「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典 」
Stravinsky: Le Sacre du Printemps (The Rite Of Spring)


ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 1969年
Pierre Boulez
Cleveland Orchestra

録音状態は良い。時代と共にリマスタリングされている。
スピード感はイマイチだが、歯切れの良さ、ヌケの良さがあり、スマート感覚あふれる昔のハルサイの名盤で、ブーレーズ2回目の録音になる。
カップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」「ペトルーシュカ」1911年版 ニューヨーク・フィル

春の祭典 第1部 「大地礼讃」 First Part: Adoration Of The Earth
1  大地礼讃 序奏(導入)
2  春の兆し(乙女達の踊り)
3  誘拐(誘拐の遊戯)
4  春のロンド
5  敵対する部族の遊戯
6  賢者の行進
7  大地へのくちづけ
8  大地の踊り

春の祭典 第2部 「生贄の儀式」 Second Part: The Sacrifice
9  生贄の儀式 序奏(導入)
10 乙女達の神秘的な集い
11 選ばれた乙女たちへの讃歌 (賛美)
12 祖先の霊の呼び出し(祖先の呼び出し)
13 祖先の儀式
14 生贄の踊り(選ばれた乙女)

★ 第1部 大地礼讃
ハルサイでは、録音状態が悪いと、う〜っと唸ってしまう始末で、キレが無いとブーンイング状態になってしまう。
このブーレーズ2回目の録音は、Blu-specCDで聴いてみたところ、ジャ ジャジャジャ・・・の切れ味が抜群になっている。
69年の録音が鮮やかに再生されていると感じる。

ファゴットの低音や、バスクラの「グエッグエッグエッ・・・」と、鳴る音も綺麗に聞こえるし、音の分離が綺麗だ。
「そど〜らしら〜 そど〜らしら〜」という木管がクリアーに響き、「そっど ふぁみ〜」「らしど そふぁ〜」と鳴る金管もクリアーに聞こえる。
「れれれれ れしみし れしみし・・・」 低弦のガシガシ音、弦のピチカートが始まると、大地が軋むように感じるが、ここは、あまり泥臭くないし、迫力がない。テンポも変わらない。
弦の「れしみし れしみし」に金管が、強めに絡んでくるところもあるが、きわどくは鳴らさない。

「春のきざしと若い娘たちの踊り」 では、沸きつ音が、ドンドン出てくる面白いフレーズが多い。
「ふぁふぁ ふぁふぁ・・・ ふぁふぁ ふぁふぁ・・・」「れしみし れしみし」「らしみし らしみし・・・」
金管の咆吼はキレが凄い。稲光のようだが、テンポは今となっては遅く感じられる。
「ぱっぱら ぱっぱら ぱっぱら ららししれれどど ららししれれどど・・・」

ふふっ さすがに煌めきの凄い盤で、金管の響きは良い。 ティンパニーも、なかなかに響いているが、高音域での煌めくような迫力がすごい。変拍子のところも乱れないし、う〜ん。今聴いても、う〜ん。さすがに〜すごいよなあ。
金管の音量と、金管の音の広がりが綺麗で、リマスタリングの威力に感心しちゃった。
「大地の踊り」での、金管による地響き感も、すごい。
ここは、土俗的では無く、パパパパパ・・・という金管だけのストレートな音だけで描いてくるのだが、スマートな響きで、どて〜っとしたところがなく、スッパと切れ味が抜群になっていた。

★ 第2部 生贄の儀式
弱音での響きもよく響いている。どぉ〜んとした響きが、不協和音のなかで広がる。
「しふぁ〜 しふぁ〜・・・ しーどしれ〜 しーどしれ〜」
不気味感はなく、生け贄雰囲気ではないのだが、ふわ〜っとした浮遊感がある。木管の持つ柔らかさ、金管の柔らかい響きが、そう感じさせる。ウネウネした肌合い、ねっとりした感じがせず、ちょっとスマートにすぎるかもしれないが、この、ひんやり感が、反響を呼んだのだと思う。

「選ばれた乙女たちへの讃歌」の、どんどん・・・ んちゃ んちゃ んちゃ んちゃ・・・のリズムは、う〜ん。
音量もすごいけれど、ひゅ〜っと鳴る音と、ムチのしなるような音が、すげ〜っ。
空気感というか、音が、空中で移動しているような感じがする。ひぃ〜これは凄いや。
テンポは速く感じないのだが、ティンパニーの響きと、弦のつま弾く「どれっし れっし ふぁどっし」と、金管の合いの手と、う〜ん。クリアーによく響き、メチャ面白い。
「どど れどれど どど れどれど・・・」 「んーーーっちゃちゃちゃ・・・」 
「うんぱんぱぁー うんぱんぱぁー れーれれー みれみれ うちゃうちゃ・・・」
「祖先の儀式」では、金管の弱音で始まるが、いきなり「れ〜ど〜れどしら〜 しどれしら〜 ら〜」と、巨大な咆吼がある。音量の差にびっくり〜。ぎょえっ!

「いけにえの踊り」では、テンポはゆったりしているが、ブーレーズの雄叫びは「れ〜れれそみ〜っ」、と粘りつつも、スカッとしたフレーズで、切れ味抜群に続いていく。
粘っこい変拍子なのだが、弦も金管も、今更ながらに、歯切れの良さに驚かされる。
う〜ん、しばらくぶりで聴いたのだが、定番中の定番って感じは、今でも残っている感じがする。スピードについては、さすがに、遅く感じられるようになってしまったが、それでも堂々として、きっぱりしており、明晰そのものという感じがする。
昔からのハルサイの代表的名盤が、Blu-spec(ブルースペック)CDで、再度聴けて嬉しい。

メータ ロサンジェルス・フィル 1969年
Zubin Mehta
Los Angeles Philharmonic Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。69年とは思えないほど、レアな響きがあり、超快速で、格好良く、若いエネルギーで、ハツラツとした勢いのある演奏だ。金管の散らばり具合とか、打楽器のレアな響き、活き活きとしたリズム感が魅力的だ。
カップリング:ストラヴィンスキー 春の祭典、ペトルーシュカ(1947年版)

★ 第1部 大地礼讃
録音状態は、60年代とは思えないほど良い。
序奏部分では、木管が活躍しているが、ファゴットもオーボエも活き活きと奏でているし、カエルの声のようなバスクラリネットも、甲高いクラリネットも、ミュート付きのトランペットも、ダイナミックに聞こえてくる。
弦のピチカート「れしみし れしみし れしみし・・・」が鳴り始めると、ん ジャジャジャジャジャ・・・と刻み始める。
そうなったら、若いメータさんの彫りの深い、筋肉隆々さが前面に出てきて、楽しみ感が急上昇する。
特に、 「春のきざしと若い娘たちの踊り」に入ってくると、俄然、スピードがあがってくるのだ。
コントラバスの速さが、すごくって〜 コントラバスが、これほど速く刻めるのって、すごいことではないかしらん。
ホルンは良いけど、きっと、息を切らして、コントラバスさんは、必死だと思う。
それにしても、金管の音が超リアルで、ますますコントラバスの刻みが速くなっているような気がする。

「そらしど しらそら そらしど しらそら とととと とととと ・・・・・」
「れしみし れしみし・・・」
このスピード感、かーっと血圧があがってくるかのようなテンションのあがり方というより、一緒に木管のフレーズを口ずさんでいるうちに、ピーひゃら ピーひゃら・・・と唄っていくうちに、内側から沸騰してくるような感じ。
ティンパニーも、低音の金管も、瑞々しい音で収録されており、超楽しいっ。
音の揺れというか、ティンパニーの響きの揺れが、目の前で広がってくるのが、とても楽しい。
う〜ん やっぱ、これホントに69年の録音なのぉ〜 信じられないっ。

「春のロンド」になると、ゆったりと重い音で歩み始める。
軋み感は、さほど感じないのだが、ぺろぺろ〜っと揺れる木管の音色や、「ふぁーふぁーふぁー どん ふぁーふぁーふぁー」という、ため息のような木管の音の息づかい、雷が落ちたような銅鑼の響き具合などが、とても良く聞こえてくる。
木管の彩りも、綺麗だし、色彩感もある。
どことなく、バタバタしている感もあるけれど、なにせ69年ですよねえ〜 特に、奥行き感たっぷりでないけど、「大地の踊り」も、すごい、バタバタ、どひゃんどひゃん〜 キンキンで、地響きもすごい。
金管のつんざく甲高い音も、下品なほどのシャンシャンした銅鑼音もあって、ところどころ、火花が散っているというか、火の手があがっているというか、爆弾が落ちてきたっていうか・・・。
刺激的要素がたっぷりつまていて、仕掛けが、あちこちにセットされている感じがして、そのやる気満々の演出が、とっても伝わってくるところが、大変魅力的だ。
金管の短いパッセージにしても、勝手気ままに動いているような〜
金管や木管、打楽器、弦のそれぞれのパーツが、凸凹してて、肌合いがザワザワした感覚が残っているのが、とっても面白い。まるくまとまってない、ざらっとした感が、魅力的、新鮮で楽しいって感じだろうか。

