「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ストラヴィンスキー バレエ音楽「プルチネルラ」
Stravinsky: Pulcinella


「プルチネルラ」(Pulcinella プルチネラ、プルチネッラ )は、ストラヴィンスキーが1919年〜20年にかけて作曲したバレエ音楽です。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

18世紀イタリアの古典的な仮面劇(コンメディア・デッラルテ)を素材としています。スカルラッティの音楽による「上機嫌な婦人たち」(1917年)、ロッシーニの音楽による「風変わりな店」 (1919年)と、イタリア音楽にもとづくバレエを制作してきたバレエ・リュスの主宰者であるディアギレフが、ペルゴレージなどの作曲家をもとに、「ハープを含む大編成管弦楽」への編曲をストラヴィンスキーに依頼して誕生したものです。
ストラヴィンスキーは、リズムや和声は近代的なものを取り入れた独自の新古典主義のスタイルに作り替え、ディアギレフの意向を無視して、合奏協奏曲風の小編成作品としています。

ディアギレフは、完成した作品が要望通りでなかったために、とても驚いたそうですが、振り付けや舞台衣装を担当したたピカソは、音楽に合わせたコンパクトなものに作りかえたそうです。
1920年のパリ・オペラ座での初演は、指揮がアンセルメ、衣装舞台セットのデザインはパブロ・ピカソ、台本と振付はレオニード・マシーンが担当しており、何度も再演されたとか。

楽器編成は、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンが各2、トランペットとトロンボーンが各1、ヴァイオリン4×2 ヴィオラ3 チェロ3 コントラバス3、ソプラノ独唱、テノール独唱、 バス独唱という小編成です。バレエ全曲版で約35分 インデックスは18に区分されていますが、組曲版は8つに、室内楽にも編曲されています。

ストラヴィンスキーとディアギレフさんとのコラボは、とても楽しい画期的な楽曲を生み出しています。でも、図書館でスカルラッティ以外の忘れられた18世紀イタリアの作曲家を研究するという、 地道な作業から、このようなアイディアが生まれてくるわけで、天才たちも、遊んでるわけじゃ〜ないんですよね。
もともとがバレエ音楽なので、観客へのアプローチ度も高く、聴いているだけで場面が浮かんできそうな、 チャーミングで、コケティッシュな楽曲です。

アバド ロンドン交響楽団 1978年
Claudio Abbado
London Symphony Orchestra
メゾ・ソプラノ:テレサ・ベルガンサ Teresa Berganza
テノール:ライランド・デイヴィス Ryland Davies
バス:ジョン・シャーリー=カーク John Shirley-Quirk

録音状態はまずまず。暖かくて明るい音質と 、大らかさが魅力的で、声楽に、ベルガンサさんが登場する嬉しい盤。
組曲1947年改訂版

このCDは、アバドがロンドン響を振ったストラヴィンスキー作品を、2枚組BOXにしたもの。
OIBP(リマスタリング)されているというので、CDのダブり買いを承知で買ったものだが、う〜ん。70年代の録音なので、そんな飛びっきり良いとは言えないかも。
カップリングは、下記のとおり。

ストラヴィンスキー 「春の祭典」 録音:1975年
「火の鳥1919年版」 録音:1972年
「カルタ遊び」 録音:1974年
「ペトルーシュカ 1911年原典版」 録音:1980年
「プルチネルラ 1947年版」 録音:1978年

さて、ここでご紹介するのは、1947年版のプルチネルラ。
思わず、冒頭で、ぐわっ。厚いっ。色彩感の豊かな演奏だが、録音の関係か、ものすご〜く、もわっ、ぼんやりしてて、なんじゃーこれ。
「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど ふぁっみふぁ れれ〜 どっ」
「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど しふぁれしし し〜」

