「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
Tchaikovsky: Romeo and Juliet Fantasy Overture


チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」は、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」を題材として作曲した演奏会用序曲です。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
交響曲第1番と、第2番の間に作曲されており、1870年に初演されています。その後、何度か改訂されており、決定稿は81年。ロシア5人組のバラキレフと知り合い、69年にバラキレフがチャイコフスキーの元を訪ねた際に、「ロミオとジュリエット」を題材とした作品の作曲を勧めたとされています。

嬰ヘ短調、4/4拍子、修道僧ロレンスを表すコラール風の荘重な序奏に始まり、続く、ロ短調、ソナタ形式による主部では、まずモンタギュー家とキャピュレット家のいさかいを表す激情的な第1主題が現れ、次第に激しくなります。
それが少しずつ落ち着いてきたところで変ニ長調へと変わり、ロメオとジュリエットの恋を描く甘美な第2主題が出てきます。第1主題が序奏の主題を伴いながら断片的に現れると、それに続いて、第1主題と、第2主題が再現されます。
各主題が交錯しながら盛り上がり最高に達したところで、終結部へと流れ込み、終結部は、葬送行進曲風のティンパニの刻みに悲しげな第2主題が重なり、ロ長調で清らかに曲を奏でると、最後はトゥッティの緊迫した和音で終わるものです。

プロコフィエフも、ロメオとジュリエットを作曲していますが、こちらはバレエ音楽で全曲約2時間半の大作です。
チャイコフスキーのロメジュリは、演奏時間約20分の小品ですが、コンパクトにまとまっており、印象に残るテーマを使って劇的な効果を与えており聴き応えのある作品となっています。演奏会にも取り上げられる機会も多いです。

ハイティンク コンセルトヘボウ 1964年
Bernard Haitink
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

録音状態は、さすがに古いのでヌケが良くないが、メリハリのある演奏だと思う。
カップリング:チャイコフスキー 交響詩集2枚組BOXより

さすがに古い録音なので、ヌケが良くないが、無駄のない端正で、几帳面さが出ているように思う。
あまり劇的には奏でてくれないので、つまんないな〜と思っていたら、しっかりと盛りあがる。
シャーンっとシンバルが鳴って、打楽器と共に、金管が登場して、「どぉ〜れ〜み〜ふぁ〜 ら〜そふぁ〜 ら〜そふぁ ど〜れ〜み〜ふぁ〜 ら〜そふぁ・・・」っていうフレーズから熱くなってくる。
弦もタイトに絞りきった音で、歯切れが良く、鳴らしきっている感じ。

甘ったるいカンタービレ調ではないが、なかなか充分すぎるほどに歌っているし、意外と良いのだ。
金管のパワーも半端じゃないんだけど、端麗辛口でもないし、とろとろに甘いというモノでもなく、この頃合いが難しい楽曲ではあるのだが、ちゃんと格調高く、手を抜かずという好印象だ。
録音さえ良ければなあ。しっとりした感じの録音だと思うのだが、少しピントが甘くなっている感じがするし、ここに収録されているとは、う〜ん かなり可愛そう。

それに、ハイティンクさんのチャイコフスキーって、フィリップスの頃は廃盤状態だったと思う。
(2013年に6枚組BOXで、デッカから発売されている。)
交響曲全集の余白に、よく収録されている楽曲だが、まあ、競合盤が多いので仕方がないのかもしれない。
それにしても、もう巨匠でしょう。ずーっと、中庸すぎるとか、全集魔だ〜とか、何故か、ハイティンクさんの評価がイマイチ高くないんだけど。ワタシ的には、 どうして?かなり職人的な指揮者だと思うんだけどなあ。
濃い色づけされた演奏ではなく、ニュートラルな演奏のように思います。

