「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」
Stravinsky:
L'Oiseau de Feu (The Firebird


マゼール ベルリン放送交響楽団 1957年
Lorin Maazel
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
(Berlin Radio Symphony Orchestra)

これもありかっ

録音状態は良い。アナログからデジタルにリマスタリングされており、思った以上に良かった。57年とは、とっても思えません。スピードに特徴があって、結構遅めで始まる。
カップリング:ファリャ「恋は魔術師」、「三角帽子」抜粋版 録音は65年。
メゾ・ソプラノ:グレース・バンブリー ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲版(1919年版)録音は57年。録音は全てステレオである。

マゼール盤は、1919年版(組曲版)である。21分というクレジットになっている。
第1曲 「序奏」
第2曲 「火の鳥の踊り」
第3曲 「王女たちのロンド」
第4曲 「魔王カシチュイの踊り」
第5曲 「子守歌」
第6曲 「終曲」となっている。

古い録音なのだが、リマスタリングされており、録音状態は良い。
まあ、もちろん耳を澄ますと、古めかしくは感じるが、奥行き感は、たっぷりあるし、この時代としてはとびっきり良かったのではないだろうか。
録音環境も、技術も、状態もホント良かったのだと思う。
CDに収められている楽曲がバレエ音楽で統一されているので、インデックスが細かく分類されているが、若い頃の、おそらく20代後半のピチピチしていたマゼールさんの演奏である。

序奏部は、驚いたことにスピードが遅めにとられていて、じっくりと聴かせてくれる。
第2曲めの「火の鳥の踊り」も、キラキラしてて、ピアノの音も弦のピチカートもリアルだし、金管の煌めき度も相当に高い。
残響もすごく良く録れている。
第3曲の「王女たちのロンド」での、ホルンの響きは、さすがに古風な感じがしたが、テンポを遅めにしてじっくり演奏されている。音質や雰囲気が、ひんやりしており、透明度が高い感じで、怜悧な感じがする。
しかし、息づかいが深く、場面の展開に気遣いが見られて、しっかり丁寧に描かれている感じがする。
劇だというのが、すごく感じられて、音しか流れてこないのに、フシギと、視覚的に訴える力が強い。

まあ、ちょっと演奏が危ないんですけど〜
セッション録音のわりには一発録りなのか、アナログのよいところというか、何度もやり直してテープのツギハギという感じになってないところが、ナイス。
そして、終わりの方が、すごーく遅めになっているので、3曲目と4曲目の間合い十分で〜
第4曲 「魔王カシチュイの踊り」は、ガツンと一発〜という感じで、勢いよく音が四方八方に飛びだしてくる。
飛び出す絵本みたいで〜破裂音のインパクトが強い。意外と衝撃が強いし、かなりリアルで驚かされる。
へえ〜 これが57年なのぉ。

現代のライブ盤の方が、めちゃ、がっかり〜という録音の時があるが、これは、超納得の良い録音である。
ホント、幾分割れ音気味の金管の音に、木琴の目の前で叩かれているようなリアルな音、金管のレアな音。 スピードが上がってくると、ちょっとずれそうになっている縦線・・・ くだけて滑るグリッサンドのコミカルな音。
で、最後、急にテンポアップして、ありゃーっ ついて行けなくなりそうな〜 気配のするところがあって、苦笑い〜
こりゃ楽しい。ある意味手に汗握るスリリングさがある。

第5曲の「子守歌」は、いっきに弱音でスローテンポで演奏される。
それでも、オーボエの音や弦の1音1音が分離されて見通しの良いこと。すごい。
弦の弱音も、ホント綺麗に録音されており、終曲の 「そぉぉぉ〜そ〜ふぁ みそれ〜ど」に入ってくる直前の、何とも言えない緊張感が、聴き手にもすごーく.伝わってくる感じで、思わず聴きながら息をのんでしまった。
弦の音が、恐ろしいぐらいに、それぞれに分離されていて怖いぐらい良く聞こえる。
金管の音は鋭利で、まろやかさに溶け合った音とは言えないが、ライブ盤のように、完全無欠の完成型の演奏でないところが、妙にリアルで、聴いててドキドキして〜 ワタシ的には、生演奏のようにとても楽しめたCDである。


ブーレーズ ニューヨーク・フィル 1975年
Pierre Boulez
New York Philharmonic

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。切れ味の鋭いスピード感のある演奏で、情報量も多く、格好が良い。また、スタイリッシュでダイナミック。
定盤中の定盤として、まだ君臨できそうだ。
カップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」(1910年版)、バルトーク 中国の不思議な役人

ブーレーズ盤は、92年のシカゴ響との録音もあるが、ぜーったい、このニューヨーク・フィルとの演奏の方が良い。
春の祭典(クリーヴランド管弦楽団)、ペトルーシュカと共に、昔からの定盤中の定盤とされているもの。
今聴いても、まったく遜色のない録音状態だし、情報量の多い、いろんな音が詰まっている、カラフルな火の鳥となっている。パーカション群の音も、綺麗に入っているし、リアル感がある。

「イワン王子に追われた火の鳥」でのハープの音なんか聴いていると、音が上昇し、ぐるっと回ってくるかのような、音の流れがあり、ホント、魔法にかけられた感じで、星の粒が弾けて飛んでいるかのようだ。

「火の鳥の踊り」なんぞ、すごすぎ〜 このスピードの速さと、鳥の鳴き声を象徴する木管の音も、ミュート付きの金管の音も、これだけのスピードに完璧に、ぴたっとハマってて、カラフルな音が、次から次に飛びだしてくる。
音も硬いわけでも金属的でもなく、ゆったりとしたフレーズであれば、たっぷりとした響きが、ふわっと出て来る。
確かに、音の響きは木質的ではないし、デュトワ盤のようなシャカシャカっとした煌めき度はないが、パーカッションの音が、勢い良くストレートに弾き出されるスピード感がある。幾分、冷たい空気感のなかで、シュワーッと出てくる感じだ。
特に、木管の響きや弦のピッチの細やかさが、何とも言えないスピード感を醸し出している。
弾ける音が全て、活き活きとしてて、無駄な動きが、ひとつもない感じだ。ひゃ〜 やっぱ、このブーレーズ盤すごいっ。