★ 第2部 「生贄の儀式」
さほど神秘性が感じられないので〜 う〜ん、どうだろう。ちょっと心配したが、音が混じっている感じが嫌みなく聴ける。
雑っぽくも感じるが、いやいや、音の残響も適度にあって、広がり感もあるし、良いのではないだろうか。
乙女たちの神秘的な集いは、温度的には、さほど低くもなく、すわーっとした乾いた雰囲気でもなく。なま暖かさが感じられる。柔らかく、しなやかさもあって、夜明け前のような静けさは、肌で感じられる。
弦のフレーズと、金管、木管のバランスは、超難しそうだ。
フルートの旋律や、木管たちの吹き方は、プツプツ切れており、投げやりな感じもするが、むしろ土俗性といか、原始的で良いのかもしれない。

「選ばれた乙女たちへの讃歌」以降は、いきなり、ドンドン バンバンバンと始まるが、このパーカッション軍団。
軍団と呼ぶのが、イチバンふさわしそうな感じで、すごいど迫力である。
ホルンとトランペットの掛け合いから、ティンパニーの音が、ドンドン・・・っと入ってきて、大太鼓もドスコイと鳴り響く。
テンパニー2台の音の響きのリアル感、金管の粘り感、適度な金管のばらつき感
んぅ〜 んちゃ んちゃ んちゃ んちゃ・・・ 
うぅ ぱぁ〜 ぱぱ ぱぱぱぱっ ぱぱ ぱぁ〜ぱぱ・・・・

この適度な粘りと、うにゃ〜とした横の広がり、ドン ドンっとした上下に広がる響き、キンキンした金管のキッとした間合いと、切れのよい響き、ドスコイ、ドスコイ、じゃんじゃ〜っとした、ちょっぴり乾いているが、わりと自然な音の質感。
これだけ、切れのよい、鋭い、キツい音が前に出てきているくせに、総体的には、つんつんしていない。
乾ききった音ではないし、デッドでもない、かといって奥行きがたっぷりあるわけでもなく。
直接音なのだが、自然感のある響きにミックスされているようで、聞き疲れしない。
そのくせ、レア感もあって、かなり土俗的に聞こえるのだ。

金管の鋭さなんぞ、音が、ぐわっと出てきて、四方八方に散っている。
その散り方が、音が、とんがってて、まるで手裏剣のように、くるくる回って、突き刺さる感じだ。
で、ラスト  最後の最後の音だけ、妙にしょぼいんだけど、小太鼓みたいな音だけ後に残って、ぴっ!とフルートの音が、あまり聞こえない。えっ?! なに、これっ?
音が落ちたの? と思ってしまったが・・・ まっ、ご愛敬だろう。

総体的にいうと、速い。この速さには、とっても驚かされる。これが、21世紀だったら、まあ わからなくもないけど。
ホント、21世紀の録音でも、こんな速い盤ってあっただろうか、それほど速いと思う。
で、録音も瑞々しいし、切れ味の鋭い、透明度の高い音で、それも猛烈に速いスピードで、走り去っていく。

ホント、最後まで、スピードを落とさず走って行くのが、痛快だ。う〜ん すごく良い録音だと思うし、メチャクチャ愉快っ。
ドスコイ、ドスコイ型の泥臭い演奏ではないし、かといって、完全なピラミッド型の整ったハルサイでもない。
スピードが速く、格好も良いし、土俗性もたっぷりあって、凸凹感も適度にあって、面白い。
レアな響きが目の前で響き、とこどどころ炸裂してくるような感じもするし、かといって、聞き疲れもせず、すーっと聴けるという、大変嬉しいCDである。やっぱ若いんでしょうねえ。エネルギーたっぷりだし、瑞々しいし活き活きしているし〜
ホント、若々しく、ハツラツとしてて、魅力的だ。う〜ん さすが若い時のメータさん やるなあ〜 これは拍手です。

マゼール ウィーン・フィル 春の祭典 1974年
Lorin Maazel
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

      

録音状態は良い。これほど、ギクシャクとした演奏は、ちょっと聞いたことがない。凹凸のある、ミョウチクリンな演奏だが、どこか捨てられないまま、興味を持って聞いてしまう。あ〜 癖になりそう。
カップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」「ペトルーシュカ」(イスラエル・フィル)

当盤は、奇才マゼールさんが、70年代にウィーン・フィルと収録したハルサイだ。
えっ? ホントに、これが、ウィーン・フィル?って驚いちゃうほど、とっても異様な演奏だ。
どんな感じに振れば、これほど、ギクシャクするのぉ〜っと思うほど、変わった演奏である。 なんとも変な感じ。としか言いようのない演奏で、本当に、どうも、ミョウチクリンな感じなのだ。

他の指揮者のCDだと、スピード感あふれるスタイリッシュな演奏であったり、重厚さが前面に出て、音響で勝負します。って感じで楽しめたり、いかにも土俗的で、生け贄します〜というストーリー性を強調しているような演奏もあるように思う。
このマゼール盤。土俗性はあるのだが、リズムがスマートに流れていかないというか、ボコボコしている感じで、ホントに未開の地にやってきて、変なモノを見せつけられて、頭を抱えて、唸っているような感じになってしまった。

妙に金属音が甲高くなっていたり、妙に木管を強調したり、あちこちいじくっている。
各パートがバラバラになっているというか、旋律の出し入れが極端というか、どこがどう〜って巧く説明できないのだが、凹凸の激しい演奏である。まあ、もっとも普通に演奏されている感じの場面もあるのだが、テンポをぐぐっと落として、妙に遅めに演奏していたり、なーんか変。
巧く歯車が噛み合わないのか、それとも、わざと軋んだ音を出しているのか。(もちろん、わざとだよぉ〜)

いずれにしても、歯車の軋んだような音が、このウィーン・フィルというオケから飛びだしてくるのには、かなり驚かされる。えっ ここでテンポ落とすんだ。なんで〜? どーしてぇ? 悲鳴をあげているような感覚もあるし、ギシギシ、ガシガシ、キーキーと、なにせ擬音で表現しようと思ったらきりがないように、軋んだオケの音が、いっぱい出てくる。
ドンドンドンドン・・・ と強烈に打楽器を鳴らしていると思ったら、前につんのめるように、重低音の弦の響きが出てきたり、まあ。変わってて面白いって言えば、変わって面白いのだが、、、
ワタシの場合は、これは、やっぱ最初は、感覚的に合わないし、異様な感じで、拒否反応が起こってしまった。変に面白いけど、やっぱり違うよなあ。って感じだったのだ。

まあ、何度聴いても、フレージングが妙に長い場合があったり、そうかと思えば畳みかけるとこもあるし、テンポの変化、音響のバランスが妙に変で、音で酔ってしまう。
そういう意味では、決して、気持ちのよい演奏とは言えない。
まあ、もっとも、ハルサイで、気持ちの良さ、心地よさというのは、う〜ん。求められている要素なのか、ちょっと疑問なんだけどね。そう、春の祭典は、決して、穏やかで、気持ちよい楽曲ではない。
じゃー マゼール盤は、その点、合格してるんじゃん。と、ツッコミを入れられると、お手上げなのだ。
しかし、、、何かが違う。
何度聴いても、ワタシとしては、釈然としないし、受け入れ難いのだが。こりゃ〜好みの問題なんだろうか。いやいや、不協和音の鳴らし方なんぞ、不協和音そのもの的に鳴っているし〜 癖になるような、アクの強さも、つっぱり感もあって、かなり異様な雰囲気をまき散らす。不良っぽさを残した演奏でもある。

やっぱ面白い、楽しく聞いているんじゃ〜ないの。と、自分で、自問自答しながら聞いていたのだが、追い込まれたウサギのように、逃げまどっているような、動物的な感覚も鋭く、決して、緩い演奏ではなく、なかなかに、際どい、鋭さのある演奏なのである。
うねるような感覚もあって、蛇に睨まれたカエルのごとく、すごまれて、びびってしまう演奏でもある。

第2部の最初は、宇宙的感覚で、綺麗な情景を描いているし、ティンパニーの驚くような、遅めの連打、ストロークが入ってくるし。予想不可能っ。(笑)
まあ、その点、何が起こるのかワカラン。という点では、緊張感アップしているし、総体的には、やっぱ面白いんだと思う。
それに、ウィーン・フィルから、これほど、えげつない音を引き出した。という点では、やっぱ、指揮者のすごさなんだと思うし、呆れたような、感心するような〜 頭を抱えたくなるような気分だ。
拒否反応が出て嫌悪感すら感じる面もあるが、興味津々で聞かされている面も否めないし、、、
その演出の奇才ぶりには、やっぱ、頭がさがるのだが、心情的には、はあ。困った盤なのである。
どろどろどろ〜っと鳴っているティンパニーや、ん〜タタ うぱ うぱ〜となっている金管のテンポの遅さに絶句しつつも、はあ、やっぱりマゼールでした。

