「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ロッシーニ 序曲「ウィリアム・テル」、序曲「セビリャの理髪師」
Rossini: Overtures Guillaume Tell (William Tell), Overture Barber of Seville


アバド ロンドン交響楽団 1971年、1975年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

録音状態は良い。軽妙さもあり、そつなく上品にまとまっている。
カップリングは、下記のとおり。

アバドの振ったロッシーニの序曲集は、グラモフォン盤とRCA盤に分かれている。
この2枚購入すると、アバドが収録したロッシーニの序曲集は揃う。しかし、レーベルが違うなんて不経済なことで・・・。
ちょっぴりブーイング状態なのだが、ちなみに、グラモフォン盤の方は「セビリャの理髪師」序曲が、RCA盤の方は、「ウィリアム・テル」序曲が入っているという状態で、有名曲がマタサキ状態になっている。
仕方ないので、両方買う羽目になってしまった。

ロッシーニ序曲集 アバド ロンドン交響楽団
1 「セビリャの理髪師」序曲
2 「シンデレラ」序曲
3 「どろぼうかささぎ」序曲
4 「アルジェのイタリア女」序曲
5 「ブルスキーノ氏」序曲
6 「コリントの包囲」序曲

歌劇「セビリャの理髪師」序曲

ロッシーニと言えば、ウィリアム・テルか、このセビリャの理髪師ぐらいの序曲しか知らない。
オペラは、ほとんど聴かないので、理髪店の亭主が主人公とは、これは売れないオペラだろう。けったいなオペラのタイトルだな〜ぐらいしか思っていなかったのだが、改めてオペラのストーリーを読むと、青年伯爵が美女に惚れ、セビリアに追いかけてきて恋の競い合いをする 物語だった。
伯爵の下手人(便利屋さん、恋の取り持ち役)が、理髪師なのである。
なーんだぁ。恋愛モノか。
で、ワタシが、この序曲を初めて聴いたのが、クラシックとは全く違うビートルズの映画「ヘルプ!〜4人はアイドル〜」の最後、エンドロールだった。
「ヘルプ!」は、1965年の作品で、アイドルグループの映画そのものだったが、まあ、カラー映画だったし、それなりに、子供時代にはおもしろがって見たけれど〜
(あっ 決してリアルタイムで見たわけではありません。)
なぜ、最後に「セビリャの理髪師」序曲を持ってきたのかは、今もって謎だ。
セビリャn理髪師には、主要登場人物4人+美女だから、ビートルズのメンバー4人にかぶせて使ったのか、「イギリス女王エリザベッタ」に、元使われていたことに 諧謔的に乗じたのか、、、
道化師のような、ちょっとスケベそうなフィガロに乗じたのか、解りませんねえ。

映画の最後に流れてきた演奏は、オケの演奏にかぶって、オチャラケで、ハミングや人の笑い声が入り混じったモノで、軽快というより、あざけり笑いっぽく、ちょっとお下品ぽいモノ。
これを書く前に、久しぶりに「You Tube」で、「ヘルプ!」を見てみたのだが・・・
やっぱり〜 悪のりだよな〜 昔、抱いてしまったイメージそのまま。
大衆娯楽、プンプンの香りが漂っているが、映画を見た当時は、これが、クラシック音楽の定番オペラの序曲だとは知らなかったし、その後も、勝手に、髪結いの亭主的なイメージを持っていたので、ワタシのなかでは、お下品な作品っ。として定着してしまった曲である。

まっ それは横に置いておいても〜 ちょっと風変わりな、けったいな曲である。
元は、このオペラだけ使ったわけではなく、3回使い回しをしているらしい〜
パロディっぽい曲、オチャラケ風であることには変わりないようで、、、人を食ったような曲なのだ。
旋律はシンプル。すぐに口ずさめる。
「ふぁふぁ〜 ふぁふぁふぁそっ らららしっ どどどれっ れぁ〜らし れぁ〜らし」 
どどぉ〜  みみみふぁ そそそらっ しししどっ どぉ〜らふぁ どぉ〜らふぁ」