「王女たちのロンド」は、流麗ではあるが、すーっとヒンヤリした絹のような雰囲気で奏でられるし、「夜明け」のトランペットの響きも、右左に移動しており、すごく動きがあるし、ひゃ〜
今日、聞き直して、さっすがだ。と、惚れ直してしまった。
このブーレーズ盤は、緻密で明晰だと評されていたが、確かにねえ〜 音の粒が、クラッシュしてないというか、録音状態も極めて良いんだと思うが、音が横に、ぶわっと広がらず、そのままマイクに飛び込んで来ているような感じなのだ。
「魔法のカリヨン、カスチェイの番兵の怪物たちの登場、イワンの捕獲」でのパーカッションも、綺麗だ。
チューブラベルと鉄琴の音が細やかに反響しており、鋭い音を放ちつつも、スマートな金管の音と相互に主張している。
トランペットの音なんぞ、そのままストレートに自分の耳に届くような、回り道をしていない音って感じで、これは、すごいことなんじゃーないだろうか。
個人的には、いつも、残響のあるふわっとした音が好みなのだが、突き刺さってくるような音でもなく、不思議だ。
「王女たちのとりなし」で、弦がゆったりとフレーズを奏で出すと、緊張感が解き放たれて、ふわっと眠気を誘われてしまうのだが、耳はそばだっているし、「火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り」も、木琴などのパーカッションの速さに驚き、思わず耳も立ってくるし、目を見張ってしまった。

もちろん、「カスチェイ一党の凶悪な踊り」に至っては、もっとスピードが上がっているし、圧倒的な音量で、金管のぶっ放しがあるし、クリアーな音が、猛スピードで格好良く飛んでいく。
バタ臭さ、土俗的な要素は微塵もない。
透明度の高い、流線型の近未来的な航空機が、こっちに向かって飛来してくるかのような感覚だ。
音に粘りは少なく、かといってパサパサ感はない、人によっては金属的という感じの響きだと思うが、火の鳥を聞き込んだ人にとっては、耳のご馳走になり得る。
ミュート付きの金管が、嫌な耳障りの甲高い音質ではないのが、嬉しい。大太鼓の響きも、くぐもらず、よく、これだけ速いスピードで、音が鳴るなあ〜と、ホント、驚いてしまった。

なんだか、ずーっと、興奮気味で喋ってしまったが・・・
最後の大円団は、トランペットの入ってきたところからは、ちょっとテンポを落として、ファンファーレを形づくっていく。
堂々としてて、このテンポだけは、時代がかっている感じがするのだが〜 正直言って、ここに至るまでに凝縮された演奏を聴いているので、心地よく疲れ果てており、ファンファーレで、いっきに解き放たれた感じだ。
生演奏に接したような感じで、超満足感、充実感を得た。う〜ん さすがにすごい。惚れ惚れ〜っ 拍手っ!

総体的には、暖かい空気感というよりは、シャープで怜悧な演奏で、ストレートに音が放たれている。
しかし、そこには、金属的でもサイボーグ的でもなく、ちゃんと血の通った鋭さであるが、たっぷりとした芳醇さはない。
お酒で言えば、完全に端麗辛口系で、まったりとした舌触りはないが、きりっと、引きしまった、洗練された流れが形成されている。
情報量も、彩度も高く、スピード感のある演奏で近未来的で、この録音された時代では、想像を遙かに超えていたんじゃーないだろうか。21世紀にも通じるスタイリッシュでダイナミックな、他の追随を許さない演奏だと思う。う〜ん すごい。


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C・デイヴィス コンセルトヘボウ 1978年
Colin Davis
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。録音状態は良い。低音域の豊かな響きと、細やかなフレージングが美しい。いっけん地味だけど、ふわっとした暖かさがあり、聞き込めば聞き込むほど〜 惚れ惚れとしてくる。1910年全曲版
C・デイヴィス盤は、1910年の全曲版である。
アナログ時代の最後の録音だが、音響が良いことで有名な盤である。
同じコンビで、76年に録音された「春の祭典」、77年「ペトルーシュカ」に引き続き、78年にこの「火の鳥」録音されており、それぞれが豊穣な響きを保っている。

久々に聴いたのだが、とっても満足のいくものだ。 スピード感は、少し他盤に負けちゃうかもしれないが、特に低音の響きが豊かで、う〜ん、生オケで聴いているみたいなホール感があり、丁寧でたっぷりとした音づくりに感動しちゃう。
1978年の録音としては超優秀だ。 ホント、うれしくなっちゃう。

このC・デイヴィス盤は、火の鳥の全曲版で、すなわち1910年版で演奏されている。
昔、LP時代に聴いていた時は、ストーリー全体の情景を思い描けず、冗長で、退屈な楽曲だというイメージを持ってしまっていたし、組曲版のほうが、てっとりばやく聞けるので、全曲版は敬遠してしまっていた。
だから、若い時、また、最初に聞くときは、組曲版の方から聞く方が良いかもしれない。
各楽器の音が耳に馴染み、ストーリーを、そこそこわかってくるようになったら、全曲版にトライした方が良いかも。

さて、C・デイヴィス盤・・・。デュトワ盤のような華やかさ、ドラティ盤の腰のしなやかさ、ゲルギエフ盤のような泥臭さなど、特に特徴があるわけではないので、地味な存在となっているかもしれないが、結構、丁寧に描かれた、立派な演奏である。特に、冒頭から、低い木管の音色が、もごもご〜っと、地底から盛り上がってくるように聞こえてくるし、低弦の震えるような音色とか、「ふぁどし しれみ ふぁれふぁ しそふぁ みしら しそし みそら・・・」と続くところなんぞ、おどろどろしい雰囲気もたっぷりだ。

とにかく、低い音域の響きには驚かされる。腰の力強いさを感じるし、全体の空気感が、たっぷりとしている。
間合いの良さもあるし〜 
鳥の羽ばたきの高い木管の音色には、派手さはないけれど、金管のパパパパ パッという音の広がりや、ハープのグリッサンドも、暖かい音質で、ふわっとした感覚でありながら、腰の柔らかさと共に、芯のある弾力ある広がり方をしている。
金属的な音ではなく、柔らかいけれど、適度な粘りがあって〜 う〜ん。すごい。
コンセルトヘボウならではの、オケの響きの豊かさに、思わず、うなってしまう。

彩度は高くないけれど、低音から中音域のたっぷりとした響きのなかに、質の高い楽器の音色が詰まっている。
もちろん、次々と繰り出されていくパッセージなので、聞き分けることが難しいフレーズもあるのだが、特に、各木管の音色には、耳が思わず、ぴくぴく、、、と、ひきつけられる。
スピード感はさほどではないのだけど、ぞくぞくさせられる。

もちろん、木琴のフレーズとか、ヴァイオリンのフレーズとか、主となる旋律は、十分に歌っているし、のびやかで、ふくよかな、美しさを感じさせるものとなっている。タメ感もあるし〜 いやーっ なかなか美しい。
細かな動きの部分と、たっぷりと歌うメロディーラインのメリハリが、しっかりついてて〜 何度も聞きたくなってしまう。
まるで、線香花火のように、すぐに消えてしまうパーカッション部分なんかも、芸が細かいな〜って思う。
リズミカルだし、ノリ感もあるし、おちゃめっけもあって多彩だ。