この盤のすごさは、ワタシには解りません。と正直にお手上げにしちゃうか。いや、ワタシには予測不可能でした。でも、聞き込めば、きっと面白い筈ですよ〜と、ウソぶくか。変わった演奏とも何にも言わずに、ノーコメントにして、だんまりを決め込むか。異様なモノは異様なのだと、もう聞かない。として、切って捨てるか。ちょっと 困ってしまいますが、相当に変わっています。
他の方にお薦めはしませんが、ワタシは聞きますね〜と、言い訳しちゃうかな。アクが強いが、どこか、癖になってしまう演奏ですと言いつつ、にやり〜っと笑ってサービスしちゃうか なあ。う〜ん。難しいです。

この盤の感想は、聞くときによっても受ける印象が変わるかもしれませんね。
まあ、とっても微妙でアブナイことは確かで、そのアンバランスを楽しむ分には、面白い演奏ではありますが、好きか嫌いかと言われたら、う〜ん。嫌いかなあ。
でも、マゼールさんのアクの強さは、枚数を持っていくうちに、癖になっちゃう。

まっ ともかく、聴きなれたハルサイに飽きたら、一度聞いたら良いですけど、「春の祭典」を初めて聴くとか、2〜3枚目に聞き比べに買ってみようかという場合は、う〜ん。お薦めしないですね。
ワタシ的には、10枚目ぐらいに購入したらいかがでしょう〜と言っておきます。(笑)

アバド ロンドン交響楽団 1975年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra



← リマスタリング2枚組BOX カップリング:ストラヴィンスキー
「春の祭典」 録音:1975年
「火の鳥1919年版」 録音:1972年 「カルタ遊び」 録音:1974年
「ペトルーシュカ 1911年原典版」 録音:1980年 「プルチネルラ 1947年版」 録音:1978年

録音状態は良い。上のCDは、アバドがロンドン響を振ったストラヴィンスキー作品を、2枚組BOXにしたもの。OIBP(リマスタリング)されているというので、CDのダブり買いを承知で買ったものだが、70年代の録音なので、そんな飛びっきり良いとは言えないかもしれない ものの期待していた以上に、なかなか良い録音だった。
それに懐かしいっ。

アバドさんとロンドン響のストラヴィンスキーは、結構、人気があったし、元気で溌剌としていた。色彩感が豊かだし、明るくて、リズミカルで、キレがあって、ストラヴィンスキーの特性を、鋭く演奏していたと思う。
下のCDが、ワタシが元所有していた盤である。

★ 第1部 「大地礼讃」 ★ 第2部 「生贄の儀式」
今聴いても、ヌケのよいリアルな音響だ。
それに木管の鳴き声が、めちゃくちゃ面白い。
オーボエも、ファゴットも、クラリネットも、くるくる ぴー くるくる ぴー あちこちで、声を震わせて、ベロベロ〜っぴっ。
ベロベロ〜っぴっ。
「そっど そふぁ〜 そっど そふぁ〜 そっふぁ しふぁー そふぁーっ しふぁー」
「ふぁ〜 ピロピロ ぴっ!」てな感じで、へんてこりんな〜いやいや、メチャクチャ楽しい声が聞こえる。
へぇ〜 やっぱリマスタリング盤は良いなあ。と思ってしまった。
バスクラの音やコントラファゴットの音色までは聞き分ける耳を持っていないんだけど、多彩な木管群の響きは、ご馳走である。
弦も金管だって威力がある。れしみし れしみし・・・ ゲっゲっゲっ ゲっゲっゲっ・・・と力強く刻む。
綺麗に粒揃いの「ふぁふぁふぁふぁ・・・」とリズムを刻む音に、思わず、にやけてしま うし、テンポも速めだしキレも良い。「どど どど どど どど しらそら ふぁっふぁっ・・・」
明瞭で、キラキラ輝く金管の音色が聞こえる。

滑るような「れしみし れしみし〜っ」ってところは、綺麗にツルリンっと滑っているし、トライアングルも奥からキラキラした音を放っているし。う〜ん。結構、上質だ。ご馳走を食べた気分だ。
引き締まった筋肉質で無駄のない造形美っていう感じだろうか。
大太鼓だって、ハイ、渇いたティンパニーの音も引き締まっているし、今聴いても、華やかで、活気があって、煌めき度が高いなあ〜って思う。
まっ ところどころ、 金管がちょい下手だ。「賢者の行進」のところなんぞ、「らぁ〜そぉ らぁ〜そぉ らしれし らぁ〜そ らぁしれしれし ら〜そぉ」と、何度も吹いているうちに、音が割れて落ちていく。
ありゃりゃ〜 揃ってないやん。

★ 第2部 「生贄の儀式」
第2部は、すわーっと静謐さもあって、丁寧なアンサンブルで、これも木管が大活躍で綺麗に聴かせてくれる。鋭いティンパニーの打ち込みも揃っているし、金管の咆吼と弦の間合い、打楽器群の迫力も、シャンシャンいう銅鑼もよく響くし、ツボにはまって、みごとに決まっている。文句なし。
70年代中期って、結構、音響が良くなってきていた頃だったと思う。
で、ハルサイが人気で、名盤も多いが〜まっ 金管が揃ってないところはあったけれど、総体的には、鮮烈で、痛快だ。スパークしていく様相は、みごとなもの。 スマートで鋭いシャープなハルサイの先駆けのような盤かな〜って思うが、どうだろ。

ところで、CDのインデックスが11しかないのが、ちょっと玉に瑕である。
他盤と同様に、 14に分割してくれていたら、ピックアップして聴く時に、こんがらなくって良いのにと思う。
アバド盤のインデックスは、下記のとおり。

1 第1部「大地礼讃」序奏
2 春のきざしと乙女たち(若い娘たち)の踊り
3 誘拐
4 春のロンド(踊り)
5 敵の都の人々の戯れ〜賢者たちの行進〜大地への口づけ
6 大地の踊り
7 第2部「生け贄」序奏
8 乙女たちの神秘的なつどい
9 選ばれた乙女たち(生け贄)への讃歌〜祖先の霊の呼び出し
10 祖先の儀式
11 いけにえの踊り

C・デイヴィス コンセルトヘボウ 1976年
Colin Davis
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

録音状態は極めて良い。発売当初は、優秀録音としてもてはやされた。穏やかなマイルドな演奏で、野蛮さ、土俗性、スリリングな要素には欠けているが、音の響きを楽しむのには、うってつけ。
カップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」「ペトルーシュカ」

★ 第1部 大地礼讃 序奏
録音状態は、奥行きが深く、懐深く、暖かく、大音量になっても豊かに響く。
序奏部分では、木管類が活躍しているが、特にファゴットの音色は、空恐ろしいというより、マイルド感がある。 う〜ん。大地の地響きや芽生えという雰囲気とは、ちょっと違うかな。
レシミシ レシミシ・・・ 弦のピチカートが始まると、大地が軋むように感じる。

「春のきざしと若い娘たちの踊り」
弦に、金管が被さってくるところは、なかなか凄みがある。
コンセルトヘボウの金管類は、カーッとした火のついたような音ではない。鋭い咆吼ではなく、上品で奥の方から、ふわーっと出てくる。
コンセルトヘボウの音色は、木質なので、残響がマイルドに響く。金管が咆吼しても、決して悲鳴のようには聞こえない。もちろん、鋭いところは鋭く吹かれ、ティンパニーも 強く叩かれてはいるが、野蛮にはならないのだ。土俗性や野性的な・・・と言われても、ちょいとダメなんだが、私的には耳疲れせず嬉しい。
まあ。この楽章は、いろんな楽器が変拍子で駆け抜けていく。

「誘拐」
ドンドン・・・太鼓が響くが、空中に舞っているようで、音がまあるい。
金管のパッセージが吹かれ、インテンポで進む。大太鼓・ティンパニーは、奥で豊かに響いている。

「春のロンド」
ふぁーれ ふぁーれ ふぁ〜それれ どん ふぁーふぁーふぁー どん ふぁーふぁーふぁー 
ああ〜 このリズムが、春のロンドかぁ。 (↑ 全然、楽譜とあっていないように思うが) 
春とは言いつつ重いロンドで、楽器を変えて何度も繰り返された後、いきなり雷が落ちる。
このデイヴィス盤の銅鑼の音は、すげーーっ。ホント凄い。雷が落ちたような大迫力で、仰天する。
なんじゃー この音!
それまで、まろやかに進んでおきながら、目の前で火花が炸裂する。この怖さ。不意打ちなのだ。
この銅鑼は、他の盤で使われている通常みるような銅鑼の音ではないと思う。
平たく大きな金属のようで、硬質のカーンでもなく、じゃーんでもなく、びびょびょ〜んでもない。
ビシャシャーン か、ギジャシャーン に近い。
普通の銅鑼の真ん中を、普通に叩いていたんじゃ〜 こんな音は出ないと思うんだよなあ。
まあ。とにかく、これまた、残響よろしく響き渡る。
しばらくたって、ああ春の嵐なのね。これっ。バリバリバリ・・・ 3度も落ちるんです。間をあけて計7回。
その後、静まったあと、フルートによるリズムが生まれ、動物が咆吼する。どうやらお目覚めらしい。

「敵の都の人々の戯れ」
ちょっとスピードアップする。奥の方で、金管の遠い雷鳴が鳴る。
まろやかな残響が残っているので、気持ちが良い。他の盤だと金管が、耳に突き刺さるのだが。
デイヴィス盤は、前章で派手な銅鑼が一発入った以外は、あまり驚かない。