ドラティ ワシントン・ナショナル交響楽団 1974年
Antal Dorati
The National Symphony Orchestra

ふむふむ。


録音状態は、まずまず。ちょっと古いので、ヌケは良くないが、輪郭をハッキリと際立たせ、勢いのある男性的な演奏だと思う。

カップリング:チャイコフスキーの管弦楽曲集として2枚組BOXとなっている。
下記のとおり。マスタリング盤
チャイコフスキー 管弦楽曲集 ドラティ 2枚組BOX

1 イタリア奇想曲  デトロイト響(1978年)
2 幻想序曲「ハムレット」  ワシントン・ナショナル響(1973年)
3 交響的バラード「地方長官」  ワシントン・ナショナル響(1973年)
4 幻想曲「運命」  ワシントン・ナショナル響(1974年)
5 序曲「1812年」  デトロイト響(1978年)
6 幻想序曲「ロメオとジュリエット」  ワシントン・ナショナル響(1974年)
7 幻想曲「テンペスト」  ワシントン・ナショナル響(1974年)
8 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」  ワシントン・ナショナル響(1973年)
9 スラヴ行進曲  デトロイト響(1978年)

さすがに、少し録音が古めかしい。また、音を明晰に奏でようとしているのか、冒頭からのフレージングが短め。
で、少し切れ気味で、なだらかではないし、木管や金管、弦のフレーズが、まったりしていない感じがする。
ハープの音は聞こえるし、ヴァイオリンのピチカートも良く聞こえてくるのだが、木管のフレーズが、細めで細切れ的なので、イマイチ、とろみ感が少ないように感じる。

しかし、スピードをあげてくるとは歯切れが良く、そそらそ ふぁふぁそふぁ そそらそ ふぁふぁそふぁ・・・と勢いがある。
悲しいことにティンパニーの音が、おとなしく、ボコンっとした感じだ。
低弦の響きもイマイチなのだが、勢いがあって、渦巻くかのような弦の速いパッセージは、鋭い。
あまり、フレーズに重み、とろみをつけて、切々と訴えてくるものではなく、オーボエなどの木管が吹く、甘い旋律は、少し細めで、ペタンとした音質で、クリアーに輪郭を描きつつ進む。ハープの音も鋭く弾かれている。
そういう意味では、かなり男性的である。熱いのはヒシヒシと伝わってくるが、少し録音が古い感じがするので、今となっては、もっと良い演奏があるように思う。
ドラティさんの振った59年のロンドン響とのマーキュリー盤もあるが、そちらは、ワタシは未聴です。

マゼール クリーヴランド管弦楽団 1981年
Lorin Maazel
Cleveland Orchestra

録音状態はまずまず。当時は録音が良いことで評判だったテラーク盤で、少し古めかしい雰囲気がするが〜これが風味になっている。今でも充分聴き応えあり なのだが、飽和状態でイッパイイッパイになるところも、なきにしもあらず。
カップリング:
チャイコフスキー 交響曲第4番、幻想序曲「ロメオとジュリエット」 

ファゴットとクラリネットの沈んだ音色で序奏が奏でられている。テンポは幾分速め。
「そどれ み〜そ〜ふぁみそ〜 ららしらそ〜ふぁ どれみ〜そみれ〜ど〜れ〜」
この冒頭は、ローレンス司祭さんのフレーズだとのことだが、まるで、悲劇が終わったあとのようだ。
重々しく、厳粛で、敬虔な雰囲気が漂っている。
ロメオとジュリエットが、結局結ばれず悲劇的な結末になったことを、実は・・・と、語り初めてくるかのようで、この序奏部分で、ストーリー性を感じさせるようになっている。

弦の響きは静やかで、すっきりしているが叙情性があり、続くハープの響きも、ピチカートによって主題が奏でられるところは、語り部のようだ。
で、弦のフレーズが奏でられている間に、時計の針が戻り、モンターギュ家とキャピュレット家の葛藤の模様が描かれていく。「そそらそふぁ〜 れれみれ〜 そそらそふぁ〜」
ティンパニーが鳴るった瞬間、まだロメオとジュリエットが生きている時間にタイムトリップするのだ。
「どっ どっ〜 どっ そそっ どっ れみれど〜 みれど みれどっ」