ホルンの響きも、ぶっといチューバの音も、とーっても、まろやかで、間合いの巧さと共に、音の広がりと音色に惚れ惚れさせられちゃう。これだけ楽器を、多彩に使ってくるストラヴィンスキーさんも凄いけれど、これを、ある意味統一した音色で、まとめあげてくるオケの力量も、すごいな〜と思う。
各楽器の音色は、それぞれ特徴が出ているのだが、なだらかに各楽器に受け継がれ、紡ぎ上げられる旋律は、全体的な色彩として統一感を感じさせるものとなっている。キラキラ輝くような派手さはないけれど、見れば見るほど奥行き感のある、奥深いグラデーションで彩りがされているようで、思わず見入って(聞き入って)しまう。

そうですねえ〜 まるで、地模様のような雰囲気がある。
織りの美しい絹織物でも、拝見している気分で、浮かび上がってくる美しさが〜 う〜ん。見えてくるまでには、ワタシも、まだまだ聞き込みが足らないけれど〜 いったん見え始めると、恐れ入りました〜的に、ひれ伏したくなる感じ。(笑)
お酒でたとえるなら、やっぱ熟成された、深みのあるコニャック系みたいなものかしらん。(そんな高級品、あまり飲む機会はないですけど)
まっ そんなわけで、ワタシ的には、今後も、ずーっと聴いていきたい盤の1つとなっている。


ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1978年
Riccardo Muti
Philadelphia Orchestra

いかすぜっ

録音状態は良い。重量感はないが、軽妙で、彩りが鮮やかな演奏である。
序曲1812年は録音状態はよろしくないが、この「火の鳥」の録音状態は良い。
1919年組曲版
カップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」、ムソルグスキー「展覧会の絵」、チャイコフスキー序曲1812年
ムーティ盤は、1919年版(組曲版)である。
で、このCDでのインデックスは、6つに分かれていて、それぞれを紹介しておくと
第1曲 「序奏」
第2曲 「火の鳥の踊り」
第3曲 「王女たちのロンド」
第4曲 「魔王カシチュイの踊り」
第5曲 「子守歌」
第6曲 「終曲」となっている。

ムーティ盤は、78年という年代の録音のわりには、意外と、ホント意外にも、録音状態は良い。
このCDでカップリングされているチャイコの序曲1812年は、派手な演奏で音が割れ気味なのだが、火の鳥は良い。
だから安心して聞ける。
(CDの発売された年によっては、序曲1812年はカップリングされていない場合があります。)
で、フィラデルフィア管弦楽団の華麗な音色を楽しむことができ、スピード感あふれる演奏で、すかっとしている。

序奏なんかは、低弦の響きが重く、もっとどす黒くて、闇の世界を描いても良いかもしれないだが、少し軽い。
第2曲 「火の鳥の踊り」は、確かに、すばしっこく、飛び回っている感がするが、鳥が羽ばたいているというよりは、もっと挑戦的というか、直線的というか、ストレートに角張っている感じがする。
第3曲の「王女たちのロンド」での、フルートの通る音色なんかは綺麗だ。
「そ〜ふぁみれみふぁ そ〜ふぁみれみふぁ ふぁぁぁ〜みれ  どれみ〜 れどしられしそら〜そ」
「らしど〜れ しら そ〜しらそ〜」っていうフレーズは、よく通っている。

第4曲 「魔王カシチュイの踊り」は、序奏と同様に、ごつい響きが下っ腹に響く〜という感じではなく、凶暴でもない。
どこか軽量級なのだが、すばしっこさがあってスピード感があり、格好が良い。スマートなんだよな〜 
スマート過ぎて、ちょっとな〜 もっと、ごっつくドンドン。バンバン。やってくれ〜 暴れてくれ〜 
もっと、アクの強い下町の親分でも良いんだけどなあ。まるで、怪傑ゾロのように、軽妙に飛び跳ねててて〜 
あまりに速くて、すばしっこいので、う〜ん。おまえは、ロビン・フッドか?と言いたくなるぐらい。
ちょっと、あっけにとられる。これじゃー コミカルだよ。(笑)
で、第7曲 「終曲」の「そふぁみそれど ふぁみれふぁ みどれ〜」という管楽器のフレーズの綺麗なこと。燦然と輝いている。 あーっ 光輝く〜 綺麗っ〜 美しいというよりは、綺麗だと言う表現が好ましいように思う演奏である。

総体的に、馥郁たる響きを持っているわけではなく、どちらかと言うと冷たい音質で、きらっと鋭く光る煌めき感がある。
豊かな曲線を描いた、ふくよかな膨らみはない。どちらかというと直線的である。
そうだなあ、幾何学模様の庭園に、直線的に飛ぶ鳥たちという感じだろうか。
スピード感にあふれた演奏である。重量感よりも、軽妙ですばしっこく、輝かしく、晴れ晴れ〜 特に、終曲のフィナーレは、音が直線的に伸びていく。
このフィナーレこそ「火の鳥」って感じではないだろうか。煌めくサウンドに溢れている。超カッコイイ。


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ドラティ デトロイト交響楽団 1982年
Antal Dorati
Detroit Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。温かみのある見通しの良い演奏で、ダイナミックだし、迫力も十分にあり、煌めく色彩で色付けされた高い描写力が魅力だ。
1910年版全曲盤
ドラティ盤は、1910年の全曲版である。
ストーリーを追って、細かく聞き込んでいないワタシが悪いのだが、「火の鳥」は、いつ聴いても、どうも長いな〜っていう印象を受ける。いつもワタシの耳は、途中でさぼってしまうのだ。
かといって、1919年版だと、7曲しか抜粋されておらず、短いと感じる始末で〜 聴くには、なかなかに具合の悪い曲である。プレトニョフとかヴァントさんは、45年の組曲版で録音しているが、まあ、最近は、全曲版での録音が多いので、じっくり〜場面を思い浮かべて描写力を楽しむようにしている。

さて、ここでご紹介するドラティ盤、極めて録音が良い。で、このCDのインデックスは15に分かれている。
22場面がある筈なのに、インデックスの区切りと合致しないことが多いので、なかなかに場面がわかりづらい。
おまけに輸入盤を買ってしまって、西ドイツ製のCDに、楽章の説明はフランス語で、ブックレットは、英語、フランス語、ドイツ語の記載ってことになってしまう状態に陥った。
アンタ、わからんかったら、日本語で買えよぉ〜と、自分で、ツッコミを入れて苦笑いする始末である。

しかし、ドラティ盤、なかなか芸が細かいっていうか、じっくり聴くと聴きどころ満載である。
まあ、もっともっと聞きこまなければならないのだが〜(笑)