「賢者の行進」
大太鼓が、遠くで叩かれている。このあたりの音の響きは、すごく良い。
金属の盤(銅鑼のような大きさではないと思う)が叩かれる。金管の咆吼・・・
あまりテンポは揺らしていない。ここら辺の音の響きは、デイヴィス盤の白眉だと思う。
いやいや、どこ盤でも聴きどころだと思うのだが、特に、次の「大地の踊り」を含めて、重低音の音圧が凄い。いつ聴いても惚れ惚れ〜。 豊かな大地の恵み的。まるで豊作だ〜に聞こえちゃうんだが。

「大地の踊り」
静まって、パンパン パンパン・・・ 音が前に動いているようで、地響きが起こる。
音の動きが、とてもすばやく、遠くから近づいてくるのが、リアルに感じられる。
う〜ん。劇的効果抜群だ。映像ではなく音で距離間を表すのは、とても難しいと思うのだが、変拍子が続くところは、まるでスパークしているよう。火花が パチパチパチ・・・と散っている感じがする。

★ 第2部 いけにえ 序奏
ホルストの「惑星」最後の曲に似た雰囲気である。
それまで、地響き続きだったのが、一気に宇宙に放りだされたような、無重力の空間に浮かんでいるような錯覚に陥る。 デイヴィス盤では、かなり、ふわ〜っとした空間に包まれる。これ絶品。
第1部と第2部の幕の場の雰囲気を変えている。ふわ〜っとした、ほっとできる時間だ。
えっ でも、落ち着いている場合じゃないよねえ。これ「いけにえ」だったよなあ・・・ う〜む。

「乙女たちの神秘的なつどい」
少しだけテンポがあがり、弦が綺麗に奏でている。不協和音なのだが、あまり不協和音だとは感じない。
金管が柔らく奏でていると思ったら、一気に次の場面に突入

「選ばれた乙女たちへの讃歌」
いきなり〜 太鼓が始まる。どんどんどんどん・・・ んちゃ んちゃ んちゃ んちゃ・・・
あらら はじまっちゃった。周りで騒々しく踊り出したという感じを受ける。どうも周りが騒がしい。
煽ってるやろ〜 はよやれ〜と言っているようだ。周りの外野連中が、足を踏みならしている。
すっかり、リズムに飲み込まれ、周りの煽りに乗らされる。
この切り替えはマイルドなのだが、かなりの音響効果がある。電源ON!という感じ。

「祖先の霊の呼び出し」
ティンパニーと金管の咆吼があり、金管のねばっこい んーーーっちゃちゃちゃ・・・ 
テンパニーの うぱんぱー うぱんぱー れーれれーみれみれ うちゃうちゃ・・・ 

「祖先の儀式」
小さくリズムが刻まれ、ファゴットが唸る。シンバルが小さく聞こえる。あまりテンポを変えていない。
豊かな音響のくせに迫ってくる。決して野蛮丸出しではないのだが、押し出しは強い。

「いけにえの踊り」
金管の不協和音が、まるで雄叫びのように始まる。
ふぁふぁふぁみれれー 弦が絡んできて 切り刻んでいる音のように聞こえる。
げっ ヤバイ。んちゃちゃ んちゃちゃ・・・ いよいよ、ヤバイ。佳境に入ってくるのがわかる。
で、突然 笛が鳴って終わる。えっ これからじゃーないの。と言う感じなんだけどね。
血は見ないんですわ。しかし、「春の祭典」は、いつもながら疲れる。正直、しばらく聴きたくないですねえ〜ハルサイだけは、聞き比べは、一度に出来ません。お疲れさま〜

フェドセーエフ モスクワ放送交響楽団 1981年
Vladimir Fedoseyev
Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow Radio

録音はまずまず。奥行きは深い。残響は多めで耳に優しい。
でも、演奏は、あまり明晰ではなく、幾分、靄がかかっているという感じがしちゃう。重量感のあるハルサイで、音圧を伴って、ぐわ〜っと畳みかけてくる という点もあり、土俗性は持っている感じがするが、とっちらかった感じがして、とても疲れる。

「序奏」では、テンポがゆったりしているため、切れ味が鋭いというより、厚みのある重さでドシドシ・・・という感じがする。
「春のきざしと若い娘たちの踊り」では、打楽器類の音響は、ドンシャリ気味かな〜とも思えるのだが、奥行きがあるため、さほど気にならず、どーんとした迫力がある。
もう少しテンポがあれば、推進力がついていただろうに。ちょっと鈍重な感じがする。
木管が、ぴろ〜っ。と甲高い音を出したり、ピロピロ〜と吹かれていたり風のように感じる。ところどころ隙間が見えたり、弦のこしげた音が鳴っていたり。何の音が鳴っているのかな?と、飽きさせない。
アンサンブルとしては・・・ ちょっとなあ。と苦笑しちゃう。
「誘拐」では、木管の音色がちょっと笑えたりするのだが、打楽器は乾いた硬い音で響く。
「春のロンド」は、木管のフレーズがなんとも和風に聞こえる。テンポが遅くて、ホント、御簾ごしに吹かれた横笛にも聞こえて、周りにススキが欲しいぐらい。

「敵の都の人々の戯れ」〜「大地の踊り」は、テンポよく快速に飛ばす。
ここは、第1部の白眉だと思うが、フェドセーエフ 盤も他の盤に負けず劣らず、すごい音圧で立ち上がってくる。ティンパニーのシンコペーションは、奥からよく響いてきて気持ちが良いし、前の金管類と奥の金管類と・・・音が帯状になってくるかのようで、重なりあって出てくる。 金管の短いパッセージも速く、加速度もあり、音量パワーもあって、音圧を伴って畳みかけてくる。 大太鼓が、地響き的に叩かれており、土俗的な響きとして感じられる。

第2部の「生贄の儀式 序奏」は、静寂感があり、奥行きが深く、まるでホルストの「惑星」を聴いているような錯覚に陥った。「乙女たちの神秘的なつどい」は、ゆったりしている。幾分まったりしすぎ〜と思わなくもないが、暗闇のなかで、神秘的な音が響くのがわかる。星空の元での祈りなのかなあ。
不協和音の旋律が気持ちよく流れてくる。
「選ばれた乙女たちへの讃歌」は、一転して激しい土俗臭い音が満載になる。
すげ〜 叩き破るんじゃーと思うような打楽器の音だが、遅いっ メチャ遅い!
牛の歩みのようだ。なんとも鈍重で・・・とぼやきたくなるのだが、これがロシア臭さなのか。 う〜ん。 「祖先の霊の呼び出し」では、つんざくような悲鳴をあげて、それがまた、ねちっこい。
びぇえ〜えんえんえん びぇえ〜えんえんえん・・・というようなトランペットの吹き方。
うんじゃ うんじゃ うんじゃ・・・と、ねばっこく鳴り続けるティンパニー。
「祖先の儀式」では、ドッコンドッコンという響きのうえに、鈴が遠くから響いて乗っかっている。

第2部の白眉「いけにえの踊り」は、テンポが遅めで、ドンドンドンドン・・・ボコボコボコ・・・ドテドテ・・・
というイメージ。う〜ん。テンポが遅いので、音が耳によく届いてくるのだが、いろんな楽器がアチコチから響いきて、辛くなってしまった。

元々不協和音なのに、耳のなかで音が混濁状態になってしまって、私のオツムのなかは大混乱。
残響が多いため、耳ら音符があふれかえってしまうし整理ができないのだ。
選べないんだよねえ。音が・・・。美しいフレーズが耳に残るのは歓迎だが、これでは濁ってしまって。
うぇ〜ん。これは耐え難い。引きずったようなテンポに、粘り腰で鳴るちらかった音。う〜ん。ちょっと、泣きたくなるほど疲れてしまった。

デュトワ モントリオール交響楽団 1984年
Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



録音状態は極めて良い。暑苦しい泥臭い演奏とは、真逆の対角線上にあり、スタイリッシュすぎるぐらいの鋭さで、宇宙空間で聴いているかのような、未来志向というか、数世紀先の演奏を聴いているみたいだ。かなり、ぶっ飛んでしまう。
カップリング:ストラヴィンスキー 春の祭典、管楽器のための交響曲

★ 第1部 大地礼讃
現在発売されているCDは、ペトルーシュカと、カップリングされた盤のようだが、ワタシが所有しているのは、珍しい、管楽器のための交響曲〜ドビュッシーの追憶に〜(1920年オリジナル版)と、カップリングされている盤である。
ところで、このデュトワ盤の春の祭典第1部は、全体的に切れ味抜群で、音が透っていくという感じだ。
録音状態が極めて良く、音の通りが、すごく良いのである。
なんだか、人の吹いている楽器というより、高音域がキン〜っと高音域のツーンとした響きに似た感触がする。
特に、フルートが煌めき、金管の通りが、鼻に抜けるというより、アタマのうえを、すーっと透っていく感じがする。

