「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

シルベストレ・レブエルタス 「センセマヤ」
Silvestre Revueltas: Sensemayá


シルベストレ・レブエルタス(Silvestre Revueltas)は、1899年生まれのメキシコの作曲家です。
あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
1929年に、カルロス・チャベスの招きで、メキシコ交響楽団の指揮者助手を1935年まで務め、チャベスとともに数多くの同時代のメキシコ音楽の普及に努めたそうです。ヴァイオリニスト、指揮者、作曲家という方です。
スペイン内戦時には、共和派の義勇軍に参加し、フランコの圧勝に終わるとメキシコに戻って教鞭を執ったそうですが、収入は乏しく、酒浸りの日々だったそうです。

室内楽、歌曲などの作品もありますが、ニコラス・ギレン(Nicolás Guillén 1902年〜1989年)の詩に基づく、1938年作曲の「センセマヤー、蛇殺しの唄」が有名です。
作風は、調的というよりは旋法的で、しかもしばしば不協和音が多用されるもの、リズムは躍動感に富んだ楽曲です。
小品ですが、とても個性的で、今までに聞いたことのないような、呪文を唱えるかのような雰囲気があります。
とても気味の悪い楽曲ですが、ラテンアメリカの管弦楽曲集には見かける曲なので〜 ご紹介しておきます。

マイケル・ティルソン・トーマス ニュー・ワールド交響楽団 1992年
Michael Tilson Thomas
The New World Symphony

あちゃ〜

録音状態は良い。すきっとした明晰な演奏。だんだんと、これにハマって乗ってしまう自分が怖い。このパーカッション群の音を聞き分ける耳が欲しいです。

← ワタシが所有しているのは、2枚
上は、Argo レーベル盤
下は、デッカ盤で、ダブリ買いをしてしまった。

両方とも、ティルソン・トーマスさんとニュー・ワールドSOによる ラテンアメリカの管弦楽曲集である。

「タンガーソ 〜ラテン・アメリカ管弦楽曲集〜」

Tangazo - Music of Latin America
カップリングされているのは、チャベス、コープランド、ロルダン、レブエルタス、カトゥーラ、ピアソラ、ヒナステラという作曲家たちの作品だ。
1 チャベス インディオの交響曲(交響曲第2番)
2 コープランド キューバ舞曲「ダンソン・クバーノ」
3〜6  ロルダン 組曲「レバンベランバ」 フィナル・デ・レル・クアドロ コンパルサ・ルクミ 蛇のコンパルサ ことの終わり
7    レブエルタス「センセマヤ」
8〜10   カトゥーラ 3つのキューバ舞曲 太鼓の踊り 踊りの主題 ルクミの踊り
11  ロルダン リトミカ第5番
12  ピアソラ タンガーゾ
13〜16 ヒナステラ バレエ組曲「エスタンシア」開拓者たち 小麦の踊り 牧童 終曲の踊り

んちゃ〜ちゃちゃっ んパんパんパパっという ファゴットの短いフレーズが鳴った後に続く、チューバ。
「みそそそぉ〜〜み そそみぃ〜らそぉぉ〜」
「みそそそぉ〜〜み そそみぃ〜どしふぁ〜 ふぁそっそそぉ〜み れぇぇ〜」
このフレーズが、おっそろしく、どす黒く鳴ってている。
バックのパーカッションが、んちゃ んちゃ んちゃ ちゃちゃ っと、ずーっと鳴っている。

そこに、いろんな金管が鳴ってくるのだが、うっ 聞き分けられない。
ん ちゃっちゃっ ん ちゃっちゃっ ちゃかちゃん・・・
まるで、ラベルのボレロのように、多彩な楽器が加わって、「れっら れっら んパパパぁ〜」「れら どどれ ふぁれ〜」
「ららどれぇ そらぁ そらっ そそふぁ れどっぉ〜れぇぇ〜」

いやー このリズム どうも苦手で〜っ
ワタシにはパーカッションを聞き分けられる耳もなく、この手のリズムには相当に疎い。
しかし、「そそらぁ〜 そらぁ〜 そそれぇ〜」と雄叫びに近い金管の音にあわせて、叫びそうになってくる。

MTTさんの演奏は、ねちっこくというよりも、鋭く、明晰で、すごーくわかりやすい透明度の高い演奏だ。
で、うっ という湿気を含んで聞こえた他盤、特に、エンリケ・バリオス盤は、とっても気味が悪かった。 録音が籠もりがちだったせいか、太めの音響で、もわもわ〜とした湿気と粘りけがあって、もわっと血のにおいが立ってきそうな、とてもグロテスクな感覚がした。しかし、MTTさんは、からっとした空気感なのだ。

まあ、それだけに、パーカッション群の鋭さ、いどみかかるかのような勢いっと、シュワッという威嚇、カラダのうねるような儀式の雰囲気、土俗性が、気持ち悪いんだけど、気持ち良く聞こえてきて、ああぁ〜 なんとも変な気分に。
ワタシのDNAは、理性とは違う方向に走りそうで〜 怖いっ。
たった6分31秒というクレジットの作品ですが、思わず、このリズムにのってしまう〜 自分自身が怖いっです。