室内楽的な響きが、とっても面白い楽曲なのだが、う〜ん。透る弦の響きが、少しダンゴ状になっている感じがして、繊細な旋律が、一筋ごとに見えてこない嫌いがある。
サロネン盤を聴いた時も、厚いな〜って感じちゃったんだけど、それ以上かもしれない。
しかし、これは、まずい。と思ったのだが・・・
聞き進むうちに、ソロヴァイオリンのフレーズは、おおっ。切れてるじゃん。って思うし、細かい小節のまわるバロック調のリズムは、さほど、たれっとしたフレーズにはなってない。あれっ?
もしかしたら、キレはあるのだが、ちょっぴり録音の関係でイマイチ弾まないのかもしれない。
この録音状態、う〜ん。よくワカラン。冒頭のモワモワ感が、次第に薄れるような〜感じがする。
耳が馴れたというわけではないしな〜 途中から、詳細に聞こえ出すって感じだろうか。
ちょっと不思議な感じがした。 そうそう、色彩感は、充分あって、まぶしいぐらいにキラキラしている。 それに、テレサ・ベルガンサさんが歌っているっ〜 と、驚いてしまった。これは嬉しい魅力だ。
で、このアバド盤 CDのインデックスは19つに分かれている。

1  序曲
2  【第1場】 セレナータ 小羊が新鮮な牧草を食べている(テノール)
3  スケルツィーノ
4  ポコ・ピウ・ヴィーヴォ
5  アレグロ
6  アンダンティーノ
7  【第2場】 アレグロ
8  アレグレット 苦しめられても、それを甘んじて(ソプラノ)
9  アレグロ・アッサイ
10 【第3場】 アレグロ・アラ・ブレーヴェ こんなにも甘い言葉で(バス)
11 【第4場】 ラルゴ
12 アレグロ〜アラ・ブレーヴェ
13 タランテラ
14 【第5場】 アンダンティーノ もしも、あなたが私を愛してくれるのなら(ソプラノ)
15 アレグロ
16 【第6場】 ガヴォットとヴァリアシオン
17 【第7場】 ヴィーヴォ
18 【第8場】 メヌエット:三重唱「愛の焔に燃える瞳よ」(バス、テノール、ソプラノ)
19 アレグロ・アッサイ

CDのブックレットを読んでいると、ペルゴレージという名前の他に、ガロ(GALLO)という名前が散見される。序曲はドメニコ・ガロの作曲だというわけだ。で、2曲目はペルゴレージの名前が載っている。
さらに、恐らく〜 って感じで、他の作曲家の名前も載っていた。
ワタシとしては、元作曲家のお名前より、ピカソが造ったという舞台装置とか、登場人物の衣装の方が興味があるんだけど、、 、きっと斬新な舞台装置に衣装だったんだろうなあ。と、想像してしまう。

まっ、演奏の方は、ちょっぴり冷たい、クールで精緻な室内楽としての演奏も良いが、アバド盤は、アナログのバタバタ、コミカル喜劇だという、ちょっと余裕のある、しゃれっ気のある演奏も面白い。
聴いているうちに、目の前で舞台が繰り広げられているような感じがしてくる。
コミカルさと、しゃれっ気のある軽やかなリズムと、不思議なクラシカルな旋律が〜 うまく言えないんだが、ふわっと、するっと、滑り込むように織り込まれていて、とても 新鮮な曲だったのだろうと感じられてくる。

それに、アバド盤で聴いているうちに、どこか南欧の大らかさ、暖かい空気感が漂っていて、びしっと合わさった合奏でなくても、なんか許せちゃうような気持ちになっちゃうし・・・。
いや、このキャラクターの性格どおりに、憎めないヤツなんでしょうねえ。きっと。
イタリアの18世紀の仮面劇だというが、その素材をアバド盤は巧く使っているというか。イタリア風味がスパイス的に効いているような気がして、かなり陽気な面が出ているように思う。
ロンドン響の色彩感も、やっぱり巧く料理されており楽しい。