んチャララ〜っ。っと鳴っているところは、わりと抑え気味で、荒々しい雰囲気はしない。
いがみ合ってはいるようだが、チャラ〜 チャララ〜 シンバルが鳴ってくると、どうも、チャンバラ風になってくるが、2度目のフレーズから迫力が増してくる。
ちょっとマゼールにしては、アクの強さや派手さは少ない。
2番目の主題で、甘いフレーズになるが、密やかで、小声で囁きあっている雰囲気がある。
「らし〜どれみしられ〜」の主題も、すっきりしており、コテコテという感じではない。
健全で清楚なのだ。へえ〜っ マゼールがねえ。と、驚いちゃた。
その後、間を引き裂くモノが発生してくる。弦の駆けめぐるフレーズによって、不安感が煽られていくが、でも、いきなりではなく、あくまでも穏やかである。弦の響きに奥行きがあることと、大太鼓の響きがまろやかであることなど、録音状態によるところが大きい。
トロンボーン「ど〜れ〜み〜ふぁ らーそふぁ らーそふぁ〜」、短いシンバルと「んっチャララ〜」の重なりも、ウルサイだけじゃなく、かなり豊かに聞こえてくる。

家の仲の悪さに挟まれた、若い2人の愛の葛藤を感じるというよりは、2人の間を取り持つローレンス司祭のうろたえる姿が、彷彿とされる。
純愛という言葉では、ちょっと綺麗すぎるかもしれないが・・・。それに近い。
このマゼール盤は、いつものアクの強さは感じず、むしろメリハリがあり、短い時間のなかで、すごく広い時空間を感じさせてくれる演奏だ。
また、私的には、すっきりと清楚だと感じるし、ローレンス司祭を通じて耳聴きした悲劇という、少し客観的に近い要素が含まれているように感じる。少なくとも、リアルタイムでは事件が起こっていない。
劇の結末から、幕が開いているという演奏だと思う。
序奏部が長いからかもしれないが・・・。その序奏が、タップリ描かれている演奏とも言えるかも。
いずれにせよ、激しい劇的な展開はしないが、意外にも、抒情的でイメージを膨らませやすい雰囲気がある。
主人公になりきって〜という感じがしないので、血湧き肉躍るというタイプではないが・・・。

カラヤン ベルリン・フィル 1982年
Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

 →  → 

録音状態は、よろしくない。悪いかな。派手でゴージャスな演奏で、これ、マジでやってるの?マジだとしたら変です。やりすぎ。とんでも「と盤」です。
カップリング:
チャイコフスキー バレエ音楽「くるみ割り人形」、幻想序曲「ロメオとジュリエット」 

冒頭のファゴット 「そどれ み〜そ〜ふぁみそ〜 ららしらそ〜ふぁ」と、静かに、かなりの弱音で出てくる。
テンポはゆったりめ。悲劇の幕開けにふさわしく、弱々しく、各木管のパートの間に、そして、同じ楽器でも、フレーズとフレーズの間に、ちょっとした隙間をあけていく、すきま風的な演出あり。
音も、1音のなかにも、ちょっとした強弱があって、最初は少し、中程大きく、語尾低く。
もちろん、アクセントもつけてないし、強いて平板にしているようだ。
ハープも、たらり〜 たらり〜と、気だるささえ感じさせるほどで〜 う〜ん。
なるほど、弱々しく、かぼそく演出することも大事かあ。この冒頭で、歯切れ良く吹いている盤もあるんだけど。
長めの序奏を、緊張感を維持したまま奏でるのも大変だと思うが、2度目のハープも、かなり抑えめだ。
ヴァイオリンと木管で、主題が出てきたところは、かなり低めから、う〜う〜っとパワーが出てくる。
木管とヴァイオリン そして奥のティンパニーの音がミックスされて、それぞれ階段をのぼっている感じがするが、その調和感は良いなあ。ハーモニー的に美しい。
で、ティンパニーの音がドンっと鳴って、再度沈む。
「ど〜 ど〜 ど〜 ど〜 この数回のフレーズの音の増加は、派手ではなかった。
この後、猛烈に速いのかと思っていたのだが、意外と、ゆったりめ。