知人は、2015年7月の大阪フィルの定期で、グスターボ・ヒメノさんの指揮で生演奏を聴いたらしい。
ワタシは、その演奏会に行く知人に、CDを貸してあげたのだが〜 CDで聞いていた以上に、パーカッション群の演奏は見てて楽しかったものの、生は、やっぱ〜 キショ悪かったらしく、みんな、ちょっと、ひきぎみだったそうです・・・。
あらまっ めったにやらない、レアな曲だったのに〜 (笑)
 

エンリケ・バリオス アグアスカリエンテス交響楽団 2001年
Enrique Barrios
Aguascalientes Symphony Orchestra



録音状態は、蒸し暑さたっぷりで、暑苦しい。粘着的で、どろり〜っとした感覚だ。その雰囲気は良いが、反面、リズミカルではないので、どうかなあ。と思う。
カップリング:レブエルタスの管弦楽曲集として、センセマヤ、マヤ族の夜、ラ・コロネラの3曲が収められている。
アグアスカリエンテス響って聴いたことがなかったのだが、メキシコにある交響楽団だそうである。
で、録音状態は、どこか湿気た、ねばっこいモノで、冒頭より既に暑苦しい感じがする。
ファゴットの短いフレーズが鳴った後に続く、チューバの音程が、少し低いように思う。

「みそそ そぉ〜〜み そそみぃ〜 らそぉ〜」
「みそそ そぉ〜〜み そそみぃ〜 どらふぁ〜」
トロンボーンの響きも、分厚く、どす黒く鳴ってて、明晰な感じよりも、どこか、ねちっこく演奏されてて、雰囲気としては出ている。
パコパコと鳴っている拍子木のような音が、イマイチくぐもっているし、金管の音色は、闇のなか。
そこに、光る眼を感じるような気がする。
そのうちに、「どそそぉ らそぉ〜 みそそそ〜 み そそみぃ どらふぁ〜 ふぁそそみ〜」
と、明るい金管の音が入ってくるし、ティンパニーの音が軽やかに、儀式風に厳かに鳴り出すし、まあ、雰囲気が出ている。
どこか闘争心みたいなモノをかきたてられ、身を伏せて獲物を狙うような〜
息を潜めて、ジーッと視線を一点に絞るような野性的な感じがする。

ただ、雰囲気は出ているんだけど〜
リズム的にどうかなあ。明晰さに欠いているというか、あまりリズミカルではないように思うのだ。
ひとことで言うと〜 くぐもった響き、残響にとらわれてて、どこか重いっ。
沼地を歩いているような、重苦しさ。と言えば良いだろうか。

だが、パコパコ、ンチャンチャンチャ、、、と刻む音が、どうも点を置いていけてない。
低いパーカッション系の音は入ってくるのだが、どこか鈍い感じがしちゃう。もうちょっと中間以上の高めの音が、うーん。足らないかな。
木管のフレーズ、「そらぁ〜 そらっ そそふぁ れどぉ〜 れ〜」は、もう少し、ツヨメでも良かったかも。
音響の厚み、いろんなパーカッション群の音色が、クリアーであれば良いかもしれないが、雰囲気は、ホント出てます。
で、原始的なリズムで拍の調子がもっと感じられたら、文句ないのだが、リズム感や拍感覚は、もっさりしていますねえ。
ただ、それを差し引いても、金管の重々しさ、分厚さ、粘りけ、蒸し暑さ、絡み合った音の響きが、どろり〜としており、独特の粘着的な感覚は、この盤の特徴だと思う。
センセマヤも良いけど、カップリングされている「マヤの夜」の方が、より一層、雰囲気が出てて、仰々しく、また賑々しく劇的で良いです。

グスターボ・ドゥダメル
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ 2008年

Gustavo Dudamel
Orquesta de la Juventud Venezolana Simón Bolívar



録音状態は良い。活気あふれるラテンのパワー炸裂のご機嫌の1枚。このセンセマヤは、ねっとり系ではないが、メキシコだし〜
カップリングにつられて、お国モノ的な演奏として聴いている。
ドゥダメルさんと、出身地元のオケのコラボレーションCDで、「フィエスタ」(祭り)というタイトル。
これがグラモフォンから出ているとは驚きだが〜 ラテン系のクラシック音楽で、大変ご機嫌の曲が詰まったCDである。
カップリングは、下記のとおり。

1  レブエルタス「センセマヤ」
2  カレーニョ「交響的変奏曲マルガリテーニャ」
3  エステベス「平原の真昼」
4  マルケス「タイソン 第2番」
5  ロメーロ「弦楽のための組曲第1番フーガ・コン・パハリージョ」
6〜9  ヒナステラ「エスタンシア 〜農園で働く人々、小麦の踊り、大牧場の牛追い人、マランボ〜」
10  カステジャーノス「交響組曲パカイリグアの聖なる十字架」
11  バーンスタイン「ウエスト・サイド・ストーリー 〜マンボ〜」