なんたって火の鳥の飛ぶさまを、きらめきのあるサウンドで奏でており、いつも、ワタシの貧しい想像力を補ってもらっている。特に、木管とハープのグリッサンドは、綺麗で〜 
ホントに温かみのある音質で、柔らかく柔軟性に富んでいて、飛翔する鳥の羽ばたきを音で表現している。
これは、すごいねえ〜 と、息を呑むシーンが何度も登場する。

聴いてて、これは耳のご馳走でしょう〜 これをご馳走と言わないで、なんと言おう〜って感じ。
場面を思い浮かべて聴くのも良いし、各楽器の音を、それぞれ聴いて楽しむのも面白いし〜 飽きない。
金管の吹き方もリアルだし、特に、やっぱ木管のうまさかなあ。いやいや、打楽器だって巧い。
う〜ん、この音の響きは、どうやって録音したんだろう。 奇跡的な感じがして、鳥肌が立ってしまう。デトロイト響の音は、ホント醍醐味である。

今のオケだと、どこのオケが巧いのだろう。音の響きが立ってくるというか、エッジが鋭いわけでもないのに、木質的でもあり、豊かだ。聴き始めてから終わりまで、一気に聴けてしまう。
なにせ、音が豊穣で、う〜 これは音の響きの醍醐味を味わせていただける超すごいCDである。
最後の金管は、もっと迫力あっても良いかな〜とは思うが、これ以上鳴らしちゃうと下品になっちゃうし〜
バランスよく、品良く終わってくれる大変魅力的な盤だ。もっともっと聞き込みたい醍醐味的な存在のCDである。
  

小澤征爾 ボストン交響楽団 1983年
Seiji  Ozawa
Boston Symphony Orchestra

いたってフツウ

録音状態は良い。少し乾きめの録音で、ホール感が少なめなので立体的には響いてこないが、木管や弦、パーカッションが繊細にパッキングされ聞こえてくる。
ちょっとおとなしい火の鳥で、凶暴な荒ぶるカッチェイさんは登場しない。
全曲版1910年版

この小澤さんのEMIへの録音盤は、1910年版の全曲版である。
なんでも、EIMに録音した初めての盤らしい。
で、このCDに収録されたインデックスは、23に区分されてて〜えっ ここまで細分化するの?と驚くぐらいになっており、これだけ区分されていると、お勉強するには、非常に嬉しいのではないだろうか。

導入分の低弦やファゴットのぼわぼわ〜っとした響きや、「しそし そしみ そしみ・・・」という蠢きもリアルだ。奥まったところから、大太鼓やチェレスタの響きが届けられる。
ハープの音も良く聞こえるし、繊細な音を、丁寧に拾っているな〜という感じがする。
で、 キラキラした色彩的に派手さは感じないけれど、弦のすーっとした繊細な音、木管の軟らかい涼しい音色が、特徴になっているように思う。

火の鳥の全曲版は、たっぷり演奏されてて嬉しいのだが、どうしても中間部分で、間合いが持たないというか、想像力がついて行けないというか、視覚的に見えてこないので、ワタシ〜 ちょっと退屈してしまうのである。
それに、木管の大活躍シーンが多いのだが、この場面が、超忙しく飛び回っているシーンが、スパークするぐらいに激しく、やっぱ〜 リアルじゃないと面白くないのである。
金管のパシャパシャパシャっ感や、木管の、ぅん〜パッパっと、ちょっと粘り具合などが聞こえてくるが、イワンに捕らえられた火の鳥、嘆願、魔法にかけられた13人の王女たちの出現などのシーンが、楽しめたら、超嬉しいかも。
いかに、退屈にさせないで、王女たちのロンドに持って行くか〜 
CDで聴くと、そこがポイントのような楽曲である。
たいてい、魔王カスチェイさんが登場すると、迫力が増してくるので、えへへっ。楽しさが倍増するのだが、前半は少しスピード速めに飛ばしていただかないと、ワタシの場合、重力に瞼が逆らえない・・・

で、小澤盤では、カスチェイが登場してくると、急に迫力が増す。
しかし、わざとバタバタした感じの演出でもないし、お上品なので、バタ臭さがない。
わりと客観的に、さらっとした演奏だ。
奥まったところに位置している筈のパーカッションや、木琴などのパタパタパタ・・・は、良く聞こえるのだが、一部、金管のチューバ音が、もうちょっとリアルな方が良いんですけど。と思う場面もある。

重量感や粘り具合は、さほどなく、キシキシ、カシカシ、ドンドン、バンバン、どっひゃ〜ん。という荒ぶるイメージは少ない。
その代わり、木管、細かい弦、パーカッションの小さな音とかは、多層的に響いている。
その点、とても面白いかもしれないし、通は喜ぶのかもしれないが〜 
反対に、この楽器だけ、ここだけ突発的に音量が異常に大きいと、変に感じるところもあって〜 難しいっ。
最後のフィナーレは、金管も、大太鼓も、う〜ん。
どうも、後ろが、ぺったんこという感じの録音で、奥行き感というか、ホール感がないので、全くと言って良いほど、音がまわってこない状態になっている。ちょっと、かなしいかも。

まあ、総体的には、抒情的なところと、荒っぽいところの差が、大きければ大きいほど、面白く感じるのが常で〜
ワタシ自身、浅ましいとは思いつつも、やっぱスリルも欲しいよねえ。と、思ってしまう楽曲である。
(素人はこれだから困るっ 笑)
金管のテクを十分に持ってて、相当に派手に、スピード持って、奥深い立体的な音響で、演出過剰なほど、ドンドンバンバンした荒ぶるシーンを、これでもか〜と、暴れつつ音を出してこないと、満足させられないのでは〜と思う。
う〜ん これは、やっぱライブ向きの楽曲でしょ。
金管さえ、最後とちらなければ、ハイ、拍手間違いなしでしょうし。
(えっ? 素人はこれだから困るっ 泣)
セッション録音は、粗探しの絶好の標的にされるので、大変だと思う。ホント・・・


デュトワ モントリオール交響楽団 1984年
Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



録音状態は良い。暖かみのある音質と、身のこなしの優雅な華麗なるサウンド、きらめく火の鳥が、やっぱり主人公って感じ。1910年全曲版
カップリング:幻想的スケルツォ、幻想曲「花火」

デュトワ盤は、1910年の全曲版である。
火の鳥は、ストラヴィンスキーの3大バレエ音楽のうちの、最初の作品だ。
ちなみに、作品の出来た順番は、火の鳥、ペトルーシュカ、春の祭典となっている。
デュトワ・モントリオール響は、この3つのバレエ音楽を録音しており、いずれも話題となったように記憶しているし、今、聴いても、デュトワ盤は、かなり色彩的で、綺麗な音で響いている。