立ち上がりが速く、すばやいに違いないと思って、身構えていたが、結構、ゆったりしている。弦の動きも、軽やかではなく、中間音域の木管とチェロなどの音が、分離して聞こえてしまう。
はあ? 意外だなあ。パララン パララン・・・ 
「みっし みみふぁそ〜ふぁみ みみふぁ ら〜そふぁ れみっ らっみ ららしど〜 しられ〜どし」
うーん。こりゃ もっと分厚いと思っていたのに、薄いっ。驚くほど、隙間があるのだが。どーしたんだっ。
しかし、ティンパニーの音が、豪快でっ。金管も爆発気味で。ずっこけた。 
「どっ どっ〜 どっ そそっ どっ れみれど〜 みれど みれどっ」
んチャララ〜っ。っと鳴っているところは、結構、派手だ。いや〜 下品だし。
う〜っ これホントに、カラヤン盤なのか。と思うほど。
しかし、甘美なフレーズ 「ど〜れ〜み〜ふぁ らーそふぁ らーそふぁ〜」というフレーズは、ハハハ〜
さすがに巧いっ。流れ、流れて〜 うっとりしてしまうほどのノビがあって。木管の美しいことよ。
どこで、息継ぎをしているんだ。と、驚くほど、長いフレーズを1本のフルートで吹いている。(ように聞こえる。よく聴くと、もちろん息継ぎはしておられるのだが)
チェロの甘い音色も、ハープの響きも、ここだけ聴いても、まあ。値打ちはあるかも。
再度、主題が変わって、スピードアップしてくるのだが、ショルティ盤のように、チャンバラ風の活劇風ではないのだが、でも、シンバルとティンパニー(大太鼓あったっけ) ドンシャン鳴ってくるので、びっくりする。
大音響で、ど派手っ。

ホントに、これカラヤン盤かあ〜っ? うっそ〜っ。
再度、メチャ甘い「そ〜どれみ しられ〜 みふぁ〜しそ〜 どれみふぁそし〜られ〜」 が流れてくると、はあ。やっぱ、すげ〜盛り上げで、歌う。歌う。これでもか〜っと、甘い。
めちゃ 音が伸びて伸びて〜 打楽器の派手なこと。
これでもか〜っ と、シンバルの大きな音っ。金管の大きいこと、ジャンジャン ジャンジャンっ! 
で、最後、とどめの一発。
はあ。もう疲れた。すげ〜 これトバンです。とんでもない「と盤」です。
最後の木管のフレーズとハープの音が、美しく鳴ってくれるので少しは癒されたけれど、ヴァイオリンの高音域の硬めの通った音が上滑りしてて、ティンパニーの響きと弦のハ音で、だめ押しされた。

ひ〜っ 劇ちゃー劇なんですけど。これで、マジ、真摯な演奏に聞こえるという人がいたら、おかしいんちゃう? このカラヤン盤、華麗な風情を装って、とんでもない茶番劇にしてしまっている。
こりゃ 大袈裟すぎて笑えちゃうよ。シリアスなドラマには、到底思えない。これ、大まじめに演じているんだったら、感覚が、おかしい。お笑い芸人風だよ。カラヤンさん こりゃ〜 やりすぎだ。打楽器叩きすぎ〜 シンバルやりすぎ〜 のびて歌いすぎ〜 こりゃオペラか。初心者だったら、どんな反応をするかワカラナイが、聴いている人が、バカにされているかと思えて、いささか腹が立ってくると思うよ。おちょくってるのか〜。ホント うっそみたい。
ここまで言うか〜と自分でも思うけれど、ホント、こりゃ ここまでやったら変です。ここまでするかぁ〜と、思わず笑えるタイプじゃないだけに、腹が立ってきます。極めつけの超とんでも盤です。とんでもない「と盤」が、カラヤン盤だったとは・・・。
信じられません・・・。アッハハ〜
(↑ あくまでも個人的な感想ですけどね。この演奏は、ゴージャスだけでは終わりませんでした。)