ケーゲル ドレスデン・フィル 1981年
Herbert Kegel
Webpräsenz der Dresdner Philharmonie
(Dresden Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。全曲版ではないので、声楽抜きの縮小版である。
ワタシ的には、もう少し色気が欲しいのだが、まさしく、クールで問答無用型、紋切り風な演奏だ。あーやっぱり。
1949年改訂版
カップリング:ストラヴィンスキー プルチネルラ、交響詩「うぐいすの歌」(1983年)

このケーゲル盤は、1949年改訂版を使っているってことなのだが、えぇ〜っ。と絶句してしまった。
シンプルっていう度合いを超えて、スカスカにしか聞こえないぐらいの演奏になっているのだ。
最初に聴いた時は、ドイツ・シャルプラッテン20周年記念シリーズってことで、超期待してたのに、版が違うだけで、これほどまでに厚みが異なってしまうとは・・・。
もちろん管が入っているので、弦だけではないのだが、ワタシ的には、かなりがっかりしてしまった。
1949年版は、声楽が入ってない縮小版ってことなのだが、やっぱ、人の声って、インパクトあるのねえ〜
ソプラノとテナーのソロが入ってくるのが、取り除かれているので、全曲版とは大違いだ。

で、弦楽八重奏曲程度の厚みしかなく室内楽のような小さなオケで演奏されているので、聴きようによっては、構造が解りやすいって言えば解りやすい。 それに、ケーゲル盤は、まずまず録音状態が良いので、この版の方が、もしかしたら、雰囲気的には、新古典主義ってことで、バロック的な〜響きがするのかもしれません。
実は、ワタシ、バロックの分野は、さっぱり聴かないので、心底、イタリアのバロック的な響きとして聞こえてきます。とは断言できないんです。スミマセン。
まあ、ペルゴレージの作品を元にした楽曲だってことだが、 一応、1949年版の曲順をご紹介しておくと、下記のとおりとなります。

1 シンフォニア(序曲) Sinfonia
2 セレナータ Serenata
3 スケルツィーノ〜アレグロ〜アンダンティーノ Scherzino-Allegro-Andantino
4 タランテラ Tarantella
5 トッカータ Toccata
6 2つの変奏のあるガヴォット Gavotta con due variazioni
7 デュオで演奏されるヴィーヴォ Vivo
8 メヌエット〜フィナーレ Minuetto-Finale

全部で約22分〜23分ぐらいの楽曲になる。
ストラヴィンスキーさんの楽曲には改訂が多いが、 恐らくこのプログラムだと、組曲版の改訂バージョンに相当するのかな。
まあ、確かに、あまり重すぎるのも嫌だなあ〜って思う楽曲ではあるし、それに演奏会に取り上げられやすい形式になると思う。ワタシも実演で聴いたことがあるバージョンです。

ケーゲル盤は、正直言って、う〜ん。快速版でクールに演奏されており、艶のない音色なので巧いのかどうか。あまり、よくわかんないんですけど〜 もう少し甘みのある音質で、色気というか、 洒脱のある余裕感があればねえ〜嬉しいんですけど、ちょっと、むき出し感のある紋切り型の演奏である。 ホント、色気ってモノが抜けてきっているんです。
あー やっぱりなあ。ケーゲル盤ですわ。
プルチネルラより、カップリングされている交響詩「うぐいすの歌」の方が、相当にブキミ感が出てて、こっちの方が面白いように思うのですが、さて、いかがでしょう〜。
いずれにしても、全曲版、1965年版の組曲版など、版で大きく編成が異なるので、聞き比べてください。