「どぉ〜らそふぁ どぉらそふぁ そぉ〜 どっれっみっふぁっそっらっし そみど ふぁ〜」
「らぁ〜しらそふぁみれ〜 しぃ〜 どしらそ ふぁ〜み」
「ど〜ふぁられ どっし〜ふぁ〜そ ど〜ふぁられ どっし〜ふぁ〜そ」
「らぁ〜しどれみ ふぁ〜れ そらし ふぁ〜そふぁそら ふぁ〜」

序奏部分は長いが〜 旋律は優しい。
「どどお どどぉ〜」
「どどど れどっ どどど れどっ どどど れどっど しらっそ そふぁっ」
「ららら そふぁっそ そふぁっそっ どそそっ そらら らそそ そふぁみれどど どど〜ふぁみれ どっど〜」
このへんてこりんな、滑り落ちるようなスキップが印象に残るフレーズとなっている。

巻き舌風の滑って落ちていくフレーズが、どことなく気怠く、軽妙すぎて〜
跳躍的でもあり、挑発的であり、なんというか〜 軽妙だけでは終わらない諧謔さを持っている。
「ふぁ〜そら らぁ〜 どっど れっみ ふぁっふぁっふぁっふぁ そ〜ら」
という木管のフレーズも、道化師的で滑稽だ。
「たぁ〜ら ららっ たぁ〜ら ららっ」という同じフレーズを繰り返して使っているのに、なんとも軽妙で。
う〜ん、なんにも難しいフレーズを使ってないのに、ワクワクさせてしまう巧妙さ。
はあ、聴けば面白いのは確か。でも、ロッシーニの死後、廃れるのも速かったというのも、なんか解るような気もする。しかし、アバド盤は、そんななかでも、きちんとまとめているというか、硬すぎず柔らかすぎず、品良く仕上げているというか。お馬鹿風には鳴ってこない。その点、ソツがないかな〜って思う。

アバド ロンドン交響楽団 1978年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

   

録音状態は良い。幾分、大太鼓が飽和的にも思えるが、疾風怒濤の楽曲&演奏のため、まーったく気にならない。パワーがあり、大音量で一直線っ。ゴールを目指して前につんのめる形で猛進状態である。あまりの速さに、あっけにとられる。 
カップリングは、下記のとおり。
ロッシーニ&ヴェルディ 序曲集 アバド ロンドン交響楽団
1 「セミラーミデ」序曲
2 「絹のはしご」序曲
3 「イタリアのトルコ人」序曲
4 「セビリャの理髪師」序曲
5 「タンクレーディ」序曲
6 「ウィリアム・テル」序曲
7 「アイーダ」序曲
8 「シチリア島の夕べの祈り」序曲
9 「運命の力」序曲

歌劇「ウィリアム・テル」序曲

先日、ヴェルディの「運命の力」序曲を聴いたので、今度はロッシーニを聴いてみようと、有名な「ウィリアム・テル」序曲を聴いた。なーんだか、小学校か中学校以来のような気がする。
で、冒頭、はあ? なんだか別の曲を聴いているみたい。
室内楽バージョンなの? えっ 違うよねえ?
有名なファンファーレ部分しか覚えていなくて、「スイス軍隊の行進」が、いきなり現れると勘違いしていたのだ。また、スッペの「軽騎兵」序曲と、ロビン・フッドとも勘違いしてて、あ ちゃちゃ〜 すごい記憶違いだ。お恥ずかしいっ。

で、ウィリアム・テルの冒頭は、チェロの合奏となっており、渋くも甘い響きから始まる。
ワタシが間違ったように、いきなり、トランペットでの行進曲が始まるわけではない。
5本のチェロの響きが、う〜ん。弦楽合奏曲のように、心地良く響く。スイスの森での「夜明け」というイメージらしい。いや、後述するようにスイスの夜明けなのだろうと思う。