ファゴットの低音や、バスクラの「グエッグエッグエッ・・・」と鳴る低音の響きも、弦の 「れれれれ れしみし れしみし・・・」とカシカシなる音とか、大地が揺れ動き、軋んで音が鳴っているという、ごごごぉ〜と地響きの鳴るようなところが、すごく綺麗すぎて、大地の地響きという重低音の響きが少なく、大気圏を抜けて、宇宙の彼方に飛んでいく感じだ。

「そっど そふぁ〜 そっど そふぁ〜  そどれどふぁ・・・ そっど そふぁ〜」
「そぉ どぉ〜 そふぁ〜  しっ ふぁ〜 そどっそふぁ〜  しぃ〜ら しらしらしら パラパラパラ・・・」
この木管と金管の甲高い声が、キラキラキラ・・・ すきっとした空気感のなかを、キラキラキラ・・・
なんだか、宇宙船に乗っている感じがする。(もちろん、ワタシの個人的感想ですが 笑)

「れしみし れしみし・・・」低弦のガシガシ音、「グエッ グエッ グエッ・・・」「どどどど・・・・」「ふぁそらし らそふぁそ・・・」
大地が軋むように揺れ動く筈なのだが・・・ う〜ん。綺麗だ。
滑る弦の音、鉄琴の音、弦のつま弾く音、「らっれら どぉ〜しら しぃ〜しそ らっれら しぃ〜そぉ」
ひぇ〜 綺麗っ 綺麗だ。キレイ過ぎるぅ〜♪ ひゃ〜 ひぇ〜

春のロンドの、「ふぁーふぁーふぁー どん ふぁーふぁーふぁー」ってところから、銅鑼が鳴るところも、イチバン泥臭いところなのだが、悲鳴をあげる不協和音の塊と化すところだが、光輝く光線を放っているという風情なのだ。
こりゃ大地ではないぞ〜 もはや、地球ではありえない。(って感じ)
おどろおどろしい、コアなところが、ぶっ飛んで、ただ、迫力もあるし、金管のぶっとい音まで、ティンパニーの音までもが、硬めにしまっていて、ピッチが高くなっているかのような雰囲気がする。
ちょっと人工クサイって言えばクサイが、これほど格好良くなっていると〜 もはや、文句のつけようがない。
不協和音という感じではなく、スマートな音に聞こえるのだから、摩訶不思議。
弦の弾きも凄い強烈っ。金管はスパークし、スピード感はあるし、1部の終わりなんぞ、きゃーっ 格好良いっ!

★ 第2部 いけにえ 序奏
第2部は、宇宙船に乗って、ワープしました。
で、時空間を超えて、銀河系を超えてしまい〜 現在、どこに来たのか、ふわーっと進んでいます。
まるで、SFXの映画さながら、宇宙に放り出されましたというシーンですかね〜
第1部の終わりは、ワープ前の超常現象というか・・・。現在は、時空間を呼び超えてしまい、4次元時空を漂っているような。ふわふわした浮遊感に包まれている。

第2部は、1部とは打って変わり、沈静化してしまって・・・
まるで別人のように感じられる。う〜ん どうしてなんだろうと思いつつ、ツーンっと張り詰めた感覚でもなく、シーンとした冷たい空気を感じるわけでもなく、冬の夜空を見上げているかのような感じでもなく、大地から放射冷却のような靄が立ち上っていくような感じでもなく、どことなく、宇宙の藻屑と化してしまったような虚無感に襲われているのだ。
でも、ホントSFX映画なみの、ブラックホールに落ち込みそうなところで、
「選ばれた乙女たちへの讃歌」 の太鼓が始まる。
んちゃ んちゃ んちゃ んちゃ・・・ れっどっしっらっ! 「うん〜 らららら・・・」「ん〜ちゃちゃちゃ・・・」
いきなり雷に打たれるし、「ん〜 タぁタタたっ」「んタータタ んタータタ」というリズムが鳴り始めると、ちょっぴり熱帯雨林のような世界に放り込まれる。
なんだか、スター・ウォーズの世界みたいで(笑)
「れぇ〜 ど〜れど しぃ〜ら しどれ〜ど し〜ら」というフレーズのバックで、すごい音で、シャンシャン鳴り物が派手になる。で、変拍子の変化なんぞ、むしろ楽しそうに乗り越えているし、「う〜タタンタン う〜 タタンタンっ」と、大太鼓の威勢の良い音で、最後まで一気に行ってしまう。

総体的には、ホント、もはや別世界の宇宙空間で遊んでいるかのようだ。
妖しげな祭祀の風景とかドラマとは思えず、原始的とか土俗性とか、そんな言葉とも隔絶している。
21世紀型という感じで、宇宙に飛び出した感のある演奏で、他盤とは比較にならないほど、未来形という感がする。

シャイー クリーヴランド管弦楽団 1985年
Riccardo Chailly
Cleveland Orchestra



録音状態は極めて良い。見通しよく、精緻で、野蛮でもあり、躍動感もあり、瑞々しくもあり〜 とても整ったバランスの良い演奏で、何度、繰り返し聴いても多分飽きないと思う。
カップリングは下記のとおり。2枚組BOX

シャイーさんの振るストラヴィンスキーは、たくさんCDが発売されているが、名盤が多い。
で、ワタシが持っているCDは、2枚組BOX(DOUBLE DECCA)で、下記のとおりカップリングされている。

 ペトルーシュカ 1947年版 コンセルトヘボウ 1993年
 春の祭典 1947年版 クリーヴランド管弦楽団 1985年
 組曲「火の鳥」 1945年版 コンセルトヘボウ 1995年
 カルタ遊び コンセルトヘボウ 1996年
 ミューズの神を率いるアポロ 1947年版 コンセルトヘボウ 1995年

残念ながら、この2枚組には、ワタシの大好きな「プルチネルラ」が収まっていないので、超がっかりなのだが〜 さて、ここでご紹介するのは、「春の祭典」 オケは、クリーヴランド管弦楽団である。 このハルサイだけが、85年の録音だが〜 録音状態は、極めて良い。ホント良い。

★ 第1部 大地礼讃
透明度も高いし、出だしのファゴットも、コントラファゴットも、バスクラも〜 これらの音が聞き分けられるのだ。ホント、この出だしだけで、いろんな楽器が極めてクリアーに聞こえてくるので、へぇ〜っと、驚き、感心しちゃうほど。
出だしの木管群のハーモニーだけで、もうノックアウトされちゃう。
もう〜 これだけで充分に楽しめちゃう。
他の盤だと、これだけ、聞こえてきたっけ・・・。1つ1つの楽器が、明瞭だし〜 残響もほど良く入ってくるし、音の持続音も、混濁なしに聞こえてくる。ホント嬉しいっ。

「春のきざし」の場面では、さほど野蛮でもないのだが、「みしれし れしみし・・・」と続く、弦の弾ける音、ジャンジャンジャン ふぁっ ふぁっ! れしみし れみしみ・・・ どどどど しらそら ジャジャ・・・
そんなに、テンポは速くないのである。
でも、金管の噴き出しの大きさとか、音の短さ、歯切れの良さ、パッパっと出てくる音。
滑る弦の心地よさとかが、感じられててメチャ良いやん。

「誘拐」のところは、ティンパニーも、硬めの乾いた叩き方だし、タムタムの変わった音も綺麗にはまってくる。大太鼓だって、ハイ、きっちり、すっぽりと、ハマッてくる。
音の大きさは、大きく出てくるのだが、荒い感じがしない。整っており精緻な感じがする。
そのくせパワーがあって、残響がすごく綺麗だ。
う〜ん。これは、ジグソーパズルが、綺麗に、きっちりはまりました〜的な、気持ちよさがある。

テンポは、さほど速いわけではないが、1つ1つ、音が楽しめちゃう感じがするし、聴いてて、余裕がある。
何度も繰り返して、じっくり聞き込めちゃう感じが、すごーくするのだ。 思わず、耳を傾けたくなるような、そんな感じ。
やたらスピードが速く、テンションが高く演奏されているわけでもないので、さほど興奮するわけではない。
まあ、そんな聴き方ではなく〜
どういえば良いのか、音を全部詰めこんで、ギュウギュウになっているわけでもなく、配置の良さというのかなあ〜
音符で描かれた、出てくる音が、音同士の間隔が、妙に整っているというのかな〜
見通しの良くきいた、音の配置が、整っているというか〜 そんな感じ。
ひとことで言っちゃうと、収まりの良さ、整理整頓が出来た演奏って感じ、そのくせ、音だしが良いので、つい引きこまれちゃう〜というのを妙に感じる。

「賢者の行進」も、そみ〜 らみっ〜 と悲痛な音で、野蛮な感じもするが、かといって、どどど・・・・と地響きの立つ感覚もあるし、慌ただしさも感じる。 でも、どっか、明晰でクールだが、超メタリックな感じもしない。
弦なかには、しっとり感もあるし〜 かといって、金管の硬さ、ジャジャジャという竹(瓢箪)にギザギザを刻んだ「ギロ」の音 も、間合いよく入ってくるし、打楽器だって迫力満点だ。