バーンスタイン イスラエル・フィル 1984年
Leonard Bernstein
Israel Philharmonic Orchestra

完全に怒っちゃった


録音状態は悪い。ハッキリ言って申し訳ないが、演奏もどへた。聴くに堪えない。
カップリング:
1〜2 ブゾーニ サラバンドとコルテージュ(ファウスト博士のための2つの習作)
 シノーポリ シュターツカペレ・ドレスデン(1998年)
3〜10 ストラヴィンスキー プルチネルラ
 バーンスタイン イスラエル・フィル 1984年
11〜13 ヒンデミット 交響曲画家マティス
 バーンスタイン イスラエフ・フィル(1989年)
このCDは、新古典主義とタイトルされたもので、ブゾーニと、ストラヴィンスキー、ヒンデミットの上記3曲がカップリングされているのだが、う〜ん。この曲は、全て新古典主義なのだろうか。
で、ここでご紹介するのは、ストラヴィンスキーのプルチネルラである。

このバーンスタイン盤は、はあ???
なんじゃーこりゃ。アンサンブルは、メタメタ、音はスカスカ、ちょっと、お世辞にも巧いとは、言い難く〜
やっぱり、正直に思ったことを書かないと〜と思うので、書きますが、ホント、アンサンブルはメタメタだし、音はスカスカで鳴ってないし、旋律は、へろへろ〜としていて聴いてられないです。
ホントに、変すぎて〜 コメントの書きようがないぐらい。ひどい。

「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど ふぁっみふぁ れれ〜 どっ」
「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど しふぁれしし し〜」
ここまでは、普通に聴けたのだけど、続いて、自信なげにオーボエが鳴っていたり、弦との木管セクションの絡みとか、へ?
自信なげに、頼りなげ〜に聞こえる。(って、縦横があってない。)

ライブ盤だから仕方ないという状態ではないように思うのだが。いったいどうなっているんだろ〜
精密さを要求される、愉悦性の高い楽曲だが、ここのソロの技量が、もろわかりの楽曲で、よく演奏したな〜て思うし、また、この演奏状態で、これで、よく、CDにしたよなぁ〜と思う。
ハイ、ハッキリ申し上げて、これはひどい。酷すぎだと思う。
ちなみに「ヴィーヴォ」で、トロンボーンが鳴るのだが、はあ〜 これでは、学生オケの方が、ずーっと巧いように思う。
思わず、ずっこけた。そして腹が立つ。
録音状態は悪い。ハッキリ言って申し訳ないが、演奏もどへた。聴くに堪えない。
こんな演奏を、お金を取って売らないで欲しいです。

CDのブックレットを見てみると、一般的な曲の紹介があって、ペルゴレージに基づく[改訂版1949] との記載があった。
・・・ディアギレフの勧めで、夭折したイタリアの作曲家ペルゴレージの作品をもとに、コンチェルト・グロッソ風の編成で書いた。博物館に眠っていたいた音楽をストラヴィンスキー流に改編したのである。 しかし今日の研究では、ストラヴィンスキーが用いた原曲の約半数は、ペルゴレージの作ではないことが判っており、結果としてこの曲はパスティッチョとなっている。
このバレエ音楽から、ストラヴィンスキーは1922年に8つの部分からなる組曲を作った。
このCDでは、さらに後に手を加えた1949年版が使用されている・・・とあった。

ここで言われているパスティッチョという意味が、どういう意味として使われているのか、ちょっとわかりづらいが〜
改編 改作 編曲なのかなあ。う〜ん。わかんない。
で、ブックレットには49年版とあるが、ウィキペディア(Wikipedia)では、改訂は47年とあるので念のため。

サロネン ロンドン・シンフォニエッタ 1990年
Esa-Pekka Salonen
London Sinfonietta
ソプラノ:イヴォンヌ・ケニー Yvonne Kenny
テノール:ジョン・アレイ John Aler
バス:ジョン・トムリンソン John Tomlinson

