「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ワーグナー さまよえるオランダ人 序曲
Wagner: "Der fliegende Holländer"
Overtur


ショルティ ウィーン・フィル 1961年
Georg Solti  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra) 



録音状態は良い。96kHz-24bitのリマスタリング盤 猛烈な嵐が描かれ、横なぐりの風で、転覆しちゃいました〜って感じだ。ダイナミックさに驚かされる。
カップリング:ワーグナー
1 「リエンツィ」序曲 2 「さまよえるオランダ人」序曲 3 「タンホイザー」序曲 4 「タンホイザー」バッカナール 5 ジークフリート牧歌 1〜4までは1961年、ジークフリート牧歌は1965年の録音である。

「さまよえるオランダ人」序曲

およそウィーンフィルとは思えないほどのごっつい音と馬力で、弦が軋み、金管が、「ふわぁ〜ん ふわぁ〜ん ふわぁぁ〜ん」と、ちょっと、お下品に吹き鳴らされる。
低弦の厚みが半端ではなく、凄まじいのひとこと。ヴァイオリンの声は裏返り、ダイナミックで、ダダダダダダダ・・・と打ち鳴らされるティンパニーと、海の底が洗われるぐらいの低弦の「うぅぉ〜ん うぅぉ〜ん」という響きに、すっかり呑み込まれる。
中間部のゆったりとした雰囲気は、もう少し木管が美しく、さらっと演奏してただければ嬉しいが、ホルンがせわしなく吹かれているし、平穏な感じはない。
で、またまたティンパニーが、畳みかけて打ち鳴らされ、金管の圧倒的な音に、威圧感を覚える。
渦巻く弦の節回しや間髪入れるティンパニーの音量、テンポにおける圧のかけかたが、巧すぎて〜
まるで、物理学を学んでいるかのようだ。アナログ的だが、人が演奏しているという雰囲気があって、圧倒的っ。


ベーム バイロイト祝祭管弦楽団 1971年(72?)
Karl Böhm
Orchester der Bayreuther Festspiele

録音状態は、70年代初期とは思えないほど良い。
硬めの音で、冒頭より畳みかけてくる勢いの良さと、怒濤のごとく被さってくる音の渦と、海の底まで打ち下ろされるような威圧感のある超弩級のティンパニーのロール。こりゃ〜すごいっ。

このCDは、ちょっと古い録音のグラモフォン盤で、ワタシが持っている盤は輸入盤の1枚モノのCDだ。
今も、グラモフォン盤で、ワーグナー「序曲・前奏曲集」2枚組BOXになっているものがあるが、そのウチの1枚になった片割れCDだと思う。
当CDは、ベームやクーベリックなど複数の指揮で聴けるものの、ベーム指揮の管弦楽集もあるし、クーベリック指揮の管弦楽集もあるので、CDとしては、ダブっちゃう可能性が大きい。で、購入される際には気をつけられた方が良いと思う。

カップリングは、
「さまよえるオランダ人」序曲 ベーム バイロイト祝祭管弦楽団 1972年
「ローエングリン、第1幕・第3幕への前奏曲」 クーベリック バイエルン放送交響楽団 1971年
「タンホイザー」序曲 オットー・ゲルデス ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団 1969年
ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲 クーベリック ベルリン・フィル 1963年
「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲 ベーム バイロイト祝祭管弦楽団 1966年
「パルシファル」前奏曲 ヨッフム バイエルン放送交響楽団 1958年
となっている。

「さまよえるオランダ人」序曲

ベーム指揮のオランダ人は、恰幅が良く、録音状態もすこぶる良い。バイロイトで演奏した71年のライブ盤というのがあるのだが〜 もしかしたら、このCDも、71年の間違いじゃーないのかなあ。と思う。
(確証は持てませんが、多分71年ライブ盤の序曲だと思います。)
弦の「ふぁ〜ししししし〜 しぃ みっみし みっみ ふぁ〜 みっ ふぁふぁふぁふぁふぁ・・・」
金管の「ぱっぱぁ〜ぱ ぱぱぱぁ〜ん」の威勢の良いフレーズと、ティンパニーのロールが凄い。
テンポも、微妙に加速してて勢いがすごい。怒濤の音量と威圧感で、のっけから圧倒される。
アタックの強いスパイクを、バンバン打ち込んでいて、そのうえ、ティンパニーの、どろどろどろぉ〜っというロールがものすごくて、ん タタン バ ババンっ!と打ち鳴らされるのには、ホントみごと。
超弩級の音だ。まあ、オランダ人は、この出だしだよなあ。確かに凄いっ。