音の音が全部、若くて、瑞々しいし〜 色彩感の豊かさと、広がりの良さ、色調の豊かさ。
奥行きの広さもあるのだが、奥から直接、目の前に飛んでくるような、そんな感じがする。
音が遠くで、飛び交っているという感覚より、音が、直接、聴いている自分の目に入ってくるような〜 そんな変な感覚もするのだ。
えー そんなウソなぁ〜って思うんだけど、へへっ ホントそんな感じなんです。
なーんで、こんなイッパイ音が聞こえてくるのか、超不思議な感じなんですけどね。
音が飛んでくるので、耳が、ピクピクっ アチコチの方向に、自分の意志とは関係なく、耳が動き出しちゃいそうなんである。ウサギの耳とか、馬の耳のように45度、反対に向きそうな勢いだ。縦に、横に、広がり、伸びちゃうような気がする。(笑)  まっ あくまでもワタシ個人の感覚ですけど。

★ 第2部 「生贄の儀式」
オケの編成が、ちょっと小さいからかもしれないな〜って思ったりする。
どんよりとした空気感の漂う盤もあるし、音の広がり感もあるが、シャイー盤は、空気は薄めに感じる。

でも、なーんか、これぐらいの重厚さの方が、もしかしたら聞きやすいのかも。
金管の本数が多すぎても、厚すぎて、重すぎて、暑苦しいのかもしれない。
まっ じっとりした、熱帯雨林系の演奏も、それなりに楽しくて、変わり盤も、面白いんですけどね。
シャイー盤は、運動神経もあるし、シャープさもあるし、リズム感も楽しい。
弦の今まで聴いたことのないフレーズが聞こえたりして、結構、楽しい。
他の盤だと聞こえてこなかった、フレーズが、よく聞こえるし、2部の方は、1部に比べて、テンポが、ちょっと速く展開しているように感じる。 変拍子も超快適だし、「ん〜 タぁタタたっ」「んタータタ んタータタ」というリズムも快適。
特に、ティンパニーのリズムは、ワクワクさせる。 金管とのし、「ん〜 タタタたっ」という粘りも適度で、ゲンダイ的だ。

総体的に、とにかくシャープで、躍動感があり、適度に野蛮だし、メタリックでスマート、整っている。
色彩感もあって、金管もティンパニーも木管も、全て巧いっ。 すっぽりと、収まるところに精緻に収まり、見通しも良いし、フレーズも見渡せ、バランスが良い。 その見事さに驚かされる。それに録音状態も良いし〜 完璧っ感じ。
聴いてて、ワクワクしたりすることは少ないし、どちらかというと、プロの演奏家さんが、楽譜を見て楽しめちゃう〜って感じかもしれません。
あっ もちろん素人のワタシも、聴いているワケですので、どなたにもお薦めできますけどね。
スポーティだし、ノリノリ感があるし、なんていうか底辺にビートを感じるというか、まあ、ロックを聴いたことのある人なら、わかってもらえると思うのだが、ビート感覚なのだ。
ハイ、このCDに巡り会って良かった〜と思うし、ワタシ的には、何度も繰り返して聴きたい盤である。
ブーレーズの旧盤(2回目録音)も、当然レファレンス盤として有名だけど、今なら、この盤かな〜という感じ。
多分、聴いてて飽きないと思う。

サロネン フィルハーモニア 1989年
Esa-Pekka Salonen
Philharmonia Orchestra of London

めがまわる〜   

録音状態は極めて良い。とっても、とっても、速いハルサイである。
超驚き。
2枚組BOX
他にも、カップリングを変えて発売されているCDあり。 
2枚組BOXで、カップリングは次のとおり。
カップリング:
ストラヴィンスキー 「春の祭典」「火の鳥 1910年原典版」「ペトルーシュカ 1947年版」「プルチネルラ 1965年改訂版」

1  第1部 大地礼讃 序奏
2  第1部 大地礼讃 春のきざし(乙女たちの踊り)
3  第1部 大地礼讃 誘拐
4  第1部 大地礼讃 春のロンド
5  第1部 大地礼讃 敵の部族の遊戯
6  第1部 大地礼讃 長老の行列
7  第1部 大地礼讃 大地礼讃(長老の大地への口づけ)
8  第1部 大地礼讃 大地の踊り
9  第2部 生贄の儀式 序奏
10 第2部 生贄の儀式 乙女たちの神秘的な踊り
11 第2部 生贄の儀式 選ばれた乙女への賛美(選ばれし生贄への賛美)
12 第2部 生贄の儀式 祖先の召還
13 第2部 生贄の儀式 祖先の儀式
14 第2部 生贄の儀式 生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)

★ 第1部 「大地礼讃」
序奏部分は、いたって普通のテンポで始まる。録音状態は良いし、パーカッションの煌めき度も高いし、とっても見通しの良い演奏だ。

2の「春のきざし」のところから、「れし みしれしみ・・・ れしみし ジャジャジャ・・・」と鳴り出したところから、超快速バージョンが幕開けとなる。みぃ〜みみみっ! と鋭い金管の音が入ってくるし、まだテンポあげるぅ?
低弦のジャジャジャジャというフレーズが速い。
弦の滑る音も速いけど、ここで、木管がついていってるのが凄い。ホルンも、どれどれどれ・・・。しししし・・・
「しぃ〜ししし どれみ〜 れ〜ど しし どれみぃ〜 ししどれみ れど・・・」というフレーズに差し掛かると、もはや手がつけられないほどに快速だ。
はやっ! その後は、目眩がしそうなほどに、快速になっていき、クラクラしそう。アタマから火花が飛び散る。

3の誘拐に差しかかかると、大太鼓もティンパニーの打ち込みも大きく、ものすごくクリアーだし、迫力あり。
どししららそ どししららそ・・・ れれれししし そそそ れぇ〜 というところになると、もはやついて行けない。
とっても速い演奏なのだが、このタクトについていっているオケが、すごい。
4 春のロンドになると、普通の速さに戻っており、息づかいも深く、猛獣が鼾をかいて寝ているかのような音がしている。
で、このパーカッションの一撃が怖い。ダダダ じゃぁ〜ん 銅鑼の音もリアルだし、金管の咆吼も明るく、ストレートに届けられる。
5 敵の部族の遊戯(敵対する町の遊戯)は、またまた、超快速になっていく。
ここから、第1部の終わりまで、すさまじい世界になっていく。ティンパニーの打ち込みの速いこと。2人で叩いてますよね。これで合ってるの?この打ち込みズレてるような気がするんだけど。真相はわからない。
ぴゃ〜ぴゃ ぴゃぴゃ ぴゃ〜ぴゃぴゃ と、金管が入ってくるのだけど、キレも良いし、もちろん文句のつけようがないのだが、あまりに速くて、血しぶきが飛んでいるかのような阿鼻叫喚の世界になっている。
畳みかけてくるところの速さ。この金属片が宙に舞っているかのような、スパーク音は、どうなっているのだ。
この大音量と、この速さ、このリズムの刻み、アリエナイ・・・。

★  第2部 「生贄の儀式」
既に、第1部で燃え尽きてしまっており、宇宙の藻屑となってしまった心境で、無重力のなかを漂っている気分に。
しかし、他盤に比べると、速いと思う。
だから、宙には浮いてような神秘的な空間は広がっているが、もっと、ゆったり〜と時間が流れているはずなのに、サロネン盤はせっかちなのだ。で、突然、音が消えてなくなってしまった感じになっている。
すごく弱い音になってしまう。(まあ、ここで息がつげるが)
序奏部が終わると、弦のフレーズにホルンが重なってくるが、ここは、とても綺麗だ。
また、木管がテーマを奏でて、速めに綴っていくのだが、ここには流れができているし、木管の音色も良いし巧い。
こんな音だっけ〜と、見通しの良さに舌を巻く。

で、11の選ばれた乙女への賛美(選ばれし生贄への賛美)や、12の祖先の召還になると、怖ろしいティンパニーの音に絶句してしまう。
金属的な音というか、薄っぺらいトタン屋根に、何かが落ちてきたかのような、破裂音という感じがする。
また、このティンパニーと、弦のピチカートの音のリアルなこと。雷が落ちてきたかのような衝撃がある。
ホント、驚愕するという感じで、ンじゃ ンじゃ ンじゃ・・・ 
阿鼻叫喚の世界のなかで、ティンパニーとピッコロの掛け合いが一段と激しさを増していく。
なんというか、原初的な、どろっとした粘りのある音でもないし、重厚さで満ちているわけでもない。
音に重さがあって、その重量に耐えかねてしまうような、ねちっこい、泥くささもない。

どちらかというと、陸上のアスリートの、引き締まったカラダを拝見しているかのようで、運動機能が抜群な演奏だ。
きっちりと、間合いの取った場面もあるし、キレだけではなく、情報量の多い演奏でもある。
また、巧い。速すぎて、目眩がしそうなところが、玉に瑕って感じなのだが、これだけ、びしっと、ばしっと、決めて演奏されちゃうと、文句のつけようがない。
目眩を起こしつつ、ふらふらになって〜 拍手しか、あるまい。

ショルティ コンセルトヘボウ 1991年
Georg Solti
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)