続いて、2番目の「嵐」となる。
そらっれ しれっそ・・・ ふぁっそっど  しっれっそ・・・と雨粒が落ちてきたような木管のフレーズがあり、それが段々と速くなり、ティンパニーと大太鼓が入ってきて、波乱の幕開けとなっている。
トロンボーンの「ふぁ〜(バンバンバン) パパパパ パパパパ・・・」 凄まじい嵐が到来。
同じパッセージの繰り返しだが、「ふぁ〜 みれどし れ〜 どしらそ み〜 どしらそ ど〜 しらそふぁ〜」
と、音の追い駆けっこをしているようなフレーズで、単純だけどのれる。
それにしても、アバド盤では、金管が開放的で勢いがある。でも、楽曲としては、なんで〜と思うほどの唐突さだし、大嵐で船が転覆するぐらいの大騒動になっている。
まあ。それがまたドラマティックなのだが。国情を含めての意味あいなのだろう。

3番目「牧歌」は、フルートが雨あがりの模様を描き、コーラングレで、「そ〜 らみそしみしそ〜 らみそしみそ〜 しみれみしら〜 ら〜しみらしみ ら〜」と牧歌的なフレーズを奏でる。
へえ〜 いっきにパンの笛が吹かれているようで、フルートの音色が美しい。
とてもゆったり、明るく、穏やかな世界だ。森のこびとさんたちが登場するようなメルヘンティックな世界が広がっている。微笑ましい。可愛く、そして巧いっ。
これは、ナイスな演奏だと思う。本当に愛らしい。理想郷ではないだろうか。

最後、4番目が「スイス軍隊の行進」となっている。
先のフルートの残響が消えないうちに、トランペットが鳴り出す。
「ぱぁ〜 ぱっぱっぱ〜 タッタラタッタラ タッタラっ ぱぱぱぱぱぱ〜っ」
「どっど どっどら ふぁそら どっど どっどら そみどっ」
「どっど どっどら ふぁそら どっど しら〜 ふぁらふぁ・・・」
アバド盤のこの「スイス軍隊の行進」は、めっちゃ速い。飛ばす飛ばすっ・・・ 
これって、昔の騎兵だろうに、まるで、天駆ける天馬のように、いや、空中戦のように、スゲー勢いで走り抜けていく。
馬にしては、速すぎじゃー。
一応ギャロップ風で良いと思うのだが、アバド盤は、4コーナーをまわって、直線に入ってムチを入れられた競走馬さながらだ。これには驚いてしまった。
ホント、前につんのめって転けそうで、ヒヤヒヤしながら聴いてしまう。
金管群が、ブブブブ ババババ・・・と、真っ赤な顔をして吹いていそうで〜酸素不足で倒れるんじゃーと思うし、ホント、手綱を持っている手に、汗が出そうなほど、猛烈に速い。

あのぉ〜 調べてみると14世紀頃の時代設定だと思うんですけど・・・。
これほど、顔をひきつらせて青色吐息になるほど速く、呆れるほど大音量で、一直線っ。ゴールを目指して突進しなくても良いだろうに、、、聴いているこっちが、思わず息切れする。
でも〜 時代背景を考慮すると、このアプローチが正解なのだろうな〜って思うが、どうだろうか。
まあ、驚くほどの速さと、音量パワーに、アッケにとられて終わる。煙に巻かれた気分なんですけどね。

シャイー ナショナル・フィル 1984年
Riccardo Chailly
National Philharmonic Orchestra

録音状態は良いが、少し残響多め。スピード感はあるのだが、アク、タメ、クセが無さすぎて、面白くない。
← 2枚組のCDも持っているのだが、ここでは1枚モノCDジャケットを掲載。