録音状態はまずまず。幾分、籠もりがちで、オケの編成が大きいのか、分厚い感じがする。1965年改訂版

このサロネン盤は、1965年の改訂版で録音されている。通常、オーケストラ演奏される場合は、組曲版で声楽は除かれていることが多いが、声楽付きの全曲演奏している。

当盤のカップリング:
ストラヴィンスキー 「春の祭典」「火の鳥 1910年原典版」「ペトルーシュカ 1947年版」「プルチネルラ 1965年改訂版」2枚組BOX

「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど ふぁっみふぁ れれ〜 どっ」
「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど しふぁれしし し〜」
序章部から、ちょっと重め。
編成しているオケが大きいのか、少しぼってり気味だ。語尾が引きずった感じで、軽やかに、お尻があがっておらず、裏のころころした節回しが埋もれている感じがする。
う〜ん。軽やかなバロック調の、開幕を告げる音楽になっていないよぉ。

オーボエのフレーズが、透明度を欠いて明瞭さに欠けてて、うえ〜っ。少し厚いなあ。やっぱり。
チェロのソロも、どうもイマイチ、ヴァイオリンだけは、明瞭に聞こえるのだが、弦楽四重奏のような雰囲気が、あまり感じられず、ちょっと・・・。 この楽曲は、どちらかと言うと、スマートで、ちょっとクールな方が良いかもしれないな〜と思って、サロネン盤を買った記憶があるのだが、えーっ ちょっとイメージとは違ってしまった。
録音状態はまずまずなのだが、幾分、こもり気味と言える。ヌケがいまいち良くないのと、平板な感じがして、あまり立体的には響いてこないのだ。 各楽器が、小編成で、ソロとその他合奏に分かれているのかな〜って思っていたのだが、そうでもないみたい。
声楽にはマイクが、はりついているし〜 イマイチ音の分離がクリアーじゃないようだ。 
でも、テンポは速いし、シャキシャキ感があって、フルートもスピードに乗って、大活躍で、弦の細かくて素早い動きは、気持ちが良い。 不協和音で、シャンシャン執拗に鳴ってくるところも、気持ち良いぐらいに弦は鳴っている。
ただ、悲しいことに、音の分離が、90年代の録音のわりには、う〜ん。って感じなのだ。

声楽部門は、まずまず良いし、テナーの声は、まるで、カルミナ・ブラーナみたいな不気味さというか、ブラックユーモアたっぷり感の切迫感が出てくる場面があって、これは面白い。
ソロが活躍する楽曲だから、オーボエだって、トロンボーンだって、ファゴットだって・・・。
弦の他の楽器に、目立つ出番がたっぷりあるのだ。楽器どおしの掛け合いが、いつもならヴァイオリンが目立つのに、 ヴァイオリンばっかりじゃーないもんね。といわんばかりに、弦を尻目に、ファゴットとフルートのアンサンブルって取り出して聴ける。それが、楽しい楽曲である。

ブラスは、大活躍で、多少粗野かな〜という感じで、すごいぶっとい音で登場してくる。
トロンボーンの、たれ〜っと音が落ちていくところは、ジャズっぽく、面白い。
コントラバスの響きも、ばっちり入っているが、金管とコントラバスの組み合わせが、考えもつかないほど、みごとに決まってて、ホント、意外性が、楽しいっ。
この楽曲のソロは、とっても重要だ。目立つわけでも、埋もれるわけにもいかないし〜
 
サロネン盤に期待した、爽やかさや愉悦性、シャリシャリした食感はイマイチだった。
総体的には精緻さには、イマイチ欠けてて、ぴしゃっと合った気持ちの良さはない。サロネンさんのスピード感、シャリシャリ感が、 影を潜めて、どっこか豪華な、豪勢な演奏って感じになっている。
スマートな、オチャメな掛け合い短編集って感じの楽しい楽曲だが、洒脱ぽさより、大衆っぽい演奏で、雑かな。
ちょっと、その点、さっぱり、あっさり系ながらの愉悦性を期待していただけに、裏切られた感じがしちゃった。
難点は、やっぱり録音状態かしらん。う〜ん。


ブーレーズ アンサンブル・アンテルコンタンポラン 1980年
Pierre Boulez  Ensemble InterContemporain
メゾ・ソプラノ: アン・マレー Anne Murray
テノール: アントニー・ロルフ=ジョンソン Anthony Rolfe-Johnson
バス: サイモン・エステス Simon Estes