で、火の鳥〜 バレエ音楽なので、曲にストーリーはあるのだけど、う〜ん、これが結構、わかりづらい。
春の祭典の方が、音楽だけでも楽しめるのだが、火の鳥はねえ。
前半、鳥が、飛び回っているシーンが描かれているので、 イメージが湧きづらいというか、抽象的な雰囲気が漂っていて、ストーリーを追うと、とっつきづらいかもしれない。

導入部から、なんとなく雰囲気は解るのだけど〜 主になる旋律が無いというか、続かないというか。
う〜ん。と唸っている間に、最後の大円団を迎えるということになりがち。
で、最後の派手な場面だけが印象に残り〜 ありゃりゃ〜派手に終わってしまったぜ〜ということになってしまう。
もちろん、様々な楽器が使われているし、作品としても、演出に効果的に使われている ので、繰り返して聴くうちに印象は変わるかもしれないが〜。
そして、変拍子たっぷりなので、拍がコロコロ変わっていくし、スピーディだ。
それに、管楽器や木管楽器も、多彩に大活躍。 演奏家や作曲家のようには、なかなか〜 聞き分けることができず、専門家じゃないと、こりゃ〜分析不可能だなあ。と、お手上状態。
まっ しかし、素人でも、充分に楽しめるし、十二分に奥の深さを感じる曲になっている。

さて、デュトワ盤は、1910年版の全曲版で演奏されている。
バレエ音楽なので、22もの場面に分かれてサブタイトルが付いているが、デュトワ盤CDでは、インデックスが15に分かれている。 う〜ん。なんか中途半端に分かれているんだけど・・・。(と、ここでメゲル。) どーしてなんだろ?
 
で、インデックス8にあたる「イワン王子の突然の出現」では、 
「みぃ〜ら〜 そぉ〜 らそみ・・・ れぇ〜みれどぉ〜ら〜 そふぁみれ ど〜れど しどら〜」
「れ〜みれ どら〜れ〜」
「そぉ〜ふぁみれ〜 (そ〜ふぁみれ〜) そふぁみれ〜 ど〜しらそ〜」
ホルンのソロが活躍し、そこにクラリネットと絡むシーンが美しい。で、テーマソング的な「そぉ〜ふぁみれ〜」が登場するので、耳に残りやすく印象に残るという(なんともいい加減な)解りやすいこと。
ホルンの音色としては、うん。まあまあ。   

王女たちのロンドは、ハープのグリッサンド付きである。
「どれみぃ〜 れどし られしそ ら〜そ らしど〜れ しそら〜 しらそ〜」
「しれみ れどし られし そ ど〜」
フルートの音色とクラリネットやオーボエの木管群が、美しい旋律を奏でる。
「らぁ〜ら ら〜そ らしどれどらそ〜られ みふぁ そ〜られ」
「みふぁそ ら〜らそ らしどれ どら そ〜 そ〜られ」

導入部から、魔王カスチェイの暗いお城イメージ、火の鳥の飛んでいる幻想的な旋律が続いてきたので、なにやら、ほっとする場面である。
ホロヴォードというロシアの輪舞曲が使われているらしいが、デュトワ盤は、結構、ねっとり気味にフレーズを繋いでいく。 官能的とまでは言わないけど、幻惑的だし、くぐもった雰囲気で、ぼわ〜っと、生暖かい雰囲気が漂ってますね。ピッコロの「そふぁみれ みふぁそ・・・」と二重奏で吹かれて、あー もうすぐ夜明けか。とは思うですけどね。

とにかく、火の鳥と言えば、魔王カスチェイの登場が圧巻。
そのまえに、カリヨンが鳴り響くところは、バスチューバの重い音と、カラフルなカリヨン(鐘)が、オーラのように響いている。
幾分、デュトワ盤ではカラフルすぎるというか、キラキラと輝いていて、まるで、年末NHKの舞台に、大道具さんを総動員して、小○幸子さんが登場してくるような雰囲気だ。
不気味さより、華麗なんですねえ。
チューブラベルなのだろうなあ。
で、木琴や、ミュート付きのトランペットなんかが大活躍。
金管の音が聞き分けられないっ。あっ 拍子が変わってるやん。(大忙しなのだ・・・)

どぉろ どぉろぉ〜っと大太鼓が鳴っていたり、火の鳥が、素早く飛び回っているようなシーンが描かれ、魔法が解かれて、大円団に至るまで、息もつかせず、ド迫力で華麗なるフレーズが続く。
(もはや、音を取って聴くというわけにはいかず、文字には表せないっ 笑)

火の鳥のイチバンのハイライトと言えば、「カスチェイ一党の凶悪な踊り」だと思う。
鋭い金管とシンバル、打楽器の一撃、「しどら しどら しどら どふぁみっ・・・」
テンポよくスピーディだし、格好いいし華麗だし〜 重戦車軍団というよりは、貴族的なチャンバラをしているような雰囲気もあるが、なかなかに軽妙に、素早く身をかわして〜 流麗である。
暖かみのある余韻と、煌めき度の高い演奏だと思う。 もちろんオケの音色だが〜
難しいフレーズを、軽々と超えていく痛快さもあり。 大音量で奏でられる最後のダイナミックな終曲、「そふぁみそれど ふぁみれふぁみどれ〜」
高い音、よくでるなあ〜という、最後の和音まで緊張感あり。
全体的には、とてもスマートで、華麗なる鳥、主人公はやっぱり火の鳥でしょ。という感じ。
ワタシの手には余る、ものすご〜く難解で、複雑で、そのくせ華麗で〜 モッタイナイぐらいの贅沢な楽曲である。
ひとくちでは、言い表せないので、これからも、春の祭典、ペトルーシュカ共々、もっと聴き込まないとダメだな〜と思っている楽曲デス。


ラトル バーミンガム市交響楽団 1987年
Simon Rattle
City Of Birmingham Symphony Orchestra

いかすぜっ

録音状態は良い。スマートで、近未来的な雰囲気を感じる。
カップリング:2枚組BOX 春の祭典 1947年改訂版 1987年
ペトルーシュカ 1947年 ピアノ:ピーター・ドノホー 1986年
火の鳥 1910年版 1987年
ミューズを率いるアポロ 1947年改訂版 1988年

ラトルさんのバーミンガム市響盤は、1910年の全曲版である。
気になる録音状態だが、まずまず。いつもならカスカスの乾いた音だ〜と文句を言いたくなるところだが、これなら普通に聴けて、とりわけ文句はない。良い音だと思う。
前半は、テンポがゆったりとしており、幾分遅めで、丁寧に演奏されている。もっと、サクサクと進むのかと思ったが、意外と遅いのだ。停滞はしていないが、もっと、鳥が飛び交っているような感じや、跳躍感や推進力が欲しいかもしれない。