ショルティ シカゴ交響楽団 1986年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra

録音状態は良い。元気で勇壮な演奏である。誰もが知っている悲劇で、あの結末の筈なのだが・・・。
カップリング:
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」、幻想序曲「ロメオとジュリエット」 

いくらショルティ盤でも、悲劇なんだから、派手にはしないだろう〜という予測なのだが、はてさて。
冒頭、ファゴットがゆったりと「そどれ み〜そ〜ふぁみそ〜 ららしらそ〜ふぁ」と、奏でてくる。
クラリネットやフルートの音色も、歯切れが良く聞こえており、 もう少し、まったり吹いて欲しいような気がするが、ショルティ盤は、ストレートだ。 ハープの音色も儚げには聞こえるが、とろり〜とした雰囲気までには至らない。
劇っぽい雰囲気はするが、悲劇の幕開けって感じじゃない。 主題が変わってくるところの、立ち上がりのスピード感、勢いや迫力は、やっぱり劇っぽく仕上げてあって、かなり勇壮である。
特に、弦の重みを感じる。低弦の響きが重く、のしかかってくる感覚と、適度なスピード感に、なんだか悲劇というより英雄を主人公にした劇のようで、劇の選択を一瞬間違ったかな? という錯覚に陥る。

で、モンターギュ家とキャピュレット家の喧嘩している雰囲気は、ショルティ盤は、リアルである。
「どっ どっ〜 どっ そそっ どっ れみれど〜 みれど みれどっ」
シンバルが鳴ってジャンジャカしたフレーズが続くところは、やっぱ、激しさや厳しさが感じられる。
家同士、傭兵でも雇って剣を交わした喧嘩、諍い、争いをやってるなあ。という感じがする。

で、その家同士の諍いの狭間に立たされたロメオとジュリエットの甘い囁きは、う〜ん。これがなあ。悲しんでいる、憂いを抱いているって感じがしてこない。 甘美には奏でているのだが、ロマンティックな世界が広がらず、感情が乗らない。
歌うのが下手なのかも。 フルートの息継ぎの間合いが大きく、ロメオさまは、とっても元気なのだ。 若い、危なげな気配がねえ・・・。薄いかもしれない。
まあ、いつものショルティ盤で感じるマッチョさは、さすがにこの楽曲では、影を潜めているのだが。
ショルティ盤だと、ロメオとジュリエットの悲劇というよりは、モンターギュ家とキャピュレット家の喧嘩の描写の方に、気が行ってしまって・・・。そこのジャンジャカした鳴りっぷりが、とてもリアルなのだ。

心情的に悲しい物語を聴いているっていう感じにはならず、ケンカしているストーリーを、第三者的に描いたような感じがする。 深い溜息をつきながら、もうひと呼吸、息を深く息を吸って演奏してくれたら、豪華で、ダイナミックな悲劇になるだろうに・・・。ちょっと残念かもしれない。
ショルティ盤は、華麗でダイナミックさはあるのだが、元気なロメオさまが登場して、 なんだか、チャンバラしてるで〜って感じに聞こえてくるのだ。このショルティの演奏だと、家同士、喧嘩したあげく、ロメオは刺されて死んじゃった。というストーリー展開か、ロメオが剣を持ってジュリエット宅に押しかけ、口論になったあげく、ついカッして、ジュリエットの親を刺してしまいました。って感じに聞こえてしまうのだ。