ベーム盤の音質の硬さ、海の底まで打ち鳴らされているような硬い、嵐のなかの雷のような、押し込みのあるリズム、質実剛健っていうか、何者も寄せ付けない毅然としたパワーと威圧感。
ハイ、気迫がすざましく、嵐の描写がすごいです。
その後、「しぃ〜らそ そぉ〜しみれしれそし れぇ〜しれ〜 みれ〜」木管のフレーズが一本筋が通っているような透明度があり、フルートの音色や、ホルンの柔らかい「しぃ〜どし〜 しぃ〜どしぃ〜」が、ふわっと出てくるのが良いですねえ。もわもわ〜とした空気感に幽霊船が突如として現れるのかしらん。
まっ 嵐のシーンと、このもやもやとした海上の霧に描写、この落差に、まいりました。
で、遠くからの嵐の近づくような「ふぁ し〜しふぁ ふぁ しし ふぁぁ〜」というホルンの奥行き感。

太い腕っぷしのオジチャンたちが、元気満タンに、威勢よく、向かっていくエネルギーと、金管のフレーズに添っていかなければならない、弦のカシカシした響きが、どどどぉ〜 どどどぉ〜 と、さざ波型になってきてて、ハイ、勇壮で劇的だよなあ。
ぱぁ〜 パパパ パパパ どぉ〜 ぱぁ〜 パパパ パパパ ふぁぁ〜
つんざくように吹かれる甲高いトランペットの「パー パー」という警告的なフレーズ。
もともと硬い音のところに、畳みかけるリズムがあって、歯切れの良さが加わり、どどどぉ〜と押し寄せる圧倒的な音の圧力に、ザブンっと波がかぶさってくるリアル感がある。
短い楽曲なのに、これだけで、もう充分味わいましたという大満足感の演奏だ。 ワーグナーは、こうでなくっちゃ〜拍手っ。

ショルティ シカゴ交響楽団 1972年〜77年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra



録音状態は良い。豪快で、活劇風。ダイナミックレンジの大きさに驚かされる。
「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲・愛の死

録音状態は、70年初頭の録音とは思えないほど、ダイナミックレンジが広く、抜けも良いし、文句がつけられない。
カップリングもまずまずだし、入門編としてもお薦め。

「さまよえるオランダ人」 序曲

冒頭より、弦がガシガシと引き出し、金管の「ぱっぱぁ〜ぱ ぱぱぱぁ〜ん」の威勢の良いフレーズが飛びだしてくる。
たら〜ん たら〜んという粘りもあって、嵐の描写が凄まじい。基本的には、61年のVPOと同じかもしれない。
その後の緩やかなフレーズも緊張が続き、ホルンが奥から響く。
穏やかな、心静まる木管のフレーズも、まろやかに響いている。だが、その後の切り返しが厳しい。
う〜ん。さすがにシカゴ響だけあって、金管に底力あり。怒濤のようなパワー、畳みかけてくる音の響きで、もろ横波を被ったような気分になってしまった。
単に熱にうなされたような激しさではなく、かなり理知的というか、計算されていると感じるのだが、これだけの音響で濁らないし、明晰そのもので、いつ聴いてもスカッとする。
えっ それがダメなんだよぉ〜と言わないでほしい。ワーグナーは、これくらい鳴らないと・・・。


若杉弘 シュターツカペレ・ドレスデン 1984年
Hiroshi Wakasugi
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)



録音状態はまずまず。繊細な演奏である。特に、弦のフレーズが、糸が紡ぎ出され、重なりあい織りなすさまが見えてくるような演奏となっている。
カップリング:ワーグナー序曲集、ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」1985年、マーラー交響曲第1番「巨人」1986年

この盤は、2009年に若杉さんが亡くなったあと、メモリム・アルバム「シュターツカペレ・ドレスデンの芸術〜若杉弘 〜」(3枚組BOX)として出されたもの。燻し銀と言われたドレスデン歌劇場管弦楽団の音色が収録されているのは嬉しい。