録音状態は極めて良い。愉悦性も高いし、見通しもすっきり。
カップリング:
1〜4  ストラヴィンスキー バレエ「プルチネルラ」(全曲版)
5〜7  ストラヴィンスキー 交響詩「うぐいすの歌」 フランス国立管弦楽団
このCDは、ブーレーズさんが、プルチネルラの全曲を収録したものである。
で、とっても親しみやすい楽曲で、小規模編成なので、音の通りも良い。ゆったりとした幕開けだ。
フルオケではないので、見通しが良いのと、シェーンベルクのような凍り付くような怖さやクールさは、もちろん感じない。
アハハ〜 最初から最後まで、歌が入ってくるわけではないが、歌詞の英訳を見ていると、甘い恋のささやきが聞こえてきそうな楽曲なのだ。

主人公のプルチネルラは、よっぽど甘い言葉をささやく、モテ男なのだろう。
ペルゴレージのスターバト・マーテルも、甘い恍惚感と背中合わせ的という感じを受けたことがあり、う〜ん。オペラの方も、一度聴いた方が良いかもしれない。原曲としてあげられているなかに、 ペルゴレージのオペラ「恋に陥った兄と妹」なーんていうのもあるらしい。アマゾンでも、ブルーレイで売っているようだが、さすがにねえ〜 購入意欲はわかない。(笑) 
なんだか大衆向けっぽい要素も垣間見られるし〜 なかなかにアヤシイのである。

さて、ブーレーズ盤は、だれることなく、劇的な効果が自然に感じられる。目の前で、劇が繰り広げられているかのような、楽しさが伝わってきて、組曲とは違う雰囲気があるのだ。
ケーゲル盤は、なんともいえない、ヒンヤリ感があって紋切り調だったし、サロネン盤は、う〜ん 録音状態がイマイチだったし、厚ぼったく感じたが、やっぱりブーレーズ盤・・・ なかなかに楽しませてくれる。
これは、歌手の皆さんの手腕でもあるのだろう。かなり愉悦性の高いものとなっている。お薦め〜

通常は、18のインデックスに区分されるようだが、このCDは4のインデックスとなっている。
歌の入るのは、
第1場 小羊が新鮮な牧草を食べている(テノール)
第2場 苦しめられてもそれを甘んじて(ソプラノ)
第3場 こんなにも甘いことばで(バス)
第4場 安らぎなんて、もうないそうだぜ、おまえには(ソプラノ、テノール、バス)
     女は悪魔(幽霊)よりも賢い(テノール)
     愛なんて無関心(ソプラノ、テノール)
第5場 もし、あなたが私を愛してくれるのなら(ソプラノ)
第8場 愛の焔に燃える瞳よ(バス、テノール、ソプラノ)


ハイティンク ベルリン・フィル 1995年
Bernard Haitink
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)
ソプラノ:オリガ・ボロディナ Olga Borodina
テノール:ジョン・マーク・エインズリー John Mark Ainsley
バス:イルデブランド・ダルカンジェロ Ildebrando D'Arcangelo



録音状態は良い。中庸のハイティンクさんというイメージが強いが、なかなかに芸達者でコミカルで明るく〜  快活に歌わせて、表情付が巧い。とっても楽しい映像が浮かぶ。1965年改訂版

ワタシが所有している盤は、タワーレコードのヴィンテージシリーズ第5弾 として発売されたもので、ハイティンク指揮 ベルリン・フィルのストラヴィンスキーの5曲が、2枚組BOXで収録されている。

1 春の祭典 1947年版
2 火の鳥全曲 1910年版
3 ペトルーシュカ 
4 プルチネルラ 1965年改訂版
5 ロシア風スケルツォ
(ちなみに、上記ジャケの中央に描かれているデザインの、1枚モノのCDは、春の祭典、プルチネルラが、カップリングされている。)

