「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 レスピーギ バレエ音楽「シバの女王ベルキス」
Respighi: Belkis, Queen of Sheba


ジェフリー・サイモン フィルハーモニア管弦楽団 1985年
Geoffrey Simon
Philharmonia Orchestra of London

録音状態は極めて良い。力強い低音が響き、シャンドス特有の残響がある。ティンパニーと大太鼓、それにトロンボーンなどの響きが凄くパワフル。
カップリング:第12旋法によるメタモルフォーゼ(変容)

シバの女王ベルキス この楽曲は4つに分かれている。
1 ソロモンの夢 The Dream Of Solomon
2 夜明けのベルキスの踊り The Dance Of Belkis At Dawn
3 戦いの踊り War Dance
4 狂宴の踊り Orgiastic Dance

普通は、上記の順番なのだが、サイモン盤では、2番と3番の順番が入れ替わっている。

1 ソロモンの夢
「れみ〜 れみ〜 み〜ふぁみ〜 どしらふぁみど み〜ふぁそふぁみ〜どしらふぁど〜れみ〜れみ〜」
残響が豊かで、冒頭の木管の響きが、まどろみのなかのように響いている。
特徴のある3連符で転がるフレーズが続く。「たらら ららら ら〜」 まるで、蛇使いのようなのだが、このクラリネットの音が、これがエキゾチックである。
妖艶で、夢想の世界で一気にアラビア風。弦のうえの甘い木管の音色が、静かに響く。
その後、「みみみみ・・・ れっみふぁみれ れ〜どど〜 みみみ れっみふぁみれ れっどど〜」
「らぁ〜みみみ れみふぁそふぁみふぁれ どっどど れみれ どっどれ〜」
威厳を持った「らら そらっしらそそふぁふぁ〜 れれれ どれっみ れどど〜っしし〜」
堂々としたティンパニーと大太鼓、トランペット、トロンボーンが出てくる。この音量すごいっ。シャンドスならではの残響が心地良い。
それにしても、何処の世界のフレーズなのだろう。アラビアと言ってもひとくちに言いすぎだ。
古代ローマ世界をイメージしたが、う〜ん。ソロモンなのだから、旧約聖書時代、イスラエルってことになるか。
「れれぇ〜 そらしらっそ そふぁふぁ〜 そらそふぁみ〜そふぁみれ〜」
↑ このフレーズ、音の並び自体が、もう別世界である。
う〜ん。こりゃ〜 良いわい。皇帝か王になった気分だっ。
この後、女性的な甘い低音のチェロが流れてくる。う〜ん。シェエラザード風っ。
弦と木管が美しいフレーズを奏でたあと、チェレスタと木管、そしてミュート付きの金管が、「ど〜れ みれど みれ〜 み〜れど ど〜しれど ど〜ふぁみれ れどしら ど〜しらそ」
まるで、満天の夜空に星が瞬いているように〜可愛い雰囲気を醸し出してくれる。

2 戦いの踊り
ティンパニーと金管が、豪快に鳴り響く。ド派手な楽章。
「どっそ れ(ふぁし)れ〜 どっそ れ(ふぁし)れ〜 れれれれ〜 れれれれ〜」
↑ ティンパニー4個分の音が使われていると思うが、銅鑼は鳴っているし、ジャンジャン ドンドン。
大太鼓が2台あるようだ。ドン ドン・・・

なんとも野蛮で豪快極まりない。で、ひとしきり咆吼したあと、シンコペーション付きの太鼓が鳴る。
もしかしたら、タムタムかもしれないけれど。めちゃくちゃ野性的。
ストラヴィンスキーも真っ青なほどの野性風味がある。春の祭典も、目じゃないかも。
土俗的すぎて驚いてしまう。これホントに、近代のレスピーギの作品か?
前半は、ティンパニーと大太鼓だが鳴り響くが、後半は、クラリネットなどの木管が、短いパッセージを吹きながら、槍を持ってチャンチャンバラバラと、お手合わせしているような雰囲気だ。
もちろん跳躍付き。飛び跳ねて踊っているのだろう。ひぁ〜 すげ〜 劇的効果満点の音楽だ。
これ確かバレエ音楽なんだけどなあ〜

高い音の出るクラリネットが、ぴ〜ひゃら風の旋律を吹く。こりゃ、確かに吹奏楽向きの楽曲だ。
「ら〜らどど ら〜らどど らそら らそら れれっ」
「れっれ どら らっら ど〜ら らそら れれっ」 短い楽曲だが、メッチャ、インパクトのある曲で、豪快で、からり〜っと明るく、豪快かつ爽快で。聞き出すと癖になる。 うひひ〜 面白すぎ。
クラッシック音楽で、ハハハ〜っと大笑いできる痛快な楽曲である。
このパーカションと木管のリズムが、とても面白いのだが、音のとれない音痴だし、なおかつ、シンコペーションが苦手なリズム音痴なモノで、なかなか、リズムがキャッチできず倒れそう になるが、いや〜痛快。
もっと聴いていたいのだが、あっけなく終わってしまう約3分程度の楽章である。