歌劇「セビリャの理髪師」序曲

この盤は、シャイー ナショナル・フィルのロッシーニ名序曲集で1枚モノのCD。
ワタシは、後に、2枚組のCDも購入したので、ダブり買いになっているのだが、この1枚モノのCDに収録されているのは、
1 「セビリャの理髪師」序曲
2 「セミラーミデ」序曲
3 「ウィリアム・テル」序曲
4 「ブルスキーノ氏」序曲
5 「絹のはしご」序曲
6 「どろぼうかささぎ」序曲
7 「アルジェのイタリア女」序曲 以上7曲である。

他にも、ロッシーニの序曲3曲とベルディの序曲4曲とカップリングされて、1枚のCDになっているモノもあって、結構チョイスする選択肢はあるのだが、いずれも軽快で、低音のあまりは入っていない軽めの録音になっていることと、残響がちょっと多めかもしれない。で、好みはハッキリと分かれてしまうかも。
このセビリャの理髪師は、さらり〜っと流されてしまっており、音響的には良いのだが、あっさりと行かれてしまって、冒頭の「ふぁふぁ〜 」という2音も、綺麗ではあるが、低音が入っていないので腰高に聞こえてしまう。
低音も入っていると言えば入っているんだけどなあ。低弦の弾む音もあるって言えばあるんだけどなあ。面白みが少ないような。フレージングが柔らかいのかなあ。
細かい「どどど れどっ どどど れどっ どどど れどっど しらっそ そふぁっ」 というフレーズが、あまり弾まないのである。

デュトワ盤だと、「タラン タラン タランっ」と、リズミカルに転がっていくのだが、この転がり方が素直というか、さらっとスピード感だけで持って行かれて、あれっ。
なんともクセのない音楽になっているなあ。
チャンチャンチャン・・・という裏の拍調子といい、底の部分で、ドンドスンと鳴る大太鼓や、パッパラ〜 パッパラ〜という、金管の開放的な鳴りっぷりが、無いというか。 豪快さに欠けているというか。

個々の楽器の巧さは感じられるんだけど、弾んだ感覚や、転がるリズム感には、かなり乏しい。
ロッシーニ特有のクレッシェンドのかけ方も、ぐぐ ぐぃ〜いぃ〜っ、と踏み込んできてくれるノビ感がなく、パワーが無いので、ちーっとも面白くない。
粘りけがないというか、アク、タメ、クセ感はないですねえ。
あっ〜 もったいない。 やっぱ、84年では、シャイーさんも、まだ素直だったというか、爽やかだったのかなあ。
例えば、「たぁ〜ら ラッタ タタ タァ〜」と言うフレーズだと、小さな「ぁ」に、ウェイトが無いので、モノ足らない感じがするんだと思う。(← ワタシは、素人なんで〜あまり突っ込まないでね)
スピードはあるんだけどなあ。

2曲目の「セミラーミデ」序曲の演奏は、パワフルなんだよねえ。勢いで持って行かれるし、ノリノリ感もあって、結構面白いのだ。 (曲によっても、ワタシの印象も、変わってしまうんですけどね。スミマセン)
今だと、どんな風に振ってくれるのか〜90年代後半、ミラノ・スカラ座との演奏で、ロッシーニの序曲を1枚のCDに収めたモノもあるので、また購入して聴いてみたいと思う。
オルフェウス室内管弦楽団 1984年
Orpheus Chamber Orchestra

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。とても軽快な演奏だが、小編成という感じがしない。
すっきりしてて勢いがあるので、むしろ、普通のオケより、音のとおりが良く、こまわりが効いてて良いかもしれない。金管より、むしろ弦の響きで聞かされる。
カップリング:
1 「タンクレディ」序曲
2 「アルジェのイタリア女」序曲
3 「幸福な錯覚」序曲
4 「絹のはしご」序曲
5 「セビリャの理髪師」序曲
6 「ブルスキーノ氏」序曲
7 「結婚手形」序曲
8 「イタリアのトルコ人」序曲