録音状態は良い。ライブ盤。素人でも、えっ?と思うところがあるのと、総体的にキレが悪くて〜。う〜ん。かなり期待はずれ。
カップリング:ストラヴィンスキー 春の祭典(コンセルトヘボウ 91年 ライブ盤)、ペトルーシュカ (シカゴ交響楽団 93年)

★ 第1部 「大地礼讃」
ショルティの「春の祭典」は、シカゴ響と74年に録音した盤と、このコンセルトヘボウと録音した91年のライブ盤がある。ショルティさんの振ったハルサイは、 一般的には、74年盤の方が良いが、今日は、ショルティさんが、珍しくコンセルトヘボウを振ったハルサイを聴いた。

木質的な音響で評価の高いコンセルトヘボウなので、音は柔らかい。
特に木管の音色は、やっぱり暖かくてよく響いている。うん。良い音色。でも、弦部は、結構、がっつり、ジャジャジャジャ・・・弾ける音も力強く、ガガガガッ・・・となっている。
「れしみし れしみし・・・チャッチャッチャチャ」
「ジャジャ ジャジャ ジャジャジャ んパっ んパっ」
ザラザラした感覚があって、なかなかに野性味がある。ゴツゴツした感覚を、コンセルトヘボウからも引き出しているので、ちょっと面白い。
もっとも、木管のフレーズ、「た〜たら たぁ〜た た〜たら たぁ〜た たぁ〜たぁ〜」が、前面に出てきて旋律を強調してくれたら良いのに、引っ込んだ感じがする のが惜しいけど。
録音状態は、まずまず。デッカならではのボリューム感のある録音状態だ。
しかし、ライブ盤だからねえ。えっ と思うところが、いくつかあって面白い。
セッション盤だと、録音しなおし〜ってことになるのかもしれないが、あれ? ティンパニーさん、タタタ タタタ タタタ タタタって叩くフレーズが、あったっけ。トランペットの「そふぁみ れふぁみ れどそ  そふぁみ れふぁみ れどそ・・・」っていうフレーズも、あちゃちゃー ずれてるっ。ばらけてるわぁ。ピタっとあってない よぉ〜 

「春のロンド」は、もう少し伸ばして欲しいかな。
「しししぃ〜 ししししぃ〜 れみふぁ〜れ〜ど ししししぃ〜れみふぁ〜 そ〜ふぁ〜」もう少し、泥臭く粘っこくしてくれないと、面白くないんだけどなあ。えー ここで、粘らないと粘るところないやん。あーこんな、スッキリと行かなくても。あーあ。
チューバの音色は迫力ある。銅鑼の音色も入ってはくるが、ドン ドドドド ドン ドドドド・・・ 大太鼓の音なんだろうか、ティンパニーの打楽器類も、迫力はあるものの、テンポが幾分遅め。

★  第2部 「生贄の儀式」
ちょっとテンポが遅めで、だれちゃう。
ンチャンチャンチャ・・・というテンポやリズムに、もう少しキレがあっても良いかもしれないが、迫力はあり。
「んチャーちゃ んチャーチャ」金管の咆吼や、木管のフレーズも聞こえてくるが、リズミカルかと言われたら、もう少しキレがあってよかったかな、って思う。
テンポも遅めだし、ガッツリ鳴ってこない。

なんか、鬼のような形相で迫ってくる熱気みたいなのをライブ盤で期待していただけに、肩すかし・・・。
破壊的で、野蛮さ、野性味たっぷりの演奏に、期待しすぎたかもしれない。 もっと、テンポアップして最後まで行ききって欲しいんだけど、なーんか、ドンクサイ。調子が悪かったんだろうか、オケも、アンサンブルが、かなりイマイチだったように思うし、、、これでは期待はずれだ。
コンセルトヘボウの「春の祭典」は、C・デイヴィス盤の方が断然良いと思います。
う〜ん。ライブ盤のショルティは、かなり分が悪いです。ラストに拍手入り。

ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 1991年
Pierre Boulez
Cleveland Orchestra

いかすぜっ

録音状態は良い。見通し良く、煌めく金管パッセージ、大太鼓のド迫力など、きちんと、役割分担をさせての総合芸術って感じがする。
カップリング:
1〜 4 ストラヴィンスキー ペトルーシュカ
5〜17 ストラヴィンスキー 春の祭典
90年代に入って、ブーレーズさん60代半ばとなり、ちょっぴり丸くなったなあ〜という印象を持っていたように思う。
今聴くと、アタリマエのことをアタリマエにしているぜっ。という感じの演奏なのだが、そこがスゴイなあ〜って思う演奏である。
70年代の演奏は、もっとアグレッシブな感じを受けたのだが、前作の時は、ワタシ自身も若かったし、さほど聞き込んでいなかったせいか、まだ、春の祭典っていうと、特別な楽曲のように受け止め、驚き、そして、テンションマックス状態で、スリル満点を味わって聴いていたような気がする。
きっと、びっくり眼で、のめり込むように楽曲を聴いていたのだろう〜っと思う。

で、ブーレーズさんの3回目の演奏は、落ち着いて聴けるが、やっぱり、クールで繊細、かつ豪快だ。
冒頭から、透明度が高いので、木管のフレーズが分離されて良く聞こえる。音のとおりが良いので、すーっと前に出てくるし、木管群の神妙な感じが、とても綺麗に見えてくる。
リズムも精緻だし、多彩な音が、ものすごく丁寧に、有機的に繋がっているという感じがする。

打楽器の音が聞こえ始めると、金管のパッセージが鋭く吹かれている。とにかく、すーっと前に出てくる、よく通る音なのだ。
弦の「れしみし れしみし・・・」と始まると、ガッ ガッ ガガガ・・・と鋭いエッジのきいた音と、金管が被さってくる。
さほど、重量感はないのだが、キレは良い。木管は、やっぱり綺麗だ。
弦のスラー状のところも、整っているし〜
やっぱり、この見通しの良い演奏は、木管が綺麗に見えてくることだし、音のキレの良さと、すかさず入ってくる木管などの効果音がバランス良く、
ところどろころ、金管のパッセージに、少し乱れというか、音の不揃いな面も見受けられるのだけど〜 そこが面白かったりするし、大太鼓の大きな音、奥まったところで鳴るパーカッションのドスンという音と、ティンパニーの特長ある音。
もう少し、テンポを速くしてくれたら、もっと、面白いのに〜
まあ、大太鼓さんのデカイ音には、ちょっと、度肝を抜かれるが、ドスンと低音の響きと、バシっという感じで入ってくる音には、リアルさも感じられ、とっても聴いてて嬉しくなってしまった。

もっとクールさ、冷えた温度での録音だったら、いいんだけど。
余裕があるというか、ちょっぴり暖かみを感じ、音にならない音が、もわーっと底辺で蠢いている感じがする。弦のさりげなく続く音が、ふわっとした空気感を感じさせ、地表から、水蒸気のような、わき起こってくる気体を感じさせる。
間合いも充分で、音の膨らませたりしているが、音を、押して押して、繰りだしていくというよりは、自然に音が膨らむのを待って、次のフレーズに移行しているようにも感じる。ストレートな圧は感じない。
チューバなどの低音系の金管は、どちらかというと奥まっているが、トランペットは鋭いし、奥行きたっぷり〜という感じはしないが、かといって平面的でもなく、遠方からの低音が襲来してくる〜という、距離感はある。
ホント、畳みかけてスパークする感じはしないけれど、銅鑼はシャンシャン鳴っているし、弦の渦巻くフレーズは速く、トランペットの音はキレキレなので、充分満足できるものだ。
このブーレーズ盤で感じるキレ感は、やっぱり、トランペットなのだ。
低音は後ろに控えており、トランペットと木管が、前に出てきている感じがする。(って、勝手なワタシの感じ方だ。)

2部に入ると、宇宙空間的な広がりを見せている。
透明度が高いので、もわっとした空気のなかに、多彩な音が盛り込まれているのがわかる。
で、「選ばれた乙女たちへの讃歌」 の大太鼓が鳴り始めた頃から、スピードアップされ、「んちゃ んちゃ んちゃ んちゃ・・・ れっどっしっらっ」と、勢いがついてくる。
うぉ〜っ という雄叫びが聞こえてきそうだ。
泥臭い、水っぽい、原始的というよりは、ギアをトップに入れて、ぐいっとアクセルを踏んで、トップを争うように鼻先を前に、突きだして走ってきたぞぉ〜という感じは伝わってくる。
「祖先の霊の呼び出し」のところの、「うん〜 らららら・・・」「ん〜ちゃちゃちゃ・・・」という、粘りけは少ないものの、筋肉質で、ぐいっと音がまわって出てくるし、おおっ このリズム このリズムだよ。

練った感じはしないけれど、キッっと、鋭いスピード感と、大きな打楽器群の迫力満点な音の渦に巻き込まれていく。
金管の咆吼は、この変拍子に耐えて、語尾が跳ねているし、このティンパニーの音のキレは抜群だ。
打楽器の最初の打ち込みが、相当に速いので、キレキレなのだ。