おいおい、それではマズイんじゃ〜ないだろうか。劇のストーリーが変わっちゃってるもん。(笑)
まっ それほど、血湧き肉躍るというタイプの勇壮な演奏で、あの有名な悲劇の結末が、なんだか途中で、新聞の三面記事風に、ストーリーが変わってしまった感じだ。
う〜ん。これには、ちょっと困ってしまいました。

アバド シカゴ交響楽団 1988年
Claudio Abbado
Chicago Symphony Orchestra

録音状態は、88年のわりにはイマイチ。味気のない演奏で、さっぱりしすぎているかも。
カップリング:
チャイコフスキー交響曲第4番、幻想序曲「ロメオとジュリエット」 

テンポは遅めで、まるでお葬式が始まるかのように、ファゴットで序奏が奏でられている。
第一印象は、くら〜っ。
まあ。悲劇なので、この出方でも良いのだろうが、悲痛って感じでもなく。いたって淡々と進む。
劇の幕が開いたという風でもないし、ピチカートなんぞ、メトロノーム的で・・・ はあ?
弦の響きは、そこそこ良いのだが、感情が入っていかない。もう少し感情を込めて弾いてよぉ。
「そどれ み〜そ〜ふぁみそ〜 ららしらそ〜ふぁ どれみ〜そみれ〜ど〜れ〜」
はあ。まるで機械が弾いているように、カシカシと弾かれている。
主題が変わってモンターギュ家とキャピュレット家の葛藤の模様が描かれていく場面でも、「そそらそふぁ〜 れれみれ〜 そそらそふぁ〜」
うん? なんじゃーこれ。音符が並んでいるだけじゃん。
フレーズに膨らみも波もなく、強弱もなく、タララン タララン・・・を繰り返しているだけで、ワクワクもせず、機械的にシンバルが鳴っているだけで、無機質である。なーんの面白みもない。
また、他の盤だと、甘みタップリの「ど〜れ〜み〜ふぁ らーそふぁ らーそふぁ〜」という、甘美なフレーズが流れてくるのだが、なんじゃーこれ。弱音で奏でられており、さーっぱり聞こえない。

アバド盤は、甘いとか辛いとか〜言える状態ではない。
まるで、風味が抜けきった味の無いお菓子を、無理矢理食べさせられているようだ。
シカゴ響が、さっぱり乗って演奏していない。最後だけ、ちょっとマシになって、タメが出てきたのだが、最初が悪すぎ。冒頭から、ロメオとジュリエットが、死体となって冷たく横たわっており、主人公抜きで、 劇が始まっているかのようだ。これでは、ロマンティックなメロディーメーカーのチャイコが泣くだろうし、誰もが知っているロメオとジュリエットのイメージとは、明らかに遠いように思います。

エドゥアルド・マータ ダラス交響楽団 1988年
Eduardo Mata
Dallas Symphony Orchestra

録音状態は極めて良い。少しボリュームをあげて聴いた方が良い。ダイナミックで歌うメリハリのある演奏。
カップリング:チャイコフスキー 歌劇「マゼッパ」〜コサックダンス〜、戴冠式祝典行進曲、スラヴ行進曲、序曲「1812年」、幻想序曲「ロメオとジュリエット」 

特に、個性的でもないが、端正でありながら、ロシア臭くない歌いっぷりの良い演奏だ。
「そどれ み〜そ〜ふぁみそ〜 ららしらそ〜ふぁ」の主題も、響きも良く、さりげないくせに、すーっと、タタタタ タタタタ・・・と、テンポをあげてくる。
悲劇的な要素も含んではいるが、とりたてて劇っぽくもないくせに、なかなかの盛り上げ方で、ツボにはまってくる。
冒頭のテンポは幾分遅めだったのだが、いつの間にか、リズミカルに動きはじめており、とろり〜っとしつつも、幅の広い、豊かな響きを聴かせてくれる。
普段着の演奏って感じがするのだが、それでいて、アバド盤のような、無味乾燥的な演奏ではなく、きっちりと盛り上げてくれている。特に、シンバルの派手さが、スパイスになって効いているかも。
ここのシンバルは、少し乾いた響きなのだが、よく響いて気持ちが良い。シャーンっ!と開放的なのだ。
起承転結のハッキリした起伏の激しいストーリーが、ぐぐっと凝縮されている楽曲なので、メリハリがついて演奏されていることは、好ましい。
マータの旋律の流れって、振幅が激しいのだが、とても気持ちが良い。テンポをあげるところは、すっと自然に、落とすところも淀まないし、なかなかに自然体で・・・。
また、ダイナミックな面も持っていて、聴き手である私が、アメリカナイズされているのかもしれないのだが、結構豪快なのだ。