歌劇「セビリャの理髪師」序曲

オルフェウス室内管弦楽団のCDで、ロッシーニ? 珍しいなあ〜と思って買ったCDである。
ロッシーニの楽曲だと、イタリア人の指揮者でないと、ちょっと楽曲に合わないかもと思っていたが、これは、精緻な演奏だと思う。
CDのブックレットを拝見すると、総勢26名だと書いてあり、リハも本番も指揮者なしで演奏すると書いてあった。
みごとだと思う。指揮者を置かない弦楽合奏団だが、さすがに、ぴたっと合っている。
フルオケに負けず、ボリューム感もあり、遜色なしに演奏されている。

ロッシーニは、セビリャの理髪師以外は、あまり有名でなく、一発屋だと思われていた時代もあったらしいが、約40曲近くのオペラがあるそうである。
ワタシも、普段、あまりお聴きすることがない。で、タイトルすら知らなかった楽曲もあり、また、他のCDにも、入っていない曲もあって〜 例えば、幸福な錯覚、結婚手形という楽曲は、その名前すら知らなかったですね。
聴いても、どことなく金太郎飴状態で、すべて覚えられずにいるが、あっけらかん〜っとしているのが、ロッシーニっぽくて、なかなか楽しそうである。
さて、セビリャの理髪師は、テンポはもう少し速いほうが、ワタシ的に良いように思うが、演奏自体は丁寧だ。
録音状態も良いし、シャンシャンと鳴っているし、充実した1枚ではないだろうか。普 段、あまり聴く機会の少ない珍しい楽曲が含まれているのが、ミソって感じがする。ちなみに、シノーポリ盤は、CD2枚組で14曲が収められているが、そこにも「幸福な錯覚」収録されていない。

チェリビダッケ ミュンヘン・フィル 1984年
Sergiù Celibidache
Münchener Philharmoniker
(Munich Philharmonic)

はぁ?

録音状態はまずまず。ライブ盤で拍手入り。
カップリング:
1 ロッシーニ ウィリアム・テル序曲(1993年)
2 ロッシーニ セミラーミデ(1983年)
3 ロッシーニ 絹のはしご序曲(1992年)
4 ロッシーニ 泥棒かささぎ序曲(1995年)
5 ヴェルディ 運命の力序曲(1989年)
6 モーツァルト ドン・ジョヴァンニ序曲(1982年)

歌劇「ウィリアム・テル」序曲

ライブ盤で、演奏前後に拍手が入っている。
収録された時期が、全くのバラバラ状態なので、一概にはいえないが、1曲目のウィリアム・テルを聴くと、録音状態は良いのは良いのだが、残響がほとんど入ってないのではないかと思うほど、直接音で終始しており、ホールで聴いている感じがしない。もちろん、拍手は入っているので、おおっ ライブだ。という感じ。
ミュンヘン、ガスタイク・フィルハーモニーでの収録である。

最初のチェロのソロは、しっかりと演奏されてて、室内楽のように聞こえてくるし、愉悦性は高くないけれど、おっそろしいほどにカッチリしてて、精緻な演奏だ。このソロだけで、息をのんでしまった。
ひろひろひろ〜っと弦が奏でて、木管が、「しれそっ ふぁっそっれっ ふぁっそっれっ ふぁそれっしれふぁそしれ ふぁしっ・・・」って入ってくるところは、なんとも言えない神妙な感じがする。

で、ロッシーニ・クレッシェンドというところは、段々とボリュームを上げていくのだが、均等に、均質的にあげてくるし、また、金管の鳴りっぷりも、なんとも言えない、ちょっと変な均質感がある。