「さまよえるオランダ人」 序曲
全体的に言えることなのだが、ちょっと線が細め。私的には、もっとダイナミックに、はったりを、かますぐらいに演奏してもらえたら嬉しいんだけど・・・。でも、若杉さんの演奏は、丁寧で、ことさらに煽るわけでもなく冷静に水彩画のように壮大なスペクタルが描いていく。
カペレの音が、ちょっと腰が高いように思う。録音のせいなのかもしれないが、低音の響きが薄く、弦のピッチが幾分高いように聞こえてしまう。何故なんだろう。
それでもさすがに、ルカ教会。奥行きがあり、立体的に響いているし、ホールで聴いている感覚がある。
まろやかな響きは健在だ。
弦主体で描かれ、細かく動く弦と、きっぱりと切るフレーズの怖さは充分に感じられ、意外と熱く、繊細な音の積み重ねが、ひしひしと伝わってくる演奏になっている。
ちなみに、この若杉さんのワーグナーの序曲集は、ルカ教会(Lukaskirche in Dresden)で収録されている。燻し銀と例えられた、ドレスデンの音が好きな方には貴重な盤ではないだろうか。
私的にも、この音色には、うるうるきちゃった。ブロムシュテットさんの「英雄の生涯」(DENON盤)も84年の録音だし、ほぼ同じ時期に録音されているようだ。


レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 1995年
James Levine
The Metropolitan Opera Orchestra

「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲とヴェーヌスブルグの音楽
「ローエングリン」第3幕への前奏曲
「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行〜
「ニュールンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」〜前奏曲と愛の死〜

「さまよえるオランダ人」 序曲

ワタシ的には、レヴァインって指揮者は、つかみは巧いんだが、緩い楽章になった途端、居眠りしちゃいたくなる。というイメージを持っている。ちょっと失礼ないいぐさだが・・・ スミマセン。で、この楽曲は、さてどうだろう。
蛇足ながら、ジョニー・デップが出演していた映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのなかに登場する「フライング・ダッチマン号」 これ、まさしく「さまよえるオランダ人」 
3作目のワールド・エンドなんぞ、ストーリーそのままやん。と思ったのだが、ヨーロッパに伝わる幽霊船の伝説を下敷きにしたもの。さて、レヴァイン盤は、う〜ん。とても豪華な雰囲気があるのだが、重々しいところがなくって、幽霊のフワフワ感を重視したような感じ。
でも、ホルンの勢いがよくって、スピーディで、ティンパニーが嵐のなかの稲妻のような働きをしていた。
結構、夜の難破船がイメージできて格好が良い。
で、冒頭はすごい嵐のシーンで迫力満点だったのだが、幽霊船さながら、どっか迷い込んでしまったように、ぼわーっとしてしまった。う〜ん。弛緩しちゃダメじゃん。


バレンボイム シカゴ交響楽団 1994年
Daniel Barenboim
Chicago Symphony Orchestra

「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲
「ローエングリン」第1幕への前奏曲
「ローエングリン」第3幕への前奏曲
「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」前奏曲、愛の死

「さまよえるオランダ人」序曲

録音状態は、ボリュームをあげて聴きたい。ボリュームをあげないと、ぼそぼそ〜として、低音が籠もって聞こえてくる。
この盤は、ゆったりと大音量で鳴らす大型スピーカー向きだと思う。
なかなか勇壮な出だしで、緊張感あふれる演奏になっている。
弦の激しいボーイングと、ホルンの咆吼で、呪われたオランダ人の動機が描かれる。
特に弦の動きが激しく、ガシガシと弾いている。風が巻き起こり、波が上下に大きく動き、嵐の様子が、短い時間の間にリアルに伝わってくる。
「ゼンタの救済の動機」の柔らかく穏やかなフレーズ、木管の陽気な歌声「水夫の合唱」など、短い間に動機が入れ替わっているが、弦の激しさ、金管の重厚さ、テンポを揺らせて、ドラマティックに対照的に動機を描いている。ゴリゴリ感があって、勇壮というか、音の構成がリアルに感じられてダイナミック。大柄だけど迫真の演技という感じがする。


1961年 ショルティ ウィーン・フィル Dec ★★★★
1971年 ベーム バイロイト祝祭管弦楽団 ★★★★
1972年〜77年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★
1984年 若杉弘 シュターツカペレ・ドレスデン SC ★★★
1995年 レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 ★★
1994年 バレンボイム シカゴ交響楽団 Tle ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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