スピード感が良く、リズムの切れが良く、豪快で〜と続くと、やっぱ大変気持ち良い。
また、歌いっぷりもカンタービレ調で、なかなかに気持ちが良いし。思わず唸ってしまった。
通俗的にもならず。う〜ん。このバランス感覚は、優れていると思う。こりゃ〜良いっ!
これぐらい、派手に大見得を切って貰わないと、チャイコフスキーらしくない。って言えるのかもしれないと、ちょっと考えさせられちゃった。
いや〜 アメリカナイズした、映画みたいなんですけど。ワタシが感化されすぎなのかもしれません。
バーンスタイン ニューヨーク・フィル 1989年
Leonard Bernstein
New York Philharmonic

これもありかっ

録音状態はあまり良くない。独特のテンポ設定で、粘りが強く遅いところは遅く、速いところは猛烈に速い。どろんこ状態のバタ臭さがある。
カップリング:
1〜4 チャイコフスキー 交響曲第5番(1988年)
5 チャイコフスキー 幻想序曲 ロメオとジュリエット(1989年)
バーンスタインさん晩年の演奏で、かなり独特のテンポ設定となっている。
チャイコフスキーの交響曲4番から6番まで、ニューヨーク・フィルと収録しているのだが、どろんどろん〜の独特の世界が広がっており、最初の1枚として聴くには、あまりにも個性的すぎてお薦めできない。

しかし、ロメオとジュリエットは、このタメにタメた、あふれかえった情念が、大げさな身振り手振りで演奏されており、ある意味面白いと思う。
予定されたストーリーをなぞりつつ、そこにハマって、思いっきり泣きたいという心情なら、うってつけだし、ある程度ストーリーは予測できる○国ドラマのように、共感したい。泣かせてください。という場合は、いいと思う。
だって、そんな場合は、素っ気なく、さらっと演奏されちゃうとかえって不満がたまります。
泣きたいときは思いっきり泣けばいいんです。
って、ちょっといい加減なコメントですが、青春時代には、チャイコフスキーがお薦めなのです。不安だったり、悩みを抱えているときには、変に元気な音楽を聴いているより、寄り添って同化してくれるような曲が良いと思うんです。 まあ、大人になってからも、ずーっと、こればっかり聴いてると、ウツウツして、ちょっと社会に適合できるか、怪しくなってきますけどね。

この盤の難点は、録音状態が良くないこと。透明度は低く、もわっとした空気が漂い、とてもクリアーとは言い難い。
また、ティンパニー、金管に低弦がジャンジャカ派手に鳴らすので、完全飽和状態で、音がはみ出し、どろんこ状態とになっている。
劇場型であり激情型の演奏で、あひゃーっ。これは確信犯でしょう。ええい、ままよ〜 いっちゃえ〜って感じの計算度外視の爆発的なライブのような演奏だ。これが最晩年の演奏なんだから、超驚きだけど。

ワタシ的には、クラシックの入門楽曲として、とてもお薦めなのだが、これだけバタ臭く演奏されてしまうと、ちょっと〜
もう少し、旋律を浮きだたせて、見通しの良い演奏だと嬉しいんだけど。
見通しが良ければ、いろんな楽器に旋律を分担させて、巧く繋げていく構成がわかるんですけどね。
ある意味、無駄のないエコな楽曲で、美味しい木管の美しいが随所に現れ、綺麗に流れて行く線が見えてくるんですけどねえ。あーあっ。あまり泥臭くなっても、スマート過ぎても面白くないし、この頃合いが難しいですね。