えーっ 金管の音が、同じ音量で、ペタンっとした音圧が、耳に入ってくる。
どういえばいいのか〜 音の広がり感が、無いというか、そのまま、四角四面に出てくるので、は?
音がダイレクトに、広がり感も、奥行き感もなく、同じ音量で同じ方向性で音が出てくる感じがして、かなり変な感じがした。音の幅がカットされているわけではないと思うのだが、双六で使うダイスみたいな感じ。
立方体というか、いや、奥行きがないので、正方形の音というか・・・
うちのスピーカー変なの? いや、変えてないけど?
それにしても、愉悦性は、全く無いというほど、愛想は欠片もない。
あの、トランペットの入ってくるところも、音符がそのまま音になったらしい〜って感じで、馬に乗っている感じではないのだ。
馬ねえ〜 いろんな馬があるように思うんですけど、人馬一体になって走る、または、行進するって感じではないのだ。
精密機械に乗せられて、仕分け作業に向かう、リンゴやミカンのように〜 並んで流れて行くみたいな感じで、へんてこりんだ。

いや〜 数度繰り返して聴いたんですけど、凄いんですけど〜 カッチリしすぎて、楽しめないというか、人間味がないというか、もちろん、わるかろうはずはないんですけど、ハイ、ワタシ的には、全く、好きにはなれないです。
これ、確かに、ロッシーニだよね〜 うん、確かに、ロッシーニだけど・・・ という、キョトンっとした感じで終わる。
演奏家のみなさんは、どうぞ、自分の腕をあげるためにも、聴いてください。

シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 1985年
Giuseppe Sinopoli
Philharmonia Orchestra of London

録音状態は良い。少し長めの残響があり、クリアーさには欠けているが、その分、陶酔感がたっぷり。特に4楽章は白眉。
テンポの勢いの良さ、内声部の綺麗さ、歌の甘美さはあるが、地の底からわき上がってくる要素は少ない。

ロッシーニ序曲集 シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 2枚組

1 「ウィリアム・テル」序曲
2 「ブルスキーノ氏」序曲
3 「ランスへの旅」序曲
4 「絹のはしご」序曲
5 「どろぼうかささぎ」序曲
6 「イタリアのトルコ人」序曲
7 「アルジェのイタリア女」序曲
8 「セビリャの理髪師」序曲
9 「トルヴァルドとドルリスカ」序曲
10 「結婚手形」序曲
11 「オテロ」序曲
12 「セミラーミデ」序曲
13 「コリントの包囲」序曲
14 「タンクレディ」序曲

歌劇「ウィリアム・テル」序曲

通例は、英語読みの「ウィリアム・テル」って言うが、輸入盤のCDを買うと、ドイツ語の「Wilhelm Tell」や、「Guillaume Tell」という表記になっている場合がある。 まっ、ドイツ語読み「ヴィルヘルム・テル」、フランス語読み 「テルギヨーム・テル」の違いだけど。

フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」によると、この「ウィリアム・テル」伝承は下記のとおりである。
・・・伝承によれば、当時ハプスブルク家は、神聖ローマ皇帝アドルフの時代に強い自治権を獲得していたウーリの支配を強めようとしていた。
ヘルマン・ゲスラー(ウーリのアルトドルフにやってきたオーストリア人の代官)は、その中央広場にポールを立てて自身の帽子を掛け、その前を通る者は帽子に頭を下げてお辞儀するように強制した。
しかし、テルは帽子に頭を下げなかったために逮捕され、罰を受ける事になった。
ゲスラーは、クロスボウの名手であるテルが、自分の息子の頭の上にある林檎を見事に射抜く事ができれば彼を自由の身にすると約束した。
テルは、息子の頭の上の林檎を矢で射るか、それとも死ぬかを、選択することになった。
1307年11月18日、テルはクロスボウから矢を放ち、一発で見事に林檎を射抜いた。
しかし、矢をもう一本持っていた事を咎められ、「もし失敗したならば、この矢でお前を射抜いて殺してやろうと思っていた」と答えた。 ゲスラーはその言葉に怒り狂い、テルを連行する。しかし彼はゲスラーの手を逃れ、その後姿をくらましつつゲスラーを陰から狙撃し射殺。町へ戻った彼は英雄として迎えられ、この事件はスイスの独立に結びつき、反乱の口火を切った。・・・とのこと。