3 夜明けのベルキスの踊り
フルートで奏でられる夜明けの模様で、まるでペール・ギュントかと思いきや、どっこい。アラビアです。
不思議なフレーズで、次の音が予測できないところが面白いところ。
チェレスタが、夜明け前のお星様のように、チンクルチンクルと鳴っている。
オーボエやコーラングレ、タンバリンの鈴の音が、妖艶さを醸し出しており、う〜ん。なかなかに美しい。
どっぷり型のエロティックさとは違い、さっぱりしている。さすがに、このあたりは、乾燥しているようである。
チャンチャカっと鳴り出すと、どうやら夜が明けたらしい。
お目覚めベルキス すらり〜とした白い脚?で踊る。むふふっ。である。

4 狂宴の踊り
ヴァイオリンが、「らそらし〜そふぁみそら〜ら〜そらしらそふぁ〜」
↑ チャララララララ・・・と、渦巻き風に音が落ちていく。「どれみ〜 ふぁみれみ〜ふぁみれみ〜」
「んじゃ〜 んじゃ〜 んじゃ〜」
ティンパニーと笛の音が、絡んで、すげ〜音。
「らそらしそ ふぁみふぁそふぁ らししし そらしっしっし」 ← フルートが狂ったように鳴っている。
「ぱらららら〜 ぱらららら〜 ぴぃ〜 らそらしそ〜 そらししっしっ〜 そらしっし〜 みふぁみっみ〜」
あーっ やかましったら、ありゃしない。   
ハイ 狂喜乱舞の世界でありまして、どーなっとるんじゃ。この世界。
文字通り酒に酔ったバッカスの踊りのようで、ドンジャン ドンジャン。宴たけなわの模様。
で、急に静まったあと、トランペットが静かに(舞台裏のバンダのようだ) 「ふぁ〜ら〜そらそふぁみれれ〜」
で、また、「ふぁられどしら ららら〜 (ティンパニー) タタタ タンタン」 
また、狂乱の世界が復活でござる。鉄琴もタンバリンも鳴っているし、どんなパーカッション軍団の構成なのやら。

「そど〜 どれみふぁ そふぁみれみ〜 そっそっ そっそそそ れ〜ど〜どしらら〜」
↑ 一部、ローマの祭り風のパイプオルガンを思わせる音が出てきたりする。
「そっそ そふぁみれれみっ〜 れどど どらしど〜 ふぁ〜れどど〜ふぁ〜れどどど〜 ふぁ〜れどど〜」
「ど〜れ みれどみれ〜 み〜れど どしれど ど〜ふぁ〜みれ れどしら どしらそ〜」
トランペットがつくる和音の美しいこと。う〜ん。ここのフレーズだけで
ちょっと風変わりな音が入っているのだが、この音づくりが、超魅力である。
最初の狂乱部分はどうでもよいが、最後のトランペットのつくりだす和音と、ティンパニーのリズムに、やられる。トランペットの和音の下支えをしている弦、木管の響きといい。
う〜ん。雰囲気は、ローマの祭りに近いモノがある。

なんだかよくわからない楽章の組み合わせで、これ、本当にバレエ音楽なの?
5幕のバレエ用に作曲されたらしいが、さっぱり上演されていないらしい。それに、クラッシック畑よりも、吹奏楽で流行っていたらしい。このジェフリー・サイモン盤以降も、新譜がほとんど出なかったそうだ。
まっ、ストーリー的には、さっぱりワカラナイのだが、そんなことは、どっかに行ってしまう。
私の場合は、ローマ3部作(ローマの噴水・松・祭り)の続きに、レスピーギ作品を何か聴こうと思って、このサイモン盤の「シバの女王ベルキス」を手にした。
派手ではあるが、一風変わった音の並びと和音に、耳が釘付けになることは請け合う。
レスピーギさんが、何を調べて、この古めかしい音を探し出してこられたのかは知らないが、いや〜
さすがに華麗なオーケストレーションで煌びやかだが、古めかしい。このギャップがたまりません。

大植英次 ミネソタ管弦楽団 2001年
Eiji Oue
Minnesota Orchestra

録音状態は極めて良い。安定感のある演奏。もう少し熱狂的でも良いかな。とは思うが、聞き込むとじわ〜っと熱い。
カップリング:レスピーギ「地の精の踊り」「ローマの松」