テンポは遅めだが、パーカッションの音も爽やかだし、見通しが綺麗に立っているし、色彩感覚も豊かだ。
軽やかだが、音は鮮やかに広がり、リアル感がある。いつもならドンシャリ傾向にある打楽器やティンパニーの音も、奥行きもあり、金管も迫力がある。開放的な音が、綺麗に聞こえている。
あとは、スピード感だ。縦横をあわすのに、最適なスピードが、このスピードだったのかもしれないが、この速さは、後半に生きてくる。
「カスチェイの凶暴な踊り」から、速度があがってきて、あの、ばん ばん ばんっ。
という、くだりからは、快速スピードとなる。

大音量で奏でられる最後のダイナミックな終曲、「そふぁみそれど ふぁみれふぁみどれ〜」というフレーズを繰り返して、盛り上がっていくところは。う〜ん。馬脚が・・・という感じで、我慢して、我慢して、持ってきましたという感じだ。
で、あまり余裕がないものの、ついに、パワーが落ちてしまったか・・・という感じだが、よく頑張っていると思う。

泥臭い、バタ臭い、演出過剰気味のクサイ芝居はないし、スマートそのものに演奏されているし、木琴の音色も、甲高く、あたまのうえを通過する〜って感じで、透明度が高いです。
近未来的な火の鳥と言えば、よいだろうか。ちょっぴりクールで、テンポ軽やかに、変拍子をクリアーして、かなり明晰に演奏されており、格好良い。
特に、何が〜すばらしい〜ってわけでもないが、平均点は高いと感じる。 他盤のように、劇的要素が強いとか、泥臭い演歌ぽっさがあるとか、劇的効果、勢いがあるとかではない、何か表現しづらいが、もうひとつの別格な要素が、ふっと入ってくる感じ。
第六感的な謎めいた雰囲気が、あるというか〜
音の切れの鮮やかさ、すっぱっと切れたリズム感というか、パッセージの短さが、すごく感じられて、後半は、すごくスパークしている感じがアリアリ。
幾分前のめりになっていく姿勢が、むしろ好ましいし、軽妙で、立ち回りが素早く、はやぐちで巧い。
音の残響感が、ひんやりしてて〜 無機質感があって、すーっと消えていく感覚が面白い。
舞台で演じられるバレエのBGM音楽というよりは、SFX映画の映画音楽っぽく感じる。

情緒的な要素よりも、神秘性も持っており、機能的にも美しいと感じる面がある。
特に、弦とハープで奏でられるシーンに差し掛かると、奥行きの深い、静かに潜行している感があって、そこで、うごめいているような〜 そんな生命力を感じる演奏だ。謎めいた生命体・・・って感じだろうか。
最後のフィナーレよりも、一歩手前の深い闇の方が、なかなかに意味深で〜 ダークサイドが深いっ。


アレクサンダー・ラハバリ ベルギー放送フィル 1990年
Alexander Rahbari
Belgian Radio and Television Philharmonic Orchestra




録音状態は良い。とりたてて、凄いってワケではないんだけど〜
柔らかい包み込むような、ゆったりとした響きが特徴で、あっさり系。1919年版
カップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥 組曲版、ペトルーシュカ ピアノ:ロベール・グロロ、小管弦楽のための組曲第1番、第2番

このアレクサンダー・ラハバリさんは、1919年版である。
ラハバリさんという指揮者は、この盤を買うまでは、全く知らなかったのだが、イラン出身の指揮者である。
ナクソスから出ているお手軽なCDかと思っていたのだけど、いやや、なかなか〜良いのだ。最初に、先入観を持って聴いてしまったのだが、失礼な言い方になっちゃうが〜 まあ聴ける。
ワタシ的には、小管弦楽組曲を聴きたかったので購入したんだけど〜
今日は、火の鳥を聴いてみたいと思う。

録音状態は良く、豊かなホールトーンがあり、ゆったりとした響きを持っている。
この盤の演奏スタイルは、1919年版だ。
オケは、ベルギー国営放送フィルハーモニー管弦楽団とか、ブリュッセルBRTフィルとか、表記されているようだが、いずれにしても、ベルギー放送局のオケである。 まあ。ウチのNHK交響楽団って感じになるんだろう。略してBRT・・・。

序奏 のテンポ設定は、普通。揺れは少ないが丁寧だ。序奏の呻くような響きは、もう少し音量があった方がありがたい。響きが柔らかい。響きが柔らかすぎて焦点がぼやけそうだが〜
もう少し低音が、グワン。ドシンっと響いてくれても良いかもしれないけど、広がり感はあるように思う。

第2曲 「火の鳥とその踊り」〜第3曲 「火の鳥のヴァリエーション」
軽やかさがあり、流麗だが、煌めき度もあり、派手さは少ないのだけど〜
機敏な動きというよりは、色彩感と、ふんわりした感覚がマッチングしているようだ。
とりたてて、凄いって感覚はないんだけど〜

第4曲の「王女たちのロンド」
「そ〜ふぁみれみふぁ そ〜ふぁみれみふぁ ふぁぁぁ〜みれ  どれみ〜 れどしられしそら〜そ」
「らしど〜れ しら そ〜しらそ〜」
チェロの音が、もう少し深くて豊かだったらなあ。クラリネットの音も、もう少し太めでも良いかも。
コクは少ないのだけど、音の響きの柔らかさがあるのかなあ。って思う。
お風呂場にならない響きのギリギリの線って感じもするんだけど〜 
もう少し、線が綺麗に浮き出てきた方が良いんですけどねえ。まあ。旋律の膨らみ方は少なめで、歌うというところまでは至らないが、息は長めで、ラインが出ている。

第5曲 「カスチェイ王の魔の踊り」
柔らかい響きのなか、ジャン〜っと、ティンパニーと大太鼓が、大きな残響を残す。
チューバの金管の響きは、う〜ん。像が綺麗に見えてこない。奥まってて、ぼやけているようだ。
前に出てくる音と、奥から出てくる音の像が、ちょっと違う。
もう少しスピードが出てきても良いんだが、結構、丁寧で落ち着いた感じになっている。
金管の機能が、少しハッキリしていてもいいんだけど、ソフトで、キンキンにならないところが特徴かなあ。
迫力よりも、ふわっとした空気感が漂っているところが、まろやかさに繋がっているが、アクの強さには欠けてはいるが、まずまず。最後の大太鼓がかかってくるところは、盛り上がっているし。
切れよりも、鮮烈さよりも、包み込むような大きさがある。
最後の終息に向かう場面では、テンポはゆったり〜 れ〜どしそぉ れ〜どしそぉ〜  と消えていく。


ミュンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 1992年
Myung-Whun Chung
Orchestre de l'Opéra de la Bastille
(Bastille Opera Orchestra)

録音状態は良い。滑らかな曲線美と、色彩感を持っている、ところどころ、テンポアップしており、ロシア臭さはないが、軽妙で巧い。
「王女たちのロンド」は白眉である。1919年版
カップリング:R・コルサコフ「シェラザード」、ストラヴィンスキー「火の鳥」1919年版

ミュンフンさんの振った火の鳥は、1919年版を使っている。
で、このCDでのインデックスは、7つに分かれていて、それぞれを紹介しておくと
第1曲 「序奏」
第2曲 「火の鳥とその踊り」
第3曲 「火の鳥のヴァリエーション」
第4曲 「王女たちのロンド」
第5曲 「カスチェイ王の魔の踊り」
第6曲 「子守歌」
第7曲 「終曲」となっている。

全曲版である1910年版を聴いたあとに、この1919年の組曲版を聴くと、あっという間に終わってしまうぐらい、短く感じられる。 まっ 聴きどころをしっかりパッキングされた、ぐぐ〜っと濃縮されたモノだと思う。
で、ミュンフン盤は、すこぶる録音状態が良い。
各7曲を繋ぐバレエ音楽としての場面や、場面の継続性は抜きにして、美味しいところのつまみ食いなので、それぞれを、みごとにクッキリ色分けし、描きワケができているのが巧い。
ちょっと、もったいないほどの演奏で〜 全曲版を演奏して収録して欲しかったなあ。と思ってしまう。

序奏は、ゆったり、不気味さを持ったチェロとコントラバスの低弦と、低い木管の音が、静かに鳴っている。
「ふぁどし れふぁそ ふぁられ・・・」 海の底で蠢くような、それでいてぶつ切りにならず流れがある。
ところどころ、「ふぁどっ ふぁどっ ふぁっふぁふぁ ふぁふぁふぁふぁふぁ〜 そぉ〜」
そこから、弦が細かく動きはじめて火の鳥の踊りに変わるところが、スムーズだ。
明るくて、ふわっとしてて、綺麗な曲線を描いていく手腕は、う〜ん。みごと。
他の盤だと、どっか音を置いていくような感じがするんだけど、例えば、「ふぁどし れふぁそ」という6つの音があるとしても、3つづつに分かれずに、6つの音が繋がって聞こえてくるのだ。
音の長さが、終わらないうちに次の音が出てくるような〜 だから、曲線的に聞こえてくるように思う。

第2曲 「火の鳥とその踊り」〜第3曲 「火の鳥のヴァリエーション」
メチャ、すばしっこい火の鳥で、柔らかい高音域の木管とハープ。すごく軽やかなくせに、パーカッションは機能的だし、幻想的な、弦の柔らかい音が、すごく響いていて気持ちが良い。
で、出だしが滑らかで、多少の粘りもあって、音が、んたらら んたらら と出てくる。
木管のすばっこしい動きと、弦、ハープの音の流れ、切れが良いし、流れが良いし。
ホント、凄い目の詰まった音が出てきて、うわ〜っ 綺麗っ。軽すぎるほど軽やかで、艶があり、色彩が豊かで、綺麗なのだ。

第4曲の「王女たちのロンド」は、こりゃ〜絶品。
「そ〜ふぁみれみふぁ そ〜ふぁみれみふぁ ふぁぁぁ〜みれ  どれみ〜 れどしられしそら〜そ」
「らしど〜れ しら そ〜しらそ〜」
なんて、ふくよかで、細身の木管なんだろ。チェロだって甘いし、う〜ん。これはやられる。
濃厚なフレーズで奏でられるのではなく、細い。すっきり軽やかで、さらさら〜している。
そのくせ、甘い、とろみ感があり、膨らみがあるのだ。
で、少しテンポをあげて〜 そして膨らませる。呼吸のように〜 フレーズが膨らむ。
うっ。巧すぎ。 聴いている方も、音の流れにあわせて、胸が膨らみ、息を吸い込んでいくんだよねえ。 切ないようなフレーズが・・・ うるる〜。ここだけ聴いても、うん。値打ちあるかなあ。

第5曲 「カスチェイ王の魔の踊り」
ハイ、一転しまして、迫力あり。ティンパニーと大太鼓が、適度な残響を残してます。
木琴も金管も、重すぎず、硬すぎず。
むしろ、金管は柔らかい咆吼で、明るく、はじけている。
チューバの音がもう少し鳴っていても良いんだけどなあ。このカスチェイ王は、凶暴ではない。
ドンチャン騒ぎにならず、ぶ厚く、図太く、硬く、威圧的には鳴ってこないし、悪役っていうイメージは少なめ。魔王にしては品が良すぎかなあ。
阿鼻叫喚状態でもないし、狂騒状態でも、乱舞状態でもない。

全体的に、上品な感じで、中音域の音が、綺麗に聞こえてくるぐらいの迫力だ。
だから、低音の音圧を伴うというより、迫力は、大太鼓と木管のピッッーという音による。
パーカッションは綺麗に聞こえるが、金管は遠目で、残響のなかに、少し溶けているようだ。金管の音像自体は、ここでは、あまりハッキリしていない。
トロンボーンのグリッサンドは、巧い。金管の、わざと、はじけた音が、裸の王さま風だしなあ。
これは、滑稽さまで加味してて〜 笑える。組曲ならでは〜の面白さ。
で、ハープの柔らかい音と、弦のピチカートの対比や、テンポの変え具合が面白く、弦の切れは良いし、全体的に見通しは良い。 で、テンポアップしてくるところが面白い。これが特徴か。身のこなしが軽やかで、ぐいっと、ギアチェンジしてくるところが面白くて、何度聴いても飽きない。

第6曲 「子守歌」〜 第7曲 「終曲」
盛り上げ方は、どうかなあ。と思っていたのだが、ゆったりと、音が流れれていくというよりは、ゆったり、ゆったりと、目の前に海のような広がりが見えてくるようで〜
世界が横に、面的に広がっていくような感じを受ける。

多分、トロンボーンの最初の一音が長めに吹かれているからだと思うんだけど〜
「そぉぉぉ〜そ〜ふぁ みそれ〜ど」
それに、シンプルな旋律なんだけど、他の盤より、音が多いような〜 静寂さを感じさせつつ、弦や木管の響きが、何層にもわかれて聞こえてくる。 旋律が流れてくるのが、時間の経過と感じられる。で、時間の流れと共に、層が、段々と厚みを増してくるように聞こえてくるみたいだ。

この組曲の初めは、音の流れが、曲線で縦に揺れていた感じがするのに、どーして終曲は、横に広がっていくように感じるのか、よくわからないのだけど〜 いや〜 いい演奏だと思う。
最後には、大太鼓が、中央にて、周りを震撼させ、響きが大きく広がっていく。
まるで、大太鼓が、球体の中央に位置して、地球のように感じられちゃうぐらい〜 
なんか錯覚を起こしてしまった。う〜ん。これはやられたっ。やられましたねえ。 これは、文句なく拍手ですっ。


ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 1995年
Valery Gergiev
Kirov Orchestra of the Mariinsky Theatre
 (St.Petersburg Kirov Orchestra)

あんたもやるね〜    おぇ〜キモイ

録音状態は極めて良い。独特のフレージングで、濃厚でたっぷり、大柄な演奏で、気怠く、ねっとりと重い。1910年版
カップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥(1910年版) 1995年、スクリャービン 交響曲第5番「プロメテウス」1997年
ゲルギエフ盤は、録音状態も良いし、ねばっこり、こってりの演奏が好き方には、超お薦めなのではないかと思う。
とても癖のある演奏で、ひとことで言うと、とても、ねちっこくて濃い味付けだ。

フレーズの中押し、後ろ押しって感じで、粘りがすごく、うぉ〜んと一回転して音が出てくるのでは?と思うほど。
なんでしょうねえ。この独特の節回しというか、うねっとした、うねりは・・・。
女性演歌歌手で言うと、ミヤコハルミさん風というか、歌舞伎俳優さんで言うと、エビゾーさん風である。
大柄で、くっきり隈取りされており、身振り手振り、動きが大きい。リズム感も独特だ。大げさである。
油絵で言うと、原色に近い厚塗りなのだ。フレージングが独特で、ぅん たぁぁ〜 らららぁぁ〜 ららら らぁ〜っと、なかで、たるむ。いわゆる中押しの小節まわりで、なかで、ぐぐぐぃ〜っと圧がかかっている。
決して雑ではないとは思うが、押されて、ぐにゅ〜っと出てくる音には、うぷぷ〜っとなりがちだ。

火の鳥って、とても色彩的なのだが、見通しが悪いと、どーも重く鈍く感じる。
ワタシ的には、全曲版で聴く時には、魔法にかけられた13人の王女さまの登場や、イワン王子が登場するシーンなどは、どうも退屈で、眠くなってしまう傾向にあり、王女たちのロンドや、夜明けの場面など、静まった場面でゆったり演奏されると、どうも間が持たないのだ。
カスチェイのご登場までは、軽めで、シャープな音で、サクサク、推進力を感じられるのが好きである。

ゲルギエフさんの盤で聴くと、中だるみしてしまい〜っ、だるっ。と感じつつ、魔王カスチェイが登場するまで、待っていなければならない。そこの場面に至るまでの間、テンポの幾分遅さ、重さに辟易しなければならない。
ブラスの太さ、濁った開放感に慣れると、やみつきだろうが、筆の運びが重く、どうも鈍いっ。脂っこいと感じてしまう。
カスチェイが出てくると、どんちゃん騒ぎなのだが・・・。
ゲルギエフさんの演奏は、カスチェイが登場すると、リズムが、端数切り上げ的に前倒しで走る。
その場面に来るまでに、サクサク、速めに切り上げて、早めにやって欲しいのに、う〜ん。ワタシの期待とは逆なのだ。

う〜ん、ワタシの場合は、やっぱり軽めで、シャキシャキ系が好きだ。
ラストの大太鼓の音は、どっ ドスンっと響き、ぶっといブラスの濃厚で重い音は、確かに嬉しいが、最後だけ聴くというのも、どうも・・・。
弱音っていえば、とっても弱音で、ラストのファンファーレは、とても大きい音でやってくる。
ボリュームの調整が難しい。この最後も、フルートの長いこと〜 ひぇ〜 なんたる、かったるさ。
まどろっこしさ、気怠さ付きの濃厚な粘り満喫の演奏である。

どこの場面だったか忘れたが、金管の音、低いんじゃー あれっ音が違うんじゃーと思うところがあった。音が落ちているのかもしれない。1910年版ってあるのだが、ん〜 わかんないですね。
それに、インデックスが15しかなく、繰り返して、特定場面だけ取り出して聴くには困る。こりゃ、好き嫌いがハッキリと分かれてしまうでしょうねえ。ワタシ的には、相性があいませんでした。


1910年全曲版 1919年組曲版 1945年組曲版
1 導入部 1・2 序奏 1・2 序奏
2 カスチェイの魔法の庭園    
3 イワンに追われた火の鳥の出現 3 火の鳥の踊り 3 火の鳥の前奏と踊り
4 火の鳥の踊り 4 火の鳥のヴァリアシオン 4 ヴァリアシオン(火の鳥)
5 イワンに捕らえられた火の鳥   5 パントマイムI
6 火の鳥の嘆願   6 パ・ド・ドゥ
7 魔法にかけられた13人の王女たちの出現   7 パントマイムII
8 金のリンゴと戯れる王女たち   8 スケルツォ(王女の踊り)
9 イワン王子の突然の出現   9 パントマイムIII
10 王女たちのロンド   10 王女たちのロンド(ホロヴォード) 10 ロンド(ホロヴォード)
11 夜明け    
12 魔法のカリヨン、カスチェイの番兵の怪物たちの登場、イワンの捕獲    
13 不死の魔王カスチェイの登場    
14 カスチェイとイワンの対話    
15 王女たちのとりなし    
16 火の鳥の出現    
17 火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り    
18 カスチェイ一党の凶悪な踊り 18 魔王カスチェイの凶悪な踊り 18 凶悪な踊り
19 火の鳥の子守歌 19 子守歌 19 子守歌(火の鳥)
20 カスチェイの目覚め    
21 カスチェイの死、深い闇    
22 カスチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円 22 終曲 22 終曲の賛歌

1957年 マゼール ベルリン放送交響楽団 ★★★
1957年 モントゥー パリ音楽院管弦楽団  
1969年 ケーゲル ライプツィヒ・コングレスハレ weitblick  
1972年 アバド ロンドン交響楽団  
1975年 ブーレーズ ニューヨーク・フィル SC ★★★★★
1978年 C・デイヴィス コンセルトヘボウ Ph ★★★★★
1978年 ムーティ  フィラデルフィア管弦楽団  EMI  ★★★
1982年 ドラティ デトロイト交響楽団 ★★★★★
1983年 小澤征爾 ボストン交響楽団 EMI ★★★
1984年 デュトワ モントリオール交響楽団 ★★★★★
1987年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI ★★★
1988年 サロネン フィルハーモニア管弦楽団 SC  
1989年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph  
1990年 ラハバリ ベルギー放送フィル Naxos ★★★
1992年 ブーレーズ シカゴ交響楽団  
1992年 チョン・ミュンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 ★★★★★
1993年 メスト ロンドン・フィル EMI  
1995年 ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 Ph ★★★
1995年 シャイー コンセルトヘボウ Dec  
1996年 シモノフ ロイヤル・フィル Rpo  
1998年 T・トーマス サンフランシスコ交響楽団  
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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