「頭のうえのリンゴを、矢で突き刺す」
ようやく時代背景や、その理由がわかった。ふむ、スイスの独立かあ〜。
じゃっ、この序曲の4番目、「スイス軍隊の行進」っていう意味がわかるね。
また、スイスの独立のきっかけとなったということを考えれば、起承転結となっている、夜明け、嵐、牧歌、スイス軍の行進という4つの楽章の意味が、単なる風景や情景描写ではなく、もっと深い意味が込められているように読める。

で、シャイー盤の演奏は、おおらかで伸びやかだ。
「夜明け」の冒頭チェロの合奏部分は、各5本のチェロがフレーズを歌っているし、「嵐」の部分では、ブラスに迫力がある。 でも、パワーやメリハリ、ドラマ性は、アバド盤の方がずーっと高い。
アバド盤は、かっちりしているというか、直線的で、歯切れが良すぎるって感じもするんだけどね。
シャイー盤の方は、ちょっと、てれ〜っとフレーズが続く感じがする。フレーズに深さがないというか、平板な感じがしてしまう。
しかし、これはアバド盤と比べてのことで、一般的には、穏やかでまろやか。のびやかで楽天的で、ロッシーニとしては、これで良いかもしれない。
しかし、「牧歌」も、イメージが湧かないし、フレーズが曖昧になっているような、とどまることなく、単にすーっと過ぎてしまうし、「スイス軍隊の行進」は、情熱に欠けている。
端的に言っちゃうとインパクトが弱く、いたって普通ーーっ。
前述したように、時代背景などは考慮されず、各楽章が、あまり際立ってない。というか、楽曲に深い読みを与えていない。 お気楽なコメディ風な、ロッシーニの他歌劇の序曲だと、まー こんなアプローチで良いのだろうと思うが、ウィリアム・テルという伝承や時代背景、スイス独立という国のあり様を知ってしまうと・・・
う〜ん。これで良いんだろうか。と疑問に思っちゃう。 深い意味が感じられないことに、物足りなさを感じてしまうのだ。
このウィリアム・テルの後、ロッシーニは隠居してしまって、作曲してないし。う〜ん。やっぱ、この楽曲は、他の序曲と違って、イミシンに考える必要があるように思うんだが〜 そうなると、シャイー盤よりアバド盤の方が、ずーっと説得力があるのではないだろうか。

デュトワ モントリオール交響楽団 1990年
Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は良い。なんという煌びやで軽快な楽曲なんだろ〜っと、惚れ惚れさせられる。流麗で躍動感あふれる演奏で、拍手っ。
カップリングは、下記のとおり。

ロッシーニ 序曲集 デュトワ  モントリオール交響楽団
1 「絹のはしご」序曲
2 「セミラーミデ」序曲
3 「どろぼうかささぎ」序曲
4 「ウィリアム・テル」序曲
5 「セビリャの理髪師」序曲
6 「アルジェのイタリア女」序曲 
7 「ブルスキーノ氏」序曲
8 「シンデレラ」序曲

歌劇「ウィリアム・テル」序曲

デュトワ盤を聴いていると、やっぱりスマートだな〜と思う。
どこの物語なのか、その舞台の雰囲気にマッチしているのかどうかは、ちょっとわからない。
黒い森のなかのワンシーンみたいに思っていたら、ちょっと違う。暗さや翳りは見えないし、陰影がついてて、物語をイメージするには、ちょっと遠い。
シャンシャンという軽快な音と、木管の軽やかな音色、さらさらした弦のフレージング・・・
綺麗というか、煌びやかというか、さらっとした雰囲気で通っていく。
重心は下になく、重量感が少ないので、そこが好みの分かれめになるかもしれません。

歌劇「セビリャの理髪師」序曲

オチャラケ的なロッシーニの歌劇だが、そのなかでも、超ケッタイな(大阪弁)楽曲。
しかし、冒頭から、デュトワ盤は、華麗な音が流れてくる。
「ふぁふぁ〜 ふぁふぁふぁそっ らららしっ どどどれっ れぁ〜らし れぁ〜らし」 
「どどぉ〜  みみみふぁ そそそらっ しししどっ どぉ〜そら どぉ〜そら」
もちろん、弦のツヤツヤした音は健在だが、極めつけは木管。フルートもオーボエも、すごい。
香り放っているって感じだ。
で、オーボエの「ら〜〜〜」の透明度の高いこと。
「ら〜〜〜 しぃ〜〜 どぉ〜 れ〜らそふぁど〜らそふぁ そそそそ〜」
長い絹のような音と、転がるパラパラとした音と〜 ひぇ〜 すごい。
弦の艶のある音色と、長くのばす音についても、申し分なく弾力性のある細い音で続く。
いや〜。これは絶品でしょ。
アッケにとられちゃうほど鮮やかな色彩感があり、艶と弾力、そして明るい音で、彩度が高い。
なんていうか、湿気の少ない、さっぱりした柑橘系の開放的な音なのだ。
らぁ〜とのびる「ア」の母音のノビがあって、広がる明るさがある。

「らぁ〜しらそふぁみれ〜 しぃ〜 どしらそ ふぁ〜み」
「どぉ〜 ふぁられ どっし〜ふぁ〜そ どぉ〜ふぁられ どっし〜ふぁ〜そ」
「らぁ〜〜しどれみ ふぁ〜れ そらし ふぁ〜 そふぁそら ふぁ〜」
木管の艶のある明るい音が特徴的で、なんともラテン系のホント青空の元で吹かれているような爽やかさがある。
また、細かい「どどど れどっ どどど れどっ どどど れどっど しらっそ そふぁっ」 というフレーズも、何とも言えない弾みがあり、タラン タラン タランっと、リズミカルに転がっていく。
チャンチャンチャン・・・という裏の拍調子といい、底の部分で、ドン、ドスンと鳴る大太鼓。
パッパララ パラパラ パラパララ パラパラ〜という金管の開放的な鳴りっぷり。
大太鼓の音が、イマイチのソフトフォーカス的に響くが、特に問題もないし〜 あ〜面白いっ。

「らぁ〜しどぉ どぉ〜 みっみっ ふぁふぁ らっらっらっ らぁ〜し」
「しぃ〜どれ れぇ〜 みみっしっしっ ど〜れ」
このフレーズのオーボエは、こりゃ絶品。ロッシーニ・クレッシェンドと呼ばれる、ドンドンっと大太鼓の鳴ってくるなか、ぐぐ〜っと音量を上げていくところも、なかなかに面白いし。
弦の弾みと木管の弾みが絶妙で、巻き舌風に昇っていくところがなんとも、リズミカルで、楽しいっ。

皮肉っぽく、諧謔的な楽曲だとは思うのだが、デュトワ盤は、これは理屈抜きで面白いですね。
楽しくて、ワクワクしちゃって、しょうがない。軽妙すぎるほど軽妙で、でも、品はあるしね。
演奏巧いです。役者だなあ。やっぱり。と感心しちゃう。手放しで大喜びしちゃう。
ホント、それに、木管群がこんなに巧いとはねえ。感心しちゃった。
理屈抜きに、巧くて、面白くて、楽しくて〜 大喜びで拍手〜しちゃいます。
アバドさんには悪いけど、、、ワタシは、このデュトワ盤で、ロッシーニを見直しちゃいました。

1971年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★★
1978年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★★★
1984年 シャイー ナショナル・フィル ★★★★
1984年 オルフェウス室内管弦楽団 G ★★★★
1984年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI ★★★
1985年 シノーポリ フィルハーモニアー管弦楽団 Dec ★★★★
1990年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★★
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