さて、バレエ「プルチネルラ」は、ストラヴィンスキーのバレエ音楽のなかでは、ちょっとマイナーである。
「春の祭典」をはじめとした3つのバレエ音楽と違って、これが同じ作曲家が書いたのぉ〜と驚くほど、古典的なフレーズで彩られている。
春の祭典もペトルーシュカも火の鳥も、バレエの主宰者セルゲイ・ディアギレフから依頼されていることは同じなのに、なんでも、プルチネルラの題材は、イタリアの18世紀の仮面劇だという。
原曲は、なぜか、ペルゴレージなのである。
えっ あの「スターバト・マーテル」のペルゴレージの原曲を元にして、ストラヴィンスキーが作曲?!
うっそぉ〜って感じの、驚きの作品なのである。

プルチネルラは、プルチネッラ(Pulcinella)とも言われ、白いマントを着た太った道化師である。
イメージ的には、サーカスのピエロって感じである。
改めてウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、
「猫背のだまされやすい男。鷲鼻の黒いマスクを被り、白い外套を着ている姿で現れることが多い。
イギリスではパンチと呼ばれ、19世紀頃には人形劇の「パンチ・アンド・ジュディ」ショーへと変化し人気を博した。〜略〜 フランスにおけるピエロの起源を、このプルチネッラとする説もある。」とのこと。

で、ストーリーなのだが、これもCDのブックレットから、一部抜粋して引用させていただくと〜
「ペルゴレージの音楽による3人の独唱者を伴う一幕のバレエ・パントマイム」という副題を持つが、ナポリの図書館で、18世紀前半のペルゴレージの未発表の手稿譜を発見したディアギレフが、ストラヴィンスキーに持ちかけたもの。
内容は、17世紀の伝統的な仮面喜劇コメディア・デラルテを題材としており、色男の道化師プルチネルラが、恋敵に殺されそうになるが、一計を案じて難を逃れ、めでたく恋人ピンピネルラと結ばれるというもの」とのことだった。

なーんだ、ペルゴレージというから、もっと宗教色の強いモノかと思ったのに、通俗的な、道化ものの恋物語だったのね。
○本新喜劇風の、ドタバタ、コメディータッチの劇なのだろう。 まっ 全ての原曲が、ペルゴレージ原作だとは言い切れないらしいが〜
映像を見ていないので、なーんとも言えないが、確かに、題材はコミカルだし、とっても聞きやすい。
他のストラヴィンスキーの作品とは異なり、新古典派、昔に戻ろう〜風のフレーズで優しいし、CDを聴いている限りは、ハイティンク盤も小編成のオケという感じがする。
どこか、裏町風の居酒屋って感じがするし、 庶民的で、弦楽合奏曲のような、優しく柔らかく、親しみやすいフレーズが詰まっているのである。

「らっ み〜ふぁ み〜ふぁ そ られっ〜ど ふぁっみふぁ みっ」と、明るく、弾んだ舞踏風の序曲から始まる。素朴だが、ちょっぴり上品ぶって、さあ〜踊りましょうと誘われている感じが出ている。
セレナータは、さっすが〜 ペルゴレージという感じに、オーボエの悲しげなフレーズで始まる。
「れぇ〜ふぁみ れ〜れ れ〜どれ れ〜れ」
「み〜ふぁそ ふぁ〜ど れ〜どれ れ〜れ」
3人の歌手が登場するが、和訳を見ながら聴いているが、う〜ん。ストーリーは横に置いておいても良いし、歌詞も、横に置いておいて〜 旋律だけ聴いて楽しむのも可能だと思う。
(もちろん、語学に関しては、解るにこしたことは、ないんですけどね)

スケルツィーノには、甘いフレーズが詰まっている。
「らぁしぃ〜〜 みししぃ〜 どしらぁ〜 れらら しらそぉ〜」「みそそ〜 らしら〜(しらら〜 しらら〜)」
「み〜 そみみ〜 ふぁみれ〜 それれ みれど〜 られど れどし〜」

各声部が、微妙にくっついたり、離れたり、繊細に丁寧に演奏されている。
リズムを刻む楽器、フレーズがシンプルだけど、各楽器たちが、喜んで弾んでいることが感じられる し、室内楽的な響きなので、すっきりしているが、結構、表情づけは豊かだ。
上品に快活に〜という感じだろうか。

典雅な感じも良く出ているし、短い特徴のあるフレーズが、巧く組み合わさって、妙技で、するり〜ころり〜っと変わるところも面白い。ストーリーは、ちょっとドロドロ系だけど、醜態を演じて、執拗に暗くて、 ジメジメした楽曲ではない。
からっとした青空のしたで、陽気に演じられる快活さがある。 ハイティンク盤は、リズミカルだし、表情が豊かだ。
変に、すっとばしの快速バージョンでは演奏されていない。

それにしても、この楽曲が、古楽器で演奏されたら、どんな風になるんだろうな〜と、空想してしまう。
あっ そうそう、初演はアンセルメさんの指揮、で、セットは、あの大巨匠パブロ・ピカソが作り上げたモノだったそうで、これまた、超驚きである。類は友を呼ぶってワケだろうか、天才のコラボ作品なんですね〜
全8場18曲だが、ハイティンク盤は、1965年の改訂版で演奏されている。
版っていうのは、やっかいで〜 よくわからないのだが、他盤では、8曲に集約された組曲版もある。

ハイティンク盤 CDのインデックスは6つに分かれている。
1 序曲
2 セレナータ  
  小羊が新鮮な牧草を食べている(テノール)
3 スケルツィーノ
  苦しめられても、それを甘んじて(ソプラノ)
  こんなにも甘い言葉で(バス)
  三重奏 安らぎなんて、もうないそうだぜ、おまえには(ソプラノ、テノール、バス)
  女は幽霊よりも賢い(テノール)
  二重奏 愛なんて無関心(ソプラノ、テノール)
4 タランテラ もしも、あなたが私を愛してくれるのなら(ソプラノ)
5 ガヴォットと2つの変奏曲
6 テンポ・ディ・メヌエット 三重奏 愛の焔に燃える瞳よ(バス、テノール、ソプラノ)

18世紀の雰囲気を持つ楽曲も、機会を見つけて聴くのも楽しいかな〜って思わせる楽曲だ。
ワタシ的には、モーツァルトで挫折しているだけに、なかなか、そこから先が遡って行けないんですけどね。
しかし、ストラヴィンスキーが、こんな懐古調の曲を書いているのも楽しい。
新古典派、新古典主義という流れとして、プルチネルラ が位置づけられていることだし、もっと聞き込まないといけないと思う〜 いや〜 それより、理屈抜きに、この楽曲は楽しいし面白い。
几帳面で堅苦しいバロックでもなく、妙にふわふわしたサロン音楽でもなく、結構、理屈っぽく創られていながら、オチャメ感がある。抽象的すぎるゲンダイ音楽は、どう聴いたら良いのか途方に暮れて困ってしまう場合が多いが、 この新古典主義と称される楽曲は、なんだか、ロマン派とは異なる別の扉となっており、ワタシ大好きである。
レスピーギのように、教会音楽に題材を求めている楽曲もあるし〜
新しいモノと旧スタイルの融合、いや、加工、いや、パクリ・・・(いやいや違うか 笑)  作曲家によっては、古いスタイルの取り込み方、取り扱いが違うようには思うが、また、その違いを知りつつ、楽しんで聴いていきたいと思う。


1978年 アバド ロンドン交響楽団 ★★★★
1980年 ブーレーズ アンサンブル・アンテルコンタンポラン ★★★★★
1981年 ケーゲル ドレスデン・フィル Schallplatten ★★★
1984年 バーンスタイン イスラエル・フィル
1990年 サロネン ロンドン・シンフォニエッタ SC ★★★
1995年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved