1 ヴィシェフラド(高い城)
ハープの音色から始まる「どふぁ〜みど ど〜(ぱらら〜) られ どふぁ〜(ぱらら〜) らし〜っ ど〜」
なんとも、品のない文字での表現してしまったが・・・ ↑
コシュラー盤は、大変美しい出だしで、心に染みるような穏やかさの持った演奏である。
柔らかく、優しく、素直な〜っという演奏だと思う。これは、このハープの冒頭フレーズより、すぐに感じる。
で、これが終始続く。こりゃ〜 冒頭より、なんとはなしに演奏されていないな、と感じるのだ。
どーしてだろう。
音と音の間合いが、まず充分なこと。単にテンポがゆったりしている。という話ではなく、丁寧な喋り方で、考えて喋っているな〜と感じさせる人っているが、そんな具合なのだ。
音が大事に出てくる。で、思わず聞き入ってしまったという一枚である。
決して緊張を強いる演奏ではなく、でも、フレーズの最後の高音域には、メリハリ感のあるハープ、そして、優しく引き継がれて、ふわ〜っと出てくるホルン。
「どどど どっふぁ〜みど ふぁ〜みど れ〜どら れ〜どら ど〜しらそ し〜ふぁふぁ〜」 このフレーズが、フルートに引き継がれていく。音に丸みがあり、ゆったりと手渡しで音が出てくる。
ホント、何度繰り返して聴いても、しみじみ〜と染み渡るフレーズの受け渡しで、ここだけで感動してしまう。決して声高に言う主張の強い演奏ではないのだが、耳を傾けてみると、じわーっとくる。
しかし、吟遊詩人が、王国の伝統を格調高く歌いあげていくものの、弦はうねりが出て良いのだが、音に厚みがない。
「らしどし らしどし らっ〜そ〜ふぁれ〜 そ〜ふぁれ どれみれ どれみれ そ〜ふぁれ」と、壮大に盛り上げていくところでは、低弦があまり出てこず、いまひとつ重厚な響きに欠けている。
2 ヴルタヴァ(モルダウ)
有名なモルダウのフレーズは、意外と速め。初めはフルートが軽やかにせせらぎを表し、弦がうねっている。ハーモニーとしては、ホルンのフレーズがよく聞こえていることと、中間の音の見通しが良い。
ごっつい感じの河というよりは、総体的に清流的に終始している。
楽章の中間部分 「ふぁふぁ ふぁふぁ どどどど どししみ みれれど しれれみっ みれれ〜」
フレーズに強弱をつけて、幾分テンポを揺らしている。室内楽的な響きで揺れている。ティンパニーの響きも軽やかに響く。フルートの音色を初めとして、音色が優しく、ハーモニーも柔らかく揺らめいているところが特徴だと思う。激流と化しているところでも、決して荒々しくなっておらず落ち着きがあるというか穏やか。
でも、響きはやっぱり薄い。大太鼓があると思うのだが、そこれは良いとして、なぜか中音域が薄く感じるのだ。音量がう〜ん。イマイチだなあ。音色は渋い色調ではなく、中庸的な色彩で近親感を覚える。
3 シャールカ
「どっ らどーしら ど〜みれどっしら ら〜そふぁし〜 し〜らそふぁみれ どしら・・・」
ここのキレは悪い。ヴァイオリンが甲高く聞こえるのだが、下支えしている筈の音の層が薄くて。う〜っ 悲しい。チェロとかコントラバスの音もあると思うんだが、イマイチ音を拾えていないように思う。
腰高になっており、厳しさがイマイチ。
「みっ ら どしら そっ ど みれど・・・」 この間に、トライアングル入ってくる筈だが、う〜っ小さいっ。
聞こえないぞ〜っ。と思っていたら、チェロだけが良く聞こえている部分もあるし、総体的に弦は良いのになあ。音のバランスが悪いのかなあ。よくわかんない。
「らっどっみっれっどっ!」と活気のあるフレーズは、他の盤と比べるとパワーが少ない。
4 ボヘミアの森と草原から