デュトワ モントリオール交響楽団 1990年
Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

録音状態は良い。ちょっとB級映画っぽいが・・・。スマートだ。
カップリング:
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」、幻想序曲「ロメオとジュリエット」
デュトワ盤は、序奏から、ふわ〜っとしたソフトタッチな「ロメオとジュリエット」で、あまり悲劇性は感じられない。
「そ〜ど〜れ〜み〜 そ〜ふぁみそ〜 ららしらそ〜」
モントリオール響の明るい響きで、木管の明るさが印象的だ。冒頭、さらっと行かれてしまう。
低弦があわさってくると、少しは重くなってくるのだが、それでも、いかんせん明るく色彩的だ。
美しい響きではあるのだが・・・ ハープが入ってくると、一段と美しい響きとなってくる。
弦のピチカートとフルートがあわさり、若さあふれる感覚で、とても新鮮だ。
主題が変わる直前も、なかなかに美しい。
「そそらそ〜ふぁ〜 そそらそ〜ふぁ〜」 ちょっとオブラートに包みすぎなんじゃー? とは思うんだけどね。
モンタギュー家とキャピュレット家の諍いのテーマでは、さすがに激しさや深みが増してくるのだが。
さほど、ギンギンに、チャンチャンバラバラ的にはならない。
う〜ん。もちっと激しくても、深刻さもあって良い筈なのに・・・ メリハリってなモノがないのだ。
まっ。デュトワ盤では、命を張った恋愛という切迫感はなく、あくまでも幻想的で、夢のなかの悲劇という感じで、葛藤ってモノがないので、終始まろやかである。

録音状態は良い。シンバルが、ジャンジャカ鳴るところも、ホールトーンが豊かで奥行きも感じられる。
でも〜 せっぱ詰まっていないのだ。リアル感が無いって言ってもいいぐらいなんだよねえ。
甘美で溜息をついているような主題
「そ〜どれみ しられ〜 みふぁ〜しそ〜 どれみふぁそし〜られ〜」 
これが、デュトワ盤では、メインディッシュなのだ。フルートで奏でられるフレーズも、甘く、爽やかに流れていく。最後の悲劇な結末に至るフレーズも、爽快 で軽く駆け抜けていく。

弦に深みとエッジが鋭さが無く、大太鼓にシンバルが大活躍してくれるのだが、なんだか〜 これじゃー
冒険活劇的になってしまってるじゃん。
まるで、昔、マイケル・ダグラスが出演しているB級映画の「ロマンシング・ストーン〜秘宝の谷〜」みたいに甘いし、チャンバラ風なところは、まるでアントニオ・バンデラスが出演していた「怪傑ゾロ」風で・・・。
う〜ん。確かにロマンティックで楽しめるのだが・・・。
どう聴いても、シェークスピアの悲劇じゃーないような気がする。う〜ん。通俗的過ぎるのかなあ。
楽曲のせいかもしれないのだが。しかし、他の盤では、もう少しイミシンに雰囲気から攻めてくるようにも思う。 まっ いずれにしても、今風の恋愛感情に近い、スマートで軽いタッチの演奏です。

1964年 ハイティンク コンセルトヘボウ Ph ★★★
1974年 ドラティ ワシントン・ナショナル交響楽団 Dec ★★★
1981年 マゼール クリーヴランド管弦楽団 Telarc ★★★★
1982年 カラヤン ベルリン・フィル ★★
1986年 ショルティ シカゴ交響楽団 ★★★
1988年 アバド シカゴ交響楽団 SC ★★★
1988年 マータ ダラス交響楽団 Pro Arte ★★★★★
1989年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル ★★★
1990年 デュトワ モントリオール交響楽団 ★★★
所有盤を整理中です。

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