「ん〜 タぁタタたっ」「んタータタ んタータタ」という、リズムは、重いが鋭い。
パーカッション軍団のなかでも、トランペットはキンキンさせて煌めきを放ち、パーカッション軍団は重量を醸しだし、弦は幾分遅めのテンポで、熱帯雨林のなかで、もわっとした空気感を創出している。
これらが総動員されて、熱帯雨林の湿気、うねうねっとした曲線を描いている。ここの大太鼓は、デカイっ。
イチバン、後ろに座っている筈なのに、全ての楽器を通り越し、ぶちかますかのようなバズーカ砲なみに、音が出てくる。

う〜ん、総体的には、地表から、もわっとした空気感が、弦で煽られて出てくる。
密集した樹木や動物的な蠢きが、木管で奏でられ、全体的に、もわっと空気感が、地上に創られ、そのもわっとした空気感を、大太鼓などのパーカッション軍団が、圧をかけて前に押し出してくるかのような感じがする。
なんていうか〜 それぞれの楽器が、物理的な動きをしているというか、それぞれが、圧をかけあいながら、全体を作用しているという。なーんか、そういう感じがする。
まあ、少なくとも、もわっとした空気感を、大太鼓が圧をかけて、ぐわっと〜前に押し出しているかのように感じる。
役割分担をきちんとわけて、それぞれに充分に働かせて、しっかり、みごとに、総合的にまとめてくるな〜って感じがする。

ユーリ・シモノフ ロイヤル・フィル 1996年
Yuri Simonov
Royal Philharmonic Orchestra



録音状態は極めて良い。透明度も高く奥行きもある。
シモノフ盤に期待していた土俗性、野蛮性みたいなモノは、期待はずれ。えっ おとなしい。スマートすぎるかもと言いつつも、録音状態の良さと綺麗さには拍手しちゃう。
カップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」「火の鳥」1945年版

★ 第1部 「大地礼讃」
ハルサイは、録音状態が悪いのは、ヤダな〜って思ってしまうが、このシモノフ盤は、録音状態は極めて良い。奥行きが感じられ、透明度も高い。
ファゴットのの超低音の「グエッグエッグエッ・・・」と鳴る音も綺麗に聞こえるし、木管も金管も明瞭だ。
煌めき度も高い。うふふっ、と思わず、にやけてしまった。残響も適度にあって、音場も広めだし、とっても雰囲気が出ている。
「ふぁっふぁっ ふぁっふぁっ ふぁっふぁっ ふぁっふぁっ っふぁ〜 っふぁ〜・・・」
「れしみし れしみし れしみし れしみし れしみし れしみし」
「ふぁっふぁっ ふぁっふぁっ  っふぁ〜 っふぁ〜 」というところも、リアル感タップリなのだが。でもなあ〜 ちょっと、テンポが遅めなのである。へえ〜 いい録音じゃん。と喜んだのだが、イマイチ、テンポが遅めで乗りきれないかも。おいおい、もちっと、テンションをあげて行ってくれないと〜 
緊張感が足りないワケではないのだが、なんか、鬼のような形相で迫ってくるのを期待していただけに、ちょっと肩すかし。ホント、ちょっと、綺麗にまとまっている感じがする。 いや、ホント美しすぎて〜
ワタシが、破壊的で、野蛮さ、野性味たっぷりの演奏に期待しすぎたかもしれないのだが。(笑)

「春のロンド」も、もっともっと、不気味さを出してくれたら良いのに。遠慮は要らないのにねえ〜 
木管が綺麗すぎてイカン。と思ってしまった。(笑) いやホント、惚れ惚れするような綺麗さで、まろやかである。弦の響きが、もっと擦れて、ギシッとした鋭い音が出ていれば、もっとリアルなのになあ。
でも、思っていた以上に綺麗で、色彩感がたっぷりである。
もっと、銅鑼や打楽器類が、ジャーンっ。ジャーンっ、ドンっ と打ち込んでくれていても良いのだが、軋み感が少ないのが、玉に瑕かも。(ナイモノネダリでごめんなさい)

「敵の都の人々の戯れ」では、ティンパニーの打ち込みが大きく、金管の咆吼が聞こえる。
「タタタタ タタタタ・・・ ひぃ〜ひゃ〜 ひぃ〜ひゃ〜」ってところのバランス感は、うんうん。綺麗だ。
軋み感もある程度出てくるし、普段聞こえてこない低音の木管が、なんとも言えない雰囲気を醸し出してくる。
意外と柔らかく、ソフト感のある「春の祭典」だが、直接的な響きより、残響のまろやかさのおかげで、品良くまとまっているのかもしれない。「賢者の行進 」の銅鑼は、ちょっと遠めだが、金管が鳴っているところで、シャンシャンという金属音が入ってくる。えっ これは? 
シンバルを、小さな箒みたいなモノで、シャンシャンと打っているような感じがするが、録音状態が良いためだろうか、よく音が広がっている。

「大地の踊り」での、ティンパニーをはじめとした打楽器類と金管の地響き感は、結構ある。
それよりも、歯切れの良いチャチャチャ チャチャチャ チャ という金管の響きが、すごい。うっ、すごい綺麗だ。う〜ん。シモノフさんに期待していた泥臭い演奏とは異なり、想像を遙かに超えた美しさで演奏されちゃった。
もっと土俗的に、破壊的に、パパパパパ・・・という金管の 悲鳴に近い、ぶっとい音で鳴らして欲しかったんだけどなあ。と思いつつ、第2部の生け贄の儀式に至る。

★ 第2部 「生贄の儀式」
冒頭の生贄の儀式の序奏部分は、まるでホルストの「惑星」の最後みたいで〜 ホント、錯覚を起こすぐらい、お星様が瞬いているかのような夜明けのシーンである。
抒情的というか、神話の世界が広がっているような静寂感があり、とっても驚いた。
テンポは遅めだが、しーんとした空気感が張りつめており、これはこれで生け贄儀式の幕開けにふさわしいかもしれない。
一瞬、緩いなあ〜とは感じるのだが、いったん鎮まったあとの、静寂感もたまらない。
生け贄が始まるという雰囲気ではないのだが、ふわ〜っとした浮遊感があり、木管の持つ柔らかさ、金管の柔らかい響きが、ウネウネした肌合い、ねっとりした感じ を与えず、スマートにすぎるかもしれないが、この、ひんやり感が宇宙的な広がりを感じさせる。
野性臭いとか、泥臭いとか、いや〜 むっとするような熱気で、暑苦しい世界をイメージしていたのだが、完全に良い意味で裏切られちゃった。なんとも不思議な世界だ。

この静寂を破って、「選ばれた乙女たちへの讃歌」が始まる。 んちゃ んちゃ・・・ドンドンドンドン・・・というリズムが鳴り始めるのだから驚かされる。豪快なリズムと、カラフルな色彩感が、一気に放たれてくる のだ。
う〜ん。泥臭い、ねっちっこい重量感は感じられないのだが、今風という感じのスマートさがある。
迫力のある重低音の、ごっつい塊のような、粘りけのある演奏ではないし、ガツン一発かますような演奏でもないし、破天荒を期待した向きには、すっかり肩すかしなのだが〜
分離状態のよい録音と、爽やかさを感じさせるような演奏会を聴いているような感じ。

え〜 んじゃ、なにもシモノフ盤でなくても、、、って感じはするのだが、まあ、その点どうなんだか。音が柔らかいというか、粘りのない演奏って言ってしまうと、それまでだしなあ。熱気でムンムンするようなライブ盤でもないし。安定し、安心して聴きてしまって、スリル感が無いと言えば、う〜ん。無いしなあ。
録音状態は良いし、パーカッション群の迫力はあるのだが、演奏自体は普通になってしまっているかも。
相反するような感想だが、ホント、久々に、録音状態も良いし綺麗で美しい「春の祭典」である。

1959年 ドラティ ミネアポリス交響楽団 Mercury  
1965年 アンチェル チェコ・フィル Sup  
1967年 スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン Berlin  
1969年 ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 SC ★★★★★
1969年 メータ ロサンジェルス・フィル ★★★★★
1972年 M・T・トーマス ボストン交響楽団  
1974年 ショルティ シカゴ交響楽団  
1974年 マゼール  ウィーン・フィル ★★★
1975年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★
1976年 C・デイヴィス コンセルトヘボウ Ph ★★★★★
1977年 ケーゲル ライプチッヒ放送交響楽団 weitblick  
1979年 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph  
1981年 ドラティ デトロイト交響楽団  
1981年 フェドセーエフ モスクワ放送交響楽団 Me ★★
1984年 デュトワ モントリオール交響楽団 L ★★★★★ 
1985年 シャイー クリーヴランド管弦楽団 Dec ★★★★★
1987年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI  
1988年 サロネン フィルハーモニア管弦楽団 SC ★★★★★
1989年 インバル フィルハーモニア管弦楽団 T  
1990年 ラハバリ ベルギー放送フィルハーモニー管弦楽団 Naxos  
1991年 ショルティ コンセルトヘボウ Dec ★★
1991年 ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 ★★★★ 
1995年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph  
1996年 T・トーマス サンフランシスコ交響楽団 R
1996年 シモノフ ロイヤル・フィル Sheridan Square ★★★
1999年 ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 Ph  
2004年 P・ヤルヴィ シンシナティ交響楽団 Telarc  
2006年 ズヴェーデン オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 EXTON  
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved