであれば、誠実そうな青年の心情が、淡い恋心ってなモノが、描かれているように思います。
管弦楽曲版でトルトゥリエ盤を聴いたときは、とっても明るい1曲目がインパクトがあったものの。その後、つかみどころのない曲だなあ〜って思っていたのですけどね。
バレエ音楽の側面を知らなかったし〜花言葉の意味も知らなかったモノで。でも、あまり、はっきりしないまま、あれ? もう終わったの? と、いつも思っちゃうので、結局、なーんか、締まりのない曲だなあ。という印象はぬぐえないです。(笑)

管弦楽曲版      
1989年 トルトゥリエ アルスター管弦楽団  CHANDOS ★★★★
1989年 シノーポリ ニューヨーク・フィル ★★★
ピアノ曲版       
1973年 パスカル・ロジェ   Dec ★★★
1974年 アルゲリッチ   ★★★
所有盤を整理中です。

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