「ら〜 みれみ どれみ どれみ らしど しどら・・・ 」 アンサンブルが、ちょっと ん?と思ったところもあるが、ここでは、金管の重厚さが出ている。テンポはゆったりめ。音のバランスがイマイチなのだろうなあ。
手慣れたという感じがしないので、まだ新米って感じがする。でも、まあ〜素朴感もあって良いです。
で、ここのオケのフルートとホルンだけ、なんだか目立ってる。
「れ〜そ〜 らそらそ〜 れ〜ら〜 しどれら〜 れ〜そ〜 らそらし〜 どしら そ〜らそらしどれ〜」
ソロ部分のようなところは巧いのだろうが、全体的なバランスになると。う〜って感じなのだ。惜しいっす。
私的な好みとしては、もう少し低弦などの厚みが欲しいところ。でも牧歌的な雰囲気はよく出てる。
5 ターボル
6 ブラニーク
「み〜〜 みみみっみ みみみっみ〜」
初めて聴いた人だった、はあ? 蝉じゃーないんだけど。と思うようなフレーズが、ずーっと続く。
遠い奥の方から、ずずず〜っと、しつこく続いて出てくるフレーズである。
で、金管とティンパニーがあわさって、おどろおどろしく、厳しく鳴る盤もあるのだが、コシュラー盤は優しい。
う〜ん。ここは、もちっと粘って、厳つくして貰わないと、宗教戦争を描いたモノとしてはイマイチかもしれないし、フス教徒の確執が出てこないんだけど・・・。
こりゃ〜 優しさがアダとなっているかもしれない。低弦がやっぱ、優しすぎるんだ。
金管の太さい響きもあるにはあるのだが、音が明るくて柔らかいっ。ひぉ〜綺麗すぎる。
あ〜 アカンで、この宗教戦争、血みどろだったんじゃー ないのかよぉ。
「れっししし〜 れっししし〜 みみみっ ふぁれれ〜 み〜み〜 みれれ〜」
綺麗すぎるんだぁ〜
「そ〜しどれ〜し そそそらふぁ〜 みみ〜どしどぉ〜」 コラールの和音が綺麗すぎるっ。
涙でそうなぐらい美しい。コシュラー盤では、この楽章はレクイエムのように演じているようだ。
主題が変わって、「そそそらふぁ〜 そそそらふぁ〜 そそそら しししど どれれみど〜」
テンポが、いきなりあがってきた。おっ こうでなくちゃ〜と思ったら、落ち着いた主題に変化。
で、また「ど〜みふぁそ〜み どどどれし〜 どどどれし〜 どどれれみ ふぁふぁそふぁ〜」 嵐のようなフレーズに突入する。
ホルンの短い音の持続音のなかで、弦が走り回っている。
カトリックとフスとの対立を描いたモノだというが、あまり歴史的な背景は存じ上げない。しかし、宗教的なコラールが出てくることと、和音の美しさ、優しいなかでの激しい意思力は感じる。
単なるバトルではないのだから・・・。そうだなあ。血みどろじゃーダメかあ。
血の気の多い演奏もあるが、このコシュラー盤は、熱くなりすぎず、テンポをあまりいじらずに演奏している。素朴で素直、端正な演奏だが、ちょっと素直すぎるかも。
熱い盤も多く、それを期待するところもあるので、ちょっと、このコシュラー盤は、分が悪いかもしれない。
しかし、熱狂的にも感じたいと思うけれど、穏やかで聞きやすい盤である。
本来ならば、歴史的背景を知った上で、この楽曲は聴かないといけないとは思うが、なかなか理解するところまでには至っていない。
オクニモノの代表のような楽曲である。なかなか良し悪しなんぞ、言いづらいな〜というのが、私のホンネである。だが、そういいつつ他の楽曲だって、それぞれオクニモノであることも確か。(苦笑)
この楽曲の難しいところは、やっぱ最後2楽章の演奏を、どう受け止めるか。ってところでしょうか。
そうなると、このコシュラー盤は、緩いと言わざるを得ないかなあ。自然体で良いのだが、、、
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