1 ソロモンの夢
「れみ〜 れみ〜 み〜ふぁみ〜 どしらふぁみど み〜ふぁそ〜ふぁみ〜どしらふぁど〜れみ〜れみ〜」
レファレンスというレーベルなので、録音状態は文句なしに良い。
冒頭、これが、本当にクラリネットなのか疑問に思うほど、夢幻の世界に引きこまれる。
蛇使いのようなフレーズが、転がってはいるが、渋い音色だ。派手さには欠ける。
その後、「みみみみ・・・ ら〜れっみふぁみれ れ〜どど〜 みみみ れっみふぁみれ れっどど〜」
「らぁ〜みみみ れみふぁそふぁみふぁれ どっどど れみれ どっどれ〜」
威厳を持った「らら そらっしらそそふぁふぁ〜 れれれ どれっみ れどど〜っしし〜」
堂々としたティンパニーと大太鼓、トランペット、トロンボーンが出てくる。
大太鼓の響きは相当なもの。規則正しく鳴っている。
しかし、どことなく大植盤は、表現が穏和で、教科書的に聞こえる。
この曲を初めに聴いたのが、ジェフリー・サイモン盤で、この盤をしばらく聞き続けてしまったので、大植盤を、少し地味に感じるのかもしれない。
サイモンさんの盤は、ど派手だったのだ。鳴りっぷりが半端ジャーなかった。それも音色は、明るめで、しゃ〜ん しゃ〜んと響く。また、エキゾチックで、まるで腰がクネクネしている感じで、音の刻みは、結構、アヤシイ。でも、なーんか、サイモン盤は、笑いながらも許せてしまう。
それに対して、大植盤は、身振り手振りが大きい筈なんだが〜 出てくる音は、規則正しい。
「れれぇ〜 そらしらっそ そふぁふぁ〜 そらそふぁみ〜そふぁみれ〜」
弦と木管が美しいフレーズを奏でたあと、チェレスタと木管、そしてミュート付きの金管が、「ど〜れ みれど みれ〜 み〜れど ど〜しれど ど〜ふぁみれ れどしら ど〜しらそ」
こちらも、残響があり、まるで満天の夜空に星が瞬いているような雰囲気を醸し出してくれるが、う〜ん。
クラシックとして品格のあるのは、大植盤かな。サイモン盤は、どちらかと言うと、ブラバンに好まれるタイプかも。と言っても、私的な独断的感覚であるが・・・。

2 夜明けのベルキスの踊り
前楽章に引き続き、夜のシーンが続いている。エキゾチックなフレーズを、穏やかに静謐に奏でる。
チェレスタが入ることで、色彩感覚があがってくるが、夜明け近くになってくると、音量を伴って甘さを加えてくるし、色っぽさも加わってくる。
しかし、単に甘い音色でも、なよなよした曲線にもならず、抒情的ではあるが、締まったフレーズで奏でられる。透明度が高く、各パートの楽器が奏でる音に、聞き惚れてしまった。
3 戦いの踊り
ティンパニーと金管が、豪快に鳴り響く。サイモン盤よりは、残響が締まって聞こえる。
「どっそ れ(ふぁし)れ〜 どっそ れ(ふぁし)れ〜 れれれれ〜 れれれれ〜」
続いて、シンコペーション付きの太鼓は、幾分硬めでボコボコ響く。野性的なムードが高い。
劇的な効果満点の楽曲だが、大植盤では穏やかで、品がある。
というか、サイモン盤が、めちゃくちゃ熱く、ヒートアップしておりノリノリ感があった。幾分、前のめりで、つんのめっていくところがあり、ん? と、テンポが、ばらけそうに怖いところがあるのだが、大植盤は、その点、安定感がある。もっと熱くなってくれ〜と言いたくなるが、いや、なかなかに、じわ〜っと地熱があがってくるタイプのようだ。土俗的な要素も強いが、スマートに、シャープに、高機能に演奏されている。

4 狂宴の踊り
前楽章に引き続き演奏される。
ヴァイオリンが、「らそらし〜そみそら〜ら〜そらしらそふぁ〜」
↑ チャララララララ・・・と、渦巻き風に音が落ちていく。「どれみ〜 ふぁみれみ〜ふぁみれみ〜」
「らそらしそ ふぁみふぁそふぁ らししし そらしっしっし」「ぱらららら〜 ぱらららら〜 ぴぃ〜 らそらしそ〜 そらししっしっ〜 そらしっし〜 みふぁみっみ〜」
饗宴ではなく、狂宴なので〜 血湧き肉躍るところなのだが、フルートが甲高い声では泣かない。
二流のオケでもなく、ブラスバンドでもなく、きちんと正装した管弦楽団の音って感じを受ける。
つまり、品があるってことだけど・・・。
サイモン盤が、トランペットで吹いているところを、テナーの独唱が入ってくる。っていっても、「あ〜」と言っているだけで、歌詞があるわけではなさそうだ。
テナーと言われないと、メゾソプラノかと間違えそうで、バンダ風に扱われている。
最後、金管の和音には、やはり魅力的だ。

大植盤は、安定感があり、きっちり丁寧に上品に演奏されている。
また録音状態が良く、サイモン盤のシャンドスの残響多めの録音(教会での録音)よりは、締まった豊かな響きがある。もちろん奥行きもメチャ良い。
1985年 G・サイモン フィルハーモニア管弦楽団 Chandos ★★★★
2001年 大植英次 ミネソタ管弦楽団 Reference ★★★★★
所有盤を整理中です。

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