ここでは、レブエルタス「センセマヤ」という曲をご紹介しましょう。
冒頭、ファゴットの低い音色と、ポコポコ鳴っている拍子木みたいな音色の打楽器と、チューバで演奏される。
「みそそ そぉ〜〜み そそみぃ〜 らそぉ〜」
「みそそ そぉ〜〜み そそみぃ〜 どふぁら〜」「そそみぃ〜」
「みそそ そぉ〜〜み・・・」 「どらふぁ〜 みそそ みぃ〜」

トランペットやミュート付きだと思うが、トロンボーンの音色など、同じフレーズを奏でていく。 チューバやトロンボーンの低い金管の響きが、弱音で柔らかい響きちなってうねるなか、拍子木のような音が鳴って締まり、不協和音でありながら、歯切れも良い。
「みそそみぃ〜 らそぉ〜 みそそそぉ〜 みそそみぃ〜どふぁらぁぁら〜」
変わった打楽器が、きっと多く使われているのだと思うが、不気味な音色で、かしげた弦が強く弾かれている。オスティナートというか、振動する音の構成が、この楽曲を彩っている。

すごく原始的なリズム音で構成されており、はじめは、拍子感覚が初めさっぱりつかめない。
7分の8拍子だっけ、短いフレーズが積み重なって、崩れそうになりつつ、低い管楽器の音の広がりが、湿気を帯びて包み込んでいく。 チューバの音が、蛇を殺すまえの人間の構えみたいなモノを表しているのかなあ〜 
睨み合ってます〜状態のようで、吐く息みたいに、シュワッ〜っと、緊張感が漂う。
他の盤では、むっとした湿気感もあるのだが、ドゥダメル盤は、まだ明晰な響きがあるように思う。
ストラヴィンスキーの「春の祭典」のような土俗的だが、もっと、どろり〜とした要素がある。

で、変拍子なのだが、どことなく東洋に近い雰囲気も持っている。
「そら〜 そら〜 そそふぁれっどぉ〜 そそふぁ れどぉ〜」
「そら〜 そら〜 そそふぁれっどぉ〜 れぇ〜」
ドゥダメル盤は、タムタムのような楽器の音色も、銅鑼のジャンーという音色も、金管の炸裂音も、まろやかで抑制が効いてて、劇的ってところまではいかない。
さほど動物的でもないように聞こえるが、それでも不気味さは充分。

この曲は、なんでもニコラス・ギリエン(Nicolás Guillén)の「蛇殺しの詩」という詩に、インスピレーションを得たと言われている。 う〜ん。なるほど、ねっちっとした音が主体となっており、くね〜っと、熱気があるわけだ。
まあ、ドゥダメル盤だと、結構、すっきりとして聞こえるのだが、それでも、グロテスクだよなあ。

ギリエンさんっていう方の詩も、サイト放浪して読んでみたのだが、(もちろんスペイン語)  キューバ人だというのだが、、、感覚的には、日本人には、馴染みのないモノで、、 蛇を殺すって〜 あっ キショイ。蛇殺しって、メチャ祟られそうで〜 
どうも、やっぱ馴染めないよねえ。 蛇を殺すまでの儀式って感じだと言われても〜 ぞっとする。
「ふぁふぁ れど ふぁふぁれどっ」 最後は、ちょっぴり高揚して終わるが、リアルなイマジネーションまでは湧かなかった。蛇といっても、おそらくアナコンダ系の、巨大な蛇だと思う。
変拍子の変わり目が、素人には解りづらいし、感覚的にも、嫌なもの。

ドゥダメル盤は、うねりのある音だが、しっかりクラシックを演奏してます〜的な、音の分離がなされており、すっきりと演奏されている。サロネン ロサンゼルス・フィル盤も所有しているが、もっと、サッパリ クールに演奏されている。スペクタル映画みたいな、冷たい、独特のクールな響きと歯切れの良さがあって、もっと演奏的には精緻さがある。
ナクソスから出ているエンリケ・バリオス盤は、録音にもよるが、太めの音響で、粘りけがあって、もっとグロイ感覚が出ているように思う。
まっ、いくらなんでもキショイと言いつつも、狂信的で、トランスが掛かっているかのような、首振り人形的に踊るって感じではないです。(こんな状態じゃー怖いもんねえ〜) ドゥダメル盤は、お国モノでしょう。ってことで、ラテン系の音楽が詰まっているCDだし、楽しんで聴いています。


1992年 ティルソン・トーマス ニュー・ワールド交響楽団 Dec ★★★★
1998年 サロネン ロサンゼルス・フィル SC  
2001年 バリオス アグアスカリエンテス交響楽団 Naxos ★★★
2008年 ドゥダメル シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ ★★★★
所有盤を整理中です。

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